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ペンション周りで見た昆虫



乗鞍高原に着き、一休みした後、近くを散策した折に見かけた昆虫たちです。
ウドやオオハナウドなどが花を咲かせており、それらの花に多くの昆虫が集まっていました。



チョウ目・アゲハチョウ上科
タテハチョウ科(クロヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲ)
チョウ目・シャクガ上科
シャクガ科(ウスキツバメエダシャク、トンボエダシャク)
チョウ目・スカシバガ上科
スカシバガ科(コスカシバ)
コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ上科
コガネムシ科(セマダラコガネ)
コウチュウ目・カブトムシ亜目・ホタル上科
ジョウカイボン科(アオジョウカイ)
バッタ目・バッタ亜目
バッタ科(ハネナガフキバッタ)
ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科
スズメバチ科(セグロアシナガバチ、キイロスズメバチ)
ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科
ミツバチ科(オオマルハナバチ、コマルハナバチ)
ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科
ハナアブ科(アシブトハナアブ、シロスジベッコウハナアブ、フタスジヒラタアブ、マガイヒラタアブ)
ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科
ヤドリバエ科(シナヒラタハナバエ)
ペンション周りで見た昆虫
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クロヒカゲ(Lethe dian)
<チョウ目・アゲハチョウ上科・タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・ヒカゲチョウ属>

タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のチョウで、日本全土に分布する。
国外ではサハリン・台湾・中国・朝鮮半島に分布する。
暗い林内をすばやく飛んでいる事が多く、樹液を吸って生活している。
翅表はこげ茶色一色で、前翅に白っぽい模様があるのみだが、裏は茶色の濃淡に蛇の目紋がある。
後翅中央に毛が生えているものは雄である。
2〜4齢幼虫で越冬する。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、イタドリの葉の上に止まっていました。
クロヒカゲはあまり翅を開かないのですが、日向ぼっこをしていたのか、翅を半開きにしていました。

クロヒカゲの翅裏の模様に関しては、こちらに掲載していますので、ご参照ください。

ヒメキマダラヒカゲ(Zophoessa callipteris)
<チョウ目・アゲハチョウ上科・タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・ヒメキマダラヒカゲ属>
   
2014/8/12             2014/8/12           2014/8/13
タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のチョウで、ほぼ全国に分布するが、南方ほど少ない。
海外では、サハリン南部の実に分布する。
下草にササの生えるブナ科の林地に生息し、林内だけではなく、周辺の各種花を頻繁に訪花する。
3〜4齢幼虫で越冬し、5月頃に羽化、9月頃まで活動する。
サトキマダラヒカゲヤマキマダラヒカゲに似ているが、 翅裏の模様が単純で明るく、蛇の目紋が少ない。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地のサワヒヨドリの花や道端のウドの花で見かけました。
クロヒカゲとは逆に、翅を開いてくれなかったので、翅表の模様は撮れませんでした。

2014/8/13
三本滝から駐車場に戻る途中、サワヒヨドリの花に止まっていました。
この日も翅を開いてくれませんでした。羽化に失敗したのか、後翅が波打っています。

ウスキツバメエダシャク(Ourapteryx nivea)
<チョウ目・シャクガ上科・シャクガ科・エダシャク亜科・Ourapteryx属>
 
シャクガ科エダシャク亜科の一種で、日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国で見られる。
幼虫は、広食性でエノキ、クヌギなどの広葉樹から針葉樹の葉を食べる。成虫は花蜜を餌とする。
チョウを思わせる大型の白いエダシャクで、淡い褐色の横帯があり、雌雄共に触角は糸状である。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、サワヒヨドリの花で給蜜していました。
遠目には、白いチョウのように見え、イシガケチョウの模様を単純化したような模様です。

トンボエダシャク(Cystidia stratonice stratonice)
<チョウ目・シャクガ上科・シャクガ科・エダシャク亜科・Cystidia属>

シャクガ科エダシャク亜科の一種で、日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア南東部に分布する。
近縁のヒロオビトンボエダシャクと酷似するが、腹部の黄色い模様が規則的な点で区別できる。
幼虫の食草はツルウメモドキで、成虫は花蜜を餌とする。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、イタドリの花で給蜜していました。
エダシャクの仲間には、良く似た翅の模様を持つものがたくさんいますので、同定には注意が必要です。
特に近縁のヒロオビトンボエダシャクとは翅の模様では区別できず、腹部の模様の規則性で判別しました。

コスカシバ(Synanthedon hector)
<チョウ目・スカシバガ上科・スカシバガ科・スカシバガ亜科・Synanthedon属>
   
スカシバガ科・スカシバガ亜科の一種で、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
体色は光沢のある黒色〜黒紫色で、翅は透きとおり、前翅の外縁は黒く縁取りされている。
腹部に黄色の帯状模様が3本あり、第4、5節のものは太い。
尾端には、雌は房状、雄は軍配状の鱗毛がある。触角は雌雄とも糸状。
幼虫で越冬するが、何齢幼虫で越冬するかは幅があり、そのため羽化時期にも春から秋と幅がある。

2014/8/12
散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていましたが、その中に本種も交じっていました。
ちょうど逆光だったので、体の模様ははっきり写っていませんが、黄色い帯状の模様が3本あります。
なお、尾端の鱗毛が大きく広がっているので、この個体はオスです。

コスカシバの下部に写っている腹部の折れ曲がったハチは、ヒメバチの仲間と思われます。

セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ上科・コガネムシ科・スジコガネ亜科・セマダラコガネ属>

ガネムシ科スジコガネ亜科の昆虫で、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
体色は、茶色と黒のまだら模様が基本ではあるが、黒色型もあり、変異が多い。
くしのついた触角を大きく広げている事が多く、触角は体のわりにはやや大きめ。
成虫は、広葉樹を始め多くの植物の葉を、幼虫は土中で草の根などを食べる。
マメコガネ同様、アメリカで農作物に被害を与え、「オリエンタルビートル」と呼ばれ、嫌われている。
最近、ゴルフ場で芝生の根を食い荒らす害虫として、注目されている。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、イタドリの花にいました。
どこにでもいるのではと思えるほど、良く見かけるコガネムシです。
いろいろな葉を食い荒らすので、害虫として嫌われ者です。

アオジョウカイ(Themus cyanipennis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ホタル上科・ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科>
 
ジョウカイボン科の甲虫で、カミキリムシに似ているが、前翅が柔らかい所が異なる。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
翅は暗緑藍色で青い金属光沢を持ち、前胸部の側縁に黄色い縁取りがある。
ただし、上翅は,個体差があり青色から黒っぽい色まで一様ではない。
成虫、幼虫とも他の昆虫を捕らえて食べる。成虫は花に来て蜜をなめることもある。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、イタドリの花にいました。
金属光沢のある暗緑藍色の体色に、前胸の黄色い縁取りがきれいな昆虫です。
本来は肉食性の昆虫ですが、このときはイタドリの蜜を舐めていたようです。

ハネナガフキバッタ(Ognevia longipennis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ科・フキバッタ亜科・ハネナガフキバッタ属>

バッタ科・フキバッタ亜科のバッタで、分布は広く、北方ほど個体数は多い。
フキバッタの翅は退化したものが多いが、本種は名前の通り普通の翅を持つ。
多くの植物の葉を食べるが、イネ科やカヤツリグサ科の葉は食害しない。
幼虫時代は、集団でフキなどの葉を穴だらけにして、筋だけにする。
見た目は、コバネイナゴに良く似ているが、イナゴより体がやや大きく、後腿節や後脛節に違いがある。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、イタドリの葉の上で見かけました。
見かけた時、イナゴだと思っていましたが、後で調べると微妙に異なります。
そのため、調べ直して本種と判明しました。それにしても良く似ています。

セグロアシナガバチ(Polistes jadwigae jadwigae)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>
 
日本は、本州から四国、九州にかけて生息している大型のアシナガバチ。
刺されるとアナフィラキシーショックにより死亡する可能性もある。

2014/8/12
散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていましたが、その中に本種も交じっていました。
アシナガバチの中では大型で、近くにいたキイロスズメバチと大差ない大きさです。
右写真の左下方が本種で、右中央下がキイロスズメバチです。

キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>
   
スズメバチ科スズメバチ亜科の昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、屋久島が南限となる。出現時期は4月〜11月。
北海道には、基亜種のケブカスズメバチ(黄色の部分が少ない)が分布している。
体長は、働きバチで17〜24mm、オスで20〜24o前後、女王バチで25〜28mmである。
スズメバチの中では、日本では最小種で、セグロアシナガバチとあまり変わらない。
ただし、気性は荒く、オオスズメバチに次いで攻撃的で、巣の近くを通っただけで攻撃されることがある。
また、巣は球形で、樹や土中、人家の屋根裏などに作り、手狭になると引越しをする。
そのため巣は順次大型化し、スズメバチの中では最も大きな巣を作る。
大型の巣では、当然働きバチも増え、大きいものでは1000匹を超える場合もある。
攻撃的で気性が荒く、1つの巣に居る数も多くなるため、最も刺される被害が多いのが本種である。

2014/8/12
散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていましたが、その中に本種も交じっていました。
右写真の左下方がセグロアシナガバチで、右中央下が本種ですが、黄色く見えるのが分かると思います。

オオマルハナバチ(Bombus hypocrita hypocrita)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
   
ミツバチ科マルハナバチ属のハチで、日本では北海道から、本州、四国、九州と全国に分布する。
ただし、西に行くにつれて、生息域は高地の方に移動し、低地では見られなくなる。

2014/8/12
散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていましたが、その中に本種も交じっていました。
中央写真で、右中央でキイロスズメバチの上にいるのが本種です。
また、その後、駐車場脇に咲いていたヤナギランの花でも見かけました。

コマルハナバチ(Bombus ardens ardens)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
 
ミツバチ科マルハナバチ属の日本在来種のハチで、北海道から本州、四国、九州に分布する。
本種では、オスは淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色なのに対し、メスは黒色で腹端がオレンジ色。
他のマルハナバチ同様、林床の地中に営巣する社会性のハナバチだが、6月頃にはコロニーが解散してしまう。

2014/8/12
散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていましたが、その中に本種も交じっていました。
右側の写真で、右上にいるのが本種です。
クロマルハナバチは本種と似ていますが、南方系で本州では低地に多く、毛が短めです。
撮影地が乗鞍高原で、高地であることから本種で間違いはないと思います。

アシブトハナアブ(Helophilus virgatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>

日本では、北海道から四国、九州まで広く分布し、海外では中国に分布する。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まる。
特徴は、胸の二本の褐色の縦筋と直翅目(バッタの仲間)のように太くて大きい後肢。

2014/8/12
駐車場脇に咲いていたヤナギランの花で、本種を見かけました。
強靭そうな後脚が特徴です。

シロスジベッコウハナアブ(Volucella pellucens tabanoides)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ベッコウハナアブ族>
   
2014/8/12
 
2014/8/13
ハナアブ科ナミハナアブ亜科のアブで、北海道、本州、四国に分布する。
海外では、朝鮮半島とサハリンに分布する。
平地でも見られることがあるが、主に山地に生息している。
かなり大型のアブで、腹部第1節は白い。翅の基部は黄褐色を帯び、外縁中央に黒紋がある。
オスの胸部背面はほぼ真っ黒であるが、メスの胸部背面には暗色の紋がある。
メスは、スズメバチの巣の中に入って産卵する。
幼虫は、ハチの死がいなどを食べると考えられているが、詳細は不明。

2014/8/12
散歩途中の道路脇で、ソバナやクサボタンの花で給蜜していました。
かなりの大きさで、黒と黄色の警戒色なので、遠くからでも目立ちます。
この乗鞍高原に来て初めて出会ったアブですが、とにかく大きいです。
良く見かけるオオハナアブより、二回りは大きく、体長は20mm程あります。

2014/8/13
善五郎の滝に向かう途中、ヒヨドリバナの花で見かけました。
昨日見たのもそうですが、この個体もメスですね。

フタスジヒラタアブ(Dasysyrphus bilineatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ヒラタアブ属>
   
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科のアブで、本州から四国、九州、対馬に分布する。
腹部の黄色い横帯の模様が、中央が凹んだ独特な形をしているヒラタアブです。
その形状は、メスでは凹みが明瞭なのに対して、オスでは凹みが小さく不明瞭です。
なお、和名の「フタスジ」は、胸部背面の2本の縦条に由来する。

2014/8/12
昇散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていました。
集まっていたアブの大半は、本種とマガイヒラタアブでした。
腹部の模様が異なるので、識別は容易でしたが、集まっていた本種はオスばかりでした。

マガイヒラタアブ(Syrphus dubius)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ヒラタアブ属>
   
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科のアブで、近年、キイロナミホシヒラタアブと分けられた。
キイロナミホシヒラタアブは、北海道で稀に見られる程度で、本州以南で見られるのは本種である。
ナミホシヒラタアブと本種は似ているが、本種には顔に黒色中条はない。

2014/8/12
昇散歩途中の道端で、ウドが花を咲かせていました。
その花には、多くのアブやハチ、チョウなどが集まっていました。
集まっていたアブの大半は本種で、フタスジヒラタアブが少し交じっている程度でした。
右端の写真がその様子ですが、とにかくたくさんの本種が付いていました。
中央の写真のように、顔の中央に黒条はありませんので、本種で間違いはないと思います。

シナヒラタハナバエ(Ectophasia rotundiventris)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・ヤドリバエ科・ヒラタハナバエ亜科>

ヤドリバエ科ヒラタハナバエ亜科のヤドリバエで、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
体色は橙色で、腹部の尾端側半分ほどが黒色。ただし、黒色部の変異は大きく、ないものも見られる。
カメムシの仲間の成虫や幼虫に直接卵を産みつけ寄生します。

2014/8/12
ペンション近くの小川脇の空き地で、イタドリの葉の上で見かけました。
最初、シロスジベッコウハナアブかと思ったのですが、大きさも模様も違います。
それで調べ直して、翅の色、腹部の模様などから本種としました。









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