ホーム旅の見聞録薬師池公園>薬師池公園で見かけた野草(冬T)


薬師池公園で見かけた野草(冬T)



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、いろいろな野草などを集めた萬葉草花苑があります。
そこで見かけた野草や植栽された主な花々です。

< トピック >

今回、下記の野草の写真を追加しました。
アオキ、シロバナタンポポ、ヒメオドリコソウ、コハコベ、ヒイラギナンテン、オウバイ、
イワヒバ、コバノスナゴケ

今回、下記の野草の写真を追加しました。
アケボノアセビ、アセビ、シロバナタンポポ、フッキソウ、フクジュソウ、マンサク、ムサシアブミ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アウストロバイレヤ目
マツブサ科(サネカズラ)
オモダカ目
サトイモ科(ムサシアブミ)
ガリア目
ガリア科(アオキ)
キク目
キク科(オケラ、センボンヤリ、シロバナタンポポ)
キジカクシ目
キジカクシ科(ジャノヒゲ、ヤブラン)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(フクジュソウ)
メギ科(ヒイラギナンテン)
クスノキ目
ロウバイ科(ソシンロウバイ)
コショウ目
ウマノスズクサ科(カンアオイ、タマノカンアオイ)
シソ目
シソ科(シモバシラ、ヒメオドリコソウ)
モクセイ科(オウバイ)
ツゲ目
ツゲ科(フッキソウ)
ツツジ目
サクラソウ科(マンリョウ)
ツツジ科(アセビ、アケボノアセビ)
ツバキ科(サザンカ、ツバキ)
ナデシコ目
ナデシコ科(コハコベ)
バラ目
バラ科(ウメ)
フトモモ目
ジンチョウゲ科(ミツマタ)
ミズキ目
アジサイ科(ウツギ)
ムクロジ目
ウルシ科(ヤマハゼ)
ミカン科(マツカゼソウ)
ユキノシタ目
マンサク科(マンサク)
 
イワヒバ目
イワヒバ科(イワヒバ、カタヒバ)
ウラボシ目
ウラボシ科(ノキシノブ、マメヅタ)
ハナヤスリ目
ハナヤスリ科(フユノハナワラビ)
ギボウシゴケ目
ギボウシゴケ科(コバノスナゴケ)
薬師池公園で見かけた野草(冬T)
和名インデックス


サネカズラ(Kadsura japonica (L.) Dunal)
<アウストロバイレヤ目・マツブサ科・サネカズラ属>
 
2017/12/20                2018/1/25     .

   2017/12/20           2017/12/20        2018/1/25
マツブサ科サネカズラ属のつる性常緑木本で、在来種。
日本では、本州の関東以西、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島、台湾に分布する。
古いつるの樹皮は、コルク層が発達するので太くなる。
新枝は赤褐色味を帯び、樹皮をはぐと粘液が出て粘る。
それを昔は整髪料に使ったので、ビナンカズラの別名がある。
葉は互生で、長さ10p前後の長楕円形。まばらな鋸歯があり、表面はなめらか。
花期は8月〜9月で、雌雄異株または同株。
葉腋に直径10o強の白花を付ける。花被片は10枚前後。
雌花のメシベも、雄花のオシベも球状に付き、オシベは赤褐色、メシベは淡緑色。
果実は集合果で、直径は数p。ここの果実は10o前後で、真っ赤に熟す。

2017/12/20,2018/1/25
常緑性のサネカズラと言えども、冬の寒さは堪えるようです。
12月には緑の葉が多かったのですが、1月の大雪の後は茶色くなった葉が増えました。
果実も12月の時にはつやつやした赤い色でしたが、過熟になったのか萎びて色も悪くなりました。

サネカズラの花に関しては、こちらに掲載しています。

ムサシアブミ(Arisaema ringens)
<オモダカ目・サトイモ科・サトイモ亜科・テンナンショウ属>


サトイモ科テンナンショウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東以西、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
地面から立ち上がる第一の葉柄の途中から二番目の葉柄が分岐し、その途中から花柄が伸びる。
葉柄上端には先が細くなった三枚の葉をつける。花柄は葉柄よりも短い。草丈は50cmになる。
花期は3月〜5月で、仏炎苞は暗紫色に白い筋があり、舷部が曲がって袋状になって、先が尖る。
筒口部の耳も大きく、鐙(あぶみ:足を乗せる馬具)を逆さまにしたような形をしている。
武蔵の国で作られた鐙が有名だったので、それが和名の由来となっている。

2017/12/20
ムサシアブミの果実が真っ赤に熟している所を撮ろうと思いながら延び延びになってしまいました。
やっと見に行けたのが12月下旬で、その場所に行くと枯草しかありませんでした。
除草されてしまったのかと思ったのですが、良く見ると枯葉の間から真っ赤なものが覗いています。
近づいて見るとムサシアブミの真っ赤な果実が、横たわっていました。
遅すぎて果柄が萎びてしまい、倒れた後だったようです。
見事に成熟して果実が真っ赤になったものや、一部が未成熟なままになったものなどがありました。
また、自然に取れたのか、何かが取ったのか、果実が取れて果床が出ているものもありました。

 
2021/2/22
すっかり枯草に覆われた斜面に、赤い物がちらりと見えました。
近づいてみると、それはムサシアブミの果実のなれの果てでした。
半分ほどが取れたり、茶色く枯れたりしていましたが、まだ、艶のある赤い果実が残っていました。

アオキ(Aucuba japonica)
<ガリア目・ガリア科・アオキ属>


ガリア科アオキ属の常緑低木で、日本固有種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島の森林に自生し、日陰でも良く育つ。
樹高は、2m程で、常緑で枝も青い。それが和名の由来ともなっている。
雌雄異株で、花期は3月〜5月。枝先に円形花序をだし、紫褐色の花弁は4枚。
雄花は、雌花より多く付き、4本のオシベが特徴。雌花には下部に子房があり、オシベが退化してない。
果実は楕円形で、秋頃から赤く熟し(黄色や白に熟すものもある)、翌年の5月頃まで付いている。

2018/2/13
帰るために薬師池公園の裏門に向かって歩いているとき、斜面でアオキが果実を付けていました。
よく見ると普通のアオキと斑入り葉のアオキが混生しています。
果実は赤く熟していましたが、一部が緑色のものや黄色いものが混じっています。
おそらく、緑色のものはアオキミフクレフシと呼ばれる虫こぶではないかと思われます。

オケラ(Atractylodes japonica)
<キク目・キク科・キク亜科・オケラ属>
   
キク科オケラ属の多年草で、在来種。昔はウケラと呼ばれていた。雌雄異株である。
日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は30〜80cmで、茎は細く、木のように堅くなる。
根茎はやや長くて節があり、古い部分は順次枯死していく。
葉は互生し、下部の葉は長さ8〜11cmで奇数羽状複葉。3〜5裂し、縁には刺状の鋸歯がある。
上部の葉では、分裂しないこともある。なお、根生葉は花時にも残る。
花期は9月〜10月で、上部で分枝した茎に頂生し、頭花の直径は20o前後。
筒状花のみからなり、花色は白〜淡紅紫色で、花冠の先は5裂する。
雄株にはオシベのみが機能する雄花が、雌株にはオシベとメシベがある両性花が咲く。
総苞は長さ10〜12mmの鐘形で、総苞片は7〜8列に並び多数ある。
それを囲むように魚の骨のような針状に羽裂した苞葉(総苞外片とのされる)が2列に包む。
痩果は長さ5〜6mmの円柱形で、白毛が密生し、羽毛状に細かく枝分かれした淡褐色の冠毛がある。
近縁種の中国原産のオオバナオケラやホソバオケラとともに根茎は、朮(じゅつ)という生薬として利用される。
本種のものを和白朮、オオバナオケラのものを唐白朮、ホソバオケラのものを蒼朮という。

2018/2/13
萬葉草花園に中を歩いているとき、麦藁細工のような草本がありました。
名板に「うけら」と書かれています。聞いたことがないので、後で調べることにして写真を撮ってきました。
調べると、「うけら」は昔の呼び名で、現在は「オケラ」となっていました。
当然、この時期では花後なので、種子が飛んだ後のようです。と思ったら、1個残っていました。
中央の写真で、白っぽい冠毛が付いた種子が1個、引っかかっています。
魚の骨のような苞葉と同じように、冠毛も同じように枝毛が横に開いていますね。
来年の秋には、ぜひ、花を見てみたいと思います。

※ 秋にオケラの花を見ることができました。こちらを参照ください。

センボンヤリ(Leibnitzia anandria)
<キク目・キク科・キク亜科・センボンヤリ属>
 
キク科センボンヤリ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から九州と全国の山地や丘陵の日当たりのよい草地などに自生している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
本種は、春と秋の2回の花期があり、その形態が大きく異なる。
葉は、基部に集まってロゼット状になる。葉の欠刻は春は少なく、秋の葉は欠刻が多くなる。
その形も春は倒卵形であるが、秋は長楕円形で頂葉が非常に大きい羽状に中裂する。
春、秋とも葉裏には、白いクモ毛が密生する。
頭花も春と秋で異なり、春の頭花は高さ10〜15cmほどで、花茎の先に1個付く。
頭花は、周りに裏が淡紫色を帯びた白い舌状花状の筒状花が1列並び、その内側に筒状花がある。
舌状花状の筒状花は、舌片の反対側にも小さな舌片がある二唇形で、オシベが退化した雌性花である。
筒状花は、メシベとオシベを持つ両性花である。
秋には30〜50cmの花茎が多数伸び出し、その先に槍の穂先状の閉鎖花が1個付く。
その様が和名のセンボンヤリの由来である。花茎には、線形の小葉が多数つく。
閉鎖花は、細い筒状花のみからなり、長さ15oほどの総苞に包まれたまま結実する。
痩果は淡褐色で、春型は長さ5o、冠毛は7mmほどであるが、秋型は長さ7o、冠毛は10o程になる。

2017/12/20
秋に閉鎖花を咲かせたセンボンヤリですが、まだ、大半の痩果が飛ばずに残っていました。
タンポポのように白い冠毛ではなく、淡褐色の冠毛なので、パッとしませんね。
基部には、春を待つ葉がロゼット状に広がっています。

シロバナタンポポ(Taraxacum albidum)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・タンポポ属>
 
キク科・タンポポ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東以西、四国、九州に分布し、西に行くほど多い。
葉は、地面から立ち上がる傾向があり、花茎は30cm以上になる。
白花のタンポポには、他にキビシロタンポポやケイリンシロタンポポなどが知られる。
前者は、岡山県、広島県等で、後者は朝鮮半島から中国東北部に多く、国内では九州北部や岡山県に分布する。
いずれにしても、関東で見られるのは本種のみのようである。
なお、本種は、カンサイタンポポとケイリンシロタンポポの交雑種とされている。
頭花を構成する舌状花は、他種よりも比較的少ないが、単為生殖可能なため繁殖力は強い。

2021/2/22
萬葉草花園の通路脇で、シロバナタンポポが3本の花茎を立ち上げていました。
ツボミは、今にも咲き出しそうなほどになっていましたが、開花は少し先になりそうです。
開花した姿は、こちらを参照ください。

ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・ジャノヒゲ連・ジャノヒゲ属>
 


キジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑多年草で、在来種。リュウノヒゲともいう。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では東アジアに分布する。
短い根茎があり、たくさんのヒゲ根が伸びて、ところどころに肥大した塊根ができる。
草丈は10cmほどで、根際から線形の葉が多数出る。葉の縁は全縁で、反り返る。
花期は7月〜8月で、長さ10〜20cmほどのやや扁平な花茎を伸ばし、先に総状花序を出す。
花色は白色〜淡紫色で、直径は10o前後。花弁の数は6個。花は下向きに咲く。
花後、子房は種子を1つ含むが、果皮は早めに敗れて脱落してしまうので、種子のみが青く熟す。

2017/12/20
萬葉草花園で、背の低いジャノヒゲ(おそらく玉竜)がきれいに青く熟した種子を付けていました。
その外れで、ムサシアブミが真っ赤な果実を付けて横たわっていました。
実に鮮やかな赤と青の果実の競演です。
たまたまでしょうが、奥にあったムサシアブミがうまく倒れ込んだ結果のようです。

ヤブラン(Liriope muscari)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・ジャノヒゲ連・ヤブラン属>
 
キジカクシ科ヤブラン属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州の温暖な地域に分布する。
海外では、中国など東アジアに分布する。
草丈は30〜60cmほどで、葉は幅1cm強、長さは50cm以上になる。
葉に斑入りのものがあり、観賞用に庭に植えらる。
花期は8〜10月で、長さ50cm以上の花茎を伸ばし、先に総状花序を出す。
花は数個が束生し、6個の花被片は淡紫色で、稀に白花もある。
花被片は長さ数oの長楕円形で、オシベは6本、中央の花柱は2oほどで、柱頭は小さい。
果実は早い段階で破れ、若い緑色の種子が露出して成長する。
種子の直径は6oほどの球形で、熟すと黒紫色になる。

2017/12/20
ヤブランの果実が、真っ黒に熟していました。
熟すと黒紫色になると書かれていましたが、見た目は真っ黒です。
花の咲いているときとは、ずいぶんと印象が異なります。

フクジュソウ(Adonis remosa)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・フクジュソウ属>



キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草で、日本原産で北海道、本州、四国に分布する。
フクジュソウは長らく1種のみとされていましたが、現在は、下記の3種を合わせ4種類とされている。
キタミフクジュソウ〔Adonis amurensis〕朝鮮半島と北海道に分布
ミチノクフクジュソウ〔Adonis multifora〕本州と九州に分布
シコクフクジュソウ〔Adonis shikokuensis〕四国と九州に分布
花期は1月〜4月で、自然環境下では3月頃から咲き出す。
最初は茎が伸びず、苞に包まれた短い茎の上に花が1輪のみ付く。
花は、日が当たると開き、日が陰ると閉じ、花弁を使って光を中心に集めて虫を誘因するとされている。
夏に向けて大きく葉を展開し、多くの花を付けるが、夏には地上部は枯れて無くなる。

2010/2/14
旧永井家の前で、フクジュソウが顔を出し、花を付けていました。
まだ、ツボミが少し開きかけたところですが、春を感じられていいですね。
写真の様な茎頂に一輪だけ花を付けるのは、早春に最初の花を咲かせるときだけです。
それ以降は、葉が大きく伸び出して、その花姿は下記のように大きく変わります。



 
2021/2/22
フクジュソウの最初の1輪は、最初の写真のように苞に包まれた短い茎の上に付きます。
しかし、その後、葉が展開し始め、大きく成長すると上記のように全く異なる草姿となります。
展開する前の葉は暗褐色ですが、展開するにつれて緑褐色(下段右)、緑色(上段)と変化します。

ヒイラギナンテン(Berberis japonica)
<キンポウゲ目・メギ科・メギ亜科・メギ連・メギ属>
 
メギ科メギ属の常緑低木で、原産地は中国南部、台湾、ヒマラヤ。
日本には江戸時代に渡来し、逸出して野生化している。
樹高は1〜3mで、幹は古くなるとコルクのような樹皮で覆われる。
材にはベルベリンなどが含まれ、このために幹の断面は黄色く、噛むと苦い。
葉は互生し、長さ15〜27cmの長楕円形で奇数羽状複葉。
小葉は長さ3.5〜7cmの卵形で、4〜6対あり、無柄で硬く、鋸歯は棘となる。
常緑樹なので落葉はしないが、冬には紅葉したように赤銅色になる部分がある。
花期は3月〜4月で、長さ5〜10cmの総状花序を5〜10個束生して、垂れ下がる。
花は直径7mm前後の黄色で、多数付く。花序の苞は先の尖った卵形で、長さ8〜15mm。
花の苞は卵形で長さは4mm前後、萼片は黄色で3重に付く。
外側の萼片は長さ3o弱、中間は長さ3.5mm前後の広卵形、内側は長さ6mm前後の長楕円形。
6個の黄色い花弁は長さ6mmの楕円形で、基部に腺があり、先は凹む。芳香がある。
オシベは長さ3o強で、葯は円形。液果は長さ8o前後の卵形で、粉白色を帯びた黒紫色に熟す。

2021/2/22
萬葉草花園などでヒイラギナンテンが黄色い花を開き始めていました。
花は八重咲きのように見えますが、外側の3列は黄色い萼片で、花弁ではありません。
花弁は、中央に見える先が凹んだもので、6花弁の花です。

ソシンロウバイ(Chimonanthus praecox Link cv. concolor)
<クスノキ目・ロウバイ科・ロウバイ属>

2018/1/25           2018/2/14           2018/2/14

2018/2/14
ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。
日本には、江戸時代の初め頃に渡来したとされている。
樹高は5m程までになる。葉は対生し、尖った長楕円形で、全縁。
花期は1月〜2月で、直径2cm程の黄色い花を付ける。香りが強く、蝋細工のような光沢がある。
ロウバイには、ソシンロウバイ、マンゲツロウバイ、トウロウバイなどの栽培品種がある。
よく見かけるのは、花が大きく、花の中心まで黄色いソシンロウバイである。
基本種のロウバイは、花の外周は黄色い花被片だが、中心部が暗紫色になる。
周囲の黄褐色の総苞から、黄色の花被片へと準じ大きくなりながらオシベまで螺旋状に付く。
花の中心部には、8個のオシベ、不完全な仮オシベ、その中心に多数のメシベがある。
雌性先熟で、最初オシベは大きく開き、葯も閉じており、中央のメシベは他からの花粉を受け入れる。
授粉後、オシベが閉じて中心に集まり、葯も裂開して花粉が出始める。
花後、花托蛾大きくなり、長卵形の偽果になる。中には、1cmほどの痩果がたくさん入っている。
偽果の鱗状の模様は、総苞、花被片、オシベが付いていた部分で、頂部には仮オシベが残る。
種子などには、アルカロイドであるカリカンチンを含むため、有毒植物である。

2018/1/25,2/14
ロウバイが、その名が示すように蝋細工のような半透明の花を咲かせていました。
1/25に撮ったロウバイは、ツボミに近いとはいえ、かなり黄色味が強い花でした。
2/14に撮ったロウバイは、ロウバイらしい半透明の淡黄色の花です。
左の写真のようにツボミは若干色が濃くなりますが、それでも1月の花ほどではありません。
両者は、同じソシンロウバイでも、品種が異なるのかもしれません。

カンアオイ(Asarum nipponicum)
<コショウ目・ウマノスズクサ科・カンアオイ亜科・カンアオイ属>
 
ウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草で、日本固有種。
本州の関東地方から近畿、四国に分布する。ギフチョウの食草として知られる。
山地や森林の林床に生育し、茎は短く、匍匐する。成長は非常に遅い。
葉は互生し、濃緑色に白い斑紋があるが変異が多い。
花期は秋で、10月〜11月に開花する。といっても、花弁に見えるは、3枚の萼片です。
萼片は、基部で癒着して萼筒となり、暗紫色で内側に格子状の隆起線がある。
萼裂片は三角形で、萼筒より短く、オシベは12本、メシベは6本ある。芳香を放つ。
関東から東海地方に分布する基変種で、カントウカンアオイの別名がある。
紀伊半島や四国には、ナンカイアオイが分布するが、変種か独立種かは学者によって異なる。

2017/12/20
カンアオイの花を見ようと思っていたのですが、見に行けないまま師走になってしまいました。
もう遅いかもと思いつつ、カンアオイを見に行ったのですが、やはり花は見つかりません。
あきらめかけたとき、奥の小さい方の株の根元に花らしきものが見えました。
一部が枯れかかっていますが、何とか原形をとどめています。
近づけないので、かなり無理な姿勢ですが、手を伸ばして山勘で撮ったものです。


カンアオイの花

     .
2013/11/22
香嵐渓の飯盛山の斜面で見かけたカンアオイの花です。
見え易い場所で咲いていたのですが、近づけなかったのでアップでは撮れませんでした。

タマノカンアオイ(Asarum tamaense)
<コショウ目・ウマノスズクサ科・カンアオイ亜科・カンアオイ属>
 
ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑性の多年草で、日本固有種。
本州の関東地方西南部の丘陵や低山の林内に生える。環境省指定の絶滅危惧種である。
和名は、最初に発見されたのが多摩丘陵であったことに由来する。
草丈は10cmほどで、短い茎は地上を這い、茎は立ちあがらない。
葉は長さは5〜12cmの卵円形で、基部は深い心形となり、葉先は鈍三角形状。
表面は暗緑色で鈍い光沢があり、白色または淡緑色の雲状斑があることが多いが変異が多い。
花期は4月〜5月で、地上に接するように直径2〜3cmの暗紫褐色の筒型の花を数個付ける。
萼は3裂し、裂片は卵状三角形で大きく波打ち、萼裂片の内面には短毛が密生する。
萼筒の入口には環状のつばがあり、その外側に白い突起が多数並ぶ。
オシベは12個、花柱は6個あり、花柱の先は2裂しない。特有の臭気がある。

2018/12/13
萬葉草花園のタマノカンアオイがあった所で、越冬芽を付けているのを見かけました。
最初、花芽かと思ったのですが、調べると越冬芽らしいということが分かりました。
鱗片葉が半開きになっていて、中が少し見えていますが、もう少し成長して開くようです。
春咲きの仲間では、ツボミまで大きく成長し、そのまま、翌春まで越冬するとのこと。

シモバシラ(Keiskea japonica)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ナギナタコウジュ連・シモバシラ属>
 
2017/12/20                  2018/2/13
シソ科シモバシラ属の多年草で、枯れた茎に霜柱が出来ることで知られる。
日本の固有種で、関東以南の本州、四国、九州に分布する。
宿根性の多年草である。茎は断面が四角形をしており、やや木質化する。
草丈は40〜70cmほど、先端に向けてやや水平向きに曲がる。
葉は茎の節毎に対生に出て、長さ8〜20cmの楕円形、薄くて柔らかくてつやがなく、縁に軽い鋸歯がある。
花期は9〜10月で、茎の先端側半分くらいの葉腋から総状花序を出す。
花序の軸は真上に伸び、花はその軸の茎先側に偏って付く。
従って、水平になった茎から花序だけが立ち上がったおもしろい姿となる。
花はほぼ真横を向いて咲く。花冠は白く、釣り鐘状で、雄蘂はそこから突き出す。

2017/12/20
すっかり枯れてしまっていましたが、まだ、花序の残骸が付いたままでした。
茎の基部では表皮がはがれ、茎の芯の部分がむき出しになっていました。
2018/2/13
寒気団の南下で霜柱ができていることを期待して、朝に薬師池公園に出かけてきました。
期待通りにシモバシラに霜柱ができていました。少々貧弱な霜柱ですが。
下記は、そのアップの写真です。今回はこれ以上成長することはなさそうです。

 

ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属>
 
シソ科オドリコソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、北アメリカや東アジアにも帰化しており、日本では、主に本州に広く分布する。
草丈は10〜25cmで、4稜形の茎には下向きの毛が生える。花期は3月〜5月。
葉は対生し、長さ1〜2cmの三角状卵形で、有柄。脈が深く、花期には赤紫色を帯びる。
葉の上部の葉腋に、長さ10mm前後の淡紅色の唇形花をたくさん付ける。
オシベは4個で、メシベの花柱は先が2裂する。萼は5裂し、裂片の先は尖る。
果実は4分果で、頭部が平らになる。分果には3稜があり、基部に大きな種沈がつく。

2021/2/22
萬葉草花園の角で、ヒメオドリコソウが1輪だけ花を開花させていました。
ヒメオドリコソウの花は今年初めての確認です。
ここでは未確認ですが、同属のホトケノザの花はあちらこちらで見かけました。

オウバイ(Jasminum nudiflorum)
<シソ目・モクセイ科・ソケイ属>
 
モクセイ科ソケイ属の半つる性落葉低木で、原産地は中国の北部・中部。
日本には江戸時代に渡来したと考えられている。
樹高は0.3〜5mで、茎には4稜があり、新枝は緑色をしている。
葉は対生し、長さ7〜25oの3出複葉であるが、基部では単葉となる。
葉柄は長さ3〜10mm。小葉、単葉は卵形で、基部は楔型。苞葉は長さ3〜8o。
花期は2月下旬〜4月で、葉の展開前に開花する。花は単生し、花冠は黄色。
花の直径は20〜25oで、筒部は長さ8〜20o、裂片は5〜6個で、長さ8〜13mm。
萼片は緑色で5〜6裂し、長さは4〜6mm。
よく似たウンナンオウバイ(オウバイモドキ)は常緑樹で、2重花弁になる。

2021/2/22
萬葉草花園を周っているとき、黄色い花が数輪咲いているのに気が付きました。
葉のない緑色の茎に、ポツリポツリと咲いています。
どこかで見たような気がするのですが、名板がなかったので、後で調べることにしました。
思い出したのがウンナンオウバイでしたが、花弁がもっと多く、豪華な感じの花なので異なります。
そこでソケイ属の花を調べてみると、葉のない点や一重の花であることから、オウバイと分かりました。
樹高が30cmほどの小さな株でしたので、花数はツボミを含めても10輪ほどしかありませんでした。

フッキソウ(Pachysandra terminalis)
<ツゲ目・ツゲ科・フッキソウ属>
 
ツゲ科フッキソウ属の常緑小低木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では中国に分布する。
耐寒性が強く、半日陰でも育つため、グランドカバープランツとして植栽されることが多い。
樹高は20〜30cmで、茎はやや太めで地面を這い、先が立ち上がる。
葉は多数がらせん状に付き、葉身は長さ3〜5cmの卵状楕円形で、葉先の半分には粗い鋸歯がある。
花期は5月〜6月で、茎頂に長さ2〜4cm程の穂状花序を直立し、白い小花を多数付ける。
花は単性で、花弁はなく、緑色の広卵形の萼片4個と、小さな苞がある。
雄花は、花序の上部に多数付き、茶褐色の葯を持つ白くて太いオシベ4個が長く突き出す。
雌花は、雄花の下部に5個前後付き、白い2個の花柱は反り返る。

2017/12/20
フッキソウが花序を立ち上げ、花を咲かせる準備が整ったようです。
花には花弁がなくて目立ちませんが、通年で緑色の葉がきれいな小低木(草本ではありません)です。

 
2018/9/12
フッキソウがツボミを付けていました。昨年、12月に見かけたときをそう変わりません。
咲くのは来年の春ですが、既に秋の内に開花準備は進んでいるようです。

 
2018/12/13
ツボミが大きく膨らみ、咲きだすのもそう遠くないような感じです。
花期は5月〜6月なのに、この状態で越冬するのでしょうか。


 
2021/2/22
フッキソウですが、今年もたくさんのツボミを付けていました。
咲くのはまだ先ですが、基部の雌花は先が尖るように伸び出していました。
別の場所にも小さく群生していたのですが、その1つに白い花のようなものが付いていました。
花にしては変だなと写真を撮って後で確認すると、果実と分かりました。
昨年度の果実が残っていたものと思われます。果実は珍しいそうで、「森の真珠」とも呼ばれるそうです。
この果実、甘いそうですが、食べ過ぎるとお腹を壊すとか。見るだけで、食べるのは控えた方がよさそう。


フッキソウの花

     .
2019/4/12
高尾山で見かけたフッキソウの花です。
大きな群落でたくさん花が咲いていますが、地味なため、足を止める人はほとんど居ません。
上の方で白い棒状のものが四方に出ているのが雄花で、太くて白いオシベの花糸の先に茶褐色の葯が付ています。
右下で白いものがうねうねと出ているのが雌花で、この出ているものがメシベの花柱と思われます。
雌花は、白い花柱が2個反り返るように出ているはずですが、1個しか見当たりません。
何らかの理由で1個が欠損しているのか、まだこれから2裂するのかは分かりませんでした。


マンリョウ(Ardisia crenata Sims)
<ツツジ目・サクラソウ科・ヤブコウジ属>
 
サクラソウ科・ヤブコウジ属の常緑小低木で、在来種。
日本では、本州の関東以南、四国、九州に自生する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、インドシナ半島に分布する。
6〜7月に散状花序を出し、やや下垂したソバカスのある白い花を開く。
11月頃に紅く熟し、その果実が美しいので栽培され、正月の縁起物とされる。
赤く熟した果実は、そのまま越冬し、翌年の4月頃まで見られる。
なお、栽培品種には白や黄色の果実もある。

2018/12/13
萬葉草花園のそこここでマンリョウが赤い果実をたくさん付けていました。
この時期、赤い果実が目につきますが、センリョウやナンテン等と共に正月飾りに使われます。


マンリョウの花

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2013/7/9            2013/7/9            2013/9/2
多摩川近くの民家の生け垣下で見かけた、マンリョウの花です。
右端は、未熟な果実ですが、大きさは熟した赤い果実と大差ない大きさになっています。
5深裂した花弁黄色いオシベ、未熟な果実には、暗褐色の斑点がソバカスのように付いているのが特徴。


アセビ(Pieris japonica subsp. japonica)
<ツツジ目・ツツジ科・アセビ属>
 
ツツジ科アセビ属の常緑低木で、在来種。
日本では、本州の山形・宮城県以南から四国、九州の山地で、日当たりの良い所自生する。
樹高は1〜8m、直径5〜10cm。樹皮は灰褐色で縦に裂け目が入り、少しねじれる。
若枝は、緑色で稜があり、はじめ短毛が密生するが、後に無毛になる。
葉は互生し、枝先に束生する。葉身は長さ3〜10cmの倒披針形で、先が鋭く尖る。
葉縁の半分より先に残鋸歯があり、多少波打つ。葉柄は長さ5mm前後。
花期は3月〜5月で、枝先の葉腋から複総状の花序を垂らし、壺型の白花を多数下垂する。
なお、花冠の紅花の色合いが濃いものはベニバナアセビ、薄いものはアケボノアセビと呼ばれる。
花冠は長さ6〜8mmで、先が浅く5裂する。萼は5深裂し、緑色〜赤色と変異がある。
オシベは10個で、花糸の基部に毛があり、葯には刺状の突起が2個ある。
メシベは、花冠とほぼ同じ長さで、子房は無毛。
なお、葉や茎には、アセボトキシンという有毒物質を含んでいる。

2018/2/13
園内に植えられていたアセビです。
つぼみがずいぶん膨らみ、開花するのもそう遠くなさそうです。

 
2018/4/19
見に来るのがちょっと遅くなってしまい、満開を過ぎ、多くの花が傷み始めていました。
この写真の株は、開花が遅かったようで、比較的花が良く残っていましたが、ほとんどない木もありました。

   

 
2018/12/13
今年の春に咲いた花が枯れた果実になっている一方、新しいツボミが春を待っていました。
そんな中、12月だというのに、アセビが一房だけ花を咲かせていました。
今年の12月は、暖かい日があったので、狂い咲きでもしたのでしょう。
多くが来年の春に咲くツボミを温めている中、まだ紅葉も残っているのに先走り過ぎたようです。


2021/2/22
5分咲きといったところでしょうか。アセビがおちょぼ口を開いていました。

アケボノアセビ(Pieris japonica f. rosea)
<ツツジ目・ツツジ科・スノキ亜科・ネジキ連・アセビ属>
 
2011/3/6                2010/2/14
ツツジ科アセビ属の常緑低木で、本種は、アセビの紅花品種である。
紅花の色合いが濃いものはベニバナアセビ、薄いものはアケボノアセビと呼ばれる。
日本では、本州から四国、九州の山地で、やや乾燥した所に自生する。
葉は、楕円形で厚みがあり、新緑で表面にはつやがあり、枝先に束生する。
3〜4月頃、枝先の葉腋から複総状の花序を垂らし、壺型の花を多数下垂する。
萼や花柄は赤褐色で、8mm程の壺状の花弁はピンク色。そして、1本のメシベと10本のオシベがある。
なお、葉や茎には、アセボトキシンという有毒物質を含んでいる。

2010/2/14,2011/3/6
薬師池のほとりで植栽として植えられていたアケボノアセビです。
咲きだすのは意外と早く、2月の初めころから咲き始めます。

 
2018/2/14
薬師池のほとりに植えられているアケボノアセビのツボミです。
2010年の同日には、既に開花していましたので、今年は開花が遅れているようです。

 
 
2018/12/13
春に見たアケボノアセビですが、ツボミはちょっと寂しい感じです。
アセビと比べると、花序の横枝が少ないようで、1本が垂れ下がっているものが多いです。
なお、ツボミに混じって枯れた果実が残っていて、裂開していますが種子が残っているものもありました。

 
2021/2/22
アセビ同様、アケボノアセビも5分咲きといったところです。
開花前に比べて、開花すると少し色褪せするようですね。

サザンカ(Camellia sasanqua)
<ツツジ目・ツバキ科・ツバキ連・ツバキ属>
 
ツバキ科ツバキ属の常緑高木で、日本固有種。
日本では山口県、四国南部から九州中南部、南西諸島等に自然分布する。
海外では、台湾、中国、インドネシアなどに分布する。
樹高は2〜5mほどで、幹は灰褐色で平滑。葉は互生し、長楕円形で長さは5p前後。
葉は固く、両面とも光沢があって、主脈と葉柄には短毛がある。鋸歯は細かく鋭い。
花期は10〜12月で、花の直径は7cm前後で、花柄は極短い。花弁は6個前後で平開する。
オシベは基部は合着しているが、ツバキのように筒状にはならない。
野生種の花色は白であるが、栽培品種には赤、白、ピンクなどさなざまな花色がある。
ツバキは、花が丸ごと落花するが、サザンカは花弁が1枚ずつ落ち、オシベはその後に落ちる。

2011/3/6
旧荻野家住宅奥の階段脇で、1輪だけ咲いていました。
緋色の八重咲き栽培品種のようです。


2018/1/25
薬師池の通路脇で見かけたサザンカが、雪にもあまり痛まずに花を付けていました。
この辺りでは珍しく雪がかなり積もったので、葉の上の雪が溶け残っています。

ツバキ(Camellia japonica cv. kingyobatsubaki)
<ツツジ目・ツバキ科・ツバキ連・ツバキ属>
 
2017/5/30               2018/1/25
ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹で、日本原産種。
多くの園芸品種が、ヤブツバキやユキツバキから作り出され、植えられている。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海外では、朝鮮半島南部と台湾に分布する。
近縁種のユキツバキがあるが、標高の高い内陸部に分布し、ヤブツバキとはすみ分けている。

キンギョバツバキは、ヤブツバキの園芸品種で、その葉先がキンギョの尾ひれに似るのが特徴。
2種の変異があり、葉先が数裂するものと、葉先から尾ひれのような葉が出るものである。
特に後者の葉は、リュウキンが泳いでいるような形で、キンギョバツバキの名に恥じない形をしている。
なお、花期は3月〜4月で、一重の赤い花が多いが、白い花、八重咲き、牡丹咲き等も作出されている。

2017/5/30,2018/1/25
薬師池からハス田に向かう途中に、キンギョバツバキが植えられています。
花というより、葉の変異を楽しむツバキですが、城山カタクリの里でも見かけた品種です。
2種類の変異を探したのですが、葉先が割れたタイプのものしか見つかりませんでした。

コハコベ(Stellaria media)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>
 
ナデシコ科ハコベ属の越年草で、日本では全国的にみられる。
全世界に帰化植物として定着しており、北米やヨーロッパでは極普通の庭草である。
ミドリハコベに似ているが、いくぶん小型で、茎が暗紫色を帯びる所が異なる。
草丈は10〜20cmで、茎は下部から多数分枝して、下部は地を這い、上部は斜上する。
葉は長さ1〜2cmの卵形で対生し、縁は全縁。下部の葉には長い葉柄があるが、上部では無柄になる。
花期は3月〜10月と長く、花は集散花序に付き、花柄がある。
萼片は5個で、鈍頭で楕円形。長さは3〜4oあり、縁は薄膜質。
花弁は萼片より若干短めの白色で、5個あり、2深裂する。そのため、花弁が10枚に見える。
メシベの花柱の数は3個で、オシベの数は1〜7個ある。

2018/2/13
萬葉草花園の階段脇で、コハコベが隠れるようにして花を付けていました。
5花弁ですが、花弁が2深裂していますので10個に見えます。メシベは3裂しています。
ミドリハコベと似ていますが、茎が暗紫色を帯びていますので、コハコベとしました。

ウメ(Prunus mume)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・スモモ亜属>
 

   
バラ科スモモ属(サクラ属)の落葉高木で、中国原産とされる。
日本には古代に持ち込まれたとの説や日本原産との説もあり、明確ではない。
ウメは、花を楽しむ観賞用品種と、実を取るための実梅品種がある。
また、ウメは、「自花不結実性」が強く、2品種以上混生させないと結実しない品種がある。
ウメは、一節に花が一つしか付かないため、複数の花が付くモモよりも華やかさは劣る。
花色は、白からピンク、赤まで種類は多く、一重と八重がある。
※ 果肉には、クエン酸をはじめとする有機酸が多く含まれるため、健康食品として販売される。
しかし、未成熟な果実や核の中の種子には、青酸配糖体が含まれ、条件によっては有毒となる。
といっても、梅酒の未成熟な実や梅干しの種は、アルコールや塩分で毒性は低下している。

2010/2/14
梅園で見られるのは、白加賀等の白梅が主で、淡紅色や紅色のものもありますが、少ないです。
2月の中旬には咲き始めますが、ご覧通り、白花中心で、花数も少ないので、あまり目立ちません。

 
2018/2/14
梅園の中で、唯一花を咲かせていたのが、この八重寒紅(ヤエカンコウ/Prunus mume 'Yaekanko')です。
比較的早咲きの野梅系・野梅性の紅色をした八重咲きの中輪(直径20〜25o)です。
最近植えられたようで、樹高がまだ1m強しかありません。
周りの白梅は、まだ、ツボミが固く、咲くのはもう少し先になるようです。
2010年の同日には、白梅もそこそこ咲いていたので、今年は開花が遅れているようです。

ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)
<フトモモ目・ジンチョウゲ科・ミツマタ属>
   
ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、中国〜ヒマラヤが原産地。
日本では林内で野生化しているものも多い。
樹高は1〜2mで、よく分枝して半球形の樹形を作る。樹皮は灰色で縦の筋がある。
本年枝は必ず三つ又になって出てくるため、これが和名の由来。
葉は互生し、葉身は長さ5〜20cmの長楕円形で、先は尖り、基部はくさび形。
縁は全縁で、両面に白灰色の柔毛があり、特に裏面に多い。葉柄は長さ5〜10mm。
花期は3月〜4月で、葉の展開前に開花する。枝先や葉腋に頭状花序を付ける。
花序には小花が30〜50個ほど下向きに集まって付く。
花は両性花で、花弁はなく、萼は長さ13〜20oで、長さ13〜20oで先が4裂する。
萼裂片の外側には白い絹毛が密生し、内側は鮮黄色。
なお、園芸品種には内側がオレンジ色〜朱色のアカバナミツマタがある。
オシベは8個で、4個ずつ2段になって短い花糸で萼に付く。メシベは1個。
果実は核果で、堅果は長さ8mmほどの楕円体。6月〜7月に熟し、緑色で有毛。

2017/12/20
萬葉草花園の奥の方で見かけたミツマタです。
たくさんの花序が付いており、つぼみは順調に成長しているようです。

ウツギ(Deutzia crenata)
<ミズキ目・アジサイ科・ウツギ属>
 
アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、在来種。ウノハナ(卯の花)とも呼ばれる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では中国に分布する。
日当たりの良い場所を好み、山野の川沿いや林縁に自生する。
樹高は数mになり、よく分枝する。樹皮は灰褐色で、新枝は赤褐色を帯びる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜8pほどの楕円形〜卵状披針形で、縁に微細な鋸歯がある。
新枝や葉柄、葉の両面には星状毛があり、葉柄や葉裏の星状毛は密度が高い。
花期は5月〜7月で、枝先に円錐花序を付け、白花を多数付ける。
花弁は5個で、長さ10oほどの倒披針形で、外側には星状毛がある。
オシベは10個で、花弁より少し短めで、花糸の両側に狭い翼がある。
花柱は3〜4個で、花弁とほぼ同じ長さになる。萼片は5個で、丸みのある三角形。
なお、八重咲のものもあり、サラサウツギ(ヤエウツギ)と呼ばれ、花弁の外側に紅色が入る。

2017/12/20
花菖蒲田脇の通路脇で、面白い形の果実をたくさん付けた木を見つけました。
丸みのある四角形や三角形の果実から、髭のようなものが3本か4本出ています。
以前、ここで何を見たか思い出してみると、そう、ウツギの木がたくさん花を付けていました。
調べると、ウツギの果実は、未熟なものはドンブリのような丸い形で、花柱もまとまって上に突き出ています。
中の種子が成熟すると、花柱の数(3個か4個)に応じて写真のように丸みのある四角形や三角形になります。
そして、中央に集まって突き出ていた花柱が、外に向かって開出し、写真のようになるようです。

 
2018/9/12
まだ、完熟に至っていないウツギの果実です。
上記にも記しましたが、花柱が中央に集まって突き出しています。

   
2018/11/29           2018/11/29           2018/12/13
十分に育って丸々としてきたウツギの果実です。9月の写真と比べるとずいぶんふっくらしていますね。
この後、最初の写真のように色が褐色になり、突き出した花柱が開きます。


2018/12/13
萬葉草花園の入口付近にサラサウツギがあったのを思い出し、見に行ってみました。
こちらもたくさん果実を付けていましたが、ウツギよりも成熟が早いようで、既に茶色くなっていました。
果実の大きさは、ウツギの果実より一回り小さいようです。
その中で、まだ、一部の果実のみが若干緑色を残し、花柱を開いていませんでした(左端の写真)。

ヤマハゼ(Toxicodendron sylvestre)
<ムクロジ目・ウルシ科・ウルシ属>
 
ウルシ科ウルシ属の落葉小高木で、在来種。雌雄異株。
関東地方〜九州の暖地の山地に生え、樹高は8m程になる。
葉は長さ40cmの奇数羽状複葉で互生し、5対前後の小葉がある。
葉腋から円錐花序をだし、黄緑色の小さな花を多数付ける。
雌株には、10mm程の扁球型の果実(核果)が多数、ぶら下がるように付く。

2018/12/13
萬葉草花園でヤマハゼが真っ赤に紅葉していました。自宅近くのものは一部が橙色になった程度です。
同属のウルシ、ヤマウルシなども紅葉しますが、ヤマハゼも含めてかぶれることがあるので注意が必要です。

マツカゼソウ(Boenninghausenia albiflora var. japonica)
<ムクロジ目・ミカン科・マツカゼソウ属>
 
ミカン科マツカゼソウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の宮城県以南から四国、九州に分布している。
海外では、中国、台湾、東南アジアなどにケマツカゼソウが分布する。
日本のものを別種とする説、変種とする説、両者を合わせて広義に扱う説がある。
草丈は50〜80cmで、茎は直立して細く、上部で分枝する。
葉は3回3出羽状複葉で、小葉は2p前後の倒卵形。葉質は薄く、裏面は白っぽい。
茎や葉には、組織の隙間に木発形の油が溜まった油点と呼ばれる腺点がある。
花期は8月〜10月で、茎先に集散花序を出し、多数の白い小花を付ける。
花弁は4個で、長さ4o程の長楕円形。萼は4裂し、長さは1mmほど。
オシベは7個か8個で、メシベは1個であるが、特異な形をしている。
長い柄の先に4裂した子房があり、そこから4本の花柱が出て合着し、1個の柱頭がある。
子房の基部に密が溜まる花盤があり、その縁には小さな鋸歯がある。
果実は分離果で、長さ3oほどの卵形の分果に分かれる。
通常は、分果は4個であるが、2個とか3個になることも多い。

2017/12/20
萬葉草花園で可愛らしい花を付けていたマツカゼソウもすっかり枯れて、種子が顔を出していました。
果実は熟すと縦に2裂するようで、中の黒い種子が見えています。

マンサク(Hamamelis japonica)
<ユキノシタ目・マンサク科・マンサク亜科・マンサク属>
 
マンサク科マンサク属の落葉小高木で、日本の固有種。
日本の本州太平洋岸から四国、九州に分布する。
その他の北海道、東北、四国などには、亜種や変種が分布している。
葉は互生し、長さ5〜11cmの菱形状卵形で、両面に星状毛が散生、波状の鋸歯がある。
花期は2月〜3月で、葉の展開前に開花する。花は束状に付き、両性の黄色い花である。
花弁は長さ15mm前後の縮れたリボン状で、オシベ、仮オシベは各々4個ずつある。
メシベは2本の花柱を持つ。萼片は、暗紫色の卵形で、4個ある。
果実は直径10mm前後の刮ハで、褐色の短毛が密生し、黒光りする長楕円形の種子が2個入る。
なお、シナマンサク(Hamamelis mollis)との雑種には、多くの園芸品種が作出されている。
シナマンサクは、芳香が強く、枯葉が花の咲く春先まで残る特徴がある。

2018/2/14
萬葉草花園の外れで、マンサクが満開になっていました。
細いリボン状の4個の黄色い花弁が特徴のマンサクですが、まだ、枯葉が残っています。
名板にはマンサクと記されていましたが、シナマンサクかその雑種なのかもしれません。

なお、仲間に赤い花の「アカバナマンサク」や 庭木として時々見かける「ベニバナトキワマンサク」があります。

 
2021/2/22<シナマンサク>
 
2021/2/22<マンサク>
今年もマンサクがたくさん花を付けていました。
それらのなかに枯葉が残る濃黄色の花を付けたものと、葉が落ちて花が淡黄色のものがありました。
枯葉が残るのがシナマンサクで、落葉するのがマンサクのようです。

イワヒバ(Selaginella tamariscina)
<イワヒバ目・イワヒバ科・イワヒバ属・イワヒバ亜属>
 
イワヒバ科イワヒバ属に属するシダ植物で、在来種。
和名は、枝葉がヒノキ(桧)に似て、岩の上に自生することに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシア、インド、タイ、フィリピンに分布する。
草丈は10〜20cmで、根や担根体が絡み合った仮根を直立し、仮幹から多数の枝を輪生する。
仮幹から出た葉状の枝は、羽状に数回分枝しながら広がり、基部から根のような担根体を出す。
枝には、鱗片状の葉が密生し、葉には背葉と腹葉の2形態がある。
枝は数回分枝して成長を止め、先端に四角柱状の胞子嚢穂を付ける。
胞子嚢穂の多数の胞子葉には胞子嚢が1個ず付くが、2種類あり、胞子が異なる異形胞子である。
大胞子嚢は4個の大胞子を持ち、小胞子嚢は多数の小胞子を持つ。
大胞子から雌性の前葉体、小胞子から雄性の前葉体が生じ、前葉体は内生型で胞子の中で成熟する。
なお、乾燥すると枝は内側に巻き込むように丸まり、十分に水が補給されると、数時間〜数日で広がる。

2021/2/22
梅の花と旧永井家住宅の写真を撮っていて、茅葺き屋根の上がモコモコしているのに気が付きました。
なんだろうとズームアップしてみると、乾燥して丸まったイワヒバ科のシダのようでした。
後で写真を拡大して確認するとカタヒバのように尖った形ではなく、丸みのある形をしています。
緑色の葉が見られる所もあり、その形状からイワヒバと判断しました。

カタヒバ(Selaginella involvens)
<イワヒバ目・イワヒバ科・イワヒバ属・イワヒバ亜属>

2017/12/20

   2017/12/20              2017/12/20         2018/2/14
イワヒバ科イワヒバ属の常緑性シダ植物で、在来種。
日本では、本州の宮城県以南から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島南部、中国、台湾、熱帯アジアに分布する。
草丈は20〜40cmで、担根体(rhizophores)は匍匐する根茎や匐枝にだけある。
地上茎は3〜4回羽状に分裂し、葉柄状になって葉が密に付く。
葉には二形があり、開出してつく腹葉と茎の背面を覆う前向きの背葉で、各々が2列に並ぶ。
腹葉は上部にだけ微鋸歯があり、背葉は全体に微鋸歯があって、先は芒状にならない。
乾燥すると、全体が握り込むように背面に向かって丸まる。
胞子嚢は小枝の先端に集まり、細い四角柱状の胞子嚢穂を形成する。
異形胞子性で、1胞子嚢穂の中に大胞子嚢と小胞子嚢の2種類を持つ。
大胞子嚢には4個の大胞子ができ、小胞子嚢には多数の小胞子ができる。

2017/12/20
萬葉草花園にはあちらこちらでカタヒバが見られます。大きな株もあれば、小さなものもあります。
寒くなってきたためか、夏には青々としていたカタヒバも、紅葉して褐色の部分が増えてきました。
2018/2/14
こちらは乾燥して休眠状態に入ったカタヒバです。背の方に巻き込んで丸くなります。
もちろん、休眠しているだけで、枯れたわけではないので、条件が整えば復活します。

ノキシノブ(Lepisorus thunbergianus)
<ウラボシ目・ウラボシ科・アヤメシダ亜科・ノキシノブ属>
 
      2016/10/7              2018/1/25
 
2016/10/7              2018/1/25
ウラボシ科ノキシノブ属のシダの一種で、在来種。
日本では北海道最南部から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、フィリピンなどに分布する。
茎は短くて横に這い、多数の細かい根を出して樹皮などに着生する。
茎の表面には一面に鱗片があり、葉は茎から出て、長さ5〜15p程の披針形の単葉。
先端は細くなって尖り、基部は徐々に細くなって、短い葉柄がある。
葉は少し肉厚で、黄緑色。乾燥すると葉は左右から裏に巻き込み、丸まる。
胞子嚢は円形のソーラスとなって、葉先側1/2の葉裏の主脈両側に1列になって並ぶ。

2018/1/25
同じ木に着生していたノキシノブで、左は乾燥時の様子で、右は平常時の様子です。
乾燥してくると丸まって縮れ、色も淡くなりますが、充分な水分が得られると右のように復活します。

 
2018/2/13
萬葉草花園を散歩しているときに見つけたノキシノブです。
樹の洞にしっかりと着生していて、そこから長い葉をぶら下げていました。
乾燥しにくい良い場所を見つけたものです。逆光で、丸いソーラスが浮き上がって見えています。

マメヅタ(Lemmaphyllum microphyllum Presl)
<ウラボシ目・ウラボシ科・マメヅタ属>
 
ウラボシ科・マメヅタ属の常緑シダ植物で、在来種。
日本では、本州の関東以西から、四国、九州、沖縄まで分布する。
海外では、朝鮮半島南部から中国、台湾、ベトナムに分布する。
茎は細く匍匐性で、岩や樹木上を這い回り、まばらに葉を付ける。
葉は栄養葉と胞子葉の二型があり、栄養葉の葉身は長さ1〜2cmで、多肉質の円形。
胞子葉は長さ2〜5cmの長楕円形で、基部がしだいに細くなって、長さ5mm前後の葉柄に続く。
栄養葉より高く立ち上り、葉表側に反り返る。胞子嚢は中肋(ちゅうろく)の両側に2列に付く。
熟すと裏面全体に広がり、溢れるほどになる。包膜は無い。

2018/2/14
萬葉草花園で樹の幹に張り付くようにして伸びる丸い葉っぱに気が付きました。
どこかの山で見たような気がしますが、ちょっと思い出せません。
取り合えず写真を撮って、後で調べるとマメヅタと分かりました。
珍しいものではないようなので、やはり、どこかの山に登った際に見かけたものと思われます。
直径が1cm程の丸い葉が、木の幹にランダムに付いている様は、ちょっとおもしろい景色です。

   
2018/12/13
今年、冬を越したマメヅタに気づいたのですが、そのマメヅタが胞子葉を出していました。
2月の写真と比較すると、葉の色が異なるので、受ける印象がまったく異なります。
越冬後の葉の色はモスグリーンで、地味な色合いでしたが、この時期はきれいな緑色をしています。
その栄養葉の間から細長い胞子葉を出し、熟した茶色い胞子嚢が全面に広がっていました。

フユノハナワラビ(Botrychium ternatum)
<ハナヤスリ目・ハナヤスリ科・ハナワラビ属・オオハナワラビ亜属>

2017/9/5          2017/12/20          2018/2/14
ハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い山地や草地などに自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、インド、ネパールに分布する。
草丈は15〜50cm程で、根茎は短く、直立する。
秋に栄養葉と胞子葉を展開し、そのまま越冬して、初夏に地上部が枯れる。
ただし、胞子葉はその役目を終えると晩秋には枯れ、越冬するのは栄養葉のみである。
栄養葉は、葉柄が長さ5〜12cmあり、葉身は長さ5〜10cm、幅8〜12cmほどあり、無毛。
3〜4回羽状に深裂し、羽片は広楕円形で縁に鈍鋸歯があり、先は鈍い。なお、基部の羽片は有柄。
胞子葉は、栄養葉の葉柄の基部から分枝してほぼ直立し、茎の長さは12〜25cm、穂は4〜10cmある。
穂は2〜3回羽状に分岐し、円錐状に丸い胞子嚢を多数付ける。

似たものにオオハナワラビやアカハナワラビがあるが、下記により区別可能。
オオハナワラビ 葉の先が鋭頭・茎や葉柄に毛がある
アカハナワラビ 葉の先が鋭頭・茎に毛がない
フユノハナワラビ 葉の先が鈍頭

2017/9/5 フユノハナワラビが葉を展開し始めた頃で、葉もきれいな緑色です。
2017/12/20 秋に来れなかったのですが、まだ、役目を終えた胞子葉は立っていました。
2018/2/14 胞子葉はすっかり枯れて地に横たわり、栄養葉も茶褐色になっていました。



2017/12/20              2018/2/14

2017/12/20 胞子葉に付いていた丸い胞子嚢は、破れて胞子を放出した後、茶色くなっていました。
緑色だった葉は、少し褐色味が強くなっています。
2018/2/14 立っていた胞子葉は、枯れて地に横たわっていました。破れた胞子嚢もまだ付いています。
朝方が冷え込んだため、葉には霜がびっしりと付いていました。ただ、葉の色はあまり変わっていません。

   
2018/10/17           2018/11/29            2018/12/13
胞子嚢が成熟し、裂開して胞子を放出し、放出し終わるまでの変化です。
胞子葉が立ち上がった直後には、胞子嚢は淡いベージュ色で、暗褐色の線が中央に走っています。
胞子嚢の成熟が進むと、茶褐色に変わって、腺の部分から裂開して、胞子の放出が始まります。
胞子嚢の半球状の部分が反り返るように開いて、放出を促進し、放出が終わると貝が開いたようになります。


2017/12/20          2018/2/14          2018/2/14
栄養葉の色は、時期や生育場所の条件などで、いろいろ変わるようです。
紫がかったもの、枯れたような茶褐色のもの、緑色で若々しいものもあります。

コバノスナゴケ(Racomitrium barbuloides Card.)
<ギボウシゴケ目・ギボウシゴケ科・シモフリゴケ属>
 
ギボウシゴケ科シモフリゴケ属のコケで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
低地から亜高山帯の日当たりのよい岩上あるいは土上に生育する。
茎の長さは3〜8cmで直立し、短い枝を羽状に出す。生育密度は普通。
葉は、長さ2.5〜3oほどの卵状披針形で、基部には縦皺を持った葉もある。
葉は反り返るように付くが、乾燥すると葉が茎に密着する。
葉頂は変異があり、透明な芒状のもの、鈍頭気味のもの、微歯をもったものなどがある。

2021/2/22
萬葉草花園の一角で、びっしりと胞子嚢が立ち上がっている所がありました。
胞子嚢が多すぎて、下の茎や葉がよく見えないくらいです。
少し乾燥気味でしたので、葉は閉じ気味で細長い棒状になって地面を這っていました。
ハイゴケかスナゴケではないかと調べた結果、樹枝状の分枝が見られないのでハイゴケではなさそう。
エゾスナゴケかコバノスナゴケのどちらかではないかと思われます。
分枝した枝がそれほど大きくないことからコバノスナゴケとしました。が、あまり自信はありません。









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