ホーム旅の見聞録薬師池公園>薬師池公園で見かけた野草(夏T)


薬師池公園で見かけた野草(夏T)



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、いろいろな野草などを集めた萬葉草花苑があります。
そこで見かけた野草や植栽された主な花々です。

< トピック >

今回、新たに見かけた野草などを追加しました。
アキノノゲシ、セイヨウノコギリソウ、ツリガネニンジン、ヒイロタケ

また、下記に関しては新しい花の写真などを追加しています。
クワイの花



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
イネ目
イグサ科(イグサ)
イネ科(チヂミザサ)
オモダカ目
オモダカ科(クワイ、ナガバオモダカ)
キク目
キキョウ科(キキョウ、ツリガネニンジン)
キク科(サジガンクビソウ、ヒヨドリバナ、アキノノゲシ、セイヨウノコギリソウ)
ミツガシワ科(アサザ)
キジカクシ目
アヤメ科(ヒオウギ、ハナショウブ)
キジカクシ科(ジャノヒゲ)
ススキノキ科(ノカンゾウ)
ヒガンバナ科(キツネノカミソリ)
キントラノオ目
オトギリソウ科(コケオトギリ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(タケニグサ)
クスノキ目
ロウバイ科(ソシンロウバイ)
コショウ目
ドクダミ科(ハンゲショウ)
 
イワヒバ目
イワヒバ科(クラマゴケ、コンテリクラマゴケ)
ウラボシ目
シノブ科(シノブ)
 
ハラタケ目
フウセンタケ科(アシナガヌメリ)
ヒダナシタケ目
マンネンタケ科(マンネンタケ)
タマチョレイタケ目
タマチョレイタケ科(ヒイロタケ)
レカノラ目
ハナゴケ科(コナアカミゴケ)
薬師池公園で見かけた野草(夏T)
和名インデックス


イグサ(Juncus effusus var. decipens)
<イネ目・イグサ科・イグサ属>
 
イグサ科の植物で、標準和名は「イ」。最も短い和名でもある。
湿地や浅い水中に生える植物で、泥の中に根を張る。
ちょっと変わった姿で、先のとがった細い茎が束になったような形をしている。
この茎のようなものは花茎で、本当の茎は地下茎となっている。
葉は、花茎の基部を包む短い鞘状に退化し、葉はないように見える。
花は、花茎の途中から出ているように見えるが、花までが花茎で、その先は苞にあたる。
花序は、短い花柄を持つ多数の小花の集まりで、6つの小さな花弁がある。

2016/7/20
ハス田の畔に、ハスの葉に隠れるようにイグサの小さな株がありました。
既に花期は過ぎているようで、花を咲き終わっていました。

チヂミザサ(Oplismenus undulatifolius)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・キビ連・チヂミザサ属>

イネ科チヂミザサ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、温帯から熱帯にかけて広く分布する。
和名は、葉がササに似て、縮れたような皺があることに由来する。
茎は、枝分かれしながら地上を這い、多数の葉を付ける。
秋に、茎の一部が立ち上がり、先に穂状の花序を付ける。
花茎の上部に短い柄が出、その枝に数個の小穂が付く。
小穂には3本の長い毛があり、表面が粘つく。また、第一苞穎に長さ12〜20mmの芒がある。
花期は8月〜9月で、メシベの柱頭は羽毛状で目立ち、オシベの葯は淡黄色で目立たない。
花軸、葉、および葉鞘に長い毛の多いタイプをケチヂミザサ。
全体に毛が少なく、花軸に毛がないタイプをコチヂミザサと分けることがある。
しかし、この2つを変種レベルでさえ分けないことが多い。

2016/7/20
菖蒲苑の上の斜面に面した通路脇で、チヂミザサが葉を広げていました。
名前のとおり、ササ状の葉は波打つように縮れているので、分かり易い野草です。

※ 秋に見かけたチヂミザサの花はこちらを参照ください。


チヂミザサの花

 
<未開花の小穂>         <開花した小穂>
2016/8/27
胎内の星まつり会場「胎内自然天文館」で見かけたチヂミザサの花です。
イネ科の花なので、小穂からオシベがぶら下がり、ブラシの様な形のメシベが顔を出しています。


クワイ(Sagittaria trifolia)
<オモダカ目・オモダカ科・オモダカ属>

オモダカ科オモダカ属の多年で。中国原産の帰化植物。オモダカの栽培品種。
野生種は東南アジア原産とされているが、栽培品種は中国で作られた。
クワイの栽培品種は青藍色の青クワイ、淡青色の白クワイ、小粒の吹田クワイの3種がある。
いずれも原種のオモダカより塊茎が大きいが、この中では吹田クワイが最も小さく、原種に近い。
日本での主流は青クワイで、白クワイは中国での主流。吹田クワイは関西中心に出回る。
芽が付いているため、「芽が出る」とかけ、縁起が良いことからおせち料理に使われる。

2016/7/20
菖蒲苑の中を流れる小川で、大きく葉を広げたオモダカの葉を見かけました。
その大きさは、以前見たことがあるオモダカの葉より数倍大きいものでした。
そのため、オモダカではなく、栽培品種のクワイではないかと思われます。



   
2017/9/5
既に花はピークを過ぎていましたが、まだ、先の方が咲き残っていました。
花や種子の形態に関しては、下記のナガバオモダカとほとんど同じです。

ナガバオモダカ(Sagittaria graminea)
<オモダカ目・オモダカ科・オモダカ属>

オモダカ科オモダカ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、ジャイアントサギタリアなどの名前で流通しており、一部野生化している。
在来の水生植物の生育地を奪い、水域生態系を破壊することが指摘され、要注意外来生物に指定されている。
草丈は1mを超える。葉には長柄があり、長楕円形の葉身は数十pで全縁。鋸歯はない。
花期は5〜9月で、雌雄異株。なお、日本には雄株のみが帰化している。

2016/7/20
ハス田の近くにある小さな池で、スイレンと混生していました。
最初、ヘラオモダカかと思ったのですが、花の形が違っていました。
さらに調べていくと、下記の点から本種と判断しました。
・付いている花が全て雄花である点     .
・古い花茎には果実が1つも出来ていない点

 
2017/5/3
昨年、気が付くのが遅かったので、早めに様子を見に行きました。
しかし、結果は上記の通りで、昨年と大差ない状況です。
この辺りでの咲き始めは、もっと早い時期になるようです。

キキョウ(Platycodon grandiflorum)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・キキョウ属>

キク科キキョウ科の多年草で、在来種。山地の草原に自生するが、数は減って絶滅危惧種である。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は50〜100cm程度で、茎は直立し、上部で良く分枝する。
根茎は太く、サポニンを多く含むので生薬とされる。
葉は互生あるいは輪生し、長さ5p前後の狭卵形で、縁には細かい鋸歯がある。
花期は7〜9月で、茎頂に数個の青紫色の花を付ける。
ツボミは風船のように膨らみ、開花時には花冠は直径5p程になり、5裂(稀に4裂)する。
雄性先熟でで、開花直後は、オシベが未成熟のメシベを包んでいる。オシベは花冠の裂数と同数。
オシベはその役割を終えるとメシベから離れ、メシベが成熟して柱頭が5裂する。

2016/7/25
写真は、オシベがメシベを取り囲んでいる雄性期の状態のものです。
萬葉草花苑に植えられていたもので、和名は「桔梗(きちこう)」を音読みしたもの。秋の七草の1つです。
自生は減っていても、栽培されているものは多いようです。
真夏が盛りの本種ですが、夏が過ぎて勢いの落ちた草原に、青紫色の花は印象に残ると思います。
原種は一重で青紫色ですが、園芸品種には白や淡赤紫色のもの、二重咲きのものなどがあるそうです。

ツリガネニンジン(Adenophora triphylla var. japonica)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ツリガネニンジン属>
 
キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の山野で見られる。
海外では、樺太、千島列島に分布する。
葉は先が細長くとがった楕円形で、数枚が輪生状に付き、鋸歯がある。
茎はほとんど分枝せず、茎頂に円錐花序を付ける。花は数個が輪生する。
釣鐘型の淡紫色の花で、先が5裂し、花柱が長く突き出している。

2017/9/1
萬葉草花苑の奥の方でツリガネニンジンを見かけました。
既に花のピークは過ぎていて、花数は少なくなっていましたが、いくらか咲き残っていました。
花の形は釣鐘型で、輪生するのが特徴です。花柱は長く飛び出し、先が数裂します。


ツリガネニンジンの花

   

ツリガネニンジンの花冠は変異が多く、上記のようにいろいろな形や色があります。
左端が最も多い淡紫色で先が開いた釣鐘型で、中央のように先が少し狭まる壺形になることもあります。
また、右端のように白に近い花色のものもあり、シロバナツリガネニンジンと呼ばれます。


サジガンクビソウ(Carpesium glossophyllum Maxim.)
<キク目・キク科・キク亜科・オグルマ連・ガンクビソウ属>

キク科ガンクビソウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州と琉球列島に分布する。国外では済州島に分布する。
草丈は30〜50cm前後になり、茎は直立して分枝が少なく、上部は曲がり、開出毛が密に付く。
根出葉がロゼット状に残り、長さ15p程の楕円形で鋸歯はほとんどない。
茎葉は小さく、まばらで、上部では線状披針形になる。
花期は8月〜10月で、枝先に緑白色の頭花を下向きに付け、頭花の基部には大きな苞葉が付く。
頭花は、直径15mm前後で、筒状花のみからなり、周囲に雌性、中央に両性花が付く。

2016/7/12
菖蒲苑の上の方の斜面で、未成熟な頭花をたくさん付けたガンクビソウのような花を見つけました。
まだ、開花には時間がかかりそうなので、断定はできませんが、葉や頭花の特徴から本種としました。

   
2016/10/7
なかなか時間が取れず見に行けなかったので、花は終わっているかもと半ばあきらめていました。
最初に目に入ったのは、左端の写真のように、既に花茎が枯れた大きな株でした。
その根元で、小さな株が花を付けていました。が、既に咲き終わった後のようです。
中央寄りの両性花のメシベが茶色くなって、その面影を残していました。
また、右端写真の左下にも写っていますが、来年に向けて根生葉がロゼット状になっていました。


ガンクビソウ属の花

       .
       .
<オオガンクビソウ>    <サジガンクビソウ>     <ヤブタバコ> 

八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたオオガンクビソウの花です。
日本に自生するガンクビソウの中では、ずば抜けて大きな直径数cmの頭花を持っています。
サジガンクビソウの頭花ですが、大きさはオオガンクビソウの半分程度です。
写真のものは、花期を過ぎてしまったものですが、サジガンクビソウの頭花も黄色い花です。
神代植物公園の近くで見かけたヤブタバコです。葉腋毎に黄色い花を付けます。
写真のものは小さいですが、大きな株だと横に長く枝を伸ばして、たくさんの花を付けます。


セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ノコギリソウ属>


キク科ノコギリソウ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州に分布する。
草丈は50〜100cmほどで、葉は互生し、2〜3回羽状複葉に細裂して柔らかい。
茎頂に散房花序を付け、直径5o程の頭花をたくさん付ける。
普通、周囲に5個の舌状花(雌花)が並び、中心に両性花の筒状花が複数ある。
花色は白や淡紅色が多いが、赤や黄色などの園芸品種も出回っている。床には膜質の鱗片がある。
花後、花床がふくれて円錐形になり、痩果は長さ2mmほどになる。

2017/9/5
萬葉草花苑で、濃赤紫色のセイヨウノコギリソウが花を付けていました。
草丈が数十cmしかない小さな株でしたが、花の色は非常に目を引きました。

ヒヨドリバナ(Eupatorium makinoi)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属>

キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
草丈は1mを超え、葉には短い葉柄があり対生する。葉は長楕円形で先が尖り、鋸歯がある。
良く似たサワヒヨドリより一回り大きく、葉幅があって、葉柄がある点で区別できる。
なお、葉の脈が黄色くなり、斑紋のように見えるものはジェミニウィルスに感染したものである。
花期は8月〜10月で、上部に散房状に多数の頭花を付ける。頭花は、両性の筒状花が5個のものが多い。
筒状花は、花冠の先が浅く5裂し、メシベの花柱は花冠から飛び出して、先端は2裂する。
花冠の花色は、白色のものが多いが、淡紅紫色を帯びるものもある。
和名は、ヒヨドリが鳴く頃に花を咲かせることに由来するとのこと。

2016/7/12
菖蒲苑の上の方の斜面で、ヒヨドリバナがたくさんの花を付けていました。
白い花とは言え、林内の薄暗い場所なので、うっかり見落とす所でした。

アキノノゲシ(Lactuca indica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・アキノノゲシ属>

キク科アキノノゲシ属の1年草あるいは2年草で、東南アジア原産の史前帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアに分布する。
草丈は50〜200cm前後になり、茎は直立して分枝しない。茎を切ると白い乳液が出る。
葉は互生し、下部の葉は10〜30pで、羽状に深裂し、裂片の先は尖る。上部の茎葉は全縁で小さい。
花期は8月〜12月で、茎頂に円錐花序を付け、直径20oほどの灯火を多数付ける。
頭花は、舌状花のみからなり、花色は白〜淡黄色で、花の裏は灰色を帯びる。花は昼開き、夕方にしぼむ。
総苞は長さ1cmほどで、花後に下部が膨れる。総苞片は覆瓦状で、縁が濃紫色になる。

2017/9/1
薬師池公園の裏門からの道を下る途中で見かけました。
葉幅が狭く、下部の葉も羽烈していないので、ホソバアキノノゲシと呼ばれていたタイプです。

アサザ(Nymphoides peltata)
<キク目・ミツガシワ科・アサザ属>
 
ミツガシワ科アサザ属の多年草で浮葉植物。在来種。
日本では、本州から四国、九州の池や沼に自生しているが、近年、数が減少している。
海外では、ユーラシア大陸の温帯地域に広く分布する。
地下茎を伸ばして増えるが、成長期には走出枝をさかんに伸ばして大きく広がる。
葉は、直径5〜10cmほどの切れ込みのある心円形で、地下茎から柄を出して水面に浮かぶ。
花期は5月〜9月で、水面から5〜10cm程出るように葉腋から花茎を伸ばし、黄色い花を1つ付ける。
花は1日花で、午前中に開花して、夕方にはしぼむ。
花冠は直径15mmほどで、5深裂し、花被片の縁は細かく裂ける。
アサザは、走出枝による繁殖以外に、「異型花柱性」という独特の種子による繁殖も行う。
花柱が長くて雄ずいが短い「長花柱花」と、逆に花柱が短くて雄ずいが長い「短花柱花」があり、
この両者間での受粉でなければ、種子ができないというものである。
この両者がそろって自生しているのは霞ケ浦のみとの報告もあるとか。

2017/5/30
萬葉草花苑の上段の方で、水鉢に植えられたアサザを見つけました。
アサザ基金のプロジェクトに参加していたこともあるのですが、アサザを見たことがありませんでした。
アサザ自身、最近は環境の悪化などで減少傾向とのことで、ぜひ見たいと思っていました。
そのアサザに、思ってもいなかったところで出会えました。
が、見かけたときには花はしぼんでしまっていて、残念な状況でした。


2017/5/31
昨日はしぼんでしまっていたので、気を取り直して、早めに出かけてきました。
今日は、きれいに咲いていて、その繊細な花被片の縁のギザギザも良く分かりました。

   
2017/6/9
アサザの花芯の部分のアップを撮りたくて、再訪しました。
黄色一色なので、ピント合わせが大変でしたが、何とか撮れました。
この個体は、花柱が短くて雄ずいが長い「短花柱花」のようです。

ヒオウギ(Iris domestica)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>
 
アヤメ科アヤメ属の多年草で、在来種。山野の草地や海岸に自生する。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾などの東アジア、インド、ベトナムなどに分布する。
草丈は1mを超え、長い葉が扇状に広がる。
花期は7〜9月で、葉より長い花茎を伸ばし、先に多数の花を付ける。
花は午前中に開花して、夕方はしぼむ1日花で、直径5p前後に花被片を放射状に開く。
花被片は6個で、花色は橙色か赤色、暗赤色の斑点がある。オシベは3本で、メシベは1本ある。
種子の直径は5oほどの球形で、黒くて艶があり、射干玉(ぬばたま)と呼ばれる。

2016/7/20
萬葉草花苑に植えられていたものです。
一度、その花を見たいと思っていたのですが、やっと見ることができました。
面白いのは、花がしぼんだ後の形です。手でねじったように、クルクルとねじれていました。


2016/7/25
全体の姿を撮り忘れていたので、撮り直してきました。
先が太くなるラッパ型のメシベも面白いですが、扇を広げたような葉姿は印象的です。

ハナショウブ(Iris ensata var. ensata)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>
   
アヤメ科アヤメ属の多年草で、ノハナショウブ(Iris ensata var. spontanea)の園芸種である。
アヤメ類の総称としてハナショウブをアヤメと呼ぶことも多い。
花色は、白、桃、紫、青、黄など多彩で、絞りや覆輪などとの組み合わせで無数の品種がある。
国内のものは概ね、江戸系、伊勢系、肥後系、長井系(長井古種)の4系統に分けられる。
アメリカなど海外でも育種が進んでいて、外国系の品種も出回っている。

<江戸系> 旗本松平定朝(菖翁)は60年間に300品種近くを作出し、「花菖培養録」を残した。
ハナショウブ栽培は、菖翁以前と以後に区切られ、江戸で完成された品種群が日本の品種群の基礎である。


<伊勢系> 三重県松阪市を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。
伊勢松阪の紀州藩士吉井定五郎により独自に品種改良され、昭和27年に三重県指定天然記念物となった。


<肥後系> 熊本県を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。
肥後熊本藩主細川斉護が、藩士を菖翁に弟子入りさせ、門外不出を条件に譲り受けたもの。
現在も門外不出であるが、大正時代に外部に流出してしまい、現在では各地で見られる。


<長井系(長井古種)> 山形県長井市で栽培されてきた、上記の三系統いずれにも属さない品種群である。
江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、江戸中期以前の原種に近いものとされている。
現在、34品種が確認され、そのうち13品種は長井市指定天然記念物である。


2017/6/9
薬師池公園の花菖蒲田にハナショウブが多くの花を付けるようになっていました。
1週間ほど前には、ところどころで咲いている程度でしたので、一気に咲き始めた感じです。

ここには肥後系62種、伊勢系19種、江戸系82種、その他12種、2,200株があるそうです。
その一部ですが、名前の分かったハナショウブの一覧は、こちらをご覧ください。

ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・ジャノヒゲ連・ジャノヒゲ属>
   
キジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑多年草で、在来種。リュウノヒゲともいう。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では東アジアに分布する。
短い根茎があり、たくさんのヒゲ根が伸びて、ところどころに肥大した塊根ができる。
草丈は10cmほどで、根際から線形の葉が多数出る。葉の縁は全縁で、反り返る。
花期は7月〜8月で、長さ10〜20cmほどのやや扁平な花茎を伸ばし、先に総状花序を出す。
花色は白色〜淡紫色で、直径は10o前後。花弁の数は6個。花は下向きに咲く。
花後、子房は種子を1つ含むが、果皮は早めに敗れて脱落してしまうので、種子のみが青く熟す。

2017/6/9
萬葉草花苑の入り口近くにある大きな木の根元で、花を付けていました。
実家にあるジャノヒゲは高さが10cmにも満たないのに、ここのものは20pほどになっています。
確認のため調べると、実家のものは玉竜という背の低い品種らしいことが分かりました。
普通のジャノヒゲの場合は、これくらいにはなるようで、見た目の違いに驚かされました。

ノカンゾウ(Hemerocallis fulva var. longituba)
<キジカクシ目・ススキノキ科・キスゲ亜科・ワスレグサ属>
 
2016/7/12                2016/7/20        .
ススキノキ科ワスレグサ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州の原野に群生する。
海外では、朝鮮半島から中国、サハリンに分布する。
ヤブカンゾウより一回り小さく、葉幅は半分程度、花茎は70〜90cmになる。
花期は7月〜8月で、花の直径は7cm、花筒は4cmほど。ヤブカンゾウより細長く見える。
花色は、朱色で、花弁の中央に黄白色の筋が入る。1日花で、朝咲いて、夕方にはしぼむ。
花が咲くまでは、ヤブカンゾウと酷似しているので、区別が付かない。
なお、若葉は食用にされる。

菖蒲苑の下の方の畔で、ノカンゾウが朱色の花をたくさん付けていました。
右の写真は、1週間ほど後に撮ったものですが、その間にアブラムシが一気に増えてしまいました。

キツネノカミソリ(Lycoris sanguinea)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属>
   
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、在来種。明るい林床や林縁などに自生する。
日本では本州から四国、九州に、海外では朝鮮半島に分布する。
他の草が生えていない早春のうちに、葉を球根から直接出して球根を太らせ、夏には一旦葉を落とす。
8月の中旬頃に30cmほどの花茎を伸ばし、先端に幾つかの花を咲かせる。
赤橙色の花弁は6枚で、反り返るまでには開かない。オシベは花弁とほぼ同じ長さになる。

2016/7/25
菖蒲苑の周りの斜面に多く見られました。
先週、下草刈りをされていたので、草に埋もれていたものが見えるようになったようです。

コケオトギリ(Hypericum laxum)
<キントラノオ目・オトギリソウ科・オトギリソウ属>
 
オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島に分布する。
草丈は数十pになり、茎は四角形で、上部で分枝する。
葉は、長さ1cm程の広卵形で、秋には紅葉する。
花は直径1cmに満たない黄色い5花弁で、オシベは多くても10本程と少ない。

2016/7/20
菖蒲苑の畔に小さな黄色い花をたくさん付けているコケオトギリを見つけました。
紅葉した本種を新潟で見かけてから、同定するまでに数年かかりましたが、最近は直ぐに分かります。

※ その他のオトギリソウ属の仲間に付いては、こちらをご覧ください。

タケニグサ(Adonis remosa)
<キンポウゲ目・ケシ科・タケニグサ属>
   
ケシ科タケニグサ属の多年草で、在来種。
日本では本州から四国、九州に分布し、日本以外では、東アジアに分布する。
荒れ地や空き地などに最初に見られるパイオニア植物の代表種で、草丈は1mを超える。
葉には大きな切れ込みがあり、裏面は細毛があり白っぽく見える。
花期は7月〜8月で、茎の先に円錐花序を付け、小花をたくさん付ける。
花には花弁はなく、ツボミの時に白く見えているのは、2枚の萼。
開花と共に萼も落ち、多数の細いオシベが目立つ。
刮ハは長さが25mm前後のへら形で、中に種子が4〜6個入っている。

2016/7/20
菖蒲苑の斜面にへばり付くようにタケニグサが大きな枝を伸ばしていました。
花は、かなり咲き進んでいて、下の方には多数の果実がぶら下がっていました。


2017/9/1
今年も菖蒲苑の斜面で、タケニグサが大きく枝を伸ばしていました。
既に花期は過ぎているので、白っぽく熟した果実がブラブラと下がっていました。

ソシンロウバイ(Chimonanthus praecox Link cv. concolor)
<クスノキ目・ロウバイ科・ロウバイ属>
 
ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。
日本には、江戸時代の初め頃に渡来したとされている。
樹高は5m程までになる。葉は対生し、尖った長楕円形で、全縁。
花期は1月〜2月で、直径2cm程の黄色い花を付ける。香りが強く、蝋細工のような光沢がある。
ロウバイには、ソシンロウバイ、マンゲツロウバイ、トウロウバイなどの栽培品種がある。
よく見かけるのは、花が大きく、花の中心まで黄色いソシンロウバイである。
基本種のロウバイは、花の外周は黄色い花被片だが、中心部が暗紫色になる。
周囲の黄褐色の総苞から、黄色の花被片へと準じ大きくなりながらオシベまで螺旋状に付く。
花の中心部には、8個のオシベ、不完全な仮オシベ、その中心に多数のメシベがある。
雌性先熟で、最初オシベは大きく開き、葯も閉じており、中央のメシベは他からの花粉を受け入れる。
授粉後、オシベが閉じて中心に集まり、葯も裂開して花粉が出始める。
花後、花托蛾大きくなり、長卵形の偽果になる。中には、1cmほどの痩果がたくさん入っている。
偽果の鱗状の模様は、総苞、花被片、オシベが付いていた部分で、頂部には仮オシベが残る。
種子などには、アルカロイドであるカリカンチンを含むため、有毒植物である。

2017/5/30
薬師池からハス田に向かう途中、見慣れた果実がブラブラとぶら下がっていました。
既に花期は過ぎていて、花がないので確定はできませんが、よく植栽されている本種としておきます。
いくつもの果実が、見事に育っていました。花付きが悪くなるので、普通、取り去るそうですが。

花を確認できました。この木はソシンロウバイで間違いはなかったようです。

ハンゲショウ(Saururus chinensis)
<コショウ目・ドクダミ科・ハンゲショウ属>

ドクダミ科ハンゲショウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国、フィリピンなどに分布する。
草丈は50〜100cmほどで、太い地下茎を伸ばし、分布を広げて群生する。
日当たりの良い湿地を好むが、適地が減少して自生株は減ってきている。
葉は互生し、長さ5〜15cm程の狭卵形で、基部は心形。葉先は尖り、縁は全縁。
花期は6月〜8月で、上部の葉腋から長さ10〜15cmの総状花序を出す。
花は萼片も花弁はなく、オシベが6個あり、柱頭は4裂する。
花期には、上部の葉の基部側の表面が白くなる。これが和名の由来。
花序は初めは垂れ下がっているが、開花と共に立ち上がっていく。

2017/5/30
萬葉草花苑の上の方で、高さ20pほどの新芽が、ぽつん立っていました。
名板がなければ、何の野草なのか分からなかったと思います。


ハンゲショウの花
       .
2017/7/16
湯田中温泉の民家脇で見かけたハンゲショウの花です。
花よりも白く変化した葉の方が、目立っています。

※ 同じような頃、マタタビも葉が白く変化します。その様子はこちらを参照ください。

クラマゴケ(Selaginella remotifolia)
<イワヒバ目・イワヒバ科・イワヒバ属>
   
2017/5/31            2017/5/31            2017/6/9
イワヒバ科イワヒバ属のシダの一種で、在来種。常緑性の多年生草本。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布し、低山地の日陰や林下の湿潤な場所に群生する。
茎は緑色で、細く長く伸びてまばらに分枝する主茎と、短くてよく分枝する側枝に分かれる。
どちらにも鱗片状の葉をつけ、主茎の方がまばらである。
主茎は長いものは数十cmになり、地表に密着する。側枝は数回分枝して少し斜めに立ち上がる。
主茎からは多数の担根体が出て、担根体は茎から真っすぐに下に伸び、土に触れるとそこから発根する。
葉は2形性で、茎の下から左右に出る腹葉と、茎の背面に並ぶ背葉がある。
腹葉は、幅の広い卵形で、開くように横に交互に突き出す。
背葉は、狭卵形で、2列に並んで茎に密着して付く。なお、背葉の縁に鋸歯がある。
胞子嚢は側茎の先端に集まって胞子嚢穂を作るが、あまり目立たない。
胞子葉は球形で、葉の基部の上側に着く。葉は胞子嚢を覆うようになる。
胞子には、多数の小さい胞子を含む小胞子嚢と、4個の大きな胞子のみを含む大胞子嚢がある。

2017/5/31、2017/6/9
萬葉草花苑の一角に、コンテリクラマゴケが植えられており、それを撮り直しに行きました。
その際、少し離れたところにクラマゴケの名板があり、このシダが生えていました。
コンテリクラマゴケのように立ち上がらず、横に這って、枝先には胞子嚢穂らしきものも見られました。

コンテリクラマゴケ(Selaginella uncinata)
<イワヒバ目・イワヒバ科・イワヒバ属>
 
イワヒバ科イワヒバ属のシダの一種で、中国原産の帰化植物。常緑性の多年生草本。
日本には観賞用に持ち込まれ、あちらこちらで野生化している。
海外では、中国の南部から西南部に分布している。
主茎は地上を横に這って、長さは50p以上になる。
所々から側枝を出し、その基部には担根体が出る。
葉は2形性で、茎の下から左右に出る腹葉と、茎の背面に並ぶ背葉がある。
腹葉は、開くように横に突き出し、長さ3oほどの先の尖った長楕円形で、縁は滑らかである。
背葉は、長さ1mm程の狭卵形で、先は尖る。いずれの葉も表面に紺色の光沢があり、それが和名に由来。
側枝では、葉は密に付き、枝は葉と共に水へに展開して、扁平になる。
胞子嚢穂は、四角柱状で、長さは1p程になる。胞子葉は卵状三角形で、縁は滑らか。

2016/10/7
萬葉草花苑、その一角にコンテリクラマゴケと記載された本種が植えられていました。
ただ、葉に紺色の光沢があると記載がありますが、写真の通り、きれいな緑色です。
そのため、同じ仲間のオニクラマゴケを疑ったのですが、分枝の様子や葉の様子が異なります。
その様子は、葉の色以外はコンテリクラマゴケとそっくりです。
生えていたのが、木の下で日陰になっていたからでしょうか。


2017/5/30
昨年、色がはっきり確認できなかったコンテリクラマゴケを撮り直してきました。
今回は、その妖艶なコバルトブルーの照りを撮影することができました。
春先の新芽が伸びる頃の方が、照りは確認しやすいのかもしれません。
枝先も、秋に撮ったものは長く、だらりと垂れていますが、春先は短いので立っています。

シノブ(Davallia mariesii)
<ウラボシ目・シノブ科・シノブ属>

シノブ科シノブ属の夏緑性シダで、在来種。山地の森林内の樹木などに着生する。
日本では、北海道の一部から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布している。
海外では、朝鮮半島南部、中国、台湾に分布している。
茎は直径5o前後と太く、表面には褐色の鱗片が一面に生える。
樹皮に根で張り付き、分枝しながら樹皮の上に長く伸びる。
冬の間は葉を落とし、春に葉を展開する。通常の栄養葉と胞子を付けた胞子葉を形成する。
葉は根茎からまばらに出て、葉柄は硬く、長さは5〜10cmほど。脱落性の鱗片がまばらに付く。
葉身は、長さが10〜30cmほどで、幅がその半分弱の3角形状。
3〜4回羽状複葉で、葉質はやや硬くて厚く、表面には光沢がある。
羽片には柄があり、裂片は長楕円形で先が尖り、全縁。なお、羽片は最下羽片が最大で、三角形状。
ソーラスは最終裂片の脈の先端につき、苞膜はコップ状。

2017/6/9
萬葉草花苑の入り口近くの樹に、シノブが張り付いて、葉をたくさん出していました。
左端の写真の左下に見える淡褐色の部分が、根茎の先端部です。
その後ろに見えている直線状の灰褐色の部分が根茎で、その根茎から葉柄が右上の方に伸びています。
全体の様子は、右2枚の写真のように、葉柄の先に羽状複葉の葉身が垂れるように付きます。
以前は、夏になるとシノブ玉にして、軒下に吊り下げているのをよく見かけました。
最近、販売されているものは、常緑のトキワシノブが増えているそうです。

アシナガヌメリ(Hebeloma spoliatum (Fr.) Karst.)
<ハラタケ目・フウセンタケ科・ワカフサタケ属>

フウセンタケ科ワカフサタケ属のキノコで、在来種。アンモニア菌
傘は2〜8pで、開けば中高で平開し、表面は粘性があって粘土褐色から栗色。
ひだは密に上生あるいは直生し、柄は長さ5〜6p、表面は最初白色であるが時間経つと褐色を帯びる。
柄の基部は偽根となっていて、地中深くもぐる。
夏〜秋、動物の死体、糞尿の投棄後、モグラ類や黒スズメバチの地下の巣後から発生する。

2016/7/12
菖蒲苑の先の斜面で、朽木の根元からキノコが4本、大きく傘を開いていました。
傘の上や近くの葉が白くなっていますが、これは放出された胞子が付着したものです。
後日、いろいろと調べてみて、本種に近いと思ったのですが、確証がありません。
その後、柄が地中に潜っているのか確認しようとしたのですが、既に消えてしまっていました。

マンネンタケ(Ganoderma lucidum (Leyss. ex. Fr.) Karst)
<ヒダナシタケ目・マンネンタケ科・マンネンタケ属 >
   
2011/8/17           2011/10/10           2011/10/10
マンネンタケ科マンネンタケ属の1年生のキノコ。
レイシの別名で呼ばれることも多いキノコで、表面に光沢がある事が特徴。
子実体は1年生、初期にはこぶ状、成長すると偏心生の扇状になり、ときに中心生になり、直立する。
傘は5〜20cmと幅があり、扁平か多少中央が盛り上がる。
傘の背面は環溝と放射状のしわがあり、黄褐色、赤褐色、紫褐色と変異がある。
成長すると表層は硬い殻皮となり、表面に光沢がでてくる。
柄は硬く、中実で長さは5〜15cm、不規則に曲がり、凹凸がある。

2011/8/17 薬師池からハス田に向かう途中で、樹の根元で顔を出しているキノコを見かけました。
色や形状からマンネンタケの子実体と判断しました。
2011/10/10 前に見かけたキノコがどうなっているか見に行ってみました。
写真を見ていただければ分かる通り、いくぶん大きくはなっていましたが、かなり小ぶりです。
条件があまり良くなかったのか、少し成長しただけで終わってしまったようです。


2012/10/8
昨年に見かけた場所に、今年はどうなっているか見に行ってみました。
同じ場所に同じような大きさで、今年もマンネンタケが出ていました。

ヒイロタケ(Pycnoporus coccineus (Fr.) Bondartsev & Singer)
<タマチョレイタケ目・タマチョレイタケ科・シュタケ属>
 
タマチョレイタケ科シュタケ属のキノコで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国、東南アジア、オーストラリアに分布する。
傘は4〜8pで、厚さは3〜7oと扁平で、半円形〜円形。
春から秋にかけて、広葉樹の枯れ木などに発生する。
傘表面や管孔の色は朱紅色で目立つが、古くなると退色し、灰色になる。
腹面は濃紅色で、古くなっても退色せず、菅孔状で、孔口は微細。

2017/9/1
薬師池の側の梅林で、梅に樹に鮮やかな朱色のキノコが付いていました。
以前から気にはなっていたのですが、うまく撮影できずにいたキノコです。
この個体は、比較的下の方に付いていたので、何とか撮影できました。

コナアカミゴケ(Cladonia macilenta)
<レカノラ目・ハナゴケ科・ハナゴケ属>

ハナゴケ科ハナゴケ属の子嚢地衣類で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布し、世界にも広く分布している。
平地から低山地の腐植土上や朽木、樹幹の基部などに自生している。
子柄は淡緑色で中空、直立し、稀に先で分枝する。高さは1〜3cm、直径は1mm前後になる。
子器は柄の先に付き、直径は2o程になる。盤は鮮やかな赤色。
この子器の赤い色は、多くが集まると小さい割には、非常に目立つ。

2012/11/18
旧荻野家住宅の説明板の屋根は、桧皮葺の様になっていて、そこに赤い物が点々と付いていました。
何だかわからなかったので、後で調べると、コアカミゴケというハナゴケ科の地衣類にたどり着きました。
最近になって改めて確認した所、「現在、日本にはコアカミゴケは生育していない」との記述を見つけました。
それで、「コアカミゴケ」の記述は、「コナアカミゴケ」に変更されたとのこと。

※ 以前、「コアカミゴケ」の記述を見つけた岐阜大学教育学部のWeb教材の記述も変更になっていました。
同じ写真が「コアカミゴケ」→「コナアカミゴケ」と「アカミゴケ」に分けられていました。

 
       2016/7/20            2016/7/25     2016/7/25
久しぶりに旧荻野家住宅に行ってみると、屋根がふき替えられてきれいになっていました。
しかし、説明板の方は未改修でしたので、屋根のコナアカミゴケも健在でした。
ただ、季節が夏だからか、赤い子器は少なく、所どころにみられる程度でした。

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