ホーム旅の見聞録昇仙峡−昼神温泉−千畳敷カール ドライブ>駒ケ岳 千畳敷カールの高山植物T


駒ケ岳 千畳敷カールの高山植物T



駒ケ岳 千畳敷カールの遊歩道を、散策中に見かけた高山植物や低木をまとめたものです。

既に旬を過ぎたものもありましたが、コバイケイソウがこれでもかと言わんばかりに咲き誇っていました。
コバイケイソウ以外にも、多くの高山植物があちらこちらで顔を見せていました。



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
イネ目
カヤツリグサ科(ミヤマアシボソスゲ)
キク目
キク科(クロトウヒレン、ウサギギク、ミヤマアキノキリンソウ、ヤマハハコ、コウゾリナ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、モミジカラマツ)
シソ目
ハマウツボ科(エゾシオガマ、ヨツバシオガマ)
セリ目
セリ科(ミヤマシシウド、ミヤマウィキョウ)
ツツジ目
イワウメ科(コイワカガミ)
ナデシコ目
タデ科(ムカゴトラノオ、オンタデ、タカネスイバ)
ナデシコ科(イワツメクサ)
駒ケ岳 千畳敷カールの高山植物
和名インデックス


ミヤマアシボソスゲ(Carex scita)
<イネ目・カヤツリグサ科・スゲ属>
   
カヤツリグサ科スゲ属の多年草で、日本固有種。
日本では本州(八ケ岳、南アルプス、中央アルプス、木曽御嶽)に分布する。
花序は葉より長く伸び、先に幾つかの花穂を付ける。
花穂の内、先端に付く小穂は雄性。
その下部に付く側小穂は雌性で、長い花柄があり垂れ下る。

2013/8/7
千畳敷カールの下部、「剣ヶ池」の近くで見かけました。
いくつかの株が寄り集まり、多くの花穂を伸ばしていました。
クロトウヒレン(Saussurea nikoensis var. sessiliflora)
<キク目・キク科・アザミ亜科・トウヒレン属>
   
キク科トウヒレン属の多年草で、亜高山や高山の草地に生育する。
日本では、本州の東北地方南部から中部地方にかけての日本海側に分布する。
名前の通り、球形の総苞が黒紫色で、アザミのような赤紫色の花を咲かせる。
アザミの仲間とは異なり、茎や葉にはとげがない。

2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇でときどき見かけました。
最初、真っ黒な総苞が花に見えたのですが、良く見るとまだツボミだと分かりました。
後で調べて本種と分かったのですが、花が咲くのはもう少し後になるようです。
ウサギギク(Arnica unalascensis var. tschonoskyi)
<キク目・キク科・キク亜科・ウサギギク属>
   
キク科ウサギギク属の多年草で、在来種。亜高山帯から高山帯に分布する。
日本では、本州中部以北、北海道、千島列島に分布する。
海外では、アリューシャン列島に分布する。
根元の葉はへら形で、単一の茎を伸ばす。茎には葉が対生に付く。
ウサギギクの名は、この葉の形がウサギの耳に似ることによる。
茎の先に、直径4〜5cmの黄色い花を一輪付ける。

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道の千畳敷駅よりの遊歩道脇で見かけました。
比較的大きな黄色い花なので、良く目立ちます。
ミヤマアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leiocarpa)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・アキノキリンソウ属>
   
キク科アキノキリンソウ属の多年草で、在来種。
亜高山帯から高山帯の草地、礫地に生育する。
平地で見られるアキノキリンソウの高山型。
日本では、北海道から本州の中部地方以北に分布している。
海外では朝鮮半島、中国、ロシア、フィリピン、ベトナム、インドに分布している。
頭花は頂部に固まって付き、直径は15mm程。総苞片は5列前後で、先がとがる。

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道の千畳敷駅よりの遊歩道脇で見かけました。
花は小さいですが、黄色い花が頂部に固まっているので、目立ちます。
ヤマハハコ(Anaphalis margaritacea)
<キク目・キク科・キク亜科・ハハコグサ連・ヤマハハコ属>
   
キク科ヤマハハコ属の多年草で、在来種。
山地帯〜高山帯の日当たりのよい草地に自生する。
日本では、北海道から本州の長野県および石川県以北に分布する。
海外では、中国、ロシア、インド、ネパール、北アメリカに広く分布する。
地下茎を延ばして増え、全体に白色の綿毛で被われる。
葉は互生し、長さ5〜10cm、葉幅は10mm前後で、標高が高いほど葉幅は広くなる。
葉の表面はつやのある緑色で、裏面は灰白色の綿毛が密生し、全縁でやや裏面に巻き込む。
雌雄異株で、頭花は茎頂に散房状に付き、白い花弁のようなものは総苞片で、黄色い部分が花。
なお、雌株の筒状花は星形の花冠は目立たずメシベの花柱が糸のように細く伸びている。
一方、雄株の筒状花は星形の花冠がはっきり見え、伸び出した葯筒が見られる。

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道の千畳敷駅近くで見かけました。
見た目は、大型のハハコグサに近いですが、白い総苞片が目立ちます。
ほとんどの株が、まだ、開花しておらず、一部でやっと開花が始まった程度でした。
コウゾリナ(Picris hieracioides subsp. japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・コウゾリナ属>
   
キク科コウゾリナ属の越年草で、在来種。低地から山地の草地に生育する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、サハリン、中国に分布する。
草丈は数十cmになり、茎頂で枝分かれして、直径3cm程の黄色い頭花を付ける。

2013/8/7
千畳敷カールへのバスへの乗り継ぎ場所で見かけました。
最初、カンチコウゾリナではと思ったのですが、総苞に黒味が全く見られず、本種としました。
ハクサンイチゲ(Anemone narcissiflora var. nipponica)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・イチリンソウ属>
   
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、日本固有種。高山植物の代表種。
日本では、北海道から本州中部以北に分布している。
亜高山帯から高山帯の湿った草原に生育し、雪渓が解けた跡に群生が見られる。
茎頂の長い花柄の先に数個の直径3cm程の花を付ける。
なお、白い花弁に見えるのは萼片。

2013/8/7
千畳敷カールの所々で、ちょっとした群落を作っていました。
右の写真の奥に見えいている小さめの白い花は、チングルマです。
シナノキンバイ(Trollius japonicus)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンバイソウ属>
   
キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道から本州中部以北に分布している。
雪渓が溶けたあとの湿った草地に生える高山植物。
葉は、3出複葉で、小葉はさらに深裂し、鋸歯がある。
黄色い花弁のように見えるのは萼片で、5〜7個付く。
中央からたくさん出ているのはオシベで、花弁はオシベより短く、橙色。

2013/8/7
千畳敷カールの所々で見かけました。お花畑に咲く黄色い花の1つです。
ただ、遊歩道の周辺では、あまり多くはなかったです。
ミヤマキンポウゲ(Ranunculus acris var. nipponicus)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ属>
   
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、日本固有種。
亜高山や高山の湿った草地を好み、雪渓周辺に大群落をつくることがある。
日本では、北海道から本州中部以北に分布している。
茎は数本が株立ちし、上部で分枝する。茎頂に直径2cm程の黄花が集散状に数個付く。
5花弁で、光沢のある黄色。基部に黄色の腺体があり、萼片は5個。
良く似たシナノキンバイより一回り小さく、花の構造が全く異なる。

2013/8/7
千畳敷カールの所々で大きな群落を作っていました。
遠目では、黄色い花は分かっても、その種類までを判断するのは難しいです。
そのため、写真を後で強拡大して判断するのですが、それでも分からないこともあります。


2013/8/7
水の流れに沿うように群生するミヤマキンポウゲです。
このような群落が所どころで見られます。
モミジカラマツ(Trautvetteria caroliniensis var. japonica)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・モミジカラマツ属>
   
キンポウゲ科モミジカラマツ属の宿根性多年草。亜高山や高山の湿った草原に自生する。
日本では、北海道から本州中部地方に分布する。
海外では、ウスリー地方に自生する。
草丈は50cm前後になり、花茎の先に散房花序を付ける。
直径10mm程の白い花であるが、花弁はなく、白いものはオシベである。
葉の形が紅葉に、花の形がカラマツの葉の付き方に似ているのが名前の由来とか。
花の形が非常に似ているものに、カラマツソウがあります。

2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇でときどき見かけました。
見た感じはカラマツソウに似ていますが、オシベの数はモミジカラマツの方が圧倒的に多いです。
葉の形が全く違うので、分かりやすいと思います。
エゾシオガマ(Pedicularis yezoensis)
<シソ目・ハマウツボ科・シオガマギク属>
   
ハマウツボ科シオガマギク属の多年草で、高山植物。
日本では、北海道から本州中部地方以北の高山帯に分布する。
茎は根際で分枝し、草丈は数十cmになる。
葉は互生し、上部の葉は茎を抱くが、下部の葉には葉柄がある。
葉の縁には重鋸歯があり、裏面には網目模様がある。
葉腋の下段から上段に向け、横向きにねじれた黄白色の唇型の花が咲き上っていく。

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道の千畳敷駅近くで見かけました。
それほど小さな花ではありませんが、地味な花なので、目立ちません。
唇型の花が、横向きに咲く、変わった花です。
ヨツバシオガマ(Pedicularis japonica)
<シソ目・ハマウツボ科・シオガマギク属>
   
ハマウツボ科シオガマギク属の多年草で、高山植物。
日本では、北海道から本州中部地方以北の高山帯に分布する。
シオガマギク属の仲間では、もっともポピュラーな種である。
ヨツバシオガマは湿地帯に生え、草丈は数十cmになる。
葉は羽状に分裂し、4枚が輪生するのが、名前の由来。
淡紅紫色の独特な形の花が数段輪生する。上唇は鳥のくちばし状になり、下唇は3裂する。
くちばし状の部分が7mm以上と長く、基部にくびれがあるものを「クチバシシオガマ」する説もあるが曖昧。

2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、ときどき見かけました。
花の形が独特なので、他の花と間違えることは少ないと思います。
ただ、くちばし状の長さが長いクチバシシオガマとの区別ははっきりしません。
分類上も、形状的な特徴のみで明確な区別がないようなので、ここでは本種としています。
ミヤマシシウド(Angelica pubescens var. matsumurae)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・シシウド属>
   
セリ科シシウド属の一稔性(一回結実性)の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の東北地方南部から中部地方に分布する。
亜高山帯から高山帯下部の草地、林縁に自生し、茎は上部で枝を分け、草丈は1mを超える。
葉は、3回羽状複葉で、小葉でも10cmを超え、鋸歯がある。
花は大きな複散形花序で、白い小さな花をたくさん付ける。

※ 一稔性(一回結実性):複数年に亘って成長し、最後に結実して枯れるもの

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道の千畳敷駅近くで見かけました。
非常に巨大な花序なので、否が応でも目立ちます。
花には、アブの仲間が集まっていました。
ミヤマウィキョウ(Tilingia tachiroei)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・シラネニンジン属>
   
セリ科シラネニンジン属の多年草で、高山植物。
日本では、北海道から本州中部地方以北、四国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
亜高山帯から高山帯下部の草地、林縁に自生し、茎は上部で枝を分け、草丈は数十cmになる。
葉は、3〜4回羽状複葉で、終裂片の先端は針状に尖る。
花は大きな複散形花序で、5花弁の白い小さな花をたくさん付ける。

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道脇でみかけました。
ミヤマシシウドの存在感とは、比較するまでもありませんが、こじんまりと花を付けていました。
コイワカガミ(Schizocodon soldanelloides f. alpinus)
<ツツジ目・イワウメ科・イワカガミ属>
   
イワウメ科イワカガミ属の多年草で、日本固有種の高山植物。イワカガミの高山型とされる。
日本では、北海道から本州中部地方以北に分布する。
岩鏡と比較して小型であること、花が横向きに付くこと、葉の鋸歯がないことが特徴。
花色は、淡紅色から白色まで変異がある。
花冠は釣鐘状で、5つに裂け、その先はさらに細かく裂けている。
和名の岩鏡は、岩場に生えることと、葉の表面に光沢がある事を鏡に見立てたことに由来する。

2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇でときどき見かけました。
中央の写真、右端は花後のコイワカガミで、紅色の雌しべの柱頭が残っています。
右端の写真は、チングルマと混生しているもので、小さな花でも目を引きました。
ムカゴトラノオ(Bistorta vivipara)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イブキトラノオ属>
   

   
タデ科・イブキトラノオ属の多年草で、在来種。亜高山から高山の草地、林縁に自生する。
日本では、北海道から本州の中部地方以北に分布する。
海外では、アジア、北アメリカ、ユーロっぱに広く分布する。
草丈は50cmを超えることもあり、茎は数本が立ち上がり、枝分かれはしない。
茎の先端に穂状花序を付け、白色か淡紅色の花を密に付ける。
花には花弁はなく、萼が花冠状に5深裂する。
下部の花は、徳利型のムカゴになり、それが和名の由来となっている。
花後、めったに結実する事はなく、もっぱら、ムカゴにより繁殖する。

2013/8/7
千畳敷カールへ続く遊歩道の千畳敷駅近くで見かけました。
千畳敷カールの遊歩道脇でもときどき見かけることがありました。
上段左端の写真を部分拡大したのが下段の写真です。
下段右端の写真で白い花の下部にある赤褐色のものがムカゴです。
下段左端の写真で、花穂の先端に数個付いているものも、ツボミではなくムカゴに見えます。
オンタデ(Aconogonon weyrichii var. alpinum)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・オンタデ属>
   
タデ科オンタデ属の多年草で、日本固有種。ウラジロタデの変種とされる。
日本では、北海道から本州の中部地方以北に分布する。
雌雄異株で、赤みがかるのは雌花、白く見えるのが雄花である。
雌株の果実は、そう果で3個の翼があり、紅色を帯びる。
茎はほとんど分枝せず、直立し、草丈は1mに達する。
木曾の御嶽山で最初に発見されたのが和名の由来で、富士山の高山帯に多く分布する。

2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、一ヶ所、群生しているのを見かけました。
見えている花は、白い花ばかりでしたので、雄株の群落のようです。
右端の写真で、左奥に赤っぽい花穂が見えていますが、最初雌株かと思いました。
しかし、良く見ると葉が茎を抱えており、タカネスイバと分かりました。
タカネスイバ(Rumex arifolius)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>
   
タデ科ギシギシ属の多年草で、在来種。亜高山から高山帯の草地に自生する。
日本では、北海道から本州の中部地方以北に分布する。
草丈は、1m程になり、基部の葉には葉柄があるが、上部の葉は無柄で茎を抱く。
枝先に長さ30cmほどの総状花序を出し、小さな花を多数つける。
雌雄異株で、雌花は紅赤色で、柱頭が細かく裂けている。

2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、一ヶ所、オンタデが群生しているのを見かけました。
その白い花を付ける群落の端の方に、赤っぽいすっと伸びた花穂が目に付きました。
最初、オンタデの雌花かと思ったのですが、葉が茎を抱いており、オンタデとは違います。
後で、調べていて、タカネスイバと分かりました。もっと、アップで撮っておけばよかったと後悔しています。
イワツメクサ(Stellaria nipponica)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>
   
ナデシコ科ハコベ属の多年草で、在来種。高山の砂礫地に多く分布する高山植物。
日本では、本州中部の高山に分布している。海外では、中国にも分布する。
草丈は、あまり高くならず、10cm前後にしかならない。
直径15mm程の白花で、5花弁であるが、2深裂しているので、花弁は10枚に見える。
お芝は10本あり、花柱は3個ある。

2013/8/7
千畳敷カール下部の「剣ヶ池」の近くの裸地の砂礫の上で見かけました。
周りに他の植物が見当たりませんでしたので、小さな花ですが目に止まりました。











inserted by FC2 system