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早春の利尻島と礼文島を巡る旅で見かけた動物



早春の利尻島と礼文島を巡る旅で見かけた動物たちです。


カツオドリ目
ウ科(ウミウ)
キツツキ目
キツツキ目(エゾアカゲラ、エゾオオアカゲラ、クマゲラ)
チドリ目
カモメ科(ウミネコ、オオセグロカモメ)
ネコ目
イヌ科(キタキツネ)
鯨偶蹄目
ウシ科(乳牛)
シカ科(エゾジカ)
早春の利尻島と礼文島を巡る旅で見かけた動物
和名インデックス



ウミウ(Phalacrocorax capillatus)
<カツオドリ目・ウ科・ウ属>

ウ科ウ属の鳥で、在来種。
日本では、九州以北の海岸で局地的に繁殖し、繁殖地付近では留鳥として周年で見られる。
それ以外の海岸には越冬のため冬鳥として飛来し、南西諸島でも確認されている。
海外では、ロシア南東部、朝鮮半島から中国東部に分布する。
全長は90cm前後、翼開長は150cmほどになる。全身を緑色の光沢がある黒い羽毛に覆われる。
クチバシの色は黒味のある黄色で、クチバシの基部周囲は羽毛がなく、白と黄色の皮膚が露出する。
露出した皮膚の黄色部は三角形状で尖り、この形状がカワウとの識別点となる。
夏羽は、頭部と大腿部に白い羽が生え、腰部に白い斑紋が入る。
食性は雑食性で、夏場は主に小型の昆虫などを捕食し、冬場はしょくぶつのしゅしや果実を食べる。
繁殖期は動物食で、主に魚類を食べる。

2018/5/11
稚内港を礼文島に向かった出港した際、港の中で見かけたウミウです。
どこからからか飛来して、フェリーからはかなり遠い所に着水しました。

ウミネコ(Larus crassirostris)
<チドリ目・カモメ亜科・カモメ科・カモメ属>
 

   
カモメ科カモメ属の鳥で、在来種。
日本では、全国に留鳥として生息するが、冬季に本州北部以北で繁殖する個体は、南下することが多い。
海外では、ロシア南東部、朝鮮半島から中国東部、台湾に分布する。
体長は46cm前後で、翼開長は125cmほどになる。
頭部や体下面の羽衣は白く、体上面の羽衣は黒灰色である。翼上面は黒灰色。
尾羽も白いが内側尾羽10枚の先端付近が黒い。初列風切先端は黒く、先端に白い斑紋が入る個体もいる。
クチバシは太く頑丈で、色は黄色。先端が赤くその内側に黒い斑紋が入る。後肢の色は黄色。
夏季、夏羽では頭部から頸部にかけての斑紋が無く、冬季の冬羽では淡褐色の斑点が入る。
幼鳥は全身が灰褐色の羽毛で被われ、羽毛の外縁が淡褐色。初列風切の色は褐色。クチバシの色は黒い。
生後3年で性成熟すると考えられているが、生後4年で成鳥羽に生え換わる。
食性は雑食で、魚類、両生類、昆虫、動物の死骸などを食べる。

2018/5/11
上段は、礼文島の須古頓岬の岩礁で見かけたウミネコです。岩場などで営巣していました。
下段は、利尻島のオタトマリ沼で見かけたウミネコです。かなり近くまで飛んできてくれました。
黄色い肢と尾羽に黒い帯模様が確認できます。翼端には白い斑がありません。
右端はその1カットですが、何を思ったのか飛んでいる最中に頭部が上を向いています。
エクソシストの首がぐるっと後ろに回るシーンを思い出してしまいました。

オオセグロカモメ(Larus schistisagus)
<チドリ目/カモメ亜科・カモメ科・カモメ属>
 

 
カモメ科カモメ属の鳥で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する留鳥。
海外では、朝鮮半島から中国北東部、ロシア南東部に分布し、冬季に中国北東部飛来し越冬する。
体長は60cm前後で、翼開長は150cmほどになる。
頭部や胴体下面は白い羽毛で被われ、尾羽も白い。背中や翼上面は青みがかった暗灰色の羽毛で被われる。
風切羽は黒く、先端に白い斑紋が入る。後肢の色はピンク色。
クチバシの色は黄色で、太くて長い。下クチバシの先端近くに赤い斑紋が入る。
食性は雑食で、魚類、昆虫、甲殻類、軟体動物、環形動物、動物の死骸などを食べる。

2018/5/11
上段は、仙法志御崎公園の岩礁で見かけたオオセグロカモメです。
その内の1羽が、駐車場でパンの移動販売をしていた人の近くをうろうろしていました。
近づくと逃げるのですが、クルっと一回りして、直ぐに戻ってきます。
おそらく、パンの切れ端などを貰えるのでしょう。パン屋さんから離れません。
下段は、その先にあった人面岩で見かけたオオセグロカモメで、営巣が確認できます。

   
2018/5/11
上記は、その人面岩の所で起こった出来事です。
運転手さんがバスを止めてくれたので、みんなで人面岩を見ていた時のことです。
オオセグロカモメ2羽が求愛行動のヘッドトッシング(メスが頭を持ち上げて嘴を空に向けて鳴く)をしていました。
と、次の瞬間、オスがメスの上に飛び乗ったのです。それを見て、バスの中は大盛り上がり。
バスガイドさんも交尾と間違えたのか、大慌てでした。

   
2018/5/11
鴛泊港のホテルに到着した後、港の上空を舞っていたオオセグロカモメです。
左端の個体は幼鳥で、全身の羽毛が白ではなく灰褐色で、クチバシも黄色ではなく黒色です。
中央と右の個体は成鳥で、全身の羽毛が白く、クチバシが黄色です。
ウミネコと異なり、尾羽が白一色で、黒い帯模様はありません。翼端に白い斑が見られます。


カモメの見分け方

セグロカモメとオオセグロカモメは大型種、ウミネコとカモメは中型種で、体長が20cmほど違います。
しかし、見かけがよく似ているので、見分けるのは慣れないと難しいです。

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       .
<オオセグロカモメ>       <セグロカモメ>          <ウミネコ>  .

カモメの写真はないのですが、これらの大まかな見分け方は以下の通りです。
1つは、後脚の色で、オオセグロカモメとセグロカモメはピンク色。一方、カモメとウミネコは黄色です。
オオセグロカモメとセグロカモメとの違いは、背中の色で、色が濃い灰色なのがオオセグロカモメです。
従って、飛翔している所を下から見ても、両者を区別することができません。
ウミネコとカモメとの違いも、背中の色で、ウミネコは濃い灰色、カモメは灰色です。
背中の色の濃さは、オオセグロカモメ(暗灰色)>ウミネコ(濃灰色)>セグロカモメ、カモメ(灰色)の順です。
クチバシにも違いがあり、オオセグロカモメとセグロカモメは黄色で、下クチバシの先に赤い斑があります。
ウミネコのクチバシは黄色で先に赤と黒の班があり、カモメは黄色い短めのクチバシで、淡い黒斑があるだけです。
ウミネコと他の3種との大きな違いは、尾羽に黒い帯模様がある事で、他の3種にはありません。
そのため、飛翔しているとき、尾羽に黒い帯模様があれば、それはウミネコということになります。


キタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)
<ネコ目・イヌ科・イヌ亜科・キツネ属・アカギツネ種>
 
イヌ科キツネ属の哺乳動物で、在来種。北半球に広く分布するアカギツネの亜種である。
日本では、北海道と周辺島嶼に生息する。海外では、樺太に生息する。
本州、四国、九州に生息するホンドギツネよりもやや大きく、体長77cm前後、尾長42cm前後ある。
体色は淡褐色で、腹側は白く、フサフサした尾の先端も白い。耳の裏と四肢の足首の部分が黒い。
食性は雑食性で、ネズミやエゾユキウサギ、鳥類、昆虫などを主に食べるが、秋には果実や木の実も食べる。
土手などに巣穴を掘り、春先に子供を産み、秋にかけて雌が育てる。雄は単独で行動し、子育てはしない。
キタキツネは、寄生虫のエキノコックスの終宿主となることがあり、身体に触れることや糞便にも注意が必要。

2018/5/10
宗谷岬から旭川空港に向けて出発した直後、宗谷村近くの道路脇でたたずんでいたキタキツネです。
前席の方が見つけ、バスガイドさんからアナウンスがあったのですが、その時には通り過ぎていました。
幸い、後席に居たので、後ろの窓から撮影できました。見送るように、こちらをじっと見つめていました。

エゾジカ(Cervus nippon yesoensis)
<鯨偶蹄目・ウシ亜目・シカ科・シカ属>
 
2018/5/10                  2018/5/12
シカ科シカ属に分類されるニホンジカの亜種で、北海道に生息するシカの一種。
日本では、以前は雪の少ない道東・道北の一部に限定的に生息していたが、現在は北海道全域に分布する。
頭胴長140〜180cm、尾長は約13cm、体重は雄で90〜140kg、雌で70〜100kgになる。
体毛は夏毛が茶色、冬毛が灰褐色で、臀部後面は季節を問わず白色である。
角はオスのみが有し、他のニホンジカの亜種よりも大きく立派になる。
角は毎年4月〜5月に落角し、その後に短毛が密生する袋角が生え、9月頃には堅い石灰質の角に成長する。
一夫多妻制で、雄は縄張りの中にハレムをつくるが、他のニホンジカ亜種よりも明確なハレムをつくる。

2018/5/10 旭川空港からサロベツ湿原に向かっている途中、べこちちFACTORYの近くで見かけました。
エゾジカが3頭、道路脇で草を食んでいました。角がないのでメスばかりのようです。
その内の1頭が、こちらの方をじっと見つめていました。
2018/5/12 宗谷岬から旭川空港に向かっている途中、宗谷村近くの道路脇で見かけました。
ミズバショウの咲く湿地の中に、メスジカが1匹、こちらの方をじっと見ていました。
きっと、野生のシカなので、警戒心が強いのでしょう。

 
2018/5/10
ふと遠くを見ると、牧草地の外れ、林縁の辺りに20頭ほどのエゾジカの群れがいました。
体色が黒褐色のエゾジカと淡褐色のエゾジカが混じっています。
黒褐色のエゾジカには角(まだ短い袋角です)が見られ、淡褐色のエゾジカには角が見られません。
冬毛と夏毛の違いかと思ったのですが、鹿の子模様が見られないので、どちらも冬毛のようです。
となるとオスが黒っぽいのは、昨年の「ぬた」打ちの名残なのでしょうか。


乳牛(Bos taurus)
<鯨偶蹄目・ウシ亜目・ウシ科・ウシ族・ウシ属・オーロックス種>
 
2018/5/10                  2018/5/12
明治時代から日本に輸入されている乳用種で、原産地はオランダからドイツのホルスタイン地方。
正式名にはホルスタイン・フリーシアン種であるが、日本では省略してホルスタイン種と呼んでいる。
毛色は黒と白の斑紋が普通であるが、茶と白の斑紋のものもいる。
大きな身体に乳房が発達していて乳量が多く、世界中で最も多く飼われている。
ミルクの産乳能力は年間6,000〜8,000kgと極めて高く、しかも、乳用牛としては産肉性も高い。
性格は優しく、寒さに強くて暑さに弱い体質。

2018/5/10,12
行きと帰りに通ったべこちちFACTORYの牧草地で見かけたホルスタイン種です。
行きは、奥にエゾジカがいる手前の方で、10頭ほどがゆったりと寝そべっていました。
帰りも、エゾジカから少し離れた所を、ファームの方へトコトコと移動していました。
今回の旅行では、牛を見かけたのはこのファームだけで、後は広々と牧草地が広がっているだけでした。
バスガイドさんが5月下旬位から放牧が始まると言っていましたので、数週間後にはあちこちで見られるかも。

<キツツキの食痕>

 

クマゲラ(Dryocopus martius martius)
<キツツキ目・キツツキ亜目・キツツキ下目・キツツキ科・キツツキ亜科・クマゲラ属>
キツツキ科クマゲラ属に分類される鳥で、日本に分布するキツツキ科の中では最大種。
日本では北海道から東北北部に分布し、国の天然記念物に指定されている。
海外ではヨーロッパ、イラン北部、中国北東部と南西部、ロシア、モンゴル北部、トルコの一部に分布する。
全長45〜57cmで、体重は200〜400g。全身は黒い羽毛で被われ、冠羽がある。
オスは頭頂から後頭にかけて、メスは後頭のみ赤い羽毛で被われる。
主にアリを食べるがその他の昆虫、果実も食べる。

エゾアカゲラ(Dendrocopos major japonicus)
<キツツキ目・キツツキ亜目・キツツキ下目・キツツキ科・キツツキ亜科・アカゲラ属>
キツツキ科アカゲラ属に分類される鳥で、北海道(利尻島、南千島)に分布するアカゲラの亜種。
アカゲラは、ヨーロッパ、ロシア、朝鮮半島から中国北東部、モンゴル等に多くの亜種が分布する。
全長は23cm前後、翼開長は40cm前後、体重は80g前後の中型のキツツキ。
背は黒く、肩羽先端が白くて、腹部や尾羽基部下面(下尾筒)は赤い羽毛で覆われる。
翼は黒く、中雨覆や大雨覆に白い斑紋が入る。後頭は、オスが赤い羽毛で覆われ、メスは黒い。

エゾコゲラ(Dendrocopos kizuki ijimae)
<キツツキ目・キツツキ亜目・キツツキ下目・キツツキ科・キツツキ亜科・アカゲラ属>
キツツキ科アカゲラ属に分類される鳥で、日本に生息するキツツキの中ではもっとも小さい。
日本では、ほぼ全国の亜寒帯針葉樹林から亜熱帯照葉樹林まで広く分布する。
海外では、ロシア南東部、サハリン、朝鮮半島北部、中国東北部など、限られた地域に分布する。
体長15cmほどで、スズメと大差ない大きさしかない。
羽色は、はっきりした灰褐色と白のまだら模様で、胸腹部は白と淡褐色のまだら模様。
なお、日本では9亜種の記録があり、北海道、南千島に分布するのがエゾコゲラ。

2018/5/11
姫沼の畔で枯れた木が所々に見られましたが、多くがキツツキの食痕である穴だらけでした。
利尻島で見られるのは、大型のクマゲラ、中型のエゾアカゲラ、小型のコゲラが多いようです。
ガイドさんの話では、クマゲラやエゾアカゲラなどの食痕とのこと。
穴の大きさは大小様々で、その穴も日の経った古いものと、右上の様に新しいものも見られます。
枯木には、いろいろな昆虫の幼虫などが住み着いているので、良い餌場なのでしょう。
残念ながら、キツツキを見ることも、ドラミングの音なども聞くことができませんでした。









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