ホーム旅の見聞録入笠山 ウォーキング>入笠山で見かけた野草(T)


入笠山で見かけた野草(T)



主に沢入駐車場から大阿原湿原への車道脇、入笠山の花畑で見かけた山野草です。



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アブラナ目
アブラナ科(エゾスズシロ、ミヤマハタザオ)
イネ目
イネ科(オオアワガエリ)
オモダカ目
サトイモ科(マムシグサ)
キク目
キキョウ科(ヤマホタルブクロ)
キク目・キク科
アザミ亜科(ノアザミ、トネアザミ)
キク亜科(セイヨウノコギリソウ、サワギク、オタカラコウ、マルバダケブキ、
     ヒヨドリバナ、ヨツバヒヨドリ)
タンポポ亜科(イワニガナ、シロニガナ)
キジカクシ目
キジカクシ科(キジカクシ、オオバギボウシ、コバギボウシ)
ススキノキ科(ゼンテイカ[ニッコウキスゲ])
ラン科(クモキリソウ)
キントラノオ目
トウダイグサ科(タカトウダイ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(ヤマオダマキ、カラマツソウ、ウマノアシガタ、クサボタン、
       ホソバトリカブト、タケニグサ)
ゴマノハグサ目
フジウツギ科(フジウツギ)
サクラソウ目
サクラソウ科(クリンソウ)
入笠山で見かけた野草(T)
和名インデックス


エゾスズシロ(Erysimum cheiranthoides)
<アブラナ目・アブラナ科・エゾスズシロ属>
 
アブラナ科エゾスズシロ属に属する2年草で、帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国へと分布を拡大中。
なお、北海道のエゾスズシロは自生種とする説と全て帰化植物とする説がある。
海外では、北半球の温帯に広く分布している。
草丈は30〜80cmで、茎は直立して上部で分枝し、伏毛が密生し、明瞭な稜がある。
葉は互生し、長さ3〜9cmの広披針形〜線形で、上部の葉ほど線形になる。
下部の葉は、波状の鋸歯があるものや大きく切れ込んでいるものなど、変異が大きい。
花期は5月〜10月で、茎頂に総状花序を付け、直径4o前後の黄色い十字形の花を多数付ける。
4個の花弁は倒卵形で、萼片は長楕円形。萼片には短毛が密生する。
オシベは6個あるが、内2個は短い。花柱は1個で、オシベの基部に蜜腺がある。
花序は、開花当初は短くてツボミなどが密集しているが、咲き進むにつれて上に伸びて長くなる。
果実は長角果で4稜があり、中の種子は1列に並んでいる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、ポツリと1本だけ、黄色い花を付けていました。
本州でも分布が拡大しており、ここも例外ではないということのようです。

ミヤマハタザオ(Arabis lyrata var. kamtschatica)
<アブラナ目・アブラナ科・ヤマハタザオ属>
   
アブラナ科ヤマハタザオ属に属する多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州中部以北、大峰山系、大山、四国の剣山に分布する。
海外では、カムチャッカからアラスカ、北アメリカの北太平洋地域に分布する。
草丈は10〜40cmで、茎は基部の葉腋から立ち上がって株立ちとなり、上部での分枝は少ない。
茎の下部には単純毛が密生するが、茎の上部ではほぼ無毛となる。なお、毛の生え方にも変異がある。
根生葉は、長さが2〜9cmのへら状倒卵形で、全縁〜数個の歯牙〜羽状深裂まで変異がある。
茎葉は、長さが1〜5cmの線状倒披針形で、鋸歯は無いか、あっても目立たず、基部は茎を抱かない。
花期は5月〜8月で、総状花序を茎先に付け、直径10mm前後の十字形の白花をまばらに付ける。
花柄は長さ3〜10mmで、花弁の長さは4〜6mm。花弁は稀に紫色を帯びる。
果実は長さは3〜4cmの長角果で、開出し、数珠状にくびれることはない。
※ ヤマハタザオの長角果は茎に沿って直立し、本種では開出する。
  また、ヤマハタザオの茎葉は茎を抱くが、本種では茎を抱かない。
  ハクサンハタザオも茎葉は茎を抱かないが、長角果が数珠状にくびれる。
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で見かけました。
候補は、ハクサンハタザオ、ミヤマハタザオ、ヤマハタザオなどいくつかあったのですが、
茎葉が茎を抱かない点、長角果が開出して、くびれがない点で本種としました。

オオアワガエリ(Phleum pratense)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・アワガエリ属>
 
イネ科アワガエリ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
チモシーあるいはチモシー・グラスと呼ばれる牧草で、世界で広く利用されている。
根茎は短く叢生し、葉は長さ20〜50cm、幅10mm前後の線形で、色は緑〜灰緑色。
茎は50〜120cmで、多数の茎を直立して叢生し、茎の先に穂状の花序を付ける。
細長い円筒形の花序は長さ6〜20cmで、多数の小穂が密生する。
小穂は扁平で、小花1個からなり、長さは3o前後。2個の苞頴が左右対称に付く。
苞頴(ほうえい)の先には短い芒が付き、背に長い開出毛がある。
オシベは3個あり、葯は長さ2o前後で、赤褐色。花粉を放出し終わると黄褐色になる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇にあった沢の近くで見かけました。
多くの花穂が見られましたが、オシベを出していたのは数本だけでした。
そのオシベも、花粉を放出し終わって黄褐色になっていました。

マムシグサ(Arisaema serratum)
<オモダカ目・サトイモ科・サトイモ亜科・テンナンショウ属>
 

 
サトイモ科テンナンショウ属の宿根性落葉多年草で、在来種。
有毒植物で、全草にシュウ酸カルシウムの針状結晶、サポニン、コニインを含み、特に球茎の毒性が強い。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広範囲に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
草丈は50〜80pほどになり、春、地下の球茎から偽茎を伸ばし、2枚の葉を展開する。
偽茎は、葉柄下部の2つの葉鞘部分が重なったもので、紫褐色のまだらな模様がある。
葉は鳥足状の複葉で、7〜15枚の楕円形の小葉からなり、その形や鋸歯の有無など変異が大きい。
花期は4月〜5月で、中央から花茎を伸ばし、紫色の仏炎苞のなかに肉穂花序を付ける。
雌雄異株で、肉穂花序の下部に萼も花冠もないオシベ・メシベだけの花を固まって付ける。
仏炎苞は、長さ10pほどの筒状部があり、その先は細くなりながら水平に前方に伸びる。
肉穂花序の先端から伸びた付属体は、棍棒状で直径8mm前後。
花後、仏炎苞の下から緑色のトウモロコシ状の果実が現れ、秋には真っ赤に熟す。

仏炎苞は紫褐色が標準であるが、緑色のものなどもあり、下記のようにいろいろな名前で呼ばれる。
各々の中間的な形態のものも多く、学者によって分類も異なり、まとめてマムシグサとする説もある。
マムシグサ、アオマムシグサ、ムラサキマムシグサ、オオマムシグサ、
カントウマムシグサ、コウライテンナンショウ………

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、何ヶ所かで見かけました。
最初に見かけたものは、枯れた仏炎苞が破けて果実が顔を出していました。
かなり登った所で、数本が群生した中に、まだ、仏炎苞の色や付属体が残ったものがありました。
残っていた仏炎苞などから推測すると、仏炎苞は緑色で舷部は長く、付属体は根棒状と思われる。
分布域から考えるとカントウマムシグサの可能性が高いと思われるが、断定はできない。
そのため、ここでは広義のマムシグサとしています。

ヤマホタルブクロ(Campanula punctata Lam. var. hondoensis)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ホタルブクロ属>
 
キキョウ科ホタルブクロ属の多年草で、日本固有種。
ホタルブクロの変種で、東北地方南部から近畿地方東部にかけて分布する。
ホタルブクロは、東北部を除く北海道から、本州、四国、九州に分布し、両者の分布域は重なる。
海外では、ホタルブクロが朝鮮半島から中国にかけて分布する。
草丈は、20〜50cmと幅があり、葉は互生する。
花は、長さ5cmほどの壺型で、先が浅く5裂する。
花色は、淡紅紫色で淡いものから濃いものまで変異がある。
ホタルブクロとの違いは、萼片付属体の副萼片の形状で、盛り上がるだけで反り返らない。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、何ヶ所かで見かけました。
副萼片が盛り上がっていだけで、反り返ってはいませんので、ヤマホタルブクロです。


ホタルブクロ(左)とヤマホタルブクロ(右)

   .

ホタルブクロとヤマホタルブクロの識別の決め手は、萼片の形です。
ホタルブクロの場合は、付属体の副萼片が反り返っています。
ヤマホタルブクロの場合は、萼片と萼片の間が盛り上がるだけです。


ノアザミ(Cirsium japonicum)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属・ナンブアザミ節・ノアザミ亜節・ノアザミ列>
 
キク科アザミ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州と比較的広範囲に分布し、海外では台湾に分布する。
海外で、朝鮮半島から中国にかけて分布するものは、貯蔵根が肥大するので別種カラノアザミと思われる。
草丈は50〜100cmで、平地に多く花茎があまり分枝しないものと、
本州の内陸部で夏から秋に咲く、花茎がよく分枝するものの、2つのタイプがある。
根生葉は花期でも残っており、長さ15cm前後で羽状に中裂する。
茎葉は、基部が茎を抱き、上部の葉ほど小さくなる。葉には、鋭い刺が多数ある。
花期は5月〜8月であるが、稀に秋まで咲いている場合もある。なお、春に花を付けるのは本種のみである。
頭花は茎頂に上向きに咲き、直径は4〜5cm。筒状化のみで、花色は紅紫色。稀に白花もある。
総苞は幅2〜4cmの球形で、総苞片は直立して粘液を出し、よく粘る。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、何ヶ所かで見かけました。
分かり易いのは双方の形状で、総苞片が開出せず、粘っていたので本種で間違いはないと思います。

トネアザミ(Cirsium nipponicum var. incomptum)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属・ナンブアザミ節・ナンブアザミ亜節・ナンブアザミ列>
 

 
キク科アザミ属の多年草で、日本固有種。別名はタイアザミ。
トネアザミはナンブアザミの変種で、根生葉は花期にはない。
日本では東北地方南部〜中部地方に分布し、関東地方では普通に見られる。
草丈は60〜150cmで、茎は直立して上部で分枝し、枝は開出せず、鋭角的に斜上する。
秋に根生葉を出し、その状態で越冬するが、花期には根生葉は無くなる。
茎葉は互生し、長さ15〜40cmの披針状楕円形で羽状に中〜深裂して、先は尖る。
裂片は太く鋭い刺になり、長さは1cm以下と短い。葉の基部は茎を抱かない。
花期は9月〜11月で、茎頂や枝先、上部の葉腋から短い花柄を出し、頭花を1個付ける。
頭花は、横向きから斜め下向きに咲くものが多いが、上向きのものも見られる。
頭花は、紅紫色の筒状花のみからなり、狭筒部は広筒部と同長以下である。
花柄は、長いものが多いが、短くて花が密集したものや単生のものなど変異が多い。
総苞は幅は10〜15mmの鐘形で、粘らない。総苞片は長い刺状で開出または下向きに反曲する。
花の基部に、1〜2個の線形の苞葉が付いていることがある。
果実は痩果で、長さは2o前後。淡褐色の冠毛がある。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、数ヶ所かで見かけました。
花が咲く前で、まだ、ツボミも未熟な状態でしたので、草姿と葉の特徴で本種としました。
ただ、花が未確認なので、間違っている可能性はありそうです。

セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ノコギリソウ属>
 
キク科ノコギリソウ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州に分布する。
草丈は50〜100cmほどで、葉は互生し、2〜3回羽状複葉に細裂して柔らかい。
茎頂に散房花序を付け、直径5o程の頭花をたくさん付ける。
普通、周囲に5個の舌状花(雌花)が並び、中心に両性花の筒状花が複数ある。
花色は白や淡紅色が多いが、赤や黄色などの園芸品種も出回っている。床には膜質の鱗片がある。
花後、花床がふくれて円錐形になり、痩果は長さ2mmほどになる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、所々で見かけました。
ノコギリソウかと思って葉を見ると、見かけた全てがセイヨウノコギリソウでした。
ノコギリソウもあるだろうと気を付けて見たのですが、車道脇では確認できませんでした。

サワギク(Nemosenecio nikoensis)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・サワギク属>
 

 
キク科サワギク属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
山林内や林縁、沢沿いや湖沼沿いなど湿気の多い場所に生息する。
草丈は30〜100cmで、茎は中空の円筒形で、柔らかく、折れやすい。
茎の下部は角ばって、まばらに白毛が生え、上部の葉腋から側枝を出す。
根生葉はロゼットを形成して冬を越し、茎葉は互生して羽状に深裂する。
茎葉は薄く、長さが4〜15cmで、葉の裂片は3〜6対になり、裂片の先は尖る。
花期は5月〜8月で、茎頂や側枝の先で分枝して、細い茎先にまばらに頭花を付ける。
頭花は直径12mm前後で、花柄は短い。総苞は長さ5mm前後で長披針形の総苞片は1列。
頭花の周囲に並ぶ黄色い舌状花は7〜13個で、その内側の筒状花も黄色い。
果実には細毛があり、長さは1.5mm前後、白い冠毛は長さ6〜7mm。
花後、冠毛が目立つようになり、それが襤褸(ぼろ)のように見えるのが別名のボロギクの由来。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、所々で見かけました。
一株だけがポツンと生えている所やちょっとした群落になっている所などもありました。

オタカラコウ(Ligularia fischeri)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・メタカラコウ属>
 


キク科メタカラコウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州福島県以南、四国、九州に分布し、山地から亜高山帯にかけての湿地に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア東部などに分布する。
草丈(花茎)は2mに達することもあり、根出葉はフキのように長い葉柄がある。
根出葉は心円形で50cm程になり、鋸歯がある。茎葉の葉柄は茎を抱く。
上部に総状花序を付け、多数の黄色い頭花を付ける。頭花の舌状花は、8個程ある。
メタカラコウに似るが、根出葉の基部が本種は丸いが、メタカラコウは尖る。
また、頭花の舌状花の数が、本種は8個ほどあるのに対し、メタカラコウは3個ほどしかない。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、所々にあった沢で見かけました。
どの沢でもかなりの数が群生し、花茎を立ち上げて黄色い花を咲かせていました。
その花に、モンシロチョウやいろいろなハナアブなどが訪花していました。

マルバダケブキ(Ligularia dentata)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・メタカラコウ属>
 

   
キク科メタカラコウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の中部地方から東北地方、四国では稀に見られる。
海外では、中国で広く分布する。
草丈(花茎)は1mを超え、根出葉はフキのように長い葉柄がある。
根出葉は心円形で40cm程になり、鋸歯がある。茎葉の葉柄は茎を抱く。
上部に散房花序を付け、10個程の黄色い頭花を付ける。頭花の舌状花は、10個程ある。
似たトウゲブキにある総苞や花柄の基部の苞は、本種にはない。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道をかなり登ってきたところで、側溝脇で見かけました。
最初に目についたオタカラコウの先にあったので、最初は同じだと思い、通り過ぎました。
しかし、出ていたツボミの付き方や形が違うことに気が付き、引き返して見直しました。
その結果、葉の形がオタカラコウよりかなり丸いものが混じっていて、それがこの植物の葉でした。
上段左側の写真が混生していた所で、手前の少し尖った葉がオタカラコウで、奥がマルバダケブキです。
その後、かなり成長したツボミなどを見て、マルバダケブキと確信しました。
下段はツボミを成長順に並べたもので、総苞が開く前、開いた後、さらに成長したものです。

ヒヨドリバナ(Eupatorium makinoi)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属>
 
キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国にかけて分布する。
草丈は1〜2mに達する。茎には曲った毛が密生する。草丈があるので、曲がったり、傾くものが多い。
葉は対生し、短い葉柄がある。長さは15p前後の卵状長楕円形で、先が尖る。
花期は8〜10月で、頭花は、散房状に付き、多数の筒状の頭花からなる。
頭花は、5個ほどの白色の両性の筒状花からなる。花冠の先は5残裂し、花柱の先が割れて長く伸びる。

よく似た花が幾つかあるが、葉の特徴から識別することができる。
・ヒヨドリバナ  葉は対生し、短い葉柄がある
・サワヒヨドリ  葉は対生し、葉柄がない。葉は3脈が目立つ
         ※ 3深裂〜3全裂して6個が輪生しているように見えることがある
・ヨツバヒヨドリ 葉は4個(3個〜5個)が輪生する
・フジバカマ   葉は対生して、下部では3深裂する
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の石垣の上で、見かけました。
他のつる植物が巻き付いているので見づらいですが、葉は対生し、短い葉柄が確認できました。
葉にも3脈は見当たらないので、ヒヨドリバナと思われます。

ヨツバヒヨドリ(Eupatorium chinense var. sachalinense)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属>
 
キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州の近畿地方にかけて分布し、海外では、サハリンに分布する。
草丈は1〜2mで、草丈があるので、曲がったり、傾くものが多い。
葉は無柄で4個が輪生し、それが和名の由来。ただし、3個〜5個になることもある。
葉身は長さ10〜15pの長楕円形で、先が尖り、縁には不規則な鋸歯がある。
花期は8〜9月で、茎頂の散形花序に頭花が密に付く。頭花は5〜6個の筒状花のみからなる。
花冠は白色〜淡紅色で、先が5残裂し、花柱の先が2深裂して、花冠から長く飛び出す。

よく似た花が幾つかあるが、葉の特徴から識別することができる。
・ヒヨドリバナ  葉は対生し、短い葉柄がある
・サワヒヨドリ  葉は対生し、葉柄がない。葉は3脈が目立つ
         ※ 3深裂〜3全裂して6個が輪生しているように見えることがある
・ヨツバヒヨドリ 葉は4個(3個〜5個)が輪生する
・フジバカマ   葉は対生して、下部では3深裂する
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の苔むした石垣の上で、見かけました。
葉が4枚、きれいに輪生していますので、ヨツバヒヨドリと思われます。

イワニガナ(Ixeris stolonifera)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>
 
キク科ニガナ属の多年草で、在来種。別名はジシバリ。
日本では全国に分布し、山野の日当たりのよいところに生える。
海外では朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに分布している。
草丈は8〜15cmで、茎はやや赤味を帯び、地上を匐枝が這って広がる。
葉は根生し、葉身は長さ8〜30mmの卵円形で、細長い葉柄がある。
花期は4月〜7月で、花柄は少し枝分かれして、枝先に直径25oほどの黄色の頭花をつける。
花弁の先は細かく切れ込み、5歯があるのはタンポポ亜科の特徴である。
花柄には葉を付けない。総苞は長さ8〜10mmで、総苞外片は小さく、総苞内片は長い。
果実には10稜があり、長さ4〜6mmで、嘴の先に長い冠毛がある。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、オオジシバリのような花を見つけました。
ただ、葉が丸いような気がして、後で調べた結果、イワニガナと分かりました。
そういえば、ジシバリというのもあったと思って調べると、なんとイワニガナの別名でした。
Web上では、ジシバリを別名としたものと、イワニガナを別名としているものが混在しています。
ジシバリに対するオオジシバリだと、ジシバリが標準和名の方がしっくりきます。
しかし、標準和名はイワニガナのようです。どちらもニガナ属なので、オオジシバリが変則的かも。

シロニガナ(Ixeris dentata var. albida)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>
   
キク科ニガナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布している。
草丈は20〜50cmで、茎が細くて全体に柔らかく、上部で分枝する。
根生葉は長さ13〜18cmの広披針形で、長い葉柄がある。
葉身にはまばらな鋸歯があり、羽状に切れ込むこともある。
茎葉は無柄で、基部が丸く張り出して茎を抱く。ただし、上部では抱かないこともある。
茎葉は下部になるほど葉身が長くなり、髭状の細長い鋸歯がある。
花期は5月〜7月で、茎の先に直径15〜19oの白い頭花を散状に付ける。
頭花は舌状花のみからなり、その数は5〜7個である。
花弁の先は細かく切れ込み、5歯があるのはタンポポ亜科の特徴である。
オシベは筒状に合着し、先が2つに割れているメシベは筒の中にある。
総苞は円筒形で長さ8o程。総苞片は2列で、短い総苞外片5〜6個は基部に鱗片状に付く。
総苞内片も5〜6個で、細長く、花弁に沿って折れ曲がる。
痩果は長さ4〜4.5oで、嘴の先に褐色を帯びた長さ4mm前後の冠毛がある。

シロニガナは、ニガナ(黄花)の白花品種であるが、最近はニガナと分けないことがある。
舌状花が8〜12個と多いのは、ハナニガナで、その白花品種はシロバナニガナという。
また、似たものに高山系のタカネニガナやクモマニガナ、匍匐茎を出して這うハイニガナなどがある。
2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう石堂越辺りの車道脇で、白いニガナを見かけました。
舌状花の数を確認すると全て6個でした。微妙な数ですが、シロニガナとしました。


ニガナ属の花

     .
  <ニガナ>                  <シロニガナ> .
     .
  <ハナニガナ>               <シロバナニガナ> .
ニガナ属にはよく似た花が多くあり、似た名前なので紛らわしいですね。
まずは、舌状花の数の違いで、5〜7個と少ないのがニガナとシロニガナです。
最近は、シロニガナとニガナを分けないことがあるようですが、ニガナの白花品種がシロニガナです。
次に舌状花が8〜11個と多いのがハナニガナとシロバナニガナです。
シロバナニガナは、ニガナの亜種であるイソニガナの変種とされ、その黄色品種がハナニガナとされています。
ただ、舌状花の数が6〜8個と中間的なものも見受けられます。


キジカクシ(Asparagus schoberioides)
<キジカクシ目・キジカクシ科・キジカクシ亜科・クサスギカズラ属>
 
キジカクシ科クサスギカズラ属の多年草で、在来種。雌雄異株である。
なお、同属にはオランダキジカクシ(A. officinalis)があり、アスパラガスの名前で親しまれている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、山林の林縁などに自生している。
海外では、朝鮮半島から中国北部、モンゴル、ロシアのシベリア以東に分布している。
草丈は50〜100cmで、茎は円柱状で稜線があり、直立して上部でよく分枝する。
葉は鱗片状に退化して茎に密着し、長さ1mm前後の広卵形で膜質。
緑色の葉に見えるものは、極端に細く分枝した茎であり、葉状枝(偽葉)と呼ばれる。
葉状枝は長さ1〜2cmで、扁平で線状になり、葉腋に3〜7個束生し、上方にゆるく湾曲する。
細い葉状枝(偽葉)に葉緑素があり、鱗片状の葉には葉緑素はなく、光合成は葉状枝(偽葉)で行う。
花期は5月〜7月で、花は葉腋に数個が総状に束生、長さ2〜3mmの広鍾形。
6個の花被片は平開せず、花被片は長楕円形で、中心が淡黄緑色で、縁は白色。
花柄は長さ1〜2mm、頂端部に関節がある。
雄株に付く雄花は6個のオシベが発達し、メシベは退化して小さい。
一方、雌株に付く雌花では、柱頭が3裂したメシベと子房が発達し、オシベは退化して小さい。
雌株には直径6〜8mmの球形の液果が付き、秋には赤く熟す。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道の沢入駐車場近くで、アスパラガスのようなものを見かけました。
全体的にはアスパラガスに似ていますが、葉状枝(偽葉)が少し太くて長いようです。
花はないので葉状枝の特徴から、キジカクシ、クサスギカズラ、オオバスギカズラが候補になりました。
クサスギカズラやオオバスギカズラは海岸性の植物ということで、山地性のスギカズラとしました。

オオバギボウシ(Hosta montana)
<キジカクシ目・キジカクシ科・リュウゼツラン亜科・ギボウシ属>
 
キジカクシ科ギボウシ属の多年草で、東アジアの特産種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
日本海側に生えるものをトウギボウシとして分けていた時期もあるが、現在は同一種とされている。
草丈は1mほどになり、葉は根生葉で長い葉柄があり、葉身は卵状楕円形で長さ30cm前後になる。
基部は心形で、葉裏の葉脈は盛り上がり、脈状に小突起が少し見られる。
花期は6月〜8月で、花茎が1mほど伸びて、淡紫色〜白色の花を横向きに多数つける。
花は漏斗型で、5cmほどの長さになり、基部に緑白色の苞がある。
和名の「ギボウシ」は、ツボミが欄干の擬宝珠(ぎぼし/ぎぼうしゅ)に似て、葉が大きいことに由来する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の石垣の上で、見かけました。
長い花茎を斜上させて淡紫色の花を付けていました。高い所で、根本に雑草が多く、葉は見えません。
ただ、花色が極淡い紫色で、かなり大型の花茎ですので、オオバギボウシとしました。

コバギボウシ(Hosta sieboldii)
<キジカクシ目・キジカクシ科・リュウゼツラン亜科・ギボウシ属>

キジカクシ科ギボウシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布しており、日当たりのよい湿地に生える。
草丈は40cmほどになり、葉は多数根生して斜上する。葉身は長さ15pほどの狭卵形。
葉の基部は翼状になって葉柄に流れる。葉表は灰緑色で光沢はなく、脈が凹む。
花期は7月〜8月で、長さ40cmほどの花茎を伸ばし、淡紫色〜濃紫色の花を横向きに付ける。
花は長さ5p弱の漏斗型で、内側に濃紫色の筋があり、花の基部には緑色の苞がある。
和名の「ギボウシ」は、ツボミが欄干の擬宝珠(ぎぼし/ぎぼうしゅ)に似て、葉が小さいことに由来する。

2019/8/1
入笠山の花畑で見かけたコバギボウシです。
シモツケソウの後ろで花茎を立ち上げていましたが、まだ、開花している花はありませんでした。

ゼンテイカ(Hemerocallis dumortieri var. esculenta)
<キジカクシ目・ススキノキ科・キスゲ亜科・ワスレグサ属>
 
ススキノキ科ワスレグサ属の多年草で、本州の中部以北に分布する。
本州では高原でよく見られるが、東北地方や北海道では海岸線など低地でも見られる。
標準和名は、「ゼンテイカ」だが、一般には「ニッコウキスゲ」の方が通りは良い。
また、北海道では、「エゾカンゾウ」の名で親しまれている。
草丈は50〜80cm程度で、花茎の先に数個の花を付け、次々と咲かせる。
花期は5月〜8月で、花色は黄橙色で、長さ10pほどの漏斗型。
花被片は6個で、オシベも6個。オシベは花被片より飛び出すことはない。
朝に開花し夕方にはしぼんでしまう一日花である。
尾瀬の大江湿原の大群落始め有名な所はあるが、全国に群落がある。

2019/8/1
入笠山の花畑で見かけたゼンテイカ、通称、ニッコウキスゲです。
あまり多くはなく、花畑の上部の方に点々と咲いているのが見えました。
この花畑は、鹿害防止柵で保護されているので見られるのでしょう。
特に対策が取られていない美ヶ原では、鹿に食べられてほぼ全滅状態でした。

クモキリソウ(Liparis kumokiri)
<キジカクシ目・ラン科・クモキリソウ属>
 

   
ラン科クモキリソウ属に属する多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布、海外では朝鮮半島に分布する。
偽球茎は卵形で、肥大した偽球茎から茎を出し、草丈は10〜20cmになる。
葉は、茎の基部から2個が相対して付き、長さは5〜12cmの卵状楕円形。鈍頭で縁は波打つ。
花期は6月〜8月で、中心から花茎を真っすぐに立ち上げ、総状に2〜20個の花が咲き上る。
花は淡緑色が多いが、稀に淡紫褐色〜黒褐色と変異がある。
苞は卵状3角形で長さ1mm強と小さい。3個の萼片は長さ6mm前後の狭長楕円形で、内に巻く。
2個の側花弁は狭線形で、長さは6〜7mm。左右にナマズの髭のように飛び出す。
唇弁は長さ5〜6mmの楔状倒卵形で、中程から直角に反り返る。
蕊柱(ずいちゅう)は長さ3mmになり、上端に狭い翼がある。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、何ヶ所かでちょっとした群落を作っていました。
一見してラン科の植物と分かりましたが、今まで見たことがないちょっと変わった花です。
下に垂れた唇弁が下部を切り取ったような形で、側花弁は糸状で細く、左右に飛び出しています。
特徴のある花でしたので、後で調べたとき、直ぐにクモキリソウと分かりました。

タカトウダイ(Euphorbia pekinensis)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属>
   
トウダイグサ科トウダイグサ属に属する多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国にかけて分布する。
草丈は40〜80cmで、根茎は垂直に伸び、長さは20〜30cm。
茎は単生か叢生し、直立して上部で数回分枝する。
葉は互生し、托葉はない。葉柄はほとんどなく、葉身は楕円形が多いが、非常に変異が多い。
なお、葉は秋になると紅葉し、湿原を彩る草紅葉の1つ。
茎や葉を折ったり傷をつけると白色の乳液が出てくるが、この乳液が皮膚に付くとかぶれる。
花期は6月〜8月で、花序は茎頂に擬散形花序になることが多い。
しかし、上部で多数分枝して集散花序や擬散形花序を形成することもある。
茎頂の葉(総苞葉)は基部が丸く先の尖った狭披針形で、4〜7個付く。
そこから長さ数cmの散形柄が4〜7個出て、2個の杯状花序苞葉と無柄の杯状花序が付く。
黄褐色の4個の腺体が花弁のように並び、雄花(オシベのみ)が数個突き出る。
雌花は、長さ3〜5mmの柄の先に子房が付き、子房の表面には多くのイボ状の突起がある。
子房の中央に3個の花柱があり、中ほどまで2裂する。
なお、雌性先熟で、最初に雌花の花柱が先に開く。受粉すると柄が伸びて子房が外に倒れこむ。
その後、雄性期には雄花(オシベ)が伸び出し、4個の腺体も大きく開いて密を分泌する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道、沢入駐車場近くでタカトウダイを見かけました。
左端の写真では、黄褐色の腺体が鮮やかに並び、雄花が数個突き出しています。
その基部から3個の散形柄が伸び、その先にあるのが右端の杯状花序苞葉と杯状花序です。
この杯状花序は、雌花の花柱が伸びて外に倒れ込んでおり、受粉後で雄性期に入っています。
そのため、4個の腺体も大きく開き、黄色い雄花(オシベ)が伸び出しています。

ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オダマキ属>
 

     
キンポウゲ科オダマキ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、九州北部に分布する。
萼片が赤褐色のヤマオダマキが最も広範囲に分布するが、本州中部にはキバナノヤマオダマキが多い。
草丈は、50cm以上になり、地下には丈夫な根茎と太い根がある。
根出葉は2回3出複葉で、10cm以上の長い葉柄がある。各小葉は第1小葉が長く、第2小葉はその半分以下。
各小葉は長さ3cm程の扇形で、葉先が2〜3中裂し、各裂片の先は2〜3残裂する。
茎葉は、上部になると葉柄がなく、1回3出複葉になる。
花期は、6月〜8月で、茎の上部で枝分かれした花柄の上部に幾つかの花を付ける。
外側で大きく開いているのは萼で、その内側に黄色い花弁があり、外に飛び出した距とつながっている。
この萼や距が茶褐色のものがヤマオダマキで、黄色いものがキバナノヤマオダマキである。
ただ、その中間的なものも多く、両者を明確に区別することは難しい。
距は、徐々に細くなり、先端は小球状になる。
オシベ先熟で、オシベは多数ある。中心部は退化して膜状の仮オシベとなり、メシベを取り囲んでいる。
メシベは5個で、授粉後、萼片や花弁が落果すると、上向きに立ち上がり、果実となる。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、何ヶ所かでヤマオダマキが咲いていました。
キバナノヤマオダマキに近いのですが、距に茶褐色が残る中間型でしょうか。
ただ、ツボミを見ると萼にも茶褐色が残っており、ヤマオダマキに近い配色になっています。
開花した花では萼片の先端以外には茶褐色部は残っていません。色褪せるようです。


ヤマオダマキの花

       .
   <ヤマオダマキ>       <中間型>      <キバナノヤマオダマキ> .
ヤマオダマキの花色の違いです。中間型も多く、まとめてヤマオダマキとする説もあるようです。
ヤマオダマキとしたものは美ヶ原で、キバナノヤマオダマキとしたものは八ヶ岳自然文化園で見たものです。
中間型としたものは、ここ入笠山で見たものです。
ヤマオダマキとしたものも、萼片までもっと茶褐色のものがあり、中間型に近い配色です。
キバナノヤマオダマキとしたものは、茶褐色の所が全く見当たらないものでした。
こうやって見ると、どこからがヤマオダマキで、どこからがキバナノヤマオダマキなのか迷いますよね。


カラマツソウ(Thalictrum aquilegiifolium var. intermedium)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・カラマツソウ属>
   

 
キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、湿った日当たりの良い草地を好む。
草丈は1m前後になり、茎は中空で、緑色か紫色を帯び、上部でよく分枝する。
根生葉や下部の葉は、2〜4回3出複葉で、上部の葉は2回3出複葉になる。
小葉は長さ数cmの倒卵形で、3残裂する。裏面はいくぶん白くなり、葉脈が隆起する。
枝先に散房状に花序を付け、直径1cm程の花を多数付ける。
花色は白色から淡紅色で、花弁はなく、萼片も開花後、直ぐに落下してしまう。
オシベは多数あり、白い花糸は先が太いこん棒状。メシベは子房と柄が紅紫色。
痩果には広い翼があり、数mmの柄があって垂れ下る。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇や入笠山の花畑で、カラマツソウを見かけました。
咲いたばかりの花から、既に果実なったものまで、あちらこちらで見られます。
上段は、左から咲いて間もない花、オシベが落ち始めた咲き終わりの花、そして、果実です。

ウマノアシガタ(Ranunculus japonicus)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・キンポウゲ連・キンポウゲ属>
 
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、在来種。日当たりの良い山野に自生する。
日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
草丈は30〜60cmで、茎と葉裏には白い長毛があり、縦に筋が入って、上部でよく分枝する。
根出葉には長い葉柄があり、掌状の3〜5裂し、裂片はさらに数裂する。不揃いな鈍鋸歯がある。
上部の茎葉は、葉柄が短く、掌状に3深裂し、裂片は3中裂して鋸歯がある。
さらに上部の茎葉では、裂片は線形となり、縁も全縁となって鋸歯がなくなる。
花期は4月〜6月で、直径20oほどの黄色い光沢のある花を付ける。
花被片は5個で、多数のオシベがあり、花糸は長さ3mmほどで無毛。花後に、球状の集合果を付ける。
なお、花には八重咲のものがあり、これをキンポウゲと呼び分けている。

2019/8/1
大阿原湿原で見かけたウマノアシガタです。既に花期は過ぎ、ほんの少し残っているだけでした。
大阿原湿原の花はほとんどは終わり、一面をシダ(ヤマドリゼンマイ?クサソテツ?)やスゲが覆っています。
特にシダの瑞々しい黄緑色の葉が印象的ですが、これらに隠れるようにしてウマノアシガタ咲いていました。

クサボタン(Clematis stans)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・センニンソウ属>
 

 
キンポウゲ科センニンソウ属の半低木で、有毒植物。
茎は直立して1m程になり、冬には上部は枯れるが、木質化した基部は残る。
葉は対生し、1回3出複葉で、長い葉柄を持つ。小葉は3残裂し、不揃いな鋸歯がある。
茎の先や葉腋から集散状花序を付け、淡紫色の花を多数付ける。
淡紫色の細い鐘状のものは、花弁ではなく萼片で4枚ある。花弁はない。
萼片の基部は筒状で、先端から反り返って、巻き込むように徐々に開く。
基部まで開くと、オシベ、メシベが現れる。
ただ、両方の機能があるわけではなく、雄花と雌花に分化している。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、そのあちらこちらでクサボタンを見かけました。
ただ、登っているとき見かけたのは、まだ、ツボミが硬く、咲いているものには出会えませんでした。
駐車場へ下るときに、駐車場近くまで来て、石垣の上で花を咲かせている株に出会えました。
既に花弁が落ちたものもありましたが、見かけたのは花弁が少し捲れ上がった花だけでした。
この後、さらに巻き込みながら捲れ上がり、最後には基部まで裂けます

ホソバトリカブト(Aconitum sennanense)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・トリカブト属>
 


キンポウゲ科トリカブト属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の谷川山系、北アルプス北部、八ガ岳、南アルプス、日光白根山などに分布する。
亜高山帯〜高山帯の草地に生え、草丈は40〜100cmになる。
葉は互生し、長さ、幅とも5〜13cmで、3深裂し、裂片はさらに2〜3裂する。
さらに欠刻状に裂けて、最終裂片は線状披針形となり、先が尖る。
花期は8月〜9月で、花茎の上部に散房花序をなし、青紫色をした兜形の花を付ける。
この花弁に見えるのは5枚の萼片(頂萼片、側萼片2枚、下萼片2枚)である。
花の大きさは3〜4cmとやや小型で、上萼片の長さ2〜3cmになる。
膨らみのある2枚の側萼片は、オシベとメシベを抱くように付いている。
このオシベの基部から頂萼片の中に、2枚の花弁が伸び、丸まった距の中に蜜を分泌する。
そのため、花弁は外部から見ることはできない。
本種の特徴は、萼片の内外両面と縁、花柄に開出毛があり、オシベも有毛である点。
メシベは有毛の事も無毛の事もある。

トリカブトは、ドクウツギ、ドクゼリと並んで、日本三大有毒植物の1つである。
全草にアコニチンなどを含み、若芽がニリンソウと似て、混生する事があるので、誤食されやすい。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇、石垣の下の沢にホソバトリカブトを見つけました。
密生しているオタカラコウの間から、数本のホソバトリカブトが茎を出して、花を付けていました。
距離があるので、望遠レンズを使った撮影のみで、マクロでは撮影できませんでした。
見ている分には、変わった形ですが紫色の奇麗な花です。が、全総が有毒です。
時代劇で毒殺に使われる毒薬「ぶす」は、トリカブトの塊根を乾燥させて粉末にしたもの。
ちなみに、薬用としても使われ、その場合は「附子(ぶし)」と呼ばれています。
そのままでは毒性が強すぎるので、弱毒処理を行ってから使われるそうです。

タケニグサ(Adonis remosa)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・フクジュソウ属>

ケシ科タケニグサ属の多年草で、在来種。
日本では本州から四国、九州に分布し、日本以外では、東アジアに分布する。
荒れ地や空き地などに最初に見られるパイオニア植物の代表種で、草丈は1mを超える。
葉には大きな切れ込みがあり、裏面は細毛があり白っぽく見える。
茎の先に円錐花序を付け、小花をたくさん付ける。
花には花弁はなく、ツボミの時に白く見えているのは、2枚の萼。
開花と共に萼も落ち、多数の細いオシベが目立つ。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、1ヶ所だけですがタケニグサを見かけました。
1ヶ所と言っても、10本以上茎を立ち上げており、そこそこの存在感はありました。

フジウツギ(Buddleja japonica Hemsl.)
<ゴマノハグサ目・フジウツギ科・フジウツギ属>
   
フジウツギ科フジウツギ属の落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州の東北地方〜兵庫県の太平洋側、四国の渓流沿いや荒地に自生する。
※ 四国、九州、南西諸島には、小型のコフジウツギが、
  九州南部、南西諸島には、葉裏に軟毛が密生するウラジロフジウツギが分布する。
樹高は1〜2mで、茎の断面は四角形で稜がある。茎は2年目に木質化して褐色になる。
葉は十字対生していて、水平に伸びる枝では、茎がよじれて対生のように葉を水平にしている。
葉身は、長さ8〜20cmの披針形〜長楕円形で、先は鋭く尖り、縁には低い鋸歯がある。
花期は7月〜9月で、茎頂に長さ10〜30cmの穂状花序を出し、紅紫色の花を一方に偏って付ける。
花は基部から順次咲き進むが、同時に咲く花数はそれほど多くない。
花冠は、長さ15〜18mmの淡紫色の筒状で湾曲し、先が4裂する。花冠の外側は星状毛が密生する。
オシベ4個は、筒部の基部から1/4ほどの所にある。花序の軸や萼には淡褐色の毛が密生する。
果実は、長さ1cm前後の長卵形で、秋に褐色に熟し、2裂する。
枝葉はサポニンの一種を含み有毒で、これを砕いて水に入れると魚が浮き上がるので「酔魚草」という。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇で、やたらと細長いピンクの花を見かけました。
始めてみる花でしたので、後で調べて、フジウツギの花と分かりました。
この茎葉をすりつぶし、川に流して魚を取っていたんですね。近年まで沖縄などで行われていたそうです。

クリンソウ(Primula japonica)
<サクラソウ目・サクラソウ科・サクラソウ属>
   
サクラソウ科サクラソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国に分布する。海外では台湾に分布する。
草丈は30〜90pになり、日本に自生するサクラソウ科の中では、最大種です。
根茎は短く、分枝して株を作り、春先に発芽して根生葉をロゼットに付ける。
葉は、長さ20〜40pのへら型で、柔らかく無毛で、表面にしわが多い。
葉の縁には、小さな不揃いな歯牙が多数ある。
花期は4月〜6月で、中心から高さ40〜80pの花茎を直立させ、多数の花を数段輪生する。
萼は細い盃状で、中ほどまで5裂し、裂片は鋭く尖る。
花冠は直径25oほどで、5深裂し、各々の裂片は浅く2裂する。オシベは5個ある。
花色は、基本は紅紫色であるが、淡紅紫色、白、絞りなどの変種もある。
なお、和名は花が数段に輪生する様が、仏閣の屋根にある九輪に似ることに由来する。

2019/8/1
沢入駐車場から大阿原湿原へ向かう車道脇の沢で、草に埋もれるように1本だけ咲いていました。
この辺りのクリンソウは、この花のように紅紫色のものだけだそうです。
春の花なので、この時期に出会えるとは思ってもいませんでした。









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