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富士山で見かけた昆虫



主に富士山の御殿場口(太郎坊)の駐車場や登山口近くで見かけた昆虫たちです。



チョウ目
アゲハチョウ科(キアゲハ)
スズメガ科(ヒメクロホウジャク、ホシホウジャク)
シャクガ科(ヒョウモンエダシャク)
スカシバガ科(セスジスカシバ)
ハエ目
ハナアブ科(ナミホシヒラタアブ)
ハチ目
コハナバチ科(ホクダイコハナバチ)
ミツバチ科(クロツヤハナバチ、オオマルハナバチ、トラマルハナバチ、ニホンミツバチ)
ヒメバチ科(ヒメバチの仲間)
バッタ目
バッタ科(ハネナガフキバッタ)
カメムシ目
アブラムシ科(キスゲフクレアブラムシ)
コウチュウ目
コガネムシ科(セマダラコガネ)
カミキリムシ科(アカハナカミキリ、ゴマダラカミキリ)
ハムシ科(ルリマルノミハムシ)
入笠山で見かけた昆虫
和名インデックス


キアゲハ(Papilio bianor)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ属>
 
本種は、ヨーロッパからアジア、北米北西部にかけて広く分布し、いくつかの亜種に分かれている。
日本は、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。
日本に分布している亜種は、「Papilio machaon hippocrates」とされている。
幼虫は、セリ科植物(セリ、ハマウド、シシウド)を食草とするため、生息地は広い。
また、野菜のニンジン、パセリ、ミツバ、アシタバも大好物なため、農家の方にとっては害虫である。
なお、幼虫は、三齢幼虫まではナミアゲハと同じ黒い体色をしている。
しかし、四齢幼虫では白地に黒と黄色の斑点模様となる。
さらに、終齢幼虫の五齢幼虫になると黄緑と赤い斑点のある黒の縞模様に変わる。
なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ黄色い臭角を出す。
本種は、蛹で越冬するが、-196℃の低温にも耐えられる。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたキアゲハの終齢幼虫です。
かなりの大食漢のようで、食草(おそらくハナウド)はほぼ食べ尽くされていました。
ここの標高は1500mとかなりの高所ですが、このような場所にもいるのだと驚きました。
ただ、富士山は上昇気流が激しい場所でもあるので、それに乗って上がってきたのかもしれません。

ヒメクロホウジャク(Macroglossum bombylans)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・ホウジャク族・Macroglossina亜族・ホウジャク属>
 
スズメガ科ホウジャク属に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、台湾、中国、インドシナ〜インド北部に分布する。
成虫の出現時期は5月〜10月で、体色は淡黄緑色で腹端が黒い。
腹部の後端近くには白色の帯斑があり、胸部に近い側面に黄褐色班2対と白斑1対がある。
前翅長は20〜24mmで、開張は40〜50mmである。
翅は地色が暗褐色で、前翅には淡褐色の帯があり、後翅基部は黄褐色である。
成虫は、昼間、飛び回ってホバリングしながら長い口吻を伸ばして吸蜜する。
幼虫は尾角がある独特の形をしており、体色は緑色または淡褐色で白い顆粒が点在する。
頭部には水色と黄色の縞模様があり、尾角は水色で先端が黄色。背面には小さなトゲが並ぶ。
胴部側面には4本の白条があり、その内の1条に黒い気門が並ぶ。白条は胸部辺りで不鮮明になる。
尾角は比較的長くて8mmほどあり、肛上板の外側は黄色に縁どられている。
胸脚は赤褐色で、腹脚は緑色。腹脚の側面下部に細い黒条があり、白い顆粒も見られる。
幼虫の食草は、アカネ科のアカネ、ヘクソカズラ、アケビ科のアケビなどである。
終齢幼虫は、地表で粗い繭を作り、中で蛹化して越冬する。

2010/10/16
一木塚に向かう途中、通路脇のトネアザミで吸蜜中のヒメクロホウジャクを見かけました。
といっても、せわしなく花を次々と訪花している状態では、種類までは分かりませんでした。
ホウジャク属にはよく似た仲間がいて、パッと見たくらいで種類まで見分けるのは困難です。
後で、写真をよく見て、後翅の黄褐色の斑紋や腹部の斑紋、胸部背面の模様からの判断です。

ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)
<<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・ホウジャク族・Macroglossina亜族・ホウジャク属>
 
スズメガ科ホウジャク属に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド北部まで広く分布している。
成虫は、体長35mm前後、開張は40〜50mmで、全体にこげ茶色である。
成虫の出現時期は7月〜11月で、全体に暗褐色だが、後翅には黄褐色の斑紋がある。
また、翅を閉じて静止すると、茶色のグラデーション模様が鮮やかに見える。
腹部の後端近くには白色の帯斑があり、胸部に近い側面に黄褐色の班が2対ある。
なお、これらの特徴はクロホウジャクと似ており、注意してよく見ないと判別は難しい。
後翅の黄褐色の斑紋に違いがあり、ホシホウジャクの方がクロホウジャクより幅が広い。
また、前翅先端の斑紋にも違いがあり、クロホウジャクの前縁側がより白っぽく見える。
成虫は、昼間、飛び回ってホバリングしながら長い口吻を伸ばして吸蜜する。
主に、ツリフネソウ、ホウセンカ、アベリア、コスモス、ラベンダーなどを訪花する。
幼虫は尾角がある独特の形をしており、頭部が小さく、体の前方は細くすぼまる。
体色は淡褐色または緑色で、体側に頭頂から尾端まで縦条が走り、その下に斜条が並ぶ。
幼虫の食草はヘクソカズラやアカネで、終齢幼虫の体長は50〜55mmになる。

2010/10/16
一木塚に向かう途中、通路脇のノコンギクで吸蜜中のホシホウジャクを見かけました。
といっても、せわしなく花を次々と訪花している状態では、種類までは分かりませんでした。
ホウジャク属にはよく似た仲間がいて、パッと見たくらいで種類まで見分けるのは困難です。
後で、写真をよく見て、後翅の黄褐色の斑紋や腹部の斑紋、胸部背面の模様からの判断です。


名前も見た目もよく似たホウジャク

ヒメクロホウジャク
ホシホウジャク
ホシヒメホウジャク






準備中



まだ見たことはないのですが、もう1種類、クロホウジャクというホシホウジャクのそっくりさんがいます。
後翅の黄褐色の斑紋の幅がホシホウジャクより細い点や前翅端の斑紋が異なる点以外は酷似しています。
それに比べると、ヒメクロホウジャクは胸部背面に斑紋がなく、淡黄緑色なので区別はしやすいです。
ホシヒメホウジャクの後翅は前縁が波打っていて、止まった状態では前翅の前に後翅の一部が飛び出しています。
なお、シロテンハナムグリとのツーショットなのですが、口吻が抜けなくてもがいているところでした。
どうも、シロテンハナムグリが口吻を押さえているようで、もがいては休み、もがいては休みしていました。
どうしてこのような状態になったのかは分かりませんが、引っ張っても抜けませんでした。


ヒョウモンエダシャク(Arichanna gaschkevitchii gaschkevitchii)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・
シャクガ科・エダシャク亜科・Arichanna属>

シャクガ科エダシャク亜科の一種で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
開張は41〜50mmで、出現時期は6月〜7月(山地では7月〜9月)である。
翅は白地に黒い紋が散りばめられ、後翅の外側半分はオレンジ色。
幼虫の食草はアセビで、成虫は花蜜を餌とする。
オスの触角は櫛歯状で、メスの触角は糸状なので、区別は容易。

2009/8/22
御殿場口新五合目の登山口から少し上った辺りで、クサボタンで吸蜜していました。
後翅は、外側がオレンジ色なので思った以上に目につきます。

セスジスカシバ(Pennisetia fixseni fixseni)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・スカシバガ上科・
スカシバガ科・ヒメスカシバ亜科>
 
スカシバガ科の蛾で、在来種。日本では本州から四国、九州に分布する。
大きさは40o前後で、発生時期は8月〜10月。
橙黄色と黒の縞模様があり、翅は透明。胸部背面中央に黒い帯がある。
一見するとスズメバチが飛んでいるように見え、擬態によって身を守っていると考えられる。
幼虫は、クマイチゴ、モミジイチゴ、ウラジロイチゴなどの茎に穿孔する。

2016/9/5
御殿場口新五合目の登山口から少し上った辺りで、ハチのようなものを見かけました。
ただ、その飛び方がハチらしくなかったので、近づいて良く見るとスカシバガと分かりました。
写真を撮ろうとしたのですが、灌木の中に入ってしまったので、暗くてうまく撮れませんでした。
不鮮明な写真となりましたが、調べてみると本種と分かりました。

ナミホシヒラタアブ(Eupeodes bucculatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・
ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・フタホシヒラタアブ属>

ハナアブ科フタホシヒラタアブ属のアブで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州まで広く分布する。
体長は10〜11mmで、出現時期は4月〜11月であるが、春と秋に多い。
胸部背面は金属光沢のある青銅色で、腹部に3対の黄帯紋がある。
この横帯紋は、腹部第1節は左右に分かれるが、第2節〜第3節ではつながっていることが多い。
幼虫は頭部が尖ったやや扁平なウジ虫で、主にアブラムシ類を食べる益虫である。
成虫は各種の花に訪れて、花蜜や花粉を食べる。
ナミホシヒラタアブとフタホシヒラタアブはよく似ていて、特にメスでは紛らわしい。
・フタホシの第2〜3節の横帯紋は左右に分かれるが、ナミホシはつながっていることが多い
・フタホシの触角の付け根には黒い毛があるが、ナミホシにはない
・フタホシの小楯板の毛は明るい茶色だが、ナミホシの毛は黒い
・ナミホシのメス頭頂の黒い部分と触角の付け根の間にY字型の黒斑があり、フタホシにはない
・ナミホシの胸部背面は青銅色であるが、フタホシの胸部背面は黄褐色である
・ナミホシの後脚腿節は半分以上が黒いが、フタホシは基部のみ黒くて、多くは黄色である
腹部の黄斑は、フタホシヒラタアブでは、全て左右に分かれている個体が多いが、例外もある。
ナミホシヒラアタアブでは、第3〜4節は中央で繋がっている個体が多いが、例外もある。
そのため、黄斑のつながり具合だけでは判断できず、他の特徴を確認する必要がある。

2009/8/22
御殿場口新五合目の駐車場脇で、ノコンギクを訪花しているナミホシヒラタアブを見かけました。
腹部第2〜3節の横帯紋がつながっており、頭頂の黒い部分から触角の付け根の間に黒い線が見えます。
また、後脚腿節はほとんどが黒褐色で、これらの点から本種と判断しました。

ホクダイコハナバチ(Lasioglossum duplex)
<ハチ目・ハチ亜科・ミツバチ上科・コハナバチ科・コハナバチ亜科>

コハナバチ科コハナバチ亜科の小型のハチで、在来種。体長は10o程。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
日本に分布する約60種のコハナバチ科の中で、その営巣習性が最もよく研究されたハチである。

2016/9/5
御殿場口新五合目の第2駐車場の法面で、オトコエシに訪花していました。
コハナバチには似たものが多いため、本種としていますが、異なる可能性があります。。

クロツヤハナバチ(Ceratina megastigmata Yasumatsu et Hirashima)
<ハチ目・ハチ亜科・ミツバチ上科・ミツバチ科・コシブトハナバチ亜科・コシブトハナバチ族>

ミツバチ科コシブトハナバチ族の小型のハチで、在来種。体長は10o程。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
体色は黒くて光沢があり、腹部は紡錘形で尾部には白毛がある。

2016/9/5
御殿場口新五合目の第2駐車場の法面に見られたノコンギクに訪花していました。
全身が真っ黒で、腹部などに光沢があるため、本種としていますが、異なる可能性があります。

オオマルハナバチ(Bombus hypocrita hypocrita)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
 
ミツバチ科に分類されるマルハナバチの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
ただし、西に行くにつれて、生息域は高地の方に移動し、低地では見られなくなる。
体長は、働きバチで10〜20mm、雄バチで12〜19o、女王バチで17〜22mmである。
活動時期は4月〜10月で、他のマルハナバチ同様、社会性のハナバチ。
胸部と腹部は黄白色、黄橙色と黒色の縞模様で、腹部端は黄橙色。
この腹端が白いのは、セイヨウオオマルハナバチで、特定外来生物に指定されている要注意生物です。
なお、胸部や腹部の縞模様の変異は大きく、個体によっては見た目が異なる。
女王バチが単独で越冬し、4月頃から活動を始め、5月頃に営巣する。
ミツバチなどと同じように、女王バチのみが産卵を行う社会生活を行うが、規模は小さい。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたオオマルハナバチです。
尾端が白くなく、黄色っぽい色なのでオオマルハナバチとしたものです。
前翅の先がボロボロになっているので、かなり時間の経った個体のようです。
オトコエシの花の上で、さかんに蜜を集めていました。

トラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
 
ミツバチ科マルハナバチ属のハチで、日本では本州から四国、九州に分布する(北海道は別亜種)。
世界的には、朝鮮半島、ウスリーに分布する東北アジアの固有種。
体長は12〜20mmで、口には折りたたみ式の長い舌があり、マルハナバチの中では最も長い。
活動期間は4月下旬〜11月上旬と長期で、他のマルハナバチ同様、社会性のハナバチ。
土中に枯れ草を敷き詰めて営巣し、蜜蝋に花粉を混ぜてブドウの房状の巣を作る。
メスは地中で越冬し、翌春に単独で営巣を開始する。オスは秋に出現する。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたトラマルハナバチです。
この辺りでは比較的よく見かけるハチで、フジアザミで吸蜜していることが多いです。

ニホンミツバチ(Apis cerana japonica Radoszkowski)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・ミツバチ族・ミツバチ属>
 
日本の固有種で、トウヨウミツバチの亜種。韓国に生息するトウヨウミツバチの近縁種になる。
セイヨウミツバチと比べると、腹部が黒っぽく、セイヨウミツバチのようにオレンジ色にはならない。
天敵のオオスズメバチに対して、蜂球を作って、内部温度をオオスズメバチの致死温度48℃にする必殺技を持つ。
セイヨウミツバチと比較すると、蜜の収集能力は劣る。
体長は、働きバチで10〜13mm、雄バチで12〜13mm、女王バチでは13〜17oある。
腹部の黒い帯模様はほぼ等幅で、全体に黒っぽく、セイヨウミツバチのような黄褐色部はない。
働きバチが、卵から成虫になるのに要する期間は19日で、女王バチは15日である。
女王バチは1週間ほどで成熟し、交尾飛行に出て、交尾後巣に戻る。
巣に戻るとと、元の女王は半数の働きバチを連れて出て行って蜂球を作り、分蜂が起こる。
働きバチが偵察に出て、新しい巣が見つかると一斉にその場所に移動して分蜂完了となる。

2009/8/23
富士山御殿場口(太郎坊)の駐車場の近くで見かけたニホンミツバチです。
クサボタンを訪花して、蜜や花粉を集めているようです。脚には花粉団子が付いています。

ヒメバチの仲間(Ichneumonidae)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科>
 
ヒメバチは、ヒメバチ科に属する寄生蜂の総称で、日本には現在30亜科1400種以上が知られている。
甲虫や他のハチ、チョウ、クモなどを寄主として利用する捕食寄生者であり、
陸域生態系において、他の昆虫を中心とした節足動物の個体数を制御する重要な役割を担っている。
ヒメバチの成虫は、細身のハチのような体型をしているが、その体長、体色、体型などは極多様である。
ヒメバチ科は、有剣類や他の膜翅目昆虫に比べて触角の節数が多いという特徴がある。
多くのヒメバチでは、メスが完全変態昆虫の幼虫や蛹、クモの成体や卵嚢などに産卵し、幼虫が捕食寄生する。
植物組織内や繭内などにいる寄主に産卵するため、ヒメバチのメスの多くは、腹端に長い産卵管を持っている。
同じヒメバチ上科に属するコマユバチ科と似た点が多いが、前翅の2m-cu横脈の有無によって区別できる。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたヒメバチの仲間です。
ヒメバチの仲間であることは、右の写真の白丸の中に脈がないことで判断しました。
ただ、ヒメバチの仲間にはよく似たものが多く、同定には至りませんでした。

ハネナガフキバッタ(Ognevia longipennis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ科・フキバッタ亜科・ハネナガフキバッタ属>
 
バッタ科ハネナガフキバッタ属のバッタで、在来種。
国内では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布しているが、北の地方ほど個体数が多い。
体長は雄で30o前後、メスで35o前後で、メスの方が一回り大きい。
出現期は7月〜10月で、体全体は緑色で、複眼後方から翅付け根まで細い黒条がある。
翅は長く、無紋で褐色。山地の明るい開けた場所を好み、路上でも見られます。
名前の通り、フキの葉を良く食べるが、他にもクズやフジバカマなどの柔らかい葉を好んで食べる。
イナゴの仲間とは異なり、フキバッタ類はイネ科やカヤツリグサ科はまったく食べない。
フキバッタの仲間は、翅が退化して飛べないものが多いが、本種は翅が長く、良く飛べる。

2016/9/5
御殿場口新五合目の第2駐車場の法面に見られたシモツケの木で見かけました。
最初、見た時はハネナガイナゴだと思っていました。
後で調べてみると、ハネナガイナゴとは微妙に異なり、本種と分かりました。


フキバッタ亜科とイナゴ亜科

  
2016/9/5(ハネナガフキバッタ)    2015/8/21(ミカドフキバッタ)
  

2014/9/12(ハネナガイナゴ)     2012/10/31(コバネイナゴ)

ハネナガフキバッタとハネナガイナゴ、良く似ていますね。
フキバッタの仲間には、右のミカドフキバッタのように翅が退化したものが多いです。
その中で、ハネナガフキバッタは翅が普通に長いので、見た目はイナゴそっくりになります。
しかし、良く見ると頭部からの背面が緑色と淡褐色で異なり、黒条の形も異なります。
学術的には、後腿節の後端の側葉が尖らない、後脛節の先端部外面に不動棘がないことが、
イナゴ亜科との識別点と説明されていますが、素人には良く分かりません。


キスゲフクレアブラムシ(Indomegoura indica)
<カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ上科・アブラムシ科・アブラムシ亜科・ヒゲナガアブラムシ族>
 
アブラムシ科の昆虫の一種で、在来種。別名はゴンズイノフクレアブラムシ。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、活動時期は5月〜11月。
体長は2.5〜4oで、体色は黄色〜橙色で、脚や触角、角状管は黒色。
有翅型はロウ状物質を分泌しないが、無翅型はロウ物質に覆われていて白っぽく見える。
ミツバウツギフクレアブラムシに酷似するが、角状管の形状で判別できる。
角状管の中央部が膨れるのがミツバウツギフクレアブラムシで、徐々に細くなるのが本種である。
本種は、初夏〜秋にはノカンゾウやキスゲに、秋〜春にはゴンズイやミツバウツギに付く。
別名のゴンズイノフクレアブラムシは、秋〜春にゴンズイに付くことに由来する。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたキスゲフクレアブラムシです。
付いているのは、おそらくノカンゾウかヤブカンゾウと思われますが、花がないので不明です。
翅のある黄色い成虫と白い羽の無い成虫が見られ、見たことがなかったので後で調べました。
ミツバウツギフクレアブラムシと酷似しているのですが、角状管が直線的な点で本種としました。

セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・セマダラコガネ属>

北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
体色は、茶色と黒のまだら模様が基本ではあるが、黒色型もあり、変異が多い。
くしのついた触角を大きく広げている事が多く、触角は体のわりにはやや大きめ。
成虫は、広葉樹を始め多くの植物の葉を、幼虫は土中で草の根などを食べる。
マメコガネ同様、アメリカで農作物に被害を与え、「オリエンタルビートル」と呼ばれ、嫌われている。
最近、ゴルフ場で芝生の根を食い荒らす害虫として、注目されている。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)を少し上った所で、メイゲツソウにいるセマダラコガネを見かけました。
よく見かけるコガネムシの1つですが、模様の変異が大きい種類(下記参照)でもあります。
この個体は、下記の白紋が少ない個体よりさらに白紋は小さいようです。


セマダラコガネいろいろ

       .

セマダラコガネには、白紋が少ないものから多いものまで変異が大きく、白紋の無い黒色型もいます。


アカハナカミキリ(Aredolpona succedanea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・カミキリムシ科・
ハナカミキリ亜科・ハナカミキリ族・アカハナカミキリ属>
 
カミキリムシ科ハナカミキリ族の甲虫で、日本ではほぼ全国で見られる。
海外では、千島列島、カラフトから、朝鮮半島、中国など東アジアに分布する。
体長は12〜22mmで、出現時期は7月〜9月。胸部や上翅は、茶色がかった赤色。
低地から山地の林の周辺で、花(特に白い花)に集まる。
幼虫はマツやクヌギなどの枯れ木や伐採木を食べ、成虫は花粉を食べる。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたアカハナカミキリです。
八ヶ岳自然文化園などではよく見かけるのですが、ここでは初めて見ました。

ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・フトカミキリムシ亜科・ゴマダラカミキリ属>
 
カミキリムシ科ゴマダラカミキリ属に属する甲虫の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、マレーシアに分布する。
食樹は広範で、都市部から〜山地まで広く分布しており、個体数も多いため、目に付きやすい。
成虫の発生時期は6月〜8月で、体長は25〜35mm、触角は体長の1.5倍ほどある。
体色は全身黒色で、特に前翅は光沢のある黒色に白斑があり、これが和名の由来である。
前翅以外は光沢はなく、腹面や脚は青白色の細毛で覆われているため、青っぽく見える。
触角の各節の基部側にも青白色の細毛があり、黒と青白色の2色のぶち模様になる。
幼虫、成虫とも、ヤナギ、イチジク、ミカンなどの柑橘類、クリ、クワなど多くの生木を食害する。
幼虫は、幹の地際部から侵入し、木質部を食害して枯れ死させることもあるので、重要害虫とされる。

朝鮮半島から中国には、別種のツヤハダゴマダラカミキリが分布し、本種同様、多くの樹木を食害する。
米国にも侵入して食害が発生しており、各国の検疫機関で警戒されている。

2005/8/13
富士山御殿場口(太郎坊)の第2駐車場の近くで見かけたゴマダラカミキリです。
この辺りは森林限界に近く、そのため、木々はあまり生えていません。
クリ、クワなど多く樹種の生木を食べるゴマダラカミキリにとって、良い環境ではありません。
もう少し高度が下がると木は見られるので、上昇気流に乗って迷い込んだのかもしれません。

ルリマルノミハムシ(Nonarthra cyanea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハムシ上科・ハムシ科・ノミハムシ亜科>

ハムシ科ノミハムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナムに分布している。
成虫で越冬し、翌春の3月下旬〜6月に活動する。新成虫は7月〜11月に見られる。
4mm程しかなく、青味を帯びた黒色ではあるが、光が当たらないとほぼ真っ黒である。
昼行性で活発に活動し、花に集まり、花粉を食べる。
後足が発達していて、手を近づけるとノミのように飛び跳ねて逃げる。

2016/9/5
御殿場口新五合目(太郎坊)の第2駐車場の法面に咲く、アキノキリンソウで見かけました。
花に頭を突っ込んだまま、なかなか出てきてくれなかったので、お尻の写真しか撮れませんでした。









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