ホーム旅の見聞録薬師池公園>薬師池公園で見かけた野草(春V)


薬師池公園で見かけた野草(春V)



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、いろいろな野草などを集めた萬葉草花苑があります。
そこで見かけた野草や植栽された主な花々です。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の野草などを追加しました。
オオイヌノフグリ、ミツバツツジ、セイヨウシャクナゲ、オランダミミナグサ

また、下記に関しては新しい花の写真などを追加しています。
セイヨウジュウニヒトエ、サギゴケ、ミドリハコベ、ミツバツチグリ、ヤマブキ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
シソ目
オオバコ科(オオイヌノフグリ)
シソ科(カキドオシ、クルマバナ、イブキジャコウソウ、キランソウ、
    ジュウニヒトエ、セイヨウジュウニヒトエ)
ハエドクソウ科(サギゴケ)
センリョウ目
センリョウ科(ヒトリシズカ、フタリシズカ)
ツツジ目
ツツジ科(アケボノアセビ、アセビ、ツツジ、セイヨウシャクナゲ)
ツバキ科(サザンカ、ツバキ)
ニシキギ目
ニシキギ科(ニシキギ)
ツユクサ目
ツユクサ科(ムラサキツユクサ)
ナデシコ目
タデ科(イタドリ)
ナデシコ科(ミドリハコベ、オランダミミナグサ)
バラ目
イラクサ科(ウワバミソウ)
クワ科(マグワ、ヤマグワ)
バラ科(ウメ、クサイチゴ、ミツバツチグリ、ヤブヘビイチゴ、ヤマブキ)
フトモモ目
アカバナ科(マツヨイグサ)
薬師池公園で見かけた野草(春V)
和名インデックス


オオイヌノフグリ(Veronica persica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>
 
オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種として定着している。
日本では全国に広がっており、どこでも見られる。
草丈は15〜25cmで、茎はよく分枝して横に広がる。
葉は、下部では対生し、上部では互生する。葉身は長さ12mmほどの卵形で先が尖り、鋸歯がある。
花期は2月〜6月で、上部の葉腋から長さ1〜2cmの花柄を伸ばし、直径8mmほどの花を1個付ける。
花冠は4裂し、裂片は淡青色に濃青色の縦じまがある。うち1個が小さく、色も薄い。
萼も4裂する。オシベは2個で、メシベは1個ある。
果実は、長さ約4o、幅約6oのやや扁平なハート形で、縁にだけ長い毛がある。

2017/4/28
花菖蒲田脇の通路傍で見かけたオオイヌノフグリです。
オランダミミナグサやコハコベ、ミドリハコベに混じって花を付けていました。
なお、深裂した葉が写っていますが、これは右端に写っているムラサキケマンの葉です。

カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・カキドオシ属>
 
シソ科カキドオシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の草原や道端などに自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア、台湾に分布する。
草丈は、花期初期には直立して10〜20pになるが、花期後半から地表を這って伸びる。
茎は四角形で下向きに毛が生え、葉が対生して付く。
葉身は長さ2〜5pの腎円形で、数pの葉柄がある。葉の縁には歯牙がある。
花期は4月〜5月で、葉腋に数個の花を付ける。花冠は20o前後、萼は8o前後。
萼は5残裂し、裂片は同形になる。花冠は淡紅紫色の唇型で、上唇より下唇が長く、下唇は3裂する。
下唇の中央裂片は側裂片より大きく、2残裂して紅紫色の斑点があり、奥に白毛がある。
冬季は、小型の葉を付けたまま常緑越冬するが、葉は濃緑色になる。

2017/4/28
花菖蒲田の薬師池に近い法面下でカキドオシが花を付けていました。
除草作業が行われていましたので、刈り取られるのも時間の問題のようです。

クルマバナ(Clinopodium chinense)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・トウバナ属>
 
シソ科トウバナ属の多年草で、在来種。日当たりのよい山野の道ばたに多い。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布する。海外では、朝鮮半島に分布する。
草丈は20〜80cmと幅があり、生育場所に依存する。茎には4稜があり、まばらに下向きの毛がある。
葉は対生し、長さ5p前後の長卵形で鋸歯があり、10mmほどの葉柄がある。
花期は6月〜9月で、多数の淡紅色から紅紫色の花を、数段に輪生して付ける。
上唇は小さくて浅く切れ込み、下唇は大きく前に突き出して3裂する。
萼は長さ8oほどの筒状で開出毛があり、紅紫色を帯びること多い。
オシベは4本で、下側の2本は長く、斜上する。

2017/5/30
萬葉草花苑で、クルマバナが花を付けていました。
ちょっと時期が早いような気がしますが、既に多くの花が開花していました。

イブキジャコウソウ(Thymus quinquecostatus)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・ジャコウソウ属>
   
ジャコウソウ属の多年草で、匍匐性のため地を這うい、良く分枝する。
日本では、北海道から本州、四国、九州の日当たりの良い岩地に広範囲に分布する。
海外では朝鮮半島から中国、ヒマラヤに分布する。
枝端は直立して10〜15cmになり、その先に短い花穂を付ける。
葉は対生し、狭卵形で葉端は丸く、縁は全縁で鋸歯はない。
花期は4月〜6月で、花冠は紅紫色。上唇はごく浅く2裂し、下唇は3裂する。
オシベは4本あるが、うち2本が横に開出して目立ちます。

2017/6/9
萬葉草花苑に入って直ぐの所で、イブキジャコウソウを見かけました。
既に花期は終盤で、花はわずかしか残っていませんでした。

キランソウ(Ajuga decumbens)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・キランソウ属>
 
シソ科キランソウ属の多年草で、本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
根生葉が地面に張り付くように広がり、茎も高く伸びず、全体がロゼット状に地表に張り付く。
葉は、基部が狭く、先端側が幅広になる広倒披針形で、長さは5p程。葉の縁には波状の鋸歯がある。
花期は3月〜5月で、茎の先端近くの葉の基部に、濃紫色の花を付ける。
唇型の花の上唇は小さく、下唇は大きくて3裂する。
特に中央の裂片は長く突き出し、その先は浅く2裂する。
道ばたや庭のすみ、山麓などに生える。全体に縮れた毛がある。

2017/5/30
萬葉草花苑でキランソウが、まだ、花を付けていました。
時期的には、既に花期の終わりで、この2輪だけが咲いていました。



   
2018/4/13
薬師池公園の裏門からそう遠くない通路脇の斜面に、キランソウが咲いていました。
四方に茎を這わせて、たくさんの濃紫色の花を付けています。
この地面にへばり付くように広がる様が、別名の「地獄の窯の蓋」の由来とのこと。

ジュウニヒトエ(Ajuga nipponensis)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・キランソウ属>
 
シソ科キランソウ属の多年草で、日本固有種。
花がなければキランソウに似ているが、花茎が立ち上がるので花期には区別は容易。
国内では、本州と四国に分布している。
草丈は20pほどになり、葉は対生して付く。葉身は長さ4p前後の長楕円形で、縁に粗い鋸歯がある。
葉や茎に毛が多く、そのために葉は緑白色に見える。
花期は4月〜5月で、葉腋から穂状花序を立ち上げ、淡紫色の花を輪生する。
小さな上唇は2残裂し、大きな下唇は3深裂し、中央裂片が大きく前に迫り出す。
オシベは4本あるが、内、2本が長い。

2017/4/28
萬葉草花苑にジュウニヒトエとセイヨウジュウニヒトエが植えられていました。
両者を比較すると、その違いが良く分かります。
ジュウニヒトエは花茎を叢生して立ち上げるので、花茎は1ヶ所に集まります。
一方、セイヨウジュウニヒトエは、横に広がって花茎を1本立ち上げるので、分散しています。
花の色にかんしても、ジュウニヒトエは淡紫色ですが、セイヨウジュウニヒトエは青紫色です。

セイヨウジュウニヒトエ(Ajuga reptans)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・キランソウ属>
 
シソ科キランソウ属の常緑多年草で、ヨーロッパ原産の園芸品種であるが、一部で雑草化している。
草丈は10〜15cmで、冬季にはロゼッタ状に地面に張り付いているが、春になると花茎が伸びる。
花期には地上を這う茎を伸ばし、節から発根して新しい個体をマット状に広げ、群生する。
葉は対生し、倒披針形で縁に浅鋸歯がある。根生葉には長い葉柄がある。
花期は4月〜6月で、茎頂に長さ30cmほどの花茎を出す。
四角形の花茎には対生する葉状の苞を付け、その腋に青紫色の唇形花を3〜10個付ける。
花壇等に植えられているジュウニヒトエと呼ばれている物は、ほとんどが本種である。

2017/4/28
萬葉草花苑にジュウニヒトエとセイヨウジュウニヒトエが植えられていました。
両者を比較すると、その違いが良く分かります。
セイヨウジュウニヒトエは、横に広がって花茎を1本立ち上げるので、分散しています。
一方、ジュウニヒトエは花茎を叢生して立ち上げるので、花茎は1ヶ所に集まります。
花の色に関しても、セイヨウジュウニヒトエは青紫色ですが、ジュウニヒトエは淡紫色です。

 
2022/4/12
萬葉草花苑でセイヨウジュウニヒトエが咲いていました。
その根元では、四方八方に茎を伸ばして、地面を覆い始めています。


ジュウニヒトエとセイヨウジュウニヒトエ

     .
  ジュウニヒトエ(2017/4/29)        セイヨウジュウニヒトエ(2013/4/26)
百聞は一見に如かず 違いは一目瞭然ですね。
分かりやすいように、セイヨウジュウニヒトエは多摩川の近くで撮影したものを使用しました。


サギゴケ(Mazus miquelii)
<シソ目・ハエドクソウ科・サギゴケ亜科・サギゴケ属>
   
ハエドクソウ科サギゴケ属の多年草で、耐湿性耐寒性が強い。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
主に畦などの湿地で見られ、匍匐茎で繁殖する。葉は根際に群生し、茎葉は数枚が互生する。
葉は小さく楕円形をしており、葉柄は短く、翼がある。
花期は4月〜5月で、茎の上部に数個の濃紅紫色の唇型の花を付ける。
花冠は15〜20oほどで、上唇は2裂し、下唇は3裂する。
下唇の基部は白く、2条の隆起には黄褐色の斑点と、白い長毛がある。
オシベは4個あり、上下の唇に各々2個付き、メシベは1個で、柱頭は2裂する。

2017/4/28
ハス田の近くを通りかかったとき、サギゴケがたくさん花を付けているのに気が付きました。
以前はどこでも見られた花ですが、最近はとんと見かけません。
紫色のものをムラサキサギゴケ、白花をサギゴケとしていたこともありますが、最近は区別しないようです。

   
2017/5/3
ハス田近くで別の通路を通った時、白花のサギゴケに気が付きました。
白いサギゴケに出会ったのは2度目ですが、紫のものより品がありますね。

 
2022/4/12
ハス田の縁では、今年もサギゴケが多くの花を付けていました。
白花のサギゴケも探したのですが、残念ながら見つけられませんでした。

ヒトリシズカ(Chloranthus japonicus)
<センリョウ目・センリョウ科・チャラン属>
   
センリョウ科チャラン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山野の林内や草地に自生している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は20〜30cmほどになり、茎は直立して、初めは赤紫色を帯びていることが多い。
茎の下部の節に、膜質の葉が鱗片状に付く。上部では2対の葉が対生する。
ただ、葉の間隔が極短いので、4枚の葉が輪生しているように見える。
葉は、濃緑色の楕円形で先が尖り、縁には鋭い鋸歯がある。
花期は4〜5月で、葉が伸び切る前に、葉の中心から花穂を伸ばし、多数の花を房状に付ける。
花には、花弁も萼もなく、1本メシベとその子房の横に3本オシベが付く。
中央のオシベに葯は無く、外側のオシベの基部に黄色の葯が付く。
そのオシベの花糸が白いので、花穂が白く見えている。

2017/5/30
萬葉草花苑で、4枚の葉が輪生して、中央に果実らしきものが立ち上がっているものを見つけました。
なんだろうと思ったとき、ヒトリシズカに思い当たりました。
それで、名板を探すと、葉陰にヒトリシズカと書かれていましたので、確信できました。
気が付くのが遅くて、花は終わっていたようですが、果実を見たのは初めてです。

   
2018/4/13
今年も少し遅めだったのですが、まだ、わずかですが花が残っていました。
3本の白いオシベが、鳥の足跡の様に付いているのが良く分かります。

フタリシズカ(Chloranthus serratus)
<センリョウ目・センリョウ科・チャラン属>
   
センリョウ科チャラン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国にかけて分布する。
高さは30〜60cm。花期は4〜6月。
茎の先に数本(2本の場合が多い)の穂状花序を出し、小さな白い花をつける。
花には花弁も萼もなく、3個の雄しべが丸く子房を抱いている。
花序は立っているが、果実ができると下に曲がる。夏頃(果実の成熟期)に閉鎖花をつける。
和名は、2本の花序を、能楽「二人静」の静御前とその亡霊の舞姿にたとえたもの。
ヒトリシズカと対を成す。ただし、花序は2本とは限らず、3〜4本の例もある。

2017/5/30
萬葉草花苑で、果実になったフタリシズカを見かけました。
八ヶ岳で黒くなった果実を見て、名前がわからず、同定にずいぶん苦労したのを思い出しました。
一度分かってしまうと、忘れることはないと思いますが、果実からの同定は大変です。

   
2018/4/13
今年は早過ぎたようで、まだ、穂状花序が立ち上がり始めたばかりでした。
この様子だと、開花するまでに1〜2週間はかかるのではと思われます。


チャラン属の花の比較

  花の時期を過ぎてしまっていましたので、別の所で撮った写真を下記に掲載します。




ヒトリシズカ



フタリシズカ

ヒトリシズカは薬師池公園や城山カタクリの里で、
フタリシズカは城山湖畔で撮影したものです。

アセビ(Pieris japonica subsp. japonica)
<ツツジ目・ツツジ科・スノキ亜科・ネジキ連・アセビ属>

ツツジ科アセビ属の常緑低木で、在来種。
日本では、本州の山形・宮城県以南から四国、九州の山地で、日当たりの良い所自生する。
樹高は1〜8m、直径5〜10cm。樹皮は灰褐色で縦に裂け目が入り、少しねじれる。
若枝は、緑色で稜があり、はじめ短毛が密生するが、後に無毛になる。
葉は互生し、枝先に束生する。葉身は長さ3〜10cmの倒披針形で、先が鋭く尖る。
葉縁の半分より先に残鋸歯があり、多少波打つ。葉柄は長さ5mm前後。
花期は3月〜5月で、枝先の葉腋から複総状の花序を垂らし、壺型の白花を多数下垂する。
なお、花冠の紅花の色合いが濃いものはベニバナアセビ、薄いものはアケボノアセビと呼ばれる。
花冠は長さ6〜8mmで、先が浅く5裂する。萼は5深裂し、緑色〜赤色と変異がある。
オシベは10個で、花糸の基部に毛があり、葯には刺状の突起が2個ある。
メシベは、花冠とほぼ同じ長さで、子房は無毛。
なお、葉や茎には、アセボトキシンという有毒物質を含んでいる。

2018/4/19
2月には膨らみ始めていた花ですが、見に来るのがちょっと遅くなってしまい、満開を過ぎていました。
そのため、この樹では花が残っていても傷み始めていました。一方、花がほとんどなくなった樹もありました。

アケボノアセビ(Pieris japonica f. rosea)
<ツツジ目・ツツジ科・スノキ亜科・ネジキ連・アセビ属>
 
2011/3/6                 2010/2/14
ツツジ科アセビ属の常緑低木で、本種は、アセビの紅花品種である。
紅花の色合いが濃いものはベニバナアセビ、薄いものはアケボノアセビと呼ばれる。
日本では、本州から四国、九州の山地で、やや乾燥した所に自生する。
葉は、楕円形で厚みがあり、新緑で表面にはつやがあり、枝先に束生する。
3〜4月頃、枝先の葉腋から複総状の花序を垂らし、壺型の花を多数下垂する。
萼や花柄は赤褐色で、8mm程の壺状の花弁はピンク色。そして、1本のメシベと10本のオシベがある。
なお、葉や茎には、アセボトキシンという有毒物質を含んでいる。

2010/2/14,2011/3/6
薬師池のほとりで植栽として植えられていたアケボノアセビです。
ピンクの壺型の花がかわいいですね。

ツツジ(Rhododendron)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属>
 
日本には、ツツジ、サツキ、シャクナゲを分けて呼ぶ習慣があるが、学術的には全てツツジ属である。
有鱗片シャクナゲ亜属、ツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類される。
日本で「シャクナゲ」と呼ばれるのは、ホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られる。
ツツジとサツキは中間的なものもあって、区分けが難しいが、概ね春先に咲くのがツツジである。
その後、初夏に咲くのがサツキだが、新芽が出るのはどちらも同じで、5月頃になる。
そのため、ツツジでは花後に新芽が出て、サツキでは新芽とツボミが同時に出て、その後、開花となる。
例外もあるので、この区分方法に一致しないものもあるが、概ね方法であっていると思われる。
ツツジは、日本では古くから園芸品種として交配が行われ、多くの品種が作出されている。
交雑種であるクルメツツジやヒラドツツジがその代表種で、色とりどりの品種がある。
サツキ列のサツキは、ツツジに比べて葉や花が小さいものが多いので、盆栽などに仕立てるのに向いている。

2017/4/28
薬師池公園の薬師池に通じる通路脇に、ツツジが植えられています。
花が小さめなので、クルメツツジ(Rhododendron obtusum var. sakamotoi)と思われます。

ミツバツツジ(Rhododendron dilatatum)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ミツバツツジ節・ミツバツツジ列>
 
 
ツツジ科ツツジ属の落葉低木で、在来種。
日本では、関東地方から近畿地方東部の太平洋側に分布する。
樹高は1〜3mで幹は灰褐色。葉は長さ5p前後の菱状広卵形で、枝先に3枚輪生する。
花期は4〜5月で、他のツツジより花期は速く、花後に葉が展開する。
紅紫色の花は、直径4cmほどあり、オシベは5本と、他のミツバツツジ類の10本より少ない。
自然分布では、主にやせた尾根や岩場、里山の雑木林などに自生するが、その数は少ない。
ただ、古くから庭木として植栽され、身近で見られものの多くは植栽されたもの。

2022/4/12
薬師池公園の何ヶ所かで、ミツバツツジが花を付けていました。
ただ、場所によって咲き終わりに近いものから、ちょうどピークに達したようなものまで様々です。

セイヨウシャクナゲ(Rhododendron hybridum)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・無鱗片シャクナゲ亜属・無鱗片シャクナゲ節>
 
 
シャクナゲは、ツツジ科ツツジ属無鱗片シャクナゲ亜属無鱗片シャクナゲ節の総称。
植物学的な分類では、ツツジ属のシャクナゲ亜属を指し、多数の花が枝先に房状に付くものをいう。
多くは低木であるが、高木になる種類もある。
北半球の亜寒帯から熱帯の山地まで、広範囲に分布し、ニューギニア、オスーストラリアにも分布する。
特にヒマラヤ周辺には多くの種が分布する。
日本産原種を元にした園芸種をニホンシャクナゲ、欧米で作出された園芸種をセイヨウシャクナゲと呼ぶ。
セイヨウシャクナゲは、ヒマラヤ地方やその周辺部に自生した原種を西欧で育種したものが多い。
日本には1930年代以降に渡来し、日本に自生するものより花が大きく、カラフルなのが特徴。
樹高は1〜4mになる常緑低木で、花期は4月〜5月。耐寒性はあるが、耐暑性は弱く、日蔭でも育つ。

2022/4/12
薬師池公園の何ヶ所かで、シャクナゲが花を付けていました。
花の大きさからセイヨウシャクナゲであろうと思われます。

サザンカ(Camellia sasanqua)
<ツツジ目・ツバキ科・ツバキ連・ツバキ属>
 
ツバキ科ツバキ属の常緑高木で、日本固有種。
日本では山口県、四国南部から九州中南部、南西諸島等に自然分布する。
海外では、台湾、中国、インドネシアなどに分布する。
樹高は2〜5mほどで、幹は灰褐色で平滑。葉は互生し、長楕円形で長さは5p前後。
葉は固く、両面とも光沢があって、主脈と葉柄には短毛がある。鋸歯は細かく鋭い。
花期は10〜12月で、花の直径は7cm前後で、花柄は極短い。花弁は6個前後で平開する。
オシベは基部は合着しているが、ツバキのように筒状にはならない。
野生種の花色は白であるが、栽培品種には赤、白、ピンクなどさなざまな花色がある。
ツバキは、花が丸ごと落花するが、サザンカは花弁が1枚ずつ落ち、オシベはその後に落ちる。

2011/3/6
旧荻野家住宅奥の階段脇で、1輪だけ咲いていました。
緋色の八重咲き栽培品種のようです。

ツバキ(Camellia japonica cv. kingyobatsubaki)
<ツツジ目・ツバキ科・ツバキ連・ツバキ属>
 
2017/5/30               2018/1/25
ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹で、日本原産種。
多くの園芸品種が、ヤブツバキやユキツバキから作り出され、植えられている。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海外では、朝鮮半島南部と台湾に分布する。
近縁種のユキツバキがあるが、標高の高い内陸部に分布し、ヤブツバキとはすみ分けている。

キンギョバツバキは、ヤブツバキの園芸品種で、その葉先がキンギョの尾ひれに似るのが特徴。
2種の変異があり、葉先が数裂するものと、葉先から尾ひれのような葉が出るものである。
特に後者の葉は、リュウキンが泳いでいるような形で、キンギョバツバキの名に恥じない形をしている。
なお、花期は3月〜4月で、一重の赤い花が多いが、白い花、八重咲き、牡丹咲き等も作出されている。

2017/5/30,2018/1/25
薬師池からハス田に向かう途中に、キンギョバツバキが植えられています。
花というより、葉の変異を楽しむツバキですが、城山カタクリの里でも見かけた品種です。
2種類の変異を探したのですが、葉先が割れたタイプのものしか見つかりませんでした。

ムラサキツユクサ(Tradescantia ohiensis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>
 
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、北米原産の園芸植物。
草丈は50p前後で、茎葉は紫色を帯びた粉白緑色。
花期は4月〜8月で、花径2〜3pの紫色の三弁花が茎先に集まって咲く。
1日花で、花色は青、紫、赤紫、淡赤紫色、白と変異に富む。
オシベは6本で、花糸には軟毛が多数密生する。
この軟毛は、細胞が一列に並ぶため、原形質の流動や細胞分裂などの実験によく使われる。

2017/4/27
薬師池公園のハス田を、ぼたん園の方に少し進んだ道路脇で花を咲かせていました。
夏の花だとばかり思っていましたが、この時期でも咲くのだと認識を新たにしました。

イタドリ(Fallopia japonica)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属>
 
タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。
北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。
世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者です。
草丈は1〜2mほどで、根茎を横に伸ばして増える。茎は中空で節があり、若い時に紅紫色の斑点がある。
葉は互生し、長さ10〜15pほどの広卵形で、基部は水平になり、先は急に尖る。
葉腋から枝を出し、その先に多数の小花を付ける。雌雄異株で、花被は白色から紅色で5裂する。
雄花にはオシベが8個あり、メシベは極小さい。雌花には3個の花柱があり、オシベは極小さい。
花後、雌花の外側の3個の花被片が翼状に大きくなり、痩果を包む。

2017/4/28
薬師池公園からの帰り道、境川を渡ったところで見かけた斑入りのイタドリです。
斑入りといっても、一部の葉で、全体が淡紅色のグラデーションになっています。

ミドリハコベ(Stellaria neglecta Weihe)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>
 
ナデシコ科ハコベ属の越年草で、日本では全国的にみられる。
アジア、ヨーロッパにも広く分布している。
花弁は2つに深く裂けているので10枚に見え、雌しべの花柱の数が3本、雄しべの数が5本以上ある。
また、ミドリハコベの名が示すように、茎もたいがい緑色である。
似たものにコハコベ(茎が紫色を帯びる)や、ウシハコベ(大型で、雌しべの花柱が5つある)がある。

2017/4/28
花菖蒲田脇の斜面下で見かけたミドルハコベです。
木陰で日が当たらないところでしたので、少し徒長気味でしたが、緑色がきれいでした。

 
2022/4/12
花菖蒲田脇の通路傍で見かけたミドリハコベです。
右の写真でオオイヌノフグリに混じって長く茎を伸ばしているのがそうです。
なお、写真を撮った時には気づかなかったのですが、コハコベと混じって茎を伸ばしていました。
茎が緑色のものがミドリハコベで、茎が紫褐色を帯び、葉が一回り小さいのがコハコベです。


オランダミミナグサ(Cerastium glomeratum)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ミミナグサ属>
 
ナデシコ科ミミナグサ属の2年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国に分布し、都市部では在来種と入れ替わってしまった。
日本在来種のミミナグサ(茎が暗紫色を帯びる)は、平地ではほとんど見られない。
世界的には、南北アメリカ、アジア、オセアニア、北アフリカと広範囲に分布している。
草丈は10〜60cmで、茎は直立か斜上し、全体に毛が多く、茎の上部には腺毛が多い。
葉は対生し、両面に毛が密生する。下部の葉はへら型であるが、上部では楕円形で無柄になる。
花期は4月〜5月で、枝先に集散花序を付け、白い小花を密生する。
花弁は5個で、先が2裂する。萼片は花弁より若干短く、腺毛が密生して粘る。
オシベは10個で、メシベは1個。その花柱は5個である。
また、本種の花柄は萼片と同長かまたは短く、ミミナグサは萼片より長い点で区別できる。

2022/4/12
花菖蒲田脇の通路傍で見かけたオランダミミナグサです。
オオイヌノフグリやミドリハコベに混じって花を付けていました。

ニシキギ(Euonymus alatus)
<ニシキギ目・ニシキギ科・ニシキギ属>
   
ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木で在来種。
見事な紅葉が見られることから、庭木や生垣、盆栽にされることが多い。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
樹高は1〜4mで、枝は初め緑色で2稜か4稜がある。
後に、2個か4個のコルク質の翼が伸びてきて、色も茶色くなる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜10cmの楕円形で、先が尾状に尖り、縁に鋸歯がある。
花期は4月〜6月で、葉腋に小さな集散花序を多数付け、数個の花が付く。
花は直径9mm前後の4弁花で、半円形の萼片が花弁と45度ずれて付く。
花弁は淡黄緑色〜緑色で、4個のオシベが萼片と同位置の花弁の間に付く。
果実は長さ十数mmの楕円体の刮ハで、赤褐色に熟し、4裂して乾くと暗褐色になる。
裂開すると、赤橙色の仮種皮に包まれた卵形の種子が垂れ下がる。
この頃になると、葉が真っ赤に紅葉して見頃を迎える。

2018/4/19
萬葉草花園で、見かけない花がたくさん咲いていました。
よく見ると、茎に4枚の翼が付いていました。それでニシキギと分かりました。
紅葉したニシキギは記憶にあるのですが、花を見たのは初めてです。
後で調べていて、マユミと同属知りました。そういえば、マユミの花とよく似ています。

ウワバミソウ(elatostema umbellatum)
<バラ目・イラクサ科・ウワバミソウ属>
 

 
イラクサ科ウワバミソウ属の多年草で、在来種。雌雄異株。
国内では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は30〜50pほどで、茎は無毛で赤みを帯びる。葉は無柄で、2列に互生する。
葉身は、長さ10pほどの長楕円形で、左右非対称。葉は根本側が、茎先側より大きくなる。
葉の縁には粗い鋸歯があり、葉先は尾状に尖る。両面にまばらに短毛がある。
花期は4月〜6月で、葉腋に、雄株では数cmの柄がある散形花序を、雌株は無柄の球状の花序を出す。
雄花は、緑白色の4個の花被片と4個のオシベがある。雌花は、淡褐色の3個の花被片がある。
秋には、各節が肥大してムカゴとなり、節から切れて繁殖する。
ウワバミソウは、山菜の「みず」として珍重され、名前は茎が柔らかで水分が多い事による。
なお、標準和名は、大蛇(うわばみ)が居そうな場所に生えていることに由来する。

2018/4/19
萬葉草花園の奥で、ウワバミソウが群落を作り、花を咲かせ始めていました。
この場所で見られるのは、雄花ばかりなので、雄株だけで構成された群落のようです。

マグワ(Morus alba)
<バラ目・クワ科・クワ属>
 

     
クワ科クワ属の落葉高木で、中国原産の移入種。雌雄異株。稀に雌雄同株。
養蚕用に各地で植えられていたものが、野生化している。
樹高は5〜15mになり、樹皮は灰褐色で縦に筋が入り、枝は灰褐色で無毛。
葉は互生し、葉身は8〜15pほどの広卵形。切れ込みの無いものから数裂するものまである。
葉先は尖り、基部は心形で、縁には粗い鋸歯がある。葉柄は長さ数cmで、無毛。
花期は4月〜5月で、本年枝の葉腋に花序が1個ずつ付く。
雄花序は、長さ5cm前後の円柱型で、多数の雄花が付く。花被片とオシベが各々4個ある。
雌花序は、長さ10mm前後で、多数の雌花が付く。メシベの花柱は極短く、柱頭は2個ある。
果実は集合果で、長さ15〜20mmほど。始めは淡緑色であるが、6月〜7月に赤から黒紫色に成熟する。
抗酸化作用のあるアントシアニン、ポリフェノールを多く含み、生食も可能。
また、果実はジャムにしたり、果実酒の材料にも利用される。

2017/6/9
薬師池公園の駐車場奥で、マグワの果実が落ちているのに気が付きました。
見上げると、民家の庭から枝を伸ばしたマグワがたわわに果実を付けていました。
近くに行って、写真を撮らせていただいたものですが、黒く熟した果実が多数見られました。

 

 
2018/4/13
昨年、たくさんの果実を付けていたマグワの樹を見に行ってきました。
予想通り、たくさんの花序を付けていたのですが、雄花ばかりで、雌花が見つかりません。
まだ、雄花が開き始めたばかりなので、雌花はまだ開いていないのかもしれません。
なお、マグワは雌雄異株なのですが、この樹は稀に見られる雌雄同株の樹だったようです。

 
2018/4/20
1週間後、改めて雌花を探しましたが、なかなか見つけられません。
おかしいな〜と思いながら、大きく張り出した枝の先を見ると、やっと、見つけられました。
しかし、時すでに遅しで、雌花は受粉した後でした。花柱はクルっと巻き込まれ、緑色です。
前回に来た時、この場所を探していれば見つけられたかもと思うと、ちょっと残念でした。

 
2018/4/20
上記の樹から10mほどの所で、道路脇のガードレールの際からマグワが枝を出していました。
邪魔なので切られてしまうのでしょう。樹高は1mに満たないのですが、雌花が付いていました。
付いているのは雌花ばかりで、雄花はありません。この樹は雌株でした。
この樹に気が付いていれば、もっと早く雌花を探せたのにと思うと、ちょっと悔しいです。

ヤマグワ(Morus australis)
<バラ目・クワ科・クワ属>


   
クワ科クワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。稀に雌雄同株。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布し、丘陵や低山地に多い。
海外では、東アジアから南アジアにかけて広く分布している。
樹高は3〜15mになり、樹皮は褐色で縦に筋が入り、薄くはがれる。
葉は互生し、葉身は6〜14cm程の広卵形。切れ込みの無いものから数裂するものまである。
葉先は尾状に尖り、基部は心形で、縁には粗い鋸歯がある。葉柄は長さ数cmで、無毛。
花期は4月〜5月で、本年枝の葉腋に花序が1個ずつ付く。
雄花序は、長さ2cm前後で、多数の雄花が付く。花被片とオシベが各々4個ある。
雌花序は、長さ5mm前後で、多数の雌花が付く。メシベの花柱は2mmほどあり、柱頭は2個ある。
果実は集合果で、長さ10〜15mmほど。始めは淡緑色であるが、6月〜7月に赤から黒紫色に成熟する。
なお、マグワの果実では花柱は目立たないが、ヤマグワの果実には髭状に花柱が残る。
抗酸化作用のあるアントシアニン、ポリフェノールを多く含み、生食も可能。
また、果実はジャムにしたり、果実酒の材料にも利用される。

2017/5/30
萬葉草花苑の中に、ヤマグワの樹が1本植えられており、果実を多数付けていました。
上のマグワの果実と比較すると、少し小ぶりで、髭のような花柱が残っています。
この点や大きさなど、生食したり加工したりするのは、ヤマグワよりもマグワが向いていそうです。

ウメ(Prunus mume)
<バラ目・バラ科・サクラ属>


   
2003/3/2

   
2011/3/6

 
2003/3/2

バラ科サクラ属の落葉高木で、中国原産とされる。
日本には古代に持ち込まれたとの説や日本原産との説もあり、明確ではない。
ウメは、花を楽しむ観賞用品種と、実を取るための実梅品種がある。
また、ウメは、「自花不結実性」が強く、2品種以上混生させないと結実しない品種がある。
ウメは、一節に花が一つしか付かないため、複数の花が付くモモよりも華やかさは劣る。
花色は、白からピンク、赤まで種類は多く、一重と八重がある。
※ 果肉には、クエン酸をはじめとする有機酸が多く含まれるため、健康食品として販売される。
しかし、未成熟な果実や核の中の種子には、青酸配糖体が含まれ、条件によっては有毒となる。
といっても、梅酒の未成熟な実や梅干しの種は、アルコールや塩分で毒性は低下している。

2003/3/2、2011/3/6
梅園で見られるのは、白加賀等の白梅が主で、淡紅色や紅色のものもありますが、少ないです。
そのため、上の写真のように遠目には白っぽい、地味な感じの梅園になっています。

2003/3/2
薬師池公園を出た裏手にも、ちょっとした梅園(私有地)があり、こちらの梅も満開でした。
薬師池の梅園よりも紅梅が多いので、ちょっと華やかな梅の花を楽しめました。

クサイチゴ(Rubus hirsutus)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ属>
 
バラ科キイチゴ属の落葉小低木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州の山野に普通に自生している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は高くても50cm程度で、それほど高くならない。
茎や枝には短い軟毛や腺毛があり、細かい棘がまばらにある。
葉は互生し、長さ15cmほどの奇数羽状複葉で、小葉は1対か2対。
頂小葉は、長さ5p前後の卵形でで、小葉の縁には細かい重鋸歯がある。
葉の表面には軟毛が、裏面の葉脈上には軟毛と細かい棘がある。
葉柄には、軟毛と腺毛が混生し、細かい棘がある。
花期は4〜5月で、直径4cmほどの白い花を付ける。
花柄や萼の外側にも軟毛と腺毛が混生する。
果実は、直径1p程の球形の集合果で、1ヶ月ほどで赤く熟す。

2017/4/28
花菖蒲田脇の斜面下で、クサイチゴが1輪だけ花を咲かせていました。
この辺りは良く除草されるようなので、下草はあまりありません。
おそらく、一緒に除草されてしまうため、大きくなれないのでしょう。
高さ20pほどしかなく、樹には見えない状態でした。

ミツバツチグリ(Potentilla freyniana)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属>
   
バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
草丈は20cm強になり、根茎は肥大して短く太く、塊状になる。
その様が、ツチグリに似ているのが和名の由来。
花後、小さな葉を付けた走出枝を出し、増える。
草丈は高くても20cm強程度で、葉には長い葉柄があり、3小葉からなる。
小葉は長楕円形で、長さは数p〜5p、鈍頭。縁には鋸歯がある。
花期は3〜6月で、細い花茎を立ち上げ、上部で数回分枝して散形状に花を付ける。
花は直径15oほどで、黄色い花弁は5枚。オシベ、メシベとも多数で、葯は黄色い。
内萼片は披針形で5個。外萼片も5個あり、線形で短く、幅も狭い。
痩果は無毛で小じわがあり、完熟すると淡褐色になる。

2017/4/28
薬師池公園の裏門を入って直ぐの斜面で、黄色い花をたくさん付けている所がありました。
ヘビイチゴかと思って近づいて見ると、1つの花茎にたくさんの花を付けており、本種と分かりました。
花はヘビイチゴとよく似ていますが、副萼片の形が異なり、大きさも小さいです。
1茎多花という点では、キジムシロも同じですが、小葉の数が5〜7個と異なります。
※ 右端の葉の写真で、小葉が5個見えているのはアケビの葉です。

 
2022/4/12
薬師池公園を取り巻く斜面や通路脇などで、ミツバツチグリの黄色い花を見かけました
ヘビイチゴなどの他の黄色い花も探したのですが、見つけられませんでした。

ヤブヘビイチゴ(Potentilla indica)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属>
   
2017/4/28
   
 2016/7/25          017/5/30          2017/5/30
バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から、四国、九州に分布する。海外では、東アジア、南アジアに分布する。
草丈は10pほどにしかならず、匍匐茎を出して広がる。
葉は濃緑色の三出複葉で、楕円形の小葉には細かい鋸歯があり、長い葉柄がある。
頂小葉は長さが数cmの長楕円形で、広卵形のヘビイチゴとは形が異なる。
また、ヤブヘビイチゴでは重鋸歯にならないが、ヘビイチゴは重鋸歯になることが多い。
花期は4月〜6月で、葉腋から花柄を出して、直径20mmほどの黄色い花を1つ付ける。
5個の三角形状の萼片と葉状の副萼片が交互に付き、副萼片が萼片より大きい。
果実は花托が肥大した偽果で、果床は濃紅色で赤い痩果にはしわがない。
この果実は食べられるが、味はほとんどしないので、生食には向かない。
本種では、果期にも花が見られるので、黄色い花と赤い果実を同時に見られる。

2017/4/28 花菖蒲田脇の法面に、黄色い花をたくさん付けている所がありました。
大きな葉状の副萼片が花弁の倍ぐらいあり、小葉も長楕円形なので、ヤブヘビイチゴと分かりました。
なお、右端の写真ではヤブヘビイチゴとミツバツチグリが混じり合って咲いています。
左手前で固まって咲いているのがミツバツチグリで、右手や奥で咲いているのがヤブヘビイチゴです。
2016/7/25 萬葉草花苑で、ヘビイチゴの名板の所で見かけた果実です。
このときは、ヘビイチゴだと思って写真を撮り、あまり詳しく確認はしませんでした。
2017/5/30 萬葉草花苑の昨年写真を撮ったところで、見事な果実を見かけて撮り直しました。
で、このとき、果実の果床が濃紅色で、痩果にもしわはなく、つるっとしているのに気づきました。
葉の形も長楕円形で、どうみてもヤブヘビイチゴです。名板が間違っているようです。
最初に撮った写真は、若い果実で果床が見えず、副萼片も大きく見えないので、気づかなかったようです。

ヤマブキ(Kerria japonica)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・ヤマブキ属>
   
バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山地や谷川沿いなど、湿った所に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は1〜2mになり、株立ちになり、新枝は緑色で稜がある。
茎や枝は時間と共に褐色となり、数年で枯れる。
葉は互生し、長さ6cm前後で1cmほどの葉柄がある。長卵形で、先は鋭く尖り、縁には重鋸歯がある。
花期は4〜5月で、新しく出た短い側枝の先に、黄色い花を1個付ける。花には一重と八重がある。
花は直径4cm前後で、倒卵形の花弁の先はわずかに凹む。オシベは多数あり、花柱は5〜8個ある。
萼筒は杯型で、萼片は4mmほどの楕円形。
萼筒は果期にも残り、その中に痩果が数個付く。9月頃に暗褐色に熟す。
一重のものは結実するが、オシベが変化して花弁になった八重咲きは結実しない。

2018/4/13
薬師池公園の裏門から入って、少し下った所にヤマブキが花を咲かせていました。
ヤマブキが果実を付けているところは見ていますが、花の時期に見たのは初めてかもしれません。
黄色い花なのでよく目立ち、他の場所で見ることはままあるのですが、ここでは見たことがなかったのです。

 
2022/4/12
薬師池公園の裏門から花菖蒲田へ下りていく通路脇で、今年もヤマブキがたくさん咲いていました。
これだけ固まって咲いていると、花の色のあって、かなり目立ちます。

マツヨイグサ(Oenothera biennis)
<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属>
 
アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、南米が原産地の帰化植物。
本来は、河原や山火事跡などの荒れ地や痩せ地に最初に生えるパイオニア植物である。
また、同じような環境の線路沿いとか路肩などでも見られる。
ただ、他の植物が成長してくると徐々に姿を消してしまうので、草地では見られない。
マツヨイグサは「月見草」、「宵待草」(よいまちぐさ)とも呼ばれることがあります。
「宵待草」は、竹久夢二の詩による流行歌のタイトルで、誤記なのか、わざとそうしたのかは不明です。
なお、標準和名では、黄花をマツヨイグサ、白花をツキミソウ、赤花をユゲショウとして区別しています。

2017/4/28
萬葉草花苑の通路脇に、雑草のように生えていました。名板があるので、雑草ではないようです。
夕方に開花し、朝方からしぼみ始めるのですが、この写真は16時過ぎに撮ったものです。
あまり日が当たらない場所なので、花持ちが良いのかもしれません。








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