鶴巻温泉ウォーキングで見かけた昆虫など
和名インデックス |
イチモンジセセリ(Polytremis pellucida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・イチモンジセセリ属> セセリチョウ科イチモンジセセリ属の蝶で、在来種。 日本では、ほぼ全国で見られるが、北海道ではあまり多くは生息していない。 海外では、朝鮮半島から中国、ヒマラヤ、ボルネオと広く分布する。 成虫で越冬するが、寒い地方では越冬できない。 全身が茶色一色で、前翅長は20o前後、後翅裏に横長の白紋が4つ、1文字状に並ぶ。 人家周辺から里山にかけて見られ、羽音を立てて敏速に飛ぶ。 幼虫の食草は、イネやススキ等のイネ科やカヤツリグサ科の植物で、そのため、イネの害虫とされる。 成虫は年3〜5回、6月〜8月頃に発生し、南下して10月頃までいる。 雌雄差は少ないが、以下の点で識別可能。
同じセセリチョウ科のオオチャバネセセリやチャバネセセリと良く似ているが、下記で区別可能。
2008/9/15
国道246号を渡って、山あいの道に入って間もなくの所で、道端でニラが花を付けていました。 その花をイチモンジセセリが訪花していました。前翅の先が鋭く尖り、腹端で出ているのでオスですね。 | |||||||||||||
ミヤマアカネ(Sympetrum pedemontanum elatum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属> トンボ科アカネ属のトンボで、俗に言うアカトンボの仲間です。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国で見られる。 海外では、ヨーロッパから中国東北部にかけて、原名亜種のヨーロッパミヤマアカネが分布する。 翅の縁紋内側にある褐色の太い帯と、翅脈まで色づくのが特徴で、他には少ないので識別はしやすい。 胸部側面はほぼ無斑で、翅の褐色帯の太さには個体差があり、寒冷地のものは褐色帯が狭くなる傾向がある。 成虫は7月上旬頃〜11月頃まで、低山地から高地まで見られる。 未熟なうちは雌雄とも体色は黄褐色をしているが、成熟した雄は、翅脈や縁紋まで全身が赤化する。 雌は橙色が濃くなる程度であるが、なかには縁紋が赤化する個体もある。
2008/9/15
三之宮比々多神社を後にし、農道に出て小川の辺を歩いていると、ミヤマアカネが止まっていました。 翅脈や縁紋まで赤化し、見事に全身が赤くなった成熟したオスです。 | |||||||||||||
アオクサカメムシ(Nezara antennata)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科・アオカメ属>
カメムシ科アオカメ属のカメムシで、国内では北海道から本州、四国、九州、沖縄に分布する。 体長は12〜16mmの全身が緑色のカメムシで、出現時期は4月〜11月である。 体色には下記のような変異があり、黄色の斑の出方によって、4型に分けられている。
マメ科、イネ科、キク科など、広範囲の植物を吸汁し、野菜や果樹の害虫としても知られる。 また、よく似た緑色のカメムシとは下記の点で区別できる。
2008/9/15
山あいの道を国道246号近くまで下り、そこで山側に折り返して少し上った所でオミナエシを見かけました。 そのオミナエシをよく見ると、花の上に緑色のカメムシが付いていましたが、名前が分かりません。 後で調べると、緑色のカメムシは何種類かおり、よく似たものがいることも分かりました。 アオクサカメムシとそっくりなのがミナミアオカメムシとツヤアオカメムシです。 まず、触角の暗色部が3ヶ所あるので、ツヤアオカメムシではないと分かりました。 腹部背面が確認できれば分かると思いますが、写真では如何ともしがたく、手掛かりは触角の色のみです。 その触角の暗色部の色ですが、黒に近いと思われますので、アオクサカメムシとしました。 また、ミナミアオカメムシの都区内での確認が2014年と6年後なので、その点も判定理由です。 | |||||||||||||
アオバハゴロモ(Geisha distinctissima)
<カメムシ目・ヨコバイ亜目・ハゴロモ上科・アオバハゴロモ科・アオバハゴロモ属> アオバハゴロモ科の昆虫で、在来種。 日本では、本州以南に広く分布し、海外では、台湾や中国に分布している。 成虫の体長は、翅も含めると10mmほどで、羽も含めて淡緑色。翅にピンクの縁取りがある。 幼虫は、翅がない事を除けば、成虫と同じ姿をしている。 しかし、尾端から分泌する蝋物質のために白い綿に包まれたように見え、成虫と全く異なって見える。
2008/9/15
山あいの道を国道246号近くまで下り、そこで山側に折り返して少し上った所でオミナエシを見かけました。 そのオミナエシをよく見ると、花の上に緑色のカメムシが、下部の茎にアオバハゴロモが付いていました。 | |||||||||||||
キボシカミキリ(Psacothea hilaris hilaris)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・カミキリムシ科・ フトカミキリ亜科・ヒゲナガカミキリ族・キボシカミキリ属> カミキリムシ科キボシカミキリ属のカミキリムシで、外来種。 日本では、本州から四国、九州に分布し、周辺の島しょ部を含めて10亜種が分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 移入個体群によって起源が異なると考えられており、東日本型は台湾または中国北部由来と考えられている。 成虫の体長は15〜30oで、5月〜11月に見られる。 黒い体に黄色い斑紋、長い触角を持つ。なお、、生息場所によって色や斑紋は変異が大きい。 オスはメスよりいく分小さく、オスの触角はメスより長くて体長の倍以上になる。 幼虫は、クワ科のヤマグワ、イチジクなどに穿孔し、材内で摂食しながら越冬する。 成虫は、同じくクワ科のヤマグワ、イチジクなど葉や樹皮を食べる。クワ科植物の大害虫である。
2008/9/15
山あいの道を下って行くと、フクジンソウの畑があり、その先で大きなイチジクの木を見かけました。 そのイチジクの木にキボシカミキリが数匹付いていて、写真の2匹は交尾しようとしている所です。 後の小さい方がオスですが、その触角の長さが分かるでしょうか。体長の3倍近くありました。 | |||||||||||||
ジョロウグモ(Nephila clavata)
<クモ目・クモ亜目・クモ下目・コガネグモ上科・ジョロウグモ科・ジョロウグモ属> ジョロウグモ科ジョロウグモ属に属するクモで、日本在来種。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、森林や公園などでよく見かける。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インドに分布する。 春に孵化して、秋に成虫となるが、巣の場所による餌の量が成虫の大きさに影響する。 幼体の腹部は複雑な斑模様であるが、成体になると模様が変わる。 メスの成体は、大きいものは30mmに達し、腹背は黄色と黒の縞模様で、下面に鮮紅色の紋がある。 オスの成体は、大きいものでも十数mmしかなく、腹背には黄色と褐色の縦縞の複雑な模様を持つ。 ジョロウグモの巣は、直径1mほどにもなる大型で、前後に補助網を持つ三重構造になる。 また、円網の縦糸は、中心から外に向かって順次二又に枝分かれしていく。 そのため、円網を構成する扇型の大きさが、中心部と外周部でもあまり変わらない特徴がある。
2008/9/15
鶴巻温泉駅から東名高速の上を通り、住宅街の中を歩いていると、大きなジョロウグモを見かけました。 腹部の模様を見ると、メスの亜成体でした。後で気が付いたのですが、上部にオスの脚だけが見えています。 おそらく、メスが成熟した時、交尾することを狙って待機しているのでしょう。 近づき過ぎると餌にされてしまいますからね。交尾はメスの食事中を狙って行うそうです。 話は変わりますが、ジョロウグモは、「女郎蜘蛛」と書きます。 しかし、古くは「上臈(ジョウロウ)蜘蛛」であったとの説もあります。 江戸時代では、「女郎」と「上臈(身分の高い人)」では、その意味が天と地ほどの差があります。 ただ、もっと古い時代では、女郎は令嬢、令婦人、若い女性、美人の意味だそうです。 オミナエシ(女郎花)も女郎と書きますが、これは後者の「美人も圧倒する花の美しさ」の意味です。 ジョロウグモという名前が、どの時代に付けられたのかで意味が正反対になりそうですね。
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