ホーム旅の見聞録伊豆ドライブ>伊豆の花々


伊豆の花々



伊豆をドライブした際、訪れたガーデンなどで見かけた野草や園芸品種の花々などです。



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
オモダカ目
サトイモ科(マムシグサ)
キク目・キク科
キク亜科(カンシロギク、マーガレット、アフリカキンセンカ、ハルジオン)
タンポポ亜科(イワニガナ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(セイヨウオダマキ、デルフィニウム)
ケシ科(シベリアヒナゲシ[アイスランドポピー])
シソ目
オオバコ科(キンギョソウ、ジギタリス)
シソ科(タツナミソウ)
モクセイ科(ハゴロモジャスミン)
スイレン目
スイレン科(温帯スイレン)
ツツジ目
ツツジ科(ジャノメエリカ、シャクナゲ)
バラ目
バラ科(バラ、モッコウバラ、ハマナス、カワヅザクラ)
フウロソウ目
ノウゼンハレン科(キンレンカ)
マメ目
マメ科(ナヨクサフジ、フジ、ルピナス)
ユキノシタ目
ユキノシタ科(ツボサンゴ[ヒューケラ])
 
ウラボシ目
シシガシラ科(ハイコモチシダ)
伊豆の花々
和名インデックス


マムシグサ(Arisaema serratum)
<オモダカ目・サトイモ科・サトイモ亜科・テンナンショウ属>
 
サトイモ科テンナンショウ属の宿根性落葉多年草で、在来種。
有毒植物で、全草にシュウ酸カルシウムの針状結晶、サポニン、コニインを含み、特に球茎の毒性が強い。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広範囲に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
草丈は50〜80pほどになり、春、地下の球茎から偽茎を伸ばし、2枚の葉を展開する。
偽茎は、葉柄下部の2つの葉鞘部分が重なったもので、紫褐色のまだらな模様がある。
葉は鳥足状の複葉で、7〜15枚の楕円形の小葉からなり、その形や鋸歯の有無など変異が大きい。
花期は4月〜5月で、中央から花茎を伸ばし、紫色の仏炎苞のなかに肉穂花序を付ける。
雌雄異株で、肉穂花序の下部に萼も花冠もないオシベ・メシベだけの花を固まって付ける。
仏炎苞は、長さ10pほどの筒状部があり、その先は細くなりながら水平に前方に伸びる。
肉穂花序の先端から伸びた付属体は、棍棒状で直径8mm前後。
花後、仏炎苞の下から緑色のトウモロコシ状の果実が現れ、秋には真っ赤に熟す。
仏炎苞は紫褐色が標準であるが、緑色のものなどもあり、下記のようにいろいろな名前で呼ばれる。

アオマムシグサ、ムラサキマムシグサ、オオマムシグサ、カントウマムシグサ、コウライテンナンショウ…

ただ、各々の中間的な形態のものも多く、学者によって分類も異なる。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの通路脇で見かけたものです。
おそらく、元々自生していたものを除草せずに残しておいたものでしょう。
仏炎苞が紫褐色の標準的なもので、関東に多い仏炎苞が緑色のカントウマムシグサとは異なります。


テンナンショウ属の比較




マムシグサ(標準型)
花期は4月〜5月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布
マムシグサ(緑型)
カントウマムシグサ
花期は4月〜5月
北海道から本州、四国、
九州と全国に分布
ミミガタテンナンショウ
花期は3月〜5月
岩手県の太平洋側から
関東地方、四国に分布

テンナンショウ属の中でも比較的似ているものを並べてみました。
マムシグサは、色の違い以外は基本的に差異はないと思います。
ミミガタテンナンショウは、仏炎苞の耳が大きく張り出しているのが特徴です。
それ以外の点では、標準型のマムシグサによく似ていると思います。
なお、カントウマムシグサは神奈川県の城山湖で、ミミガタテンナンショウは高尾山で見かけたものです。


カンシロギク(Leucanthemum paludosum)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・フランスギク属>

キク科フランスギク属の半耐寒性多年草で、原産地は地中海沿岸。
高温多湿に極端に弱いため、日本では一年草として扱われている。
「ノースポール」はサカタのタネの商品名であるが、一般名として定着している。
草丈は15〜25cmで、矮性でよく分枝して直立する。
葉は互生し、葉身は長さ20〜40mmのへら型で、大きい鋸歯があり、深裂しているようにも見える。
花期は11月〜6月で、冬季に咲く花として、ガーデニングに欠かせない存在になっている。
この冬季に咲く白い菊というのが、和名のカンシロギクの由来である。
頭花は茎頂に1個上向きに付き、頭花の直径は25〜40mmで、よく似たフランスギクより一回り小さい。
総苞片は3〜4列で、舌状花は白色、筒状花は黄色である。
花付きが良く、株全体が白く見えるのが北極の氷原を連想させ、それがノースポールの由来である。
果実は痩果で、長さは約2mm、10肋があり、冠毛はない。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたものです。
フランスギクではと思ったのですが、後で調べてカンシロギク(ノースポール)と分かりました。
冬季に白い花をたくさん付けるので、ガーデニングには欠かせないようです。
なお、手前のピンクの花は、八重咲きのマーガレットのようです。

マーガレット(Argyranthemum frutescens)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・キク属>
 
キク科キク属の半耐寒性多年草で、和名はモクシュンギク。
モクシュンギク属はマカロネシアの固有種であり、カナリア諸島、サヴェージ諸島、マデイラ諸島だけに自生する。
17世紀末に欧州に渡り、日本には明治時代末期に伝わり、大正時代から幅広く栽培されるようになった。
多数の園芸品種が作られ、最近ではほとんどハイブリッド品種であり、色のバリエーションも豊富である。
和名の通り、基部は木質化する。本来は宿根草であるが、日本では温暖地でないと越冬できない。
草丈は60〜90cmになり、葉は互生して、全縁か1〜3回羽状全裂する。
花期は4月〜6月、10月〜11月で、頭花は散房花序に少数〜多数付くか、時に単生、頂生する。
花序柄があり、総苞片は3〜4列に付いて縁は膜質になる。
頭花の周辺小花は雌性の舌状花で、本来の花色は白色。中心小花は筒状で黄色。
ただ、現在は多くの園芸品種が作出され、花色も白色〜黄色、ピンク色と」多彩になりっている。
本来の一重咲きに加え、八重咲き、丁字咲き、ポンポン咲きの品種も増えている。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたものです。
最初、何の花だか分かりませんでした。花の感じはモモイロタンポポに似ているのですが、葉が異なります。
その後、マーガレットに八重咲きのものがある事を知り、葉の特徴も合うので、マーガレットとしました。

アフリカキンセンカ(Dimorphotheca sinuata)
<キク目・キク科・キク亜科・キンセンカ連・アフリカキンセンカ属>

キク科アフリカキンセンカ属の一年草か多年草で、原産地はアフリカ南部。
属の学名からディモルフォセカとも呼ばれる。
草丈は30〜35cmで、花の大きさは4〜5cmである。
葉身は長さ1〜5cmの狭い長楕円形〜線形で、縁は小歯状が多いが、鋸歯状や全縁のものもある。
花期は3月〜5月で、園芸品種の花色はピンク、白、オレンジ、紫などがある。
舌状花・管状花の両方が種子を作り、痩果は周辺小花は長さ4〜5mm、中心小花は6〜8o。
オステオスペルマム(Osteospermum)属に非常に近縁で、2属の区別は難しい。
多年草であるアフリカンデージー(オステオスペルマム)と容易に雑種を作り、多年草となる場合もある。
なお、アフリカンデージーは草丈が30〜60cmと背が高く、舌状花しか種子は出来ない。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたものです。
花が似ているものが複数あり、葉の形状から本種かアフリカンデージーのどちらかと思われます。
見た目での区別は不可能で、生殖的な違いや種子のでき方が区別点との事。素人に判別は無理なようです。
種子の付き方が分かれば区別できるかもしれませんが、この写真からでは分かりません。
唯一、草丈が低い点で、アフリカキンセンカに軍配を上げましたが、断言はできません。

ハルジオン(Erigeron philadelphicus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>
 
キク科・ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、大正時代に園芸種として入り、野生化して全国的に分布している。
草丈は30〜100cmで、茎は中空で長い軟毛が生えている。
根生葉は長さ30〜100oのへら形で、葉柄に翼があり、花期にも残る。茎葉は茎を半分ほど抱く。
花期は4月〜5月で、頭花は直径20〜25o。ツボミの時は花序が下に垂れる。
極細い舌状花は白〜淡紫色で、黄色い筒状化の周りにきれいに並び、100個以上ある。
舌状花、筒状花とも冠毛は3oほどあるが、外部からは見えず、2裂した花柱と筒状花の花冠のみが見える。
なお、ハルジオンは、春に咲く紫苑の意味で、同じような場所に生育するヒメジョオンと混同されやすい。
区別点は、蕾が下を向いていること、茎葉が半分茎を抱くこと、茎が中空であることで識別できる。
紛らわしい場合は、茎を折ってみれば一目瞭然で、中空であれば本種、中実であればヒメジョオンである。

2005/5/5
MOA美術館ツツジの庭で、その通路脇に生えていたものです。
黄色いイワニガナの側で、1輪だけ咲いていて、他にツボミもないのでハルジオンに見えませんでした。
しかし、花の特徴や茎葉が茎を抱いている点から、成長の悪いハルジオンだと判断しました。


ハルジオンとヒメジョオン

ハルジオン
ヒメジョオン

根本に葉がある

根本がすっきりしている

蕾が下を向いて垂れている

蕾は上を向いている

舌状花が細く数も多い

舌状花の幅は広く数も少ない

葉が茎を抱くように付く

葉は茎を抱かない

茎には真ん中に空洞がある

茎には空洞がない

ハルジオンとヒメジョオンは同じような場所に生え、同時期に咲いている場合があります。
ハルジオンとヒメジョオンが混生している場合は、上記のように区別点を確認すると判断できます。
しかし、単独で花だけ見た場合には、判断が難しい場合があります。
その違いは、上記のようにいろいろありますが、最も確実な判別方法は茎を折ってみることです。
なお、ヒメジョオンの花期は5月〜10月と長く、初夏以降に開花しているのはヒメジョオンです。

イワニガナ(Ixeris stolonifera)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・ニガナ属>
 
キク科ニガナ属の多年草で、在来種。別名はジシバリ。
日本では全国に分布し、山野の日当たりのよいところに生える。
海外では朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに分布している。
草丈は8〜15cmで、茎はやや赤味を帯び、地上を匐枝が這って広がる。
葉は根生し、葉身は長さ8〜30mmの卵円形で、細長い葉柄がある。
花期は4月〜7月で、花柄は少し枝分かれして、枝先に直径25oほどの黄色の頭花をつける。
花弁の先は細かく切れ込み、5歯があるのはタンポポ亜科の特徴である。
花柄には葉を付けない。総苞は長さ8〜10mmで、総苞外片は小さく、総苞内片は長い。
果実には10稜があり、長さ4〜6mmで、嘴の先に長い冠毛がある。

2005/5/5
MOA美術館ツツジの庭で、その通路脇に生えていたイワニガナ(ジシバリ)です。
花はオオジシバリよく似ているのですが、葉の形が卵円形なので、本種と分かりました。


イワニガナ(ジシバリ)とオオジシバリ

イワニガナ/div>
オオジシバリ



葉の形が卵円形〜広卵形

葉の形がへら状楕円形

オオジシバリは、花茎が高さ20cm前後、花の直径が25〜30mm、
イワニガナは、花茎の高さ12cm前後、花の直径が20〜25oと一回り小さいです。
花の見た目はほとんど変わりませんが、両者を並べて比較すれば大きさの違いは分かります。
しかし、花のみを個々に見た場合、個体差もあるので大きさだけから判断するのは難しいでしょう。
しかし、全体を見れば両者の違いは明確で、卵形の葉はイワニガナ、へら形の葉はオオジシバリです。

デルフィニウム(Delphinium)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・デルフィニウム属>

キンポウゲ科デルフィニウム属の多年草で、原産地はヨーロッパ、北アメリカ、アジア、熱帯アフリカの山地。
ただ、暑さに弱く、日本の夏を越せないので1年草として扱われることもある。
草丈は30〜150cmで、根出葉の中心から3月下旬ころから花茎が立ち上がってくる。
葉は互生して、掌状に裂けるが、裂け方は浅裂〜深裂まで品種によって異なる。
花期は5月〜6月で、総状花序や散房花序に多数の花を付ける。普通、花柄には小苞が2個付く。
花は両性で、直径3〜6cmの左右相称。花弁に見えるのは萼片で、花は中心に小さく咲いている。
萼片は5個で、多様な色のものがある。上側の萼片には距がある。
花弁は2個で、無柄で距があり、距には蜜腺がある。
仮オシベは2個で、オシベは多数ある。花糸は披針状で、葯は楕円形をしている。
子房は多数の胚珠を持ち、花柱には明瞭な柱頭がない。
園芸品種は主に下記の4系統に分類される。
エラータム系
 ヨーロッパ南部・中部〜シベリア原産の系統で、長い花序に25〜100個の花が密に付く。
シネンシス系
 中国、モンゴル、ロシア原産のオオヒエンソウ系統で、花序にまばらに3〜10個の花が付く。
ベラドンナ系
 エラータム系とシネンセ系の交雑種とされる系統で、両系統の中間的特徴を持つ。花は一重。
ユニバーシティー系
 エラータム系にカルディナレ種やヌディカウレ種掛け合わせた系統で、他にはない赤色系がある。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたデルフィニウムです。
中央の写真は、左の写真の一部を拡大したもので、右の写真は左の写真奥のデルフィニウムと同じ品種です。
デルフィニウムは、手前の紫の花と、後に写っている空色の花とでは系統が異なるようです。
手前のデルフィニウムは花が多数付くエラータム系で、奥の空色の方はシネンセ系と思われます。
右の写真が分かり易いのですが、空色の部分が萼片で、中心の白い部分が花弁です。

セイヨウオダマキ(Aquilegia vulgarii)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・オダマキ属>
 
キンポウゲ科オダマキ属の多年草で、ヨーロッパとアメリカの品種を掛け合わせた園芸品種。
草丈は30〜90pと大きく、株の中心から茎をまっすぐに立ち上げる。
葉は根際に付き、3回3出複葉で長い葉柄がある。花期は5月〜6月。
距が長いものや無いもの、八重咲の品種など、花色も含めて変異が多い。

アクイレギア・ブルガリス(Aquilegia valgaris)
ヨーロッパ原産の多年草で、高さ30〜50cmになり、オダマキに似ているが茎がまっすぐに伸びる。
茎先に10輪前後の青紫色の花をうつむい咲かせる。白、桃色、赤紫、黒紫色など花色の変異が豊富。
変種に八重咲きのフローレ・プレノ(A. vulgaris var. flore-pleno)がある。
同じ八重咲きの変種でも、下記のステラータは距がない花を咲かせる。
アクイレギア・ブルガリス・ステラータ バロー シリーズ(Aquilegia vulgaris var. stellata Barlow Series)
距がない八重咲きでクレマチスのような花をうつむいて咲かせる。花色が豊富である。
アクイレギア・クリサンサ 'イエロー・クィーン'(Aquilegia chrysantha 'Yellow Queen')
クリサンサの選別品種で、草丈や花の大きさなど各種の性質がそろっている。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたセイヨウオダマキです。
左は、距の無い八重咲品種であるアクイレギア・ブルガリス・ステラータだと思います。
右は、後ろに長い距が伸びた大柄な黄色い花で、おそらく、イエロー・クィーンであろうと思います。

シベリアヒナゲシ/アイスランドポピー(Papaver nudicaule)
<キンポウゲ目・ケシ科・ケシ亜科・ケシ連・ケシ属>

ケシ科ケシ属の1年草で、シベリアから極東が原産地。
現在、和名は一般には使われなくなり、英名のアイスランドポピーが一般化している。
和名のシベリアヒナゲシは、シベリアで発見されたことに由来するが、
英名のアイスランドポピーは、アイスランドとは無関係で、シベリアの気候に由来している。
花期は3月〜5月で、株元から多数の花茎を伸ばして、草丈は30cmほどになる。
茎はよく曲がり、茎頂にごく薄い花弁4個からなるカップ状の花を付ける。
花の直径は、野生種では5cm前後であるが、園芸品種では10〜15cmになるものもある。
花色は、野生種では白色か黄色であるが、園芸種はオレンジ、サーモン、ローズピンクなど変化に富む。
花の中心から多数のオシベが、メシベを囲むように付く。子房は円筒形で、頂部に放射状に筋が入る。
葉は、長さ3〜15cmの羽状複葉で、株元からロゼット状に多数付く。
同属のヒナゲシとよく似ているが、ヒナゲシは茎を分枝させるが、本種は分枝しない点で区別できる。
また、ヒナゲシには茎葉があるが、本種は株元から花茎を伸ばすので、茎葉がない点でも区別できる。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたシベリアヒナゲシ(アイスランドポピー)です。
最初、ヒナゲシかポピーなのか良く分かりませんでした。といっても、どちらもケシではありますが。
改めて、両者の違いを調べてみて、茎が分枝せず、茎葉もないことからアイスランドポピーと分かりました。
寒冷地のシベリアが原産地だけあって、開花時期が早く、早春から楽しめる花です。

キンギョソウ(Antirrhinum majus)
<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・キンギョソウ属>
 
オオバコ科キンギョソウ属の多年草で、原産地はヨーロッパ、地中海沿岸。
草丈は30〜90cmで、茎は直立し、基部は木質化する。茎の中上部には腺毛がある。
葉は茎の下部では対生し、上部では互生して短い葉柄がある。
葉身は長さ2〜6cmの披針形で、全縁で無毛。
花期は4月〜7月で、茎頂に総状花序を付け、多数の2唇形花を付ける。
花冠は長さ3〜5cmで、上唇は幅広で直立し、2中裂する。
下唇は3浅裂し、中央に隆起があり、しばしば黄色の斑紋がある。
オシベは4個、メシベは1個で先が2裂。萼は5深裂して、裂片は卵形。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたキンギョソウです。
左側の黄色い花がキンギョソウで、シソ科特有の2唇形花を順次咲き上らせます。
右側の空色の花はキンポウゲ科のデルフィニウムで、空色の部分は萼片で中央の白いものが花弁です。
葉の形は、キンギョソウはスラっとした披針形ですが、デルフィニウムは掌状に裂けています。

ジギタリス(Digitalis purpurea)
<シソ目・オオバコ科・ジギタリス連・ジギタリス属>

オオバコ科ジギタリス属の越年草か多年草で、ヨーロッパ、北東アフリカ〜中央アジアが原産地。
なお、現在は観賞用あるいは薬用として、世界中で栽培されている。
寒さには強いが、暑さには弱く、暖地では夏に枯れることが多いので、越年草となる。
なお、開花にはある程度の大きさの苗が、低温に合う必要がある。
草丈は50〜180cmであるが、茎は直立して分枝はしない。全体に灰白色の短毛がある。
茎葉は互生し、下部の葉は長さ5〜15cmの卵形〜楕円状披針形で、長さ15cm以下の葉柄がある。
上部の茎葉は小さく、葉柄は短いか無柄。葉の表面は縮れ、裏面は白い毛で覆われている。
花期は5月〜7月で、茎頂の長い総状花序に多数の鐘形の花を付ける。
花冠の長さは30〜45mmで、花冠の内部下側に濃色の斑紋と長い毛がある。
2個のオシベは花冠の上側に付き、萼は5裂する。
花色は、園芸品種があるので、白、ピンク、オレンジ、黄、紫、茶など豊富にある。
なお、ジギタリスには全草に猛毒があり、取り扱いには注意が必要である。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたジギタリスです。
カラフルで大きな花が、順次咲き上って行きます。
ただ、全草が猛毒を含んでいるので、自家栽培するときには扱いに注意が必要です。

タツナミソウ(Scutellaria indica)
<シソ目・シソ科・タツナミソウ亜科・タツナミソウ属>
 
シソ科タツナミソウ属の多年草で在来種。漢字では「立浪草」と表記。
和名は、花の付き方が浪が立つ様(富嶽三十六景 神奈川沖浪裏など)に似ていることに由来。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では、アジアの東部や南部に分布する。
草丈は20〜40pほどになり、茎は四角形で白い軟毛が密生する。
葉は対生し、葉身は3pほどの広卵形で、基部は心形。縁には鋸歯があり、両面に軟毛がある。
花期は5〜6月で、茎頂に数pの花穂を出し、一方向に偏って花を付ける。
花色は、青紫色が多いが、淡紅紫色や白色のものもある。
花冠は唇型で、20o前後と筒部が長く、基部で急に曲がって立ち上がる。
上唇は盛り上がり、下唇は3裂して、中央部に濃紫色の斑紋がある。
萼も唇型で、上下に分かれ、上唇の背の部分が丸く立ち上がる。

2005/5/5
MOA美術館ツツジの庭で、その通路脇に生えていたタツナミソウです。
花が1方向に偏り、上下にばらけて付いているので、タツナミソウとしました。


タツナミソウ属の仲間

       .
 <タツナミソウ>       <シロバナタツナミソウ>       <オカタツナミソウ>

左端の横からの写真を見ると、タツナミソウが一方向に偏っているのが良く分かると思います。
オカタツナミソウは、タツナミソウと異なり、上部に花が固まって付き、方向もバラバラです。


ハゴロモジャスミン(Jasminum polyanthum)
<シソ目・モクセイ科・ソケイ属>

ジャスミンはモクセイ科ソケイ属の植物の総称で、世界で約300種が知られている。
ジャスミンという語はペルシャ語に由来し、中近東から欧米では女性の名前としても用いられる。
原産地は、アジアからアフリカの熱帯あるいは亜熱帯地方である。
ほとんどの種は白色または黄色の花を咲かせる。いくつかの種では花に強い芳香がある。
ハゴロモジャスミンは、中国雲南省が原産地の半常緑のつる植物で、花に強い香りがある。
現在ではオーストラリアとニュージーランドに帰化し、アメリカやヨーロッパでは観賞用に栽培されている。
花期は4月〜5月で、晩冬から早春にかけて赤やピンク色のつぼみをたくさん付ける。
花は直径2cm前後の五光星のような薄いピンクや白色である。
葉は、5〜7の奇数羽状複葉で、上面は暗緑色、下面は明るい緑色になっている。
樹高は2〜6mになり、比較的耐寒性はあるが、0℃以下では障害を受け、ツボミも枯死する。
しかし、5〜15℃の気温に4〜6週間当てないと花芽は生成されない。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたハゴロモジャスミンです。
近くを通っただけで、ジャスミンの芳香が漂ってきました。

温帯スイレン(Nymphaea spp.)
<スイレン目・スイレン科・スイレン属>

スイレン科スイレン属の多年草で、浮葉植物。
日本に自生するスイレン属はヒツジグサのみで、池などで見られるのは温帯スイレンの園芸品種である。
水位があまり変動しない池などで、地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべる。
葉はほぼ円形で、中心付近に葉柄が着き、その部分に深い切れ込みが入る(ハスには切れ込みがない)。
葉の表面に強い撥水性はなく、ハスの葉ほどには水は弾かない。
多くの植物では気孔は葉の裏側にあるが、スイレンでは葉の表側に分布する。
根茎から直接伸びる花柄の先端に直径5〜10cmほどの花をつける。
花の色、葉の色、模様、などについて様々な姿の園芸品種が作出されている。
スイレン属には、一定の耐寒性がある本種以外に、「熱帯スイレン」がある。
熱帯スイレンは寒さに弱く、15℃以下になると枯れ死するので、通常、温室が必要になる。
ただ、熱帯スイレンには、温帯スイレンにはない青や紫の花色の品種がある。

2005/5/6
修善寺 虹の郷で見かけた温帯スイレンです。
葉には赤褐色の斑紋があり、黄色い花にも同じような赤褐色の部分がありました。

ジャノメエリカ(Erica canaliculata)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・エリカ属>

ツツジ科の植物の1種で、やや背が高くなる常緑性の低木。
原産地は南アフリカのケープ地方である。
樹高は2mほどになり、茎は非常の多く分枝し、木質は柔らかくて折れやすい。
葉は3輪生で、長さ2〜6mmの線形で毛が無い。冬には葉が褐色味を帯びる。
花期は1月〜4月で、小枝の先にピンクの花を3個ずつ付ける。
花冠は釣鐘型で、長さは4oほどある。花の真ん中にある黒い葯が良く目立つ。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたジャノメエリカです。
時折見かける花なのですが、その時は名前が思い出せず、後で調べて分かりました。

ツツジ(Rhododendron)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・ツツジ亜属・ツツジ節>

日本には、ツツジ、サツキ、シャクナゲを分けて呼ぶ習慣があるが、学術的には全てツツジ属である。
有鱗片シャクナゲ亜属、ツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類される。
日本で「シャクナゲ」と呼ばれるのは、ホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られる。
ツツジとサツキは中間的なものもあって、区分けが難しいが、概ね春先に咲くのがツツジである。
その後、初夏に咲くのがサツキだが、新芽が出るのはどちらも同じで、5月頃になる。
そのため、ツツジでは花後に新芽が出て、サツキでは新芽とツボミが同時に出て、その後、開花となる。
例外もあるので、この区分方法に一致しないものもあるが、概ねこの方法であっていると思われる。
ツツジは、日本では古くから園芸品種として交配が行われ、多くの品種が作出されている。
クルメツツジやヒラドツツジがその代表種で、色とりどりの新種がある。
サツキは、ツツジに比べて葉や花が小さいものが多いので、盆栽などに仕立てるのに向いている。
なお、ツツジには、大まかに言って下記のような品種が見られる。
平戸ツツジ
 江戸時代に平戸藩でケラマツツジやタイワンヤマツツジ、モチツツジやキシツツジなどを交配して生まれたもの。
 350以上の種類があり、オオムラサキなど大きな花を付けるものが多くある。
霧島ツツジ(江戸霧島)系
 現在、つつじ園に植えられている霧島ツツジの多くは「江戸霧島」と呼ばれるものである。
 鹿児島の野生種のツツジが江戸時代初期に江戸へ運ばれ、染井や大久保などで品種改良がされ、全国へ広がった。
琉球ツツジ系
 琉球ツツジは霧島ツツジなどと同様に、江戸時代に広く流通していたツツジで、白ツツジの代表的な品種である。
 キシツツジとモチツツジの雑種ともいわれ、新潟県の長岡市には樹齢800年という琉球ツツジがある。
久留米ツツジ
 久留米藩の坂本元蔵が、キリシマツツジやサタツツジをもとに品種改良したもので、カラフルで美しい。
 現在までに750もの種類が作られたと言われているが、途絶えたものもあって現存品種は300種類ほど。
ヤマツツジ系
 日本全国の山地でよく見られるのがヤマツツジで、他の種類と交配して多くの品種が生み出されている。
 館林のつつじが岡公園には樹齢が800年を超えるというヤマツツジがある。
オオヤマツツジ系
 ヤマツツジより花も葉も大きく、オシベも多数あり、関東周辺の山地などにも自生している。
レンゲツツジ系
 ヤマツツジと同様に山地や高原などでよく見られ、
 長野県と群馬県にまたがる湯の丸高原では、60万株という大群落が見られる。
ミツバツツジ系
 枝先に三枚の葉が付くことが名前の由来で、北海道〜鹿児島までいろいろな変種が分布する。
 ヒダカミツバツツジやタカクマミツバツツジのような、非常に狭い範囲にしかない固有種もある。
アザレア(西洋つつじ)
 中国や日本のツツジをヨーロッパで品種改良したもので、日本国内でも新しい品種が作られている。
 鉢植えで栽培されることが多いが、数種類のアザレアを地植えした公園も見られる。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたツツジです。
花の大きさなどから、ヒラドツツジであろうと思います。なお、写っている蝶はジャコウアゲハです。

シャクナゲ(Rhododendron)
<ツツジ目・ツツジ科・ツツジ亜科・ツツジ属・無鱗片シャクナゲ亜属・無鱗片シャクナゲ節>
 
ツツジ科ツツジ属無鱗片シャクナゲ亜属無鱗片シャクナゲ節の総称。
多くは低木であるが、高木になる種類もある。
北半球の亜寒帯から熱帯の山地まで、広範囲に分布し、ニューギニア、オスーストラリアにも分布する。
特にヒマラヤ周辺には多くの種が分布する。
日本には、ハクサンシャクナゲ、アズマシャクナゲ、ツクシシャクナゲなどが自生している。
多くの園芸品種があり、花色は赤や白系統が多いが黄色もあり、各地で植栽されている。
シャクナゲの葉には、ケイレン毒が含まれるので、注意が必要。
セイヨウシャクナゲ(Rhododendron hybridum)
ヒマラヤ地方やその周辺部に自生した原種を西欧で育種したものをセイヨウシャクナゲと呼ぶ。
日本には1930年代以降に渡来し、日本に自生するものより花が大きく、カラフルなのが特徴。
樹高は1〜4mになる常緑低木で、花期は4月〜5月。
耐寒性はあるが、耐暑性は弱く、日蔭でも育つ。
2005/5/5,5/6
上記の写真は、修善寺 虹の郷「しゃくなげの森」で見かけたシャクナゲです。
樹高や花の大きさなどから、セイヨウシャクナゲであろうと思います。
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンでもシャクナゲは咲いていましたが、規模がまったく異なりました。
修善寺 虹の郷では、ちょうど最盛期だったようで、今は盛りと咲き誇っていました。




これらは今回の旅行で見かけたシャクナゲの花です。
花の付き方は異なりますが、花そのものはツツジの花とそっくりです。
バラ(Rosa)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>
 
バラは、バラ科バラ属の総称、あるいは、そのうち特に園芸種を総称するものである。
バラ属は、灌木、低木、または木本性のつる植物で、葉や茎に棘を持つものが多い。
葉は、1回奇数羽状複葉で、花は5枚の花弁と多数のオシベを持つ。
ただし、園芸種では大部分が八重咲きである。
花期は、一季咲きのバラは主に5月末〜6月にかけて咲き、オールドローズはこの季節のみ開花である。
四季咲きのバラは15℃以上あれば通年で開花するが、地植えでは10月〜11月の秋咲きまでである。
北半球の温帯域に広く自生しているが、チベット周辺、中国雲南省からミャンマーにかけてが主産地。
ここから中近東やヨーロッパへ、また極東から北アメリカへと伝播した。
なお、南半球にはバラは自生しない。
園芸品種は、1867年にフランスのギョーが作出したラ・フランス以前のものがオールドローズである。
通常、野生の原種(ワイルドローズ)も含めるが、含めない場合もある。
そして、ラ・フランスがモダンローズの第1号で、これ以降に作出されたものがモダンローズである。

バラの系統について

HTハイブリッド ティー ローズ直立性で四季咲きのシュラブで、芳香のある高芯咲きが多い。
ERイングリッシュ ローズシュラブ(半つる性)のモダンローズである。
F/FLフロリバンダ ローズ木立性で四季咲き、房状に花をつける。
Grグランディフローラ ローズ四季咲き、大輪、房咲き、多花性のほか耐病性にもすぐれている。
Sシュラブ ローズ半つる性のものを主に表す現代バラで、様々な特性の幅広い系統。
CIFクライミング フロリバンダ ローズフロリーバンダの枝変わり種。
CIGrクライミング グランディフローラ ローズつる性のグランディフローラ
CIHTクライミング ハイブリッド ティー ローズつる性のハイブリッド ティー
LCIラージ クライミング ローズ大輪咲きクライミングローズ

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたバラです。
園内にはバラの庭園が幾つかあるのですが、バラの季節には少し早いので咲いているものは少ないです。
見られたのは、上記の大型の一重咲きのバラと、下記のモッコウバラです。


2005/5/5
モッコウバラ(Rosa banksiae)
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたモッコウバラです。
中国原産の刺がないバラで、花色は白か淡黄色で、一重咲きと八重咲きがあります。
刺の無い常緑つる性低木なので、このような垣根には向いている品種だと思います。
それにしても、見事としか言いようがない花付きの「八重咲き黄モッコウバラ」ですね。

ハマナス(Rosa rugosa)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>
 
バラ科バラ属の落葉低木で、在来種。
日本では北海道に多く、本州では太平洋側は茨城県、日本海側は島根県までに分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、樺太、カムチャツカ半島などにも分布する。
樹高は1〜1.5mで、茎は枝分かれして立ち上がり、太い枝には針のような棘が密生する。
葉は互生し、奇数羽状複葉。小葉は5〜9個で、長楕円形で先が尖り鋸歯がある。
小葉の表面は艶があり、裏面には毛が密生する。
花期は5月〜8月で、枝先に1〜3輪の5花弁の花を付ける。花には強い香りがある。
花は直径6〜8cmあり、花色は赤が多いが、白花もある。オシベは多数。
花後にできる果実は直径2〜3cmの偽果で、弱い甘みと酸味があり、赤く熟す。

2005/5/6
上記の写真は、修善寺 虹の郷で見かけたハマナスです。
咲き始めたばかりだと思いますが、きれいな赤紫色の大きな花弁が印象的でした。
なお、右の写真のハチは、おそらく、越冬から目覚めたコマルハナバチの女王バチだと思います。

カワヅザクラ(Cerasus lannesiana cv. Kawazu-zakura)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ連・スモモ属・サクラ亜属・サクラ節>
 
バラ科スモモ属サクラ亜属の耐寒性落葉広葉小高木で、在来種。
オオシマザクラ (Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba, 1992) と、
カンヒザクラ (Cerasus campanulata (Maxim.) Masam. & S.Suzuki)の自然交雑種の園芸品種。
樹高は8〜10mで、幹は暗灰色、横長の皮目がある。
葉は互生し、長さ8〜15cmの長楕円形で、先は尾状に尖り、葉は両面とも無毛。
葉縁は単鋸歯が多いが、重鋸歯が混じる場合もあり、鋸歯の先は芒状に尖る。
葉柄は長さ2cm前後で、2個の蜜腺は葉柄の上部に付く。
花期は1月下旬〜3月で、徐々に咲き進み、ソメイヨシノと異なり、1ヶ月ほど楽しめる。
開花は、葉の展開前に始まるが、花期が長いので、開花中に葉の展開も始まる。
散房状に2〜5個の花が付き、花序の柄は長さ20oほどある。
花の直径は30〜40mmで、淡紅色の5弁花。花弁の先端に切れ込みがあり、縁が濃色。
萼筒は長鐘形で、萼片は披針形。萼筒、萼片とも無毛で淡紅紫色である。


2011/2/19 カワヅザクラの原木
カワヅザクラは、1955年に静岡県賀茂郡河津町田中の飯田勝美氏が河津川沿いで発見したもの。
1966年から開花し、当初は飯田家の屋号から「小峰桜」と地元では言われていた。
その後、新しい栽培品種と判明し、1974年に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名された。
現在も原木は飯田家に存在し、樹高約10m、樹巾約10m、幹周約115cmである。

2011/2/19
河津川沿いのカワズザクラ並木は、まだ、このときは2分咲き程度でした。
少し早すぎたようで、満開までにはもう少し時間が必要なようです。


2013/3/10
このときはほぼ満開で、河津川の両岸をカワズザクラが埋め尽くしていました。
もちろん、開花に合わせ、河津川沿いの遊歩道も人で埋め尽くされていました。

キンレンカ(Tropaeolum majus)
<フウロソウ目・ノウゼンハレン科・ノウゼンハレン属>

南米原産のノウゼンハレン科ノウゼンハレン属の一年草。
美しい花を観賞するためや茎葉や花をハーブとして食用にするために栽培される。
和名は黄色や橙色の花がノウゼンカズラに似て、葉はハスに似ることからつけられた。
ナスタチウムとも呼ばれるが、これはオランダガラシ属の学名で、味が似ているために転用された通称である。
原産地がアンデス山脈などの熱帯高地のため、25℃を越える暑さに弱く、寒さにも強くはない。
葉はハスなどに似て円形で中央付近に長い葉柄が付く。葉にはピリッとした辛みがある。
花期は4月〜11月と長いが、暑さに弱いため、夏場には咲かないこともある。
花は左右相称で、花弁は5個あり、後ろに細長い漏斗状の距があってここに蜜がたまる。
花色はオレンジ、黄、赤、ピンク色など暖色系が中心である。
子房は3心皮からなり、果実は分果で3個に分かれ、各々に1個の種子が入っている。

2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたキンレンカです。
エディブルフラワーとして葉や花が食用とされ、花もきれいなので、よく見かけるようになりました。

ナヨクサフジ(Vicia villosa subsp. varia)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>
 
マメ科ソラマメ属のつる性の1年草または越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
茎は良く分枝して、他の物に巻き付いて広がり、長さ2mほどになる。
葉は互生し、羽状複葉で頂片は巻ひげとなる。小葉は狭楕円形で、10対ほどある。
基部には不規則な形状の托葉がある。
花期は5月〜8月で、葉腋に花序を出し、長さ15oほどの蝶形花を1方向に穂状に付ける。
花色は、咲き始めは淡紅色であるが、徐々に淡紫色になる。
旗弁の爪部(筒状部)が長く、旗弁の舷部のほぼ倍の長さがある。
萼筒はほぼ無毛で、花柄が萼筒の下側に付くので、基部の丸く膨らんだ所が後に付きだす。
なお、和名は「弱草藤」で、ナヨナヨとしたクサフジを意味している。

2011/2/19
河津川沿いの法面の一角を占領していたナヨクサフジです。
まだ咲き始めたばかりのようですが、赤紫色の花が目立っていました。

フジ(Wisteria floribunda)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・フジ連・フジ属>
 
マメ科フジ属のつる性落葉木本で、日本の固有種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、山野に普通に見られる。
公園などで植栽として利用される場合は、藤棚を作って這わせることが多い。
フジにはツルの巻き方が右巻き(上から見て時計回り)と左巻きの二種類がある。
右巻きのフジの標準和名は「フジ/ノダフジ」、左巻きのフジの標準和名は「ヤマフジ/ノフジ」である。
フジは好日性植物で、ツルは木に巻きついて登って樹冠に広がり、直射日光の差す場所を好む。
葉は互生し、長さが20〜30cmの奇数羽状複葉で、小葉は13〜19個になる。
小葉は、長さ5〜10cmの長楕円形で、全縁。他のマメ科植物同様、夜間は葉を閉じる。托葉は早落。
4月から5月にかけて咲き、花序は長く、20cmから長いものでは80cmに達し、花は順次咲き下る。
夏になると新しい枝先から、また、少し花が咲くことがある。
花は長さ2〜3cmの薄紫色の蝶形花で、色名の「藤色」は、この花の色に由来する。
萼は広鐘形で、萼片は5個。苞は長さ1.2cmほどの卵形で、褐色の毛が密生し、早く落ちる。

2005/5/6
上記の写真は、修善寺 虹の郷で見かけた、長さが250mもある藤棚です。
咲き始めて間がないのか、花序の長さはそれほど長くなっていません。
右巻きか左巻きか確認しようと思ったのですが、自立する形で藤棚に誘導されていて確認できませんでした。
そのため、ノダフジかヤマフジか断定できませんが、藤棚に使用されるのはノダフジが多いそうです。
十分に花序が伸びると、長さは1m近くまで垂れさがるので、そこまでになると見応えはありそうです。


あしかがフラワーパークの大藤

     .
2016/4/30
あしかがフラワーパークにある樹齢150年と言われている大藤です。
2本で600畳の広さがある巨大な藤棚に、長さが1mを超える花房が垂れ下がります。

牛島の藤

     .
2006/5/4
樹齢1200年の古木で、根周りは10u、藤棚は700uあり、それが3株あります。
昭和30年8月22日に特別天然記念保存木に指定されています。
この藤は右巻きのノダフジで、花房が1mを超える長さで垂れ下ります。


ルピナス(Lupinus)
<マメ目・マメ科・ルピナス属>

ルピナスの名はオオカミに由来し、吸肥力が非常に強い特徴を貪欲な狼にたとえたものである。
和名はハウチワマメ属(葉団扇豆属)。根生葉が掌状複葉であることから付けられた。
また、花の様子がフジに似ており、花が下から咲き上がるため、ノボリフジ(昇藤)とも呼ばれる。
耐寒性または半耐寒性の一年草または多年草、一部灌木状になるものもある。
地中海沿岸地方と南北アメリカ、南アフリカなどに200種以上が分布している。
葉には長い柄があり、草丈は50 - 180cmくらいになる。
春から初夏にかけて、雄大な総状花序をなし、蝶形花を多数咲かせる。
宿根ルピナスの大きな物では、花穂が60cmにもなる見事な花になるが、
暑さに弱く、暖地の気候にはあまり合わない。
この属は、アメリカ、地中海沿岸地域などに分布し300種類以上ある。
2005/5/5
アカオ ハーブ&ローズ ガーデンの花壇で見かけたルピナスです。
紫色などいろいろな色のものを、あちらこちらで見かけました。

ツボサンゴ(Heuchera sanguinea)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・ツボサンゴ属>
 
ユキノシタ科ツボサンゴ属の常緑多年草で、アメリカ南部からメキシコ北部が原産地。
ただ、ツボサンゴ属の総称としてツボサンゴやヒューケラを使用することもある。
和名のツボサンゴは、壺状でサンゴのような赤い花を付けることに由来するようである。
草丈は15〜30cmで、花茎は50〜60cmになる。
葉は根際から多数出て、直径3〜10cmの心円形で、残裂している。
花期は5月〜7月で、花茎に円錐花序を付け、赤い釣鐘型の花を多数付ける。
赤い花弁のように見えるのは萼で、花弁はその内側にある小さな白い部分である。
なお、近年、美しい葉を持つ数多くの園芸品種が流通するようになった。
緑葉から銅葉、黄金葉などに加え、様々な斑入り葉のものも流通している。

2005/5/6
修善寺 虹の郷で見かけたツボサンゴ(ヒューケラ・サンギネア)で、以前から普及していた品種です。
最近は、リーフプランツとし色とりどりの葉を持つ園芸品種が増えています。
これらをまとめてヒューケラと呼び、色とりどりの葉をグランドカバーとして利用することが多いようです。

ハイコモチシダ(Woodwardia unigemmata)
<ウラボシ目・シシガシラ科・コモチシダ属>
 
シシガシラ科コモチシダ属に属する常緑性シダで、在来種。
日本では、九州南部(熊本県・鹿児島県)と伊豆半島にみに分布する。
海外では、中国南部・台湾からヒマラヤにかけて分布する。
国内で、1917年(大正6年)に初めて浄蓮の滝で群落が発見されたのが、別名ジョウレンシダの由来。
根茎は太短く、直立または斜上、横走し、大型で膜質の鱗片を蜜につける。
葉は叢生し、長さ150〜200cmの三角状卵形、2回羽状に深裂する。
紙質は硬く、細長い葉の上部羽片の付け根に、鱗片に包まれた1〜3個の大きな不定芽を生ずる。
この不定芽が地面に接すると鮮紅食の新芽を生じ、新しい個体となる。
なお、浄蓮の滝にあるハイコモチシダ群落は国の天然記念物に指定されている。

2005/5/6
浄蓮の滝の直ぐ側で、初めて発見された群落が見られます(説明版あり)。
滝の直ぐ横なので、人が容易に近づけず、発見当初からの姿を留めているようです。
滝の横にある洞穴のような暗い部分、その上から垂れ下がっているのがハイコモチシダです。
滝の落差は25mあるので、ハイコモチシダの大きさが推測できると思います。









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