薬師池公園で見かけた野草T
和名インデックス |
スッポン(Pelodiscus sinensis)
<カメ目・潜頸亜目・スッポン上科・スッポン科・スッポン亜科・キョクトウスッポン属>
本来の分布域は、日本では本州以南とされるが、養殖場からの逃亡個体のため、不明点が多い。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア南東部、台湾、東南アジアに分布する。 甲長は40cm弱になる。甲羅表面は角質化していないため柔らかく、そのため他種よりも軽い。 噛みつく力は強く、体に触った場合は自己防衛の為に噛みついてくる。 噛みつくと、首を甲の内側に引っ込める。 噛みつかれた場合、水に戻すか、じっと動かさずに離すまで待つ(10秒程で離す)。 水中生活に適応しており、水中に長時間留まれる。これは喉の毛細血管が魚の鰓のように働くためである。 また、首が長く、鼻が長く突き出ており、シュノーケルのように水上に出して呼吸できる特徴も持つ。 そのため、めったに陸上に上がることはないが、皮膚病に弱いため、時折、甲羅干しを行う。
2016/7/12
薬師池のほとりでコシアキトンボの撮影に四苦八苦しているとき、対岸の岸に姿を現しました。 境川で見かけたスッポンとは、明らかに大きさが違い、二回りは大きく見えます。 後で、調べてみると甲長は40p近くになると分かりました。 そこまではないにしても、30pは優に超えている大物です。まさに池の主の貫録です。 この池には、ミシシッピアカミミガメもたくさんいますが、それよりもかなり大きいです。 7/25に訪れた時も、薬師池の真ん中あたりで、顔を水面にだして浮かんでいるのを見かけました。 2017/9/5 この日は、なぜかスッポンが薬師池の水面に何匹も顔を出して泳いでいました。 居るのは分かっていたのですが、こんなに居るとは思っていませんでした。 橋の上から見ていると、その内の1匹と目があってしまいました。つぶらな瞳ですね。 そうこうしているとスッポン同士のニアミスです。ぶつかる寸前に体をひねってかわして行きました。 | |
ミシシッピアカミミガメ(Trachemys scripta)
<カメ目・潜頸亜目・リクガメ上科・ヌマガメ科・アカミミガメ亜科・アカミミガメ属>
2017/9/5 2021/2/22
アメリカ合衆国、メキシコ原産で、日本には輸入され、野生化している。
幼体はミドリガメの商品名で夜店等で売られたこともあり、各地に広がっている。 甲長は28cmほどで、背甲は緑色(淡緑色〜濃緑色で変異あり)で黄色く細い複雑な筋模様が入る。 腹甲は、甲板毎に大きな暗色斑が入り、斑紋がつながる個体もいる。 頭部、四肢、尾は、濃緑色〜灰緑色で、黄色い縦縞は細い。 眼後部から鼓膜上部にかけて赤や赤橙色の太い筋模様が入るのが特徴。
2017/9/5 ロープに止まったギンヤンマに、後ろからそっと近づくミシシッピアカミミガメ。
あと一歩という所で、パッとギンヤンマに逃げられ、残念そうに見上げていました。 2021/2/22 薬師池に置かれている浮島、そこにつながれた浮の上に2匹いました。 この日は天気が良く、ぽかぽかと温かかったので、日向ぼっことなったのでしょうか。 かなり大きい個体なので、そこそこの年数は経っているようです。 2022/4/12 薬師池の側を歩いているとき、水面をすべるように泳いでいるミシシッピアカミミガメがいました。 時折、息継ぎに水面に鼻を出しますが、水面下を結構なスピードで泳いで行きました。 脚が先に行くほど広がり、指の間に水掻きがあって、歩くより泳ぐのが得意なようです。 | |
ヒガシニホントカゲ(Eurema mandarina)
<有鱗目・トカゲ亜目・トカゲ下目・トカゲ科・トカゲ属> 日本では北海道から本州東部に分布している。 日本以外では、ロシア極東部に分布している。 全長は20cm前後になり、体はずんどう型で金属光沢があり、ウロコが細かい。舌は先が2つに分かれない。 幼体は、体色が黒や暗褐色で5本の明色の縦縞が入り、尾部がメタリックブルーである。 オスの成体は褐色で、体側面に茶褐色の太い縦縞が入る。繁殖期には側頭部から喉、腹部が赤みを帯びる。 メスは幼体の色彩を残したまま成熟することが多い。 以前は、日本に生息する3種(ヒガシニホントカゲ、ニホントカゲ、オカダトカゲ)は、同一種とされていた。 これらは外見がそっくりで、見分けがつかなかったためだが、DNA解析から2012年に3種に分類された。 西日本に分布するニホントカゲとは、若狭湾から琵琶湖を通り、 三重県から和歌山県に抜ける分布境界線で分かれている。 また、伊豆半島から伊豆諸島にかけては、オカダトカゲが生息している。
2016/7/25
薬師池のほとりでコシアキトンボの撮影に再チャレンジしているとき、目の前に出てきました。 まだ、小さく、シッポがメタリックブルーなので、まだ幼体のようです。 2018/4/20 薬師池の畔で見かけたヒガシニホントカゲの成体です。 明瞭ではありませんが、側頭部に赤みが見られるので、繁殖期に入ったオスの可能性が高いです。 | |
アオダイショウ(Elaphe climacophora)
<有鱗目・ヘビ亜目・ナミヘビ科・ナメラ属> 日本の固有種で、北海道から本州、四国、九州、伊豆諸島などに広く分布している。 全長は100〜200cm前後、道の直径は5cm前後と、日本本土では最大のヘビ。 全長はオスの方が大きいが、大型の個体ではメスの方がオスよりも多いと言われている。 頭部は角張り、吻端は幅広い。虹彩は褐色味のあるオリーブ色で、瞳孔は丸く、黒褐色。 胴体背面の鱗は23列か25列ある。不明瞭な黒褐色の縦縞が入ることが多いが、無いものもある。 腹部の鱗(腹板)は、221〜245枚で、その両端に隆起があり、これが木登りを可能にしている。 体色は、暗黄褐色が多いが、変異が多く、緑がかった個体、青味がかった個体、アルビノ(白蛇)もいる。 出くわすと、大きな個体も多いので恐怖を覚えるが、毒は持たない。
2017/6/9
薬師池の真ん中が波立って、何かが進んいるのに気が付きました。 遠かったのですが、よく見るとヘビが泳いでいる所でした。 近くでカルガモやカイツブリがその動きを見守っていました。 そのヘビが方向をこちらに変えて向かってきます。 二股に分かれた舌を出し、何かのにおいを探っているようでした。 隣にいた年配の女性が、こっちには来ないわよね。怖いわ。と一言。 数m先の岸に泳ぎ着き、岸辺の茂みに消えていきました。 2017/6/9 そのアオダイショウですが、どこから現れたのか不思議でした。 その疑問を解消してくれたのか上記の写真です。撮った時には気が付いていませんでした。 私は気が付きませんでしたが、カイツブリは気が付き、しっかりと警戒しています。 胴の太さは、カイツブリの首より太く、相当な大物のようです。 なお、右上に見える蛇の頭のようなものは、ミシシッピアカミミガメの頭部です。 | |
ニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides)
<有鱗目・トカゲ亜目・トカゲ下目・カナヘビ科・カナヘビ属> 日本の固有種で、北海道から九州、四国、種子島まで、広く分布している。 全長は20cm前後になり、尾が全体の2/3程を占める。ニホントカゲより、相対的に尾は長い。 鱗には光沢がなく、表面はザラザラして乾いた感じに見える。 背面の鱗は特に大きく、1本の強い稜線があるため、背面全体を前後に走る隆条が形成される。 隆条は普通6本あり、両外側の隆条が最も強い。舌は先が2つに分かれている。
2016/7/25
菖蒲苑の通路脇に出てきたニホンカナヘビです。 上のヒガシニホントカゲと比較すると、尻尾の長さが際立っています。 | |
シュレーゲルアオガエル(Rhacophorus schlegelii)
<無尾目・カエル亜目・アカガエル上科・アオガエル科・アオガエル亜科・アオガエル属> アオガエル科に分類されるカエル。「シュレーケルアオガエル」とも言われる。 日本の固有種で、本州・四国・九州とその周囲の島に分布するが、対馬にはいない。 和名は、オランダのライデン王立自然史博物館館長だったヘルマン・シュレーゲルに由来する。 日本に分布するモリアオガエルの姉妹種と考えられており、外見はモリアオガエルの無斑型に似ている。 体長は、オス32〜43mm、メス43〜53mmで、メスがやや大きい。なお、モリアオガエルよりは小さい。 体色は、腹側は白く背中側は緑色をしている。なお、保護色で褐色を帯びることもある。 虹彩は黄色で、指の間には水かきが発達する。オスは咽頭下に単一の鳴嚢をもち、これを膨らませて鳴く。 モリアオガエルの無斑型に似ているが、虹彩の色で区別可能で、黄色いと本種である。 ニホンアマガエルにも似ているが、鼻筋から目、耳にかけて褐色の線がないことで区別できる。 また、体長も本種がより大型である点、褐色になってもまだら模様が出ないことなどで区別できる。
2017/5/30
薬師池公園の裏門を入って直ぐの所で、ムサシアブミの葉の上でじっとしていました。 アマガエルかと思ったのですが、何となく違うと感じて、写真を撮りました。 後で調べると鼻筋から目、耳にかけて褐色の線がないこと、虹彩が黄色いことから本種と分かりました。 写真でも分かりますが、折りたたんだ足がぴったりと付き、線がなければ足だとはわからないくらいです。
| |
ニホンアマガエル(Hyla japonica)
<無尾目・カエル亜目・アマガエル上科・アマガエル科・アマガエル亜科・アマガエル属> アマガエル科アマガエル属に分類されるカエルで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国東部に分布する。 体長は20〜45mmほどで、メスの方が大きい。 鼻筋から目、耳にかけて褐色の太い帯が通っている。 前足に4本、後足に5本の指があり、全ての指先に丸い吸盤がある。 体色は腹側が白く、背中側が黄緑色である。 なお、背中側は灰褐色のまだら模様に変えることができる。 皮膚は粘膜に覆われ、粘膜からは毒が分泌されているが、手に付く程度では問題はない。 ただし、傷口や目、口に着くと激しく痛み、目に入ると失明の危険性もあるので、注意が必要。
2022/4/12
薬師池公園の裏門を入って直ぐの所で、ムサシアブミを撮っているときに出会いました。 写真を撮り終わったとき、足元でガサゴサと音がして、何かがいるようでした。 しかし、何も見えません。位置を変えてよく見ると、枯葉色をしたカエルがいることに気が付きました。 以前、シュレーゲルアオガエルを見かけた場所だったので、そうだと思って写真を撮りました。 後で、写真をよく見ると、鼻先から耳にかけて褐色の帯模様があり、ニホンアマガエルと分かりました。 枯葉の上を歩いていたので、保護色の灰褐色に色を変えていたようで、この色は初めて見ました。 | |
ミスジマイマイ(Euhadra peliomphala)
<有肺類・真有肺目・柄眼亜目・曲輸尿管下目・リンゴマイマイ上科・ オナジマイマイ科・マイマイ属> オナジマイマイ科マイマイ属のカタツムリ。 日本では、関東地方南西域、中部地方南東部、伊豆諸島の神津島以北に分布する。 殻径45mmほどに成長し、殻は右巻きで、3本の黒い筋模様がある。 なお、筋模様の無いもの、1本、2本の個体もいる。また、軟体部の背中には、暗褐色の縦筋が入る。 基本は樹上生活であるが、地上から数mの樹上まで活動する。 高温多湿の時は盛んに這い回り、気温16℃・湿度70%を下回ると不活化して休眠に入る。 雌雄同体ではあるが、2個体が交尾してお互いの精子を交換し、数十個を産卵する。
2016/7/25
薬師池公園から駐車場に戻る際、道路下の樹木の幹にへばり付いているのを見つけました。 おそらく、まだ、活動するには条件が合わないので、休眠中の個体と思われます。 なお、この個体の殻の筋模様は1本です。 | |
ワカバグモ(Oxytate striatipes )
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・カニグモ上科・カニグモ科・ワカバグモ属> カニグモ科ワカバグモ属の明るい緑色のクモで、日本全土に分布する。 出現時期は5月〜11月で、体長は、オスで8〜10mm、メスで12〜13mmと若干メスの方が大きい。 本種は、林縁や草原の植物上に潜み、都市部の公園などでも見られる。 成熟したメスは全身黄緑色で、腹部は細長い。なお、脚が淡紅色を帯びることがある。 オスでは、腹部がメスよりさらに細く、頭部前方と第1、第2脚の腿節の基部が黒褐色〜赤褐色になる。
2018/4/19
アセビの花を見ていると、花の上を動くクモを見つけました。 ササグモかと思ったのですが、頭部や前足の基部が茶褐色です。 後で調べて、ワカバグモのオスの成体と分かりました。スマートなクモですね。 | |
イオウイロハシリグモ(Dolomedes sulfueus L. Koch)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コモリグモ上科 ・キシダグモ科・ハシリグモ属>
キシダグモ科ハシリグモ属のクモで、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州まで分布する。 海外では朝鮮半島から中国に分布する。 大柄で活動的な種で、徘徊性で網を張らずに獲物を捕らえる。 水辺で生活し、水面に浮かんだり、素早く水面を走ったりする。 時に水中に潜り、水中の小動物、時に小さな魚を獲物にすることがある。 本種は、ハシリグモ類ではもっとも普通な種であるが、体色に変異が多い。 標準的とされてきたものは全身が黄褐色であり、硫黄色の名はこれにちなむ。 その特徴からイオウイロ型、スジボケ型・スジボソ型・オオスジチャ型の名があるが同一種とされた。 しかし、今世紀になって、スジボソ型は独立種と判明。 スジボケ型・スジボソ型とされたものから、新種のババハシリグモが発見された。 体長は、オスで15o前後、メスで25o前後になる。
2016/7/25
ハス田近くの小さな池で温帯スイレンを撮影しているとき、ナガバオモダカの葉で見つけました。 この体色が、標準的とされている黄褐色(イオウイロ)なのではないでしょうか。 | |
ササグモ(Oxyopes sertatus Latrelle)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コモリグモ上科・ササグモ科・ササグモ属> 2017/5/31 2017/6/9
ササグモ科ササグモ属のクモで、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 徘徊性で、網を張らず、歩き回って餌を捕食する活発なクモで、よく跳躍する。 外形は、ハエトリグモに似ているが、腹部は細い卵形で、尾端に向けてすぼまり、先が尖る。 足は細長く、針状の鋭い毛が多数、まばらに生える。 胸頭部背や腹部には、黄緑色地に白と黄褐色の模様がある。 なお、地色は黄緑色が最も多いが、紅葉時には赤褐色、冬枯れの時期には淡褐色の個体が見られる。 胸頭部の盛り上がった部分に、左右対称に8個の眼が4個づつ縦に並ぶ。 雌雄の性差は少ないが、オスはやや細めで、触肢に黒く膨らみがある。 産卵は、草の上に卵を産み付け、親クモが卵嚢に覆いかぶさるようにして守る。
5/31 萬葉草花苑で、ヤマブキソウの葉の上で獲物を待っているササグモに会いました。
6/9 萬葉草花苑のヤブレガサの花序の先にササグモが居ました。 といっても、撮影した時には気が付かず、後で整理していて気が付いたしだい。 たまたま、ササグモの居た所が、同じような配色の所だったので、気が付かなかったのです。 なお、この2個体は、触肢に黒く膨らみがないので、メスのようです。 | |
ジョロウグモ(Nephila clavata) <クモ目・クモ亜目・クモ下目・コガネグモ上科・ジョロウグモ科・ジョロウグモ属>
<メス> <メス> <オス> <オス> ジョロウグモ科ジョロウグモ属に属するクモで、日本在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、森林や公園などでよく見かける。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドに分布する。 春に孵化して、秋に成虫となるが、巣の場所による餌の量が成虫の大きさに影響する。 幼体の腹部は複雑な斑模様であるが、成体になると模様が変わる。 メスの成体は、大きいものは30mmに達し、腹背は黄色と黒の縞模様で、下面に鮮紅色の紋がある。 オスの成体は、大きいものでも十数mmしかなく、腹背には黄色と褐色の縦縞の複雑な模様を持つ。 ジョロウグモの巣は、直径1mほどにもなる大型で、前後に補助網を持つ三重構造になる。 また、円網の縦糸は、中心から外に向かって順次二又に枝分かれしていく。 そのため、円網を構成する扇型の大きさが、中心部と外周部でもあまり変わらない特徴がある。 ジョロウグモは、「女郎蜘蛛」と書きますが、古くは「上臈(ジョウロウ)」であったとの説もあります。 「女郎」と「上臈(身分の高い人)」では、その意味が天と地ほどの差があります。
2016/10/7 薬師池公園へ向かう途中の道端で、ジョロウグモガスを張っていました。 園内でも、あちらこちらで見かけるのですが、うまく撮れそうな場所にありませんでした。 ここは道端でしたので、撮影ポジションに困ることはありません。 巣には、メス以外にオスが2匹、メスから離れて交尾を狙って待機していました。 まだ、メスの腹部はほっそりとしており、十分に成熟していない亜成体です。 2017/5/31 薬師池公園の裏門から入って、花菖蒲田に下っていく途中、通路脇で見つけました。 小さなクモが団子状に寄り集まっています。小さくて種類まではわかりませんでした。 後で、いろいろと調べていて、ジョロウグモの脱皮間もない幼虫の可能性が高いと分かりました。 体色や形などからの判断ですが、何せ小さいので、間違っている可能性もあります。 右端の写真で、塊の右下の方に、白っぽい小さな粒が多数見られますが、これが抜け殻です。
|