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乗鞍高原で見た昆虫



2014年8月13日、三本滝、牛留池、善五郎の滝、一の瀬園地を散策した際、見かけた昆虫たちです。
前日とは生息環境が異なるので、見かけた昆虫も前日とは異なるものが多かったです。



チョウ目・アゲハチョウ上科
アゲハチョウ科(カラスアゲハ)
シジミチョウ科(トラフシジミ)
タテハチョウ科(ヒメキマダラヒカゲ、ミドリヒョウモン)
チョウ目・セセリチョウ上科
セセリチョウ科(コキマダラセセリ、コチャバネセセリ)
チョウ目・シャクガ上科
シャクガ科(ヒョウモンエダシャク)
トンボ目・トンボ亜目
トンボ科(アキアカネ)
ヤンマ科(オオルリボシヤンマ)
トンボ目・イトトンボ亜目
アオイトトンボ科(アオイトトンボ)
ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科
ハナアブ科(シロスジベッコウハナアブ)
乗鞍高原で見た昆虫
和名インデックス


カラスアゲハ(Papilio bianor)
<チョウ目・アゲハチョウ上科・アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ属>

アゲハチョウ科の蝶で、日本では、北海道から本州、四国、九州と全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
食草(ミカン科のコクサギ、カラスザンショウ、カラタチなど)に左右されるが、基本的に市街地では見られない。
なお、好みではないのか栽培種のミカン科には付かない。
ミヤマカラスアゲハに似ているが、カラスアゲハの翅表面の帯模様は不明瞭なので区別できる。

2014/8/13
一の瀬園地を散策虫、コオニユリの花で給蜜中の本種を見かけました。
遠目であったので、ミヤマカラスアゲハとの区別が難しかったのですが、翅の模様から本州としました。

トラフシジミ(Rapala arata)
<チョウ目・アゲハチョウ上科・シジミチョウ科・ミドリシジミ亜科・トラフシジミ属>
 
シジミチョウ科ミドリシジミ亜科のチョウで、ほぼ全国に分布する。
海外では、中国中部から東北部、ロシア極東に分布する。
翅表は黒く、雄では翅中心部が青紫色。翅裏には白いしま模様があり、後翅舌部にオレンジ斑と尾状突起がある。
蛹で越冬し、早春から見られる、夏の終わりにかけて2回発生する。
春型は白い縞模様が明瞭であるが、夏型では縞模様が灰白色になり不明瞭になる。

2014/8/13
駐車場から善五郎の滝へ向かう途中、ヒヨドリバナに止まっていました。
一見、ウラナミシジミのように見えたのですが、波模様がなく、白い縞模様なので、本種と分かりました。
白い縞模様があまり明瞭ではないので、本種は夏型のトラフシジミと思われます。

ヒメキマダラヒカゲ(Zophoessa callipteris)
<チョウ目・アゲハチョウ上科・タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・ヒメキマダラヒカゲ属>

タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のチョウで、ほぼ全国に分布するが、南方ほど少ない。
海外では、サハリン南部の実に分布する。
下草にササの生えるブナ科の林地に生息し、林内だけではなく、周辺の各種花を頻繁に訪花する。
3〜4齢幼虫で越冬し、5月頃に羽化、9月頃まで活動する。
サトキマダラヒカゲヤマキマダラヒカゲに似ているが、 翅裏の模様が単純で明るく、蛇の目紋が少ない。

2014/8/13
三本滝からの帰り道で、ヒヨドリバナの花で給蜜していました。
昨日見かけたものより、翅裏の模様がはっきりし、濃いように思います。

ミドリヒョウモン(Argynnis paphia)
<チョウ目・アゲハチョウ上科・タテハチョウ科・ドクチョウ亜科・ヒョウモンチョウ族・ミドリヒョウモン属>
   
タテハチョウ科ミドリヒョウモン属の蝶で、日本では、ほぼ全国で見られる。
海外では、ヨーロッパから中央アジア、シベリア、中国、朝鮮半島と、ユーラシア大陸の温、寒帯に広く分布する。
後翅裏側は黄緑色で、これが和名の由来。この後翅の黄緑色の外縁と中央に白い縦帯が走る。
前翅先端に、三角形の白斑があるのがメスで、ないのがオスです。
また、前翅の表側で、黒い斑点が小さく、4本の太い発香鱗(はっこうりん)条があるのがオスで、メスにはない。
メスの一部には、翅の表側全体が黒っぽい「暗色型」と呼ばれる発色をするものがある。
冬は、卵、または若齢幼虫で越冬する。

2014/8/13
左端は牛留池の駐車場から道路を渡った所で見かけた、ヒョウモンチョウです。
その時は、種類までは分からなかったのですが、後で調べてミドリヒョウモンのオスと分かりました。
オスの特徴である4本の「発香鱗条」が明瞭に見て取れます。

一の瀬園地でもミドリヒョウモンを良く見かけました。
中央の写真は、「暗色型」のメスかと思ったのですが、良く見ると「発香鱗条」がありオスでした。
右端の写真も一の瀬園地のものですが、後翅裏面の黄緑色が良く分かると思います。

コキマダラセセリ(Ochlodes venatus)
<チョウ目・セセリチョウ上科・セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・アカセセリ族>
   
セセリチョウ科セセリチョウ亜科のチョウで、北海道、本州中部以北の内陸、中国山地の山地草原に分布する。
海外では、サハリンに分布する。
縦長の翅は茶褐色で、表にオレンジ色の斑模様があり、飛翔は早い。
翅表は、オスではオレンジ色の地色に黒い縁取り、メスでは茶褐色の地色に黄色の紋が入る。
食草はススキ、各種イネ科植物が主で、他にクマザサなども食べる。
2齢幼虫で越冬する。

2014/8/13
一の瀬園地で、ノアザミの花にセセリチョウが集まり、飛び回っていました。
このノアザミの花には、2種類のセセリチョウが訪花しています。
その1つが、このコキマダラセセリです。
この個体は前翅に黒い性標(太い筋模様)が見られるのでオスです。

コチャバネセセリ(Thoressa varia)
<チョウ目・セセリチョウ上科・セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・ホシコチャバネセセリ族>
 
セセリチョウ科セセリチョウ亜科のチョウで、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
後翅表面には白紋が無く、裏面には白紋が3個入る。また、翅裏面には翅脈に沿って黒い筋模様が入る。
雌雄の違いは、メスの白紋は大きく、オスは小さいこと、前翅先端はオスでは鋭角に尖り、メスは丸みを帯びる。

2014/8/13
一の瀬園地で、ノアザミの花にセセリチョウが集まり、飛び回っていました。
このノアザミの花には、2種類のセセリチョウが訪花しています。
その1つが、このコチャバネセセリです。この個体は、白斑が小さく、前羽が尖っているのでオスです。

ヒョウモンエダシャク(Arichanna gaschkevitchii gaschkevitchii)
<チョウ目・シャクガ上科・シャクガ科・エダシャク亜科・Arichanna属>

シャクガ科エダシャク亜科の一種で、日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する日本固有種。
翅は白地に黒い紋が散りばめられ、後翅の外側半分はオレンジ色。
幼虫の食草はアセビで、成虫は花蜜を餌とする。
オスの触角は櫛歯状で、メスの触角は糸状なので、区別は容易。

2014/8/13
ペンションから散歩中、道端のクサボタンの花で給蜜中の本種を見ました。
この個体の触角は糸状なので、メスです。

アキアカネ(Sympetrum frequens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属のトンボで、日本では全国でふつうに見られる。
日本の固有種で、極東アジアからヨーロッパにかけては、近縁種のタイリクアキアカネが分布する。
ナツアカネと異なり、夏には平地から高地に移動し、秋に成熟して平地に戻ってくる

2014/8/13
一の瀬園地では、アキアカネをよく見かけました。
アキアカネは暑さに弱いので、暑い平地から、高原等へ避暑にきます。
そのため、猛暑のこの時期には、高原などにたくさん集まっています。

オオルリボシヤンマ(Aeshna nigroflava)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・ヤンマ科・ルリボシヤンマ亜科・ルリボシヤンマ族・ルリボシヤンマ属>
 
ヤンマ科ルリボシヤンマ属では最大種で、北海道から本州、九州に分布する在来種である。
日本では、北海道から本州、九州に分布し、南西に行くほど生息域の標高が高くなる。
主に寒冷な湿原や池、沼などで、挺水植物(ガマ、ヨシなど)が繁茂する所に生息する。
オスは全長76〜94mm、腹長53〜63mm、後翅長49〜60mmで、
メスは全長76〜93mm、腹長54〜69mm、後翅長50〜63mmである。
オスは成長すると斑紋が青色となり、メスの斑紋には青色型と緑色型の2種類がある。
ルリボシヤンマに似ているが、本種が開けた場所にいるのに対し、ルリボシヤンマはうす暗い池などにいる。
また、オオルリボシヤンマでは胸部斑紋上部が大きく飛び出しており、その形状の違いからも判別できる。

2014/8/13
牛留池に着いた時、ミツガシワの上を飛んでいる大型のトンボを見かけました。
ときどきとミツガシワに止まって、尾部を水面下に指し込んでいるので、産卵中のようです。
後で調べて、本種の緑型のメスとわかりました。

 
2014/8/13
一の瀬園地を散策し、あざみ池に着くと、水面を飛びまわている大型のトンボを見かけました。
距離があるうえ、ちょこまかと動きが早く、流し撮りで追いかけますが追い切れません。
なんとか、見られる程度に撮れたものを後で調べて、本種のオスとわかりました。
上記のメスと比較すると、尾部の斑紋の色が異なるのが分かります。

アオイトトンボ(Lestes sponsa)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・アオイトトンボ亜科・アオイトトンボ属>

アオイトトンボ科アオイトトンボ属のトンボで、北海道から本州、四国、九州と広く分布している。
主に平地や低山地の挺水植物(ガマ、ヨシなど)が繁茂する池、沼、湿地に生息する。
全身が金属光沢のある青緑色で、オスは成熟と共に胸部や腹部尾端に白粉が生じる。
オオアオイトトンボに似ているが、胸部金属光沢部の形状が矩形に近いのが本種で三角形状がオオアオイトトンボです。
白粉の吹いたオスの場合、第9、第10節が白いのが本種で、第10節のみが白いのがオオアオイトトンボです。

2014/8/13
三本滝からの帰路、斜面を登っていると脇のクマザサに止まっているイトトンボを見つけました。
良く見ると金属光沢のある青緑色のきれいな体色をしています。
後で調べて本種と分かりましたが、オオアオイトトンボとは胸部の金属光沢部の形状で区別しました。
なお、腹部尾端の形状から判断すると、この個体はメスです。

 
2014/8/13
一の瀬園地のあざみ池では、たくさんの本種を見かけました。
写真の個体は、オスで胸部や尾端(第9、第10節)に白粉が出ています。
池の中に出ている水草の茎に止まっているのも本種です。

   
あざみ池にあは、アオイトトンボがたくさんいて、連結しているものや交尾中のものも良く見かけました。
左端は連結中のもので、オスがメスの首の部分を尾端の上下付属器で固定しています。
中央は交尾中のもので、メスが尾端をオスの副性器(精子が一時保存)に付けて受精します。
このとき、2匹の腹部の形がハート型になります。
この周辺には、このように連結中のアオイトトンボのペアがたくさん止まっていました。

シロスジベッコウハナアブ(Volucella pellucens tabanoides)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ベッコウハナアブ族>
 
ハナアブ科ナミハナアブ亜科のアブで、北海道、本州、四国に分布する。
海外では、朝鮮半島とサハリンに分布する。
かなり大型のアブで、腹部第1節は白い。翅の基部は黄褐色を帯び、外縁中央に黒紋がある。
オスの胸部背面はほぼ真っ黒であるが、メスの胸部背面には暗色の紋がある。
メスは、スズメバチの巣の中に入って産卵する。
幼虫は、ハチの死がいなどを食べると考えられているが、詳細は不明。

2014/8/13
善五郎の滝に向かう途中、ヒヨドリバナの花で見かけました。
昨日見たのもそうですが、この個体もメスですね。
とにかく大きなアブなので、遠くからでもその存在は直ぐに分かります。









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