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入笠山で見かけた昆虫



主に沢入駐車場から大阿原湿原への車道脇、入笠山の花畑で見かけた昆虫たちです。



チョウ目・アゲハチョウ上科
シジミチョウ科(ゴイシシジミ)
シロチョウ科(モンシロチョウ)
タテハチョウ科(コムラサキ、ヤマキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲ、
          ギンボシヒョウモン、ミドリヒョウモン)
チョウ目・セセリチョウ上科
セセリチョウ科(ヒメキマダラセセリ、コチャバネセセリ、スジグロチャバネセセリ)
チョウ目・イカリモンガ上科
イカリモンガ科(イカリモンガ)
チョウ目・シャクガ上科
シャクガ科(エグリヅマエダシャク)
チョウ目・マダラガ上科
マダラガ科(キスジホソマダラ)
コウチュウ目・コガネムシ上科
コガネムシ科(セマダラコガネ)
コウチュウ目・ホタル上科
ジョウカイボン科(アオジョウカイ)
ベニボタル科(ベニボタル)
コウチュウ目・ハムシ上科
カミキリムシ科(カラカネハナカミキリ、オオヒメハナカミキリ、ニセフタオビヒメハナカミキリ、
          ニッコウヒメハナカミキリ、ニンフホソハナカミキリ、フタスジハナカミキリ、
          マルガタハナカミキリ、ヨツスジハナカミキリ)
コウチュウ目・ヒラタムシ上科
カミキリモドキ科(スジカミキリモドキ)
カメムシ目・カメムシ亜目
カメムシ科(エゾアオカメムシ)
ナガカメムシ科(ジュウジナガカメムシ)
カメムシ目・頸吻亜目
アワフキムシ科(テングアワフキ、モンキアワフキ)
シリアゲムシ目
シリアゲムシ科(ヤマトシリアゲ)
トンボ目
トンボ科(アキアカネ)
ハエ目・ハナアブ上科
ハナアブ科(オオハナアブ、ホシツヤヒラタアブ、ナミホシヒラタアブ)
ハエ目・ムシヒキアブ上科
ムシヒキアブ科(マガリケムシヒキ)
ハチ目・ミツバチ上科
ヒメハナバチ科(ウツギノヒメハナバチ)
ミツバチ科(トラマルハナバチ)
ハチ目・ハバチ上科
ハバチ科(オオコシアカハバチ)
バッタ目・バッタ上科
バッタ科(ヒナバッタ)
ハサミムシ目
クギヌキハサミムシ科(コブハサミムシ)
入笠山で見かけた昆虫
和名インデックス


ゴイシシジミ(Taraka hamada)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シジミチョウ科・カニアシシジミ亜科・ゴイシシジミ属>
 
シジミチョウ科ゴイシシジミ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、インド東部から東アジア、東南アジアに広く分布している。
なお、日本に生息しているカニアシシジミ亜科は本種のみである。
前翅長は10〜17mmで、開張は24〜30mm。翅裏は白地に黒い斑紋があり、翅表は黒色である。
出現時期は5月〜10月で、年4〜5回発生し、平地から山地の林や笹薮で局所的に見られる。
幼虫は、純粋な肉食性で、ササコナフキツノアブラムシ、タケツノアブラムシなどである。
また、成虫もこれらのアブラムシの出す分泌物のみを吸汁し、訪花性や吸水性はない。
そのため、これらのタケ、ササ類、ススキに付くアブラムシのいる場所から離れない。
ただし、成虫の移動性はかなり強いとみられ、餌が無くなると忽然と姿を消すことがある。
越冬は幼虫で行うが、その齢数や越冬状態などの詳細は知られていない。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、ササの葉に止まるゴイシシジミを見かけました。
写真では見たことがあるのですが、実物を見るのは初めてです。
近寄っても逃げることがなかったので、じっくりと撮影できました。
翅を開いてくれないかと突いてみたのですが、パッと近くに移動して、直ぐに翅は閉じてしまいます。
そんな訳で、一人では翅を開くところは撮れないと、諦めました。

モンシロチョウ(Pieris rapae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属>
 
アゲハチョウ上科シロチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本(全国)を含め、全世界の温帯、亜寒帯に広く分布する。
広い分布域の中でいくつかの亜種に分かれている。
日本に分布するのは亜種「Pieris rapae crucivora」とされている。
幼虫の食草はキャベツ、アブラナなどのアブラナ科植物で、それらの栽培域の拡大に伴い分布を広げてきた。
日本のモンシロチョウは、奈良時代に大根の栽培と共に移入されたと考えられている。
成虫は3月〜11月頃まで長期間見られ、年に4〜5回ほど発生するが、時期や回数は地域によって異なる。
開長は45〜50mmで、前翅の基部半分ほどが灰白色なのがメスで、オスは翅の付け根のみ灰白色。
オスはメスを探して飛び回るので、長時間飛び回っている個体の多くはオスである。
オスはメスを見つけると交尾しようとするが、交尾済みのメスは翅を広げ、腹部を突き上げて拒否する。
幼虫は、孵化後、4回脱皮して終齢幼虫となり、その後蛹になる。越冬は蛹で行う。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の所々で、見かけました。
主にオタカラコウやヒヨドリバナを訪花していましたが、周りにはいろいろな昆虫がいました。
左の写真ではキスジホソマダラが、右の写真ではイカリモンガが一緒に写っています。

コムラサキ(Apatura metis substituta)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・コムラサキ亜科・コムラサキ属>
 
タテハチョウ科コムラサキ亜科に属する中型の蝶で、在来種。
日本では、南西諸島を除くほぼ日本全国に分布する。
海外では、東欧からカスピ海にかけてと、沿海州、モンゴル東部、中国東北地方、朝鮮半島に分布する。
生息域の垂直分布も0〜1800mと広く、1800m以上になると少なくなる。
前翅長は30〜42mm、開張は60〜70oで、翅表は褐色の地色にオレンジ色の帯模様が中央にある。
翅裏は、黄褐色〜淡褐色の地色に白い帯模様が中央付近にある。
成虫の出現時期は5月〜10月で、年2回発生である。
幼虫の食草は、ワヤナギ、シダレヤナギ、ネコヤナギなどのヤナギ科の植物である。
成虫は、樹液や熟した果実に集まり、訪花することはほとんどない。
また、オスは湿った地面で吸水したり、動物の死骸や獣糞などにも集まる。
幼虫は、2本の角がある緑色だが、越冬時期が近づくと茶褐色に変化してくる。
そして、樹皮の裂け目や凹みなどでジッとして越冬するが、保護色になっている。

オオムラサキが常に紫色に発色するのに対して、コムラサキはオスのみが角度によって紫色に発色する。
このように見る角度によって発色するものを構造色という。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道上で、地面に止まっているコムラサキを見かけました。
おそらく、地面で吸水していたものと思います。近づくと逃げるのですが、直ぐに戻ってきました。
コムラサキとはいうものの、紫色の発色は現地では確認できませんでした。
後で、写真をじっくり見て、左の写真に微かな紫色らしき発色が前翅の基部付近に見られたのみでした。

ヤマキマダラヒカゲ(Neope niphonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・キマダラヒカゲ属>

タテハチョウ科キマダラヒカゲ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布しており、本州以南では山地性の傾向がある。
海外では、サハリン南部、シベリア、中国東北部に分布している。
低地帯から亜高山帯で普通に見られるが、平地でも見られることがあり、サトキマダラヒカゲとの混生もある。
なお、北海道では、山地帯から亜高山帯に生息するヤマキマダラヒカゲの方が多く分布する。
成虫は、5月〜6月(春型)と8月〜9月(夏型)の年2回発生するが、寒冷地では6月〜7月の年1回発生となる。
蛹で越冬し、暖地では4月頃から見られるようになり、サトキマダラヒカゲより発生がやや早い。
前翅長は30〜38mm、開張は55〜65oで、黄褐色の地色に黒い斑紋が入る。
幼虫の食草は、アズマネザサやスズタケ、クマザサなどのササ属、マダケなどのマダケ属、ススキなどのイネ科。
成虫は暗いところを好み、樹液や腐果、昆虫の死骸や獣糞に集まる。訪花することはほとんどない。
ジャノメチョウ類としては飛翔は素早く、不規則に飛ぶので捕捉するのは難しい。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道、石垣に生える苔の上で見かけました。
かなり傷んでおり、種類の特定が可能かと思ったのですが、蛇の目紋の特徴から本種と分かりました。
そう判断した理由の一つが、後翅の基部にある3個の斑紋で、最下端の斑紋が離れている点です。


ヤマキマダラヒカゲとサトキマダラヒカゲ

     .
<ヤマキマダラヒカゲ>          <サトキマダラヒカゲ>
サトキマダラヒカゲは、多摩川の河川敷で見かけたものです。
こうして並べてみると、ヤマキマダラヒカゲの翅が如何に傷んでいるかが良く分かりますね。
ヤマの方は不明瞭なのですが、後翅基部の3個の斑紋の並び方が、サトとヤマでは異なります。
ヤマでは最下端の斑紋が少し離れ、並びに角度が付くのに対して、サトは等距離で直線的に並びます。


クロヒカゲ(Lethe diana)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・ヒカゲチョウ属>
 
タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、サハリンに分布する。
出現時期は5月〜9月で、平地から亜高山帯まで広く見られる。
雑木林の内部や山道沿いの暗い所を好み、樹液にもよく来る。
前翅長23〜33mm、開張50〜60mmで、翅表は黒褐色の地色に小さな蛇の目模様がある。
翅裏は、黒褐色の地色に白線と大小の蛇の目模様がある。
なお、後翅中央に毛が生えているものはオスである。
幼虫の食草はササ類各種(チシマザサ、ネザサ、クマザサなど)。2〜4齢幼虫で越冬する。

本種には、よく似たヒカゲチョウとクロヒカゲモドキがおり、その識別点は下記の通り。

・前翅裏の中室内にある暗色の短条が、クロヒカゲは2本、ヒカゲチョウは1本
 ただし、クロヒカゲでも暗色の短条が1本だけの個体がいる
・後翅裏の中央部外側にある暗色条が、クロヒカゲは強く曲がり、ヒカゲチョウは曲がりが小さい
・前翅裏の上から3番目の眼状紋が大きいのがクロヒカゲモドキで、クロヒカゲは小さい

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の所々で、クロヒカゲと思われるチョウを見かけました。
ちょこまかと動きが早く、近づくと直ぐに逃げるので、なかなか写真が撮れません。
写真が撮れた個体と同じく、見かけが黒っぽいのでクロヒカゲだと思われますが、確証はありません。

さて、写真が撮れた個体ですが、後翅外側の暗条が山形に大きく曲がっており、
前翅中室の中にある短い暗条は、どちらも2本確認できます。
前翅の眼状紋ですが、3個目は消失して2個しか確認できないので、クロヒカゲと判断します。

ヒメキマダラヒカゲ(Zophoessa callipteris)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・ヒメキマダラヒカゲ属>
 
タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布し、海外ではサハリン南部のみに分布する。
ただ、南方ほど分布域が制約され少ない。また、分布域は広いが分断されており、地域変異が見られる。
前翅長は25〜34mmで、開張は50〜60mmで、キマダラヒカゲに似ている。
前翅表は褐色の地色に淡い黄橙色の斑紋が並び、後翅表の縁には中央に暗褐色の班があるい黄橙色の斑紋が並ぶ。
翅裏には淡黄褐色の模様と蛇の目紋が前翅に1個、後翅に7個あり、最下端の蛇の目紋はつながっている。
全体にキマダラヒカゲより地色が明るく、翅裏の模様が単純で、蛇の目紋の数も少ない。
下草にササの生えるブナ科の林地に生息し、林内だけではなく、周辺の各種花を頻繁に訪花する。
幼虫の食草はタケ科のスズタケ・チシマザサなどで、3〜4齢幼虫で越冬し、5月頃に羽化、9月頃まで活動する。
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、ササの葉や石垣に生える苔の上で見かけました。
道路脇に生えていた他の枯れ枝に絡みついて立ち上がり、多くの花を付けていました。


ヤマキマダラヒカゲとサトキマダラヒカゲとヒメキマダラヒカゲ

        .
<ヒメキマダラヒカゲ>         <サトキマダラヒカゲ>         <ヤマキマダラヒカゲ>
サトキマダラヒカゲは、多摩川の河川敷で見かけたものです。
ヤマキマダラヒカゲは、同じこの場所で見かけたものですが、かなり翅が傷んでしまっています。
これらを並べて比べると、ヒメキマダラヒカゲは蛇の目紋が少なく、模様もシンプルなことが分かります。


ギンボシヒョウモン( Speyeria aglaja)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ドクチョウ亜科・ヒョウモンチョウ族・ギンボシヒョウモン属>

タテハチョウ科ギンボシヒョウモン属に属するチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道と本州の東北地方〜中部地方の高山に分布し、海外では旧北区に分布する。
高原の草原で見られる大型ヒョウモンチョウで、後翅裏の銀白色斑が特徴。
なお、オスの前翅表には性標である黒い2本の細い黒条が見られる。
前翅長は35mm前後、開張54〜6mmになる。
他の多くのヒョウモン類と同じく年一化性で、幼虫で越冬する。
食草は野生スミレ類で、成虫は梅雨明けから晩夏にかけて発生する。

よく似たものにギンボシヒョウモンがいるが、翅裏などの特徴から識別できる。

・後翅裏外縁の銀白紋列の内側の褐色紋列(最も分かり易い)
 ウラギンヒョウモンには褐色紋列があるが、ギンボシヒョウモンにはない
・後翅裏前縁に現れる銀白紋のうち外縁の銀白紋列を除いた内側の紋の数
 ウラギンヒョウモンでは4個あるが、ギンボシヒョウモンは3個しかない
・後翅表の黒色斑の数と大きさ
 ウラギンヒョウモンは、前から小、大、小、大、大の5個
 ギンボシヒョウモンは、前から大、大、小、大、大、小の6個
・オス前翅表の性標である2本の黒条は、
 ウラギンヒョウモンの2本の黒条は太くて明瞭である
 ギンボシヒョウモンの2本の黒条は細くて不明瞭である

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ヒヨドリバナの花で見かけました。
最初、この辺りで見かけたミドリヒョウモンであろうと思っていました。
写真を整理していて、ミドリヒョウモンとは翅表の斑紋が異なることに気が付きました。
よく似た翅表の斑紋からウラギンヒョウモンかギンボシヒョウモンらしい所までは絞り込めました。
翅裏の模様が分かれば識別は容易なのですが、翅表の写真から判断するしかありません。
前翅表の後翅側に、それほど明瞭ではありませんが他の黒条よりは太い黒条が認められます。
また、後翅の黒色斑ですが、大きな黒斑2個の腹端よりに、不明瞭ですが小さな黒斑が認められます。
上記の結果から、ギンボシヒョウモンのオスであろうと判断しました。

ミドリヒョウモン(Argynnis paphia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・ドクチョウ亜科・ヒョウモンチョウ族・ミドリヒョウモン属>
 
タテハチョウ科ミドリヒョウモン属の蝶で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と、ほぼ全国で見られる。
海外では、ヨーロッパから中央アジア、シベリア、中国、朝鮮半島と、ユーラシア大陸の温、寒帯に広く分布する。
前翅長は31〜40mmで、開張は65〜80mm。後翅裏は黄緑色で、外縁と中央に白い縦帯が走る。
後翅の基部にも切れこむような縦長の白斑が2個あり、類似種との識別点となっている。
なお、前翅先端に白斑の有無で雌雄を区別でき、白斑があるのがメスとなる。
翅の表面は、黄橙の地色に黒条や黒斑が並ぶが、オスは斑点が少なく、性標である4個の発香鱗条がある。
一方、メスではこの性標はなく、代わりに黒斑が大きく発達している。
なお、メスの一部には翅の表面全体が、黒っぽい黄緑色になる「暗色型」がある。
成虫は6月〜10月に年1回の発生であるが、夏の暑い時期には休眠するため見られなくなる。
幼虫の食草は、タチツボスミレなどのスミレ類で、冬は、卵、または若齢幼虫で越冬する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、ミドリヒョウモンを良く見かけました。
ただ、良く目についたのは色が鮮やかなミドリヒョウモンばかりで、暗色型には合えませんでした。
鮮やかな黄橙の前翅にある黒くて太い3本の性標から、写真の個体はオスと分かります。
残念ながら撮った写真は、オスばかりで、メスはありませんでした。
暗色型のメスなどの写真は、八ヶ岳自然文化園で撮影したこちらを参照ください。

ヒメキマダラセセリ(Ochlodes ochraceus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・
セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・コキマダラセセリ属>
 
<オス>
 
<メス>
セセリチョウ科コキマダラセセリ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、ロシア極東部に分布する。
前翅長は12〜17mmで、開張は28mm。5月〜6月と8月〜9月の年2回発生する。
体色は黄褐色。翅は黄褐色の地色に黒褐色の斑紋や縁取りがある。
オスの地色はメスより鮮やかになり、前翅表の中央付近に黒褐色の性標がある。
翅裏からも薄っすらと縁取りが見え、後翅中室に区切り線が見られる。
低山地から亜高山帯まで広く分布し、疎林や草原などを敏速に飛び、いろいろな花で吸蜜する。
幼虫はチジミサザなどのイネ科やカヤツリグサ科の植物の葉を食べる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇や、入笠山の花畑で最も多かったセセリチョウです。
上段のオスは鮮やかな黄褐色をしており、下段の暗褐色のメスとは色味がずいぶん異なります。
どちらも翅裏から翅表の縁取りが薄っすら見え、後翅裏の中室に区切り線が見られるのが特徴です。

コチャバネセセリ(Thoressa varia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・
セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・コチャバネセセリ属>
 
セセリチョウ科コチャバネセセリ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布するが、屋久島以南の南西諸島には見られない。
海外では、朝鮮半島に分布し、台湾には近縁種のキスジチャバネセセリが分布する。
前翅長は14〜19mmで、開張は30〜36mm。年2〜3回発生し、活動期間は5月〜9月。
体色は黒褐色。翅も黒褐色の地色で、基部に近い部分は黄褐色になるが、地域や季節で変異がある。
前翅表には小白斑が7個あり、後翅表には白紋が入らないか、または小さく不規則に入る。
翅裏面は黒褐色の地色に翅脈以外に黄褐色に鱗粉が乗り、翅脈が黒く浮かび上がる。
後翅裏には、楕円形の白紋が3個ある。地色や斑紋に雌雄差見られない。
ただし、オスは前翅表面2脈の基部から斜下方に向かって黒褐色の性票がある。
低地から高地まで広く分布し、林縁の笹薮などを敏速に飛び、いろいろな花で吸蜜する。
また、地上の湿地で吸水したり、鳥獣の糞や汚物などにも集まる。
幼虫はササやタケなどのタケ科植物の葉を食べ、葉の表面を内側にして巻き、筒状の巣をつくる。
その中で摂食するが、葉の基部から中央の主脈を残して規則正しく食べていく習性がある。
越冬期には、残した主脈を切って地上に落とし、その中で越冬し、早春に蛹化、羽化する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、時々見られたのがコチャバネセセリです。
翅の色が黒褐色で、明らかに黒っぽく見えるので、ヒメキマダラセセリとは区別できます。

スジグロチャバネセセリ(Thymelicus leoninus leoninus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・
セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・スジグロチャバネセセリ族・スジグロチャバネセセリ属>
 
 <スジグロチャバネセセリ>         <ヒメキマダラセセリとの違い>
セセリチョウ科スジグロチャバネセセリ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
日本では、北海道の渡島半島南部から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア極東部に分布する。
前翅長は14〜18mmで、開張は28〜32mm。年1回の発生で、活動期間は7月〜8月。
体色は黄褐色。翅も黄褐色で、黒褐色の縁取りがあり、翅脈に沿って黒褐色の線がある。
疎林や林縁部の草地や路傍を敏速に飛び、オカトラノオ、ヒメジョオンなどの花で吸蜜する。
幼虫はカモジグサ類、クサヨシなどイネ科植物の葉を食べる。

ヘリグロチャバネセセリと酷似しており、翅の裏面で識別するのは容易ではない。
スジグロチャバネセセリのオスには翅表に性標があるので、確認できれば容易に同定可能である。
また、オスの黒褐色の縁取りは、翅先に向かって細くなるので、その点でも識別可能である。
しかし、メスの場合はヘリグロチャバネセセリの雌雄とそっくりで、識別は容易ではない。
なお、腹部の長さや形状が確認できれば、どちらも雌雄の判別は可能なので、メス同士の判別が問題。
前翅前縁の形状(スジグロチャバネセセリは基部側に盛り上がりがある)が識別の目安となる。
翅の縁毛は、スジグロチャバネセセリは黄色で、ヘリグロチャバネセセリは黄白色が多いのも目安となる。
また、翅裏が確認できれば、ヘリグロチャバネセセリは縁取りが薄っすら見える点で識別できる。
なお、翅裏のみでは、ヒメキマダラセセリも薄っすらと縁取りが見え、酷似しているので注意が必要。
ヒメキマダラセセリの場合には、後翅中室に区切り線が見られるので、その確認が必要である。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、ヒメキマダラセセリに混じって訪花していました。
といっても、その場ではヒメキマダラセセリと区別することはできませんでした。
後で、写真を細かくチェックして、下記の2点からスジグロチャバネセセリと判断しました。
@ 翅の縁毛が黄色である → ヘリグロチャバネセセリではない   
A 後翅中室に区切り線が見られない → ヒメキマダラセセリではない
※右の写真で、ヒメキマダラセセリでは赤丸の中に区切り線が見られる
消去法ですが、上記の2点からスジグロチャバネセセリであろうと判断したものです。

イカリモンガ(Pterodecta felderi)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・イカリモンガ上科・
イカリモンガ科・イカリモンガ亜科>
 
イカリモンガ科イカリモンガ亜科に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
前翅長は18〜20oで、開張は35mm前後。出現時期は3月〜10月で、年2回発生する。
翅は黒褐色で、前翅に黄橙色の大きな斑紋があり、その形が錨に似ているのが和名の由来。
前翅裏の黄橙色の斑紋の凹み部分は暗褐色で、前縁に近い方はその中に白斑がある。
その白斑から基部側にも白斑が2個ほぼ等間隔で並ぶ。後翅裏の中央付近にも白斑がある。
前翅先端は尖り、その後方も出っ張っており、その2つの出っ張りの間が三日月形に白っぽくなる。
日中に活動し、翅を畳んで止まり、雌雄とも触角が細いなど、蛾というより蝶に近い特性を持つ。
オスの腹端にはヘアペンシルがあって、それを出してフェロモンを放出し、メスを吸引する。
幼虫は、イノデなどのオシダ科を食草とし、成虫で越冬する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の斜面で、イカリモンガを見つけました。
といっても、最初は頭部が前に突き出ているのでテングチョウだと思っていました。
後で調べると、翅の模様がテングチョウとは異なります。といっても、他に似たチョウはいません。
後は、蛾の仲間に似たものがいないかですが、探してみると居ました。イカリモンガです。
止まった時に翅を畳み、細い触角を持っていて、とても蛾の仲間とは思えませんでした。


イカリモンガとテングチョウ

      .
<イカリモンガ>             <テングチョウ>
イカリモンガとテングチョウの比較ですが、翅を閉じたテングチョウの写真が手元にありません。
なお、テングチョウの黄橙色の斑紋は、前翅では表裏ほぼ同形で、後翅裏面に斑紋はありません。
つまり、両者の翅裏の模様の配色はほぼ同じです。しかし、黄橙色の斑紋の形状は異なります。
また、頭部が前に突き出している点ではどちらも同じで、よく似た形をしています。
ただ、触角の形状が異なり、イカリモンガは先細り形状で。テングチョウは先が太くなる根棒状です。
実は、触角が先細り形状なのに気付いたのが、イカリモンガが蛾の仲間ではと思った理由なのです。
チョウの触角は先が太くなる根棒状なのに対して、先細り形状になるのは蛾に多いのです。


エグリヅマエダシャク(Odontopera arida arida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・
シャクガ科・エダシャク亜科>

シャクガ科エダシャク亜科に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島に分布している。
前翅長は25〜28mmで、開張はオスで36〜49o、メスで45〜51o。
出現時期は4月〜6月と9月〜11月で、年2回発生する。
前翅の地色は黄褐色〜茶褐色と変異があり、外横線は淡色で直線。1対の小黒点があり内部は白色。
前翅外縁が抉り取られたような形をしており、それが和名の由来でもある。
幼虫は広食性で、ブナ科、バラ科、ツバキ科、ミズキ科、ツツジ科、スイカズラ科などの葉を食べる。
終齢幼虫の体長は45mm前後になり、終齢幼虫で越冬する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、ウツギの樹で根棒状のシャクトリムシを見つけました。
上記の写真のように、ほぼ同じ太さで、暗褐色の模様があり、頭部が角ばって、角状に出っ張っている。
後で調べていて、模様や頭部の形状などから、エグリヅマエダシャクの若齢幼虫らしいと分かりました。

キスジホソマダラ(Balataea gracilis gracilis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・
マダラガ科・クロマダラ亜科・Balataea属>


 
マダラガ科クロマダラ亜科に分類される蛾の一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と対馬に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
開張は20〜25mmで、体色は黒で、触角や頭部、胸部には青い金属光沢がある。
翅は黒の地色に黄色い縦筋模様がある。
出現時期は6月〜9月で、昼行性で花に集まり、灯火にも飛来する。
成虫は花の蜜を食べ、幼虫はササ、ススキなどのイネ科植物の葉を食べる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇や入笠山の花畑で、訪花している姿をよく見かけました。
見たのは初めてですが、黒の地色に黄色い筋模様という特徴的な斑紋なのですぐわかると思いました。
事実、似たものもいましたが、後で調べ始めて直ぐにキスジホソマダラと分かりました。
左の写真や右の写真の左側で、先細りの鞭状の触角を持っているのがメスです。
右の写真の右側で、櫛の歯状の触角を持っているのはオスです。

セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・
コガネムシ上科・コガネムシ科・スジコガネ亜科・セマダラコガネ属>
 
北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
体長は9〜13mmで、出現時期は6月〜8月である。
体色は、茶色と黒のまだら模様が基本ではあるが、黒色型もあり、変異が多い。
くしのついた触角を大きく広げている事が多く、触角は体のわりにはやや大きめ。
成虫は、広葉樹を始め多くの植物の葉を、幼虫は土中で草の根などを食べる。
マメコガネ同様、アメリカで農作物に被害を与え、「オリエンタルビートル」と呼ばれ、嫌われている。
最近、ゴルフ場で芝生の根を食い荒らす害虫として、注目されている。
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、葉の上にいるのを見かけました。
どこにでもいる小型のコガネムシの1つですね。
大概は、ベージュに茶褐色の模様ですが、全身真っ黒な黒色型も見たことがあります。
しかし、前胸部がこのような金属光沢のある緑色のものは初めて見ました。

アオジョウカイ(Themus cyanipennis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・ホタル上科・ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科>
 
ジョウカイボン科の甲虫で、カミキリムシに似ているが、前翅が柔らかい所が異なる。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
出現時期は4月〜8月で、体長は14〜20oである。
翅は暗緑藍色で青い金属光沢を持ち、前胸部の側縁に黄色い縁取りがある。
ただし、上翅は個体差があり、青色から黒っぽい色まで一様ではない。
成虫、幼虫とも他の昆虫を捕らえて食べる。成虫は花に来て蜜をなめることもある。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇のノリウツギの花で見かけました。
ノリウツギの花には、いろいろなハナカミキリなどが訪花していて、その内の1種です。
暗緑藍色の体色に、前胸部側縁の黄色い縁取りが特徴のジョウカイボンです。

ベニボタル(Lycostomus modestus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・ホタル上科・ベニボタル科・ベニボタル亜科>
 
ベニボタル科の甲虫で、名前の通りホタルの近縁種です。
ただし、近縁とはいってもホタルのように発光はしない。
日本では本州から四国、九州に分布し、海外では、中国に分布する。
体長は8〜14mmで、出現時期は5月〜7月である。
何となくハナカミキリに似ているが、押しつぶしたように扁平な体型をしている。
上翅はくすんだ紅色で縦筋があり、その他の部分は黒褐色。
触角は長くて、オスは櫛状に、メスは鋸状をしているので区別は容易。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇のノリウツギの花で見かけました。
ノリウツギの花には、いろいろなハナカミキリなどが訪花していて、その内の1種です。
前翅が光沢のない紅色で、前胸部が茶褐色で押しつぶされたような形をしています。
雌雄で触角の形状が異なるのですが、鋸状の触角を持つこの個体はメスです。

カラカネハナカミキリ(Gaurotes (Paragaurotes) doris Bates, 1884)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハイイロハナカミキリ族・クビアカハナカミキリ属>

カミキリムシ科クビアカハナカミキリ属の甲虫で、在来種。
なお、和名のカラカネは、漢字では「唐金」と書き、青銅の事で、上翅の色に由来している。
日本では、北海道から本州、四国、九州に、島嶼部では、佐渡、隠岐に分布している。
なお、北海道のカラカネハナカミキリは亜種になる。
平地から標高2000m級の高山まで、垂直分布も広い。
体長は8〜15mmで、出現時期は5月〜8月である。
頭部、胸部は黒く、触角は黒いものと褐色のものがいる。
脚の腿節は基部が黄褐色で、その先の黒と明瞭に分かれているのが特徴。
上翅は金属光沢があり、点刻は粗目でザラザラした質感で、色は緑、青、紫、赤紫色と変異がある。
幼虫は広葉樹から針葉樹まで広範囲の樹を食害し、成虫はノリウツギやセリ科植物など各種の花に集まる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇のウツギの樹で見かけました。
脚の腿節が、黄褐色と黒のツートンカラーになっているのが特徴です。

オオヒメハナカミキリ(Pidonia (Pidonia) grallatrix)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハイイロハナカミキリ族・ヒメハナカミキリ属>

カミキリムシ科ヒメハナカミキリ属の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は9〜15mmで、出現時期は6月〜8月である。
頭頂部と胸部背面は黒色。胸部背面には金属光沢があり、前縁と後縁には黄褐色の縁取りがある。
上翅は黄褐色で、会合部沿いに黒い縦筋が走り、縁沿いには黒斑がある。
幼虫は、ブナの枯木を食べ、成虫はコゴメウツギ、シシウド、ノリウツギなどの花に集まる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ハナチダケサシの花で見かけました。
前翅は黄褐色で、その会合部に沿った暗褐色の筋模様が特徴です。

ニセフタオビヒメハナカミキリ(Pidonia (Omphalodera) testacea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハイイロハナカミキリ族・ヒメハナカミキリ属>

カミキリムシ科ヒメハナカミキリ属の甲虫で、在来種。
日本では、本州の山形県、中部山岳地帯、紀伊半島に分布している。
本種は、標高1000m以上の針葉樹林帯から高山帯に生息しているが、
低地では、よく似たフタオビヒメハナカミキリが生息している。
体長は5.5〜8mmで、出現時期は6月〜8月。体色は黒褐色で、上翅に2対の白紋がある。
林内や沢沿いなど薄暗い場所に咲く、白い花によく集まる。
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ハナチダケサシの花で見かけました。
前翅は黒褐色で、縁に2対の白紋があるのが特徴です。
なお、よく似たフタオビヒメハナカミキリは低地に、1000m以上の高地には本種が分布する。
見つけたのが標高1600mほどの場所なので、ニセフタオビヒメハナカミキリとしました。
ただ、写真の解像度が悪くて、体毛の有無までは確認できていません。

※ フタオビヒメハナカミキリの体毛は疎らで、本種では体毛が密に生えている。

ニッコウヒメハナカミキリ(Pidonia(Pidonia) limbaticollis ohbayashii)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハイイロハナカミキリ族・ヒメハナカミキリ属>
 
カミキリムシ科ヒメハナカミキリ属の甲虫で、在来種。別名はオオバヤシヒメハナカミキリ。
日本では、北アルプスのブナ帯上部から亜高山帯針葉樹林に分布する。
なお、日光山地、関東山地、八ヶ岳〜松本盆地以東には亜種[P. limbaticollis limbaticollis]が分布する。
体長は9〜13mmで、出現時期は6月〜8月である。
頭部、胸部は黒く、上翅は淡褐色の地色に黒い斑紋や帯模様があるが、変異がある。
雌雄差は、メスの腹部は幅があってずんぐりとした体形で、上翅の黒色部が太くて明瞭である。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、枯れかかったシモツケの花を訪花していました。
淡褐色の地色に、黒い斑紋2対と黒い帯模様があるのが特徴です。この個体はスリムな体形のオスです。

ニンフホソハナカミキリ(Parastrangalis nymphula)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハナカミキリ族・ニンフホソハナカミキリ属>
 
カミキリムシ科ニンフホソハナカミキリ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に、島嶼部では、佐渡、隠岐に分布している。
体長は9〜13mmで、出現時期は5月〜8月である。
頭部、胸部は黒く、上翅は暗褐色の地色に白い斑紋があり、触角の先端付近に白い部分がある。
幼虫は、ツガ、アカマツ、スギ、コナラ、アセビなどを食害し、成虫は各種の花に集まる。

触角の先端付近に白い部分があるハナカミキリには、下記のようなものがいるが、その特徴で区別できる。
・ニンフホソハナカミキリ 第8節先端側と第9、10節が白い
・タテジマホソハナ    第9、10節と第11節の基部が白い
             上翅先端は丸く、前脚は褐色
・ヒゲジロハナカミキリ  第9、10節と第11節の基部が白い
             上翅先端が尖り、脚全体が黒い

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ウツギやシモツケの花を訪花していました。
触角の第8節半分と第9〜10節が白いのが特徴です。

フタスジハナカミキリ(Etorofus (Nakanea) vicarius)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハナカミキリ族・フタスジハナカミキリ属>
 
カミキリムシ科フタスジハナカミキリ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島に分布し、海外では樺太に分布する。
体長は10〜17mmで、出現時期は7月〜9月である。
胸部は黒く、上翅はベージュの地色に黒い2本の帯模様があるが、変異がある。
上翅中央と翅端に並行した黒帯がある「ふたすじ型」と呼ばれるものが多いが、
翅端の黒帯が富士山型に盛り上がった「はすすじ型」や全体が黒化したものなどがいる。
なお、「はすすじ型」は大菩薩峠〜富士山近辺〜伊豆半島に分布しているされる。
触角は、全体に黒いものと、淡褐色が入ってまだらになったものがある。
幼虫は、マツ科と一部の広葉樹を食害し、成虫はリョウブ、ノリウツギなど各種の花に集まる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇のウツギの樹で見かけました。
胸部は黒く、上翅はベージュの地色に黒い2本の帯模様が特徴です。
触角は、上記の写真のように全体に黒いものと、黒と淡褐色のまだら模様のものがある。

マルガタハナカミキリ(Judolia cometes/Pachytodes cometes)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハナカミキリ族・マルガタハナカミキリ属>
 
カミキリムシ科マルガタハナカミキリ属の甲虫で、日本ではほぼ全国で見られる。
体長は10〜17mmで、出現時期は7月〜9月である。
胸部は黒く、上翅はベージュ色の地に2対の黒紋がある。なお、斑紋には個体変異がある。
1000mを超えるような山地に多く、ノリウツギやセリ科の花によく集まる。
幼虫は、カラマツやアオモリトドマツなどのマツ科の樹を食べ、成虫は花粉を食べる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ハナチダケサシの花などで見かけました。
胸部は黒く、上翅はベージュの地色に2対の黒紋があり、ずんぐりとした体形が特徴です。

ヨツスジハナカミキリ(Leptura ochraceofasciata ochraceofasciata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ハムシ上科・カミキリムシ科・ハナカミキリ亜科・ハナカミキリ族・ヨツスジハナカミキリ属>
   
カミキリムシ科ヨツスジハナカミキリ属の甲虫で、北海道と本州に分布する。
なお、四国、九州には亜種のシコクヨツスジハナカミキリが分布する。
それ以外に、ツシマ、ヤク、アマミ、オキナワを冠する4亜種が各々の地域に生息する。
海外では、千島列島、カラフト、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は9〜20oで、出現時期は6月〜9月である。
体色は黒褐色で全体に金褐色の短毛が密生していて、光沢がある。
上翅に黄色と黒色の縞模様があり、黄色い帯は4個ある。
幼虫は針葉樹の枯れ木や倒木を食べ、成虫は花粉を食べる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ノリウツギ、イケマ、クサボタンなどで見かけました。
胸部や腹部下面は黒地に金褐色の短毛が密生していて、ビロード状の艶がある。
前翅には4本の黄褐色の横帯があり、尾端に向かって窄まり、先は外側が尖っている。

スジカミキリモドキ(Chrysarthia viatica Lewis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・
ゴミムシダマシ上科・カミキリモドキ科・カミキリモドキ亜科・スジカミキリモドキ属>
 
カミキリモドキ科スジカミキリモドキ属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。
体長は6〜8mm、出現時期は6月〜8月で、成虫は各種の花に集まる。
頭部、胸部は黒く、上翅は赤褐色で金属光沢があるが、変異がある。
金属光沢により、角度によって頭胸部は青緑色に、上翅は赤紫色に見える。

カミキリモドキ科の半数には、体液に有毒なカンタリジンを含むものがあり、触れると水ぶくれができる。
本種に関して、カンタリジンを含むかどうかは不明であるが、触れる場合には注意が必要。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、セイヨウノコギリソウの花で見かけました。
初めて見たのですが、青藍色の頭胸部とエンジ色で金属光沢がある前翅が印象的でした。
ハナカミキリに似てはいますが、頭部の形などが異なります。
後で調べると、カミキリモドキ科の昆虫で、体液にカンタリジンを含む、やばい虫の仲間でした。
写真撮影だけして触らなかったのですが、大正解でした。
本種の体液にカンタリジンが含まれていた場合、体液が付くと悲惨なことになります。
数時間後に火傷のような水ぶくれができ、激痛に見舞われます。
水ぶくれがかさぶたになると、今度は強烈な痒みに襲われることになります。クワバラクワバラ!

エゾアオカメムシ(Palomena angulosa)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>
 
カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。山地性のカメムシ。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、本州中部以南では山地に生息する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は12〜16mmで、出現時期は4月〜10月である。
体色は光沢のある黄緑色で、腹部の背面が濃褐色。腹部下面は白緑色。
前胸背側角はやや突出し、丸みを帯びる。
成虫で越冬するが、越冬時期が近づくと体表面は褐色に、腹部下面は橙色に変化する。
ウドやタラ、マメ科やキク科の植物の吸汁を行う。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、カラマツソウの果実にカメムシの幼虫が付いていました。
幼虫には、成虫に似た体形や色をしたものと、似ても似つかない体形と色をしたものがいます。
この幼虫がどちらのタイプなのかと思いながら調べた所、色味の似たエゾアオカメムシと分かりました。

ジュウジナガカメムシ(Tropidothorax cruciger)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・ナガカメムシ科・マダラナガカメムシ亜科>
 
ナガカメムシ科マダラナガカメムシ亜科のカメムシの1種で、在来種。
日本では北海道から本州に分布し、海外では台湾、朝鮮半島から中国、ロシア極東部に分布する。
体長は8〜11mmで、黒い地色を赤色で区切ったような模様で、革質部の縁にある赤い十字が特徴。
ヒメジュウジナガカメムシと似ているが、前胸背の黒斑が細長く、腹部下面の黒斑が帯状でない点が異なる。
このような赤と黒の模様は典型的な警戒色で、天敵である鳥などから身を守る効果があるとされる。
出現時期は5月〜10月で、成虫、幼虫ともガガイモ、イケマなどのガガイモ科を吸汁する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、イケマの葉にたくさんのジュウジナガカメムシがいました。
革質部の縁にある赤い十字型の斑紋が印象的なカメムシで、交尾中のカップルも数ペア見られました。

テングアワフキ(Philagra albinotata Uhler)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科・アワフキムシ亜科>
   
アワフキムシ科アワフキムシ亜科に属するアワフキムシの1種で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は10〜12mmで、出現時期は6月〜8月である。
体色は全体が黒色〜暗褐色で、黄色の微毛が密生する。
頭頂部が細く尖って前方に突き出し、それを天狗の鼻に見立てたのが和名の由来。
頭頂部から複眼の下を通る白帯、小楯板末端の黄白色の斑紋は、安定しており個体変異が少ない。
前翅前縁の末端にちかく顕著な黄白色の斜帯があり、他にも淡色斑が出ることがある。
しかし、これらの変異は大きく、斑紋がまったくない個体もいる。
やや湿った山地のヨモギやアザミなどキク科やセリ科植物に良く集まり、茎から吸汁する。
幼虫もこれらの植物に泡で出来た巣を作り、その中に潜んで吸汁する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、2ヶ所で見かけました。
見たのは初めてで、パッと見たとき、どちらが頭部か分からず、上側が頭部のように見えました。
しかし、良く見ると脚の向きから下が頭部で、頭部が細く尖って、上向きに反り上がっていました。
後で調べると、アワフキムシの1種で、頭部の形状からテングアワフキと分かりました。
この頭部の尖った形状に、何か意味があるのでしょうか。


ちょっと変わった形のアワフキムシ
タケウチトゲアワフキ(Machaerota takeuchii)

     .
2019/5/4
川崎市の等覚院の境内で見かけた、発生が局所的で珍しいアワフキムシです。
テングアワフキが頭頂部が細く尖っているのに対して、本種は小楯板が変化して長く尖っています。
本種は柔らかい泡の中に潜むのではなく、泡が固化した筒状の巣の中に潜みます。


モンキアワフキ(Aphrophora major Uhler)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科・アワフキムシ亜科>
   
アワフキムシ科アワフキムシ亜科に属するアワフキムシの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
体長は13〜14mmで、出現時期は5月〜9月である。
体色は全体が淡褐色〜褐色で、小楯板上や前翅の中央よりに、やや暗色を帯びた所がある。
また、前翅の中央翅端寄りの部分に黄白色の斑紋があり、これば和名の由来。
ヤナギやカキなどに良く集まり、茎から吸汁する。
幼虫もこれらの植物に泡で出来た巣を作り、その中に潜んで吸汁する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で見かけたアワフキムシです。
見かけはヨコバイとあまり変わらない形をしています。
近くに泡の塊が数個見られましたので、このアワフキムシの成虫であろうと判断しました。
後で調べると、体形や体色、斑紋からモンキアワフキであろうと判断しました。

ヤマトシリアゲ(Panorpa japonica)
<シリアゲムシ目・シリアゲムシ亜目・シリアゲムシ科>
 
シリアゲムシ目シリアゲムシ科の昆虫で、日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は15〜22mmで、前翅長は13〜20o。翅に2本の太い黒帯を持つのが特徴。
出現時期は4月〜5月と7月〜9月で、体色は春型は黒色で、夏型はベッコウ色で小さい。
そのため、以前はベッコウシリアゲと呼ばれ、別種として扱われていた。
本種は体形に特徴があり、頭部は長く伸びて馬面となり、腹部はサソリの様に巻き上がっている。
といっても、腹部が巻き上がるのはオスのみで、メスの腹部は先が尖って反る程度である。
林縁部の葉に止まっていることが多く、よく飛び回りるが、長くは飛ばず直ぐに止まる。
幼虫は、土中で虫を食べる肉食で、成虫も他の昆虫を捕食したり、死骸なども食べる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、石垣の上の葉に、ヤマトシリアゲがいました。
よく見ると、死んだ毛虫の右にメス、左にオスがいて、この毛虫を食べている所のようです。
本種が肉食とは聞いていましたが、食べている現場を見たのは初めてです。
右側ん写真は、直ぐ近くに止まっていたメスを真上から撮ったものです。
和名の由来でもある、オスの尾端がサソリのように巻き上がっている所が分かりにくいですね。
その巻き上がっている様子に関しては、こちらを参照願います。

アキアカネ(Sympetrum frequens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
 
 
<メス>                          <オス>
日本の固有種で、極東アジアからヨーロッパにかけては、近縁種のタイリクアキアカネが分布する。
ナツアカネと異なり、夏には平地から高地に移動し、秋に成熟して平地に戻ってくる。
体長はオスが32〜46mm、メスが33〜45mm、後翅長はオスが25〜34mm、メスが26〜34mm。
夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。
特にオスは赤くなるが、ナツアカネと異なり、胸や頭部までは赤くならない。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の所々で、アキアカネに出会いました。
夏なので、まだ、それほど成熟は進んでいませんでしたが、オスは少し赤味が増しているようでした。
上のメスは、羽化直後と大差ない色合いのままですが、オスの腹部背面は赤みを増しています。


ナツアカネとアキアカネの見分け方

   .

成熟した個体のどこまでが赤いかなど、いろいろ異なる所はあります。
ただ、最も分かりやすい違いは、胸の3本線の中央の形(白い丸印の中)です。
ナツアカネは、先が切り落とされたように、角張っています。
一方、アキアカネは、そのまま伸びて尖がっています。


オオハナアブ(Phytomia zonata)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>

ハナアブ科ナミハナアブ族のアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く全国に分布する。
海外では、中国、東南アジアに分布する。
体長は15mm前後で、ずんぐりとした体形をしており、体長はナミハナアブと大差ない。
体色は全体が黒色で、腹部に太い黄赤色の横帯がある。
頭部は半球状で大きく、複眼には迷路のような模様があり、複眼の間には3つの赤い単眼がある。
雌雄で体形や体色に大差はなく、他のアブ同様にオスの複眼は接し、メスでは離れる。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まり、蜜や花粉を食べる。
幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、石垣の上のヒヨドリバナにオオハナアブが訪れていました。
ずんぐりとした体形と、腹部の黄赤色で太い帯模様が目を引きます。

ホシツヤヒラタアブ(Melanostoma scalare)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ツヤヒラタアブ族・ツヤヒラタアブ属>

ハナアブ科ツヤヒラタアブ族の1種で、日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、ユーラシア大陸のヒマラヤ山脈以北、 東南アジア、インド亜大陸、中東、熱帯アフリカに分布している。
体長は8o前後で、4月〜10月に極普通に見られる。
林縁などで背の低い花を訪花していることが多いが、イネ科の植物なども訪花する。
腹部の斑紋は三角形から勾玉状で、顔面は雌雄とも黒い。

本種にはよく似たものがいて、各々下記のような違いがある。
ツヤヒラタアブ(Melanostoma orientale)  腹部背板第2節の黄色斑は側縁を越える
ホソツヤヒラタアブ(Melanostoma mellinum) 腹部背板第2節の黄色斑は小さく、側縁を越えない
                     胸部背面に微毛があり、他2種よりつやがない
ホシツヤヒラタアブ(Melanostoma scalare) 腹部背板第2節と4節の幅と長さの比が他2種と異なる

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道、大阿原湿原の近くで見かけました。
道端にシロニガナが咲いていたので、その撮影をしているとホシツヤヒラタアブがやって来ました。
止まると直ぐに翅を閉じてしまったので、腹部の模様が見づらいですが、下記の点で本種のオスとしました。
・胸部背面は強い光沢が見られ、黄色斑が側縁まで伸びているので、ホソツヤヒラタアブではない
・黄色斑の間隔が極狭いツヤヒラタアブと異なり、黄色斑の間隔が広い

ナミホシヒラタアブ(Eupeodes bucculatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族>
 
ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布する。
体長は10mm前後で、出現時期は3月〜8月。胸部背は銅色で、腹部には黒地に黄色い紋が3対ある。
ナミホシヒラタアブにはよく似た仲間がおり、識別が難しい。
しかし、メスでは単眼のある頭頂の真っ黒な部分と触角の付け根の間にY字型の黒斑があり、識別できる。
ただ、オスにはないので、小楯板に生えている毛の色が、黒いことで判別することができる。
幼虫は、アブラムシを餌としている益虫。

※ フタホシヒラタアブと酷似しているが、下記の点で区別可能である。
・ナミホシヒラタアブ 胸部背面は青銅色、触角の付根に毛はなく、小楯板の毛は淡褐色
・フタホシヒラタアブ 胸部背面は黄褐色、触角の付根に黒い毛があり、小楯板の毛も黒色
腹部の黄斑は、フタホシヒラタアブでは、全て左右に分かれている個体が多く、
ナミホシヒラアタアブでは、第3〜4節は中央で繋がっている個体が多いが、各々例外もある。
そのため、黄斑のつながり具合だけでは判断できず、他の特徴を確認する必要がある。
なお、ナミホシヒラタアブのメスには、頭頂の黒い部分と触角の付根の間にY字型の黒斑がある。

2019/8/1
大阿原湿原の木道脇でウマノアシガタを撮影していると、ヒラタアブが飛来しました。
迷ったのですが、胸部背面の色や第3〜4節の黄斑がつながっている点でナミホシヒラタアブとしました。

マガリケムシヒキ(Neoitamus angusticornis)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・ムシヒキアブ亜科>
 
ムシヒキアブ科ムシヒキアブ亜科に属するアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長15〜20mmとやや小型で身体は細身。
体色は全体が黒く、胸部背に灰白の模様がある。脚の脛節は黄褐色である。
特に、オスの前脚は脛節から附節、爪まで黄色くなる。
雌雄共に頭部裏にある毛が、前方90度に曲がっっており、これが和名の由来である。
オスの腹端は丸く、メスの腹端(産卵管)は黒色で細く尖っている。
山野の林縁部などで見られ、ハエ、ガガンボなどの小型昆虫を捕らえて体液を吸う。
幼虫は、土中でコガネムシ類の幼虫、ミミズ、ダンゴムシなどを捕食する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、枝に止まっているムシヒキアブを見かけました。
よく見ると、腹端を木の枝の先に付けて、不自然に折り曲げていました。産卵でもしているのでしょうか。
小型のムシヒキアブには、サキグロムシヒキやシロズヒメムシヒキなど似たものが居るのですが、
胸部背に灰白の縦筋模様があり、脚の脛節は黄褐色である点から本種と判断しました。
脚の脛節は黄褐色ですが、附節、爪までは裏面は黄褐色ですが、表面は黒色です。
尾端は見えないのですが、腹部が太めであり、脚の色からメスの可能性が高そうです。

ウツギノヒメハナバチ(Andrena prostomias)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ヒメハナバチ科・ヒメハナバチ属>

ヒメハナバチ科ヒメハナバチ属に属する地中営巣型のハチで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では北半球の温帯圏に広く分布する。
体長はオスで10〜11mm、メスで12〜13mmと、メスが一回り大きい。
全身が真っ黒で、腹部に毛帯が見られるが、側面は明瞭でも背面には無いか不明瞭。
なお、オスの頭盾には黄色い斑紋があり、メスの後脚脛節の刷毛は良く発達している。
本種は狭訪花性種で、花粉と蜜を求めてウツギの花のみを訪花する。
発生時期は、5月下旬〜6月中旬で、ウツギの花が咲く時期と合致する。
メスは主抗を10〜30cm掘り、側坑を掘って花粉団子(直径5mm前後)を入れて産卵する。
産卵後、側坑は埋め、別の側坑を掘るという作業を繰り返す。
オスはというと、メスとの交尾を狙って、穴の上を飛び回っている。
活動時間は、穴から出てくる7〜8時頃から夕方までで、一斉にいなくなる。
メスは巣穴に入り、オスは越夜巣を掘って入ってしまうためである。
卵から孵化した幼虫は、約1ヶ月で花粉団子を食べ尽くし、そのまま越冬する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、イワニガナの写真を撮っていて、出会いました。
花に止まったわけではなく、通り過ぎて行っただけなので、このワンショットしかありません。
後で写真を見ると、全体がほぼ真っ黒なハチだと分かりました。腹部脇に若干の毛帯が見られます。
頭部の形状が独特な形をしていたので、体色や頭部の形状からコハナバチ科やヒメハナバチ科を探しました。
その結果、見つかったのがウツギノヒメハナバチです。少し小型のコガタウツギノヒメハナバチもいます。
両者は、大きさ以外に複眼とその後端までの幅の差や頭楯板の形に違いが見られるそうです。
複眼の幅とほぼ同じなのがコガタで、複眼の幅の1.5倍ほどなのがウツギノヒメハナバチだそうです。
この写真では頭楯板は見えないので、上記の点からのみの判断ですが、ウツギノヒメハナバチとしました。
なお、寒い所であるためか、この時期でもウツギの花が見られ、本種の訪花先も確認できました。

トラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
 
ミツバチ科マルハナバチ属のハチで、日本では本州から四国、九州に分布する。
世界的には、朝鮮半島、ウスリーに分布する東北アジアの固有種。
体長は12〜20mmで、口には折りたたみ式の長い舌があり、マルハナバチの中では最も長い。
活動期間は4月下旬〜11月上旬と長期で、他のマルハナバチ同様、社会性のハナバチ。
土中に枯れ草を敷き詰めて営巣し、蜜蝋に花粉を混ぜてブドウの房状の巣を作る。
メスは地中で越冬し、翌春に単独で営巣を開始する。オスは秋に出現する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、石垣の上で咲くフジウツギの花を訪花していました。
前胸部に黄橙色の毛が密生し、腹部基部は黄褐色の毛が密生しています。
尾端に向かって黄褐色の毛は少なくなり、尾端に近いほど黒い毛が多くなります。

オオコシアカハバチ(Siobla ferox)
<ハチ目・ハバチ亜目・ハバチ上科・ハバチ科・ハバチ亜科・コシアカハバチ属>

ハバチ科コシアカハバチ属に属するハバチの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬に分布し、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は15mm前後で、開張は33mm前後。出現時期は6月〜7月である。
体色は黒色で、腹部の胸部よりの数節が橙色をしている。触角は黒色である。
幼虫の食草は、広食性でイタドリ、アジサイ、ツリフネソウなどいろいろな植物の葉を食べる。
幼虫は、灰白色の体色に、小さな黒点が多数、点々と並ぶ。
背中に2列になった黄橙色の突起があり、その中央に濃灰色の太い背線がある。
終齢幼虫では、体長は40mm前後と、ハバチの幼虫としてはかなり大きい。

下記はよく似ていて、変異が見られるが、下記の点で総合的に識別する。
・コシアカハバチ 後肢の腿節と脛節端側が黒色で、触角は黄橙色
         肩板、小楯板の一部は橙色
・オオコシアカハバチ 後肢の腿節と脛節端側が黒色で、触角も黒色
         胸部背面は黒色で、黄色の部分はない
・クロムネハバチ 後肢の腿節のみ黒色で、触角は黒色で先3節が黄橙色
         複眼後部、肩板、小楯板は黄色

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、写真を撮っているとき飛んできて止まりました。
何者かと、とっさに撮ったのがこの写真なのですが、撮った直後に飛び去ってしまいました。
後で調べていて、ハバチの仲間と分かりました。似たものに上記の3種が見つかりました。
肢や触角の色の特徴で、後肢の腿節と脛節端側が黒色で、触角も黒色ということで、本種としました。

ヒナバッタ(Glyptobothrus maritimus)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・ヒナバッタ亜科・ヒナバッタ属>

バッタ科ヒナバッタ属に属するバッタの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア沿海地方に分布している。
体長はオスで19〜23mm、メスで25〜30mmで、出現時期は7月〜12月。
平地から山地にかけての林縁の草地など、日当たりのよい草地に広く生息する。
乾燥に弱く、十分な水分を取れないと、比較的短時間で死ぬ。
オスは前翅と後脚腿節内面をこすり合わせ、ジキジキジキッと鳴く。
体色は茶褐色のものが多いが、黄色、緑色、紫色まで変異がある。
前胸背板の背面左右の縁に「く」の字状の白い線が入り、その凹み部分は暗褐色になる。
腹部には黒い縞模様があり、後脚腿節内側の基部には黒紋がある。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、葉の上に止まるバッタの幼虫を見かけました。
前胸背板の背面左右の縁に「く」の字状の白い線が見えるので、クルマバッタモドキの幼虫かと思いました。
しかし、後で調べると、クルマバッタモドキの幼虫とはまったく異なることが分かりました。
では、他にこのような白い線を持つものはと調べていくと、ヒナバッタに行き当たりました。
ではその幼虫はと確認すると、その特徴がぴたりと一致します。本種で間違いなさそうです。

コブハサミムシ(Anechura harmandi)
<ハサミムシ目・クギヌキハサミムシ亜目・クギヌキハサミムシ科・コブハサミムシ亜科>

クギヌキハサミムシ科コブハサミムシ亜科に属するハサミムシの1種で在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は12〜20oで、出現時期は4月〜10月である。
春先に孵化して、夏には成虫となり、その成虫の状態で地中に移動して越冬する。
翌春、メスは石の下などに巣を作り産卵し、卵や若い幼虫の世話をする。
卵をなめたり、卵塊を積み替えたりして感染を防ぎ、卵を狙う昆虫などからハサミで防御する。
そして、幼虫が巣立つ直前に、自身を餌として与え、生涯を終える。
体色は、全体に赤褐色味のある黒色で、前翅から少し出ている後翅は黄褐色である。
この後翅は複雑に折りたたまれており、広げると立派な大きな翅となり、飛翔することができる。
その折り畳み方は、人工衛星のアンテナの折り畳み方などへの応用が検討されている。
尾端のハサミですが、雌雄で形状が異なり、オスでは基部に1対の刺があり、メスにはない。
また、メスのハサミは細めで緩やかな曲線を描いて伸びるのに対して、
オスのハサミは太短くて強く湾曲したアルマン型と、細長くて大きく曲がるルイス型がある。
これらのハサミは、敵を威嚇したり攻撃に使うほか、餌であるダンゴムシなどを捕食するのに使われる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、ウツギの葉の上にいるハサミムシに気が付きました。
真っ黒なハサミムシはよく見かけますが、前翅が白っぽいなど、ちょっとオシャレな容姿です。
後で調べると、ハサミの形からコブハサミムシのメスと分かりました。
オスのハサミには、太短くて強く曲がったものと細長くて大きく曲がった2型があるそうです。
ちなみに、前翅の後ろに見える淡黄色のものは、折りたたまれた後翅で、開いて飛翔するそうです。









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