金時山で見かけた野草
和名インデックス |
ハコネダケ(Pleioblastus chino f. vaginatus)
<イネ目・イネ科・タケ亜科・タケ連・メダケ属・メダケ節> イネ科タケ亜科メダケ属に属するササの1種で、在来種。 日本では本州に分布し、特に箱根山周辺に多いので、この名がある。 草丈は2〜4mで、根茎は長く匍匐し、稈を密生する。 稈は直径1cmで節間が長く、節毎に枝を2〜7本密生する。葉は長さ5〜20cmの狭披針形。 春に長さ4〜7cmの淡緑色の花穂を出し、紫色を帯びた小穂を多数付ける。 名前にササと付く竹や、タケと付く笹があり、名前だけでは判断できないものがある。 タケとササの違いは、下記の点で区別される。
日本地理学会で発表された「箱根山周辺のササ原の成立要因」には下記の記述がある。 箱根山周辺における主なササ原は大部分がハコネダケである。 しかし、標高1,000mを超えるとハコネメダケに変わる。 また、外輪山南向き斜面では、イブキザサやミヤマクマザサに変わる。 森林内においては、ハコネダケに変わってスズタケが多く見られるようになる。
2002/10/13
矢倉沢峠から金時山方向を見ると、草原のようにハコネダケが覆い尽くしていました。 このときは風景として撮ったので、ハコネダケを意識していませんでした。 そのため、ハコネダケのアップの写真はありません。目一杯拡大したのが左側です。 草丈は、人の背の倍くらいあり、稈に葉鞘が残っているのが分かります。 この辺りのササ原は、大部分がハコネダケとの事なので、ハコネダケで間違いはないと思います。 | |||||||||||||||||||||
サラシナショウマ(Cimicifuga simplex (DC.) Wormsk. ex Turcz.)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・サラシナショウマ連・サラシナショウマ属> キンポウゲ科サラシナショウマ属 の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、モンゴルに分布する。 草丈は40〜150cmで、黒味のある根茎はがっしりとし、茎は単一で直立する。 葉は互生し、下部の茎葉は2〜3出複葉で、長さ35〜55cmで、長い葉柄がある。 上部の茎葉は1〜2出複葉で、小さくなる。葉柄基部は、膜質となって広がり、茎を抱く。 側小葉は卵形、頂小葉は披針形から菱形で、側小葉より大きい。 小葉は3残裂しているものが多く、縁には不揃いな鋸歯がある。 花期は8月〜11月で、長い総状花序を出し、白い小花を多数付け、雄花と両性花が混生する。 花序軸や小花柄には灰白色の短毛が密生し、小花柄は長さ5〜10mmほど。 萼片は長さ4mm前後の広惰円形、花弁は惰円形で浅く2裂する。どちらも早落性である。 雄花はオシベのみで、花糸は長さ7mm前後で白く、葯は楕円形で長さ1mmほど。 両性花のメシベは、長さ2mmほどで2個のものが多く、花柱の先は曲がる。 袋果は長さ8mm前後の楕円形で、短毛があるか無毛。種子は4〜8個入っている。
2002/10/13
矢倉沢峠からの登山道脇で見かけたサラシナショウマです。 バックにハコネダケが写っていますが、登山道脇のわずかな隙間に生えていました。 | |||||||||||||||||||||
ホトトギス(Tricyrtis hirta)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属> ユリ科・ホトトギス属の多年草で、日本固有種。 日本では、北海道南西部、本州の関東地方以西で福井県以南、四国、九州に分布している。 草丈は40〜80cmで、茎は直立するか垂れ下がり、上向きの褐色の毛が密生する。 葉は互生し、葉身は長さ8〜18cmの長楕円形で、先は尖り基部は茎を抱く。両面に軟毛がある。 花期は8月〜10月で、葉腋に上向きの花を数個付ける。 花は直径25o程で、6個の花被片は平開せず、斜め上向きに開き、外面に毛がある。 外花被片3個は内花被片3個より幅が狭く、外花被片の基部に袋状のふくらみがある。 花被片の内側には白地に紫色の斑紋があり、基部には黄色の斑紋がある。 なお、花被片の紫色の斑紋の大小や、数の多少には個体差がある。 花の中心から太い花柱が立ち上がって3深裂して横に広がり、先はさらに2裂する。 花柱や柱頭にも紫色の斑紋があり、横に広がった柱頭には球状の突起がある。 オシベは6個で、花柱を取り囲むように6個のオシベが立ち上がり、メシベの下で湾曲する。 反り返った花糸の先端に、葯は外向きに付き、花糸や葯の上側にも紫色の斑紋がある。 果実は長さ4〜5cmで、3稜があるが尖った三角柱状の刮ハ。熟すと先端が小さく3裂する。 種子は長さ2.5mmほどの扁平な卵形で、淡褐色。表面には細かな網目がある。
2002/10/13
矢倉沢峠からの登山道脇で見かけたホトトギスです。 何株か見かけましたが、右側の花は開花して日が経つのか、少し色褪せているようです。
| |||||||||||||||||||||
リンドウ(Gentiana scabra var. buergeri)
<リンドウ目・リンドウ科・リンドウ属> リンドウ科リンドウ属の多年草で、在来種。 日本では、本州の関東地方以西から四国、九州に分布する。 なお、基本変種であるトウリンドウ(チョウセンリンドウ)は朝鮮半島から中国、シベリアに分布する。 草丈は20〜80cmで、茎は直立あるいは斜上し、4条線がある。 葉は対生し、長さ3〜8cmの卵状披針形で、3脈が明瞭。葉表は緑色で、葉裏は淡緑色。 葉先は尖り、基部は葉柄はなくて、茎を抱く。縁には細かい突起があってざらつく。 花期は9月〜11月で、茎頂や上部の葉腋に太い筒状鐘形の花を数個、上向きに付ける。 花冠は長さ35〜50mmで、先が5裂して先が尖り、裂片の間の副片は小さい。 花冠は晴天時のみ開き、紫色で、内面には茶褐色の斑点がある。 オシベは5個で、柱頭は2裂する。子房の基部には、5個の蜜腺がある。 萼筒は長さ10〜20mmで、萼裂片は線状披針形。 萼裂片は、筒部より長いものや短いものがあり、開出していることが多い。 果実は刮ハで、枯れた花冠や萼に包まれたまま突き出し、熟すと縦に2裂する。 種子は長さ2o弱の紡錘形で、両端に短い尾があり、風に乗って飛散する。
2002/10/13
矢倉沢峠からの登山道脇で、他の草に隠れるようにひっそりと花を付けていたリンドウです。 秋を代表する花の1つですが、除草されたためか背が低く、あまり目立ちません。 |