早春の利尻島と礼文島を巡る旅
2日目 インデックス |
礼文島 澄海岬へ
礼文島に着き、まずはバスで澄海(スカイ)岬へ向かいました。
駐車場でバスを降り、最初にバスガイドさんから説明があったのがアキタブキです。 北海道の自生種であるアキタブキは、茎が赤みを帯びていて、灰汁が強いので食用にはしないそう。 サハリンから持ち込まれたアキタブキは、茎が緑色で、灰汁が弱いので、こちらを食べるそうです。 そのため、外で見られるものは茎が赤く、家で栽培されているのは茎が緑色をしているとのこと。 と、一通り説明があって、いよいよ、高台までの数十段の階段を上ります。 その途中に、キジムシロ、エゾイヌナズナ、イワベンケイ(まだ、ツボミ)などが見られました。 高台から見える湾は波があまりなく、澄んでいて海底の様子が良く見えました。 高台の方では、キバナノアマナやエゾエンゴサクなどが花を付けていました。 左の写真には、係留された稚内海上保安部に所属する2隻の巡視船と、その後ろに北防波堤ドームが見えています。 右の写真には、稚内港の全景が見えており、バックの丘の上に「稚内市開基百年記念塔」が見えています。 丘の標高は170m、記念塔の高さは80mあり、塔の塔頂部は海抜250mになるそうです。 塔には展望室が70mの所にあり、天気が良ければ利尻島、礼文島、さらに樺太も見えるそうです。 外海に出て、2時間近い単調な航海になったので、横になっている内に眠ってしまいました。 <利尻島> <礼文島> はっと、目が覚めたときには礼文島は目の前に近づいていました。 雲で高い所は見えませんでしたが、左舷に利尻島、右舷に礼文島が見えました。 既に礼文島になかなり近づていたため、全体を見ることができず、見える部分も2分割となってしまいました。 上段は利尻島で、なだらかな裾野と利尻岳に残る残雪が少し見えています。右側は左舷からは見えませんでした。 下段が礼文島で、左側が2つに分かれたカニの爪のような岬の方です。島の左側は右舷からは見えませんでした。 船の後方は視界が撮れるのですが、前方には外に出られる所がなく、全景は撮れませんでした。 礼文島の香深港に着きました。どんよりとした空模様ですが、視界はかなりよさそうです。 稚内からここまで運んでくれたフェリー、フィールズ宗谷です。 下りて間もなく、港で待っていたバスに乗り込み、早々と澄海岬へ向けて出発です。 海岸線から離れ、山中に入ると一面が笹で覆われた丘陵に出ました。 この辺りにレブンアツモリソウの群生地があるようですが、まだ、開花時期ではないのでスルーです。 丘陵地から下った所が澄海岬の駐車場で、ここから階段を数十段上って高台に出ると湾全体が望めます。 入り組んだ入江は波が少なく透明度も高いので、澄んだライトブルーの海と海底のコンブなどが良く見えました。 <キジムシロ> <キバナノアマナ> <エゾイヌナズナ> <エゾオオバコ> <エゾエンゴサク> <イワベンケイ> 階段を上る途中や高台の上などで、あまり多くはありませんでしたが上記が咲いていました。 イワベンケイもあちらこちらで茎を立ち上げて、ツボミをたくさん付けていましたが、咲くのは少し先のようです。 ※ これらの花の詳細については、こちらを参照ください。 |
礼文島 須古頓岬へ
澄海岬を後にして、最も北にあるカニの爪の先っぽ、須古頓岬へ向かいました。
宗谷岬に最北端を譲ったので、現在は礼文島の最北限の地となっています。 ここでは風が強く、薄いダウンを2枚重ねでちょうど良いくらいの寒さでした。 岬の先に見える島は、トド島と呼ばれたトドの生息地でしたが、駆除されてほとんどいなくなったそうです。 実際には、この島が最北端を宗谷岬の先の島と争って破れ、最北端の呼称を譲る結果になったようです。 岬の周りには岩礁が多いのですが、ここにウミネコがたくさん住み着いているようで、糞で白くなっていました。 岬の周りには岩礁が多いのですが、岬から続く岩礁の先にあるトド島には、冬にトドが集まっていたそうです。 現在は、漁業害獣として駆逐が進み、ほとんどいないそうです(他に移動したそう)。 以前は、この島にも季節には漁師の方が住んで作業をしていたそうですが、今は無人だそうです。 須古頓岬の近くには岩礁が多いのですが、一部の岩礁はウミネコが住み着いて、糞で白くなっています。 また、岩場には多くのウミネコが巣を構え、繁殖地にもなっているようです。 |
利尻島 姫沼へ
港に戻って昼食後、フェリーで利尻島に向かいます。礼文島は相変わらず雲に覆われたままでした。
利尻島が見え始めたときは、朝と同じように雲に覆われ、すそ野が見えているだけでした。 しかし、さらに港に近づくと、雲が晴れて利尻岳の雄姿が、その全貌を現しました。 この後、島を1周する間、一時、雲が出ましたが、その姿を常に見せてくれていました。 バスガイドさんの話では、こんなに見える時は少なくいそうで、大変ラッキーだとのことです。 鴛泊港からバスで姫沼に向かいます。湖面が静かで逆さ利尻岳(利尻富士)が見られる所です。 きれいに利尻岳が見えていましたが、期待通りの見事な逆さ利尻富士を見ることができました。 フェリーから利尻島が見え始めた頃は、利尻岳の上部は雲で隠れて見えていませんでした。 それが、利尻島に近づくにつれ、雲が晴れ上がってきて、山容がはっきりと見えてきました。 鴛泊港に入港する際には、船の正面に利尻岳が薄雲の中、その山容をはっきりと見せてくれました。 着岸後、直ぐに待っていたバスに乗り、姫沼に向かいました。 姫沼は、湖面が波立つことが少なく、逆さに写る利尻岳が見られる場所として有名です。 この日は、良く利尻岳が見えていたので、期待して姫沼の方に行くと上記の通りでした。 ご覧通り、逆さ富士ならぬ、逆さ利尻富士の絶景です。 姫沼は1周しても20分ほどなので、ぐるりと回ってきました。 所々にビュースポットがあり、利尻岳が望めますが、湖面に写る所はありませんでした。 <ヒトリシズカ> <オクノカンスゲ> <マイヅルソウ> 姫沼に着くまでの間に、いくつかの野草に出会いました。 駐車場の近くで見かけたのが、ヒトリシズカとオクノカンスゲです。 ヒトリシズカは開花まであと一歩で、オクノカンスゲは花茎の先にある雄小穂が開花していました。 姫沼の畔に着いたとき、その近くでマイヅルソウが群生していましたが、まだ、ツボミでした。 <ヒメイチゲ> <ザゼンソウ> <エンレイソウ> <ナニワズ> <エゾエンゴサク> <ツバメオモト> 姫沼を1周する際、いろいろな高山植物に出会えました。 次に姿を見せたのはザゼンソウです。この後も多々見られましたが、ここにはミズバショウは見当たりませんでした。 その近くでエンレイソウが赤褐色の花を咲かせていました。ここではオオバナノエンレイソウは見当たりませんでした。 下段に行って、次に目についたのはナニワズの黄花でした。見かけたのはこの1本だけです。 エゾノエンゴサクも所々で見かけました。この花には、セイヨウオオマルハナバチなどに盗蜜された穴が見られます。 ツバメオモトも1ヶ所だけでしたが、花茎の先のツボミが白く見え、咲くのはもうすぐのようでした。 ※ これらの花の詳細については、こちらを参照ください。 姫沼の畔には、枯れた木が所々に見られましたが、多くが穴だらけです。 ガイドさんの話では、クマゲラやエゾオオアカゲラなど、大型のキツツキによる食痕とのこと。 穴の大きさは大小様々で、その穴も日の経った古いものと、右上の様に新しいものも見られます。 枯木には、いろいろな昆虫の幼虫が住み着いているので、良い餌場なのでしょう。 |
利尻島 オタトマリ沼へ
姫沼を後にして、島の反対側にあるオタトマリ沼に向かいます。
オタトマリ沼に着いたときには見えていた利尻岳ですが、しばらくすると薄雲がかかり始めました。 このまま雲の中に入ってしまうのかと思ったのですが、また、風が雲を飛ばしてくれました。 1周する時間はなかったので、近くを散策したとき、たくさん咲いているキバナノアマナに出会いました。 オオバナノエンレイソウも見られましたが、咲くのはもう少し先になりそうでした。 着いたときには雲はなかったのですが、しばらくして左からの風に流されて雲が流れ込んできました。 ここにはウミネコが数十羽いて、この沼に吹く風に乗って飛び回っていました。 オタトマリ沼は大きくて遮るものが少ないのでさざ波があり、姫沼の様にきれいに利尻岳は写り込みません。 写真に撮るとある程度写って見えますが、常に動いているので肉眼では良く見えません。 なお、オタトマリ沼に突き出した通路脇には、ダイサギも1羽混じっていて、盛んに歩き回っていました。 <オタトマリ沼より> <姫沼より> この方角からの利尻岳は山頂が鋭く尖って、荒々しい姿を見せていました。 一方、右の姫沼から見た利尻岳は、丸みのある優美な姿をしており、全く趣が異なります。 <オオバナノエンレイソウ> <キバナノアマナ> <オオウバユリ> . 1周するほどの時間はなかったので、近場を少し散策しました。その時に出会った花です。 散策路を少し進んだところに、オオバナノエンレイソウが大きなツボミを付けていました。 来る途中の道路脇では、白い花をたくさん咲かせていましたが、標高のためかここではツボミでした。 駐車場近くに戻った時、空き地でキバナノアマナがたくさん花を付けていました。 その脇では、オオウバユリが新葉を展開していました。赤褐色の葉脈が目を引きます。 ここでは、アキタブキのフキノトウもまだ開花したばかりです。下とは気温差があるのでしょう。 ※ これらの花の詳細については、こちらを参照ください。 |
利尻島 仙法志御崎公園から鴛泊港へ
オタトマリ沼を後にして、仙法志御崎公園に立ち寄りました。ここにはコンブの加工場があります。
いろいろな種類があり、良心的な対応がされているとかで、コンブを買うならここでとのこと。 海岸線は岩礁地帯で、その岩礁にオオセグロカモメがいました。近くには営巣している所もありました。 買い物も一段落したところで、一路、宿泊先である鴛泊港に戻りました。 港でも、利尻岳は晴れた夕暮れの空にくっきりとその姿を見せていました。 残念ながら夕食の時間になってしまい、夕日に染まるその姿は見ることができませんでしたが、 夕食後、港からはとっぷりと暮れた青黒い空に、利尻岳が残雪の残る山容を見せていました。 オタトマリ沼から仙法志御崎公園に向かう海岸線は、風上のために波が高く、大きな白波が立っていました。 左の写真はその途中にあったもので、ニシンを一時保管した場所だそうです。 ニシンが豊漁だった頃、船に上げきれなかったニシンを、この生簀に一時保管したとのこと。 岩礁地帯に打ち寄せる波は荒々しく砕け、波しぶきを上げていましたが、そこにもオオセグロカモメがいました。 いく分霞んではいますが、利尻岳の尾を引くような稜線が見られるのはここだけとのこと。 このなだらかな稜線が、利尻富士と言われる理由の1つではと思います。 仙法志御崎公園近辺も岩礁地帯で、荒々しく波が砕けるこの岩礁にもオオセグロカモメがいました。 そんなオオセグロカモメですが、駐車場に来ていたパンの移送販売車の近くを1羽がウロウロしています。 近づくと逃げるのですが、クルっと一回りして、直ぐに戻ってきます。 おそらく、パンの切れ端などを貰えるのでしょう。パン屋さんから離れません。 仙法志御崎公園から鴛泊港に戻る途中、2つの奇岩が紹介されました。 左は熊の頭部で、右はアイヌの人の頭部だそうですが、そのように見えますでしょうか。 熊の方は2つの見方ができ、上部に突き出した岩に2つの耳と目、その先が鼻と口に見えます。 もう1つは、上部に突き出した岩が耳で、右の方に突き出た鼻と、その手前が開いた口に見えるというものです。 アイヌの人の頭部は、民族的な紐が巻かれているので分かりやすいですね。 堀の深い目と鼻が見て撮れます。でも、ウミネコの住処になっているようで、営巣も確認できます。 運転手さんがバスを止めてくれたので、みんなで人面岩を見ていた時のことです。 オオセグロカモメ2羽が求愛行動のヘッドトッシング(メスが頭を持ち上げて嘴を空に向けて鳴く)をしていました。 と、次の瞬間、オスがメスの上に飛び乗ったのです。それを見て、バスの中は大盛り上がり。 バスガイドさんも交尾と間違えたのか、大慌てでした。 その海岸沿いの岩礁の合間、少し波の穏やかな所には、リシリコンブが顔を出していました。 波打ち際の手が届きそうなところに、リシリコンブが波に揺られて浮いています。 でも、手を出したら手が後ろに回る事になります。取ることができるのは許可証を持つ漁業関係者のみです。 右の写真は、礼文島のリシリコンブの様子で、ここと同じように岸近くで見られました。 2018/5/11 17:52 2018/5/11 18:28 2018/5/11 19:42 間もなくして鴛泊港のホテルに到着。港の直ぐ近くで、その先に利尻岳が良く見えていました。 上段はホテルに着いたとき(17:52)で、中段は夕食の直前(18:28)に撮ったものです。 夕日に染まる所を見たかったのですが、食事が始まってしまうので断念しました。多少、赤みを帯びています。 下段は夕食後(19:42)に撮ったものですが、三脚がなかったので2秒露出は大変でした。 |