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砥峰高原で見かけた野草



砥峰高原にはススキの草原を見に行ったのですが、足元に咲く野草も楽しめました。
TVで丸山湿原でウメバチソウが見頃になっていると紹介されていましたが、ここでもたくさん咲いていました。
また、リンドウやセンブリもかなり多く咲いていて、紫のリンドウはよく目立っていました。
その他にも黄色いアキノキリンソウや紫のツリガネニンジンなども見られました。



キク目
キキョウ科(ツリガネニンジン)
キク科(アキノキリンソウ、シラヤマギク)
シソ目
シソ科(クロバナヒキオコシ)
ニシキギ目
ウメバチソウ科(ウメバチソウ)
リンドウ目
リンドウ科(センブリ、リンドウ)
ゼニゴケ目
ジャゴケ科(ヒメジャゴケ)
ハラタケ目
ヒラタケ科(ウスヒラタケ)
砥峰高原で見かけた野草
和名インデックス


ツリガネニンジン(Adenophora triphylla var. japonica)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ツリガネニンジン属>
 
キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の山野で見られる。
海外では、樺太、千島列島に分布する。
草丈は50〜100cmで、茎はほとんど分枝せず、白毛が生え、切ると乳液が出る。
葉は長さ4〜8pで先が細長く尖った楕円形で、数枚が輪生状に付き、鋸歯がある。葉には短い柄がある。
花期は8月〜10月で、茎頂に円錐花序を付け、花は数個が輪生する。
花冠は変化が多く、長さ20o前後で釣鐘型の淡紫色の花で、先が5裂する。
花柱は花冠から長く突き出し、成熟すると先が3裂する。まれに花柱が短いものもある。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の所々で見られたツリガネニンジンです。
花期も終盤なので花数は少なく、果実になったものも見られました。

アキノキリンソウ(Solidago virgaurea var. asiatica)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・アキノキリンソウ属>
 
キク科アキノキリンソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。海外では朝鮮半島に分布している。
草丈は30〜80cmで、茎には上向きの曲った毛が生える。
普通、根生葉は花期にはなく、中上部の葉は互生で、長さ9cm程の披針形。
基部は細く、翼のある短い柄がある。葉の縁には毛があり、浅い鋸歯がある。
葉裏がやや白っぽく、はっきりした網目状の脈がある。下部の葉は、鋸歯が大きく、鋭くなる。
花期は8月〜11月で、茎先に穂状花序を出し、多くの黄色い頭花を付ける。
頭花は直径15o前後で、中心に両性の筒状花が10個前後あり、その周囲に舌状花が並ぶ。
1列に並ぶ舌状花は雌性で、2〜9個あり、長さは7o前後、幅の変化が大きい。
総苞は長さ6o程、幅3o程の狭筒形で、総苞片は4〜5列。外側ほど短い。
痩果は長さ3o程の淡褐色で、冠毛は褐色味を帯び、長さは3o程ある。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の所々で見られたアキノキリンソウです。
黄色い花なので目立ちますが、数は多くなく、所々で目についた程度です。

シラヤマギク(Aster scaber)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属・シラヤマギク節>
 
キク科シオン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
草丈は1〜1.5mで、茎は高く伸び上がって上部で分枝し、短毛があってざらつく。
根出葉は、葉身は長さ10〜20cmの卵心形で、縁に粗い鋸歯があり、表裏に短毛がある。
長さ10〜15cmの長い葉柄があり、翼がある事が多い。なお、花時には枯れる。
上部の葉は、先が尖った卵形になり、上部になるほど小さく、葉柄も短くなる。
花期は8月〜11月で、茎の先端に粗い散房状に白花を多数付ける。
頭花は直径20mm前後で、舌状花は4〜9個と少なめ。数が一定せず、まばら。
総苞は直径5〜6mmの鐘形で、総苞片は3列が重なり、瓦を葺くように並ぶ。
痩果は長さ3mm前後で、長さ4mm前後の淡褐色を帯びた冠毛が付く。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の所々で見られたシラヤマギクです。
所々で見られましたが、咲き終わりに近いものばかりで、まだ、上記の株はましな方です。

クロバナヒキオコシ(Isodon trichocarpus)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・メボウキ連・ヤマハッカ属>
 
  
シソ科ヤマハッカ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州の近畿地方以北の日本海側に分布する。
草丈は50〜150cmで、茎は四角形で、稜の上だけに下向きの細毛がある。
葉は対生し、長さ6〜15cmの三角状広卵形で、縁には鋸歯がある。
葉先は鋭く尖り、基部は楔型で、狭まって葉柄の翼となって流れる。
葉質は薄く、表面に毛がまばらに生え、裏面の葉脈上に短い圧毛と腺点がある。
花期は8月〜10月で、上部の葉腋から出た集散花序に暗紫色の唇形の花をまばらにつける。
それらの集散花序が集まって、全体で大きな頂生の円錐花序を形成する。
花冠は長さ5〜6mmで、上唇は直立して4裂し、下唇は長く突き出した舟形をしている。
オシベは4個で、舟形をした下唇に沿うように伸びるが、下唇から出ることはない。
萼は5裂して細毛があり、長さ2.5mm前後であるが、果時には長さ3〜3.5mmになる。
果実は倒卵形になる分果で、長さ1.5mmになり、分果の先に短い白毛がある。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇で見かけたクロバナヒキオコシです。
最初、白い4弁花の花に見えたので、花として調べたのですが該当するものを見つけられませんでした。
花弁と思ったものがふっくらと丸いことや、茎が4稜形であることからシソ科の果実ではと調べ直しました。
その結果、ヒキオコシかクロバナヒキオコシのどちらかと分かり、花序の形状や果実の特徴から本種としました。
花があれば、花の色(ヒキオコシは淡紫色、クロバナは暗紫色)で判別できるのですが、花はありませんでした。
萼片は開き気味で、中の分果自体が白く、その先端の方に白い毛が生えているようです。
下段左は茎の写真で、茎が4稜形であること、茎の稜のみに細毛がびっしりと生えているのが分かります。
ちなみに、止まっているのはオカダアワフキというアワフキムシの成虫です。

ウメバチソウ(Parnassia palustris)
<ニシキギ目・ウメバチソウ科・ウメバチソウ属>
 

ウメバチソウ科ウメバチソウ属の多年草で、在来種。
山地帯から亜高山帯下部の日当たりの良い湿った草地に自制する。
北半球に広く分布しており、日本では、北海道から本州、四国、九州と広範囲に分布する。
花は、直径20mm程で、白色の5花弁。太いのがオシベで、オシベのように見えるのは仮雄蕊。
仮雄蕊(かりゆうずい) の先が、糸状に分裂し、黄色の腺体が付いたものである。
根生葉は長い柄があるが、花茎に茎葉が1枚だけ付く。無柄で基部は茎を抱く。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇でよく見られたのがウメバチソウです。
数日前、TVで丸山湿原でウメバチソウが見頃になっていると紹介されていましたが、ここも見頃でした。
たくさん咲いてはいたのですが、オシベの葯が5個揃っている花には会えませんでした。
仮雄蕊は花後にも残るようなのですが、葯はかなり早い時期に落ちてしまうようです。

センブリ(Swertia japonica)
<リンドウ目・リンドウ科・センブリ属>
 
 
リンドウ科センブリ属に分類される二年草で、在来種。薬草として利用される。
日本では、本州の関東地方以西、四国、九州に広くバンプしている。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は10〜20cmで、茎は4稜形。根本から分枝し、紫色を帯びることが多い。
葉は対生し、無柄の葉身は長さ15〜30mmの広線形で全縁。
花期は8月〜11月で、上部の分枝した枝先や葉腋に3〜5個の花を付ける。
花冠は4〜5裂し、裂片は長さ10〜15mm。表面は白地に紫の条線があり、裏面は紫色を帯びる。
ツボミは紫色にに見え、果時にも閉じた状態で残る。萼片は長さ4〜8mmの線形で先は尖る。
オシベは花冠裂片と同数で、花糸は長さ5mm前後の線形。子房は紡錘形で、メシベは短い。
刮ハは長さ12〜16mmの紡錘形で、熟すと先が数mmほど2裂して開く。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇でよく見られたのがセンブリです。
リンドウと頃なり、地味な白地に紫の筋模様が入った花なので、あまり目立ちません。
花冠は5裂するものが多いが、稀に4裂するものがあるそうで、その4裂したものも見つけました。
確かに少ないようで、散策中に見つけたのは上記の1株だけでした。
センブリはとても苦い薬草として有名で、日本三大民間薬(ゲンノショウコ、ドクダミ)の1つです。
今の時期に開花している全草を刈り取り、天日乾燥したものが生薬の「当薬(とうやく)」となります。
「千回振出してもまだ苦い」ということから、センブリという名前が付いたとされています。
そうそう、乾燥したセンブリはれっきとした医薬品です。間違っても許可なく売買しないようご注意を。

リンドウ(Gentiana scabra var. buergeri)
<リンドウ目・リンドウ科・リンドウ属>
 
 
リンドウ科リンドウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の関東地方以西から四国、九州に分布する。
なお、基本変種であるトウリンドウ(チョウセンリンドウ)は朝鮮半島から中国、シベリアに分布する。
草丈は20〜80cmで、茎は直立あるいは斜上し、4条線がある。
葉は対生し、長さ3〜8cmの卵状披針形で、3脈が明瞭。葉表は緑色で、葉裏は淡緑色。
葉先は尖り、基部は葉柄はなくて、茎を抱く。縁には細かい突起があってざらつく。
花期は9月〜11月で、茎頂や上部の葉腋に太い筒状鐘形の花を数個、上向きに付ける。
花冠は長さ35〜50mmで、先が5裂して先が尖り、裂片の間の副片は小さい。
花冠は晴天時のみ開き、紫色で、内面には茶褐色の斑点がある。
オシベは5個で、柱頭は2裂する。子房の基部には、5個の蜜腺がある。
萼筒は長さ10〜20mmで、萼裂片は線状披針形。
萼裂片は、筒部より長いものや短いものがあり、開出していることが多い。
果実は刮ハで、枯れた花冠や萼に包まれたまま突き出し、熟すと縦に2裂する。
種子は長さ2o弱の紡錘形で、両端に短い尾があり、風に乗って飛散する。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇でよく見られたのがリンドウです。
この日は雲が多く、陽が射しこむことが少なかったので、半開き状態のものが多かった気がします。
リンドウの花は比較的大きくて、きれいな紫色をしているので目を引きます。

ヒメジャゴケ(Conocephalum japonicum)
<ゼニゴケ目・ジャゴケ科・ジャゴケ属>


   
<円盤状の無性芽>          <雌器托>            <雌器托>  .
ジャゴケ科ジャゴケ属に属するコケ類で、表面に鱗を並べたように見えるのが特徴。
平たい葉状体をもつ苔類で、表面の模様がはっきりしており、類似種が少ないため判別しやすい。
和名は、葉状体の表面がヘビの体表の鱗のように見えるのに由来し、ジャゴケより小さいことによる。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄と全国に分布し、都市部でも見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシアに分布する
葉状体は長さ1〜3cm、幅2〜3mmとジャゴケ(幅1〜2cm)よりはるかに小さい。
腹面に腹鱗片が2列に付き、中肋に灰白色の仮根が密生する。
雌雄異株で、雄器托、雌器托ともに夏に葉状体の先につく。
秋になるとその縁に無性芽(円盤状と粉芽状の2型がある)がよく付き、縁がフリルのようになる。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇で水が流れ落ちている所でヒメジャゴケを見かけました。
少し奥まっていて、近くに行くことができませんでしたが、一部で無性芽がフリルのように付いていました。
後で写真を拡大した時、葉状体の所に瘤のようなものが付いているのに気が付きました。
おそらく、この瘤の所が伸び出して、雌器托に成長するのではないかと思います。
また、葉状体の基部辺りに暗褐色の小判状のものが見られますが、雌器托の跡ではないかと思います。

ウスヒラタケ(Pleurotus pulmonarius)
<ハラタケ目・ヒラタケ科・ヒラタケ属>
 
ヒラタケ科ヒラタケ属のキノコで、在来種。
日本では全国で見られ、世界に広く分布している。
発生時期は春から初秋で、ブナや広葉樹の倒木、枯木に重生〜群生する。
傘径は2〜12cmの中型〜大型の白色腐朽菌で、柄は無いか未発達、ときに1cm前後の柄がある。
傘の形は、幼菌では扁半球で、成長と共に扁平になり、腎形〜類扇形〜近円形になる。
傘の色は、幼菌では白色〜淡褐色、成長と共に黄色味を帯び、灰黄色〜淡黄褐色になる。
傘の縁は、幼菌では内巻きであるが、成長すると波打つようになる。
ひだはやや荒いが密に垂生し、初め白色であるが、成長と共に黄色味を帯び、細かい筋がある。
肉は白色で、傘の基部近くは厚く、傘の中央部の厚さ1〜3mm程度と薄く、柔らかい。

2021/10/14
砥峰高原のハイキングコースで、遊歩道脇の朽木の所に白いキノコが群生していました。
見たことがないキノコでしたので、後で調べてみました。
表面の色合いや傘の部分の形状、裏面に見られるひだの形から、ウスヒラタケではないかと判断しました。
ただ、キノコには似たものが多く、写真だけから判断するのは難しいので、間違っているかもしれません。









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