薬師池公園で見かけた昆虫T
和名インデックス |
ジャコウアゲハ(Byasa alcinous)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・キシタアゲハ族・ジャコウアゲハ属> アゲハチョウ科のチョウで、体内に毒を蓄積するため、幼虫、成虫とも捕食されにくい。 そのため、クロアゲハやオナガアゲハなど本種に擬態して身を守るものがあり、ベーツ擬態と呼ばれる。 日本では、本州の秋田県以南から八重山諸島まで分布し、南西諸島では多くの亜種に分かれる。 成虫の前翅長は45〜65oあり、翼開長は10cmほど。後翅が他のアゲハチョウと比べ、斜め後方に長く伸びる。 雌雄差が大きく、オスの翅色は光沢のある黒色であるが、メスは明るい褐色で、その差は明瞭。 なお、オスの腹端から麝香のような匂い(成分はフェニルアセトアルデヒド)がするのが和名の由来。 幼虫はウマノスズクサ類を食草とするが、毒性のあるアリストロキア酸を含むため、それが体内に蓄積する。 この蓄積した毒は、羽化して成虫になっても体内に残る。 なお、本種の分布域は広いが、発生は食草のある所に限定されるので、見られる場所は限られる。 幼虫は、ナミアゲハなどと異なり、終齢虫になっても緑色にならず黒いままで、全体に突起がある。 突くと臭角を出す点は、他のアゲハ類と同じであるが、臭角は少し出す程度である。
2018/4/19
萬葉草花園を歩いていたとき、突然、黒いアゲハチョウが飛んできて、目の前に止まりました。 春先なので、少し小型のクロアゲハだと思い、写真を撮りました。 後で、写真を見直したとき、クロアゲハにしては後翅の尾状突起が長すぎることに気が付きました。 オナガアゲハかと思って、もう一度見直したとき、腹部端に赤い部分がある事に気が付きました。 オナガアゲハにはそのようなものはありません。ジャコウアゲハのオスでした。 片方の尾状突起が欠損しているのは残念でしたが、ジャコウアゲハを見たのは初めてでした。 | ||||||
ウラギンシジミ(Lampides boeticus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ウラギンシジミ亜科・ウラギンシジミ属> 典型的な暖地性のチョウで、日本では本州以南に分布する。 日本以外ではヒマラヤ地域から中国にかけて分布する。 幼虫の食草は、マメ科のクズやフジなどで、花や蕾を食べる。 成虫は、5月〜10月に見られ、花・樹液・腐果などに集まる。そして、成虫で越冬する。 翅の裏は、銀色一色で、これが和名の由来です。 翅の表側は、オスはオレンジ色、メスは白から淡い水色をしていて、識別は容易。
2017/6/9
花菖蒲田で、白っぽい蝶が飛んでいるのを見かけました。 飛び方がモンシロチョウ属のそれとは異なります。 よく見ていると、オレンジ色がちらちらと見えます。ウラギンシジミのオスでした。 | ||||||
ベニシジミ(Lycaena phlaeas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属> ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 冬は幼虫で越冬する。
2017/5/3
花菖蒲田脇の通路横に生えていたドクダミの葉に、ベニシジミが止まっていました。 羽の色から春型、前翅の形状からメスと思われます。 | ||||||
スジグロシロチョウ(Pieris melete)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属> シロチョウ科モンシロチョウ属に分類されるチョウで、在来種。 日本を含め、中国東北部、東シベリア、朝鮮半島に分布している。 日本でもほぼ全国でみられる。冬は幼虫で越冬する。 翅脈の周りの鱗粉が黒くなっている点がモンシロチョウとの識別点で、特にメスでは顕著。 モンシロチョウが比較的日当たりのよい草原を好むのに対し、本種はやや薄暗く湿った場所を好む。 春型では翅の裏側翅脈に沿い灰色の筋が見られ、夏型では表面の黒紋が大きくなる。 幼虫の食草は、イヌガラシ、ダイコンなどのアブラナ科植物。
2016/7/12
菖蒲苑の中を流れる小川を、スジグロシロチョウが飛び回っていました。 見ていると、食草のイヌガラシで産卵中のようです。 そこにオスが交尾しようと近づいてきたのですが、草陰に入ってしまいました。 見える所まで移動したときには、オスは飛び立ってしまいました。 見ると、メスが葉の上で尾部を斜め上に持ち上げて、拒絶のポーズを取っていました。 産卵中ということは、既に交尾は終わっていますので、当然の結果ということですね。 2016/7/20 薬師池公園は林が多いので、比較的うす暗い所を好むスジグロシロチョウが多いです。 というか、時期的なこともあるのかもしれませんが、モンシロチョウを見かけません。 この日も、スジグロシロチョウが産卵中で、メスばかりが目に付きます。 右端の写真で、チョウの手前にある果実の柄の部分に、産み付けられた卵が見えています。 | ||||||
キタキチョウ(Eurema mandarina)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・モンキチョウ亜科・キチョウ属> シロチョウ科キチョウ属に分類されるチョウで、在来種。 日本では、本州の東北南部から四国、九州、南西諸島に分布する。 海外では、アフリカ中部以南からインド、東南アジア、オーストラリアと広く分布している。 翅は黄色で、前翅、後翅とも外縁は黒色に縁どられ、裏面に黒褐色の斑点がある。 夏型の外縁の黒帯は幅広で、秋型では黒帯は先端に少し残るか、消失する。 幼虫の食草は、ネムノキ、ハギ類のマメ科の植物で、年に数回発生し、成虫で越冬する。 以前は1種とされたが、現在では下記の2種に分類された。しかし、外見からは識別困難。 ・キチョウ(ミナミキチョウ/Eurema hecabe) 南西諸島に分布する ・キタキチョウ(Eurema mandarina) 本州から南西諸島に分布する
2012/10/8
薬師池からハス田に向かう途中で、イヌトウバナで給蜜中のキチョウを見かけました。 撮影場所から、本種、キタキチョウで間違いはないと思います。 翅裏に黒い斑点があり、翅表の縁にある黒帯が先端に少し残っているだけなので、秋型です。 2017/5/30 花菖蒲田への引水が多少ある程度でしたので、キタキチョウが給水をしていました。 翅裏に黒い斑点がなく、羽表の縁に幅広な黒帯が見られますので、夏型です。 | ||||||
コミスジ(Neptis sappho)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ族・ミスジチョウ属> チョウ目タテハチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、種子島まで分布するが、それ以南には分布しない。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、欧州南東部に分布する。 幼虫の食草は、クズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物である。3齢幼虫で越冬する。 翅の表面は黒褐色で裏面は明るい褐色。前翅に1本、後翅に2本の白い帯模様がある。裏の模様も同じ。 なお、翅を開いて止まることが多いが、その際、3本の帯模様に見える。これが和名「ミスジ」の由来。 成虫は、4月〜11月と長期間見られ、低地や丘陵地の森林周辺に多く見らる。 飛び方に特徴があり、数回羽ばたいてはスーっと滑空するのを繰り返す。 なお、ミスジチョウ属はよく似ていて、その見分け方に関してはミスジチョウの項を参照ください。
2017/4/28
花菖蒲田を降り切ったあたりを、ひらひらと飛んでいるコミスジを見つけました。 止まることなく、花菖蒲田の上を飛んで行ってしまったのですが、水車小屋近くで、再度遭遇。 今度は、近くの樹の葉に止まってくれましたが、高い所なので望遠での撮影となってしまいました。 | ||||||
ミスジチョウ(Neptis sappho)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ族・ミスジチョウ属> タテハチョウ科ミスジチョウ属の1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布し、東アジアの特産種である。 前翅長は30〜38mmで、開張はオス56〜67mm、メス69〜77mmである。 翅は横長で黒褐色の地に白帯が前翅に1本、後翅に2本あり、翅を開くとこれが「三」字に見える。 これがミスジチョウ属の名前の由来で、ホシミスジ、コミスジ、オオミスジなど、模様は似ている。 この帯模様以外に、前翅外縁の先端付近に横長の白斑が並ぶ。 翅裏の模様も翅表とほぼ同様であるが、地色は明るい茶色になる。 なお、ミスジチョウの前翅の白帯は切れ目がなく、直線状であることが特徴。 イチモンジチョウ亜科のチョウは、翅を開いて止まることが多いのが特徴である。 また、飛ぶときは数回羽ばたいた後、翅を水平に開いて滑空するように飛ぶのも特徴。 成虫は5月〜8月かけて年1回発生する。この初夏に発生した個体が産卵する。 孵化した幼虫が越冬し、翌春に活動開始して蛹になり、羽化して成虫が出現する。 幼虫の食草は、イタヤカエデ、ヤマモミジなどのカエデ類である。 ミスジチョウは、近縁種のコミスジより生息域が狭く、また、やや高い所を飛ぶ。 ミスジチョウ属は似ているが、前翅に見られる白い帯模様から、下記のように識別できる。
2017/5/30
時折、コミスジ(と思っていた)を見かけますが、相変わらずひらひらと飛んでいて、止まりません。 水車小屋近くに来た時、地面で給水しているのを見つけました。 近づくと逃げられましたが、また、戻ってきたので、数mの距離から撮れました。 コミスジだと思いんでいたのですが、ある時、翅の模様が異なることに気が付き、調べ直しました。 その結果、コミスジではなく、ミスジチョウであることが判明しました。よく確認しないといけませんね... | ||||||
アカボシゴマダラ(Hestina assimilis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・コムラサキ族・ゴマタラチョウ属> タテハチョウ科ゴマタラチョウ属のチョウで、在来種。 日本を含め、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナムまで分布している。 日本では、奄美諸島でのみ生息が確認されているが、固有の亜種(H. a. shirakii Shirozu)になる。 亜種には、他に台湾に分布するformasana亜種と、中国南部に分布するassimilis亜種がいる。 本個体も含め、関東近縁で確認されているのは、大陸型の亜種(H. a. assimilis)とされている。 最近は、関東北部や静岡などでも確認されており、分布が拡大している。 そのため、関東近縁で確認されている移入個体群は、「特定外来生物」に指定されている。 前翅長は40〜53mmあり、翅は黒地に白の斑紋があり、後翅に赤班列がある。 発生時期は4月〜10月で、少なくとも年に3回は発生している。 その内、早春に現れる白化型では赤い斑紋がなく、全体に白っぽくなる。 なお、奄美諸島の在来種には白化型は見られず、後翅に赤班列が発達している。 幼虫の食草は、関東ではエノキ、奄美ではクワノハエノキである。
2016/7/20
旧荻野家住宅の方に行ったとき、目の前を横切って飛んで行ったチョウがいました。 かなり大型で黒い筋模様と赤い斑紋があったので、ゴマダラチョウの仲間と判断しました。 前庭の砂利との境の敷石に止まったので、そっと近づいて撮ったのですが、逃げられました。 しばらくすると戻って来て、建屋の根太に止まって何かを吸い始めました。 木の表面に染み出している何かを、黄色い口吻を伸ばして盛んに吸っていました。 ※ この写真は夏型のアカボシゴマダラですが、春型についてはこちらを参照ください。 | ||||||
クロヒカゲ(Lethe diana)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・ヒカゲチョウ属> タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科に分類されるチョウの一種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、サハリンに分布する。 出現時期は5月〜9月で、平地から亜高山帯まで広く見られる。 雑木林の内部や山道沿いの暗い所を好み、樹液にもよく来る。 開張は50〜60mmで、翅表は黒褐色の地色に小さな蛇の目模様がある。 翅裏は、黒褐色の地色に白線と大小の蛇の目模様がある。 なお、後翅中央に毛が生えているものはオスである。 幼虫の食草はササ類各種(チシマザサ、ネザサ、クマザサなど)。2〜4齢幼虫で越冬する。 本種には、よく似たヒカゲチョウとクロヒカゲモドキがおり、その識別点は下記の通り。
2018/10/2
薬師池公園の裏門近くの林内で、数匹のジャノメチョウの仲間が飛び回っていました。 その内の1匹が近くの葉に止まったので、撮影して確認するとクロヒカゲでした。 ※ 右の写真は、確認ヶ所を示したものですが、前翅の暗色条は1本しか確認できませんでした。 また、前翅の眼状紋で、3個目が見当たらないので「クロヒカゲモドキ」ではないと分かります。 決め手は、後翅の暗色条が大きく「く」の字に曲がっている点で、クロヒカゲとしました。 | ||||||
ルリタテハ(Kaniska canace)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・タテハチョウ亜科・タテハチョウ族・ルリタテハ属> タテハチョウ科ルリタテハ属に分類されるチョウで、ルリタテハ属唯一の現存種である。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島までに分布する。 なお、トカラ列島以南のものは南西諸島亜種(K. c. ishima)、 種子島・屋久島以北のものは本土亜種(K. c. no-japonicum)に分類されている。 海外では、東アジアから南アジアまで、広範囲に分布する。 成虫の前翅長は25〜45mmで、濃い黒褐色の翅の表面に鮮やかな瑠璃色の帯模様が入る。 この帯模様は前翅の先端部で切れ、白い斑点がつく。 裏面は灰褐色で細かい模様があり、樹皮や落ち葉に似ている。 成虫で越冬し、早春にはキタテハやアカタテハなどと共にいち早く飛び始める。
2018/4/13
薬師池公園では、ルリタテハを何度か見かけたことがあります。 しかし、遠くを飛び過ぎていくのを見送るしかありませんでした。 萬葉草花園で写真を撮っているとき、ルリタテハが飛んできて、近くの柵に止まりました。 めったにないチャンスと、そっと近づきながら撮ったのですが、翅裏を撮ろうとしたときに逃げられました。 | ||||||
イチモンジセセリ(Polytremis pellucida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・イチモンジセセリ属> セセリチョウ科イチモンジセセリ属の蝶で、在来種。 日本では、ほぼ全国で見られるが、北海道ではあまり多くは生息していない。 海外では、朝鮮半島から中国、ヒマラヤ、ボルネオと広く分布する。 成虫で越冬するが、寒い地方では越冬できない。 全身が茶色一色で、前翅長は20o前後、後翅裏に横長の白紋が4つ、1文字状に並ぶ。 人家周辺から里山にかけて見られ、羽音を立てて敏速に飛ぶ。 幼虫の食草は、イネやススキ等のイネ科やカヤツリグサ科の植物で、そのため、イネの害虫とされる。 成虫は年3〜5回、6月〜8月頃に発生し、南下して10月頃までいる。 雌雄差は少ないが、以下の点で識別可能。
同じセセリチョウ科のオオチャバネセセリやチャバネセセリと良く似ているが、下記で区別可能。
2018/10/2
萬葉草花園でダンギクの周りを飛び回りながら、せわしなく吸蜜していました。 萬葉草花園外の小川の近くで咲くヒヨドリバナでも、多くのイチモンジセセリが吸蜜していました。 上の写真で、左端がオスで、他の2枚の写真はメスです。 上の写真で最も分かりやすい違いは、前翅先端の形状です。オスは尖り、メスは少し丸まります。 | ||||||
チャバネセセリ(Pelopidas mathias oberthueri)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・チャバネセセリ属> セセリチョウ科に分類されるチョウで、東アジアからオセアニアにかけて分布する。 日本で見られるのは亜種で、関東以西の暖かい所で幼虫で越冬する。 成虫の前翅長は13〜21mm。イチモンジセセリと比べて翅が縦に長い。 また後翅裏の白点(イチモンジセセリは横に長い白点)が4ヶ所ある。 年3〜4回、6月〜11月頃に発生する。関東地方では秋に多く発生する。 幼虫の食草は、イネやススキなどのイネ科の植物や、タケ科やカヤツリグサ科の植物である。
2016/10/7
薬師池公園の奥、菖蒲苑の上の方の林内でノハラアザミで給蜜中のセセリチョウを見かけました。 イチモンジセセリかと思ったのですが、翅の白点の並びが異なります。 後で、調べた結果、チャバネセセリと分かりました。 | ||||||
コチャバネセセリ(Thoressa varia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・ホシチャバネセセリ族・コチャバネセセリ属> セセリチョウ科に分類されるチョウで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州の離島を除く、低地から山地にかけて広く分布する。 海外では、サハリンに分布する。 イチモンジセセリやオオチャバネセセリなどに似ているが、次の点で区別できる。 春先から真っ先に活動を開始すること、翅の長さが短いこと、斑紋の入り方です。 後翅表面には白紋が入らないか、不規則に小さな白斑が入り、裏面には3個の楕円の白斑が入る。 なお、翅の地色は、季節や地域での変異があり、春型は黒っぽく、夏型は明るくなる。 幼虫の食草はタケ科植物で、終齢幼虫で越冬する。早春に蛹になり、羽化する。
2016/7/12
菖蒲苑近くのヤブミョウガの葉に止まっている本種を見かけました。 翅裏が黄褐色で、翅脈が暗褐色に見えるので、比較的見分けやすいチョウです。 | ||||||
ホタルガ(Pidorus glaucopis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ マダラガ科・ホタルガ亜科> 2018/9/28 2018/9/28 2018/10/2
マダラガ科の蛾で、日本では北海道から本州、四国、九州、沖縄とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾にも分布する。 黒地に赤い頭部と翅の太い白帯模様がよく目立つ蛾で、昼間、林縁などをひらひらと飛ぶ。 なお、黒い体色に頭部が赤い特徴が、ホタル似ているのが和名の由来である。 触角は櫛歯状で、オスの櫛歯は長くて立派だが、メスの櫛歯は短い。 幼虫はサカキとヒサカキを食草とし、毒針毛は無く、分泌液を出す。 分泌液に触れると、半日ほどして軽い発赤と痒感が現れる。 ※ よく似たシロシタホタルガは、白帯が中央寄りにあり、後翅が白い点で区別できる。
2018/9/28 萬葉草花園の脇を流れる小川に畔で、ヒヨドリバナの花に来ていました。
角度を変えて撮ろうと目を離した数秒の間に、逃げられました。 2018/10/2 花菖蒲田の水車小屋の裏を通った時、フワフワと飛んでいるホタルがを見ました。 近くの木の葉に止まったので、そっと近づき、アップで撮影しました。 頭部の赤い色が毒々しいですね。触角の櫛の歯も良く分かると思います。 なお、これらの個体の触角は、櫛歯が短いのでメスです(オスの櫛歯はもっと幅が広い)。 | ||||||
シロオビノメイガ(Spoladea recurvalis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・メイガ上科・ ツトガ科・ノメイガ亜科> ツトガ科ノメイガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 日本以外では、アジア、オーストラリア、北米まで広く分布している。 出現時期は6月〜11月で、年に5〜6回と多い。 開張は21〜24mmで、前翅、後翅はともに濃褐色で、それぞれのほぼ中央に白条が1本ある。 さらに、前翅には前縁から後縁に向けて中央部まで1本の白条がある。 日中に草原などでよく見られる昼行性で、花の蜜を求めて訪花する。また、灯火にもよく飛来する。 幼虫は、アカザ科(ホウレンソウ、アカザなど)やウリ科の葉を食害する。 幼虫は5齢を経て体長15mm前後の終齢幼虫となる。 終齢幼虫の頭部は淡黄褐色で、多くの褐色斑紋があり、胴部は半透明で、緑色を帯びる。
2018/10/2
萬葉草花園の脇を流れる小川に畔で、ヒヨドリバナの花に来ていました。 濃褐色に白い帯模様が特徴的な小型の蛾で、訪花している所をよく見かけます。 | ||||||
シロモンノメイガ(Bocchoris inspersalis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・メイガ上科・ ツトガ科・ノメイガ亜科> ツトガ科ノメイガ亜科に分類される蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に広く分布する。 海外では、台湾から東南アジア、オーストラリア、アフリカなどに広くに分布する。 開張は20o前後あり、成虫は5月〜10月にかけ、2回発生する。 黒い地色に白い斑紋があり、昼間、蜜を求めて草むらなどを飛び回る。 また、夜には灯火に良く飛来する。
2018/9/28
萬葉草花園の脇を流れる小川に畔で、ヒヨドリバナの花に来ていました。 黒い体色に白い斑紋が特徴的な蛾ですが、同じようなデザインの蛾は何種類かいます。 胸部や腹部の白紋、前後翅の白紋の特徴から本種と判断しました。 | ||||||
マメチャイロキヨトウ(Mythimna stolida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・ヨトウガ亜科> ヤガ科・ヨトウガ亜科の蛾で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。海外では台湾に分布する。 開張は30mm前後で、前翅の先端付近に波状の幅広く明るい帯がある。 成虫の出現時期は4月〜10月で、幼虫はイネ科のヌマガヤを食べる。
2018/9/28
萬葉草花園の脇を流れる小川に畔で、ヒヨドリバナの花に来ていました。 角度を変えて撮ろうとして目を離したとき、逃げられてしまいました。 あまり特徴のない翅の模様や、翅の縁がかなり傷んでいて、同定には苦労しました。 最も特徴が似ていることから本種としましたが、自信はありません。 | ||||||
オオアオイトトンボ(Lestes temporalis)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・アオイトトンボ属>
アオイトトンボ科アオイトトンボ属のトンボで、日本のアオイトトンボ属では最大種。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州と広範囲に分布する。海外では、ロシアに分布する。 体全体が金緑色をした美しいイトトンボで、体長はオスで40〜55o、メスで40〜50mm。 腹長はオスで30〜43mm、メスで31〜39mm、後翅長はオスで21〜27mm、メスで23〜30mm。 成虫は5月中旬くらいから羽化が始まり、11月くらいまで見られる。 水面に覆いかぶさった木の樹皮に産卵するため、水際に木立のある池沼や湿地に生息している。 アオイトトンボに似るが、以下の点で区別することができる。 オオアオイトトンボのオスは、成熟すると、尾端の第10節のみが白く粉を吹く。 一方、アオイトトンボのオスは、尾端の第9、第10節に白く粉を吹き、また、胸部周辺にも白粉が吹く。 オオアオイトトンボは、胸部金属光沢部の形状が三角形状で、中胸部前側下板まで届く。 一方、アオイトトンボは、胸部金属光沢部の形状が矩形に近く、中胸部前側下板に金属光沢がない。
2016/10/7
ハス田の周りにはアカトンボがたくさん止まったり、飛んだりしていました。 その撮影をしていて、足元に連結したイトトンボがいるのに気が付きました。 撮影しようとカメラを向けた時に飛び立ってしまったため、この1枚しか撮影できませんでした。 同定でアオイトトンボと迷ったのですが、胸部の模様、メスの尾端の形状から本種としました。 | ||||||
アキアカネ(Sympetrum frequens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
<メス> <メス> <オス> <メス> <オス> トンボ科アカネ属に分類されるトンボで、俗に赤とんぼと呼ばれるトンボの1種である。 日本の固有種で、極東アジアからヨーロッパにかけては、近縁種のタイリクアキアカネが分布する。 国内分布は、北海道から本州、四国、九州、島嶼部(小笠原諸島と沖縄県を除く)である。 全長はオスで32〜46mm、メスで33〜45mm、腹長はオスで19〜29mm、メスで21〜20mm。 後翅長は、オスで25〜34mm、メスで26〜34mmある。 5月下旬〜6月下旬にかけて羽化した成虫は、しばらく平地にいるが、体力つくと高地に移動する。 標高3,000mくらいまでの高地で、7月〜8月を過ごし、成熟するのを待つ。 夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。 特にオスは赤くなるが、ナツアカネと異なり、胸や頭部までは赤くならない。 秋に成熟した個体は、秋雨前線の通過後、気温が下がるのを待って平地に戻ってくる。
2016/10/7
ハス田の周りにはアカトンボがたくさん止まったり、飛んだりしていました。 見ただけでは判断できなかったので、写真を撮り、後で整理しました。 その中に写っていたアキアカネのオスとメスです。 メスの腹部はのっぺりしていますが、オスの腹部には副性器の出っ張りがあります。 この写真のオスは、まだ、未成熟のようで、ほとんど赤くなっていません。 | ||||||
ナツアカネ(Sympetrum darwinianum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
<メス> <オス> <オス> <メス> <オス> トンボ科アカネ属に分類されるトンボで、俗に赤とんぼと呼ばれるトンボの1種である。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 日本以外では、朝鮮半島から中国中部、台湾に生息している。 全長は33〜43mm、腹長は20〜28mm、後翅長は23〜32mmで、アキアカネより若干小さい。 出現時期は、6月下旬〜12月上旬で、アキアカネと異なり、夏も平地で見られる。 夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。 特にオスは全体が赤くなり、まさに赤トンボの名にふさわしい色になるが、メスは腹部の上面のみ赤くなる。
2016/10/7
ハス田の周りにはアカトンボがたくさん止まったり、飛んだりしていました。 見ただけでは判断できなかったので、写真を撮り、後で整理しました。 その中に写っていたナツアカネのオスとメスです。 メスの腹部はのっぺりしていますが、オスの腹部には副性器の出っ張りがあります。 この写真のオスは、成熟して、胸の一部も赤くなっています。
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マユタテアカネ(Sympetrum eroticum eroticum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
トンボ科アカネ属のトンボで、和名は本種の特徴である顔面にある眉状斑に由来する。 日本では北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布する。南西諸島の一部にも分布する。 海外では朝鮮半島から中国、ロシア、台湾に分布する。 平地から低山地にかけての水辺に生息し、木立のあるやや薄暗い所に多い。 アカネ属の中ではやや小型で、体長は30〜40o程度、雌雄とも顔面に眉斑と呼ばれる黒斑がある。 オスは、腹部がやや弓なりに反り、尾部上付属器の先端が上に反っているので分かり易い。 メスの産卵弁は幅広く、中央部が凹む。体色は、雌雄とも未熟期は、黄褐色をしている。 オスは、成熟すると腹部は赤化し、胸部は暗褐色になる。 メスは、成熟しても体色が濃くなる程度のものが多いが、稀に腹部が赤化する個体がいる。 また、メスには翅の先端に褐色の斑紋があるものもおり、その組み合わせで4型が存在する。
2016/7/12
菖蒲苑脇の通路沿いの葉の上に止まっている、小型のアカトンボを見つけました。 顔を見ると眉の様な黒斑が見えたので、直ぐに本種と分かりました。 2匹いたのですが、尾端の反り返った上付属器や副性器があるので、オスでした。 2016/7/25 今日はメスにも会えました。見かけたのは2タイプです。 斑紋なしで赤化しないタイプ、斑紋ありで赤化しないタイプです。 2016/10/7 今日は、何種類かのアカトンボが混じっていたので、種類を見分けるのが大変でした。 後で、写真を拡大しながら仕分けたのですが、本種は比較的分かり易いです。 単独で飛んだり止まったりしていたのは、場所柄、オスだけのようでした。 2016/10/7 薬師池の側にある芝生の広場で、連結しているマユタテアカネを見かけました。 近づくと飛んでしまったのですが、近くの木の葉に止まってくれました。 少し見上げる形にはなりましたが、可能な限り近づいて撮影しました。 下の4枚は、その結合部分を拡大したものです。オスはメスの首を尾部の付属器で挟みます。 メスは、尾部をオスの副性器に合体させて、精子を受け取ります。 なお、オスは、交尾前に尾端にある生殖孔から副性器に精子を移動させておきます。 2017/9/1 薬師池公園の花菖蒲田付近は、いろいろなトンボが見られる場所です。 その花菖蒲田脇の通路沿いで、マユタテアカネの成熟したオスとメスを見つけました。 メス(上段)は、斑紋なしで赤化しないタイプですが、成熟して褐色味が強くなっています。 オス(下段)は、成熟して胸部が褐色に、腹部が真っ赤になっています。 2018/10/2 ハス田の近くにある小さな池で、マユタテアカネが産卵をしていました。 日陰で薄暗いうえに、産卵時の動きが早くて、うまく撮影できていません。 ピントが甘く、ぶれていますが、何とか判別可能なものはこの2枚だけでした。 | ||||||
リスアカネ(Sympetrum risi risi)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
トンボ科アカネ属のトンボで、和名のリスは、スイスのトンボ学者Friedrich Risの名前に由来する。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、東北以北では少ない。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。 成虫は体長40mm前後、翅の尖端に褐色斑がある。雌雄とも顔面に眉斑はない。 成虫は、6月下旬頃から羽化が始まり、11月下旬頃まで見られる。 周囲を樹林に囲まれたような閉鎖的な池沼でよく見られ、薄暗い環境を好む。 遠くまで移動することはなく、羽化後も成熟するまで、羽化水域の近くで摂食活動を行う。 未熟なうちは雌雄とも黄褐色の体色で、成熟した雄は腹部が赤色に、胸部は濃い褐色になる。 雌は成熟しても体色が全体に濃くなる程度である。ただ、寒冷地では赤化する個体が見られる。 雌雄とも、成熟が進むと翅の先端だけでなく、翅全体がやや褐色を帯び、顔面は濃黄色になる。 産卵は、打空産卵(空中から卵を振り落とす)で、水の枯れた池畔、沼地などに産卵する。 卵はそのまま越冬し、翌春に産卵場所が増水して水没すると孵化する。
2016/7/25
菖蒲苑脇の通路沿いの葉の上に止まっている、多くの小型のアカトンボを見つけました。 眉斑があったので、マユタテアカネだと思って、撮っていました。 後で、整理している時、斑紋ありで赤化する珍しいメスだと思った個体がありました。 しかし、よく見ると胸部に黒い筋模様があり、眉斑もありません。 再確認して、本種と分かりましたが、マユタテアカネの中に、これ1匹だけが紛れていたようです。 副性器も見えていますので、オスです。まだ、十分に赤化していないようです。 2017/9/5 薬師池公園の花菖蒲田付近で、リスアカネの成熟したオスを見かけました。 最初にパッと見たとき、マユタテアカネのオスだと思ってしまいました。 しかし、翅の尖端に褐色斑があり、顔面に眉斑がないので、本種と分かりました。 よく見ると、褐色の胸部に黒い縦筋も確認できます。 | ||||||
コノシメトンボ(Sympetrum risi risi)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
トンボ科アカネ属のトンボで、和名は小型のノシメトンボを意味する。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布する。 海外では、中国南部から台湾にかけて、基亜種オオアカネが分布する。 成虫は、体長40o前後で、翅の先端にある黒褐色の斑紋が目立つ。 ノシメトンボに似ているが、名前の通りやや小型で、腹部が太めである。 メスには顔面に眉斑があるが、オスにはない。ただ、薄い眉斑があるものもある。 成虫は7月頃から羽化が始まり、12月上旬まで見られる所もある。 平地から低山地の開放的な池や水田などで見かけることが多い。 雌雄とも未熟なうちは黄褐色で、翅の褐色斑は薄いが、成熟するとオスは全身が赤化する。 メスは成熟しても背面の橙色が濃くなる程度である。 羽化後、成熟するまでは羽化水域から旧領地などの樹林の梢に移動して、摂食活動を行う。 成熟後は、羽化水域にもどり、縄張りを持つようになるが、群を作ることは少ない。 産卵は、打水産卵か打泥産卵を、植生の少ない明るい開けた所で行い、卵で越冬する。
2016/10/7
ハス田の周りにはアカトンボがたくさん止まったり、飛んだりしていました。 見ただけでは判断できなかったので、写真を撮り、後で整理しました。 その中に、コノシメトンボも混じっていたようですが、撮影できたのは雄ばかりでした。 飛び交っていたアカトンボの中でも、一際、真っ赤だったのが本種です。 ノシメトンボとは胸の黒い縞模様が異なり、腹部側の2本が上部で逆U字型につながります。
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ショウジョウトンボ(Crocothemis servilia mariannae)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・ショウジョウトンボ属>
2011/8/17(オス) 2016/7/12(オス) 2016/7/20(メス) 2017/6/9(メス)
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する日本固有種。
なお、南西諸島に分布するものは、タイリクショウジョウトンボ(原名亜種)として区別される。 原名亜種は、台湾、中国南部からインドシナ、マレーシア、フィリピン、ボルネオ、スマトラなどに広く分布する。 羽化直後は、雌雄とも淡い黄色だが、オスは成熟すると眼まで含めて全身真っ赤になる。 メスは、くすんだ褐色になり、雌雄の区別は容易になる。 オスは、水辺の縁に縄張りを持ち、縄張りに沿って哨戒飛行をして、縄張りを守る。 なお、ショウジョウは、中国の伝説上の赤い顔をした動物「猩猩」から来てる。
上段2つは、菖蒲苑の枯れた茎の上に止まっているショウジョウトンボのオスです。
縄張りを持ち、哨戒飛行をして、ときおり、茎に止まって休んでいました。 右のオスの尾端が下に曲がっていますが、上付属器と下付属器を開いているのが見えます。 オスがメスと連結するとき、この付属器でメスの後頭部を挟むのですが、その練習でしょうか。 下段2つはメスで、左側はハス田の縁の欄干に止まっていました。こちらでオスは見たことがありません。 最初、良く似たウスバキトンボだと思ったのですが、翅の基部が黄褐色でしたので、本種と分かりました。 右側のメスは、ハナショウブのツボミに止まっていました。 近くではオス同士が、飛びながらバトルを展開していました。 | ||||||
コシアキトンボ(Pseudothemis zonata)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ベニトンボ亜科・コシアキトンボ属>
日本では、本州から四国・九州にかけて生息している在来種。 海外では、東南アジアから東アジアにかけて広く分布する。 地色は黒色で、腹部の上部が白く、白い部分が空いているように見える事が和名の所以。 なお、白いのは成熟したオスのみで、メスや未成熟なオスは黄色。 未成熟な成虫とオスは、生息水域上の狭い範囲を長時間、ホバリングしながら飛翔する。
2016/7/12
薬師池の上を哨戒飛行中のコシアキトンボのオスです。 ショウジョウトンボ以上に、とにかく忙しなく一定の範囲内を飛び回り、止まることがありません。 そのため、飛び回っているのを追っかけ撮りするしかなく、望遠レンズでは限界があります。 写真は、何枚も撮った中で、比較的良く写っているものですが、ピントは合っていません。 | ||||||
オオシオカラトンボ(Orthetrum triangulare melania)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>
トンボ科シオカラトンボ属のトンボで、在来種。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布する。 海外では、中国中南部に分布する。東南アジアには、別亜種が広く分布する。 体長は、50〜60mm程とやや大型で、オスは濃い水色でメスは黄褐色の体色をしている。 オスは、地域によって特徴があり、本土型、琉球列島型、八重山形の3つに分類される。 なお、本種は複眼も含めて顔面が真っ黒なこと、林縁や林の中など薄暗い場所を好むことで区別できる。
2016/7/12
菖蒲苑で見かけたのは、オオシオカラトンボのオスばかりでした。 周りを木立で囲まれているので、オオシオカラトンボが好む環境ですが、シオカラトンボが見当たりません。 メスはいないかと探したのですが、メスも見当たりませんでした。 2016/7/20 この日、ハス田からの帰り、菖蒲苑の所でオオシオカラトンボの連結飛行を見かけました。 メスを見たのは初めてなので、撮影しようと近づくと、茎に止まってくれました。 撮影していると、急に連結を解き、近くで産卵を始めました。 2016/7/20 メスが産卵中、オスは直ぐ近くをホバリングしながら警戒を怠りません。 他のオスが近づくと、追い出しにかかります。 一方、メスの方は忙しなく飛び回り、適当な場所に打水産卵します。 2016/7/20 ちょうど陰で暗い上、動きが早すぎて追い切れず、ブレボケとピンボケになってしまいました。 それでも、打水産卵で、尾端部分から水が斜め上に飛んでいるのは確認できます。 | ||||||
シオカラトンボ(Orthetrum albistylum speciosum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>
(オス) (オス) 日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、極東ロシアに分布している。 成熟すると雄は体色が黒くなり、胸から腹部の頭部側に白い粉を噴いたようになるのでこの名がある。 未成熟なオスやメスは、黄色に黒の模様が入るので、ムギワラトンボと呼ばれる。 コフキトンボよりスリムで、腹部第4節にヒダがないことで区別できる。
2011/8/17
菖蒲苑では見られなかったシオカラトンボは、ハス田の方で見られました。 ただ、ここで見られたのは成熟途中のオスばかりで、メスは見当たりませんでした。 2016/7/25(オス) 2018/9/12(オス) 2016/7/25 ハス田で見かけた成熟途中のオスです。 ここでもオオシオカラトンボがかなり幅を利かせており、多数派になっていました。 ハスの葉で、薄暗い所が出来るからでしょうか。ちょっと意外でした。 5年前に来た時、オオシオカラトンボがいた記憶はないのですが、その後、何か変わったのかも。 2018/9/12 萬葉草花園側の小川で見かけた成熟したシオカラトンボです。 左の写真は成熟途中で、腹部は塩を噴いたようになっていますが、胸部はまだ変わっていません。 右の写真では、胸部まで塩を噴いたように変わり、複眼の色以外は、オオシオカラトンボとそっくりです。 2018/10/2 ハス田で見かけた交尾中のシオカラトンボの番です。 オスの方はきれいな個体なのですが、メスの方は翅がボロボロでした。 | ||||||
シオヤトンボ(Orthetrum japonicum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している日本固有種。 シオカラトンボによく似ているが少し小型で、オスは成熟すると胸部前側や腹部が白く粉を噴く。 なお、本種のメスは、黄褐色になり、粉は噴かない。 シオカラトンボなどと良く似ているが、本種の翅の基部は黄褐色になることで区別できる。
2017/5/30
裏門から入って花菖蒲田の方へ下っていく途中、黄褐色のトンボが止まっていました。 何かのメスではと思ったのですが、種類まではわかりませんでした。 後で、調べてシオヤトンボの成熟途中のオスと分かりました。 光の加減で、右端の写真が分かりやすいですが、うっすらと粉を吹き始めていました。 | ||||||
ヤマサナエ(Asiagomphus melaenops)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・アジアサナエ属>
サナエトンボ科アジアサナエ属の大型のトンボで、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布し、最も普通に見られる大型のサナエトンボ。 成虫は、4月中旬〜7月上旬に見られ、丘陵地や低山地の流れに普通に生息している。 キイロサナエと酷似しており、識別には注意を要する。下記に各々の特徴を記載する。 ヤマサナエ:翅胸前面の黄色斑は下方で幅が広く、第一側縫線の黒条は切れない。 ヤマサナエのメスでは、キイロサナエのように産卵弁が突き出すことはない。 ヤマサナエのオスでは、尾端の下付属器は上付属器より短い。 キイロサナエ:翅胸前面の黄色斑は細くてほぼ同じ太さで、第一側縫線の黒条は途中で切れることが多い。 ただし、黒条がつながっている個体もある。メスの尾部下方に産卵弁が突出する。 キイロサナエのオスでは、尾端の下付属器が上付属器より明らかに長い。
2005/4/29
水車小屋に降りる通路脇で、シャガの花に大きなトンボが止まっていました。 羽化して間がないのでしょうか、近づいても逃げませんでしたので、間近で撮影できました。 後で調る際、ヤマサナエかキイロサナエかで大いに迷いました。 第一側縫線の黒条は切れていないのですが、翅胸前面の黄色斑は下部が太くなく、おぼ同じ太さです。 つまり、この個体は両方の特徴を備えているのです。さらに調べて、下記の点で本種のメスとしました。 尾端の特徴から、この個体はメスと判断でき、また、尾端下部に突出がない事が確認できます。 2017/5/30 花菖蒲田の縁に止まっている大型のトンボに気が付きました。 翅胸前面の黄色斑の形状、尾端の形状からヤマサナエのオスと分かりました。 2018/4/13 萬葉草花園を歩いているとき、小川の近くでトンボが止まっているのに気が付きました。 木の裏側で、手前の枝が邪魔をして近づけなかったで、手だけ伸ばして撮ったものです。 後で、写真を確認してヤマサナエのオスと分かりました。 ただ、光の加減なのか、前胸部の色が、黒ではなく茶褐色に見えます。
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コオニヤンマ(Sieboldius albardae)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・コオニヤンマ属>
サナエトンボ科コオニヤンマ属の大型のトンボで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 ヤンマの名前が付いているが、サナエトンボ科に属し、その中では日本最大種。 体の大きさに比べて、頭部が小さく、後脚が長いのが特徴。見た目は非常にアンバランス。 見熟期の複眼は深緑色だが、成熟するに従って澄んだ緑色に変わる。 ヤゴは、極端に扁平で幅の広い体形をしており、褐色の体色のため、枯れ葉のように見える。 触角はサナエトンボ科の特徴である丸いうちわ型をしている。なお、成虫になるまで数年を要する。 成虫は、5月〜9月に見られ、水場近くの草原などで、活発に活動する。
2016/7/12
菖蒲苑の中を通る通路脇にある杭に、大きなトンボが止まっていました。 オニヤンマかと思ったのですが、頭部が小さくて体形が異なります。 近づいても逃げないので、指をそっと近づけると乗り移ってくれました。 後で調べて本種と分かりましたが、この個体は腹部が太いのでメスと思われます。 2017/6/9 裏門から花菖蒲田に沿って下った途中、あずま屋の近くでハナショウブに止まっていました。 最初、ヤマサナエかと思ったのですが、翅胸前面の黄色斑が切れているので、本種と分かりました。 腹部が細く、翅胸前面の黄色斑が途切れていることから、コオニヤンマのオスと分かります。
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ギンヤンマ(Anax parthenope julius)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・ヤンマ科・ヤンマ亜科・ギンヤンマ属>
ヤンマ科ギンヤンマ属の大型のトンボで、在来種。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州に広く生息している。 日本に分布しているのは亜種(Anax parthenope julius)であり、東アジア全般に生息する。 基亜種は、東アジア、インド、カザフスタンまで分布している。 出現時期は4月〜11月で、体長が70〜80oの大型のトンボ。 頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしているが、境界部分が水色だとオス、黄緑色だとメスである。 翅は透明で、若干褐色味を帯びるが、メスの翅は褐色味が強く出る。 平地から低山地の池沼や水田などで見られ、オスは広い縄張りを持って、縄張り内を飛び回る。
2017/9/5
薬師池に張られたロープにギンヤンマのメスが留まっていました。 腹部を折り曲げて、産卵でもしているようなポーズです。 さらに撮ろうとしたとき、パッと飛び立ってしまいました。ふと見ると、カメの頭がすぐ下にあります。 トンボに気が行っていて、後ろから近付いているミシシッピアカミミガメに気付いていませんでした。 どうやらカメがギンヤンマを食べようと首を伸ばした刹那、間一髪で逃げたようです。 もう少し、シャッターを早く押せていたら、逃げる瞬間が撮れていたかもと思うと、ちょっと残念。 | ||||||
キリウジガガンボ(Tipula aino)
<ハエ目・カ亜目・ガガンボ下目・ガガンボ上科・ガガンボ科・ガガンボ亜科> ガガンボ科ガガンボ亜科の昆虫で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 体長は14〜18mmで、翅長は20〜22mm。出現時期は3月〜6月と9月〜11月の年2回。 比較的大型のガガンボで、翅の前縁が褐色。腹部は淡黄褐色で、腹部両側面は黒褐色である。 胸部は灰褐色〜黄褐色で、不明瞭な黒褐色の縦条がある。触角は13節で黒褐色であるが、基部3節は黄褐色。 水田や畑周辺に多く、都市部周辺でも良く見られる。 幼虫は、腐った植物や植物の芽、若い根などを食べるので、イネの害虫とされている。
2022/4/12
薬師池横のトイレに寄った際、窓際の壁に止まっているガガンボを見かけました。 めだった斑紋はなく、淡黄褐色の体色で、腹端に近い部分は黒褐色になっています。 翅の前縁が若干濃色になっていますが、目立つほど濃くはありません。 いろいろ悩んだ結果、キリウジガガンボのオスと判断しました。 | ||||||
キスネクロハナアブ(Cheilosia ochripes)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ ナミハナアブ亜科・クロハナアブ族・クロハナアブ属> ハナアブ科クロハナアブ属に属するアブで、在来種。 夏から秋にかけて見られるが、特に秋に良く見られる。 体長は13mm前後で、全身が黒色で胸背部には金属光沢がある。 複眼は暗紫色を帯び有毛で、触角の第3節はほぼ円形である。 顔面は長毛を欠き、周辺には若干の毛があるが全体としては無毛である。 顔の中隆起の上辺がなだらかである。小楯板には長毛があるが、剛毛はない。 各腿節は黒く先端のみが茶褐色で、脛節は茶褐色で先がやや濃色になり、各付節は暗色である。 春に出現するニッポンクロハナアブ(Cheilosia japonica)と酷似している。
2018/10/2
萬葉草花苑側を流れる小川。その側に咲いているヒヨドリバナにいろいろなハチやアブが訪花していました。 その内の1つが本種で、数匹があちらこちらと移動しながら盛んに吸蜜していました。 全身真っ黒で、模様がなく、複眼が若干紫色を帯びています。複眼に毛があり、顔面には毛がありません。 触角の第3節は、下段右の写真のようにまん丸です。腿節は黒く、関節から先が淡褐色です。 | ||||||
オオハナアブ(Phytomia zonata)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く全国に分布する。 幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まり、蜜や花粉を食べる。 幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。 全体は黒色で、ずんぐりとした体形をしており、大きく見えるが、体長はナミハナアブと大差ない。 頭部は半球状で大きく、腹部の太い赤黄色の帯模様が目立つ。 大きな複眼には、独特の迷路状の模様があり、そのデザインは雌雄で大差はない。
2016/10/7
萬葉草花苑のダンギクの花に止まっているオオハナアブを見つけました。 花の時期にもよるのでしょうが、ここではハナアブ類には出会っていませんでした。 2018/10/2 萬葉草花苑側を流れる小川の近くで、ヒヨドリバナを訪花していたオオハナアブです。 腹部の帯模様の上に淡黄色の毛のようなものがあって、赤黄色の帯模様が白っぽく見えます。 | ||||||
タカサゴハラブトハナアブ(Mallota takasagoensis)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族・ハラブトハナアブ属> 体長12〜15mmのハナアブ科ナミハナアブ属のアブである。 黒い体色に、腰回りに黄色い毛が密集し、後脚の腿が太いことが特徴である。 腹部は先窄まりで長く、末端は赤褐色。翅の上縁中央に暗色紋がある。 名前の「タカサゴ」は、兵庫県高砂市に因んでつけられたものだそうである。 特徴が非常によく似た「ユーラシアハラブトハナアブ」とは、識別が困難。 違いの1つは、オスの複眼が接しているか否かで、接していれば本種、離れていればユーラシアである。 また、後脚脛節の先端が尖っているか否かで、尖っていれば本種、そうでなければユーラシアである。
2017/5/31
萬葉草花苑のウメモドキの花には、いろいろなハチやアブが訪花していました。 その内の1つが本種で、見かけたのは2回目になります。 | ||||||
スイセンハナアブ(Merodon equestris)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ ナミハナアブ亜科・マドヒラタアブ族・スイセンハナアブ属> 南ヨーロッパ原産の外来種で、東日本で分布が拡大している。 日本へは球根の輸入に伴い、侵入したものと推察されている。 体長は13〜14mmで、体は黒色。長毛を密生するが、毛色は黒色〜黄白色と変異が大きい。 翅は透明で、脚は黒く、後肢腿節が肥厚し、末端内側には長い突起がある。 アブの中では例外的に農業害虫に属し、幼虫はスイセン、グラジオラス、ユリなどの球根を食害する。
2018/4/19
萬葉草花苑を歩いているとき、通路脇の草の上に止まる全身金色のアブに目が留まりました。 あまり見かけないアブでしたので、写真を撮って後で調べました。 その結果、スイセンハナアブの黄白色タイプと分かりました。 間違いにくい体色のタイプで、以前、多摩川の河川敷でも見かけたことが分かりました。 なお、この個体は複眼が離れていないので、オスです。 | ||||||
ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ホソヒラタアブ属> ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。 海外でもアジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。 体長は8〜11mmで、3月〜11月まで見られる。 腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。 ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。 幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。
2021/2/22
萬葉草花苑を歩いているとき、ホソヒラタアブがフクジュソウを訪花しているのに気がつきました。 ここ何日か暖かい日が続いているので、成虫で越冬する本種も活動を始めたのでしょう。 この個体はメスですが、腹部の黄色い斑紋が全て左右に分かれている比較的珍しいタイプのようです。 | ||||||
ツマグロキンバエ(Stomorhina obsoleta)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・クロバエ科・ツマグロキンバエ亜科>
クロバエ科ツマグロキンバエ亜科の1種で、6月〜10月に花に来る小さなハエ。 日本では、北海道から、本州、四国、九州、沖縄まで分布する。 体長は5〜7mmで、体色は深緑色。背中に丸みがあり、翅の先端が黒い。 複眼は青緑色に波模様があり、口吻は長く突き出ている。 幼虫は動物の死骸などを食べ、成虫は花の蜜を食べる。
2018/10/2
萬葉草花苑側を流れる小川。その側に咲いているヒヨドリバナにいろいろなハチやアブが訪花していました。 その内の1つが本種で、数匹があちらこちらと移動しながら盛んに吸蜜していました。 青緑色の複眼に暗色の縞模様がはっきり見え、腹部に橙色の三角斑があります。 また、折りたたんだ翅の先端が黒っぽくなっているのが分かると思いますが、これが和名の由来です。 この日、見かけたツマグロキンバエは、なぜか複眼が接し、腹部三角斑が明瞭なオスばかりでした。 | ||||||
マルボシヒラタヤドリバエ(Gymnosoma rotundatum)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・ヤドリバエ科・ヒラタヤドリバエ亜科・ヒラタヤドリバエ族>
ヤドリバエ科ヒラタヤドリバエ族に属するハエで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に、海外では旧北区に広く分布している。 出現時期は4月〜10月で、体長は5〜9mmである。 成虫は、花や果実などに集まるため、マルボシヒラタハナバエの別名がある。 腹部は黄褐色〜赤褐色で、中心に縦に黒い斑紋があり、メスの斑紋は大きい。 胸部背面は、オスは前側が黄金色で後側は黒色だが、メスは肩部を除いて黒色である。 翅の付根が黄色で、脚は黒色である。止まるときは翅を開いている。 幼虫は、チャバネアオカメムシなどの果樹カメムシ類に寄生する。 メスがカメムシの背中に飛び乗り、カメムシが翅を開いた瞬間に、腹部背板に産卵する。 孵化した幼虫はカメムシの体内に侵入し、終齢幼虫は体外に脱出して蛹になり、羽化する。
2018/10/2
萬葉草花苑を歩いているとき、通路脇のアシタバの花で見かけたマルボシヒラタヤドリバエです。 腹部の模様に特徴がある見かけたことがないハエでしたので、写真を撮って後で調べました。 似たデザインのハエは、本種とセスジハリバエでしたが、セスジハリバエの黒い模様はほぼ真っ直ぐです。 その結果、黒い模様が波打つマルボシヒラタヤドリバエと分かりました。 なお、この個体は胸部背面は前半が黄金色(黒っぽいですがメスでは真っ黒)なのでオスと分かります。 | ||||||
ビロウドツリアブ(Bombylius major Linnaeus)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ツリアブ科・Bombyliinae亜科>
ツリアブ科の在来種で、北海道から本州、四国、九州に分布する。 成虫の出現時期は3月〜5月で、早春にのみ見られる。 成虫は花の蜜を吸うが、幼虫はハナバチやカリバチの前蛹などに外部から寄生し、食い尽くす。 成虫は、体長は8〜12mmで、丸みのある体に茶褐色〜淡褐色の毛が密生している。 また、ホバリングが得意で、吊り下げたように1点に静止して見えることが、和名の由来。
2018/4/20
薬師池の辺でカイツブリの親子を撮影していると、その脇でホバリングしているのに気が付きました。 カイツブリの撮影を中断して、その様子を撮ろうとしたのですが、なかなかうまくいきません。 止まっているように見えて、微妙に動き回るので、マクロレンズでは追いきれないのです。 あきらめかけたとき、地面に止まってくれましたので、静止している所は撮れました。 ときどき、ちょっかいを出してくるのがいて、居なくなるのですが、またすぐに戻ってきました。 以前、高尾山で見かけたものとは毛の色がまったく異なります(下記参照)。
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