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薬師池公園で見かけた昆虫U



薬師池公園は、いろいろと手入れされている公園ですが、周辺部は自然が良く残っています。
また、薬師池や菖蒲苑、ハス田などがあり、トンボなどいろいろな昆虫が生息しています。
そこで見かけたチョウやトンボなどの昆虫です。

< トピック >
新たに見かけた、下記の昆虫を追加しました。
ナシモンキマダラハナバチ、シロスジヒゲナガハナバチ、クサギカメムシ、
モモブトカミキリモドキ



ハチ目・スズメバチ上科
スズメバチ科(キイロスズメバチ)
ツチバチ科(キンケハラナガツチバチ)
ハチ目・ミツバチ上科
コシブトハナバチ科(ナシモンキマダラハナバチ)
コハナバチ科(アカガネコハナバチ)
ハキリバチ科(オオハキリバチ)
ミツバチ科(シロスジヒゲナガハナバチ、コマルハナバチ)
ハチ目・ハバチ上科
ミフシハバチ科(ルリチュウレンジ)
カメムシ目・カメムシ亜目
アメンボ科(アメンボ)
オオホシカメムシ科(ヒメホシカメムシ)
カメムシ科(クサギカメムシ)
ホソヘリカメムシ科(クモヘリカメムシ)
サシガメ科(シマサシガメ)
カスミカメムシ科(メンガタカスミカメ)
カメムシ目・頸吻亜目
アワフキムシ科(アワフキムシ)
セミ科(アブラゼミ、ミンミンゼミ)
アオバハゴロモ科(アオバハゴロモ)
コウチュウ目・オサムシ上科
オサムシ科(アオオサムシ)
コウチュウ目・コガネムシ上科
コガネムシ科(カブトムシ、ヒメビロードコガネ、マメコガネ、オオスジコガネ、
       コアオハナムグリ、ヒゲブトハナムグリ)
コウチュウ目・ゴミムシダマシ上科
カミキリモドキ科(モモブトカミキリモドキ)
コウチュウ目・ハムシ上科
ハムシ科(クロウリハムシ)
コウチュウ目・ヒラタムシ上科
テントウムシ科(ナナホシテントウ)
シリアゲムシ目
シリアゲムシ科(ヤマトシリアゲ)
バッタ目・ヒシバッタ上科
ヒシバッタ科(ハラヒシバッタ)
バッタ目・バッタ上科
バッタ科(ハネナガイナゴ)
オンブバッタ科(オンブバッタ)
バッタ目・キリギリス上科
キリギリス科(ヤブキリ)
薬師池公園で見かけた昆虫T
和名インデックス


キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>
 
2017/9/1               2018/10/2
スズメバチ科スズメバチ亜科の昆虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、屋久島が南限となる。出現時期は4月〜11月。
北海道には、基亜種のケブカスズメバチ(黄色の部分が少ない)が分布している。
体長は、働きバチで17〜24mm、オスで20〜24o前後、女王バチで25〜28mmである。
スズメバチの中では、日本では最小種で、セグロアシナガバチとあまり変わらない。
ただし、気性は荒く、オオスズメバチに次いで攻撃的で、巣の近くを通っただけで攻撃されることがある。
また、巣は球形で、樹や土中、人家の屋根裏などに作り、手狭になると引越しをする。
そのため巣は順次大型化し、スズメバチの中では最も大きな巣を作る。
大型の巣では、当然働きバチも増え、大きいものでは1000匹を超える場合もある。
攻撃的で気性が荒く、1つの巣に居る数も多くなるため、最も刺される被害が多いのが本種である。

2017/9/1 花菖蒲田の脇を通っているとき、アジサイの葉の間を飛び回っている本種を見つけました。
あまり刺激しないよう、そっと近づいて撮ったものですが、動きが早くてなかなか撮れませんでした。
木陰で暗いこともありましたが、ピントが追い切れず、何とか分かる程度に撮れたのはこれ1枚でした。
2018/10/2 萬葉草花園でダンギクを撮影しているとき、キイロスズメバチが飛び込んできました。
止まるわけではなく、何かを探し回っていました。おそらく、餌になる昆虫などを探しているのでしょう。
今回も何とか分かる程度に撮れたのはこの1枚のみで、前のものよりピントは合っていますが、まだ、甘いです。

キンケハラナガツチバチ(Megacampsomeris mojiensis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・ツチバチ科・ハラナガツチバチ亜科・アラメハラナガツチバチ属>
 
ツチバチ科のハチで、在来種。平地や山麓に生息し、各種の花にやってくる。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジア、インドなどに分布している。
発生時期は4月〜10月で、年1回の発生。メスは、成体で越冬する。
そのため、春先にもみられるが、多くは晩夏から秋に現れて、セイタカアワダチソウなどでよく見れらる。
体長は、オスは20〜23mm、メスは17〜27mmで、メスが一回り大きい。
オスの体色は黒色で、腹部には幅広の黄色帯紋があり、後縁には淡色の毛帯がある。
メスの体色は黒色で、頭部や胸部には黄褐色の長毛が密生する。腹部に帯紋はなく、黄褐色の毛帯がある。
また、触角の長さが雌雄で異なり、オスでは長く、メスでは短い。
コガネムシの幼虫に毒針で麻酔して、卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の蜜を餌とする。

2018/10/2
萬葉草花園のダンギクには、いろいろな昆虫が訪花していて、特に多かったのが本種とイチモンジセセリです。
そんな訳で、多くがイチモンジセセリとのツーショットになってしまいました。
キンケハラナガツチバチも数匹はいたのですが、メスばかりで、オスの姿は見当たりませんでした。
代わりに飛び込んできたのがハキリバチです(右写真)。おそらくバラハキリバチではないかと思います。


2018/10/17
ミカエリソウの花に何匹かのキンケハラナガツチバチのオスが集まっていました。
ツチバチのオスには似たものが多いのですが、腹部の黄色帯紋の数、腹板後縁の帯紋から本種としました。

よく似た3種のオスの特徴は下記の通りですが、5本目の黄帯が消失して、4本に見える個体もいるようです。
●ヒメハラナガツチバチのオスの胸部背面には黄色い斑紋があり、これが特徴です。腹部背面の黄帯は5本ある。
●オオハラナガツチバチのオスの胸部背面に斑紋なし。腹部背面の黄帯は5本。腹板後縁の帯紋は両端のみ残る。
●キンケハラナガツチバチのオスの胸部背面に斑紋なし。腹部背面の黄帯は4本。腹板後縁の帯紋は中央で切れる。

ナシモンキマダラハナバチ(Nomada pyrifera)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コシブトハナバチ科・キマダラハナバチ亜科>
 
コシブトハナバチ科キマダラハナバチ亜科の仲間で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は4月〜6月で、体長は9〜11o。
暗赤色の体色で、前胸背板の中央に太い黒条があり、その両脇に1本の細い黒条がある。
腹部第3節に大きな黄紋が1対あり、尾端近くに小さな黄紋が2対ある。
オスの体色は黒く、腹部背面の黄紋の面積がメスより広い。
幼虫はハナバチ類に寄生し、成虫は花の蜜を食べる。

2022/4/12
萬葉草花苑でアメリカスミレサイシンの花を撮っているとき、視野に飛び込んできました。
涸沼自然公園で出会って以来、10年ぶりの再会となりました。

アカガネコハナバチ(Halictus aerarius)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コハナバチ科・コハナバチ亜科>
 
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国で、5月〜10月に見られる。
体長8mm前後で、金属色のきれいな体色をしている。
メス蜂が地中に巣穴を掘って集団生活をし、秋にオス蜂が多数発生する。

2017/5/31
萬葉草花苑のヤマブキソウの花を撮っているとき、視野に飛び込んできました。
胸背部が黄金色で、鈍い光沢があることから本種としました。

オオハキリバチ(Megachile sculpturalis)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ハキリバチ科・ハキリバチ亜科・ヤニハナバチ属>

ハキリバチ科ヤニハナバチ属の1種で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、奄美大島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
体長はメスで25oほど、オスで20oほどと、大型のハナバチである。
全身が黒く、胸部と腹部第1節の背板に褐色の毛を密生する。
翅の基部は黄褐色であるが、先に向かって黒くなり、紫の光沢がある。
腹部の2節以降にも黒い短毛があり、特に側面と尾端に多い。
オスの成虫は6〜8月、メスは8〜10月に出現する。
ハキリバチ類は植物の葉を切り取って巣を作るのが和名の由来であるが、本種は松脂で作る。
それが、ヤニハナバチ属の名前の由来である。
主にクズの花から粉と蜜を集め、花粉団子を作って幼虫の餌とする。
巣は、竹などの既存の筒構造利用して作られ、奥から松脂で壁を作り、そこに花団子を詰め込む。
一定量に達すると産卵して松脂で封をし、次の部屋に花団子を詰めることを繰り返す。
最後に筒の入り口を封印するが、この封だけは土が使われる。

2017/9/1
萬葉草花苑を入って直ぐの所で、花壇の壁に空いた穴をのぞき込んでいる本種を見つけました。
どうやら巣穴を物色しているようで、中まで入っては後退りして出てくる事を繰り返していました。

シロスジヒゲナガハナバチ(Eucera spurcatipes)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・ヒゲナガハナバチ族・ヒゲナガハナバチ属>
 
ミツバチ科ヒゲナガハナバチ属のハチで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
出現時期は3月〜7月。体長は12〜14mmで、メスの方が一回り大きい。
和名のヒゲナガは、オスの触角が極めて長いことに由来する。
頭、胸、腹部第1節は、通常、灰白色の長毛に被われるが、胸部背面はときに黄褐色になる。
腹部背板の前半部には白色の毛帯がある。オスの頭楯、上唇は黄白色。
オスの触角第2鞭節の外面中央部から第4節まで、連続する縦溝がある。触角柄節には黄帯がある。
ニッポンヒゲナガハナバチに似るが、前翅の亜縁室(腑室)は2個(ニッポンヒゲナガハナバチは3個)。

2022/4/12
薬師池横のトイレに寄った際、窓際でシロスジヒゲナガハナバチのオスを見つけました。
死んでいるのかと思ったのですが、脚をもぞもぞと動かしているので、生きてはいるようです。
たぶん、トイレに迷い込み、出られなくなって飢え死に寸前なのでしょう。
近くには、同じ境遇のカメムシなどもいて、ガラス窓に向かって出ようともがいていました。

コマルハナバチ(Bombus ardens ardens)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
   
ミツバチ科マルハナバチ属のハチで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
体長は、オスが15o程で、メスは20oほどある。雌雄で体色がかなり異なる。
メスは腹部先端がオレンジ色である以外は真っ黒で、オスは、腹部端がオレンジ色で、他は淡黄色になる。
コマルハナバチは、春一番に現れるマルハナバチで、6月には新女王バチとオスバチが出て、コロニーは解散する。
この点が、秋まで活動する他のマルハナバチとは大きく異なる。

2017/5/3
花菖蒲田脇のツツジの花にコマルハナバチのメスが訪花していました。
ちょこまかと飛び回り、なかなかじっとしてくれないので、撮影には一苦労します。
まだ、この時期にはオスバチはおらず、出会えるのは1ヶ月ほど先になると思われます。

 
2017/5/31
萬葉草花苑のウメモドキの花をコマルハナバチのオスが訪花していました。
メスと異なり、全体が暗黄色で、腹部の末節あたりが若干オレンジ色になっています。
樹高の関係で、見上げながらの撮影となったため、逆光になって色がくすんでしまいました。

   
2017/5/31
訪花しているコマルハナバチの中に、灰白色のものが1匹混じっていました。
似てはいますが、体色というか毛の色がまったく異なります。調べても特徴の一致するものが見つかりません。
生息域は異なりますが、ホンシュウハイイロマルハナバチの体色と似ています。
いろいろ悩んだ末、乙女高原ファンクラブのサイト管理者の方に問い合わさせていただきました。
いただいたお返事では、腹部の黒帯がない点や腹部端がオレンジ色っぽい点などが異なるとのこと。
その後、再度調べてみたのですが、結論としてはオスのコマルハナバチの色変わりとしました。
他のマルハナバチでも変異があるとのコメントを、乙女高原ファンクラブの方からいただいています。

ルリチュウレンジ(Arge similis)
<ハチ目・ハバチ亜目・ハバチ上科・ミフシハバチ科>

日本では北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
体長は10mmほどで、全体に黒色で、るり色の金属光沢がある。
翅は半透明で、触角は、3節からなり、第1節と第2節は短くて第3節が長いが、これが科名の由来。
幼虫はイモムシで、その食草はツツジ科の葉。集団で食害するので、放っておくと丸坊主にされる。
若齢時は集団行動を取るが、成長するにつれ分散していく。越冬は蛹。

2017/5/31
萬葉草花苑のツツジの葉の上に止まるルリチュウレンジを見かけました。
最近、時折見かけるようになりましたが、ツツジ科を食害するので要注意です。

アメンボ(Aquarius paludum paludum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・アメンボ下目・アメンボ上科・アメンボ科・アメンボ亜科・アメンボ属>

アメンボ科アメンボ属の水生昆虫で、日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国東北部、東部シベリア、台湾に分布する。
アメンボ科は熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し、日本には淡水系20種、海水系6種が分布する。
アメンボもカメムシの仲間のため、カメムシ同様、体から匂いを出す。
その匂いが飴に似ているので、飴のような匂いを出す棒状の虫「飴ん棒」が名前の由来とか。
体長はオスで11〜14o、メスは一回り大きくて13〜16o程になる。
脚の尖端が水をはじくようになっていて、それで水面上に浮く。
水面の移動は、前脚と後脚で体を支え、中脚を前後に動かすことで行う。
飛翔する事も出来るが、飛翔するのは稀で、一生のほとんどを水面上ですごす。
特に池のように安定した環境では、翅が退化した幼虫のような成虫が出現する事もある。
アメンボは自ら獲物を襲うことはせず、水面に落ちた虫を素早く捕獲して体液を吸う。
そのため、落ちてくるものを見つける良い眼と、脚に水面の波動を感じ取る特殊な毛を持っている。
出現時期は、4月〜10月と長い。

2016/7/25
薬師池には、たくさんのアメンボが泳いでいます。
数匹が集まっている所があったのですが、見る間に増えてごらんと通りの状態に。
おそらく、落ちてきた虫に数匹が集まり、その動きで出来た波動に、集まってきたものと思われます。

クサギカメムシ(Halyomorpha halys)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・
カメムシ亜科・クサギカメムシ属>
 
カメムシ科クサギカメムシ属のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾など、東アジアに広く分布している。
体長は13〜18mmで、前翅の膜質部を除いてまだら模様のある褐色で、腹部は橙色である。
頭部は突き出して幅はほぼ同じで、複眼がこぶのように左右に突き出す。
触角は体色と同色で、関節の部分が白くなっている。
前胸の両肩はあまり強く突き出さず、前縁に四つの小さな淡褐色の斑紋が並ぶ。
腹部は中程がやや幅広で、前翅の両側から少しはみ出す。前翅の膜質部は腹部の後端を超える。
植食性のカメムシで、非常に多くの種類の植物の茎や葉から吸汁する。
幼虫は果実には付かないが、成虫は果樹や豆類の吸汁もするため、農業害虫として古くから知られる。
成虫で越冬し、人家に入り込んで冬を越すことがあり、悪臭を出すので衛生害虫としても知られる。
越冬個体は、秋の訪れとともに死に、新世代に代変わりする。
なお、本種が刺激を受けたときに出す悪臭は強烈で、最も臭気の強い種の1つとされる。

2022/4/12
薬師池横のトイレに寄った際、窓際でガラス窓に向かって出ようともがくカメムシを見かけました。
同じような大きさの2匹が、ガラスの上を行ったり来たりしていました。
逆光だったので、翅の模様や色などが良く見えず、その場では種類までは分かりませんでした。
後で補正などをかけて、模様や色味が分かるようになると、1つはクサギカメムシと分かりました。
もう1匹は、翅が赤褐色に見えるのでブチヒゲカメムシかと思ったのですが、触角が違います。
触角や複眼が飛び出している点などから、同じクサギカメムシと分かりました。
なお、小楯板が白っぽく見えているのは、クモの巣が絡みついているためのようです。

ヒメホシカメムシ(Physopelta parviceps)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・オオホシカメムシ科>
 
オオホシカメムシ科のオオホシカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、平地に多く、草原や人家周辺に生息する。
体長は12mm前後で、体色は赤褐色。前翅には黒色の丸い紋があり、下部にも小さな黒色紋がある。
なお、下部の黒色紋から先は黒くなっているので、明確な紋ではない。触角先端の節半分は白色。
アカメガシワ、シイ、クワなどの花や果実に集まり、吸汁する。

2017/5/31
萬葉草花苑で、ウメモドキの花を吸汁するために訪花していたようです。
見上げての撮影でしたので、色が濁ったようになってしまっています。
あまり動かないようだったので、フラッシュ撮影に切り替えて撮ったのが右側です。
赤褐色の翅に黒い丸紋があるのと、触角の先の方に白い帯があるのが特徴です。

クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・
ホソヘリカメムシ科・クモヘリカメムシ亜科>
 
ホソヘリカメムシ科クモヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナムからインド、マレーシアなどに分布する。
体長は15〜17mmで、体色が淡緑色のスリムな体形のカメムシ。
背面は、胸部と小楯板が淡緑色で、前翅は暗褐色。触角は暗褐色と黄褐色のツートンカラー。
出現時期は5月〜10月で、イネ科の雑草が生えている草むらに多く見られ、これらを吸汁する。
しばしば、水田に入って稲から吸汁し、食害する。

2016/10/7
萬葉草花苑横を流れる小川。小川の畔に咲くヒヨドリバナ近くのハギの葉で見かけました。
大変スマートなカメムシで、もう少し背面を撮ろうとしたとき、飛ばれてしまいました。

シマサシガメ(Sphedanolestes impressicollis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・サシガメ科・モンシロサシガメ亜科>
 
サシガメ科モンシロサシガメ亜科のカメムシで、在来種。
国内では、本州から四国、九州に分布する。海外では中国に分布する。
出現時期は、5月〜8月で、肉食性で、チョウ、ガの幼虫などに口吻を突き刺し、体液を吸う。
体長は15mm前後で、やや細身で、体色は黒色。
腹部の脇にある結合板は白黒の縞模様になっており、触覚は黒一色、脚には白い帯がある。
本種は、手で捕まえようとすると刺されることが多いので、注意が必要。

2017/5/31
萬葉草花苑で、ウメモドキの花を訪花し、獲物を物色しているようでした。
黒い体色に、白い模様が入り、モノトーンでおしゃれなサシガメです。
この時はじっとしていましたが、逃げ足が速く、近づくとさっさと逃げ出します。


シマサシガメの幼虫


2017/5/17
城山湖畔で見かけたシマサシガメの幼虫です。おそらく5齢(終齢)幼虫。
腹部を覆う翅がない点を除けば、成虫と同じです。腹部の模様が白ではなく、黄褐色ですが。
なお、正確には胸部から短い翅は出ており、腹部中央の黄褐色の部分の両側に見えています。


メンガタカスミカメ(Eurystylus coelestialium)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科>

カスミカメムシ科カスミカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。
体長は8o程で、黒褐色の体色に、前胸背に一対の白い縁取りのある黒い斑紋がある。
その黒斑が、お面の目に見えることが、和名「メンガタ」の由来です。
黒褐色の背に対して、腹部は灰白色で、脚は基部が白く、先が黒い。
また、小楯板に4個の白斑があり、背の後半部が切り取ったように折れ曲がっている。

2016/10/7
萬葉草花苑で、シモバシラの花を撮影していて、その花穂の1つに本種がいるのに気が付きました。
見たことがないカメムシでしたので、後で調べました。
前胸背の黒斑と、独特な体形から本種と分かりました。

アワフキムシ(Cercopoidea[アワフキムシ上科])
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科>

アワフキムシは、アワフキムシ上科(Cercopoidea)に属するカメムシ目の昆虫の総称。
幼虫が排泄物をあわ立てた泡状の巣を作り、その中で生活している事が名前の由来。
成虫も幼虫と同じく、クサ等の汁を餌とし、外見はハゴロモに似ている。
草の汁には極わずかしか栄養分が含まれていないため、大量の水を排出する。
この排泄された水には、窒素がわずかに溶け込んでいる。
そこに、虫の分泌線からの蝋と繊維状のタンパク質が混ざり、ケン化反応で石鹸が生じる。
これがアワを出来やすくしており、タンパク質で強化されて、高い安定性と強度を得ている。
アワフキムシ類やコガシラアワフキ類はアワの塊を巣とし、トゲアワフキ類は表面が硬化して貝殻状になる。

2017/5/30
萬葉草花苑のジャノヒゲの所で、アワフキムシのアワの塊をいくつか見かけました。
城山湖の所で見たものは、腹部が赤いシロオビアワフキの幼虫でした。
このアワの持ち主はと、アワをはがしてみると、褐色の幼虫が飛び出してきました。
動きが想像以上に早く、ピントが追い切れず、追い写しになって、手ぶれです。
そんな中、1枚だけピントが合ったものがありました。動きに合わせての流し撮りです。
後ろ脚や茎が縦に流れ、幼虫の動きの速さを物語っています(ISO2500,F8,1/80sec)。
前置きが長くなりましたが、種類までは特定できませんでした。
可能性として、シロオビアワフキの可能性はありそうです。
幼虫も成熟すると腹部が赤から褐色に変わり、終齢虫になると白いまだらが腹部に現れるそう。
その点で、この褐色の腹部は、終齢前の幼虫かもしれません。


シロオビアワフキの幼虫

 
2017/5/17
城山湖畔で見かけたシロオビアワフキのアワの塊と中にいた若齢幼虫です。
若齢幼虫の腹部は赤く、胸部、頭部は黒いので、赤黒のツートンカラーになります。


アブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・アブラゼミ族・アブラゼミ属>
 
セミ科アブラゼミ属の昆虫で、在来種。
日本では、北海道から九州まで広く分布している。
日本以外では、朝鮮半島や中国北部に生息している。
体長は60mmほどで、セミの中では珍しく、不透明な褐色の翅を持つ。
生息域が人里から山地までと範囲が広く、都市部でもよく見かけるセミである。

2011/8/17
薬師池からハス田の方に向かう途中の樹で、アブラゼミが忙しく鳴いていました。
ふと、下の方を見るとアブラゼミのメスが死んで落ちていました。その役目を終えたのでしょう。
セミの成虫の寿命は数週間と言われていますが、なんだか儚さを感じた一瞬でした。

   
2011/8/17
この年は、アブラゼミの当たり年なのか、抜け殻がやたらとぶら下がっていました。
後で気が付いたのですが、実は、この中にミンミンゼミの抜け殻が混ざっていました。
パッと見ても分からないと思いますが、右端の写真の上側がミンミンゼミです(詳細は下記)。

   
              <上:ミンミンゼミ>    <下:アブラゼミ>
下記のミンミンゼミの囲いの中に、見分け方を記載しましたが、こちらの方が分かり易いです。
触角の基部から2つ目と3つ目の節を比較してみてください。
ミンミンゼミは同じような長さですが、アブラゼミは第3節が明らかに長いです。

ミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・ミンミンゼミ族・ミンミンゼミ属>

セミ科ミンミンゼミ属の昆虫で、在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州まで分布している。
日本以外では、朝鮮半島や中国華北に生息している。
体長は35mm程で、翅を含めるとアブラゼミとあまり変わらない。
体色は胸部と腹部の境界付近が白く、他は黒地に青緑色の斑紋がある。
なお、黒色部がほとんどない青緑色主体の個体は、ミカドミンミンと呼ばれる。

2011/8/17
アブラゼミの抜け殻がやたらと目に付く中、ちょっと色の淡い抜け殻がありました。
後で、調べた所、ミンミンゼミの抜け殻と分かりました。

※ ミンミンゼミの写真に関しては、こちらをごらんください。


セミの抜け殻の見分け方

     .
ミンミンゼミ                   アブラゼミ
ミンミンゼミとアブラゼミの抜け殻は同じような大きさで、見た目の違いはあまりありません。
パッと見て気が付くのは、殻の色がアブラゼミよりミンミンゼミの方が明るい色だということです。
それ以外に、確実な識別法は、触角の第3節の長さです。ミンミンゼミでは第2節とほぼ同じ長さです。
しかし、アブラゼミの場合は、第3節の長さが第2節より1.5倍ほど長いことで判別できます。
上の写真の赤矢印の部分です。ミンミンゼミはピントが甘くて見ずらいですが、違いが分かると思います。

なお、クマゼミの抜け殻はこの2種より明らかに大きく、ヒグラシやツクツクボウシは小さいです。
ニイニイゼミは、さらに小さく、丸っこく、全身に泥が付いていることで分かります。


アオバハゴロモ(Geisha distinctissima)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・アオバハゴロモ科・アオバハゴロモ属>
   
アオバハゴロモ科の昆虫で、在来種。
日本では、本州以南に広く分布し、海外では、台湾や中国に分布している。
成虫の体長は、翅も含めると10mmほどで、羽も含めて淡緑色。翅にピンクの縁取りがある。
幼虫は、翅がない事を除けば、成虫と同じ姿をしている。
しかし、尾端から分泌する蝋物質のために白い綿に包まれたように見え、成虫と全く異なって見える。

2017/9/1
薬師池からからハス田の方に向かう途中、キヅタの蔓に多くの本種が留まっていました。
多くは本来のきれいな淡緑色の翅(右端)をしていますが、白に近い翅のものも何匹かいました。
わずかに淡緑色味を帯びていますので、本種だと思いますが、羽化して間がないのかもしれません。

   

   
2018/9/12
薬師池公園から駐車場へ向かう途中、木の枝にアオバハゴロモがたくさん付いていました。
いろいろな方向を向いて止まっていたので、各々をアップで撮ってみました。
アップで見ると頭部や翅の翡翠色が、実にきれいで、見事な造形ですね。

アオオサムシ(Carabus insulicola)
<コウチュウ目・オサムシ亜目・オサムシ上科・オサムシ科・オサムシ亜科・オサムシ族・オサムシ亜族>
   

 
オサムシ科に属する甲虫類のうち、比較的大型の種が多いオサムシ亜科に属する昆虫。
日本では、本州、しかも関東平野南部の多摩川以西と房総半島南部に分布する。
この多摩川を境にして、関東平野の大半には亜種カントウアオオサムシが分布する。
体長は25〜32mmで、主として地上を歩き回り、後翅は退化していて飛ぶことができない。
そのため、地域毎に分化が進み、光沢のある背面は色彩変化に富み、地域変異が大きい。
前翅には緑色の金属光沢があり、はっきりした筋と点刻がある。
雌雄の差異は、前足のふ節で、オスではこの部分が団扇状に横に広がる。

2017/5/31
薬師池公園の裏門に向かっているとき、裏門手前で地面を走っているオサムシに出会いました。
オサムシは飛べない代わりに、地面を走るスピードは結構なもので、カメラが間に合いません。
仕方がないので、靴で行く手を遮り、何とか止めました。というか靴の下に潜り込みました。
そこでカメラを取り出し、そっと靴を除けると、じっとしていました。それが最初の写真です。
しばらくすると、再び走り出し、それを追いかけながら撮ったのが後の2枚です。
下段の2枚は、上段を部分的に拡大したものです。前翅の筋と点刻の様子が分かると思います。
光の反射具合で、緑から赤銅色と色が微妙に変化し、なかなかきれいな昆虫です。
ちなみに、撮影場所は多摩川の西岸になるので、アオオサムシになると思います。
また、下段右の写真で、前足のふ節が棒状なのが確認できますので、この個体がメスだと分かります。

カブトムシ(Trypoxylus dichotomus septentrionalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・コガネムシ科・
カブトムシ亜科・真性カブトムシ族・カブトムシ属>
 
コガネムシ科カブトムシ属の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドシナ半島まで分布する。
和名は、頭部に大きな角を持ち、それが大きな立物(たてもの)の付いた日本の兜に見えることによる。
標高1,500m以下の山地から平地に生息し、クワガタムシと並んで人気が高い。
体長は、オスでは角を除いて30〜50oほど、メスもほぼ同じ。
かつて、日本最大の甲虫の座にあったが、ヤンバルテナガコガネが1983年に発見され、その座を譲った。
頭部の角は、外骨格の発達したもので、個体差が大きく、体格に比例して大きさが変わる。
角は、餌場の取り合いやメスをめぐっての闘争などに使われ、相手の下にこじ入れて投げ飛ばす。

2011/8/17
花菖蒲田の上の斜面に面した通路脇のクヌギの樹で、カブトムシを見つけました。
あまり栄養状態が良くなかったのか、ちょっと小振りで、角も短いかわいいカブトムシでした。

ヒメビロードコガネ(Maladera orientalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・コガネムシ科・
コフキコガネ亜科・ビロウドコガネ族>
 
コガネムシ科コフキコガネ亜科の昆虫で、体表面がビロード生地のように見えるコガネムシの仲間。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布し、平地から山地まで広範囲に生息する。
海外では朝鮮半島から中国、モンゴル、樺太などに分布する。
幼虫、成虫とも広食性で、草本に付くことが多く、様々な植物の根、葉、花粉を食べる。
成虫の体長は6〜9mmで、体色は黒色のビロード状のつや消しの個体が大半。
見た目は、ビロウドのようなつや消し状で、細かい毛が生えていて、このように見える。
脛節外縁にある端刺は2本(ビロードコガネは3本)で、体形もビロードコガネより丸い。

2017/5/30
花菖蒲田の横の通路を歩いていると、小さな黒い甲虫が飛んできました。
思わず手を出して、その甲虫を捕まえてしまったのですが、黒いビロードコガネでした。
赤褐色のアカビロードコガネかビロードコガネは時々見かけますが、黒いものはめったに見かけません。
どちらかうというと黒の方が一般的なのですが、黒だと目立たないからかもしれません。
さて、この個体はビロードコガネなのか、ヒメビロードコガネなのかが問題です。
脛節にある棘状の歯の数とか、前胸背板前縁の中ほどと頭部に直立した刺毛があるなど、識別法はあります。
しかし、ピント位置とかアングルの関係で、写真からその特徴点を確認することができません。
上翅には白い点が筋状に並んではいますが、溝はほとんど目立ちません。
体形もかなりずんぐりとして丸く、これらの点でヒメビロードコガネとしました。
なお、動き出すのをしばらく待ったのですが、動く気配がなく、あきらめました。
後で調べていると、本種の死んだふりは相当長い時間になるようです。

マメコガネ(Popillia japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・コガネムシ科・
スジコガネ亜科・マメコガネ属>
 
コガネムシ科マメコガネ属の小型の甲虫で、在来種。
北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
幼虫は植物の根、成虫はマメ科植物、ブドウ類、ヤナギ類など、多くの植物の葉や花を食害する。
1916年にニュージャージー州で侵入が確認され、以後、爆発的に増えて農業害虫となっている。
体長は、10o前後で、体表は強い金属光沢があり、頭、前胸、小楯板は緑色、前翅が褐色、腹部が黒緑色。
腹節の縁に白い短毛が密生していて、白い横縞模様に見える。

2016/7/25
ハス田で、大賀ハスの花を撮影していたとき、花弁の黒い染みの様なものに気が付きました。
拡大してみると、それはマメコガネでした。
食草であるマメ科の植物に群がっているのは良く見かけますが、なぜ、ハスの花弁に?

 
2017/9/1
花菖蒲田近くにある水車小屋、その脇のヤブミョウガの花に本種がいました。
交尾中でしたが、下のメスはヤブミョウガの花を食べているようです。
鮮明な画像がなかったので、100oマクロで撮り直しました。

オオスジコガネ(Anomala costata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・コガネムシ科・スジコガネ亜科>
 
コガネムシ科・スジコガネ亜科の昆虫で、針葉樹に集まるコガネムシの一種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する、日本固有種。
主に低山地から中山地にかけての針葉樹林に生息していて、幼虫も針葉樹の根を食べる。
出現時期は6月〜9月で、体長は20mm前後、前翅に4本ずつの縦筋がある。
頭部から前胸背板が緑色で、前翅は赤紫色をしたものが多いが、黄褐色〜黒色まで変異がある。
また、前胸背板の中央に縦長のへこみがある。
スジコガネとよく似ているが、オオスジコガネの方がやや大きく光沢が強い。
また、オオスジコガネは前翅の縦筋間にも光沢があるが、スジコガネは光沢が鈍い。
前胸背板の中央にある縦長のへこみは、スジコガネの方が浅くなる。

2017/4/27
アマドコロの写真を撮ろうとしたとき、その上にオオスジコガネが止まっているのに気が付きました。
食草は針葉樹の葉なので、単に止まっているだけだと思いますが、妙なところに止まったものです。
左は部分拡大ですが、前胸背板中央の縦長のへこみ、縦筋間に光沢があるのが分かると思います。

コアオハナムグリ(Gametis jucunda)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・コガネムシ科・
ハナムグリ亜科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・ハナムグリ属>
 
コガネムシ科ハナムグリ族の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア東部、インドシナ半島に分布する。
日当たりの林の周辺や原っぱで普通に見られ、白い花によく集まる。
体長は10〜16mmで、出現時期は4月〜10月。
体色は個体差があり、緑色から赤褐色が多いが、稀に黒い個体も現れる。
背面に白斑があり、短毛が密生する。腹面は黒色。
成虫は花蜜や花粉を食べ、幼虫は植物の根を食べる。
成体で越冬し、春に交尾して産卵し、秋には新成虫が出現する。

2018/10/2
萬葉草花園のアシタバの花と萬葉草花園側を流れる小川の畔に咲くヒヨドリバナで見かけました。
この辺りでは、極普通に見られるハナムグリです。

ヒゲブトハナムグリ(Amphicoma pectinata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・コガネムシ科・
ヒゲブトハナムグリ亜科・ヒゲブトハナムグリ属>
 
コガネムシ科ヒゲブトハナムグリ亜科の昆虫で、立派なヒゲが特徴のコガネムシの仲間。
国内では、本州と四国が分布域のようですが、詳細は不明です。
5月の一時期だけに出現し、生息地も限定されるようで、詳しい情報が見当たりませんでした。
体長は8〜10mmほどで、体長のわりに大きくて立派な角のような触角が特徴です。
体色は、鈍い光沢のある臙脂鼠(えんじねず)で、 全身に毛が生え、かなり毛深い。

2017/5/3
白いボタンの花に小さなコガネムシが止まっていました。
少し奥まった所に止まっていたので、接近できず、ブラインド撮影になってしまいました。
ピントは自動調整にして、ここぞという方向に向けて何度か撮った内の1枚です。
何とかピントが合っていたのは、この1枚だけで、見事な触角が撮れました。
左の拡大写真で、触角も見事ですが、前胸背板や頭部、前翅の縁など毛が密生しているのが分かります。
後で調べて、5月の一時期のみしか見られないコガネムシと分かり、ラッキーでした。
確かに、このような触角のコガネムシには、過去、出会った記憶はありません。

モモブトカミキリモドキ(Oedemera lucidicollis lucidicollis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ゴミムシダマシ上科・カミキリモドキ科・
カミキリモドキ亜科・モモブトカミキリモドキ属>

カミキリモドキ科モモブトカミキリモドキ属の甲虫の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
体長は5.5〜8mmで、メスはオスより一回り大きい。
オスの後脚の腿節が太いのが名前の由来であるが、メスの後脚は太くならない。
体色は、全体に黒色で藍色の光沢がある。前翅先端は完全に閉じず、後翅が見えていることが多い。
出現時期は3月〜6月で、春先によく見られ、タンポポなどの黄色い花によく集まる。
幼虫は、枯れススキの茎の中とか朽ち木の中で数年かけて成長する。

カミキリモドキ科の半数には、体液に有毒なカンタリジンを含むものがあり、本種にも含まれる。
本種の出す体液に含まれるカンタリジンは、次のような症状が現れるので注意が必要である。
体液が皮膚に付着すると数時間後に激しい痛みと共に水ぶくれができる。
この水ぶくれが破れ、かさぶたが出来ると同時に激しいかゆみに襲われ、2週間ほど続く。

2022/4/12
薬師池からハス田に向かう途中、通路脇でセイヨウシャクナゲが咲いていました。
その写真を撮ったのですが、後で写真を見ていて小さな甲虫が写っているのに気が付きました。
後脚がやたらと太い、変わった外見だったので、直ぐにモモブトカミキリモドキと分かりました。
仲間にはヤケドムシの名を持つものがいる、有毒な体液を持つ厄介な昆虫です。

クロウリハムシ(Aulacophora nigripennis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ハムシ科・ヒゲナガハムシ亜科>
 
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
7mm程のハムシで、頭部、胸部がオレンジ色で、上翅と脚は黒いのが特徴。
体色には変異があり、藍色、金緑色、黒銅色などの光沢を持つ。
カラスウリ類の葉を好んで食べるが、他の多くの植物も食べる。
幼虫は、地中でウリ類の根を食べ、成虫で越冬する。

2017/5/30
萬葉草花苑で、サラサウツギ(八重のウツギ)の花で、クロウリハムシを見かけました。
腹部がかなり大きく膨らんでいるので、この個体はメスだと思われます。
オレンジ色の胸部、頭部に真っ黒な眼がキュートですね。

ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ヒラタムシ上科・テントウムシ科・
テントウムシ亜科・テントウムシ族>

テントウムシ科の昆虫で、在来種。赤色の前翅に7つの黒紋があり、これが和名の由来。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、アジア、ヨーロッパ、北アフリカと広く分布している。
体長は8o前後で、ほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。
頭部、胸部は黒色で、胸部の左右に淡黄色の斑紋、頭部にもいくつかの横斑がある。
前翅は、赤いものと黄色味を帯びたものがあり、大きさに変異はあるが黒斑が4個ある。
なお、前翅を閉じたとき、前翅の基部近くにある黒斑はつながって1つになり、全体で7つに見える。
幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫であり、天敵としての利用も研究されている。

2017/5/3
通路脇に生えていたヤハズエンドウの葉の上をせわしなく動く、ナナホシテントウが居ました。
主食であるアブラムシでも探しているのでしょう。とにかくじっとしていません。

ヤマトシリアゲ(Panorpa japonica)
<シリアゲムシ目・シリアゲムシ亜目・シリアゲムシ科>
   
シリアゲムシ目シリアゲムシ科の昆虫で、日本では、本州から四国、九州に分布する。
晩夏に現れるものは黄色っぽくて小さく、かつてはベッコウシリアゲと呼ばれていた。
林縁部の葉に止まっていることが多く、よく飛び回るが、長くは飛ばず直ぐに止まる。
幼虫は、土中で虫を食べる肉食で、成虫も他の昆虫を捕食したり、死骸なども食べる。
なお、成虫の出現時期は4月〜9月で、体長20o前後、前翅長もほぼ同長。

2017/5/30
萬葉草花苑でヒエラキウム・アルピヌムを撮影していると、ヤマトシリアゲのメスが飛んできて止まりました。
最近、何度か見かけたヤマトシリアゲですが、メスが多くて、オスを見たのは1度きりでした。
なお、和名はオスの腹部の形状に由来しているので、メスを見てもピンとこないです。


ヤマトシリアゲのオスとメス

 
2017/5/19<オス>       2017/5/19<メス>
城山湖畔で見かけたヤマトシリアゲのオスとメスです。
腹部の上がり具合も、腹部端の形状も雌雄で大きく異なります。
オスの腹部はサソリのように大きく跳ね上がって、くるりと曲がっています。
その腹部端には、ハサミムシのような角状のものが2本内側に湾曲して付いています。
一方、メスは若干腹部端を持ち上げる程度で、腹部端もスラっとすぼまってスマートです。

 
2017/8/5<オス>     2016/8/6<メス>
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけた、晩夏に現れるベッコウシリアゲと呼ばれていたタイプです。
通常の上記のような黒い体色のヤマトシリアゲに交じっていました。


ハラヒシバッタ(Tetrix japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・ヒシバッタ上科・ヒシバッタ科・ヒシバッタ亜科>
 
ヒシバッタ科のバッタで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア極東地域に分布する。
体長はオスで8〜10mm、メスで9〜13mmほどしかなく、翅も短いのでほとんど飛ばない。
その代わり、後脚が強く、ジャンプ力がある。
乾いた草地に棲む、最も普通に見られるヒシバッタで、背部の斑紋の変異は大きい。

2017/9/5
萬葉草花苑を歩いているとき、足元で何かが跳ねました。
何だろうとよく見ると、ハラヒシバッタが何匹かそこに居ました。
背中の斑紋は、上記の2種類が確認できました。

ハネナガイナゴ(Oxya japonica japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>

バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、本州以から四国、九州に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアからインドに広く分布する。
体長は40o前後で、体の側面に濃茶色の筋が入った明るい緑色のバッタ。
翅は、腹端や折り曲げた後ろ足よりも長いのが特徴。
イネ科の植物の葉を摂食するので、イネの害虫でもある。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。

2017/9/5
花菖蒲田の縁を歩いていた時、葉の上にハネナガイナゴが留まっていました。
草原などでよく見かけるスマートなイナゴです。

 
2018/10/2
花菖蒲田の木道と側道脇の落ち葉の上で見かけたハネナガイナゴです。
左の腹部がスマートな方はオスで、右の少しふっくらしている方はメスと思われます。

オンブバッタ(Atractomorpha lata)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・オンブバッタ科・オンブバッタ亜科・オンブバッタ属>
 
オンブバッタ科オンブバッタ属のバッタで、草地や畑などで普通に見られる。
メスの上にオスが乗っている姿をよく見かけるが、それが和名の由来になっている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに広く分布する。
体長はオスが25mm前後、メスが42mm前後で、バッタの仲間では小型の部類に入る。
体色は緑色と褐色の2タイプがある。頭部は先が尖り、先端付近に触角と複眼が付く。
体の断面は3角形に近く、複眼から前胸部、後脚腿節に伸びる線で、背面と腹面が分かれる。
成虫の翅は前後とも先が尖り、後翅は透明で基部が黄色味を帯びる。
動きは鈍く、長い翅を持つが飛ぶことはほとんどなく、後脚で跳躍したり、歩いて移動する。

2017/9/1
薬師池からハス田の方に向かう途中、通路脇でオンブバッタのメスを見かけました。
オスが乗っかっていることが多いのですが、この時はメスのみでした。

 
2018/9/28
萬葉草花園側の小川の近くで見かけたオンブバッタです。
右の交尾しようとしているカップルに対して、別のオスが横恋慕でもしているのでしょうか。
下側のメスの体色は、上のオスや昨年見かけたメスに比べて、色が濃く、斑点が入っています。

ヤブキリ(Tettigonia orientalis)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・キリギリス科・
キリギリス亜科・ヤブキリ族・ヤブキリ属>

キリギリス科ヤブキリ属の昆虫で、和名は藪に棲むキリギリスの意味。
日本では、本州から四国、九州に分布する。北海道には人為的あるいは偶発的に移入したとみられる。
体長は50o前後で、体色は緑色が大半であるが、稀に黒褐色のものも現れる。
翅は副担より少し長く、頭頂から翅先まで褐色の筋が背面を貫く。
幼生時代は草原などで生活し、若齢虫は葉や花などを食べるが、成虫に近づくにつれ肉食になる。
成虫になると樹上生活に移動し、肉食となり、カマキリやセミなども捕食する。

2017/5/3
ボタンの花にバッタの幼虫が止まっていました。
後で調べると、ヤブキリの若齢幼虫にそっくりでした。
成虫は肉食の樹上生活者ですが、若い幼虫は草原などで暮らすベジタリアンです。

 
2018/4/19
クサノオウの花を撮ろうとして近づいたとき、ヤブキリの幼虫がいることに気が付きました。
昨年見かけたものは触角が切れていましたが、この個体は完璧でした。
胸部から腹部にかけての背面にある、茶褐色の帯模様もきれいに見えています。


ヤブキリの成虫

 
2013/8/24<オス>
新潟県胎内市の「胎内自然天文館」近くで雨の中野営した際、翌朝、テントの上にいました。
この日は、コオロギ、クルマバッタモドキなど多くのバッタ類が、テントに登っていました。
おそらく、夜中も降り続いた雨でぬかるんだ地面を避けて、テントに登っていたものと思われます。
その中の1匹が、テントの最上部に陣取っていた、このヤブキリでした。
朝になって、人の往来が増えてくると、テントから降りて移動していきました。










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