四国で見かけた野草
和名インデックス |
ハマアザミ(Cirsium maritimum Makino)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属> キク科アザミ属の多年草で、日本固有種種。 日本では、本州の千葉県以南以西、四国、九州の太平洋側の海岸の砂地に自生する海浜植物。 草丈は15〜50pで、茎は長い白毛があり、根際で分枝し、地表を這い、鋭い刺のある葉を密につける。 根生葉は花期にも残り、葉は互生し、羽状に深裂して裂片は三角状に尖り、基部は茎を抱かない。 葉質は厚く、葉表は無毛で光沢があり、葉裏の葉軸、脈上に長い白毛が密生する。 花期は7月〜11月で、茎先に直径3cm前後の紅紫色の頭花を付ける。 頭花の基部に葉状の苞が数個付き、総苞は幅2〜3cmの筒形。 総苞片は斜上し、総苞内片の先端部分は折れ曲がって開出することがある。 痩果には、褐色の枝分かれした長い冠毛がある。
2007/9/15
白山洞門へ向かう途中、道路脇の側溝に生えていたハマアザミです。 海岸の砂地のような所に生える植物に多い、厚ぼったい葉を低く広げて地に張り付くような姿です。 見ればアザミの仲間だと直ぐに分かるのですが、その名前となるとちょっと厄介です。 見たことがある場合でも同定に苦慮することもあるくらい、似たものが多いのです。 このアザミも後で調べたのですが、海岸で見られるアザミで絞った結果、本種と分かりました。 | ||
ノカンゾウ(Hemerocallis fulva var. longituba)
<キジカクシ目・ススキノキ科・キスゲ亜科・ワスレグサ属> ススキノキ科ワスレグサ属の多年草で、在来種。 日本では、本州から四国、九州の原野に群生する。 海外では、朝鮮半島から中国、サハリンに分布する。 ヤブカンゾウより一回り小さく、葉幅は半分程度、花茎は70〜90cmになる。 花期は7月〜8月で、花の直径は7cm、花筒は4cmほど。ヤブカンゾウより細長く見える。 花色は、朱色で、花弁の中央に黄白色の筋が入る。1日花で、朝咲いて、夕方にはしぼむ。 花が咲くまでは、ヤブカンゾウと酷似しているので、区別が付かない。 なお、若葉は食用にされる。
2007/9/15
白山洞門から道路に上がる途中、道路脇で見かけたノカンゾウです。何ヶ所かで花を付けていました。 目立つ色の花なので、遠くからでもその存在は確認できます。 石積みの所で花を付けていたノカンゾウの横に赤い色のカニがいたのには気が付きませんでした。 カニの甲羅、鉗脚(ハサミ)の赤味からの推測ですが、おそらくアカテガニではないかと思います。 | ||
ハマユウ(Crinum asiaticum)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ホンアマリリス連・ハマユウ亜連・ハマユウ属> ヒガンバナ科ハマユウ属の多年草で、在来種。別名はハマオモト。 日本では、房総半島南部〜九州沿岸など、主に黒潮に直面した沿岸部の砂丘で自生している。 地下茎は鱗茎になり、茎は偽茎の基部にあり、縮退して円盤型をしている。 葉は長さ30〜70cmの帯状で、厚くて光沢があり、先は尖る。基部の葉鞘は偽茎となる。 花期は7月〜9月で、葉の中央から太い花茎を真っすぐに立ち上げ、多数の花を散形に付ける。 花序の基部には2個の総苞片があり、ツボミを包み込んでいる。花時には下に垂れる。 6個の白色の花被片は長さ7〜8cmの披針形で、バラバラに大きく反り返る。 下部は合着して筒状になり、筒部の長さは5〜6cmになる。 花は日没前後から強い芳香を発するようになり、大型のスズメガが吸蜜に訪れて花粉を媒介する。 オシベは6個。刮ハは直径3〜4cmの球形で、熟すと不規則に裂開する。 種子は直径2〜3cmの球形で、コルク質の厚い種皮に包まれて水に浮き、海流で運ばれる。
2007/9/15
竜串海岸でバスに戻ってくるとき、通路脇で見かけたハマユウです。 別の場所で何度か見ていると思うのですが、写真を撮ったのは初めてかもしれません。
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サフランモドキ(Zephyranthes carinata)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・アマリリス連・タマスダレ亜連・タマスダレ属> ゼフィランサスはタマスダレ属の植物の総称であり、温暖な地域で生育し、土中に鱗茎を形成する多年草。 近縁のハブランサス属、クーペリア属とともに、多くの種は乾燥と高温の後に雨が降って球根が潤うと、 花茎をのばして開花する性質があるため、ともにレインリリーと呼ばれる。 その中で、ピンクの大輪の花を付ける品種がサフランモドキで、メキシコが原産地。 なお、学名のゼフィランサス・カリナタの名前で取り扱われていることもある。 江戸時代に鑑賞用として導入されたものが、暖地で逸出して帰化しているものもある。 導入当初はサフランと呼ばれていたが、明治初期に本物のサフランが導入され、モドキの名が付いた。 全株で無毛で、鱗茎は地下にあり、直径2〜3cmの卵形で、表面が紅い被膜で覆われる。 葉は叢生し、長さ15〜30cm、幅6〜8mmで、1個の鱗茎あたり7〜10個出る。 葉質は厚く、表側には浅い縦溝がある。基部は紅色を帯び、光沢がある。 花期は6月〜8月で、花茎は鱗茎1個に1個生じ、長さは30cm内外で先端に単独に花をつける。
2007/9/15
竜串海岸でバスに戻ってくるとき、通路脇で見かけたピンクの花です。 以前見かけたゼフィランサスだろうと思ったのですが、気になったので後で調べ直しました。 ゼフィランサスに酷似したハブランサスという花があり、良く混同されるのです。 その違いはゼフィランサスの花が上を向いて咲くのに対して、ハブランサスは斜め上を向いて咲きます。 改めて、花の付き方を確認すると、花茎に対して花はまっ直ぐに上を向いていることが確認できました。
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ニオウヤブマオ(Boehmeria gigantea)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属> イラクサ科カラムシ属の多年草で、在来種。 日本では、本州の福井県以西から四国、九州、南西諸島に分布する。 海岸の日当たりのよい岩場などに自生し、海岸に生育するものは変異が多い。 海外では、朝鮮の済州島、ベトナムに分布する。 草丈は50〜150cmと大柄になり、茎は叢生して、短毛が密生する。 葉は対生し、葉身は長さ10〜25cmの卵円形〜扁円形で、先は鋭頭か短い尾状となる。 葉柄は長さ3〜10cmで、葉の基部は円形〜浅心形。葉柄、葉裏脈上には軟毛が密生する。 葉の縁には、片側で25〜35個の小円鋸歯がある。 花期は8月〜10月で、花は単性し、雌花序と雄花序を持つ雌雄同株。 茎の上方の葉腋に雌花序、下方の葉腋に雄花序を付ける。 雄花序は分枝して円錐花序となり、分枝しない雌花序は穂状花序で、長さは共に10〜20cm。 雄花序は球状に集まり、4花被片と4個のオシベがある。雌花球状に集まり、互いに接している。 花被筒に包まれた果実は、長さ1.5〜2mmの倒卵形〜広倒卵形、狭い翼があり、全体に毛がある。
2007/9/15
白山洞門へ下りる通路脇で、並べられた石の隙間から伸びていたニオウヤブマオです。 外見からカラムシ属だろうと分かったのですが、見たことがないので、名前は後で調べました。 葉は対生していて、鋸歯の先が丸みを帯びた鈍角になっていました。茎の色などは緑色です。 この特徴から探していくと、ニオウヤブマオに行き着きました。似た者同士の比較は下記を参照ください。
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アメリカデイゴ(Erythrina crista-galli)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・デイゴ属> マメ科デイゴ属の落葉低木で、南アメリカが原産地の帰化植物。 標準和名はカイコウズ(海紅豆)であるが、通称はアメリカデイゴである。 樹高は2〜10mで、根には直根があり、節に窒素固定の根粒菌をつける。 小枝は褐色を帯びた緑色で、刺のような枝がある。 葉は互生し、3出複葉で、小葉は長さ7〜10cmの長卵形で、先が尖り、全縁。 なお、小葉が卵形で、葉先が丸いものは園芸品種のマルバデイゴである。 葉質はやや厚く無毛で、葉表は光沢があり、葉面はやや白緑色。 花期は6月〜9月で、茎先に総状花序を付け、多数の緋紅色〜暗紅色の花を付ける。 花は5数性で、2唇形の左右相称である。萼は合片萼で、赤いカップ状である。 花冠は、大きな倒卵形の旗弁が下部にあるで蝶形花で、翼弁は小さく、萼の中に隠れる。 残りの2弁は部分的に融合し、竜骨弁を形成する。 オシベは10個あるが、1個を除いて、残りの9個の花糸は融合する。 メシベは、この融合したオシベに取り巻かれるように収まっている。 この大きな旗弁の基部は膨れてカップ状になっており、そこに多くに蜜を溜めている。 この花は鳥媒花で、昆虫より大きな鳥を満足させられる量の蜜が必要だからである。 花の構造は、ハチドリのような鳥が訪花した際、頭が葯の位置に来るようになっている。 果実は長さが10〜15cmの豆果で、褐色に熟し、栗褐色の種子が8〜10個入っている。 和名のカイコウズであるが、下記の植物の別名として使用されるがある。
ややこしいことに、ナンバンアカアズキ(Macroptilium lathyroides)という草本もある。 花の色は濃紅色で、こちらの方がアメリカデイゴに似ているが、花の形は異なる。 なお、こちらのナンバンアカアズキは、カイコウズとは呼ばないようである。
2007/9/15
竜串海岸で出迎えてくれたのは、真っ赤な花を付けたアメリカデイゴでした。 この花を見て、最初に思い浮かんだのはデイゴでしたが、花の付き方が違うようでした。 帰った後で調べてみると、同じデイゴ属のアメリカデイゴと分かりました。 何本か見られたので、植栽された木の可能性が高いと思います。 |