ホーム旅の見聞録薬師池公園>薬師池公園で見かけた野草(秋U)


薬師池公園で見かけた野草(秋U)



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、いろいろな野草などを集めた萬葉草花苑があります。
そこで見かけた野草や植栽された主な花々です。

< トピック >

今回、新たに見かけた野草などを追加しました。
オニドコロ、カラムシ、キンミズヒキ、ギンミズヒキ、シモツケ、シロバナシモツケ、チダケサシ
ヒヨドリジョウゴ、ヘクソカズラ、ミソハギ、オオミノコフキタケ、カイガラタケ
キチチタケ、ハイイロイタチタケ、アーコレード、ヤドリギ、ツタ、ウツギ

また、下記に関しては新しい花の写真などを追加しています。
ヌスビトハギの花、マツカゼソウの花、ホオノキの花、ヤマホトトギスの花




ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
ナス目
ナス科(クコ、ヒヨドリジョウゴ)
ナデシコ目
タデ科(イタドリ、ミズヒキ、ギンミズヒキ)
バラ目
イラクサ科(カラムシ、ヤブマオ)
バラ科(キンミズヒキ、シモツケ、シロバナシモツケ、アーコレード)
ビャクダン目
ビャクダン科(ヤドリギ)
フウロソウ目
フウロソウ科(ゲンノショウコ)
ブドウ目
ブドウ科(ツタ)
フトモモ目
ミソハギ科(ミソハギ)
ブナ目
カバノキ科(ハンノキ)
マツムシソウ目
レンプクソウ科(ガマズミ)
マメ目
マメ科(ヤブマメ、ナンテンハギ、ヌスビトハギ)
ミズキ目
アジサイ科(ウツギ)
ムクロジ目
ミカン科(マツカゼソウ)
ムクロジ科(ムクロジ)
モクレン目
モクレン科(ホオノキ)
モチノキ目
モチノキ科(ウメモドキ)
ヤマノイモ目
ヤマノイモ科(オニドコロ)
ユキノシタ目
ユキノシタ科(チダケサシ)
ユリ目
サルトリイバラ科(シオデ)
メランチウム科(シュロソウ)
ユリ科(タイワンホトトギス、ヤマホトトギス、ヤマユリ)
リンドウ目
アカネ科(ヘクソカズラ)
 
ウラボシ目
ウラボシ科(ノキシノブ)
ハナヤスリ目
ハナヤスリ科(フユノハナワラビ)
ハラタケ目
ナヨタケ科(ハイイロイタチタケ)
ヒダナシタケ目
マンネンタケ科(オオミノコフキタケ、カイガラタケ)
ベニタケ目
ベニタケ科(キチチタケ)
薬師池公園で見かけた野草(秋U)
和名インデックス


クコ(Lycium chinense)
<ナス目・ナス科・クコ属>
 
ナス科クコ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。
日本以外にも、台湾、朝鮮半島、北アメリカにも移入されて分布が広がっている。
枝は長さ1m以上、太さは数mm-1cmほどで、細くしなやかである。
地上部は束状で、上向きに多くの枝が伸びる。
枝には2-5cm程度の葉と1-2cm程度の棘が互生するが、枝分かれは少ない。
垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、同様の株を次々と作って繁茂する。
開花期は夏-初秋で、直径1cmほどの小さな薄紫色の花が咲く。
果実は長径1-1.5cmほどの楕円形で、赤く熟す。
一旦定着すると匍匐茎を伸ばして増え続け、数年後にはまとまった群落となることが多い。
果実は酒に漬けこんでクコ酒にする他、生食やドライフルーツでも利用される。
薬膳として粥の具にもされる。また、柔らかい若葉も食用にされる。

2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたものです。
あちらこちらでよく見かける植物の1つですね。

ヒヨドリジョウゴ(Solanum lyratum)
<ナス目・ナス科・ナス属>

ナス科ナス属のつる性多年生植物で在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の林縁などで見られる。
日本も含め、東アジアから東南アジアに広く分布する。
茎は長さ数mになり、茎や葉など全草には柔らかい毛が密生する。
葉は互生し、三裂、五裂したものから、卵状のものまで大きな変異がある。
花期は8月〜9月で、花は互生する葉の脇から伸びた枝に多数付く。
直径1cmほどの白い花冠は5裂し、裂片の長さは4o程。
基部に緑色の斑点があり、徐々に大きく外に反り返る。
オシベは5個あり、花糸は太短い。その数倍の長さの黄色い葯はメシベを取り巻く。
メシベの花柱は長さ7o前後で、取り巻く葯の中央から長く突き出る。
果実は液果で、直径1cm弱の球形で、緑色から赤く熟す。

2018/9/12
萬葉草花苑の外側に植えられている生け垣に絡みつくように咲いていたヒヨドリジョウゴです。
日陰で成長が遅かったのか、まだ、結実していませんでした。

イタドリ(Fallopia japonica)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属>
 
タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。
北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。
世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者です。
草丈は1〜2mほどで、根茎を横に伸ばして増える。茎は中空で節があり、若い時に紅紫色の斑点がある。
葉は互生し、長さ10〜15pほどの広卵形で、基部は水平になり、先は急に尖る。
花期は7月〜10月で、葉腋から枝を出し、その先に多数の小花を付ける。
雌雄異株で、花被は白色から紅色で5裂する。
雄花にはオシベが8個あり、メシベは極小さい。雌花には3個の花柱があり、オシベは極小さい。
花後、雌花の外側の3個の花被片が翼状に大きくなり、痩果を包む。

2018/9/12
萬葉草花園の外れで、イタドリがたくさん花を付けていました。
長いオシベのみが見えていますので、この株は雄株ということになります。
近くに雌株はないかと探したのですが、見つかりませんでした。

ミズヒキ(Persicaria filiformis)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属・ミズヒキ節>

タデ科イヌタデ属の多年草で、在来種。低地の日当たりのよい林床や林縁、路傍等で見られる。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、ミャンマーに分布する。
草丈は50〜80cmで、茎は直立し、茎の節部は膨らむ。茎や托葉鞘には毛が多い。
葉は互生し、葉身の長さは5〜15pで、広楕円形で先が尖り全縁。葉の両面や縁には毛がある。
初夏の頃、葉の中央に「八」の字形の黒い斑紋が入ることが多い。
花期は8月〜11月で、茎頂や葉腋から長さ20〜40cmになる総状花序を出す。
それに直径5mm前後の赤い小花をまばらに付ける。
花被は4深裂し、上3個の上半分が赤、下半分と下1個が白で、これが和名の由来。
オシベは5個、メシベの花柱2個は長く飛び出し、果時まで残る。
果実は痩果で、長さ2.5mm前後のレンズ状の卵形。褐色で光沢がある。
痩果の柄は長さ1mmほどで関節があり、熟すと関節がはずれて果実が落果する。
ミズヒキのツボミと花後の姿は良く似ていて、違いは2本の花柱が飛び出しているか否かである。

2016/10/7
園内のあちらこちらで見かけるミズヒキですが、花が咲いて、ああ、ミズヒキだと分かります。
花自体は、極小さいのですが、多くの総状花序を出し、赤い小花が点々を付くので目立ちます。
ただ、既に花期は過ぎていたようで、2本の花柱が飛び出しているので、これらは全て果実です。


        2018/9/28                2018/9/12
今回も間に合わなか多様で、花が咲いているものはありませんでした。
左の写真で、白く見えているのはギンミズヒキで、ミズヒキの白花品種です。
こちらも、花期は終わって、全てが果実になっていました。

※ 水引の花に関しては、こちらを参照ください。

ギンミズヒキ(Persicaria filiformis form albiflorum)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属・ミズヒキ節>

        2018/9/28                2018/9/12
タデ科イヌタデ属の多年草で、北海道から本州、四国、九州まで全国に広く分布する。
分布的には、ミズヒキと同じで、ミズヒキの白花品種。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシア、ミャンマーに分布する。
草丈は50〜80cmで、茎は直立し、茎の節部は膨らむ。茎や托葉鞘には毛が多い。
葉は互生し、葉身の長さは5〜15pで、広楕円形で先が尖り全縁。葉の両面や縁には毛がある。
葉の両面には毛があり、表面の中央に「八」の字の黒い斑紋が入ることがある。
初夏の頃、葉の中央に「八」の字形の黒い斑紋が入ることが多い。
花期は8月〜11月で、茎頂や葉腋から長さ20〜40cmになる総状花序を出す。
それに直径5mm前後の小花をまばらに付け、ミズヒキと異なり、萼片4個は全て白い。
オシベは5個、メシベは1個で、花柱2個は長く、果時まで残る。
果実は痩果で、長さ2.5mm前後のレンズ状の卵形。褐色で光沢がある。
痩果の柄は長さ1mmほどで関節があり、熟すと関節がはずれて果実が落果する。
ミズヒキのツボミと花後の姿は良く似ていて、違いは2本の花柱が飛び出しているか否かである。

2018/9/12
園内のあちらこちらでギンミズヒキを見かけました。ミズヒキよりも多い気がします。
残念ながら、ミズヒキもギンミズヒキも花期は過ぎていて、全てが果実になっていました。

 
2018/10/17
萬葉草花園の奥の方で、ギンミズヒキの花がかろうじて残っているのを見つけました。
花序の先に1個のツボミと花が半開きの状態で付いていました。色も赤味がない白い色でした。


ミズヒキ、ギンミズヒキ、キンミズヒキの花

       .
   <ミズヒキ>        <ギンミズヒキ>      <キンミズヒキ>
ミズヒキとギンミズヒキ、キンミズヒキの花を並べてみました。
ギンミズヒキはミズヒキの白花品種ですので、基本的に花の色以外は同じで、タデ科の植物です。
キンミズヒキは、名前にミズヒキと付いていますがバラ科の植物ですので、花の構造がまるで異なります。


カラムシ(Boehmeria nivea var. nipononivea)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属>

<上部の雌花序>     <下部の雄花序>                      .
 
 
<雄花序>       <雄花>         <雌花>       <雌花序>
イラクサ科カラムシ属の多年草で、在来種。ただ、史前帰化植物とする説もある。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では、台湾や中国に分布する。
草丈は100〜150cmで、茎は叢生して、直立かやや斜上し、斜上毛が密生する。
葉は互生し、葉身は長さ10〜15cmの広卵形で先が鋭く尖り、縁には鈍鋸歯がある。
上部につく葉裏には、白い綿毛が密生する。葉柄は3〜9cmで、斜上毛が密生する。
花期は8月〜9月で、雌雄同株。葉腋の円錐花序を付け、下部に雄花序、上部に雌花序が付く。
雄花は、花被片が4個とオシベが4個あり、オシベは花被片より長く突き出て、平開する。
雌花は球状に集まり、2個の花被片が合着して花被筒となり、長さは1o弱。花柱は線形。
果実は花被筒に包まれ、長さ1mm弱の卵円形。

2018/9/12
薬師池公園にある古民家の1つ「旧荻野家」の前に大きなカラムシの株がありました。
入り口両脇の通路との境に生け垣のように大きく枝を伸ばして、たくさんの花序を付けていました。
そのような状態なので、植栽されたものなのか、自然に生えているものなのか定かではありません。
最初、写真を見ればわかると思いますが、葉裏が白く見えなかったので、アオカラムシではないかと思っていました。
しかし、光の加減で白っぽく写っている所があります。透過光撮影になったので、青く見えてい可能性があります。
そのため、確認が必要となり、葉裏の写真のみ、後日(9/28)に追加撮影しました。
結果はご覧の通りで、綿毛が確認できたのでカラムシと分かりました。
葉を何かが食べたようで、丸い食痕が見られますが、綿毛はまずいようで、きれいに食べ残していました。

ヤブマオ(Boehmeria japonica)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属>
 
 
<上部の雌花序>           <果実>  .
イラクサ科カラムシ属の多年草で、再来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では、中国、台湾に分布する。
草丈は1m以上になり、茎は直立して分枝しない。葉は対生し、長い葉柄がある。
葉は、卵円形から卵状楕円形で、先が尾状に尖る。鋸歯があり、基部から先に向かって粗くなる。
雌雄同株で、葉の脇から穂状花序を出し、上部は雌花序、下部は雄花序になるが、無い個体も多い。
雌花は花被片2個が合着して筒状になり、白い柱頭が長く突き出る。
果実は毛のある花被筒に包まれ、球形に多数集まり、それが隙間なく連続して並ぶ。

2012/10/8
薬師池からハス田の方に向かう途中で見かけました。
見かけたのは雌花序のみか、既に果実になったもののみで、雄花序は見当たりませんでした。

キンミズヒキ(Agrimonia pilosa var. japonica)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ワレモコウ連・キンミズヒキ属>
 
バラ科キンミズヒキ属の多年草で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山野に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、インドシナに分布する。
草丈は50cm以上で、1mを超える場合もある。葉は互生し、奇数羽状複葉。
茎の上部は枝分かれし、花柄の短い総状花序を付ける。
花は直径10mmほどで、黄色の5花弁。オシベは10本前後あり、メシベは2個ある。
痩果は萼筒と萼片に包まれて熟し、刺で動物などに付く。

2018/9/12
萬葉草花園の一角に植えられていたもので、まだ、咲き始めたばかり様です。
花序は、写真のようにたくさん立ち上がっているのですが、開花していたのは2本だけでした。

シモツケ(Spiraea japonica)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>
 
バラ科シモツケ属の落葉低木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、林下や草原の日当たりのよい場所でみられる。
海外では、朝鮮半島から中国、チベットに分布する。
樹高は0.5〜2mで、茎はよく分枝して株立ちとなる。幹は暗褐色で若枝は赤褐色をしている。
葉は互生し、葉身は長さ3〜8cmの長楕円形で、先は尖り、基部を除いて不揃いな鋸歯がある。葉柄は短い。
花期は5月〜8月で、本年枝の先に複散房花序を付け、小花を多数付ける。
花は、直径5o前後で、淡紅色〜濃紅色、稀に白色があり、変異が多い。
花弁は5個で、オシベは25〜35個、メシベは5個ある。オシベは花弁より長い。
萼片も5個で、長さ2o程の三角形で、内側に短毛がある。
果実は袋果の5分果で、熟すと果皮が裂けて種子が放出される。

2018/9/12
花菖蒲田の外れで、生け垣になっているサツキの端の方で、白い花を見かけました。
近づくと、白い花の脇で2本だけ、赤い花が下から伸び上がるように混じっていました。
それがこのシモツケで、白い花はシロバナシモツケでした。

シロバナシモツケ(Spiraea japonica f. albiflora)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>
 
バラ科シモツケ属の落葉低木で、在来種。シモツケの白花品種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布し、林下や草原の日当たりのよい場所に稀に生える。
海外では、朝鮮半島から中国、チベットに分布する。
樹高は0.5〜2mで、茎はよく分枝して株立ちとなる。幹は暗褐色で若枝は赤褐色をしている。
葉は互生し、葉身は長さ3〜9cmの長楕円形で、先は尖り、基部を除いて不揃いな鋸歯がある。葉柄は短い。
花期は5月〜8月で、本年枝の先に複散房状の花序を付け、白い小花を多数密に付ける。
花は直径5o前後で、花弁は5個、メシベは5個で、オシベは25〜35個。
萼片も5個で、長さ2o程の三角形で、内側に短毛がある。
果実は袋果の5分果で、熟すと果皮が裂けて種子が放出される。

2018/9/12
花菖蒲田の外れで、生け垣になっているサツキの端の方で、白い花を見かけました。
近づいてみると、それがこのシロバナシモツケでした。
色が白いだけで、花の特徴である長いオシベがたくさん点などはシモツケにそっくりです。
そのシモツケですが、シロバナシモツケの下の方から2本だけ枝を伸ばして咲いていました。

アーコレード(Cerasus 'Accolade')
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節>
 
バラ科スモモ属サクラ亜属の落葉高木で、イギリスで作出された品種である。
オオヤマザクラ(別名:ベニヤマザクラ/エゾヤマザクラ)とコヒガンザクラを交配させたもの。
イギリスでは春に1回咲くだけであるが、日本では春と秋の二期咲きとなる。
花は大輪で、直径30mmほどの半八重咲で、ジュウガツザクラより大きく、色も濃い目である。

2018/11/29
薬師池公園の畔で、桜が咲いていました。名板にはアーコレードと見慣れない名前が書かれていました。
後で調べて、イギリスから逆輸入された2度咲きの桜と分かりましたが、イギリスでは春だけに咲くようです。
この時期に咲くサクラは、4種(下記参照)見たことがありますが、最も色鮮やかです。


晩秋から初冬に見られるサクラの花

       .
<アーコレード>        <ジュウガツザクラ>        <フユザクラ>
   
<ヒマラヤザクラ>        <オオヤマザクラ>        <ヤマザクラ>  .
  アーコレードは、オオヤマザクラとコヒガンザクラの雑種で、日本では10月〜12月と4月の2度咲き。
最も色が鮮やかなサクラで、イギリス生まれの逆輸入種。近年、2度咲きと分かり、人気が出てきている。
ジュウガツザクラは、マメザクラとコヒガンザクラの雑種で、10月頃から翌春まで断続的に咲く。
フユザクラは、ヤマザクラとマメザクラの雑種で、11月〜12月と4月の2度咲き。
ヒマラヤザクラは、亜熱帯の標高1100〜2300メートルの地域が原産地で、花期は11月〜12月。
晩秋から初冬に花が見られる4種の中で、唯一、原種で初冬のみに咲くサクラです。

オオヤマザクラは北海道に多いことからエゾヤマザクラ、濃い花色からベニヤマザクラの別名があります。
アーコレードの母種でもあり、花の大きさや濃い花色は、オオヤマザクラの特徴を引き継いでいるようです。
一方、ヤマザクラは本州の宮城、新潟以西から四国、九州に自生し、花色など同一地域内でも個体変異が多い。
花期は、オオヤマザクラが4月〜5月、ヤマザクラが3月下旬〜4月中旬と春咲きです。


ヤドリギ(Viscum album subsp. coloratum)
<ビャクダン目・ビャクダン科・ヤドリギ連・ヤドリギ属>
 
ビャクダン科ヤドリギ属の半寄生の小低木で、常緑樹。
日本では、北海道から本州、四国、九州で見られる。海外では朝鮮半島から中国に分布する。
本種の基亜種は、セイヨウヤドリギで、基亜種の果実が白く熟すのに対し、淡黄色に熟す。
宿主は、エノキ、ブナ、クリ、ヤナギ、サクラなど幅広い落葉高木。
葉は肉厚で対生し、茎は二股に分かれて伸びるので、先ほど枝数が多くなり、球状になる。
花期は2月〜3月で、花は目立たない黄緑色。果実は液果で、種子は粘液に包まれている。
鳥に食べられた後、糞と共に放出されたとき、この粘液が枝にひっついて、その場で発芽する。
発芽したヤドリギは、茎に根を食いこませて、水分や養分を吸収する。

2018/11/29
萬葉草花園に入って、何の気なしにふと上を見上げたとき、ヤドリギに気が付きました。
今まで何度の来て、見ているはずなのですが、木に葉があるときには気が付かなかったようです。
山の中では、何度も見かけているのですが、このような場所にあるとは思っていませんでした。
そのことも、気が付かなかった要因の1つでしょう。

ゲンノショウコ(Geranium thunbergii)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属>

フウロソウ科フウロソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄まで広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾にも分布する。
草丈は、30〜40cm程度で、葉は互生する。
葉は掌状に3〜5裂し、長い葉柄の付け根に1対の托葉がある。
花期は5月〜8月で、花は葉腋から花柄を伸ばし2個付く。
花径は15mmくらいで、花弁と萼片は5個、オシベは10本、メシベの花柱は5裂する。
花弁の色は、西日本では紅紫色が多く、東日本では白色に近いものが多い。

2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたものです。花色は、西日本に多い紅紫色のものでした。

※ ゲンノショウコの白花に関してはこちらをご覧ください。

ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
<ブドウ目・ブドウ科・ツタ属>
 
ブドウ科ツタ属のつる性の落葉木本で、在来種。
北海道から本州、四国、九州と全国の山野に分布する。
ツルは太いもので数cmになり、古いツルの樹皮は黒褐色。
本年枝の樹皮は赤褐色〜黄褐色で無毛。丸い皮目が多数ある。
葉には2種類あり、花の付く短枝の葉は大きく、長い葉柄がある。
葉身は長さ5〜15cmの広卵形で、上部は3裂して先は鋭く尖り、縁にはまばらな鋸歯がある。
花の付かない長枝の葉は、小さくて葉柄も短い。葉身は単葉〜3深裂するものまで多様。
短枝の先に集散花序を出し、直径5mmほどの黄緑色の5花弁の花を付ける。オシベは5個。
果実は液果で、直径5〜7mmの球形で、秋には藍黒色に熟す。

2018/11/29
木の幹をツタが這い登って、下の方から紅葉し始めていました。
小さめの葉で、葉柄も短いので、この蔓は花の付かない長枝だったようです。

ミソハギ(Lythrum anceps)
<フトモモ目・ミソハギ科・ミソハギ属>
 
ミソハギ科ミソハギ属の多年草で、在来種。湿地や田の畔などに自生する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では朝鮮半島に分布する。
草丈は50〜100cmで、四角い茎は直立して株元は少し木質化し、細い地下茎を伸ばして群生する。
葉は十字状に対生し、葉身は長さ2〜6cmほどの広披針形で、基部は茎を抱かない。
花期は7月〜8月で、直径15mmほどの紅紫色の花を上部の葉腋に多数付ける。
花弁は4〜6個で、同数の萼片と付属体が交互にある。萼片はは三角形で、付属体は針状で開出する。
オシベは12個あり、長いものが6個と短いものが6個ある。
花後、萼片が閉じて、萼筒に蓋をするが、付属体は平開したままになる。

2018/9/12
花菖蒲田の外れで、畔の縁に1株だけ、花を付けていました。
花期は過ぎているので、多くが咲き終わっていて、咲き残ったものが少しあったようです。
よく似たエゾミソハギとは、花後に萼片が閉じたとき、付属体が平開したままになるのが本種です。


ミソハギとエゾミソハギ

ミソハギ
エゾミソハギ

萼に毛がない
付属体は平開する

萼に毛がある
付属体は直立する

葉が茎を抱かない

葉が茎を抱く

近縁のミソハギとエゾミソハギは、分布域や生育環境もほぼ同じでよく似ています。
ただ、上記の写真でもわかると思いますが、以下の3点で区別することができます。
(1)葉が茎を抱くか否か
(2)萼に毛があるか否か
(3)付属体が直立するか平開するか


ハンノキ(Alnus japonica)
<ブナ目・カバノキ科・カバノキ亜科・ハンノキ属>

カバノキ科ハンノキ属の落葉高木で、在来種。雌雄同株、雌雄異花。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾に分布する。
低湿地や湿原など、湿った場所に森林を形成する数少ない樹木である。
樹高は10〜20mで、幹は紫褐色から灰褐色幹で、不規則に裂けて剥がれる。
葉は互生し、長さ10p前後の長楕円形で、縁に細かい鋸歯がある。葉柄が長い。
春先に展開する春葉は、以降に伸びる夏葉より小さいため、梅雨時に落葉する。
花期は12月〜2月(北海道では3月)で、葉の展開に先だって、単性花を付ける。
雄花穂は、黒褐色の円柱形で尾状に垂れる。開花すると黄色い葯が見えるようになる。
雌花穂は紅紫色の楕円形で雄花穂の下部に付く。果実は、松かさ状で10月頃に熟す。

2016/10/7
ハス田の脇で、心緑色の松かさの様な果実を付けた樹を見かけました。
後で調べて本種と分かりましたが、まだ、傘が開く前のようです。
後で、写真を良く見ると、その上の方に来年に開花する雄花序が付いていました。

ガマズミ(Viburnum dilatatum)
<マツムシソウ目・レンプクソウ科・ガマズミ属>
 
レンプクソウ科ガマズミ属の落葉低木で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州と広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
樹高は2〜6mほどで、幹は灰褐色、若い枝は杯緑色。
1年目の小枝は灰褐色で、開出毛と星状毛があるが、古い小枝は暗紫褐色になる。
葉は対生し、葉身は長さ10cm前後の広卵形で、葉先は尖り、浅い鋸歯がある。
葉の両面に毛があり、特に葉脈上に多い。葉柄は1cm前後。托葉はない。
花期は5月〜6月で、枝先に散房花序をだし、白い小花を多数付ける。
花冠は直径6o前後で、5深裂して平開する。オシベは5本で、花冠から突出する。
果実は長さ7o前後の核果で、赤く熟す。酸味の強い果汁が多く、食べられる。

2016/10/7
薬師池のほとりで、ガマズミが真っ赤な果実をたくさん付けていました。
花の頃には、気にかけていなかったのですが、果実は良く目立ちます。

 
2018/10/17
今年もガマズミが真っ赤に熟した果実をたくさん付けていました。
この時期になると、弥が上にも目に留まる木の1つです。

ヤブマメ(Amphicarpaea edgeworthii Benth.)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・インゲン連・ダイズ亜連・ヤブマメ属>
 
マメ科ヤブマメ属のつる性1年草で、在来種。
日本では、本州の関東以西、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、インド、ネパール、ベトナムに分布する。
林縁などに多く、茎には下向きの毛がある。葉は互生で長柄があり、3出複葉。
花期は9〜10月で、花は2p弱。旗弁は淡紫色で、翼弁と竜骨弁は白色。
豆果は扁平で、長さ3p弱。中に4個前後の黒いまだら模様のある種子が入っている。
また、細い地下茎に付く閉鎖花も結実し、地中に1種子のみの豆果を付ける。

2012/10/8
薬師池からハス田への通路脇で、花を付けているヤブマメに気が付きました。
淡紫色の旗弁が印象的な花です。

ナンテンハギ(Vicia unijuga)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>
 
マメ科ソラマメ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、モンゴルに分布する。
草丈は50cm強までになり、茎は直立して稜がある。葉は互生する。
葉は、小葉2個からなる偶数羽状複葉で、長さ6cm前後の長楕円形で、先は尖る。
花期は6〜11月で、葉腋から総状花序を出し、長柄の先に10〜20個ほどの花を付ける。
花冠は長さ15mmほどで、苞は長さ1mmほどで開花前に落ちる草落性である。
花冠の色は、青紫色から紅紫色で、旗弁には同色の濃い筋模様が入る。
豆果は長楕円形で扁平。長さ30mmほどで、種子が5個前後入る。

2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたもので、ハギの名前が付いていますが、ソラマメの仲間です。
和名は、葉がナンテンに、花がハギに似ていることに由来するようです。
別名で、フタバハギも同じ理由ですが、飛騨地方では、アズキナの名で栽培されているとのこと。


2018/9/12                  2018/9/28   .
久しぶりにナンテンハギの花を見ましたので、100oマクロで撮り直しました。
ツボミでは紫色ではなく、翼弁などで青色が目立ちますが、開花が進むにつれて紫色に変わっていくようです。

ヌスビトハギ(Desmodium podocarpum subsp. Oxyphyllum)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ヌスビトハギ亜連・ヌスビトハギ属>

マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。
草丈は1m前後になり、根元はやや木質化する。葉は、3小葉からなる。
淡紅色の花は、細長い花序にまばらに付き、花期は7〜9月。
節果は、2個の小節果よりなり、半円形。
その形が盗人の抜き足差し足の足跡に似るのが、和名の由来。

2012/10/8
梅園の中で見かけたヌスビトハギです。花は終わりに近く、多くが豆果になっていました。
この豆果の形が和名の由来ですが、何とも迷惑な名前をもらったものです。
良い花の写真が撮れなかったので、花の写真は来年に再チャレンジです。


2017/9/5                   2017/9/1   .
薬師池公園には、所々に大きなヌスビトハギの株があります。
日当たりの良い所では花はピークを過ぎていましたが、木陰の方は花が満開といった状況でした。
それを100oマクロを使って、アップで撮ってみました。

ウツギ(Deutzia crenata)
<ミズキ目・アジサイ科・ウツギ属>
 
アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、在来種。ウノハナ(卯の花)とも呼ばれる。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では中国に分布する。
日当たりの良い場所を好み、山野の川沿いや林縁に自生する。
樹高は数mになり、よく分枝する。樹皮は灰褐色で、新枝は赤褐色を帯びる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜8pほどの楕円形〜卵状披針形で、縁に微細な鋸歯がある。
新枝や葉柄、葉の両面には星状毛があり、葉柄や葉裏の星状毛は密度が高い。
花期は5月〜7月で、枝先に円錐花序を付け、白花を多数付ける。
花弁は5個で、長さ10oほどの倒披針形で、外側には星状毛がある。
オシベは10個で、花弁より少し短めで、花糸の両側に狭い翼がある。
花柱は3〜4個で、花弁とほぼ同じ長さになる。萼片は5個で、丸みのある三角形。
なお、八重咲のものもあり、サラサウツギ(ヤエウツギ)と呼ばれ、花弁の外側に紅色が入る。

2018/11/29
萬葉草花園の奥で、丸々と膨らんだウツギの果実を見つけました。

 
2018/9/12           2018/11/29
夏に見かけたほっそりしたウツギの果実の倍くらいに膨らんでいるようです。


マツカゼソウ(Boenninghausenia albiflora var. japonica)
<ムクロジ目・ミカン科・マツカゼソウ属>
 
ミカン科マツカゼソウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の宮城県以南から四国、九州に分布している。
海外では、中国、台湾、東南アジアなどにケマツカゼソウが分布する。
日本のものを別種とする説、変種とする説、両者を合わせて広義に扱う説がある。
草丈は50〜80cmで、茎は直立して細く、上部で分枝する。
葉は3回3出羽状複葉で、小葉は2p前後の倒卵形。葉質は薄く、裏面は白っぽい。
茎や葉には、組織の隙間に木発形の油が溜まった油点と呼ばれる腺点がある。
花期は8月〜10月で、茎先に集散花序を出し、多数の白い小花を付ける。
花弁は4個で、長さ4o程の長楕円形。萼は4裂し、長さは1mmほど。
オシベは7個か8個で、メシベは1個であるが、特異な形をしている。
長い柄の先に4裂した子房があり、そこから4本の花柱が出て合着し、1個の柱頭がある。
子房の基部に密が溜まる花盤があり、その縁には小さな鋸歯がある。
果実は分離果で、長さ3oほどの卵形の分果に分かれる。
通常は、分果は4個であるが、2個とか3個になることも多い。

2016/10/7
薬師池のほとりにある萬葉草花苑で見かけました。
左端の写真では、花被片より飛び出したオシベが見られます。
左から2番目の写真では、オシベが落下して、4裂した緑色の子房が見えています。
左から3番目の写真では、しおれた花被片から大きくなった4個の子房が伸び出しています。
一方、各々の写真には、大きくなった分果が見られます。
4分果が多いですが、3分果も見られます。奇形でしょうか、5分果も見られます。


2017/9/5
花の写真が不鮮明でしたので、昨年と同じ株で100oマクロで撮り直しました。
花はきれいだったのですが、今年は葉が少々傷んでいました。

ムクロジ(Sapindus mukorossi)
<ムクロジ目・ムクロジ科・ムクロジ属>
 
ムクロジ科ムクロジ属の落葉高木で、在来種。
日本では、本州中部以西から四国、九州、沖縄に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアなどに分布する。
樹高は10〜20mで、日本では神社に植えられていることが多い樹種です。
幹は直立し、淡黄褐色で平滑。古くなると樹皮が薄くはがれる。
葉は互生し、長さが40p前後の偶数羽状複葉で、小葉は交互にずれて付く。
小葉は左右不揃いで、長さ10p前後の狭楕円形で全縁。
花期は6月で、雌雄同株。枝先に長さ数十pの円錐花序を出し、雄花と雌花が多数付く。
雄花、雌花とも直径は5o程で、花弁は5個、萼片も5個、オシベは8〜10個ある。
オシベは、花糸の下半分に毛があり、雄花では4o弱、雌花では3oほど。
雌花のメシベは、長さ3oほどで、心皮は3個あるが、成長するのはその内の1個だけである。
果実は、直径2cm強の球形で、橙黄色に熟す。乾くと皺ができて固くなり、透けてくる。
種子は、直径1cm強の球形で、黒色。羽付きの玉に使われる。油脂を多く含み、食用油が取れる。
また、外果皮はサポニンを多く含むため、泡立つので、昔は石鹸代わりに使われた。

2016/10/7
ハス田に向かう途中にある庭園に、センダンの実を大きくしたようなものを見かけました。
葉の形も、センダンの葉を大きくしたような形をしています。
後で、写真を拡大した所、丸い果実に瘤のようなものが付いていました。
それで、本種の果実と分かったのですが、何とも奇妙な形です。

ホオノキ(Magnolia obovata)
<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属>

モクレン科モクレン属の落葉高木で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州と広く分布している。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は15〜30mで、幹は灰白色。皮目がまばらにある。
葉は互生し、長さが30p前後の倒卵状楕円形で、やや波打ち、全縁。枝先に集まって付く。
葉の表は緑色であるが、葉裏は粉白色。芳香があり、殺菌作用がある。
そのため、食材を包む用途で、朴葉寿司や朴葉餅などに用いられる。
また、落ち葉になっても、比較的火に強いため、朴葉味噌や朴葉焼きに使われる。
花期は5月〜6月で、枝先に上向きに付き、直径は15p程になる。日本の樹木では最大級。
淡緑色の萼片は3個あるが、早期に落下する。白い花弁は6〜9個あり、時間と共に黄変する。
オシベは多数あり、メシベを取り巻くように付く。花糸は赤色を帯びる。
果実は長さが10〜15pほどの袋果の集合果で、熟すと赤褐色になり、種子が垂れ下がる。

2016/10/7
ハス田に向かう通路脇で、大きな果実が落ちているのに気が付きました。
中から赤い種子が覗いていますが、大半はなくなっていました。
後で調べて、ホオノキの果実と分かりました。が、この場所で見た記憶がありません。
きっと、大きな木なので、下を歩いているときには気が付かなかったのでしょう。


ホオノキの花

       .
2017/4/28
薬師池公園ではホウノキを見つけられませんでしたが、隣のえびね苑で見かけました。
大きな樹で、近くで撮ることができませんでしたので、望遠レンズでの撮影です。
大きな花なのでツボミも大型です。開花直後は白い花弁ですが、徐々に黄色味を帯びてきます。
花の中央にある開いていないマツカサのようなものがメシベで、大きな果実になります。


ウメモドキ(Ilex serrata)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>
 
モチノキ科モチノキ属の落葉低木で、自生種。
日本では、本州から四国、九州の落葉広葉樹林内に自生する。
日本以外では、中国にも分布している。
雌雄異株で、葉腋に花を多数付ける。
花の数は、雄花は十数個、雌花はその半分程度で、花弁は4枚か5枚の2種類が混在する。

2018/9/12
春に見かけたウメモドキの花ですが、果実が完熟して真っ赤になっていました。
果実が鮮やかな赤なので、花よりもずっと目立ちます。

オニドコロ(Dioscorea tokoro)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>

ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本各地の山野に自生している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
葉は互生し、長さや幅が5〜15pの円心形から三角状心形で、先が尖る。葉柄は5〜10pほど。
花期は7月〜8月で、雌雄異株。雄花序は葉腋から立ち上がり、淡緑色の花を多数付ける。
雄花の花被片は6個で、直径4oほど。平開し、オシベが6個ある。
雌花序は葉腋から垂れさがり、淡緑色の花をまばらに付ける。長さ10oほどの下位子房がある。
花弁は6個で平開し、退化したオシベ6個とメシベがあり、花柱は3裂する。
果実には3室あり、それぞれに2個の種子が入っている。種子は楕円形で、片側に翼がある。
ヤマノイモに良く似るが、葉が互生する点、ムカゴを作らない点などが異なる。
根はアルカロイドを含み、食用には適さないが、灰汁であく抜きすることで食べることはできる。

2018/9/12
梅園の生け垣に、ヘクソカズラとオニドコロが絡みつき、たくさん花を付けていました。
オニドコロは全て雄株のようで、たくさんの雄花を付けていました。

 
2018/10/2
薬師池公園の裏口に向かっているとき、通路脇の法面にぶら下がっている蔓に気が付きました。
よく見ると、少ないですがオニドコロの果実が付いていました。久しぶりに見る果実でした。


 
2018/10/17
薬師池公園の裏口に向かう通路脇の法面で見かけたオニドコロの果実、どうなったか見てきました。
前回は、若干色が褐色に変わり始めたところでしたが、すっかり枯れて茶色くなっていました。
も少しすると下記のように裂開して、中から種子が出てきます。


オニドコロの果実/種子

   .
2013/11/24
奈良の室生寺へ向かう参道脇で見かけたオニドコロの果実です。持ち帰って撮影しました。
垂れ下る花序に、楕円形のさく果は上向きに付き、3つの翼があります。
果実の翼の部分に種子が入っており、裂開して各々2個の種子が出てきます。
種子にはカエデの種子のように翼があり、風に乗って飛びます。


チダケサシ(Astilbe microphylla)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・チダケサシ属>
 
ユキノシタ科チダケサシ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では、東アジアや北アメリカに分布する。
草丈は40〜80cmで、根茎は太く斜上する。葉は2〜4回奇数羽状複葉で深裂する。
小葉は長さ2〜4cmの楕円形で、幅は1〜2cm。葉先は鈍頭で、縁には不揃いな重鋸歯がある。
花期は7月〜8月で、長く伸びた花茎の先に複総状花序を付ける。花序の分枝の間隔は開き、側枝は短い。
その花序枝に花が密に付き、花序軸や花序枝には腺毛が密生する。
5個の花弁は細いへら状で、淡紅紫色〜白色、長さが雄しべと同長かやや長く、3〜5o。
雄しべは10個で、長さ3o。葯は淡紅紫色〜淡青紫色。

2018/9/12
萬葉草花苑に植えられていたもので、花期が終わり結実していました。
八ヶ岳などで咲いている所はよく見かけますが、結実したところを見たのは初めてです。

 
2018/10/17
1ヶ月ほど経った頃の様子です。
青々としていた果実も、一部は枯れて乾燥し、褐色になっていました。


チダケサシの花

       .
2017/4/28
八ヶ岳自然文化園で見かけたチダケサシの花です。
花色は、淡紅紫色〜白色まで変化があり、上記の写真で中央のものが白色の個体です。


シオデ(Smilax riparia)
<ユリ目・サルトリイバラ科・シオデ属>
 
サルトリイバラ科シオデ属の多年草で、在来種。雌雄異株。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布する。海外では北東アジアに分布する。
茎は蔓状に長く伸び、托葉の変形した巻ひげで他のものに絡みつき、長さは数mになる。
葉は互生し、長さ5〜15cm程の卵状長楕円形で、葉柄は長さ2cm前後。先が尖り、全縁。
花期は7月〜8月で、葉腋から散形花序を出し、淡黄緑色の小花を付ける。
雄花の6個の花被片は長さ数mmの披針形で反り返り、葯は線形で鉤型に曲がる。
雌花の6個の花被片は少し小さめの長楕円形で反り返り、緑色の子房の上の柱頭は3裂する。
球形の果実は液果で、秋に熟すと黒くなる。
若い茎や新芽、若葉は山菜として、天ぷらやお浸し、酢の物などに利用される。

2018/9/12
萬葉草花苑に植えられていたもので、春に新芽が伸び出したところは見ています。
その後、見る機会を逸していて、昨年も気が付いたら秋で、果実になっていました。

 
2018/11/29
萬葉草花園に行った際、シオデはどうなったかと見てみると、すっかり枯れていました。
葉は茶色く枯れ、果実は黒くなって干からびていました。
枯れた葉が逆光に透けて見え、いかにも晩秋といった趣を醸しています。
シュロソウ(Veratrum maackii Regel var. japonicum (Baker) T.Shimizu)
<ユリ目・メランチウム科・シュロソウ属>
 
メランチウム科シュロソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州に分布し、海外では朝鮮半島に分布する。
草丈は60〜80cmで、太い根茎があり、茎は直立する。
根茎には毒性の強いアルカロイドを含むので、取り扱いには注意を要する。
葉は、茎の下部に付き、長さが6〜30cmの長楕円形で、並行脈で、縦にしわがある。
葉の基部は鞘状になり、茎を抱く。葉の幅は3cm以上で、3cm以下だとホソバシュロソウとされる。
花期は6月〜8月で、茎頂に長い円錐花序を出し、多数の花が付く。花茎や花柄には毛がある。
花は直径10mmほどで、両性花と雄花が混生し、花序の上部に両性花、下部に雄花が付く。
花柄は短く、花茎に沿って花が付き、花被片は6個で、花色は暗紫褐色。花柱は3個。
果実は刮ハで、長さは10〜15mmほど。

2018/9/12
萬葉草花苑に植えられていたシュロソウですが、今年も長い茎を立ち上げ、多数の花を付けていました。
花色は暗紫褐色なので、咲いていても目立たず、遠目では花なのか枯れたものなのか分かりにくいです。
シュロソウ属など詳しくは、こちらを参照ください。

   
2018/10/2
しばらくして見に行くと、花はすっかり咲き終わり、一部の果実が裂開していました。

タイワンホトトギス(Tricyrtis formosana Baker)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属>
   
ユリ科ホトトギス属の多年草で、在来種。日当たりの弱いところに生える。
日本では、西表島のみと自生地が限られ、個体数も少ない。
園芸用に販売されているのは、タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種と言われている。
茎は屈曲し、葉は互生する。葉身は長さ10cm前後の狭卵形で、縁は全縁、基部は茎を抱く。
茎や葉表は無毛かわずかに毛がある程度であるが、葉裏は有毛。
花期は9月〜10月で、茎頂や葉腋に集散花序を出し、まばらに花を付ける。
雌雄同花で上向きに咲き、青紫白色の花被片は斜め上向きに開く。表面に濃い紫色の斑点がある。
花被片基部の内面にある橙色の斑紋はやや不鮮明。花柱や柱頭、花糸にも斑点がある。
ホトトギスの和名は、斑点の入る花が、ホトトギスの胸の模様に似ることに由来する。

2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたもので、おそらく園芸品種であろうと思われます。
日本に自生するヤマホトトギスとは花の形や咲き方が異なります。

   
2018/10/2
久しぶりにタイワンホトトギスが咲いているのを見たので、100oマクロで撮り直しました。


タイワンホトトギスとヤマホトトギスの花

     .

     .
<タイワンホトトギス>       <ヤマホトトギス> .
タイワンホトトギスとヤマホトトギスは、基本的な構造は同じです。
ただ、斑点の出方や花被片の反り方などに違いがあり、見た目はヤマホトトギスの方が質素ですね。


ヤマホトトギス(Tricyrtis formosana Baker)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属>
 
ユリ科・ホトトギス属の多年草で、在来種。
日本では、関東以西の太平洋側および長野県に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国にも分布する。
葉は互生し、葉身は長さ10〜20cmの長楕円形で、先は尖り、縁は多少波打つ。
芽生えの頃の葉と基部の葉に黒っぽい斑点(油点)が多くある。
花期は7月〜9月で、茎頂や上部の葉腋に散房花序を出し、上向きの花を数個付ける。
花は直径20o程で、6個の花被片は反り返り、白地に紅紫色の斑点がある。
なお、他のホトトギス属に見られる花被片基部の黄色い斑紋はない。
花の中心から3個の花柱が、10o程立ち上がって横に広がり、さらに柱頭は2裂する。
それを取り囲むように6個のオシベが同様に立ち上がり、メシベの下で横に湾曲する。
花糸の外面や花柱の基部には、斑点があるものや無いものがある。

2016/10/7
薬師池公園の裏門から入った斜面で、細長い果実を見つけました。
葉の形や付き方は、ナルコユリに近いのですが、果実の形が異なります。
さらに調べていると、ホトトギスの仲間にたどり着きました。
葉の付き方や果実(要は花)の付き方から、本種としました。
ただ、花を確認できていないので、異なる可能性もあります。

 
2017/4/28           2017/5/3
話は変わりますが、春に薬師池公園を訪れるとよく見かける斑点のある葉。
どんな花が咲くのか調べてもわからず、謎の野草となっていました。
それが、ヤマホトトギスを調べていて、本種の春先の葉で、斑紋は油点と分かりました。
油点が出るホトトギス属は他にもあるので、本種と確定できませんが、上記の件もあり、本種としました。

   
 
2017/9/5
ヤマホトトギスト仮にしていた本種ですが、間違いないことが確認できました。
薬師池公園内の法面など、あちらこちらで花を見ることができました。
花被片の紅紫色の斑点は、少ないものから多いものまで株毎に異なります。
また、花糸や花柱側面には紅紫色の斑点が無いものが多いですが、若干あるものもありました。

上段右端の花は、強く反り返り、オシベの下方に紫斑点が認められる典型的なヤマホトトギスの花です。
左端の花ほど、反り返りが弱くなり、花弁の紫斑点が少なく、オシベの紫斑点もありません。
どちらかというとヤマジノホトトギスの花に近い特徴がありますが、下段の様に花の付き方が違います。
この花が散房花序に付く咲き方は、ヤマホトトギスの花の付き方で、そのため、本種としています。

ヤマユリ(Lilium auratum)
<ユリ目・ユリ科・ユリ属・ヤマユリ亜属>
 
ユリ科ユリ属の球根植物で、日本固有種。
北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する。
草丈は1mを超え、頂部に数輪の花を付ける。なお、大きな株では10輪近く咲く場合もある。
花の直径は20cmにもなり、ユリ科の中でも最大級で、その重みで茎が湾曲することもある。
花弁は、内花被片、外花被片、各々3枚からなり、オシベも6本ある。
花被片は、白地に多数の紅斑があり、花被片の中心に黄色の筋がある。
花の香りは、甘く濃厚で、非常に強く香る。
球根の鱗片には、多糖類の1種であるグルコマンナンを多く含み、苦みが少ないので食用となる。
果実は刮ハで、六角柱型をしている。3つに裂開して、翼のある扁平な種子が風に乗って飛ぶ。
なお、種子が発芽して開花するまでには5年ほどかかると言われている。

2018/10/2
夏には、見事な花を見せていたヤマユリですが、大きな果実(刮ハ)になっていました。
まだ、熟しておらず、緑色をしていますが、熟すと3裂します。

ヘクソカズラ(Paederia scandens)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヘクソカズラ連・ヘクソカズラ属>

 
アカネ科ヘクソカズラ属のつる性多年草で、全国で見られる。
日本以外では、東アジア一帯に分布し、北アメリカやハワイなどに帰化している。
特有のいやな臭いがあり、これが和名の由来。
葉は対生し、楕円から狭卵形で、長さ4〜10p、幅1〜7p。
花期は7月〜9月で、葉腋から短い集散花序を出し、花をまばらにつける。
花冠は鐘状で長さは1p前後。灰白色で先は5残裂し、中央は紅紫色で毛が生える。
花糸の短い5個の雄しべは、花冠の内部に付く。花柱は2個で、基部で合着する。
果実は、直径5oほどの球形の核果で、黄褐色に熟す。

2018/9/12
梅園の生け垣に、ヘクソカズラとオニドコロが絡みつき、たくさん花を付けていました。
花が終わり、花冠が落ちて子房が大きくなり始めているものもありました。




2018/10/2
しばらくして見に行くと、花期は終わって、たくさんの果実ができていました。
まだ、緑色をしたものから、黄色く色づいて完熟間近のものまで混在してます。

ノキシノブ(Lepisorus thunbergianus)
<ウラボシ目・ウラボシ科・アヤメシダ亜科・ノキシノブ属>
 
ウラボシ科ノキシノブ属のシダの一種で、在来種。
日本では北海道最南部から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、フィリピンなどに分布する。
茎は短くて横に這い、多数の細かい根を出して樹皮などに着生する。
茎の表面には一面に鱗片があり、葉は茎から出て、長さ5〜15p程の披針形の単葉。
先端は細くなって尖り、基部は徐々に細くなって、短い葉柄がある。
葉は少し肉厚で、黄緑色。乾燥すると葉は左右から裏に巻き込み、丸まる。
胞子嚢は円形のソーラスとなって、葉先側1/2の葉裏の主脈両側に1列になって並ぶ。

2016/10/7
ハス田に向かう通路脇の樹の幹に、苔と共にノキシノブがたくさん張り付いていました。
ここ最近、雨が降っていないので、ノキシノブは乾燥モードに入ったようです。
葉の色が白っぽくなり、裏に巻き込んで、大きく縮れていました。

 
2017/9/5
乾燥して縮れたノキシノブの写真しかなかったので、瑞々しい個体を撮り直しました。
今年は雨が多かったこともあるのでしょうか、黄緑色のきれいな葉をしています。

フユノハナワラビ(Botrychium ternatum)
<ハナヤスリ目・ハナヤスリ科・ハナワラビ属>

ハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い山地や草地などに自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、インド、ネパールに分布する。
草丈は15〜50cm程で、根茎は短く、直立する。
秋に栄養葉と胞子葉を展開し、そのまま越冬して、初夏に地上部が枯れる。
ただし、胞子葉はその役目を終えると晩秋には枯れ、越冬するのは栄養葉のみである。
栄養葉は、葉柄が長さ5〜12cmあり、葉身は長さ5〜10cm、幅8〜12cmほどあり、無毛。
3〜4回羽状に深裂し、羽片は広楕円形で縁に鈍鋸歯があり、先は鈍い。なお、基部の羽片は有柄。
胞子葉は、栄養葉の葉柄の基部から分枝してほぼ直立し、茎の長さは12〜25cm、穂は4〜10cmある。
穂は2〜3回羽状に分岐し、円錐状に丸い胞子嚢を多数付ける。

似たものにオオハナワラビやアカハナワラビがあるが、下記により区別可能。
オオハナワラビ 葉の先が鋭頭・茎や葉柄に毛がある
アカハナワラビ 葉の先が鋭頭・茎に毛がない
フユノハナワラビ 葉の先が鈍頭

2017/9/5
萬葉草花苑で、苔の中からフユノハナワラビが、葉の展開してない茎を立ち上げていました。
左に傾いて葉が展開しかかっているのが栄養葉で、垂直に立ち上がっているのが胞子葉と思われます。
このような状態で本種としたのは、名板にそう記されていたからです。

 
2018/9/12
時期的には、昨年より1週間後なのですが、すっかりフユノハナワラビらしい草姿です。
栄養葉を横に展開し、胞子葉もしっかりと立ち上がっています。
左の写真の株は、昨年撮った上記の写真と同じ株です。
右の写真は別の場所で見かけた株ですが、胞子葉の展開が、左のものより進んでいます。
といっても、胞子葉が本来の役割を果たすには、もう少し時間が必要なようですが。


2018/10/17
1ヶ月ほどった頃のフユノハナワラビの様子です。
未成熟で緑色をしていた胞子嚢も、淡褐色に色付き、胞子を飛散させるのもそう遠くはなさそうです。


 
2018/11/29
10月には淡褐色で若々しかった胞子嚢ですが、褐色になって、割れ始めていました。
割れたところに白く線が入っているのは、胞子が出ているということです。
試しに指で胞子葉を触ると、白い胞子が飛び出し、粉が舞っているように見えました。
下段がその時の様子ですが、右側はモノトーンにして胞子を見やすくしたものです。

 


201/12/13
2週間ほど経ちましたが、胞子はすっかり放出されて、胞子嚢は貝が口を開いた様になっていました。
11月には、丸かった胞子嚢の中央から割れ、その割れ目に胞子が付いて、白くなっていました。
胞子嚢の割れ目の上下は半球状でしたが、それが捲れ上がるように反って、胞子が出やすくなるようです。
その結果、胞子が出終わったものでは、貝が口を開いたような形になります。
胞子を放出し終わった胞子葉は、後は枯れるのみとなり、下段のように萎びて倒れて行きます。
栄養葉はそのまま越冬して翌夏に枯れますが、その後の様子はこちらを参照ください。

ハイイロイタチタケ(Psathyella cineraria)
<ハラタケ目・ナヨタケ科・ナヨタケ属>
 

ナヨタケ科ナヨタケ属のキノコで、在来種。
初夏〜秋にかけて、広葉樹の枯れ木上に単生あるいは群生する。
傘の直径は3〜6cmで、最初釣り鐘形〜半球形。成熟時には饅頭形〜平開する。
表面は湿潤時には暗灰褐色で中央部は濃色。条線がある。乾燥すると周辺部から退色する。
ヒダは上生して密に付き、最初は白色であるが、褐色に変わっていく。
柄は長さ4〜7cm、直径は5〜10oで多少下部に向かって太くなる程度。
傘の中心に付き、灰白色でもろくて中空で、ツバはない。
下部には反り返った繊維状鱗片が密に付くが、間もなく脱落して平滑になる。
肉は白色で数mm以下と薄く、傘の中央付近で暗灰色を帯びる。

2018/10/17
薬師池公園の裏門から入って、水車小屋の方に下って行く途中でいくつか見かけました。
若いと思われる個体は傘の色が灰白色ですが、古いと思われるものは褐色がかっていました。
下段は、細い枯れ枝に生えていたものを、枝ごと持ち上げて撮ったものです。

カイガラタケ(Lenzites betulinus)
<タマチョレイタケ目・タマチョレイタケ科・カイガラタケ属>


タマチョレイタケ科カイガラタケ属のキノコで、在来種。全世界に広く分布する。
なお、科名はタマチョレイタケ科、サルノコシカケ科(仮名)など統一されていない。
夏〜冬に広葉樹の枯木に発生するが、針葉樹にも稀に生える。
子実体は1年生で、側着生か背着生で無柄。中型のキノコで白色腐朽菌。
傘は半円形〜扇形で、幅は10cm前後、厚さは10mm前後になる。
表面には短い粗毛が密生し、黄白色〜灰白色と灰褐色〜暗褐色の明瞭な幅の狭い環紋がある。
裏面は白色〜淡灰色で、子実層托はひだ状。ひだは深さ5mmほどで、間隔は1mm前後。
ひだは放射状に延びるが、途中で分枝したり、逆に吻合したりする。
肉は白色の革質で強く、厚さは1〜2o程度。

2018/10/17
薬師池公園の裏門から入って、水車小屋の方に下って行く途中、ハイイロイタチタケの近くで見かけました。
きれいな環紋が見られたので、マンネンタケ科の仲間であろうと裏面を見てびっくり。
裏面は管孔面だろうと想像していたのですが、なんとひだがあります。
マンネンタケ科ではないのかと、とりあえず写真を撮って後で調べました。
結果はやはりマンネンタケ科のキノコでしたが、裏面がひだ状になるカイガラタケでした。

オオミノコフキタケ(Ganoderma austoria)
<タマチョレイタケ目・タマチョレイタケ科・マンネンタケ属>


タマチョレイタケ科マンネンタケ属の多年生のキノコ。
なお、科名はタマチョレイタケ科、サルノコシカケ科(仮名)など統一されていない。
キノコ自体は灰褐色や茶褐色だが、ココアの粉状の胞子を撒き散らし、自身も覆われている事が多い。
しかし、不思議なことに胞子を吹き出す管孔面には全く付着せず、白いままである。
傘の形は半円形〜腎臓形で、傘の色は淡灰色〜灰褐色〜暗褐色と個体差があり、同心円状の環溝がある。
子実層托は管孔状で、白色〜淡黄白色。孔口は円形で4〜5個/mm。管孔は擦ると茶褐色に変色する。
近年、コフキサルノコシカケと思われていたものが、実は、本種であった事が分かっている。
特に、低地で見られるものは、ほとんど本種で、コフキサルノコシカケは深山で見られるとのこと。
ただ、見かけはコフキサルノコシカケと酷似しており、外見での判別は困難で、下記の点が異なるとされる。
・断面を見ると管孔と肉質部分の境界に黒い線が入るのがオオミノコフキタケ(コフキサルノコシカケにはない)
・殻皮の厚さが3o以上あるのがオオミノコフキタケ(コフキサルノコシカケは3o以下)
・胞子の大きさの違いがあり、オオミノコフキタケは8.5μm以上ある(コフキサルノコシカケはこの半分程度)
ただし、両者の特徴を併せ持つ中間型も見つかり、上記の判別法も決め手にならないとのこと。

2018/10/2
梅園の中を歩いているとき、1本の梅の木に、大きなオオミノコフキタケが出ているのに気が付きました。
かなり成長しているので、梅の木のこの枝にはかなりのダメージが出ているものと思われます。
下段は、中央の写真のアップで、管孔面の様子です。淡褐色の部分にたくさんの孔口が確認できます。



2018/10/17
薬師池公園の裏門から入って、水車小屋の方に下って行く途中、古い切り株で見かけました。
上段の個体は、ココアパウダーをまぶしたように、キノコの上面や周囲を褐色に染めていました。
オオミノコフキタケの本領発揮といったところでしょうか。中央の写真では白い管孔面も見えています。
しかし、下面から出る胞子がその下部や周囲に溜まるのは分かりますが、なぜ、上面に溜まるのか不思議です。
雨上がりに大量の胞子が放出され、それが上昇気流で飛散するためこうなるそうですが、現場を見てみたいものです。
下段の写真は、上段の個体の反対側に見られたもので、まだ、若い個体のようです。
割れ目の奥から扇状に成長したようで、扇状の先端部分には白い成長点がはっきりと見てとれます。
その少し脇には、さらに小さな個体が割れ目に沿って伸び始めていました。

キチチタケ(Lactarius chrysorrheus)
<ベニタケ目・ベニタケ科・チチタケ属>

ベニタケ科チチタケ属のキノコで、在来種。
北半中の温帯に広く分布し、発生時期は夏から秋にかけてである。
アカマツやコナラなどの林内の地上に単性、あるいは散生する。
傘の直径は5〜9cmで、開き切ると浅い漏斗型になる。
傘の色は、赤褐色から黄赤褐色で、表面に同心円状の濃色の環紋がある。
柄は直径1〜2cmの中空の円柱状で、表面は最初は傘より淡色だが、後に濃色となる。
ひだは、クリーム色から淡赤褐色で、やや密に並び、柄に直生かやや垂生する。
傷つけたり、柄を折ったりすると白い乳液が出るが、空気に触れると黄変する。

2018/9/28
萬葉草花苑の裏門から入って、水車小屋の方に降りる斜面であちらこちらで顔を出していました。
傘の中央が凹んが漏斗型で、傘の表面には濃褐色の同心円状の環紋が見られます。
いろいろ調べて、キチチタケかキハダチチタケに行き着いたのですが、発生場所からキチチタケとしました。
傷つけて、出てきた乳液の変色が何色か確認すればよかったのですが、確認していません。
キハダチチタケは、針葉樹系の林に出るようなので、広葉樹しかないここには出ないと判断したものです。










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