ホーム旅の見聞録薬師池公園>薬師池公園で見かけた野草(春W)


薬師池公園で見かけた野草(春W)



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、いろいろな野草などを集めた萬葉草花苑があります。
そこで見かけた野草や植栽された主な花々です。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草などを追加しました。
フデリンドウ

また、下記の野草の写真を追加しました。
ヤマルリソウ、イワヤツデ[タンチョウソウ]、ショウジョウバカマ、ゼンマイ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
マメ目
マメ科(ニワフジ、フジ)
ムクロジ目
ムクロジ科(イロハモミジ)
ムラサキ目
ムラサキ科(キュウリグサ、ホタルカズラ、ヤマルリソウ)
モチノキ目
ハナイカダ科(ハナイカダ)
モチノキ科(ウメモドキ)
ユキノシタ目
アリノトウグサ科(オオフサモ)
ズイナ科(コバノズイナ)
フウ科(モミジバフウ)
ベンケイソウ科(キリンソウ)
ユキノシタ科(イワヤツデ[タンチョウソウ]、ユキノシタ)
ユリ目
イヌサフラン科(チゴユリ、ホウチャクソウ)
メランチウム科(ショウジョウバカマ、ミヤマエンレイソウ)
ユリ科(ヤマホトトギス)
リンドウ目
アカネ科(クルマバソウ)
キョウチクトウ科(ツルニチニチソウ、テイカカズラ)
リンドウ科(フデリンドウ)
 
ウラボシ目
シノブ科(シノブ)
ゼンマイ目
ゼンマイ科(ゼンマイ)
ハナヤスリ目
ハナヤスリ科(ナツノハナワラビ、フユノハナワラビ)
薬師池公園で見かけた野草(春W)
和名インデックス


ニワフジ(Indigofera decora)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・コマツナギ属>
   
マメ科コマツナギ属の落葉小低木で、在来種。川沿いの岩場などに自生する。
日本では、本州の中部地方以西から四国、九州に分布する。海外では、中国や台湾に分布する。
樹高は50cm前後にしかならず、ツルもあまり伸びないので、大きな樹形にはならない。
葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は長さ数cmの楕円形で、鮮緑色。
花期は5月〜7月で、葉腋から長さ10〜20pに穂状花序を出し、紅紫色の花を付ける。
花は蝶形花であるが、翼弁と竜骨弁が下がって、カバが口を大きく開けたような花になる。
なお、花色には白もあるようですが、数は少ないようです。

2017/5/30
萬葉草花苑で初めてニワフジを見ました。花の印象は、ちょっと間が抜けた感じです。
フジの花と比較すると色はきれいなので、ツボミのうちは良いです。
ただ、開花すると翼弁と竜骨弁が乖離して、大あくびしているように見え、ちょっと間が抜けてます。
樹形は、蔓性ではなく、地を這ってこじんまりとまとまっているので、庭植には向いていそうです。

フジ(Wisteria floribunda)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・フジ連・フジ属>


 
日本の固有種で、本州から四国、九州に分布し、山野に普通に見られる。
公園などで植栽として利用される場合は、藤棚を作って這わせることが多い。
別名、ノダフジ(野田藤)ともいう。
ツルの巻き方は右巻(上から見て時計回り)で、ヤマフジの左巻とは真逆。
4月から5月にかけて咲き、花序は長く、20cmから長いものでは80cmに達し、花は順次咲き下る。
夏になると新しい枝先から、また、少し花が咲くことがある。

2017/4/28
薬師池のほとりには藤棚があり、この時期、数種類の花を見せてくれます。
濃い紫色と、薄い紫色の六尺藤、それとうすべに藤です。
名前の通り花房は1m以上になる品種ですが、咲き始めのためか、少し短めのようです。
長くなると足利フラワーパークの大藤(2m近い房がたくさん垂れ下がる)のようになるのでしょうか。

イロハモミジ(Acer palmatum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
 
2005/4/29
 
2017/4/27(雄花)         2015/4/16(両性花)
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに分布する。
日本では最もよく見られるカエデ属で、秋には黄褐色から紅色に紅葉する。
葉は対生し、掌状に5〜9深裂し、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことが和名の由来。
4〜5月頃、本年枝の先に暗赤色の花が垂れ下がってつく。雄花と両性花がある。
5個の暗紫色の萼片と、5個の黄緑色もしくは紫色を帯びる花弁を持つ。
果実は翼果で、10〜15mm程の翼があり、熟すと風で飛ばされる。

2005/4/29 薬師池の周りに植栽されているイロハモミジです。
春の新葉の頃も赤みを帯びてきれいです。

2017/4/27 そのイロハモミジがたくさん花を付けていました。
咲いているのは雄花ばかりで、両性花が見当たりません。
参考までに多摩川の近くで撮影した両性花の写真を掲載します。


2017/4/28
水車小屋近くに植えられているイロハモミジで、新葉が赤くなる品種と緑の品種です。
逆光気味に光が入って、赤味が一際引き立っています。


2017/5/3




2017/5/30

こちらはハス田の近くに植えられていたものです。新葉が緑の品種と赤くなる品種が混じっています。
始め、寄せ植えかと思ったのですが、新葉が緑になる品種に赤くなる品種が接ぎ木されていました。
おそらく、緑のものが「アオシダレ」、赤いものが「アカシダレ」という品種だと思います。
なお、左手の階段を降りた所に、単独の「アカシダレ」と思われる樹もありました。

キュウリグサ(Trigonotis peduncularis)
<ムラサキ目・ムラサキ科・キュウリグサ属>

ムラサキ科キュウリグサ属の越年草で、在来種。ムギ類と一緒に入ってきた史前帰化植物と考えられている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。海外ではアジアの温帯に広く分布する。
草丈は10〜30pになり、根元の葉は卵形で長い葉柄がある。
茎葉は互生し、長楕円形で葉柄があるが、上部では無柄になる。
花期は3月〜5月で、茎先にサソリ型花序(ぐるっと巻いた花序)に、花径3o程の淡い青紫色の花を付ける。
花冠は5烈し、中心の円形の部分は黄色い。その円形の穴の奥にオシベ5個とメシベがある。

2017/4/28
花菖蒲田の脇にある通路脇で、除草を免れたキュウリグサが、小さな花を付けていました。
若い株ではぐるっと巻いたサソリ型花序ですが、ほぼ咲き終わりのようで、巻きはありません。

ホタルカズラ(Lithospermum zollingeri)
<ムラサキ目・ムラサキ科・ムラサキ属>
 
ムラサキ科ムラサキ属の多年草で、在来種。日当たりのよい草地などに自生する。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、アムール地方に分布する。
草丈は10〜25pほどになり、花後に走出茎を出し、途中で根を出すので「葛」の名が付いている。
葉は互生し、長さ5cm前後の狭楕円形。茎や葉には剛毛があり、ざらつく。
花期は4月〜6月で、立ち上がった茎の上部の葉腋に花を付ける。
花の直径は15〜20oほどで、花色は咲き始めは赤紫色だが、徐々に青紫色に変わる。
花冠は5裂し、各裂片の中央に白い隆起がある。萼筒は5深裂し、裂片の先は尖る。

2017/4/28
萬葉草花苑でホタルカズラが花を付けていました。
つい最近、国営ひたち海浜公園へ行った際、あちらこちらで花を付けているのを見たばかりです。
ネモフィラよりも濃いブルーの花で、遠目でもよく目につきました。

 

   
2018/4/19
萬葉草花園では、今年もホタルカズラがたくさんの花を咲かせ始めていました。
昨年より少し時期が早かったので、花色の変化している途中の花も見られました。
ホタルカズラは、開花直後は赤紫色で、その後、徐々に青紫色に変化していきます。
そのいろいろな時期の花色の花が、一気に見られたのはよかったです。

ヤマルリソウ(Omphalodes japonica Maxim.)
<ムラサキ目・ムラサキ科・ルリソウ属>
   
ムラサキ科ルリソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の福島以西、四国、九州に分布している。
草丈は高くても20cm程度で、根生葉はロゼット状になり、茎葉は互生し、茎を少し抱く。
根生葉は長さ十数pの倒披針形で、縁が波打っている。
茎は基部で分枝する事は少なく、斜上して叢生する。
茎先に総状花序を付け、直径15mmほどの淡青紫色の花を付ける。
花期は4月〜5月で、5枚ある花被片は咲き始めはピンクで、徐々に淡青紫色に変わる。
花冠の基部に白色の付属体が2個ずつ付き、10枚歯の歯車のようになる。
花後、果実は垂れ下り、果実は4分果になる。夏には葉は20cmほどまで大きくなる。

2017/4/28
薬師池公園の裏門から入って水車小屋の方に降りるときに数輪、咲いているのを見かけました。
水車小屋に着いて裏手に回った時、斜面に群落ができ、たくさん咲いているのに気が付きました。
高尾山で何株かが花を付けているのを見て以来ですが、これほど多くの花を見たのは初めてです。
ムラサキ科の花では大きい方ですが、色が淡いこともあり、注意していないと見過ごしそうです。

 
2018/4/13
今年も、水車小屋裏の法面に、たくさんのヤマルリソウが薄紫の花をたくさん付けていました。
この時は、周りの草の背もあまり高くなかったので、花が良く見えていました。
1週間後に訪れたときには、周りの草がヤマルリソウより草丈が伸び、花がほとんど見えなくなっていました。

 
2022/4/12
水車小屋近くの斜面には、今年も多くのヤマルリソウが花を咲かせていました。
1株、少し離れた所で咲いていたのですが、茎が四方八方に伸びている様子が良く分かります。

ハナイカダ(Helwingia japonica)
<モチノキ目・ハナイカダ科・ハナイカダ属>
   
ハナイカダ科ハナイカダ属の落葉低木で、在来種。雌雄異株。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する。海外では中国に分布する。
樹高は1〜3m程度で、幹は叢生し、上部で多数分枝する。樹皮は緑色でなめらか。
葉は互生し、葉身は長さ5〜15pほでの広楕円形で、葉先は尾状に尖る。
葉の縁には浅い鋸歯があり、鋸歯の先は芒状になって、その先は腺になる。
花期は5月〜6月で、葉の表面、主脈の中ほどに淡緑色の花を付ける。
一般に葉に花が付くことはないが、本種は葉腋から出た花序と葉の主脈が癒着したと考えられている。
雄花は数個付くことが多いが、雌花は1個だけ付く場合が多い。花は直径4o前後で、花弁は3個か4個。
雄花では、オシベが3個か4個あり、花柱は退化している。
雌花の花柱は3〜4裂し、オシベは退化してない。果実は直径10o程の核果で、黒く熟し食べられる。
和名のハナイカダ(花筏)は、花が載った葉を筏(いかだ)に見立てたものです。
話が飛びますが、散った桜の花弁が、池などの表面を埋め尽くしたものも花筏といいます。
弘前公園の外堀を桜の花弁が埋め尽くす花筏の光景は、有名ですね。一度は見てみたいものです。

白い花弁のように見えるのは萼片で、5〜7枚ある。
花の中央に多数のオシベと、10本くらいのメシベがある。

2017/4/28
萬葉草花苑に入って直ぐの所にハナイカダ花を付けていました。
えびね苑では雄株と雌株を見ることができたのですが、手前に見えるのは雄花ばかりでした。

   
2017/5/30
久しぶりに萬葉草花苑に行ったので、様子を見ると果実が出来ていました。
雄株のみと思っていましたが、雌株と寄せ植えになっていたようで、奥の方で雌花が咲いていたようです。
果実はかなり大きくなっていて、直径6〜7mm程でした。

ウメモドキ(Ilex serrata)
<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>
   
モチノキ科モチノキ属の落葉低木で、自生種。
日本では、本州から四国、九州の落葉広葉樹林内に自生する。
日本以外では、中国にも分布している。
雌雄異株で、葉腋に花を多数付ける。
花の数は、雄花は十数個、雌花はその半分程度で、花弁は4枚か5枚の2種類が混在する。

2017/5/31
萬葉草花苑にウマモドキの雌株を見つけました。
ちょっと大きめの樹なので見上げる所に花が付いています。
雄株は多摩川の近くで確認していたのですが、雌株は初めて見ました。
ちょうど満開の時でしたので、マルハナバチやアブなどがたくさん訪花していました。


モチノキ属の雄花と雌花

   
   2013/5/23<ウメモドキ 雄花> 2017/5/31<ウメモドキ 雌花>
     .
2016/5/16<クロガネモチ 雄花>  2016/5/18<クロガネモチ 雌花>
モチノキ属、ウメモドキとクロガネモチの雄花と雌花です。
ウメモドキの雄花とクロガネモチは、多摩川近くにある公園で撮影したものです。
モチノキ属の花は、形状が似通っています。


オオフサモ(Myriophyllum aquaticum)
<ユキノシタ目・アリノトウグサ科・フサモ属>
 
アリノトウグサ科フサモ属の多年生の抽水植物で、南アメリカ原産の帰化植物。雌雄異株。
アクアリウム用に各地に移入され、日本などで侵略的外来種となっている。
オオフサモは淡水性の水草であり、湖沼やため池、河川、水路などに生育する。
茎は直径5mm程で、葉は緑白色で羽状に裂け、5〜6個が輪生する。
花期は6月で、国内では雄株は確認されていない。雄株が確認されているのは南アメリカのみ。
雌株は白い柱頭を持った小さい花をつけるが、結実はしない。
匍匐茎や切れ藻からの再生で繁殖する。冬にも枯れずに越冬する。
日本では、外来生物法によって特定外来生物に指定され、一切の栽培や移動が禁止されている。

2017/4/28
ハス田の近くにある小さな池のほとりに、大きな群落を作っていたオオフサモの様子です。
昨年の夏に見たときは、一面を覆っていて抽水植物には見えませんでした。
今は、下が見えていて、水は見えませんでしたが、湿地になっているよです。

 
2016/7/20
ハス田の近くにある小さな池のほとりに、大きな群落を作っていました。
たくさん生い茂っていたので根元が見えず、抽水植物とは気づかなかったので、同定に手間取りました。
分かれば、なんとなく藻のような雰囲気はあります。

コバノズイナ(Itea virginica)
<ユキノシタ目・ズイナ科・ズイナ属>
   
ズイナ科ズイナ属の落葉低木で、北アメリカの南東部原産の移入種。別名はアメリカズイナ。
樹高は1〜2m程度で、根が地中で根茎状に伸長して、新しく幹を立ち上げるので、株立ちとなる。
葉は互生し、長さ4〜8pほどの長楕円形で、先が尖り縁には細かい鋸歯がある。秋には紅葉する。
花期は5月〜6月で、枝先に総状花序を出し、花序の軸は赤紫色を帯びて白い小花を多数付ける。
花弁は長さ4mmほどの線形で、萼片も線形で先が尖る。花弁は5個、オシベも5個で、よい香りがする。
日本にも自生するズイナの葉は、横幅があり丸みを帯びるが、本種は細くて先が尖る。

2017/5/31
萬葉草花苑内で、ズイナの名板がある樹が、たくさんの花を付けていました。
白い花被片は大きく平開することはないようで、幾分控えめな花のようです。
気になって調べてみたのですが、葉が細長く、ズイナではなくコバノズイナのようです。

モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)
<ユキノシタ目・フウ科・フウ属>
 



   
フウ科フウ属の落葉高木で、北アメリカ中南部・中央アメリカ原産の移入種。
日本へは大正時代に渡来し、街路樹などに利用されている。
そのため、アメリカフウの別名がある。なお、フウは漢字で「楓」と書く。
また、フウ(別名:サンカクバフウ)は、台湾、中国南部が原産地で、同様に移入されている。
樹高は20mに達し、樹皮は褐色を帯びて、浅く縦に裂ける。若枝にはコルク質の淡褐色の稜がある。
葉は互生し、短枝に束生する。葉身は10〜15pほどで、5〜7裂し、裂片には細かい鋸歯がある。
葉柄は長さ10p前後あり、葉脚は浅い心形。葉表には光沢があり、秋に紅葉する。
花期は4月で、雌雄同株。雄花序は、頭状花序が花序軸に総状に多数付き、立ち上がる。
雌花序は、球形の頭状花序が長い柄の先に1個付き、ぶら下がる。
果実は集合果で、球形になり、花柱が角のように残っている。

2018/4/20
薬師池公園の駐車場に植栽されている樹木の中に、モミジバフウが含まれていました。
そのモミジバフウが、ちょうど新芽を展開させ始めた所で、一緒に雄花と雌花が見られました。
中段はその様子ですが、左側は冬芽から新葉の展開と同時に、雄花序と雌花序を上下に伸ばし始めた所です。
そして、中段右側のように、葉の成長と共に雄花序、雌花序も伸び、各々開花したのが下段の写真です。
この後、雌花は秋にはイガイガの果実になるのですが、その様子はこちらを参照ください。

キリンソウ(Phedimus aizoon var. floribundus)
<ユキノシタ目・ベンケイソウ科・センペルビヴム亜科・ウムビリクス連・キリンソウ属>
   
2017/5/30
 
2017/6/9
ベンケイソウ科キリンソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の日当たりの良い岩場などに分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア東部に分布する。
草丈は30cmくらいまでで、葉は互生し、肉厚。
葉の長さ5p前後で、長楕円形。葉の中央から先端にかけて鋸歯がある。
花期は5月〜8月で、茎頂に平らな集散花序を付け、直径10mm強の黄色い花を多数付ける。
花弁は披針形で、花弁、萼片とも5枚、オシベは10本ある。

2017/5/30 萬葉草花苑の一部にキリンソウが群生していました。
開花にはちょっと早かったようで、開花していたのは極一部の花のみでした。
2017/6/9 10日ほど経った頃、様子を見に行くとかなり開花が進んでいて、満開に近い状態でした。

※ よく似た花を付けるベンケイソウ科の花に関しては、こちらを参照ください。

イワヤツデ(Mukdenia rossii/Aceriphyllum rossii)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・ムクデニア属>
 
ユキノシタ科・ムクデニア属の多年草で、朝鮮半島から中国東北部が原産地。
別名のタンチョウソウの由来は諸説あり、ツボミの先が淡紅色を帯びることによるとか、
白い花に赤い葯、これをタンチョウヅルの頭、花茎を首、葉を翼に見立てたとする説などがある。
原産地では、低山から山地にある川岸の岩上や川沿いの岩壁など、湿った岩場に自生する。
草丈は20〜50cmで、横に這った太い根茎があり、春に根茎から葉と花茎を出す。
葉は、円心形で、掌状に5〜9深裂し、長さ20〜30cmの葉柄がある。
葉表は緑色で、葉裏は淡緑色。葉裏には葉脈が浮き出て、目立つ。
花期は3月〜4月で、葉の展開前に花茎を立ち上げ、葉の展開と開花はほぼ同時期になる。
開花する頃には花茎の長さは30cmほどになり、茎頂の集散花序に多数の小花を付ける。
最初、花序は外側に巻いているが、真っ直ぐに伸びて横に広がる。
花は直径5o前後で、花は上向きに咲き、花粉が赤く見える。
花弁、萼片とも白く、各々5〜6個あり、萼片の長さが花弁の倍くらいの長さがある。
果実は刮ハで、熟すと下部が裂け、種子が散布される。
落葉性で、秋の終わり頃に地上部は枯れて無くなり、休眠する。

2018/4/13
萬葉草花苑で、大きな葉に似合わない小さな白い花を付けた、見慣れない草本が植えられていました。
名板はあるのですが、ほとんど読めないほど薄くなっていました。
かろうじて判読可能な文字から調べたところ、イワヤツデ[タンチョウソウ]と分かりました。
花期のピークを過ぎているのか、茶色い痛みが出ていて、あまりきれいでなかったのは残念です。

 
2022/4/12
今年は開花が少し遅いようで、葉もあまり大きくなっておらず、花も開花が始まったばかりでした。
開花してもあまり大きく開かないのですが、左側では7個のオシベと3裂した柱頭が見えています。
葯は割れているようなのですが、まだ、花粉は白く、開花した間がない花のようです。
右側は、開花して時間が経過した花のようで、花粉が赤っぽくなっています。

ユキノシタ(Saxifraga stolonifera)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・ユキノシタ属>
   
ユキノシタ科ユキノシタ属の常緑の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国に分布する。
草丈は20〜50cmになり、種子以外に走出枝を出して広がる。
葉は根生葉で、腎円形で、裏面は赤みを帯びる。縁には鋸歯があり、葉脈に沿って白く斑が入る。
花期は5月〜7月で、下2枚が白くて大きい5弁花の花を付ける。上3枚は淡紅色で小さく、赤い斑点がある。
そのため、白いハの字型の花が多数咲いているように見える。

2017/5/30
萬葉草花苑で、木陰にユキノシタが群生していました。
同属のダイモンジソウと同じように、大の字の花になります。
ただ、ダイモンジソウの細い花弁に比べて、太くて立派すぎるので、字には見えませんね。


ユキノシタの奇形花

       .
2017/5/30        2017/5/30          2013/5/15 .
たまに見かけるユキノシタの奇形花です。
右端のものは、上側の花被片が1個多い程度ですが、左の方は花被片も、メシベも奇形です。


チゴユリ(Disporum smilacinum)
<ユリ目・イヌサフラン科・チゴユリ属>
 

   
イヌサフラン科チゴユリ属の多年草で、在来種。
国内では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、サハリンに分布する。
草丈は15〜30pで、球根はなく、太めの地下茎を持つ。通常は分枝しないが、分枝するものもある。
葉は互生し、葉身は長さ5p前後の楕円形から長楕円形で、先は鋭く尖り、縁は波打つ。
花期は4月〜5月で、茎頂に1個か2個の花を横から下向きに付ける。
花被片は6個で、長さは15o程の白い披針形。オシベも6個あり、花柱の先は3裂して反り返る。
果実は液果で、直径は10o程の球形。黒く熟す。
種子での繁殖以外に、地下茎による無性繁殖もする。

2018/4/19
萬葉草花園の外れで、樹の下に咲いているチゴユリを見つけました。
近くで見ると、花弁は萎れかかっていて、かなりくたびれていました。
新しい花はないかと近くを探すと、一輪だけ咲いているのを見つけました。
既に花期のピークは過ぎているのでしょう。この2輪以外の花は見当たりませんでした。

ホウチャクソウ(Disporum sessile)
<ユリ目・イヌサフラン科・チゴユリ属>
 
2016/7/12           2016/10/7
イヌサフラン科チゴユリ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、樺太に分布する。
雑木林などで、樹間の開けた場所に多い。草丈は50cm程になり、上部で分枝する。
地下茎を伸ばし、その先に翌年の株が出来る。
葉は互生し、長さ10cm前後の長楕円形で先は尖る。葉の表面には光沢がある。
花期は4月〜5月で、枝先に花を数個付ける。
花被片の基部(白)から先端(淡緑色)までのグラデーションが美しい。
3枚の花被片と3枚の萼は合着していないが、開かないので筒状になる。
若芽は有毒成分を含むので、よく似た山菜のアマドコロやナルコユリと間違えないよう注意が必要。

2016/7/12 薬師池公園の裏門から入って直ぐの所で見かけもので、青い果実が付いていました。
2016/10/7 秋にその後の様子を見にいくと、果実は、真っ黒に熟していました。
最終確認は来春行うとして、果実の付き方や色などから類推して仮にホウチャクソウとしました。

   
2017/4/28
昨年、仮にホウチャクソウとしていたものですが、花を見て間違いないことを確認しました。
昨年は、大きな株には気が付かなかったのですが、除草されていたこともあって、大きな株も見つけました。

   
2017/4/28
萬葉草花苑にもホウチャクソウが植えられており、花芯が見やすい状態でしたので、アップで撮影しました。
斜面のものより環境が良いのか、花被片がかなり開き、開花が進んでいました。
横からでは見ることができないオシベやメシベの様子が良く分かります。


よく似たホウチャクソウとアマドコロ属の花





ホウチャクソウ
イヌサフラン科チゴユリ属
分枝して先に花を数個付ける
花被片と萼は合着しない
果実は黒く熟す
有毒植物
アマドコロ
キジカクシ科アマドコロ属
花は葉腋に1〜2個下垂する
細長い釣鐘型で先は6裂し、
反り返る。果実は黒く熟す
茎や根茎は山菜として利用
ナルコユリ
キジカクシ科アマドコロ属
花は葉腋に3〜8個下垂する
細長い釣鐘型で先は6裂し、
反り返る。果実は黒く熟す
新芽を山菜として利用
ミヤマナルコユリ
キジカクシ科アマドコロ属
花は葉腋に数個付く
花柄は斜上して、先が垂れる
細長い釣鐘型で先は6裂し、
反り返らない。果実は黒く熟す

ミヤマエンレイソウ(Trillium tschonoskii)
<ユリ目・メランチウム科・エンレイソウ属>
   
メランチウム科エンレイソウ属の多年草で、在来種。別名はシロバナエンレイソウ。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、山林の樹陰に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は20〜40cmで、太く短い根茎から茎が1本伸び、その先に3枚の葉を輪生する。
葉は、長さが10〜20cmの丸みのあるひし形で、葉柄がなく、茎に直接付く。
花期は4月〜6月で、3枚の葉の中心から短い花柄が伸び、花を1個、横向きに咲かせる。
花は直径5cm前後で、3個の緑色の外花被片と3個の白い内花被片がある。
オシベは6個あり、葯は花糸よりも若干短い。メシベは1個で、子房上位。柱頭は3裂する。
よく似たエンレイソウは、緑色〜濃紫色の外花被片(萼片)のみで、内花被片(花弁)がない。

2018/4/13
萬葉草花園で、エンレイソウと思われる花(というより果実)を見つけました。
もう少し、新しい花はないかと見渡すと、樹の陰にもう1輪ありました。
この花、萼片だけではなく、枯れかかってはいますが花弁が付いています。
エンレイソウに花弁はないので、おそらく、ミヤマエンレイソウと思われます。
本来、ミヤマエンレイソウのは花弁は白色なのですが、枯れかかって見る影もありません。


ミヤマエンレイソウとエンレイソウの花

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2014/4/29
日光東照宮、奥社へ続く階段脇の斜面で、落ちた杉の葉の間から顔を出していたミヤマエンレイソウの花です。
白い花弁が印象的ですが、葯や子房も白っぽいので、清楚な感じを受けます。
北海道には、花弁がもっと大きく、幅も広いオオバナノエンレイソウが自生しています。

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2010/3/22
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2018/5/11
2010/3/22 城山かたくりの里でみかけたエンレイソウの花です。
左端の花は果実になりかけており、見た目は上記のミヤマエンレイソウと大差ありません。
中央の花は、開花直後のもので、子房が小さく、オシベの葯がしっかりとして開いていません。
2018/5/11 利尻島の姫沼の湖畔で見かけたエンレイソウの花で、色がきれいなベージュ色です。
開花間もない花で、ベージュ色の花粉が葯から溢れています。
見てわかる通り、3個の萼片のみで、花弁がありません。


ショウジョウバカマ(Heloniopsis orientalis)
<ユリ目・メランチウム科・ショウジョウバカマ属>
 
メランチウム科ショウジョウバカマ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では、朝鮮半島に自生する。
高度適応性が高く、低地から高山帯まで広範囲に分布する。
草丈は10〜30cmで、葉はロゼット状になり、長さ5〜20cmのへら型で全縁。
花期は3月〜4月で、花茎を立ち上げ、茎頂に総状に多数の花を付ける。
花色は、淡紅色〜紫色と変異が多く、稀に白色のものもある。
花被片は長さ15mmほどの倒披針形で6個ある。オシベも6個あり、葯は紫色。
花後も、花被片は黄緑色になって残る。
なお、葉の先端が地面につくと発根して新苗を作る不定芽でも増える。

2018/4/13
萬葉草花園の外れで、ジエビネに混じってショウジョウバカマが果実を付けていました。
といっても、花被片は色が緑色になって残っていますので、見た目の草姿はあまり変わりません。

 
2022/4/12
今回も、ショウジョウバカマは花後の姿になってしまいました。
花弁はもちろん、オシベの花糸や葯も原型を留めており、色以外は開花時と大差ありません。
ただ、メシベの基部にある子房が、濃緑色になって大きく成長を始めています。


ショウジョウバカマの花
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2010/3/22
城山かたくりの里でみかけたショウジョウバカマの花です。
中央の花は、開花して間がないで、みずみずしい淡青紫色をしています。
開花後、時間が経過してくると右端の様に色が変わってきます。しかし、花弁が落ちることはありません。


ヤマホトトギス(Tricyrtis formosana Baker)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属>

ユリ科・ホトトギス属の多年草で、在来種。
日本では、関東以西の太平洋側および長野県に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国にも分布する。
葉は互生し、葉身は長さ10〜0cmの長楕円形で、先は尖り、縁は多少波打つ。
芽生えの頃の葉と基部の葉に黒っぽい斑点(油点)が多くある。
花期は7月〜9月で、茎頂や上部の葉腋に散房花序を出し、上向きの花を数個付ける。
花は直径20o程で、6個の花被片は反り返り、白地に紅紫色の斑点がある。
なお、他のホトトギス属に見られる花被片基部の黄色い斑紋はない。
花の中心から3個の花柱が、10o程立ち上がって横に広がり、さらに柱頭は2裂する。
それを取り囲むように6個のオシベが同様に立ち上がり、メシベの下で横に湾曲する。
花糸の外面や花柱の基部には、斑点があるものや無いものがある。

2018/4/13
薬師池公園の裏門から入って直ぐの法面では、ヤマホトトギスがたくさん芽吹いていました。
まだ、数枚しか葉が展開しておらず、色も初々しい黄緑色をしています。


ヤマホトトギスの花
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  2017/5/3            2017/9/5             2016/10/7 .
ヤマホトトギスの葉の油点は、5月になって伸び始めた上部の葉では見られなくなっています。
そして、秋の声を聞く頃には、たくさんのツボミを付け、下記のような独特な形の花を咲かせます。
その花が終わると、右端の様に断面が三角形の果実を付けます。

   
2017/9/5
ヤマホトトギスの花ですが、典型的な特徴を持った花は右端の花です。
花被片が強く反り返り、オシベの花糸の下方に紫斑点が認められます。
しかし、変異があり、左辺のように反り返りが少ないもの、紫斑点が少ないものもあります。


クルマバソウ(Asperula odorata)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・クルマバソウ属>
   
アカネ科クルマバソウ属の多年草で、在来種。低山地から亜高山帯の林内や林縁に生える。
日本では、北海道と本州に分布する。海外では、北半球に広く分布する。
草丈は10〜30cmほどで、茎は直立し、四稜がある。毛はない。
葉は、長さ15〜40mmほどの狭楕円形で、6〜10個が輪生する。全縁で葉柄はない。
花期は5月〜6月で、茎の上部に集散状花序を付け、直径5o程の白花をまばらに付ける。
花冠は漏斗型で4深裂し、オシベは4個ある。

2017/4/28
萬葉草花苑でマイヅルソウの奥で、ひっそりと花を付けていました。
輪生した葉が印象的な花で、花自体は白花で、小さいので目立ちません。

   
2018/4/13
今年もクルマバソウが奥まった草陰で、可憐な花を付けていました。
もう少し手前にあればアップで撮れるのですが、距離があって近づけません。

ツルニチニチソウ(Vinca major)
<リンドウ目・キョウチクトウ科・インドジャボク亜科・ツルニチニチソウ属>
   
キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属の常緑蔓性植物で多年草。南ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、耐寒性が若干弱いので、北海道南部から九州まで、植栽は可能。
日本には観賞用に移入されたが野生化し、繁殖力が非常に強いため、各地で見られるようになった。
海外でも、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアに帰化している。
茎は最初直立して出るが、次第に横に這い、節から発根して大きく広がる。
葉は対生し、長さ5〜8pほどの狭卵形で、表面には光沢がある。
花期は3月〜7月であるが、他の季節でも散発的に見られる。
花は、青紫色(白色もある)で5裂して平開し、直径は40mmほどになる。基部は筒状になり、長さは15oほど。
オシベは5個で、筒部の中間に付き、内曲してして、葯は黄色い。花筒内面や葯には白毛がある。
ニチニチソウ科の植物であり、アルカロイドを含む有毒植物だが、毒性はそれほど強くはない。
とはいっても、有毒植物なので、取り扱いには注意を要する。

2017/4/28
薬師池公園の裏門手前で、地を這うようにして伸びている本種が花を付けていました。
最近、たまに見かけるようになった本種ですが、繁殖力に物を言わせて、広がっているようです。
左端の拡大写真を見ると、筒状花の先が5深裂して花被片のようになっているのが分かります。
花筒の中がぼやっとしているのは、ピントの合っていない白毛がたくさん生えているためです。
その中心部には、黄色い葯が5個(よく見ると分かれて見えます)、合わさって1つに見えています。

テイカカズラ(Trachelospermum asiaticum)
<リンドウ目・キョウチクトウ科・キョウチクトウ亜科・テイカカズラ属>
 
キョウチクトウ科テイカカズラ属のつる性常緑低木で、在来種。有毒植物。
和名のテイカは、藤原定家のことで、能「定家」の伝承に由来する。
日本では、本州から四国、九州に分布し、常緑樹林内や岩場に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、インド、タイに分布する。
茎からは気根を出して他のものに固着する。茎の表面には多数の気根跡が、突起状に残る。
大きなものでは高木層の樹冠に達することがある。そのような樹では、幹の直径は数cmになる。
枝は淡褐色〜褐色で、褐色の毛が密生している。
葉は対生し、立ち上がっている枝では長さ2〜10cmの楕円形で全縁。表面には光沢がある。
林床を這う枝や幼木の葉は、長さ1〜2cmと小さく、波状の浅い鋸歯があり、淡緑色の脈状斑紋が見られる。
花期は5月〜6月で、枝先や葉腋から集散花序を出し、多数の白い芳香のある花を付ける。
花冠は直径2〜3cmの高杯形で、筒部は長さ8mm前後、上部は5裂して裂片は捻じれる。
裂片の基部はオレンジ色で、開花直後は白色であるが、徐々に淡黄色に変化する。
果実は袋果で、長さが15〜25cmの円柱形。種子は長さ15mmほどの線形で、先に冠毛状の長毛がある。

2017/5/30
薬師池からハス田に向かう途中、樹木に絡みつくようにテイカカズラが花を付けていました。
ご覧のようにびっしりと張り付き、たくさんの花を咲かせていました。
色や形が異なりますが、花冠が5裂して、裂片が捻じれる所などはツルニチニチソウと同じです。

フデリンドウ(Gentiana zollingeri)
<リンドウ目・リンドウ科・リンドウ連・リンドウ属>
 
リンドウ科リンドウ属の越年草、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、樺太に分布する。
山地の林内や日当たりの良いやや乾いた草原に自生する。
葉は対生し、広卵形で全縁。やや分厚く、裏面は赤紫色を帯びることが多い。
草丈は10cmほどになり、茎の上部に青紫色の花を数輪、上向きに付ける。
花期は4〜5月で、日が当っている時のみ開花し、夜や曇天、降雨時には閉じている。
花は漏斗状で、花色は青紫色。花冠は、5つの長い裂片と5つの短い裂片(副片)に分かれる。
長い裂片の裏側は緑色で、花が閉じた時、この緑色の部分のみが外から見えるように閉じる。
オシベは5本で短く、メシベの柱頭は5裂し、長い。

2017/5/30
花菖蒲田側の通路脇で、フデリンドウが数株、花を付けていました。
枯葉を押し退けるように茎を立ち上げ、数輪でしたが可憐な花を咲かせていました。

シノブ(Davallia mariesii)
<ウラボシ目・シノブ科・シノブ属>
   
シノブ科シノブ属の夏緑性シダで、在来種。山地の森林内の樹木などに着生する。
日本では、北海道の一部から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布している。
海外では、朝鮮半島南部、中国、台湾に分布している。
茎は直径5o前後と太く、表面には褐色の鱗片が一面に生える。
樹皮に根で張り付き、分枝しながら樹皮の上に長く伸びる。
冬の間は葉を落とし、春に葉を展開する。通常の栄養葉と胞子を付けた胞子葉を形成する。
葉は根茎からまばらに出て、葉柄は硬く、長さは5〜10cmほど。脱落性の鱗片がまばらに付く。
葉身は、長さが10〜30cmほどで、幅がその半分弱の3角形状。
3〜4回羽状複葉で、葉質はやや硬くて厚く、表面には光沢がある。
羽片には柄があり、裂片は長楕円形で先が尖り、全縁。なお、羽片は最下羽片が最大で、三角形状。
ソーラスは最終裂片の脈の先端につき、苞膜はコップ状。

2018/4/13
春になって、シノブが新しい葉を展開し始めていました。
夏には、涼し気な緑色の葉を広げるシノブですが、新葉は赤褐色です。

ゼンマイ(Osmunda japonica)
<シダ目・ゼンマイ科・ゼンマイ属>
   
  胞子葉と栄養葉     胞子の飛び始めた胞子葉   胞子が飛び去った胞子葉
   
 栄養葉の新芽        胞子葉の新芽       胞子葉の胞子嚢
ゼンマイ科ゼンマイ属の夏緑性多年生シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、渓流や水路の脇などによく生える。
海外では、樺太、朝鮮半島から中国、ヒマラヤまで分布する。
草丈は1mほどになり、葉は2回羽状複葉。小葉は披針形で先が丸い。
新芽は渦巻き状で、表面を綿毛に覆われているが、成長すると毛はなくなる。
春に栄養葉と共に胞子葉を出す。栄養葉は1つの株から数枚の大きな葉を出す。
胞子葉は、独立してまっすぐに立ち上がり、棒状の小葉が並ぶ。胞子葉は短期間で消滅する。

2018/4/13
萬葉草花苑の奥で、ゼンマイが新芽を展開していました。
まだ、栄養葉は十分に展開する前で、小葉も展開したばかりで初々しい色をしていました。
一方、胞子葉も展開不十分でしたが、既に胞子嚢から胞子が飛散して褐色になっている所もありました。
右下の拡大写真で、緑色のものは胞子が詰まった胞子嚢で、これが割れて胞子を放出すると褐色になります。
ただ、根元には綿毛に覆われた栄養葉と胞子葉の新芽も、まだ、数本見られました。
胞子葉や栄養葉が十分に展開した様子は、町田ぼたん園で見たこちらを参照ください。

 
2022/4/12
ハス田の通路脇で、ゼンマイの胞子葉を見かけました。
葉は刈り取られたようで、根本に短く切られた茎が残っていました。
ワラビ(Pteridium aquilinum)
<シダ目・コバノイシカグマ科・ワラビ属 >
   
コバノイシカグマ科ワラビ属の夏緑性シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布している。
草丈は50〜100cmと大きくなり、地下茎を横に這わせて繁殖する。
春に地下茎から新芽を出し、冬には枯れる。葉は3回羽状複葉で、小葉には艶がなく、全体に黄緑色。
小葉はやや硬く、ソーラスは葉縁に沿って並び、縁はわずかに内に巻く。
酸性土壌を好み、日当たりのよい草原や谷地などに群生していることが多い。
春、葉の開いていない若芽を採取し食用とするが、有毒のためあく抜きなど無毒化が必要。
また、根茎から取れる澱粉は、「ワラビ粉」として利用される。

2017/5/30
萬葉草花苑の入って右手の方で、ワラビが新芽を展開し始めていました。
山菜とするには、裂片が展開し始めていて、ちょっととうが立ちすぎていると思います。
もちろん、採取するつもりはありませんが、山菜取りには1ヶ月は遅いということです。

ナツノハナワラビ(Botrychium virginianum (L.) Sw.)
<ハナヤスリ目・ハナヤスリ科・ハナワラビ属>
 
ハナヤスリ科ハナワラビ属の夏緑性シダ植物で、在来種。山地のやや湿った林内に生える。
日本では、北海道から本州、四国、九州(南部を除く)に分布する。
海外では、北半球の温帯〜暖帯、中南米に広く分布する。
草丈は25〜70cmで、根茎は短く直立し、茎の基部には長さ数cmの鱗片がある。
葉は年に1個出し、春に芽生え、秋に枯れる。
栄養葉は葉柄の長さ15〜35cm、葉身の長さ5〜28cm、幅7〜30cm。
3〜4回羽状深裂し、全体の形は三角形〜広五角形。ほぼ無毛で、淡緑色。
羽片は有柄で先が尖り、小羽片の縁には鋭鋸歯がある。
胞子葉は栄養葉の茎頂部に付き、栄養葉の茎は胞子葉との共通柄になる。
胞子葉の茎は長さ10〜30cmで直立し、穂は3〜4回羽状に分岐し、長さ10〜20cmの卵状三角形。
羽片は有柄で、球形〜惰円形の胞子嚢を多数付ける。

2018/4/13
萬葉草花園でまっ直ぐに茎を立ち上げているシダが、新葉を展開し始めていました。
葉の付き方がフユノハナワラビのような、あまり見かけない付き方をしています。
後でいろいろ調べていて、夏緑性のナツノハナワラビと分かりました。
拡大した時、上の方で展開し始めている胞子葉と栄養葉の共通柄が長い点、
葉の展開時期が春のこの時期である点、胞子葉の羽片が横に開き、柄がある点からの判断です。


ナツノハナワラビとフユノハナワラビ

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2018/4/13         2017/9/5
 
2017/7/15        2017/12/20
<ナツノハナワラビ>   <フユノハナワラビ>

ナツノハナワラビは春に芽生えて秋に枯れ、フユノハナワラビは秋に芽生えて春に枯れます。
つまり、ナツノハナワラビは夏緑性で、フユノハナワラビは冬緑性と季節的には半年ずれています。
見た目の違いは、ナツノハナワラビは共通柄が長く、栄養葉の茎頂部から胞子葉が出るのに対し、
フユノハナワラビは地面近くで分枝するため、2本の葉柄が出ているように見える点です。
成長後の大きさは、ナツノハナワラビの方が大きくなりますが、変異があるので確実ではありません。

ナツノハナワラビには、よく似たナガホノナツノハナワラビがあります。
ただ、後者は、栄養葉の小羽片は無柄で基部は羽軸に流れて翼となる点、
胞子葉は2回羽状に分岐するが、各羽片が密生して直立するため、細長い穂に見える点で区別できます。
なお、両者が夏緑性で、春に芽生えて秋に枯れる点、共通柄が長く栄養葉基部で分岐する点は同じです。
一方、秋に芽生えて春に枯れる冬緑性のフユノハナワラビにも、よく似たオオハナワラビがあります。
両者は、オオハナワラビの栄養葉の羽片や鋸歯は鋭く尖り、フユノハナワラビは丸みがある点で異なります。
なお、両者は共通柄が短く、地面近くで分枝して、羽片に長い柄が付く点は同じです。
また、オオハナワラビとアカハナワラビはよく似ていますが、アカハナワラビは冬には紅葉します。


フユノハナワラビ(Botrychium ternatum)
<ハナヤスリ目・ハナヤスリ科・ハナワラビ属・オオハナワラビ亜属>

ハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い山地や草地などに自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、インド、ネパールに分布する。
草丈は15〜50cm程で、根茎は短く、直立する。
秋に栄養葉と胞子葉を展開し、そのまま越冬して、初夏に地上部が枯れる。
ただし、胞子葉はその役目を終えると晩秋には枯れ、越冬するのは栄養葉のみである。
栄養葉は、葉柄が長さ5〜12cmあり、葉身は長さ5〜10cm、幅8〜12cmほどあり、無毛。
3〜4回羽状に深裂し、羽片は広楕円形で縁に鈍鋸歯があり、先は鈍い。なお、基部の羽片は有柄。
胞子葉は、栄養葉の葉柄の基部から分枝してほぼ直立し、茎の長さは12〜25cm、穂は4〜10cmある。
穂は2〜3回羽状に分岐し、円錐状に丸い胞子嚢を多数付ける。
似たものにオオハナワラビやアカハナワラビがある。

2018/4/13
秋に新葉を展開したフユノハナワラビですが、栄養葉だけが、まだ、しっかりと残っています。
初夏までこの状態のまま残り、枯れていくのでしょう。








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