ホーム旅の見聞録薬師池公園>薬師池公園で見かけた野草(春U)


薬師池公園で見かけた野草(春U)



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、いろいろな野草などを集めた萬葉草花苑があります。
そこで見かけた野草や植栽された主な花々です。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草などを追加しました。
ヒメウズ、ムラサキケマン、シロバナイカリソウ

また、下記の野草の写真を追加しました。
イチリンソウ、イカリソウ、ヤマブキソウ、サクラソウ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キジカクシ目
アヤメ科(イチハツ、シャガ、ヒメシャガ)
キジカクシ科(アマドコロ、マイヅルソウ、オオアマナ、ツリガネズイセン)
ヒガンバナ科(ハブランサス・ロブスタス)
ラン科(キンラン、ギンラン、ジエビネ)
キンポウゲ目
アケビ科(アケビ)
キンポウゲ科(ヒメウズ、イチリンソウ、ウマノアシガタ、ケキツネノボタン、
       ニリンソウ、ヤエイチリンソウ)
ケシ科(クサノオウ、ヤマブキソウ、ムラサキケマン)
メギ科(イカリソウ、シロバナイカリソウ)
コショウ目
ウマノスズクサ科(カンアオイ、タマノカンアオイ)
サクラソウ目
サクラソウ科(サクラソウ)
ミズキ目
アジサイ科(ウツギ)
モクレン目
モクレン科(オオバオオヤマレンゲ)
薬師池公園で見かけた野草(春U)
和名インデックス


イチハツ(Iris tectorum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>
   
  2017/4/28            2017/4/28          2017/5/30
アヤメ科アヤメ属の多年草で、中国原産。シャガ同様かなり古い時代に日本に入ってきた帰化植物。
アヤメの仲間では咲きだすのが最も早く、それが名前「一初」になっている。
葉は、幅3cmほど、長さ30〜60cmの剣型で、縁は全縁。アヤメより太短い。
花期は5月で、高さ50cm程の花茎を立ち上げ、分枝して数個の花を付ける。
花は直径10pほどの青紫色で、倒卵形の外花被片、少し小さいへら型の内花被片は各々3個で、平開する。
外花被片には、濃紫色の班が散在し、基部から中央に向かって白い突起がある。
オシベは3個で、メシベの花柱は3裂する。

2017/4/28 萬葉草花苑の奥まったところにイチハツが植えられ、1本だけ花を付けていました。
実家にも植えられていたので、外花被片の鶏冠状の突起には懐かしさを覚えました。
2017/5/30 約1ヶ月が経過して、見に行くとイチハツが結実していました。
花からは想像できない大きさです。熟すと下部が割れ、種子が散布されます。

シャガ(Iris japonica)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>
 


アヤメ科アヤメ属の多年草で、中国原産であるが、かなり古い時代に日本に入ってきた帰化植物。
アヤメの仲間では咲きだすのが早い方で、アヤメやハナショウブより早く咲きだす。
日本では本州から四国、九州に分布するが、結実しないので、人為的に植栽されたものと思われる。
根茎は短く横に這い、群落を形成する。葉は光沢のある緑色で、長さ40〜60cmほどの剣型の単面葉。
花期は4月〜5月で、長さ30〜60cm程の花茎を立ち上げ、先で分枝して淡紫色の花を付ける。
花は直径5cm程で、倒卵形の外花被片、少し小さいへら型の内花被片は各々3個で、平開する。
外花被片には中央に橙色の斑と鶏冠状の突起、それを囲むような青色の斑があり、縁は細かく切れ込む。
内花被片の先は、浅く2裂する。オシベは3個、メシベの花柱の陰に隠れている。
メシベの花柱の裂片は先が2裂し、さらに細かく裂けて、中央に立ち上がっているので花弁のように見える。
花は1日花で、開花翌日にはしぼんでしまう。日本のシャガは三倍体のため結実することはない。

2005/4/29
木陰で湿潤な場所に群生していることの多いシャガ。
薬師池公園では、裏門の方から水車小屋に下る通路脇、水車用の水路近くで見られます。
水車小屋の下には花菖蒲田が広がっており、ハナショウブが咲きだすまで楽しませてくれます。

ヒメシャガ(Iris gracilipes A. Gray)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>
   
アヤメ科アヤメ属の多年草で、日本固有種。準絶滅危惧に指定されている。
北海道西南部から本州、四国、九州北部に分布し、山地の樹林下でやや乾いた場所に自生する。
和名は、花などがシャガに似ていて、小型であることに由来する。
根茎には多数のひげ根があり、根茎が短く横に這って、群落を形成する。
葉は淡緑色の剣型で、長さ20〜40cm程、常緑のシャガと異なり、冬には枯れる。
花期は5月〜6月で、長さ30cm程の花茎を立ち上げ、先に数輪の淡紫色の花を付ける。
花は直径4cmほどで、倒卵形の外花被片、少し小さいへら型の内花被片は各々3個で、平開する。
外花被片の中央は白色で、紫色の脈と橙色の斑、それに鶏冠状の突起があり、縁は全縁。
内花被片の先は、浅く2裂する。オシベは3個、メシベの花柱の陰に隠れている。
メシベの花柱の裂片は先が2裂し、さらに細かく裂けて、中央に立ち上がっているので花弁のように見える。

2017/4/28
萬葉草花苑の水の枯れた池の脇で、見かけました。
見たとき、一瞬アヤメかと思ったのですが、外花被片の模様などが異なるので本種と分かりました。
シャガとアヤメはよく見かけるのですが、ヒメシャガを見たのはたぶん初めてだと思います。


いろいろなアヤメ科アヤメ属の花




イチハツ
花期は3月〜5月
本州の関東以西、四国、
九州、南西諸島に分布
シャガ
花期は4月〜5月
本州から四国、九州に分布

ヒメシャガ
花期は5月〜6月
北海道西南部から本州、
四国、九州北部に分布



アヤメ
花期は5月〜6月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布
カンザキアヤメ
花期は11月〜3月
地中海沿岸地域が原産地
葉が枯れることがない
ノハナショウブ
花期は6月〜7月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布



ハナショウブ
花期は5月〜6月
ノハナショウブの園芸品種
で、多くの品種がある
キショウブ
花期は5月〜6月
ヨーロッパが原産地の帰化植物
「要注意外来生物」
ジャーマンアイリス
花期は5月〜6月
アヤメ属の交雑園芸品種で、野生
の物はない。別名はドイツアヤメ


ニオイイリス
花期は4月〜5月
ジャーマンアイリスの変種
天然香料の原料であった
ダッチアイリス
花期は4月〜5月
スパニッシュ・アイリスの
園芸品種で別名はオランダアヤメ

アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)、ハナショウブ(花菖蒲)は見分けにくいので有名です。
この中で、アヤメのみ乾燥した水はけのよい所を好みます。
カキツバタは湿地に、ハナショウブは水辺などの湿った所を好みます。
また、外花被片に網目模様があるのがアヤメで、他のものには模様はなく、
基部が黄色いのがハナショウブ、白いのがカキツバタです。
なお、菖蒲は「ショウブ」とも読みますが、ショウブはサトイモ科の植物です。
葉の形はよく似ていますが、花はガマの穂のような形で、アヤメとは全く異なります。


アマドコロ(Polygonatum odoratum)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・アマドコロ連・アマドコロ属>
   
  2016/7/20          2016/7/25         2016/10/7
キジカクシ科アマドコロ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、モンゴル、ヨーロッパに分布する。
草丈は30〜60cmほどで、茎には6本の稜があり、少し角張る。上部は弓状に曲がる。
葉は長さ10cmほどになり、長楕円形。葉裏は灰緑色。葉に斑入りのものもある。
花期は4〜5月で、葉腋に1個か2個、垂れ下る。
花被は細長い釣鐘型で、先は6裂する。花被は白色であるが、裂片は淡緑色になる。
花糸は、花被の筒部に合着し、葯の長さは4o程度。液果は直径10o弱で、黒く熟す。

2016/7/20 萬葉草花苑にアマドコロが植えられていました。         .
      既に花期は過ぎて、葉腋に未成熟な果実が付いていました。
2016/7/25 果実のアップ写真がほしくて、撮り直してきました。       .
2016/10/7 秋に様子を見に行くと、アマドコロの果実は黒く熟していました。

   
2017/4/28
昨年、花の写真を撮り損ねたので、アマドコロの花の写真を撮りに行ってきました。
まだ、少し早かったようで、ツボミばかりでしたが、開花は近いようでした。

   
2017/4/27         2017/5/30          2017/5/30  .
2017/4/27 その後、撮影機会がなかったので、えびね苑で撮影した開花写真を参考までに記載します。
日当たりの関係か、えびね苑の方が開花は進んでいました。
2017/5/30 約1か月後に行った際、見に行くと花殻の付いた果実になっていました。

マイヅルソウ(Maianthemum dilatatum)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・アマドコロ連・マイヅルソウ属>
   
スズラン亜科マイヅルソウ属に属する多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州の山地帯上部から亜高山帯の針葉樹林に多く群生する。
海外では、ユーラシア北東部、北アメリカ北西部に分布している。
草丈は10〜20cmで、落葉層の発達した環境では、根茎を横に伸ばして群生する。
茎の途中に数枚(2枚の事が多い)の心形の葉を互生して付け、その先に総状花序を付ける。
葉身の長さは5〜10cmほどで、全縁で両面とも毛がなく、先が鋭く尖る。
花期は5月〜7月で、小さな白花を10輪程度付ける。
花被片は4個、オシベも4個で、花被片は反り返り、オシベが突き出す。
花後にできる果実は、球形の液果で、熟すと赤と白のまだら模様から真っ赤になる。
和名の由来に関しては、葉の模様が舞鶴紋に似るからとか、
2枚の葉と花序が翼を広げて舞うツルに似ているからとか、諸説あるようです。

※ よく似たヒメマイヅルソウは、葉裏や茎に毛が多く、葉の縁に微細な鋸歯がある点が異なる。

2017/4/28
萬葉草花苑で、樹の下に白い小さな花を付けている本種に気づきました。
名前がわからなかったので、後で調べると、本種とヒメマイヅルソウが候補となりました。
葉裏の写真は撮らなかったのですが、花茎に毛がなく、鋸歯も確認できなかったので本種としました。


2017/5/30
後日、果実が出来ているか見に行ったのですが、残念。1つも結実していませんでした。

 
2018/4/13
今年もマイヅルソウが可愛らしい花を咲かせ始めていました。
昨年撮った写真では、花の形が良く分からなかったので、改めて撮り直したものです。
正面からの画像なので、4個の花弁と4個のオシベの位置関係が良く分かります。

オオアマナ(Ornithogalum umbellatum)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・オオアマナ属>
   
キジカクシ科オオアマナ属の多年草で、ヨーロッパからアジア南西部が原産の帰化植物。
日本には明治末期に移入され、観賞用に栽培されていたものが逸出し、一部で野生化している。
草丈は20p前後で、白い鱗茎を持ち、分球により盛んに繁殖する。
根際から生える葉は線形で、湾曲しながら伸びる。
花期は4月〜5月で、花茎を伸ばして集散花序を出し、直径3cm程の白花を多数付ける。
花被片は6個、オシベも6個ある。中央のメシベの花柱は5mmほどで、子房と同程度。
花は日照と連動して開花し、日が射すと開花し、陰ると閉じる。
花後に葉は枯れるが、11月頃になると葉を展開して、そのまま越冬する。
和名は、アマナに似て大きいことに由来するが、アマナと異なり有毒植物。
別名は「ベツレヘムの星」であるが、ハナニラも同じ名前で呼ばれる。

2017/4/28
花菖蒲田脇の法面下にある残土置き場のような所で、オオアマナが花を付けていました。
どこかから運ばれた土に、オオアマナの鱗茎が混じっていたのでしょう。
カタバミと同じで除去が難しく、植える場合には場所などを考えないと、後が大変になります。

ツリガネズイセン(Scilla hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>
 
キジカクシ科ツルボ属の多年草で球根植物。原産地は南ヨーロッパ。
草丈は40p前後で、葉は地際から叢生し、長さ20〜60pの細い帯状。
花期は4月〜5月で、花茎を真っ直ぐに伸ばして総状花序を出し、釣鐘型の花を数十個付ける。
花色は、淡青色、淡紅色、淡紫色、白色などがあり、花冠は先端が6裂して外反する。
和名は、花が釣鐘型で、葉がスイセンに似ていることに由来する。

2017/4/28
花菖蒲田脇の斜面に1本、花を付けていました。
近々行われる「しょうぶあじさいまつり」に向けて、除草作業をした際、保護されたようです。
草に紛れていたためか、花茎がひょろ長くなり、花色も淡い色合いです。
日当たりのよい場所で育った個体と比較すると、色の淡さが良く分かると思います。

ハブランサス・ロブスタス(Habranthus Robustus)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・アマリリス連・タマスダレ亜連・ハブランサス属>
 
ハブランサスは、ヒガンバナ科ハブランサス属の総称で、中南米が原産の球根植物。
雨後に花茎を伸ばして花を付けるのでレインリリーの別名がある。
耐寒性があり、常緑性の植物ですが、寒いと葉が枯れて休眠する。
草丈は15〜25cmほどで、細長い線形の葉を地際から出すが、数は多くない。
花期は6月〜9月で、1茎1花の1日花。漏斗型の花を斜め上向きに付ける。
外花被片と内花被片が3個ずつあり、オシベは6個で花糸は白い。葯は黄色。
メシベはオシベより長く伸び、花柱も柱頭も白い。柱頭は3裂する。

同じタマスダレ亜連のゼフィランサスと非常に似ており、混同されることもある。
違いは、真上に咲くゼフィランサスに対して、本種は斜め上に咲く点ですが、微妙な違いです。

2017/5/31
萬葉草花園の階段脇で、1輪だけ咲いていました。
時折見かけるゼフィランサスだと思って写真を撮ったのですが、後で調べて本種としました。
その根拠は、花が斜め上を向いて咲いていたことです。微妙な違いではありますが。
花の色から見て、ハブランサス・ロブスタスと思われます。

余談ですが、萬葉草花苑には似合わない花です。しかし、艶やかな色なので目立ちます。
おそらく、運び込まれた土などに紛れて持ち込まれたのではないでしょうか。

キンラン(Cephalanthera falcata)
<キジカクシ目・ラン科・エピデンドルム亜科・キンラン属>
   
ラン科キンラン属の地生の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、明るい林内に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は30〜70pほどになり、茎は直立して、葉は6〜8個が互生する。
葉は、長さ10p前後の先の尖った長楕円形で、基部は茎を抱く。
葉の葉脈ははっきりしていて、縦方向のひだがある。
花期は4月〜6月で、茎先に総状花序を出し、数輪〜10輪ほどの黄色い花を付ける。
花は全開することはなく、半開きのまま、順次上に咲き上る。
2個の側萼片と背萼片は、2個の側花弁よりいく分大きく、唇弁が見える程度にしか開かない。
唇弁には短い距があり、3裂する。中央の裂片には赤褐色の隆起がある。
キンランは菌根への依存性が高く、それも他のランのような腐生菌ではない。
樹木の根に外菌根を形成する外菌根菌で、根と外菌根に割り込んで成長する。
理論上、これら3者の共生系を作れれば栽培可能であるが、実際問題、簡単ではない。

2017/4/28
薬師池公園の裏門を入って直ぐの所にキンランやギンランがひっそりと咲いていました。
といっても、ギンランの白い花に比べて、キンランの黄色い花はかなり目立ちます。
さらに少し下ったところに、非常に立派なキンランが咲いていました。
花茎が1本程度のものが多い中、10本ほどの花茎を伸ばし、草丈も50cm以上になっていました。

   
2017/5/30
約1か月後のキンランの様子です。
立ち気味だった葉が、ほぼ水平に開き、結実した果実が角のように立っています。
咲いていた花の数からすると、結実する確率はそれほど多くないようで、1割以下のようです。

   
2017/9/1
上記から3ヶ月ほど経ちましたが、見た目はほとんど変わりません。
葉に土埃などが付いて、多少白っぽくなっていますが、全体的に黒味を増しています。

   
2018/4/13        2018/4/13        2018/4/19
薬師池公園で最も大きなキンランの株が、今年も立派に花を付け始めていました。
翌週、そろそろ咲いた頃だと見に行くと、株が消えていました。
どうやら盗掘にあってしまったようで、右端のような花を見ることはできませんでした。
キンランが特殊な条件でないと育たないことを知らない人の仕業だと思われます。
知っていれば、植えても翌年には消えてしまうであろう株を盗掘するなどという蛮行はしないでしょうから。

ギンラン(Cephalanthera erecta)
<キジカクシ目・ラン科・エピデンドルム亜科・キンラン属>
   
ラン科キンラン属の地生の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、明るい林内に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
草丈は30pほどになり、茎は直立して無毛。葉は3〜6個が互生する。
葉は、先の尖った長楕円形で、基部は茎を抱く。葉にも毛はない。
花期は5月〜6月で、茎先に数個、純白の花を付ける。
下の萼片2個は左右に開くが、上の萼片と側花弁は開かず、唇弁に覆いかぶさる。
唇弁には短い距があり、中は見えずらいが、5本の黄褐色の隆起線がある。

2017/4/28
薬師池公園の裏門を入って直ぐの所にキンランやギンランがひっそりと咲いていました。
といっても、キンランの黄色い花と比べるとギンランの白い花は目立ちません。
草丈も20cm以下と小柄なので、よく注意していないと見落としそうです。
数もキンランより少なく。確認できたのは数株だけでした。

ジエビネ(Calanthe discolor Lindl.)
<キジカクシ目・ラン科・セッコク亜科・エビネ属>
   
2018/4/13        2018/4/19        2018/4/19
エビネは、ラン科エビネ属の多年草で、多くは地生であるが、まれに着生する。
茎が短く、基部が肥大して根茎となり、短い匍匐系で連なる。
この根茎の形が海老に似ているのが和名の由来となっている。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島にかけて約20種が分布する。
海外では、インド、中国からミクロネシア、オーストラリア北部、東アフリカの広範囲に分布する。
分布の中心は東南アジアで、約200種が分布する。ただ、メキシコからコロンビアに別に1種が分布する。
日本に分布する約20種のエビネは、全て常緑性で、花序は総状で直立する。
花色は非常に多彩で、美しい花も多いことから、観賞用に栽培されることが多い。

ジエビネは、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、広範囲に自生していた原種で、極普通の品種。
分布域が広いため、自生地の環境などの違いで変異が大きい品種でもある。
多くは、萼片3個と側花弁2個は褐色から紫褐色で、唇弁が淡紅白色である。
ただ、変異が多く、萼片と側花弁が緑や赤、淡黄色で、唇弁が淡赤紫色、淡黄色のものもある。

2018/4/13、19
萬葉草花園の一角に、ジエビネが寄せ集められていました。
4/13に見かけたときには、まだ、大半がツボミだったのですが、4/19に見たときは満開でした。
今年は暖かい日が多かったので、一気に咲いたようです。きっと、えびね苑もにぎやかな事でしょう。

アケビ(Akebia quinata)
<キンポウゲ目・アケビ科・アケビ属>

アケビ科の蔓性落葉低木で、茎は蔓になって他物に巻き付き、古くなると木質化する。
葉は、楕円形の小葉が掌状に付く複葉で、小葉は先端がくぼみ、基部はくさび形、縁は全縁。
花は雌雄同株ではあるが、雌雄異花で、花序の先端に数個の雄花、基部側に雌花が数個付く。
花は淡紫色で花弁がなく、花弁のような萼片が3個あり、雌花は雄花より一回り大きい。
雄花では、オシベの先端がくっついて丸くなっているが、雌花では、太いメシベが放射状に開いている。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生している。

2017/5/3
薬師池近くの石垣で、わずかな隙間からツルを出しているアケビを見かけました。
おそらく、この場所では除草対象になると思われますので、大きく育つことはないでしょう。


アケビとミツバアケビの花

       .
<雄花>           <アケビの花>           <雌花>
 
<ミツバアケビの花>
多摩川の河川敷近くで見かけたアケビの花です。淡紅紫色の萼片が印象的です。
千葉県の市原市で、ミツバアケビがウワミズザクラの樹に絡みつき、濃紫色の花を咲かせていました。
遠目での撮影でしたが、大きめの雌花とその先に付く小さな雄花が確認できます。


ヒメウズ(Semiaquilegia adoxoides)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・カラマツソウ亜科・ヒメウズ属>
 
 
キンポウゲ科ヒメウズ属の多年草で、在来種。
ヒメウズ属は1属1種で、学者によってはオダマキ属に分類される。
日本では、本州の関東以西、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
地下に長楕円形の塊茎を作り、その先から根出葉と花茎を出す。
茎は30cm前後までになり、細くて軟毛があり、上部で分枝する。
根出葉は長い葉柄があり、1回3出複葉で、小葉は2から3裂する。
茎葉は少なく、上部になるほど葉柄は短くなる。枝先に下向きに直径5o程の花を付ける。
花弁に見えるのは萼片で、長さ5o程の長楕円形で、淡紅紫色。
その内側に淡黄色の花弁があり、下部は筒状で、極短い距がある。
オシベは10本前後、メシベは2〜4本あり、袋果は上向きに付く。
花の特徴はオダマキ属とほぼ同じであり、そのため、オダマキ属に分類されていた。
しかし、距は無いに等しいくらい短いことから、ヒメウズ属に分離されたが、学者によって扱いは異なる。

2022/4/12
花菖蒲田の脇にある斜面で、ヒメウズが花を付けているのに気がつきました。
距のないオダマキのような花ですが、とにかく白くて小さい花なので目立ちません。
よほど注意して見ていないと見過ごしてしまいそうな花です。

イチリンソウ(Anemone nikoensis Maxim.)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・イチリンソウ属>
 
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、在来種。落葉広葉樹林の林床や林縁に生育する。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
草丈は20〜25pほどになり、匍匐枝を出して横に広がる。
根生葉は地下茎の先に付き、1〜2回3出複葉で、小葉は羽状に深裂する。
茎葉は3個が輪生し、3出複葉で葉柄がある。
花期は4月〜5月で、花茎は数十cmの高さになり、直径40oほどの花を1輪付ける。
花弁はなく、5〜6個の白い花弁に見えるのは萼片。萼片の裏面は紫色を帯びることがある。

2017/4/28
花菖蒲田の脇にある通路脇でイチリンソウが花を付けていました。
少しピークを過ぎているようで、萼片が散ってしまったものがあちらこちらにありました。

   
2018/4/13

2018/4/19
昨年はピークを過ぎていたのですが、今年はちょうど満開になったところでした。
4/13の時には、開花して間もないものも多く、写真のように初々しい花が多くありました。
4/19でも、まだ、散った花はありませんでしたが、幾分くたびれ気味でした。

 
2022/4/12
今年もちょうど満開になったところで、何ヶ所かで群生が見られました。
左の写真で、基部に見られる淡青色の花は、ヤマルリソウです。

ヤエイチリンソウ(Anemone nikoensis Maxim. f. plena Sugim.)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・イチリンソウ属>
   
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、在来種。
イチリンソウの萼の数が多い品種。

2017/4/28
イチリンソウの花からそう離れていないところで、萼片の多いイチリンソウを見かけました。
後で調べると、ヤエイチリンソウという品種と分かりました。
イチリンソウの萼片が5枚程度なのに対して7〜8枚ありました。

調べているとき、ヨーロッパ原産の八重咲ヤブイチゲがヤエイチリンソウとして紹介されていました。
どうやらヤエイチリンソウの名前で売られているのが原因のようで、混乱があるようです。

ニリンソウ(Anemone flaccida)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・イチリンソウ属>
 
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、在来種。春山を代表する花のひとつ。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国北部、東北部、樺太、ウスリー地方に分布する。
根生葉は3深裂し、長い葉柄がある。茎に3枚が輪生する葉には、葉柄はない。
1本の茎から花茎が2本伸びて花が付くのが、和名の由来ではあるが、稀に1輪、3輪のものもある。
白い花弁のように見えるのは萼片で、5〜7枚ある。
花の中央に多数のオシベと、10本くらいのメシベがある。

2017/4/28
イチリンソウが咲いていた通路脇から少し奥まったところで咲いていました。
ちょっとした群落になっていて、多くの花を付けていました。
距離があってアップで撮影できなかったのですが、葉の特徴からニリンソウと分かりました。

 


2018/4/13
今年は手の届くところで咲いているニリンソウがありましたので、アップで撮影できました。
ただ、ピークを過ぎていて花数が少なかったので、ちょっと寂しい群落でした。

いろいろなキンポウゲ科イチリンソウ属の花




イチリンソウ
ニリンソウとの大きな違いは、輪生する
3枚の茎葉に葉柄がある点と3出複葉で
羽状に深裂する点
ヤエイチリンソウ
萼片が多いこと以外、
イチリンソウと大きな違いはない

ニリンソウ
イチリンソウとの大きな違いは、
輪生する3枚の茎葉に葉柄がない点と
深裂はするが羽状にはならない点

ケキツネノボタン(Ranunculus cantoniensis)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・キンポウゲ連・キンポウゲ属>
   
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年生植物。水田のあぜなどに生える雑草。
和名は、キツネノボタンによく似ているが、全体に毛が生えていることによる。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島南部から中国南部、台湾に分布している。
茎はほぼ直立し、草丈は50cmに達するものもある。上部でよく分枝し、開出毛が密生する。
根出葉には長い葉柄があり、1〜2回3出複葉で、小葉は数中裂し、不揃いな鋸歯がある。
茎葉の葉柄は短く、上部に行くに従い1〜2回3出複葉、1回3出複葉、単に3中裂と変わる。
茎の上部にいくつかの黄色い花を付ける。花弁は5個で、萼片も5個で、開花時は反り返る。
花柱は1mm前後の三角形で、先は鉤状に曲がっている。
痩果は扁平な広倒卵形で、長さは3mm強。
この痩果の先の曲がり具合をキツネノボタンとの識別点としていたが、変異が多く、近年は使われない。
痩果の断面形状で、両端とも3稜があるのが本種で、片側のみ(反対側は1稜)のものがキツネノボタンとのこと。

2017/5/30
萬葉草花苑で、キツネノボタンとして植えられていたものです。
まが、果実はできたばかりでしたが、成熟しているとは言い難い状態です。
その痩果の先の曲がり具合は、あまり曲がらずに立っているので、その点ではケキツネノボタン。
種子の両面はほぼ平行で、片側が薄い三角形状でない点でも、ケキツネノボタンに軍配です。
成熟していないので、断言するのは早計かもしれませんが、ケキツネノボタンと思われます。

ウマノアシガタ(Ranunculus japonicus)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・キンポウゲ連・キンポウゲ属>
   
  2017/5/30            2017/5/30           2018/4/13
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、在来種。日当たりの良い山野に自生する。
日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
草丈は30〜60cmで、茎と葉裏には白い長毛があり、縦に筋が入って、上部でよく分枝する。
根出葉には長い葉柄があり、掌状の3〜5裂し、裂片はさらに数裂する。不揃いな鈍鋸歯がある。
上部の茎葉は、葉柄が短く、掌状に3深裂し、裂片は3中裂して鋸歯がある。
さらに上部の茎葉では、裂片は線形となり、縁も全縁となって鋸歯がなくなる。
花期は4月〜6月で、直径20oほどの黄色い光沢のある花を付ける。
花被片は5個で、多数のオシベがあり、花糸は長さ3mmほどで無毛。花後に、球状の集合果を付ける。
なお、花には八重咲のものがあり、これをキンポウゲと呼び分けている。

2017/5/30 萬葉草花苑でラナンキュラスを小さくしたような花が、地面から出た花柄に1つ咲いていました。
見た目からキンポウゲ科の花と判断しましたが、名前が分かりません。
後で、キンポウゲ科で八重の花を探すと、キンポウゲに行き当たりました。
ウマノアシガタの八重咲の品種で、葉の特徴も一致するので、本種としました。
まだ、春先で根生葉のみしかありませんが、これから茎を伸ばしていくものと思います。
2018/4/13 今年は成長が早いようで、たくさんの花茎が伸び出して、1つだけ開花していました。
昨年はひょろっとした花茎でしたが、今年はしっかりとした花茎を何本か立ち上げています。
この後、4/19に訪れた際には、たくさんの花を咲かせていました。

クサノオウ(Chelidonium majus var. asiaticum Chelidonium)
<キンポウゲ目・ケシ科・クサノオウ属>
   
ケシ科クサノオウ属の越年草で、ユーラシア大陸一帯とその周辺に広く分布する。
日本では、北海道から九州まで分布している越年草で、秋に発芽して、越冬し、春に開花する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布し、ヨーロッパや北アメリカにも帰化している。
草丈は30〜80cmで、全体に長い白毛が生え、白っぽく見える。
葉は互生し、長さ10〜30cmで、羽状に1〜2回分裂し、葉先も裂片も丸い。
花期は4月〜7月で、茎頂に散形花序を付け、数個の鮮黄色の花を付ける。花柄は細長い。
花は直径20o前後の4弁花で、多数のオシベの中心にメシベが1個ある。
メシベの花柱は短く、その下部にくねくねと曲がった長い緑色の子房がある。
2個の萼片には多数の毛が生えており、開花と同時に落下する。そのため、花には萼片は見られない。
果実は刮ハで、長さは数cmの細長い円柱状になる。種子は熟すと黒くなり、種枕が付く。
本種を傷つけると多種にわたる有毒アルカロイド成分を含む黄色い乳液が出て、皮膚に付くと炎症を起こす。

2018/4/13
薬師池公園の裏門から花菖蒲田の方へ降りて行ったとき、作業所の近くで見かけました。
ヤマブキソウに近い構造の花で、色もよく似ていますが、花が半分ほどの大きさしかありません。
そのためかどうかは分かりませんが、こちらは雑草扱いです。

ヤマブキソウ(Hylomecon japonica)
<キンポウゲ目・ケシ科・ヤマブキソウ属>
 
ケシ科ヤマブキソウ属の多年草で、在来種。山野の樹林地に群生する。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国に分布する。
根茎があり、草丈は30〜40cmになる。根出葉は奇数羽状複葉で、長い葉柄がある。
小葉は長さ2〜5cmの楕円形で、5〜7個あり、縁には細かい鋸歯がある。
茎葉は茎の上部に少数付き、小葉の数は3個前後が多い。
花期は4月〜6月で、上部の葉腋から長さ5cm前後の花茎を出し、黄色い花を付ける。
萼片は2個あるが、開花直前に落下する。長さ20o程の花弁は4個で、オシベは多数ある。
花柱は短くて、柱頭は2裂する。果実は刮ハで、直径3o、長さ40o前後になる。

2017/5/31
萬葉草花苑の片隅で、大きめの黄色い花が1輪だけ咲いていました。
見たことがない花でしたが、ヤマブキソウの名板がありました。
花色がヤマブキに似ていることが和名の由来だそうですが、花弁の数も大きさも異なります。

   
2018/4/19
今年も少し遅かったようで、咲き終わったものが多かったのですが、まだ、花は残っていました。
ツボミの様子などは、城山かたくりの里で見かけたこちらを参照ください。

 
2022/4/12
今年も萬葉草花苑の一角で、ヤマブキソウがたくさんの花を付けていました。
名前の通り、ヤマブキの花によく似ていますが、ヤマブキはバラ科なので5弁花です。

ムラサキケマン(Corydalis incisa)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケマンソウ亜科・キケマン属>


 
ケマンソウ科キケマン属の越年草で、在来種。
日本では全国に広く分布していて、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は20〜50cmで、塊茎は作らない。傷をつけると嫌な臭いがする。
葉は互生し、長さ3〜9cmで2〜3回羽状に細裂する。
葉柄は、下部ほど長くなり、下部で5〜15cm、上部で1〜4cm。
花期は4月〜6月で、茎頂に長さ3〜12cmの総状花序を付け、多数の花が咲く。
独特の形状の花は長さ12〜18mmで、花の先だけが濃紅紫色。
花弁は4個で、左右の内側の2個は先端が合着し、背面に稜がある。
外側の2個は大きく、上部の花弁は基部が袋状の距になって、後ろに突き出る。
この距の中に蜜腺がある。上下の花弁に各々オシベが付き、メシベを挟む。
2個の萼片は花柄の先端にあり、細裂して糸状になっている。
刮ハは柄の先に下向きに曲がって付き、長さ15mm前後の狭長楕円形。
熟すと2裂して、果皮が巻き上がり、黒い種子を弾き飛ばす。

2022/4/12
薬師池公園の裏門から花菖蒲田の方へ降りる通路脇や、作業所の近くで見かけました。
既に花のピークは過ぎて、枯れた花も多かったのですが、咲き残っているものも見られました。

イカリソウ(Epimedium grandiflorum var. thunbergianum)
<キンポウゲ目・メギ科・メギ亜科・イカリソウ属>
   
メギ科イカリソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道渡島半島から本州太平洋岸、四国、九州に分布している。
草丈は数十cmになり、根茎から細長い茎を数本、真っ直ぐに立ち上がらせる。
葉は、長い葉柄があり、1つの茎に1つの葉が付くのが普通。
葉身は2回3出複葉で、小葉が9枚付く。そのため、三枝九葉草(サンシクヨウソウ)の別名を持つ。
小葉は、非対称の細長い心形で、先は尖る。縁には針状の鋸歯がある。
花期は4〜5月で、茎の先に総状花序を付け、直径2cmほどの紅紫色の花を付ける。
花弁は4個あり、長さ20mmほどの距を持つ。その形が和舟の4本錨に似るのが和名の由来。
萼は8個あり、内側4個が大きく、外側4個は小さい。外側4個は早くに落ち、内側の4個が大きくなる。

※ 良く似たトキワイカリソウやキバナイカリソウは、日本海側に分布している。
また、トキワイカリソウは常緑で、冬でも枯れない。

2017/4/28
萬葉草花苑には3ヶ所ほどイカリソウが群生している所があり、多くの花が咲いていました。
淡紅紫色の独特の形をした花が特徴で、オダマキの距が後ろに伸びるのに対し、横に広がります。
高尾山で、自生しているイカリソウを見ましたが、それ以来の再会です。


2018/4/13
   
2018/4/13            2018/4/13            2018/4/19
今年も萬葉草花園では、たくさんのイカリソウが花を付けていました。
何気なく写真を撮っていたのですが、後でよく見ると株によって花の色が異なっていました。
下段は、その花を並べたものですが、白っぽいものから淡紅紫色のもの、紅紫色のものまでありました。
※ 園芸品種には、いろいろな花色のものがあるようですが、これらが園芸品種か、自生の物かは不明です。

 
 
2022/4/12
今年もイカリソウがたくさん花を付けていました。花色の変異も前回と同じでした。
なお、今回、シロバナイカリソウ(次項)も植えられていることに気が付きました。

シロバナイカリソウ(Epimedium grandiflorum var. thunbergianum)
<キンポウゲ目・メギ科・メギ亜科・イカリソウ属>


 
メギ科イカリソウ属の多年草で、イカリソウの白花種で日本固有種。
日本では、北海道南西部から本州の太平洋岸に多く分布する。
なお、イカリソウは本州の近畿以西から九州に分布するヤチマタイカリソウの変種とされる。
また、日本海岸にはトキワイカリソウやキバナイカリソウが分布する。
草丈は15〜30cmで、根茎から細長い茎を数本直立し、叢生する。
葉は長柄があり、1〜2回3出複葉で、小葉は基部が心形の左右非相称で、先は鋭尖〜尾状。
小葉は長さ5cm、幅3cm前後で、葉縁には刺毛状の細かい鋸歯があり、葉裏は開出毛が多い。
花は総状花序につき、直径4cm前後の白色(淡黄色を帯びることもある)の4弁花。
距は長さ18〜20mmで花弁よりかなり長い。
萼は花弁状で8個あり、内側の4個が大きい。外側の4個は小さく、早落性。

2022/4/12
イカリソウがたくさん花を付けている傍で、シロバナイカリソウも花を付けていました。
イカリソウに比べると花数が少なく、名板の後に隠れていたので、今まで気づかなかったようです。
前項の白っぽいイカリソウの花と比べると、距の上の4個の萼まで真っ白です。

カンアオイ(Asarum nipponicum)
<コショウ目・ウマノスズクサ科・カンアオイ亜科・カンアオイ属>
 
2017/4/28           2017/6/9
ウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草で、日本固有種。
本州の関東地方から近畿、四国に分布する。ギフチョウの食草として知られる。
山地や森林の林床に生育し、茎は短く、匍匐する。成長は非常に遅い。
葉は互生し、濃緑色に白い斑紋があるが変異が多い。
花期は秋で、10月〜11月に開花する。といっても、花弁に見えるは、3枚の萼片です。
萼片は、基部で癒着して萼筒となり、暗紫色で内側に格子状の隆起線がある。
萼裂片は三角形で、萼筒より短く、オシベは12本、メシベは6本ある。芳香を放つ。
関東から東海地方に分布する基変種で、カントウカンアオイの別名がある。
紀伊半島や四国には、ナンカイアオイが分布するが、変種か独立種かは学者によって異なる。

2017/4/28 花菖蒲田の通路脇の斜面で、除草された後、保護されているのに気が付きました。
数株が確認できましたが、花の咲く時期ではないので葉のみです。
2017/6/9 萬葉草花苑で、樹の根元にカンアオイが群生しているのに気が付きました。
葉の色合いが異なるのは、4/28の写真はフラッシュを使っているからです。


2017/9/1
清掃されて、多少葉の数が少なくなったようですが、元気に夏を乗り越えたようです。
まだ、花が咲くのはもう少し先になると思います。

カンアオイの花に関しては、下記こちらを参照ください。

タマノカンアオイ(Asarum tamaense)
<コショウ目・ウマノスズクサ科・カンアオイ亜科・カンアオイ属>
   
ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑性の多年草で、日本固有種。
本州の関東地方西南部の丘陵や低山の林内に生える。環境省指定の絶滅危惧種である。
和名は、最初に発見されたのが多摩丘陵であったことに由来する。
草丈は10cmほどで、短い茎は地上を這い、茎は立ちあがらない。
葉は長さは5〜12cmの卵円形で、基部は深い心形となり、葉先は鈍三角形状。
表面は暗緑色で鈍い光沢があり、白色または淡緑色の雲状斑があることが多いが変異が多い。
花期は4月〜5月で、地上に接するように直径2〜3cmの暗紫褐色の筒型の花を数個付ける。
萼は3裂し、裂片は卵状三角形で大きく波打ち、萼裂片の内面には短毛が密生する。
萼筒の入口には環状のつばがあり、その外側に白い突起が多数並ぶ。
オシベは12個、花柱は6個あり、花柱の先は2裂しない。特有の臭気がある。

2018/4/19
萬葉草花園を歩いていた時、カンアオイの葉が目に止まりました。
よく見ると花が咲いています。カンアオイの花が今頃咲いているとは思えません。
暗赤紫色の波打った萼片とその基部にある白い突起が特徴です。花の後ろにはツボミも見えています。
取り合えず写真を撮って、後で調べることにしました。
その結果、花の特徴がタマノカンアオイ似ており、花期もこの時期なので、一致します。
絶滅危惧種に指定されている本種を見ることができ、うれしい限りです。


カンアオイとタマノカンアオイ

     .
 
  2017/12/20<カンアオイ>   2018/4/19<タマノカンアオイ>

薬師池公園の萬葉草花園で見かけたカンアオイとタマノカンアオイの花です。
葉の雲状斑は変異が多いこともあり、この写真の個体では識別困難です。
しかし、花の形状には下記の様に大きな違いがある。
カンアオイの3裂した萼片の縁は全縁で、あまり波打たず、白っぽい口環がある。
タマノカンアオイの3裂した萼片の縁は大きく波打ち、口環の周りに白い突起が多数ある。


サクラソウ(Primula sieboldii)
<サクラソウ目・サクラソウ科・サクラソウ属>
 
サクラソウ科サクラソウ属の多年草で、在来種。日本を代表するサクラソウ類です。
日本では、北海道南部から本州、九州の高原や原野に自生している。
海外では、朝鮮半島から中国にかけて分布する。
草丈は15〜40pほどになり、地下の根茎が春先に発芽して、5個前後の葉を根生する。
葉柄は長く、葉身は楕円形でしわが多い。縁には波状鋸歯があり、葉や茎に白い軟毛が生える。
花期は4月〜5月で、中心から高さ20〜40pの花茎を直立させ、5〜10個の花を付ける。
花は直径25o前後で、5深裂し、その裂片がさらに2残裂する。花色は淡紅色で、稀に白花もある。
暑さと乾燥に弱く、自生地は林間の湿生地や高原の草間などが多い。
清楚な花が好まれ、江戸時代に育種が進んで、数百に及ぶ品種が作出された古典園芸植物でもある。

2017/4/28
萬葉草花苑でサクラソウが花を付けていました。
えびね苑と異なり、近くから撮影できました。水辺ではないので、維持管理が大変そうです。

 
2022/4/12
今年も萬葉草花園で、サクラソウが花を咲かせていました。
何度見ても、適度な花数と紅紫色の花と葉のバランスが良く、清楚なイメージが良いですね。

ウツギ(Deutzia crenata)
<ミズキ目・アジサイ科・ウツギ属>
   
<ウツギ>          <ウツギ>          <サラサウツギ>
アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、在来種。ウノハナ(卯の花)とも呼ばれる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では中国に分布する。
日当たりの良い場所を好み、山野の川沿いや林縁に自生する。
樹高は数mになり、よく分枝する。樹皮は灰褐色で、新枝は赤褐色を帯びる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜8pほどの楕円形〜卵状披針形で、縁に微細な鋸歯がある。
新枝や葉柄、葉の両面には星状毛があり、葉柄や葉裏の星状毛は密度が高い。
花期は5月〜7月で、枝先に円錐花序を付け、白花を多数付ける。
花弁は5個で、長さ10oほどの倒披針形で、外側には星状毛がある。
オシベは10個で、花弁より少し短めで、花糸の両側に狭い翼がある。
花柱は3〜4個で、花弁とほぼ同じ長さになる。萼片は5個で、丸みのある三角形。
なお、八重咲のものもあり、サラサウツギ(ヤエウツギ)と呼ばれ、花弁の外側に紅色が入る。

2017/5/30
花菖蒲田脇の通路に迫り出すようにウツギが花をたくさん付けていました。
自宅近くの花壇にはヒメウツギがたくさん植えられていますが、樹が大きい分、バラけて見えます。
萬葉草花苑に入って直ぐの左側に、八重咲きのサラサウツギが植えられていました。
ウツギの花が純白なのに対して、外側に紅がが入り、ウツギとは思えない色合いです。
そのため、庭植えなどにはこのサラサウツギが良く使われるそうです。

オオバオオヤマレンゲ(Magnolia sieboldii K. Koch subsp. sieboldii)
<モクレン目・モクレン科・モクレン属>
   
モクレン科モクレン属の落葉低木で、朝鮮半島から中国東北部が原産地。
日本にはよく似たオオヤマレンゲが自生しているが、自生地が限られ、平地での栽培が難しい。
そのため、オオヤマレンゲの代わりに、このオオバオオヤマレンゲが植栽されていることが多い。
樹高は3〜10mになり、葉は長さ10p前後の卵形で葉柄があり、互生する。
花期は5月〜7月で、直径6cm前後の白い花を下向きに付ける。花弁は6〜9個。
オシベは鮮やかな赤色で、その中心に淡黄色のメシベが10個ほどある。
オオヤマレンゲは、オシベが白っぽく、わずかに紅が差す程度とのことで、識別は容易なようである。

2017/5/30
萬葉草花苑の上部に、1本の樹があり、白い大きな蕾が目に止まりました。
よく見ると、葉陰に開花したものもありましたので、運良く写真も撮れました。
その結果、オシベが赤いことからオオバオオヤマレンゲと特定できました。


ウケザキオオヤマレンゲの花

       .
      2016/4/30<ウケザキオオヤマレンゲ>          2017/4/28<ホウノキ>

あしかがフラワーパークで見かけたウケザキオオヤマレンゲの花です。
オオヤマレンゲとホオノキの自然交雑種で、ホオノキ同様、上を向いて咲くのが名前の由来とか。
右端はホウノキの花です。大きさは倍以上ありますが、花の構造はほとんど同じです。










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