薬師池公園で見かけた野草(夏U)
和名インデックス |
アキノタムラソウ(Salvia japonica)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属> シソ科アキギリ属の多年草で、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。 草丈は20〜50cmほどで、茎は角張った四角形で、真っ直ぐに立ち上がる。 葉は対生し、単葉から奇数羽状複葉(小葉は3〜7個)。小葉は長さ3cm前後で広卵形。 花期は7〜11月と長く、茎の上部に10〜20cmの花穂を出す。 花は花穂に5〜10段ほど輪生し、長さ15o前後の淡紅色〜青紫色の唇型。 花冠の外側に白い毛が多数付き、2本のオシベは最初上唇に付くように伸び出す。 葯が開くと、花糸が下方外向きに湾曲する。
2016/7/12
菖蒲苑の上の方の斜面で、アキノタムラソウがあちらこちらで咲き始めていました。 左端の写真では、オシベは上唇に着いていますが、中央の写真では牙のように下向きに突き出しています。 | ||||||||||
イヌトウバナ(Clinopodium micranthum)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・トウバナ属> シソ科トウバナ属の多年草で、在来種。山地の木陰などに自生している。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に、海外では朝鮮半島に分布している。 草丈は20〜60cmで、茎は下部で地を這い、先は斜上か直立して、よく分枝する。 葉身の長さは数pで、長い葉柄があり、卵形で先は丸みを持つ。 縁には粗い鋸歯があり、葉裏には腺点が多数ある。なお、上部に行くほど枝葉は小さくなる。 花期は8〜10月で、花冠は淡紅紫色から白色で、下唇には紅紫色の斑紋がある。 また、花冠の2裂した上唇は小さく、3裂する下唇は大きい。 萼は長さ5oほどで、脈上に白くて長い毛が開出する。
2012/10/8
薬師池からハス田の方へ行く途中、通路脇で花を付けているイヌトウバナに気が付きました。 2016/7/20 最初に見た時から4年は立っているのですが、まだ、健在でした。 上の写真は、ほぼ咲き終わりの頃ですが、この写真は咲き始めたばかりなので、若々しい感じがします。 | ||||||||||
ダンギク(Caryopteris incana)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・カリガネソウ属> シソ属カリガネソウ属の半常緑の多年草で、在来種。耐寒性は低い。 日本では、日本では九州に分布し、対馬に特に多い。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 江戸時代から園芸種として植栽され、花壇や鉢植えなどで親しまれている。 草丈は、1m前後になり、茎の基部は木質化して褐色になる。 葉は対生し、キクの葉に似た卵形で、裏面には毛が密集する。縁には粗い鋸歯がある。 花期は7〜9月で、上部の葉腋に芳香のある花を、数段、密に輪生する。 花冠は5裂し、その内の大きな1枚は細かく裂ける。オシベやメシベは花冠から長く飛び出る。 花冠の色は、淡青色、淡紅紫色、白色の品種がある。
2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたものですが、淡青色と白色の2品種が植えられていました。 花の形は全く異なりますが、葉の形はキクに似ていて、名前の由来が分かります。 2016/7/25 開花前のダンギクの葉姿です。やはり、葉の形などは菊に似ていますね。 | ||||||||||
ナミキソウ(Scutellaria strigillosa)
<シソ目・シソ科・タツナミソウ亜科・タツナミソウ属> シソ科タツナミソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海岸の砂地に生育する。 海外では、朝鮮半島、中国東北部、千島、樺太に分布する。 草丈は数十p程度で、地下茎を伸ばして増え、茎や葉には軟毛がある。 葉は対生し、長さ2〜4pほどの長楕円形で、葉先は丸い。縁には浅い鋸歯がある。 花期は6〜9月で、茎の上部の葉腋に青紫色の花を1個付ける。 葉は対生しているので、花も対生に付き、同じ方向に並んで開花する。 花冠は5裂し、その内の大きな1枚は細かく裂ける。オシベやメシベは花冠から長く飛び出る。 花冠は長さ2pほどで、筒部が長く、基部で立ち上がって開花する。
2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたものですが、開花が始まって間がないようでした。 淡青色の下唇にある縦長の白斑が特徴です。 2017/5/30 秋に咲いていたナミキソウですが、咲き始めるのは初夏の今頃です。 マクロレンズを購入したので、撮り直しました。 | ||||||||||
温帯スイレン(Nymphaea spp.)
<スイレン目・スイレン科・スイレン属> スイレン科スイレン属の多年草で、浮葉植物。 日本に自生するスイレン属はヒツジグサのみで、池などで見られるのは温帯スイレンの園芸品種である。 水位があまり変動しない池などで、地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべる。 葉はほぼ円形で、中心付近に葉柄が着き、その部分に深い切れ込みが入る(ハスには切れ込みがない)。 葉の表面に強い撥水性はなく、ハスの葉ほどには水は弾かない。 多くの植物では気孔は葉の裏側にあるが、スイレンでは葉の表側に分布する。 根茎から直接伸びる花柄の先端に直径5〜10cmほどの花をつける。 花の色、葉の色、模様、などについて様々な姿の園芸品種が作出されている。 スイレン属には、一定の耐寒性がある本種以外に、「熱帯スイレン」がある。 熱帯スイレンは寒さに弱く、15℃以下になると枯れ死するので、通常、温室が必要になる。 ただ、熱帯スイレンには、温帯スイレンにはない青や紫の花色の品種がある。
2016/7/20
ハス田の近くにある小さな池で、ナガバオモダカと混生していました。 品種名までは分かりませんが、ピンクの大きめの花を咲かせていました。 2016/7/25 先週は開花していませんでしたが、濃いピンクと黄色の花が咲いていました。 ピンクの株と比較すると、数割程度の大きさしかないので、最近追加されたのかもしれません。 | ||||||||||
コウホネ(Nuphar japonicum)
<スイレン目・スイレン科・コウホネ属> 2017/5/31 2017/6/9 2017/6/9
スイレン科コウホネ属の水生の多年草で、日本では北海道から九州まで全国に分布している。
海外では、朝鮮半島に分布している。 水中葉と水上葉を持ち、冬場は水中葉のみとなる。 水中葉は、薄くてヒラヒラして細長く、水上葉は肉厚で長卵形をしており、光沢がある。 長く直立した花柄を伸ばし、その先に黄色い花を1つ付ける。 花弁に見えるのは萼片で5枚ある。花弁はその内側に多数あり、外側に湾曲している。
2017/5/31、6/9
萬葉草花苑の上段の方で、水鉢に植えられたアサザとコウホネを見つけました。 どちらも黄色い花なので、遠目でも目立ちます。 八ヶ岳の方でも自生のものを見たことはあるのですが、遠くてアップでの撮影ができていませんでした。 ここは鉢植えなので、至近距離からの撮影が可能で、アップで撮影することができました。 解説では、5枚の花弁のようなものが萼片で、その内側に反り返った花弁があるとのこと。 左端の写真では見えないのですが、中央の写真でオシベの下の幅広いものが花弁です。 といっても、先端部分が少し見えているだけです。その上にオシベが反り返って開いています。 文章で読んでもピンときませんでしたが、実物を見て納得です。 2017/6/9 2017/6/9 2017/5/31 . コウホネのツボミから開花する様子です。半開きの状態で、既にオシベがかなり開いています。 オシベが完全に開くと、中央の柱頭盤の下部、メシベの花柱が見えるようになります。 | ||||||||||
ヤブミョウガ(Pollia japonica Thunb.)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ヤブミョウガ属> ツユクサ科ムヤブミョウガ属の多年草で、在来種。 日本では、本州中部以南から四国、九州に分布する。 海外では、朝鮮半島南部から中国、台湾、インドシナ半島に分布する。 林の中や藪に自生し、草丈は50cm以上になる。 7月〜9月頃に茎の先に円錐花序を付け、白い小花を輪生状に重なって付ける。 花は、両性花と雄花が混じって咲き、球形の果実を付ける。果実は熟すと黒紫色になる。
2016/7/20
菖蒲苑脇の斜面下に大きな群落を作り、たくさんの花を咲かせていました。 ミョウガの名前が付いていますが、ショウガ科ではなく、ツユクサ科の植物です。 2017/9/1 ヤブミョウガの花もピークを過ぎ、花と果実が混在している時期になっていました。 上段は、左から開花した花、花後に大きくなった白い果実、未熟な果実から黒紫色に熟した果実です。 果実は、白→淡緑色(最初の左端の画像)→黄褐色→淡青色→黒紫色と熟していきます。 下段は、花と熟した果実が混在している状況で、井戸の周りで見られました。 2016/10/7 黒紫色に熟したヤブミョウガの果実です。 | ||||||||||
ミズアオイ(Monochoria korsakowii)
<ツユクサ目・ミズアオイ科・ミズアオイ属> ミズアオイ科ミズアオイ属の1年草で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布するが、環境の悪化などで激減している。 海外では、朝鮮半島から中国、ウスリーに分布する。 水田の畦や湖沼などに生息する抽水植物で、草丈は1mに達する事もある。 葉は根生で長い葉柄があり、葉身は水面下では線形、水面上では円心形で、先は尖る。 花期は7〜10月で、花茎を伸ばして先に花序を付ける。 花は直径3cmほどで、青紫色の花被片は6個、内花被片は外花被片より幅が広い。1日花。 オシベは6本で、内5本の葯は黄色。他の1本は紫色で下に突き出す。 その突き出したオシベと対をなすように、メシベが反対方向に突き出す。
2012/10/8
萬葉草花苑に植えられていたものですが、きれいな青紫色の花が印象的でした。 子供の頃よく見かけましたが、環境省RDBでは絶滅危惧U類に指定されるほど減っているんですね。 | ||||||||||
ミゾソバ(Polygonum thunbergii)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属> タデ科イヌタデ属の1年草で、在来種。水辺などの湿ったところに群生する。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、インドなどに分布する。 草丈は30〜100cmで、茎の下部は地を這い、先は斜上する。 茎は中空で、下向きの小さな刺があり、葉は互生する。 葉は、先が尖り基部が横に張り出す鉾型で、長さは5〜10cm。葉柄や葉脈にも小さな刺がある。 花期は7〜10月で、茎先に頭状花序を付け、10個ほどの花が集まって咲く。 花被は5裂し、花被片の長さは5o弱。花色は白色〜淡紅紫色で、先の方が紅紫色。 オシベは8個、メシベの花柱は3裂する。
2012/10/8
水の抜けたハス田の畔近くに群落を作っていました。 露出オーバーで花の色が飛んでしまっていますが、ツボミの先が紅紫色なのが分かります。 2016/10/7 以前、撮影した時、露出オーバーで色が飛んでしまっていたので、撮り直したものです。 多少アップで撮影したので、前より見やすいと思います。 | ||||||||||
カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ナデシコ属> ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、在来種。日当たりの良い草地や河原などに自生する。 日本では本州から四国、九州に分布している。海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 草丈は30〜50cm程度で、茎は根際から叢生し、各節は膨らむ。 葉は対生し、線形で長さ5p前後。先は鋭く尖り、基部は茎を抱く。葉柄はなく、全縁。 花期は7〜10月で、茎頂に直径5p弱の花を付ける。 淡紅色の花弁は5枚で、先が細かく裂ける。花弁の基部にはひげ状の毛がある。 萼筒は長さ4cm弱あり、苞は3対か4対ある。オシベは10本、メシベの花柱は2本ある。 なお、花色は淡紅色が多いが、白色のものも見られる。 本種の基変種は、エゾカワラナデシコで、本州の中部以北に分布しており、非常に良く似ている。 見分け方は、草丈が低く、苞が2対しかない点である。
2016/7/20
萬葉草花苑に植えられていたものです。 別名の「ナデシコ」、「ヤマトナデシコ」の方が有名かもしれませんが、これが標準和名です。 以前は、よく目にする植物でしたが、最近は自生のものに出会った記憶がありません。 ここには2株ほど植えられていたのですが、片方が少し変わっています。 2016/7/25 2016/7/25 2016/7/25 2016/7/25 左端の花弁では、広がって細かく裂ける手前あたりに細い毛が確認できます。 この細かい毛があるのが特徴であり、基変種のエゾカワラナデシコや高山型のタカネナデシコも同様です。 しかし、右側のカワラナデシコの花弁には、この細かい毛が全く見当たりません。 苞の数は、左はは3対、右は4対あり、花弁も細かく裂けているので、本種で間違いはないと思っています。 | ||||||||||
ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ワレモコウ連・ワレモコウ属> バラ科ワレモコウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。 海外では、朝鮮半島、中国、シベリアに分布し、アラスカにも帰化している。 草丈は1m程になり、茎は上部で枝分かれして、その先端に穂状の花序を付ける。 葉は、根際か茎の下部に付き、奇数羽状複葉で、小葉は5〜13枚。 枝分かれした茎の先に赤紫色の花穂を付ける。花は、花穂の上から下に咲いていく。 花には花弁はなく、4枚の萼片がある。萼片は咲き始めは紅紫色で、咲き終わると暗紫色になる。
2017/9/1
萬葉草花苑でワレモコウが花を付けていました。 地味目の花ですが、花が先の方から咲き下る、ちょっと変わった花です。 2018/9/12 昨年より1週間遅いのですが、開花が始まってからそう時間は立っていないようです。 花穂の先の方は既に咲き終わっていましたが、少し下の方の花が開花して、黄色い葯が見えています。
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シモツケ(Spiraea japonica)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属> バラ科シモツケ属の落葉低木で、再来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 樹高は1mほどにしかならず、茎はよく分枝する。 葉は互生し、葉身は長さ3〜8cmの狭卵形で、縁には不揃いな重鋸歯がある。 花期は5月〜8月で、枝先に複散房花序を付け、直径5o前後の花を多数付ける。 花色は、淡紅色〜濃紅色、稀に白色があり、変異が多い。 花弁、萼片とも5個で、オシベは数十個、メシベは5個ある。オシベは花弁より長い。
2017/5/30 薬師池の畔で、シモツケが濃紅色の花を付けていました。 まだ、開花が始まったばかりのようで、ツボミが多く、三分咲きといったところです。
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ヤマブキ(Kerria japonica)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・ヤマブキ属> バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山地や谷川沿いなど、湿った所に自生する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 樹高は1〜2mになり、株立ちになり、新枝は緑色で稜がある。 茎や枝は時間と共に褐色となり、数年で枯れる。 葉は互生し、長さ6cm前後で1cmほどの葉柄がある。長卵形で、先は鋭く尖り、縁には重鋸歯がある。 花期は4〜5月で、新しく出た短い側枝の先に、黄色い花を1個付ける。花には一重と八重がある。 花は直径4cm前後で、倒卵形の花弁の先はわずかに凹む。オシベは多数あり、花柱は5〜8個ある。 萼筒は杯型で、萼片は4mmほどの楕円形。 萼筒は果期にも残り、その中に痩果が数個付く。9月頃に暗褐色に熟す。 一重のものは結実するが、オシベが変化して花弁になった八重咲きは結実しない。
2017/5/30
ヤマブキが結実することは知っていましたが、見たことがありませんでした。 薬師池公園の裏門から入って、下っていく途中、通路脇でヤマブキが結実していました。 まだ、若い果実なので黄緑色をしていますが、秋に成熟すると黒くなるのでしょう。 2017/9/1 ヤマブキの果実も熟してきて、淡褐色から黒色になっていました。 | ||||||||||
サルスベリ(Lagerstroemia indica)
<フトモモ目・ミソハギ科・サルスベリ属> ミソハギ科サルスベリ属の落葉中高木で、中国南部原産の帰化植物。 日本でも海外でも、庭木や公園樹として広く植栽されている。 樹高は5〜7mほどで、幹は、淡紅紫色で平滑。樹皮が薄く剥げ落ち、濃淡のまだら模様になる。 葉は通常2対互生(コクサギ型葉序)、対生になることもある。 花期は6〜9月で、枝先に円錐花序を付け、花は密に付く。 花の直径は4cmほどになり、花弁はうちわ型で6個。花色は、紫、赤紫色、淡紅紫色、白などがある。 下部は柄のような細い筒状になり、上部はほぼ円形で縁が縮れて波打つ。 雄しべは多数あり、外側の6個がとくに長く、葯は紫色。内側の雄しべの葯は黄色。 果実は円いさく果で、種子には翼がある。
2011/8/17
園内には何種類かのサルスベリが植えられていました。 ちょうど、満開に近い状態でしたので、枝がたわむほどに花が付いていました。 | ||||||||||
オトコエシ(Patrinia villosa)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・オミナエシ属> スイカズラ科オミナエシ属の多年草で、在来種。漢字で書くと男郎花となる。 和名は、オミナエシ(女郎花)との対比で、茎葉が大きく、男性的ということに由来する。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 草丈は1m程までになる。根元から匍匐茎を出し、その先端で根を下ろして増える。 葉は対生し、多くは羽状に分裂する。裂片は卵状長楕円形で、頂裂片が最も大きい。 花期は、8月〜10月で、茎の頂部に散房花序を付け、白い小花をたくさん付ける。 1つの花は合弁花で、先が5裂し、オシベは4本、メシベは1本ある。
2016/10/7
菖蒲苑の上の方の斜面で、オトコエシが白い花を咲き残していました。 萬葉草花苑に植えられているオミナエシと比べると、かなり地味です。 時期が遅かったので、多くは種子となっていました。 種子の下には、直径5o前後の円形の小苞があり、お皿に饅頭を置いたように見えます。 | ||||||||||
オミナエシ(Patrinia scabiosifolia)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・オミナエシ属> 2016/7/25 2016/7/20
スイカズラ科オミナエシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と、沖縄以外の地域に分布している。 日本以外では、朝鮮半島から中国、東シベリアにかけて分布する。 秋の七草の1つで、よく栽培されているが、自生するものは少なく、なかなか見られい。 草丈は60〜100cm程度で、根茎が横に這って増える。茎は直立し、上部でよく分枝する。 葉は対生し、長さ10p程で羽状に裂ける。葉柄は数p〜10cmほど。 花期は8〜10月で、茎先に散房花序を付け、直径数oの黄色い花を多数付ける。 花冠は5裂して筒部は短い。オシベは4個、花柱は1個。 果実は長さ4o前後の長楕円形で、オトコエシのような翼はない。
2016/7/20
萬葉草花苑に植えられていたもので、秋の七草の1つですが、夏には開花が始まります。 散房花序の花茎も黄色みを帯びており、花序全体が黄色く見えるので、遠目でも良く目立ちます。 2017/9/5 個々のオミナエシはピークを過ぎ、花数がかなり少なくなっていました。 2018/10/2 花期が過ぎ、ほとんどが若い果実になっていました。 2018/10/18 緑色がかっていた果実も熟して、褐色になっているものが増えていました。 | ||||||||||
コマツナギ(Indigofera pseudotinctoria)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・コマツナギ連・コマツナギ属> マメ科コマツナギ属の落葉小低木で、在来種。日当たりの良い、原野、道端などに生える。 日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 樹高は、数十pから高くても1mほどにしかならない。 根は、硬くて丈夫であり、馬をつなぎ止められるほど強いというのが和名の由来。 茎は直径15oほどになり、枝は細長くて緑色。多数に分枝する。 葉は互生で、短い葉柄の先に奇数羽状複葉の葉身が付く。 小葉は、4〜5対付き、長さ15oほどの長楕円形で、葉先は丸い。全縁で鋸歯はない。 花期は7〜9月で、葉腋から総状花序を直立し、淡紅紫色の花を多数付ける。 花は、長さ5oほどの淡紅紫色で、旗弁は反り返り、翼弁は水平に広がって、竜骨弁より少し長い。 豆果は円柱状で、長さ3pほど。中に5個前後の種子が入っている。
2016/7/25
萬葉草花苑に植えられていたもので、地を這うように枝を広げていました。 花は小さいですが、淡紅紫色なので、かなり目立ちます。 2016/10/7 コマツナギが、たくさんの豆果を付けていました。 | ||||||||||
ヤマハギ(Lespedeza bicolor)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ハギ亜連・ハギ属・ヤマハギ亜属・ヤマハギ節>
マメ科ハギ属の落葉低木で、在来種。秋の七草の1つ。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ウスリー川辺りまで分布ている。 樹高は1〜3mで、根元から多数の細い枝を出し、先で多数に分枝する。 葉は互生し、3出羽状複葉で、小葉は長さ数cmの楕円形。 小葉の先は丸くなるが、主脈の先が髭のように尖り、飛び出るものもある。 花期は、7〜10月で、花序は基部の葉より長い花柄を出して、多数の花を付ける。 花冠は淡紅紫色で、長さ10oほど。旗弁は翼弁や竜骨弁より長く、竜骨弁は翼弁より長い。 萼は4裂し、上側の萼歯は浅く2裂する。萼歯は萼筒よりも短い。 豆果は、長さ6o前後で、扁平で丸い。種子は1個だけ入っている。
2012/10/8
薬師池からハス田に向かう途中や階段脇に植生されていました。 最初に見た時は、花は終わっていて、丸い豆果の実が大量に付いている状態でした。 花はありませんでしたが、豆果の形が特徴的でしたので、同定できました。 2016/7/20 ちょうど開花が始まり、三分咲きといった所です。 横からの花の写真を見ると、旗弁(上に立っている花被片)、竜骨弁(ほぼ水平にに飛び出している花被片)、 そお両者の間で、斜め上を向いている翼弁(最も短い花被片)の長さん関係が良く分かります。 | ||||||||||
ヌスビトハギ(Desmodium podocarpum subsp. Oxyphyllum)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ヌスビトハギ亜連・ヌスビトハギ属>
2017/9/5 2017/9/1 . 2017/9/1 2017/9/5 .
マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、東南アジアの一部に分布する。 草丈は1m前後になり、根元はやや木質化する。葉は、互生し、3出複葉になる。 花期は7〜9月で、淡紅色の花は、細長い花序にまばらに付く。 節果は、2個の小節果よりなり、半円形。 その形が盗人の抜き足差し足の足跡に似るのが、和名の由来。
2017/9/1,5
薬師池公園には、所々に大きなヌスビトハギの株があります。 9/1の株は、日当たりの良い植え込みにあったもので、頑丈そうな濃い色の葉をしています。 9/5の株は、木陰になる所にあったもので、葉の色が薄い黄緑色で、フワッとした感じの株です。 成長度合いにも差があって、日当たりの良い方は半分以上が豆果になっています。 一方、木陰の方は豆果は極一部で、花が満開といった方が良い状況でした。 | ||||||||||
マツカゼソウ(Boenninghausenia albiflora var. japonica)
<ムクロジ目・ミカン科・マツカゼソウ属> ミカン科マツカゼソウ属の多年草で、在来種。 日本では、本州の宮城県以南から四国、九州に分布している。 海外では、中国、台湾、東南アジアなどにケマツカゼソウが分布する。 日本のものを別種とする説、変種とする説、両者を合わせて広義に扱う説がある。 草丈は50〜80cmで、茎は直立して細く、上部で分枝する。 葉は3回3出羽状複葉で、小葉は2p前後の倒卵形。葉質は薄く、裏面は白っぽい。 茎や葉には、組織の隙間に木発形の油が溜まった油点と呼ばれる腺点がある。 花期は8月〜10月で、茎先に集散花序を出し、多数の白い小花を付ける。 花弁は4個で、長さ4o程の長楕円形。萼は4裂し、長さは1mmほど。 オシベは7個か8個で、メシベは1個であるが、特異な形をしている。 長い柄の先に4裂した子房があり、そこから4本の花柱が出て合着し、1個の柱頭がある。 子房の基部に密が溜まる花盤があり、その縁には小さな鋸歯がある。 果実は分離果で、長さ3oほどの卵形の分果に分かれる。 通常は、分果は4個であるが、2個とか3個になることも多い。
2017/6/9
マツカゼソウが新葉を展開していました。 新葉の中心付近が黄緑色で、花の頃より見た目はきれいですね。 2017/9/5 初夏にはフワッとした感じだったマツカゼソウですが、一段と大きくなり、花をたくさん付けていました。 | ||||||||||
大賀ハス(Nelumbo nucifera)
<ヤマモガシ目・ハス科・ハス属> ハス科ハス属の抽水性の多年草で、在来種。原産地に関しては諸説があるが未決着。 ハスには観賞蓮と食用蓮があり、前者の地下茎(レンコン)は細く、食用には向かない。 大賀ハスなどの古代ハスは、2000年以上前から日本に存在している。 ハスは、地中の地下茎から茎を伸ばし水面に草丈1m以上になる葉を出す。 茎には通気用の穴があり、葉柄にも同じように穴がある。 葉は円形で、中央に葉柄が付き、強い発生性があり、水をはじいて水玉が出来る。 花期は7〜8月で、地下茎から伸びた花柄の先に直径20p前後の花を咲かせる。 花色には淡紅色と白色のものがあり、開花直後の花托は黄色い。 授粉が進むと花托の色は緑色に変化して、花後、花托の中の果実が花托と共に成長する。 ※ 大賀ハスは、昭和26(1951)年、千葉県千葉市検見川(現・千葉市花見川区朝日ケ丘町)にある 東京大学検見川厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)の落合遺跡で3粒発掘された。 その3粒の内の1粒が発芽し、開花に至ったのが大賀ハスである。 同時に発掘された船の年代測定から、今から2000年以上前の古代のハスであることが判明している。 なお、古代ハスには、大賀ハス以外にも行田ハス、大阪府の原始ハスなどが知られています。
2011/8/17
薬師池公園の大賀ハスです。 行ったのが、ハスの花の終わり近い時期だったので、開花している花は少なかったです。 ハスの花は、5時頃から開花し始め、8〜9時頃に開花のピークを迎え、12時頃には閉じてしまいます。 そのため、満開のハスの花を見るためには、午前中の早い時間に見に行く必要があります。 ハスの花の咲き方や、その後の花托の成長などは下記をごらんください。 2016/7/20(ツボミ) 2016/7/12(ツボミ) 2011/8/17(開花直前のツボミ) 2016/7/25(1日目) 2016/7/20(2日目) 2016/7/20(3日目) ハスの花の開花は、1日目はピーク時でも半開き状態で、その後ツボミ状態まで閉じます。 2日目は、満開まで開きます。その時、花托は黄色く、柱頭も黄色い。その後にツボミ状態まで閉じます。 3日目も、満開まで開きます。その時、花托は黄緑色が混じり、柱頭も黒っぽい物が混じります。 柱頭が黒っぽくなっているものは、受粉が完了した証です。その後、少し閉じますが、そのまま翌日を迎えます。 2016/7/20(4日目) 2016/7/12(4日目) 2016/7/12(花托) 4日目は、開き切った後、お昼頃までには散ってしまいます。 花弁やオシベが散ると、緑色になった花托だけが残ります。 2011/8/17(果托) 2011/8/17(果托) 2011/10/10(果托) 2016/10/7(果托) 花托の中に埋もれていた子房は徐々に大きくなり、それに伴って花托は果托となります。 種子も大きくなり、黒褐色に変化するとともに、種子の周りの隙間が大きくなり、ハチの巣状になります。 それに伴い、緑色だった果托も徐々に黄色、茶褐色と変化して行きます。 秋も遅い頃になると、果托も枯れて茶色くなり、種子も堅果となります。 さらに、果托を支えていた花茎も倒れ、いずれ種子が果托から離れて行きます。 2016/7/25(浮葉) 2016/7/25(巻葉) 2016/7/25(荷鼻)
ハスは、根茎の節から、2個の鱗葉と托葉を持つ葉柄と夏には花茎を出します。
葉が出始めの頃の葉は、水面に浮かぶ浮葉になり、その後、立葉が出てきます。 浮葉は、スイレンの葉に似ていますが、切れ込みがないので判別できます。 ハスの葉は、楯葉で、最初は左右から巻いた棒状の巻葉です。それが成長して上向きに平開します。 葉柄は円柱状で、長さが1〜2mになり、直径は2p前後あります。葉柄には通気口が多数あります。 葉柄の付着部分(荷鼻:色の淡い部分)から放射状に葉脈が出ていて、その葉脈にも2本の通気口が通っています。 この通気口は葉の表面にある気孔につながっていて、気孔から取り入れた空気は葉柄を通して根茎に送られます。 根茎は、いわゆるレンコンで、取り入れた空気は最終的にはレンコンの穴に届きます。 なお、空気は、若い葉に太陽が当って温度が上がり、暖められることで圧力が上がって根茎に送られます。 根茎に送られた空気は、今度は古い葉の葉柄を経由して外気に放出され、循環するそうです。 余談ですが、ハスの葉柄を折ると糸状の繊維が取れます。「藕絲(ぐうし)」と呼ばれる繊維です。 奈良の当麻寺に伝わる中将姫伝説で、当麻曼荼羅を織ったとされるのがこの藕絲だそうです。 また、荷鼻を剥して通気口を露出させ、葉の上のお酒を葉柄の通気口を通して飲む習慣もあるようです。 「荷葉酒(かようしゅ)」とか「象鼻杯(ぞうびはい)」と言われ、観蓮会などでサービスされることがあるようです。 右端の写真で、水が葉の上ではじかれて丸くなっていますが、これがロータス効果(ハス効果)と呼ばれる現象です。 ハスの葉は、その表面の微細構造と化学的特性により、決して濡れることがありません。 この特性研究から、最近のナノテクノロジー分野では、撥水性塗料や屋根材などが開発されています。 2017/9/1 9月に入ってもハスの花がちらほらと見られました。 まだ、ツボミもいくつか残っているようですので、もうしばらくは楽しめそうですね。
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シオデ(Smilax riparia)
<ユリ目・サルトリイバラ科・シオデ属> サルトリイバラ科シオデ属の多年草で、在来種。雌雄異株。 日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布する。海外では北東アジアに分布する。 茎は蔓状に長く伸び、托葉の変形した巻ひげで他のものに絡みつき、長さは数mになる。 葉は互生し、長さ5〜15cm程の卵状長楕円形で、葉柄は長さ2cm前後。先が尖り、全縁。 花期は7月〜8月で、葉腋から散形花序を出し、淡黄緑色の小花を付ける。 雄花の6個の花被片は長さ数mmの披針形で反り返り、葯は線形で鉤型に曲がる。 雌花の6個の花被片は少し小さめの長楕円形で反り返り、緑色の子房の上の柱頭は3裂する。 球形の果実は液果で、秋に熟すと黒くなる。 若い茎や新芽、若葉は山菜として、天ぷらやお浸し、酢の物などに利用される。
2017/5/31
アマドコロの写真を撮っているとき、直ぐ側に太い新芽が顔を出していました。 その側に、少し大きく伸びたものもありましたが、それが何なのか分かりませんでした。 2017/6/9 10日ほどして見に行くと、かわいい新芽はなく、高さが1m以上になっていました。 1日に10cm以上伸びた事になり、なんとも凄まじい成長力です。 この時、近くのシオデの名板が、本種を指していると分かりました。 最初に見た、高さが10〜20pくらいの時が食べ頃で、山アスパラガスと呼ばれているようです。 2017/9/1 花の時期は見損ねてしまい、しっかりと果実がなっていました。 もう1ヶ月もすると、真っ黒に熟すのでしょうが、まだまだ、未熟な緑色でした。 | ||||||||||
シュロソウ(Veratrum maackii Regel var. japonicum (Baker) T.Shimizu)
<ユリ目・メランチウム科・シュロソウ属> メランチウム科シュロソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州に分布し、海外では朝鮮半島に分布する。 草丈は60〜80cmで、太い根茎があり、茎は直立する。 根茎には毒性の強いアルカロイドを含むので、取り扱いには注意を要する。 葉は、茎の下部に付き、長さが6〜30cmの長楕円形で、並行脈で、縦にしわがある。 葉の基部は鞘状になり、茎を抱く。葉の幅は3cm以上で、3cm以下だとホソバシュロソウとされる。 花期は6月〜8月で、茎頂に長い円錐花序を出し、多数の花が付く。花茎や花柄には毛がある。 花は直径10mmほどで、両性花と雄花が混生し、花序の上部に両性花、下部に雄花が付く。 花柄は短く、花茎に沿って花が付き、花被片は6個で、花色は暗紫褐色。花柱は3個。 果実は刮ハで、長さは10〜15mmほど。
2017/9/1
萬葉草花苑で、シュロソウが見事に大量の花を付けていました。 立ち上がった花茎は上部で分枝し、その花茎に沿って暗紫褐色の花が鈴生りです。 後で調べて、ミヤマバイケイソウやコバイケイソウと同じ仲間と知りましたが、見た目はあまり似ていません。
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ヤマユリ(Lilium auratum)
<ユリ目・ユリ科・ユリ属・ヤマユリ亜属> 2016/7/12 2016/7/20
ユリ科ユリ属の球根植物で、日本固有種。
北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する。 草丈は1mを超え、頂部に数輪の花を付ける。なお、大きな株では10輪近く咲く場合もある。 花の直径は20cmにもなり、ユリ科の中でも最大級で、その重みで茎が湾曲することもある。 花弁は、内花被片、外花被片、各々3枚からなり、オシベも6本ある。 花被片は、白地に多数の紅斑があり、花被片の中心に黄色の筋がある。 花の香りは、甘く濃厚で、非常に強く香る。 球根の鱗片には、多糖類の1種であるグルコマンナンを多く含み、苦みが少ないので食用となる。 果実は刮ハで、六角柱型をしている。3つに裂開して、翼のある扁平な種子が風に乗って飛ぶ。 なお、種子が発芽して開花するまでには5年ほどかかると言われている。
2016/7/12 薬師池から少し上った斜面にヤマユリが立派な花を咲かせていました。
ユリの中でも、これほど大きく、そして平開するユリは少ないです。 2016/7/20 1週間ほど経った頃に再訪すると、さらに花数が増えていました。 |