沖縄で見かけた昆虫
和名インデックス |
ブッソウゲ(Hibiscus rosa-sinensis)
<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・フヨウ属> 2009/3/7 2009/3/8
アオイ亜科フヨウ属の常緑低木で、在来種。
園芸品種は、ハイビスカスの名前で知られているが、ハイビスカスはフヨウ属(Hibiscus)の総称である。 そのため、アメリカでは園芸品種を「tropical hibiscus」と呼ぶことで、混同を避けている。 中国南部ないしインド洋の島々が原産地と考えられているが、定かではない。 フヨウ属は、主に北半球の熱帯や温帯に250種ほど分布し、園芸品種は8000種とも言われる。 特に、ハワイに持ち込まれて野生種との交雑が行われ、多くの園芸品種が生まれて急速に広まった。 樹高は2〜5mで、幹は直立し、よく分枝する。小枝は円柱形、まばらに、星状毛がある。 葉は互生して、長さ4〜9cmの狭卵形で、縁には粗く不揃いな鋸歯がある。 托葉は長さ5〜12mmの糸状。葉柄は長さ5〜20mmで、絨毛がある。 花期は6月〜9月であるが、温度が高い温室などでは、通年で開花する。 花は単生の1日花で、新枝の上部に腋生し、垂れ下がるものが多いが、横向きや上向きもある。 花柄は長さ3〜7cmで、先の方に関節がある。 萼は長さ約2cmの鐘形で5裂し、その外を糸状の苞葉6〜7個が取り巻く。 花冠は直径6〜10cmの5裂した漏斗形で、花色は、赤、白、桃、橙、黄など多彩。八重咲もある。 オシベは管状に癒合してその上部に多数の葯を付け、メシベさらに突き出して、先が5裂する。 果実は刮ハで、長さ25o前後の卵形。無毛で、先はくちばし状。
2009/3/7,8
3/7のものは、古宇利島の海岸で、3/8のものは、琉球村の入口で見かけたものです。 沖縄では古くから見られる樹種で、強健かつ成長が早く耐風性、防潮力に優れているそうです。 沖縄では、あかばなーとか後生花(ぐそうばな)と呼ばれることもあります。 実家にいたとき、沖縄出身の方からいただいたのもこの花です。 瀬戸内海の沿岸部ですが、路地植で越冬し、10年以上、夏には花を咲かせていました。 今は、枯らしてしまい、見ることはありませんが、この花を見たとき懐かしく思いました。 上記は、今回の旅行中に見かけたブッソウゲというか、園芸品種のハイビスカスなどです。 左上の花は、沖縄に古くからあるブッソウゲで、花弁にフリルがある「コーラルタイプ」になるのでしょうか。 その隣は、おそらく「オールドタイプ」と呼ばれる交配年代が古い、ハワイアンタイプの母種と思います。 上記の2点以外は、花が大きく、色彩が豊かな「ハワイアンタイプ」と呼ばれるものだと思われます。 ただ、右上と中断左の花は、色が単色なので、「オールドタイプ」になるのかもしれません。 | |
パパイア(Carica papaya L.)
<アブラナ目・パパイア科・パパイア属> パパイア科パパイア属の常緑小高木で、その果実も「パパイア」という。 メキシコ南部から西インド諸島を原産とする(草本性)常緑小高木である。 日本では、沖縄などで人家の庭に自生していて、雑草扱いされることがある。 耐寒性に乏しく、生育最低気温は15℃で、10℃以下になると生育が止まる。 樹高は10m以上になるが、近年は栽培しやすい矮性種も開発されている。 茎は成長に伴い太くなるが、非常に柔らかく、台風などで簡単に倒れる。 葉は、まっ直ぐに立ち上がった茎の上部に、長い葉柄を持つ葉を集中して付ける。 葉は長さ50〜70cmで、掌状に深裂し、各裂片はさらに中裂する。葉質は薄くて柔らかい。 花期は6月〜7月で、黄白色の花は茎の先端近くで、葉柄の下側に付く。 花冠は筒状花で、先が5裂し、直径は5cm前後になる。 通常は雌雄異株で、雄株では葉腋から長い花序が垂れ下がり、花を多数付ける。 雌株では、短い花柄の先に雄花より大きな花を単性、あるいは数個付ける。 稀に両性花を付ける株があり、両性花では自家受粉で結実する。 果実は、倒卵形で長さ8〜20cmぐらいとなり、熟すと緑色が橙黄色になる。
2009/3/8
琉球村を散策しているとき、庭先に唐突に1本だけ生えていたパパイアです。 沖縄では何もしなくても成長して果実を付けるそうで、雑草扱いされることもあるとか。 | |
パイナップル(Ananas comosus)
<イネ目・パイナップル科・アナナス属> パイナップル科アナナス属の多年草で、熱帯アメリカが原産地。 草丈は60〜120cmで、葉は地下茎から叢生して出る。 葉は長さ60〜150cmの剣状で厚くて硬い。縁に棘のあるものとないものがある。 花期は6月〜7月で、株の中心部から花穂が現れ、先端部分に円筒形の花序を付ける。 花序には150前後の淡紫青〜淡紫紅色の花が、螺旋状に密生して付く。 花は外花被片(萼)と内花被片(花弁)とも3個で、オシベは6個、メシベ1個は子房下位。 花後、種子である子房、基部の花托、花序軸が一体化して肥大化し、パイナップルになる。 花序の先端にある青頂点は、開花後も成長を続けて葉を付け、冠芽となる。 話は変わりますが、パイナップル(pineapple)は、パイン(松)の果実(apple)、松かさの事。 その松かさに似ていることから、18世紀頃にパイナップルにも使われたのが始まり。 パイナップルは、果実の下部から出る吸枝から栽培すると1年ほどで花が咲き、結実する。 冠芽や種子からも栽培は可能であるが、収穫までには数年かかるので、使われない。
2009/3/7
ナゴパイナップルパークのパイナップル畑に植えられていたパイナップルです。 果実を目にすることは多いと思いますが、全体を見ることはあまりないのではないでしょうか。 果実の頭頂部にある冠芽を育てれば、また、数年後には花が咲き、実がなることもあるそうです。 気の長い方は、トライしてみてはいかがですか。私は、待てそうにありませんが.... | |
グズマニア(Guzmania)
<イネ目・パイナップル科・グズマニア属> パイナップル科グズマニア属の非耐寒性常緑多年草で、中米〜南米の熱帯雨林が原産地。 草丈は30〜60cmで、葉は長さ20cm前後で、短い茎から叢生して放射状に出る。 樹上などに着生する植物なので、葉の付け根が葉筒状になり、水を溜める構造になっている。 花期は5月〜10月で、株の中心部から花穂が現れ、色鮮やかな苞状葉が周りを覆う。 この苞状葉は、赤、黄、紫などがあり、苞状葉の間に小さな白や黄色の花が咲く。 花は長持ちしないが、苞状葉は3〜6ヶ月は色褪せずに楽しむことができる。
2009/3/7
ナゴパイナップルパークで見かけたグズマニアです。 花というよりも、カラフルな苞状葉を楽しむ観葉植物ですね。 実家にいる時に育てたことがありますが、花は淡紫色の小さな花でした。 苞状葉が色あせて切り取った後、脇から出てくる子株が大きくなって、また、楽しませてくれました。 | |
クワズイモ(Alocasia odora)
<オモダカ目・サトイモ科・サトイモ亜科・クワズイモ属> サトイモ科クワズイモ属の常緑性多年草で、在来種。 日本では、四国南部〜九州南部、琉球諸島に分布する。 なお、やや小型のシマクワズイモ(A. cucullata (Lour.) G.Don)が琉球諸島と小笠原諸島に、 大型のヤエヤマクワズイモ(A. atropurpurea Engler)が西表島に分布する。 海外では、中国南部、台湾〜インドシナ、インドなどの熱帯・亜熱帯地域に分布する。 草丈は10〜200cmと、品種によって大きく異なる。 根茎はサトイモのような塊茎ではなく、太く棒状に伸び、時に分枝する。 根茎の先に葉を数個付け、葉柄が60〜120cm、葉の長さが60cmを超える大きなものもある。 葉身は楕円形で、9〜13対の葉脈が目立ち、基部がV字型に大きく切れ込。 その少し内側に葉柄が盾状に付くものや、インドクワズイモのように縁に付くものもある。 花期は3月〜8月で、暖地ほど早まる。花柄は太く長さは15〜20cmになる。 花柄の先に15〜25cmの仏炎苞が付き、基部は筒状で緑色、舷部は黄緑色でボートのような形。 仏炎苞の中心に黄白色の肉穂花序があり、仏炎苞の筒状部の中に多数の雌花が付き、 その上部には中性花と雄花が集まってが付く。なお、雌花、中性花、雄花に花被片はない。 果実が熟すと仏炎苞は脱落し、紅色の果実が目立つようになる。
2009/3/7
首里城に向かっているとき、通路脇で見かけたクワズイモの花です。 最初に見たとき、サトイモの花ではないかと思っていました。 後で確認したら、サトイモの花に似てはいますが、仏炎苞の長さがまったく異なります。 改めて調べ直し、葉の形からシマクワズイモではなく、本種としました。 | |
シマアザミ(Cirsium brevicaule)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属> キク科アザミ属の多年草で、在来種。 日本では、奄美大島以南の南西諸島に分布する。海外では、台湾南部に分布する。 砂浜や海岸の岩場、海岸近くの路傍などで見られる。 草丈は20〜100cmで、茎は分枝して稜があり、クモ毛を密生する。 根出葉は花期にも残り、長さ20〜30cmで羽状深裂する。基部は翼状になって茎を抱く。 裂片の先は尖り、鋸歯の先には鋭い刺がある。葉質は厚く光沢がある。 茎葉は互生して、長楕円形で羽状深裂し、裂片の先端は尖り、鋸歯に鋭い刺がある。 花期は2月〜6月で、茎頂に直径35〜50mmの頭花を上向きに付ける。 頭花は管状花のみからなり、花からオシベやメシベが棒状に突き出す。 総苞は扁球形で、長さ18〜20o、幅は30〜40oあり、草裂片は列で、上端は反り返る。 花色は、奄美諸島では白色〜淡紅紫色、奄美諸島や八重山諸島では紅紫色が普通。 宮古島から与那国島のものをイリオモテアザミ、奄美諸島のものをアマミシマアザミとする説は、 これらを有意に区別する違いは見当たらないことから、シマアザミの異名の扱いとなっている。 種子は痩果で、冠毛があり、風で種子は散布される。
2009/3/7
古宇利島の海岸で見かけたシマアザミです。白いアザミは初めて見ました。 調べたところでは、沖縄では花は白い色ですが、奄美や八重山では、よく見る紅紫色とのこと。 沖縄のシマアザミだけが、なぜ白いのか不思議ですね。シマアザミの白変種なのでしょうか。 他の植物でも、稀に白変種が見られますが、全てが白花というのは聞いたことがありません。 たまたま、沖縄で白変種が生まれ、それが広がったのでしょうか。 島でなければ、周りからの侵入で混生が起きるのでしょうが、島ではそれがなかったということ?
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ハイアワユキセンダングサ(Bidens pilosa var. radiata f. decumbens)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・センダイグサ属> キク科センダイグサ属の1年草〜多年草で、熱帯アメリカが原産地。 日本には、1844〜48年(弘化年間)に渡来し、九州地方南部、沖縄県、小笠原諸島などに分布する。 草丈は50〜100cmで、茎は下部が横に広がり、先は立ち上がる。茎の断面は四〜六角形。 葉は基部で対生、上部で互生し、小葉が3個の複葉。小葉が5個のタチアワユキセンダングサより少ない。 花期は通年で開花し、枝先に直径30mmほどの頭花を付ける。 頭花は、長さ12mmほどの白い丸みのある舌状花と、黄色い筒状花よりなる。 果実は痩果で、平たい四稜形。頂部に棘を持ち、動物や人に付く、いわゆるひっつき虫の1種。 日本の侵略的外来種の一つとされ、沖縄本島では、サトウキビ畑の強害草となっている。 小葉の数に違いはあるが、タチアワユキセンダングサと区別しないことも多い。 なお、コセンダングサは変異の多い種で、以下のような変種が確認されています。
・コセンダングサ Bidens pilosa:以下のすべてを含み、海外では多くの場合これを使い、区別していない。
・コセンダングサ Bidens pilosa var. pilosa:基本変種で、舌状花がない形である。 ・コシロノセンダングサ Bidens pilosa var. minor:小さな白い舌状花がある。 ・アワユキセンダングサ Bidens pilosa var. bisetosa:大きな白い舌状花をもつ。痩果は刺針が2本で腺点がない。 ・タチアワユキセンダングサ Bidens. pilosa var. radiata:大きな白い舌状花をもつ。痩果は平たい四稜形。 別名:オオバナノセンダングサ、オオバナセンダングサ、シロノセンダングサ ・ハイアワユキセンダングサ Bidens. pilosa var. radiata form. decumbens: 匍匐性の強いタチアワユキセンダングサの品種。 ・マルバアワユキセンダングサ Bidens. pilosa var. radiata form. indivisa: 単葉型のタチアワユキセンダングサの品種。
2009/3/7
首里城に向かう途中、街路樹の脇にたくさん生えていました。 白い大きな花弁や花の特徴からキク科の花であろうと思ったのですが、見たことがありません。 後で、調べていてセンダンクサの一種と分かりました。が、そこからが大変でした。 写真を撮っただけで、細かく観察していなかったので、判断材料が少ないのです。 結果として、小葉が3個という葉の特徴から、ハイアワユキセンダングサとしました。 茎が匍匐しているかどうかは未確認ですので、単にタチアワユキセンダングサで良かったかもしれません。
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クサトベラ(Scaevola taccada)
<キク目・クサトベラ科・クサトベラ属> クサトベラ科クサトベラ属の常緑低木で、在来種。 日本では、薩南諸島以南の南西諸島と小笠原諸島に分布する。 海外では、インド洋〜太平洋にかけての熱帯・亜熱帯の海岸またはその近くに広く分布する。 樹高は1〜2mで、枝は淡灰褐色で平滑。茎は下部が木化するが、柔らかくて折れやすい。 葉は互生して枝先に集まり、長さ10〜16cmの倒卵状楕円形で、光沢があり明るい緑色。 花期は4月〜12月で、葉腋から小型の集散花序を出し、小さな白花を付ける。 花冠の下半部は花筒となり、上半部は5裂して扇状に平開し、直径2cmほどの左右対称花となる。 花冠は開花直後は白くて紫色の筋があり、基部には長毛がある。時間が経つと白から黄色く変化する。 その扇状に平開した花冠の要の位置から花柱が伸びていて、雄性先熟である。
・ツボミの時に真っ直ぐな花柱の先、柱頭は杯状に凹み、そこに5個のオシベの葯からの花粉が溜まる。
・開花するときにはオシベは役目を終え、真っ直ぐだった花柱が曲がって、柱頭が下を向く。 ・そこに昆虫が訪花すると、背中が柱頭の毛に当たって花粉がこぼれて背に付く。 ・その後、柱頭の奥にあった突起が肥大して、受粉可能な状態となる。 ・そこに昆虫が訪花すると、背中に付いていた花粉が、肥大した柱頭に付き、受粉する。
何とも巧妙な仕組みで、他花受粉するものです。
果実は直径1cmほどの球形の核果で、熟すと白くなる。 果実は鳥に食べられ、種子は海流散布される。 種子は海水に強く、半年以上海水に浸かった方が発芽率は高いとの報告も出されている。
2009/3/7
万座毛の遊歩道を歩いているとき、芝生の原っぱの所々に見られたクサトベラです。 上の写真で、左端の地を這うように広がっているのがクサトベラです。 下はその部分拡大ですが、茎先に若々しい新葉が集まっています。花はありませんでした。 | |
ツンベルギア・マイソレンシス(Thunbergia mysorensis)
<シソ目・キツネノマゴ科・ヤハズカズラ属> ツンベルギア・マイソレンシスは蔓性常緑多年草で、原産地はインド南部。 蔓性で長さは10mにもなり、披針形の葉が対生する。 花期は3月〜8月で、長さが1mに達する総状花序を垂れ下げ、多数の花を付ける。 花は直径4〜5cmで、花冠の内側が濃黄色で、苞が赤褐色と色の取り合わせが目を引く。 花冠は、5裂するが、下側の3裂片が反り返るので縦長に見える。
2009/3/7
ナゴパイナップルパークで見かけたツンベルギア・マイソレンシスです。 ヤハズカズラの仲間にしては変な形の花ですが、それは開いた花弁が後ろに反り返っているからです。 | |
コガネノウゼン(Tabebuia chrysotricha)
<シソ目・ノウゼンカズラ科・タベブイヤ属> ノウゼンカズラ科タベブイヤ属の落葉低高木で、熱帯アメリカが原産地。 樹高は3〜15mで、幹は灰褐色で縦筋が多数入る。よく分枝して横に広がる。 葉は互生し、掌状複葉で小葉は5〜10cmの倒卵形で頂小葉が大きい。葉柄は10〜15cmほど。 花期は3月〜4月で、葉の展開前に黄色い漏斗型の花を総状に5〜10個付ける。 花は直径6〜8pで、先が5裂して平開する。1つの花は数日で落下する。 果実は、マメ科の果実のような刮ハで、長さは10〜15cm。 種子は褐色で、扁平な外形に翼状外皮を持っており、裂開すると開いて、羽のように形で垂れ下がる。 沖縄には、オリオンビールが創立30周年記念事業として、種子を移入・配布して広がった。 ボリビアから移入されたのは、イペー(ipe-rosa)と呼ばれるピンクの花を付ける品種である。 その後、黄色い花を付けるコガネノウゼン(yellow ipe)が導入され、樹高が低いのでより普及した。 その結果、沖縄では黄色い花のコガネノウゼンが多くなり、混同からイペーの名が定着したようである。
● イペー(ipe-rosa):Handroanthus impetiginosus(syn. Tabebuia impetiginosa)で桃色の花が咲く
Tabebuia heterophyllaなど、他にも桃色の花の品種があるが、イペーとの関連は不明 ● イペー・アマレーロ(yellow ipe):黄色の花を咲かせる7種ほどを指す Tabebuia chrysotrichaもその中の1種
2009/3/8
玉泉洞を見学した後、おきなわワールドを歩いているときに見かけたコガネノウゼンです。 黄色い花がパラパラと付いていたので、何気なく撮った写真です。 後で調べていて、マメ科のような果実が付いていることに気が付きました。 同定はいささか難航しましたが、コガネノウゼンにたどり着きました。果実の形状が決め手です。 もっと黄色い花が一杯咲くようなのですが、時期が遅かったのか、花数は少なく、見た目が寂しいですね。 | |
アダン(Pandanus odoratissimus)
<タコノキ目・タコノキ科・タコノキ属> タコノキ科タコノキ属の常緑小高木で、在来種。 日本では、トカラ列島以南の沿岸域に分布する。海外では中国南部や東南アジアに分布する。 亜熱帯から熱帯の海岸近くに生育し、非常に密集した群落を作り、マングローブに混生することもある。 樹高は2〜6mで、成長とともに太い枝が横に展開し、気根を伸ばし支柱根となる。 葉は幅3〜5cm、長さ1〜1.5mの細長い披針形で、幹先に螺旋状に付き、基部はやや広がって茎を包く。 葉は皮質で厚くて硬く、その辺縁や主脈には鋭い棘がある。 主脈の棘は、途中で向きが反転し両端を向くが、中程では交互の向きに並ぶ。 花期は7月で、雌雄異株。雄株は房状の花序、雌株は長球状で小型の花序を出す。 雄花序は長さ20〜25cmあり、5〜7個の緑色〜黄白色の総包と長さ4〜5cmの白い肉穂花序からなる。 肉穂花序は多数の小枝に分岐しており、そこから多数のオシベを出すので、逆立った猫の尻尾の様。 雌花序は長球状で太い軸先に付き、長さ10〜20cmで白い葉状の総包十数枚が付く。メシベは楕円型。 果実は、直径15〜20cmほどのパイナップルに似た球形の集合果である。 個々の果実は倒卵形で、長さ4〜6cm、幅3〜5cm。内果皮は繊維質で外果皮は肉質。 若いうちは緑色をしているが、熟すにつれて黄色くなり、甘い芳香を発する。
2009/3/7
万座毛の遊歩道を歩いているとき、芝生の原っぱの所々に見られたアダンです。 上左の写真で、中央や左の小さな群落、奥の大きな群落がアダンで、中央を拡大したのが右の写真です。 これらの群落には果実は見当たらなかったのですが、遊歩道からの戻り道で会えたのが下段の写真です。 まだ、熟しかけなのでしょうか、先の方が少し黄色味を帯びている程度でした。 | |
タコノキ(Pandanus boninensis)
<タコノキ目・タコノキ科・タコノキ属> 2009/3/7 2009/3/8
タコノキ科タコノキ属の常緑高木で、小笠原諸島の固有種(日本固有種)。
樹高は10mに達し、根本付近から斜め下に太い気根を多数出し、タコの脚のように見える。 なお、アダンと比較した場合、幹が直立して分枝が少なく、すっきりと見える。 葉は幅7cm前後、長さ1〜2mの細長い披針形で、幹先に螺旋状に付き、縁と主脈の裏側には鋭い棘がある。 花期は5月〜6月で、雌雄異株。雄株は房状の花序、雌株は長球状で小型の花序を出す。 雄花序は長さ20〜30cmあり、5〜7個の緑色〜黄白色の総包と長さ4〜5cmの白い肉穂花序からなる。 肉穂花序は多数の小枝に分岐しており、そこから多数のオシベを出すので、逆立った猫の尻尾の様。 雌花序は長球条で太い軸先に付き、長さ10〜20cmで白い葉状の総包十数枚が付く。メシベは楕円型。 果実は、直径20〜30cmほどのパイナップルに似た球形の集合果です。 個々の果実は長球状で、長さ4〜6cm、幅3〜5cm。アダンのように段にならない。 若いうちは緑色をしているが、熟すにつれてオレンジ色になり、1片ずつ落果してしまう。
2009/3/7,8
3/7に見かけたのは、ナゴパイナップルパークに植栽されていたものです。 まだ、熟しかけなので、個々の果実の基部がオレンジ色になっているだけでした。 もう少し、熟して全体がオレンジ色になってくると、ポロポロと落果してしまうでしょう。 3/8には琉球村で、タコノキの若い果実を見かけました。 上の写真と比較すると、個々の果実もまだ十分に大きくなっていないのが分かります。
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ブーゲンビリア(Bougainvillea)
<ナデシコ目・オシロイバナ科・ブーゲンビリア属> オシロイバナ科ブーゲンビリア属に属するつる性低木で、中央アメリカ及び南アメリカ原産の園芸品種。 ブーゲンビリアの和名は、イカダカズラ(筏葛)、ココノエカズラ(九重葛)です。 樹高は0.5〜5mほどになり、茎には先の曲がった棘がある。 葉は互生し、長さ4〜10cmの卵形で先が尖る。 日本での花期は5月〜10月であるが、原産地などでは通年で開花する。 花弁に見えるのは苞葉で、3個か6個あり、直径は3〜6cmになる。色は、白、紫、ピンク、橙色、黄色など。 苞葉の中心に3個ある白い小さなものが花ですが、花弁はなく、白く見えているのは萼です。 萼は黄白色の筒状で、先が5残裂して平開する。 なお、枝葉が伸びる際、咲かなかった花芽が変化して棘になる性質がある。 ブーゲンビリアの原種は、下記の3種が知られており、交配により多数の園芸品種がある。
● グラブラ(Bougainvillea glabra Choisy)
● スペクタビリス(Bougainvillea spectabilis Willd.) ● ペルウィアナ(Bougainvillea peruviana Humb.et Bonql)
2009/3/7
ナゴパイナップルパークでは、あちらこちらにブーゲンビリアが咲いていました。 それもカラフルな苞葉をたくさん付けて、いかにも南国だと言わんばかりです。 なお、ブーゲンビリアは肥料や水を与えすぎると、棘だらけの厄介な樹になります。 また、低温には比較的強いようで、都内の路地でも大きく育つようです。 都内の民家と道路との数十cmの隙間で、高さが2階の屋根より高く成長したものを見ました。 元は鉢植えだったようで、根元に白い鉢を履いて、幹は鉢の直径(20cm?)ほどになっていました。 鉢植えを置いておいたら、底をぶち破って根を下ろし、成長したようでした。 始めは何の樹だか分からなかったのですが、夏に花が咲いて、ブーゲンビリアだと気付きました。 | |
ガジュマル(Ficus microcarpa)
<バラ目・クワ科・イチジク連・イチジク属> 2009/3/6 2009/3/8
クワ科イチジク属の常緑高木で、在来種。
日本では、屋久島と種子島以南の主に南西諸島などに分布する。 海外では、台湾、中国南部やインドからオーストラリアなど分布する。 樹高は20mになり、幹は太くて瘤や皺が多く多数分岐して繁茂し、褐色の気根を地面に向けて垂らす。 気根は当初はごく細いが、太くなれば樹皮が発達し、地面に達すれば幹と区別が付かなくなる。 葉は互生し、長さ5〜10cmの倒卵形で、厚みがあって、表面は緑色で艶がある。葉柄は1cmほど。 枝先にイチジクのような花序を付けるが、直径8o前後と小さい。熟すと赤くなる。
2009/3/6,8
3/6にひめゆりの塔の近くで見かけたガジュマルは、太い気根を地面にたくさん立てていました。 傘をさしている人と比べてもらえれば、その大きさを実感いただけると思います。 3/8に見かけたのは、国際通りから新原ビーチへ向かう途中、立ち寄った公園で見かけたガジュマルです。 このガジュマルも大きな木で、太い気根を何本も下ろし、細いひげ根のような気根もたくさん出ていました。 | |
マンゴー(Mangifera indica)
<ムクロジ目・ウルシ科・マンゴー属> ウルシ科マンゴー属の常緑高木で、原産地はインドからインドシナ半島周辺と推定されている。 日本では、沖縄県・宮崎県・鹿児島県・和歌山県・熊本県で主に栽培されている。 樹高は、10〜40mで、幹は暗褐色。 葉は互生し、長さ10〜30cmの長楕円形で、先が尖り、鋸歯はない。 革質で表面は濃緑色で光沢があり、裏面は黄緑色でわずかに光沢がある。 花期は沖縄では1月〜2月であるが、地域によって花期は変動する。 枝端に長さ10〜40cmの円錐花序を出し、無数の小花を付ける。 両性花と雄花があり、全体の数割が両性花。緑色の萼片と黄白色の花弁が各々5個ある。 両性花では、オシベは退化し、1個だけが成熟して花粉を出す。 虫媒花で、開花後に強烈な腐敗臭を放ち、クロバエ科などのハエを引寄せている。 花は無数に咲くが、結実率が低く、宗教上の悟りの困難さを示唆する木とも言われている。 果実は系統によって、長さ3〜25cm、幅2〜15cmcmと大きさが異なる。 その形は広卵形〜勾玉型で、果皮は緑色、黄色、赤色と変異があり、厚みがあって強靭。 果肉は、未熟果は非常に酸味が強いが、完熟すると黄色〜橙紅色になり濃厚な甘みがある。 マンゴーには、マンゴールという接触性皮膚炎の原因となる物質が含まれており、注意が必要。 痒みを伴う湿疹などのかぶれ症状は、食べてから数日経って発症・悪化する場合がある。
2009/3/8
玉泉洞を見学した後、おきなわワールドを歩いているときに黄色い果実を見かけました。 なんの果実か分からなかったのですが、いろいろ調べていてマンゴーに行き着きました。 マンゴーに関しては、アップルマンゴーしか知らなかったので、この色からは想像できませんでした。 マンゴーにもいろいろあって、形や色(緑色、黄色、赤色と変異)が異なることを知りました。 黄色いマンゴーにもいろいろあり、色と形からペリカンマンゴーかタイマンゴーではないかと思います。 | |
モンパノキ(Heliotropium foertherianum)
<ムラサキ目・ムラサキ科・キダチルリソウ属> ムラサキ科キダチルリソウ属の常緑小高木で、在来種。 日本では、南西諸島の奄美群島以南および小笠原諸島に分布する。 海外では、東アフリカからアジア、オセアニアの熱帯から亜熱帯の海岸に分布する。 樹高は10mほどになり、幹は灰褐色で縦に裂け目が多く、材は柔らかい。 葉は互生して枝先に集まり、長さ10〜20cmの倒卵形。多肉で、表裏に細毛が密生する。 花期は、沖縄では春から秋にかけてであるが、熱帯では通年で開花する。 円錐形の集散花序を頂上または腋生し、直径4〜5mmの白い小花を密生する。 花冠は釣鐘型で、先が5裂する。オシベが5個ある。萼と花冠には銀白色の毛が密生している。 果実は直径5mmほどの球形の核果で、黄緑色から熟すと橙色、黒へと変化する。
2009/3/7
万座毛の遊歩道を歩いているとき、芝生の原っぱの所々に見られたモンパノキです。 上の写真で、左端の地を這っているクサトベラより、1段高くなっているのがモンパノキです。 下はその部分拡大ですが、右の写真の右下の小さな葉がクサトベラで、倍近い大きさがあります。 この写真を見る限りでは、花と思われるものは見当たりませんでした。 |