網引湿原で見かけた昆虫(T)
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ヤマトシジミ(Zizeeria maha)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ヒメシジミ族・ヤマトシジミ属> ![]() ![]() ![]() <メス> 2022/8/27 <オス>
シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。
ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 前翅長は15mm前後で、出現時期は3月〜11月と長い。 前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。 夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。 秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。 幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートまでの通路脇には、多くのヤマトシジミが飛び交っていました。
飛び交っているのは多くがオスで、メスは少ないようです。そのメスには交尾しようとオスが集まっていました。 ![]() ![]() ![]() 2022/8/27 上記はその極端な例で、交尾中のカップルが止まっている所に、次々とオスが飛来ていました。 見ているときには、最大で4匹のオスが次々と横恋慕していましたが、見事に跳ね除けていました。 | ||||||
ベニシジミ(Lycaena phlaeas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属> ![]() シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 前翅長は15mm前後で、出現時期は3月〜11月と長い。 前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。 夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。 秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。 幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。
2022/6/18
網引湿原入口の駐車場近くで見かけたベニシジミです。 ギシギシの花序でちょっと一休みといったところでしょうか。 | ||||||
モンキチョウ(Colias erate)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・モンキチョウ亜科・モンキチョウ属> ![]() シロチョウ科モンキチョウ属に属するチョウで、在来種。 ヨーロッパ南東部から、中央アジア、日本や台湾まで分布しており、日本ではほぼ全国でみられる。 日本で見られるのは、亜種(C. e. poliographus Motschulsky)である。 開張は50mm前後、前翅長は23〜26mmで、前翅外縁が黒く、翅の中央には銀色の斑紋がある。 オスの翅の地色は黄色で、メスでは黄色と白色の2種類があるが、白色が圧倒的に多い。 出現時期は3月〜11月で、年に2回発生する。冬は幼虫で越冬する。 食草は、ムラサキウマゴヤシやクローバーなどのマメ科の植物である。
2022/6/18
網引湿原の最初の獣害防止ゲートとバイオトイレの中間あたりで見かけたモンキチョウです。 通路周りをあちらこちらと飛び回っていたのですが、突然、通路脇の草に止まりました。 翅裏しか見えていませんが、この個体は白色型なのでメスですね。 | ||||||
コミスジ(Neptis sappho)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科・ミスジチョウ族・ミスジチョウ属> ![]() ![]() チョウ目タテハチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、種子島まで分布するが、それ以南には分布しない。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、欧州南東部に分布する。 幼虫の食草は、クズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物である。3齢幼虫で越冬する。 翅の表面は黒褐色で裏面は明るい褐色。前翅に1本、後翅に2本の白い帯模様がある。裏の模様も同じ。 なお、翅を開いて止まることが多いが、その際、3本の帯模様に見える。これが和名「ミスジ」の由来。 成虫は、4月〜11月と長期間見られ、低地や丘陵地の森林周辺に多く見らる。 飛び方に特徴があり、数回羽ばたいてはスーっと滑空するのを繰り返す。
2023/8/5
網引湿原の第1獣害防止ゲートの少し手前で、コミスジがフワフワと飛んできて、葉に止まりました。 実家近くで見かけるのはホシミスジばかりでしたので、こちらでコミスジを見たのは初めてになります。 | ||||||
ヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・ジャノメチョウ族・ジャノメチョウ亜族・ウラナミジャノメ属>
![]() ![]() タテハチョウ科ウラナミジャノメ属の蝶で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 出現時期は4月〜9月で、前翅長は18〜24mm、開張は33〜40mmになる。 翅に黄色で縁取られた蛇の目紋(眼状紋)が、後翅表に2個、後翅裏に5〜8個ある。 よく似たウラナミジャノメは、後翅表に1個、後翅裏に3個と少ない。 また、両種とも翅裏全体に波模様があり、これが和名の由来。 草原や林の周辺で広く見られ、人家周辺にも多い。 幼虫は、イネ科のススキ、チヂミザサなどを食草とする。幼虫で越冬する。 成虫は、いろいろな花でよく吸蜜する。
2022/8/9
奥池の近くを歩いているとき、目の前に飛んできて止まってくれたヒメウラナミジャノメです。 翅裏の波模様と蛇の目紋の数から本種と分かりました。 ![]() 2022/8/16 網引湿原奥池の近くを歩いているとき、翅を広げて止まっているヒメウラナミジャノメを見つけました。 前回、翅裏しか撮れていなかったので、翅表を撮ることができてラッキーでした。 市ノ池公園で見かけたものより翅表の蛇の目紋が少なく、前翅に1個、後翅に2個です(下記参照)。 ちなみに、ウラナミジャノメの翅表の蛇の目紋は、前後の翅に1個ずつです。 ![]() ![]() ![]() ![]() 2023/5/4 網引湿原への続く農道とか湿原の周辺など、多くのヒメウラナミジャノメを見かけました。 多くの場合、遊歩道脇の葉の上とか、地面に止まるのですが、今回は吸蜜中の姿を見かけました。 今まで吸蜜している所は見ていないのですが、今回は数が多いためか、ちょくちょく見かけました。
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ヤマキマダラヒカゲ(Neope niphonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ジャノメチョウ亜科・マネシヒカゲ族・キマダラヒカゲ属> ![]() ![]() 2022/6/18 2023/5/4
タテハチョウ科キマダラヒカゲ属に分類されるチョウの一種で、在来種。
サトキマダラヒカゲでは、黒色眼状紋が小さいため、黄環が比較的幅広なのに対して、 ヤマキマダラヒカゲでは、黒色眼状紋が大きいため、黄環の幅が狭くなっている。 また、サトキマダラヒカゲでは、後翅基部に並ぶ3個の斑紋が直線に近い並びになるのに対して、 ヤマキマダラヒカゲでは、3個の斑紋の1個が外側にずれて、「く」の字状に並ぶ。
2022/6/18
第2湿原の木道から少し離れた所で、葉裏でジッとしているヤマキマダラヒカゲです。 このときは止んでいましたが、この日は雨が降っていたので、雨を避けていたのでしょう。 翅がかなり傷んでいますが、後翅基部に並ぶ3個の斑紋からヤマキマダラヒカゲと判断しました。 2023/5/4 バイオトイレを使おうと近づいたとき、パッとチョウが飛び立ちました。 おっと思って見ていると、窓枠に止まりました。ヤマキマダラヒカゲです。 さらにアップでと思って近づくと、逃げられました。 しばらく、バイオトイレの周りを飛び回っていたのですが、どこかへ飛んで行ってしまいました。 ![]() ![]() 2023/7/25 第1湿原から第2湿原にかけて、所々でヤマキマダラヒカゲを見かけました。 ヒメウラナミジャノメが多いのですが、一際大きいので飛んでいると直ぐに分かります。
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ツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ドクチョウ亜科・ヒョウモンチョウ族・ツマグロヒョウモン属> ![]() ![]() <オス> <メス> ![]() タテハチョウ科ツマグロヒョウモン属のチョウで、在来種。 日本を含め、中国、朝鮮半島、オーストラリア、インドと熱帯・温帯に広く分布している。 日本では、本州南西部から四国、九州等に生息していたが、 近年、関東甲信越、北陸地方の平野部に進出してきている。 冬は幼虫や蛹で越冬し、年に数回発生する。 メスの前翅先端部が黒色で、その中に斜めの白帯を持つ。この特徴が名前の由来。 なお、オスには黒色部や白帯は無く、典型的なヒョウモンチョウの模様になる。 ただ、後翅の外縁部が、メスと同じように黒に白い模様が入っていることで区別可能。 ツマグロヒョウモンの終齢幼虫は、体長30mm前後で、黒色の背中に赤い筋模様が1本ある。 各節に刺状突起が各々6個あり、頭部側は真っ黒で、腹部側は基部が赤くて、先が黒い。 見るからに毒々しい警戒色をしているが、刺には毒はなく、刺すこともない。
2022/6/18
メスは、網引湿原の最初の獣害防止ゲートとバイオトイレの中間あたりで見かけたものです。 同じところをウロウロと飛び回り、時折地面に止まってくれましたので、そこを撮ったものです。 オスは、網引湿原入口の駐車場近くで、放置された田んぼの中を飛び回っていました。 こちらも時折、止まってくれるのですが、なかなか手前に来てくれません。 やっと畔近くのノアザミに止まってくれたところを撮りました。 雌雄で翅の模様や色がずいぶんと異なることが分かると思います。 下段は、翅を開いて止まってくれたもので、オスに比べると、ずいぶんとカラフルでお洒落です。 ![]() ![]() 2022/8/9 第2湿原を出た所で見かけたツマグロヒョウモンのメスと、駐車場近くで見たオスです。 前回、6/18に来た時にも見かけましたが、この辺りではよく見かけます。 メスをこの角度で撮ると、翅のマリンブルーの鱗粉がきれいに光って見えますね。 ![]() ![]() 2023/8/5 今日は、ツマグロヒョウモンのメスをよく見かけます。その1匹が目の前の地面に止まりました。 吸水している訳でもなく、何をしているのか不明です。単に休んでいるだけなのでしょうか。 | ||||||
コチャバネセセリ(Thoressa varia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・コチャバネセセリ属> ![]() ![]() セセリチョウ科コチャバネセセリ属に分類されるチョウの一種で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州に分布するが、屋久島以南の南西諸島には見られない。 海外では、朝鮮半島に分布し、台湾には近縁種のキスジチャバネセセリが分布する。 前翅長は14〜19mmで、開張は30〜36mm。年2〜3回発生し、活動期間は5月〜9月。 体色は黒褐色。翅も黒褐色の地色で、基部に近い部分は黄褐色になるが、地域や季節で変異がある。 前翅表には小白斑が7個あり、後翅表には白紋が入らないか、または小さく不規則に入る。 翅裏面は黒褐色の地色に翅脈以外に黄褐色に鱗粉が乗り、翅脈が黒く浮かび上がる。 後翅裏には、楕円形の白紋が3個ある。地色や斑紋に雌雄差見られない。 ただし、オスは前翅表面2脈の基部から斜下方に向かって黒褐色の性票がある。 低地から高地まで広く分布し、林縁の笹薮などを敏速に飛び、いろいろな花で吸蜜する。 また、地上の湿地で吸水したり、鳥獣の糞や汚物などにも集まる。 幼虫はササやタケなどのタケ科植物の葉を食べ、葉の表面を内側にして巻き、筒状の巣をつくる。 その中で摂食するが、葉の基部から中央の主脈を残して規則正しく食べていく習性がある。 越冬期には、残した主脈を切って地上に落とし、その中で越冬し、早春に蛹化、羽化する。
2027/7/18
第3湿原の遊歩道を歩いていて、コチャバネセセリが遊歩道脇に止まっているのが見えました。 珍しいチョウではありませんが、この網引湿原で見かけたのは初めてです。 | ||||||
キンモンガ(Psychostrophia melanargia)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・ アゲハモドキガ科・Psychostrophia属> ![]() ![]() アゲハモドキガ科に分類される蛾の一種で、日本固有種。 日本では、本州から四国、九州に分布する。 出現期は、5月〜6月と8月〜9月の年2回。 開張は35mm前後で、翅は黒地に淡黄色の大きな紋があり、後翅の中央部は広く淡黄色。 紋の色は通常は淡黄色だが、白色のものも見られ、紋の大きさにも個体差がある。 幼虫は、リョウブの葉を食べ、体は白蝋状の物質で覆われている。 蛹化時、繭にこの物質を混ぜて白い繭を作り、蛹も白粉に覆われている。蛹で越冬する。
2023/7/18
網引第1湿原から奥池に向かう途中、通路脇で見かけたキンモンガです。 黒地に黄色い斑紋なので、否が応でも目に付く配色で、薄暗い林内でも目に留まります。 キンモンガは新潟の胎内市で見て以来、2度目なのですが、その理由が分かりました。 どちらも、近場にリョウブの樹があるのです。キンモンガの食草が、このリョウブなんです。 ![]() 2023/7/25 この日も奥池近くでは、数匹のキンモンガが通路脇などに止まっていました。 この近くにはリョウブの樹が、数本寄り集まって花を咲かせています。 | ||||||
ウメエダシャク(Cystidia couaggaria couaggaria)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・ シャクガ科・エダシャク亜科> ![]() ![]() シャクガ科エダシャク亜科の蛾で、出現は年に1回。 日本では、北海道から四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 日本を含め、シベリアから朝鮮半島、中国まで広く分布している。 開張は35〜45mmで、翅は白色と黒色のまだら模様。腹部は淡黄橙色で黒色の斑紋が並ぶ。 見た目がトンボエダシャクなどと良く似ているが、翅の斑紋などで区別可能。 日中に活動し、フワフワと羽ばたきながら緩やかに飛び続ける。 幼虫は、ウメ、モモ、サクラ、エゴノキ、スイカズラなどの葉を食べる。
2022/6/18
網引湿原入口の駐車場近くで見かけた、ウメエダシャクです。 エダシャクにはいろいろと似たものが多く、いつも判断に迷います。 この翅の斑紋に近いものが見当たらず、近いものがウメエダシャクでした。 ウメエダシャクの斑紋は変異が大きいので、同じ形のものはまずいません。 自信はありませんが、他に候補がいなかったので、斑紋の変異と判断したものです。 | ||||||
クロツヤミノガ(Bambalina sp.)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヒロズコガ上科・ ミノガ科・Bambalina属> ![]() ミノガ科Bambalina属の蛾で、在来種。蓑虫としてはポピュラーである。 以前、ミノガ(Canephora asiatica)が永らく使用されていたが誤同定と判明し、 クロツヤミノガ(Bambalina sp.)が用いられるようになった。 しかし、Bambalina属そのものが十分に解明されておらず、今後も属が変更される可能性がある。 日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。 メスは羽がなく、成虫になってもウジムシ型で、巣の中にいる。 オスは、夕方にメスを探しに飛翔し、見つかると交尾し、メスが巣の中に産卵する。 夏に孵化した幼虫は、巣の下から出て、小さな巣を作って独立する。 終齢幼虫は体長20mm前後で、ミノは24〜35mmになり、幼虫で越冬する。 幼虫の頭部や胸部には淡黄色の地に暗褐色の班が複雑に入り、腹部は淡褐色である。 ミノは細長い円錐形で、細かくちぎった葉や茎で覆われ、表面は比較的滑らかである。 成虫の出現時期は5月〜6月で、オスの開張18〜24mm、メスは無翅で体長は17mm前後。 オスは全身黒褐色で模様はなく、触角は羽毛状でメスの出すフェロモンを感じやすくなっている。
2023/7/18
第3湿原の遊歩道を歩いていて、ロープにぶら下がっているクロツヤミノガを見つけました。 子供の頃には良く見かけたものですが、最近は見たことがなく、ずいぶん久しぶりになります。 オオミノガの蓑と比べると、細かい葉を使っているのですっきりと細身なのが特徴です。 | ||||||
ヤホシホソマダラ(Balataea octomaculata)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ マダラガ科・クロマダラ亜科・Balataea属> ![]() ![]() マダラガ科クロマダラ亜科に分類される蛾の一種で、在来種。 日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 出現時期は6月〜7月で、開張は23mm前後である。 幼虫の食草はイネ科のササやタケ類、ヌマガヤで、成虫はヒメジョオンなどで吸蜜する。
2022/6/18
第2湿原の草むらと第1湿原のノハナショウブの花で見たヤホシホソマダラです。 最初に見た時、以前に見たことがあるキスジホソマダラだと思っていました。 後で確認すると黄色い斑紋が異なることが分かり、調べ直して本種と分かりました。 斑紋の形まで覚えていれば間違えないでしょうが、色だけだと勘違いしても不思議はないかも。
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ヒメクロバ(Fuscartona funeralis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・マダラガ上科・ マダラガ科・クロマダラ亜科・Fuscartona属> ![]() ![]() マダラガ科クロマダラ亜科に属する蛾で、在来種。 日本では、国後島、北海道、本州、九州?(分布域に含まない記載あり)に分布している。 出現時期は、4月〜8月で、開張は15〜18mm、前翅長は7〜9.5mmである。 体色は茶褐色で翅脈は不明瞭(よく似たタケノホソクロバは明瞭)である。 触角は雌雄で異なり、オスでは櫛歯状で、メスではひげ状である。 幼虫は背面が乳白色〜オレンジ〜黒褐色と変異があり、全身にある白毛に触れるとかぶれる。 食草はササの葉で、直線的に食べるため、食痕が独特な幾何学的な形になる。 参考文献によれば、タケノホソクロバの学名が「Artona funeralis」とされていたが、 後にタイプ標本がヒメクロバであったことが判明し、ヒメクロバの学名となった。 その際、タケノホソクロバに新たな学名「Artona martini」が付けられようである。 更に、その後「Artona属」から「Fuscartona属」として分離独立され、現在に至っている。 現在、国内に生息するFuscartona属は、タケノホソクロバとヒメクロバの2種である。
2022/6/18
バイオトイレの側で群生していたエゾノギシギシ、そこにヒメクロバが止まっていました。 初めて見る蛾ですが、外形からマダラガ科の蛾だと見当がつきました。 調べると、ヒメクロバかタケノホソクロバのどちらかのようです。 この2種、因縁があるようでよく似ていて、違いは微妙です。 この2種をWebで調べ、写真と比較した結果、翅の色や翅脈の明瞭さから本種と判断しました。 | ||||||
カノコガ(Amata fortunei)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヒトリガ科・カノコガ亜科・カノコガ属> ![]() ![]() ヒトリガ科カノコガ属のガで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布している。 出現時期は6月〜8月で、年2回発生する。昼行性で、給蜜のために花を訪れる。 開張は30〜38mmで、翅は黒色の地に半透明な白斑がある。この鹿の子模様が和名の由来。 なお、この翅の黒い部分は、光の加減で青い金属光沢が見られる。 頭部は光沢のある黒色で糸状の触覚があり、胸部は黒色。腹部は黒に黄色の帯模様がある。 なお、黄色い帯模様は背面まであるものが2個、背面に達しないものが4個ある。
2022/6/18
第3湿原の通路脇で、葉に止まっているカノコガを見かけました。 湿原の周囲は広葉樹林なので、いろいろな昆虫が生息しているようです。 | ||||||
ドクガ(Artaxa subflava)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・ヤガ上科・ ヤガ科・ドクガ亜科・Artaxa属> ![]() ![]() ![]() ドクガ亜科Artaxa属に属する蛾で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、シベリア南東部に分布する。 成虫出現は6月〜8月で、開張はオスで25〜33mm、メスで37〜42mmである。 前翅は黄褐色に褐色の帯状斑があり、先端部に黒斑が2対ある。 幼虫の体色は黒色で、背面にオレンジ色の筋模様が入る。 幼虫は夏に孵化して集団で摂食し、10齢前後で落ち葉の下などで越冬する。 翌春、4月頃から摂食を始め、13〜17齢で老熟して単独生活に移行する。 終齢幼虫は、体長が40mm前後にまでなる。 2齢以降の幼虫は強力な毒針毛を持ち、それが繭や成虫、卵塊に付着している。 繭を作る時、毒針毛を繭の周りに付けまくり、羽化時にその毒針毛を尾毛で擦り取る。 そして卵塊にその毒針毛を擦り付け、孵化した1齢幼虫にその毒針毛が付着する。 つまり、生涯の全ての段階で、幼虫時の毒針毛を活用して身を守っている。 この毒針毛の毒性分はタンパク質で、皮膚に触れると赤く腫れてかぶれ、数週間痒みが続く。 幼虫の食草は、バラ科、ブナ科、カキノキ科、タデ科、イラクサ科など多種に及ぶ。 なお、成虫は摂食することはない。
2022/6/18
第3湿原の通路脇で、テリハノイバラに付いたイヤーな感じの毛虫を見つけました。 カメラ屋の性でしょうか、こういうのを見ると写真を撮りたくなってしまいます。 ただ、虫屋でもあるので、こういうのには近づかない方が良いことは直感的に分かります。 最初、逆光気味になるのでフラッシュを使ったのですが、反射で身体が白く飛んでしまいました。 雨で体が濡れているようで、水の膜が出来て、それが光を乱反射させているようです。 調整して反射を抑えて撮ったのが左の写真で、右はフラッシュを使わずに撮ったものです。 下段の拡大写真を見れば、黒い部分に白っぽい膜のようなものが見えていると思います。 右の写真は逆光気味なので、黒い部分が黒つぶれして、毛の部分が白く飛んでしまっています。 話が脱線してしまいましたが、後で調べてドクガの幼虫と判明しました。 下段の写真では多くの毒針毛が見えていますが、この毛が風に乗って飛んでくるそうです。 この毒針毛の毒は強烈で、触れただけで赤くかぶれて痒みが続く言われています。 以前、実家の庭で発生して、駆除に往生したと聞きました。 君子危うきに近寄らずですね。虫屋の感は正しかったようです。 | ||||||
オオアオイトトンボ(Lestes temporalis)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・アオイトトンボ属>
![]() ![]() ![]() ![]() アオイトトンボ科アオイトトンボ属のトンボで、日本のアオイトトンボ属では最大種。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州と広範囲に分布する。海外では、ロシアに分布する。 体全体が金緑色をした美しいイトトンボで、体長はオスで40〜55o、メスで40〜50mm。 腹長はオスで30〜43mm、メスで31〜39mm、後翅長はオスで21〜27mm、メスで23〜30mm。 成虫は5月中旬くらいから羽化が始まり、11月くらいまで見られる。 水面に覆いかぶさった木の樹皮に産卵するため、水際に木立のある池沼や湿地に生息している。 アオイトトンボに似るが、以下の点で区別することができる。 オオアオイトトンボのオスは、成熟すると、尾端の第10節のみが白く粉を吹く。 一方、アオイトトンボのオスは、尾端の第9、第10節に白く粉を吹き、また、胸部周辺にも白粉が吹く。 オオアオイトトンボは、胸部金属光沢部の形状が三角形状で、中胸部前側下板まで届く。 一方、アオイトトンボは、胸部金属光沢部の形状が矩形に近く、中胸部前側下板に金属光沢がない。
2022/10/11
第2湿原の通路を歩いていて、イトトンボを見かけました。 ちょうど、目の前に止まってくれたので撮影し、さらにアップでと思ったとき逃げられました。 少し待っていると戻ってきたので、背面からの写真も撮れました。 後で確認すると、胸部側面の金属光沢の形状からオオアオイトトンボと分かりました。 また、腹端の拡大写真から、この個体がメスであることが分かります。 | ||||||
ハッチョウトンボ(Nannophya pygmaea)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アオビタイトンボ亜科・ハッチョウトンボ属>
![]() トンボ科ハッチョウトンボ属に属するトンボの1種で、日本で最も小さなトンボである。 日本では、本州から四国、九州に分布するが、離島では生息が確認されていない。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾から東南アジアの熱帯地域に広く分布している。 近年のDNA分析により、地域によって大きな差異が確認されており、再分類される可能性もある。 体長はオスが17〜21mm、後翼長12〜16mm、メスが17〜21mm、後翼長13〜16mm。 雌雄とも羽化直後は橙褐色であるが、成熟に伴い雌雄で体色が変わる。 オスは、成熟に伴って赤味をおび、20日ほどで複眼から腹端まで鮮やかな赤色となる。 また、翅の基部も橙赤色を帯びて、きれいなグラデーションが現れる。 一方、メスは成熟に伴って淡黄色になり、腹部には淡黄色、橙色、黒色の縞模様が現れる。 翅の基部も淡い橙色を帯びるが、オスと比べるとかなり淡い。 平地から丘陵地・低山地にかけての湿地などに生息しているが、極浅い水域を好む。 成虫の出現時期は5月〜9月で、オスは小さな縄張りを持ち、静止してメスを待つ。
2022/6/18
ハッチョウトンボは、このようにモウセンゴケが生えている所に居ます。 想像以上に小さなトンボなので、最初の1匹目を見つけるまでは、なかなか見えてきませんでした。 不思議なもので、1匹目が見つかると次々と見つかるようになり、かなりの数が居ると分かりました。 ![]() ![]() <成熟したオス> 2022/6/18 <成熟したメス> ![]() ![]() <未成熟なオス> 2022/6/18 <未成熟なメス> ハッチョウトンボは成熟すると、オスは真っ赤になり、メスは淡黄色、橙色、黒色の縞模様になります。 下段は未成熟な状態で、左は羽化して間もない個体ですが、尾端の形からオスと分かります。 右は、まだ、色が淡い成熟しかかっているメスで、まもなく上段のようになります。 ![]() ![]() 2022/8/9 前回訪れたときには、多くのハッチョウトンボに出会えたのですが、今回は2匹だけでした。 1匹は、前回と同じ第2湿原で見かけ、もう1匹は第1湿原でみかけたものです。 前回は、第1湿原では見かけなかったので、第1湿原では初めての確認となります。 ![]() ![]() <未成熟なオス> <未成熟なオス> ![]() 2023/5/18 <成熟したオス> ![]() ![]() 2023/5/18 <メス> 網引湿原で始めてハッチョウトンボを見た時より、ちょうど1ヶ月早いのですが、飛び始めていました。 比較的若い未熟なオスから成熟したオスまで見られたので、飛び始めたのは5月初旬からのようです。 ※ オスは、羽化後7日〜10日ほどで成熟して赤化し、縄張りを持つようになるそうです。 ![]() ![]() <ハッチョウトンボ♂> 2023/7/18 <ハッチョウトンボ♀> 2ヶ月が経過し、数はかなり減っていますが、まだ、雌雄とも見ることができました。 ただ、見かけたのは全て成熟個体で、未成熟な個体は確認できませんでした。 ![]() ![]() 2023/8/5 第2湿原でハッチョウトンボがオスが確認できました。さらに数は減っているようです。 撮影時には気づきませんでしたが、水面の反射をバックに芸術的?な写真になっていました。 | ||||||
ヒメアカネ(Sympetrum parvulum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属> ![]() ![]() トンボ科アカネ属のトンボの一種で、在来種。 国内の赤とんぼでは最小の種で、和名もそれに由来するものである。 日本では北海道から本州、四国、九州に、海外では東アジアから極東に広く分布する。 出現時期は、6月中旬〜12月初めで、平地から低山地の木立のある湿地、湖沼などで見られる。 体長は28〜38mm、腹長は17〜26mm、後翅長は20〜29mmで、ややスリムな体形。 未熟なうちは雌雄とも体色は黄褐色だが、成熟するとオスは腹部が赤化して顔面は白くなる。 しかし、メスは成熟しても背面の橙色が濃くなる程度である。 オスの顔面には眉班がないが、メスの顔面上部には小さな眉班があるものとないものがある。 日本最小のトンボはハッチョウトンボだが、生育環境が似ているため両種が見られることも多い。 どちらもオスが成熟すると赤くなるが、ハッチョウトンボはハッチョウトンボ属になる。 マユタテアカネやマイコアカネとも似ているが、以下の点で識別できる。
2022/10/11
第2湿原で見かけたヒメアカネですが、撮影したときはマユタテアカネだと思っていました。 後で写真を見ていて、マユタテアカネのオスとは腹端の付属器の形状が異なることに気が付きました。 となると、マイコアカネとヒメアカネのどちらかだと思われますが、側面の写真がありません。 側面の斑紋は見えませんが、胸部前方の斑紋が確認できます。 この斑紋を見ると上端で区切れており、この点からヒメアカネのオスと判断しました。 ![]() ![]() 2023/7/18 第2湿原左手の林縁辺りでは、羽化したばかりと思われるきれいなマユタテアカネが飛び交っていました。 そこにヒメアカネの羽化して間もない個体も混じっていて、ちょっと見では識別できませんでした。 後で、写真を拡大して眉班の有無を確認し、判別しましたが、写っていたのはメスばかりでした。 ![]() 2023/8/5 この日も羽化後間もないと思われる、綺麗な個体が飛び交っていましたが、 うまく撮れる所に止まってくれたのは、眉班のないヒメアカネでした。
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マユタテアカネ(Sympetrum eroticum eroticum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属> ![]() ![]() トンボ科アカネ属のトンボで、和名は本種の特徴である顔面にある眉状斑に由来する。 日本では北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布する。南西諸島の一部にも分布する。 海外では朝鮮半島から中国、ロシア、台湾に分布する。 平地から低山地にかけての水辺に生息し、木立のあるやや薄暗い所に多い。 アカネ属の中ではやや小型で、体長は30〜40o程度、雌雄とも顔面に眉斑と呼ばれる黒斑がある。 オスは、腹部がやや弓なりに反り、尾部上付属器の先端が上に反っているので分かり易い。 メスの産卵弁は幅広く、中央部が凹む。体色は、雌雄とも未熟期は、黄褐色をしている。 オスは、成熟すると腹部は赤化し、胸部は暗褐色になる。 メスは、成熟しても体色が濃くなる程度のものが多いが、稀に腹部が赤化する個体がいる。 また、メスには翅の先端に褐色の斑紋があるものもおり、その組み合わせで4型が存在する。
2022/8/9
第2湿原を周っているとき、通路脇に飛んできて止まってくれたマユタテアカネです。 体色の黄色味が強く、腹部には副性器の出っ張りがないので、メスですね。 ![]() ![]() 2022/8/16 網引湿原第2湿原をぐるっと回って、ベンチのある入り口近くに来た時に見かけました。 前回は1匹しか確認できませんでしたが、今回は数匹が通路近くに止まっていました。 今回は頭部を前方向から撮れる個体がいたので、眉斑を確認できました。 なお、今回確認できたのもメスばかりで、オスは見当たりませんでした。 ![]() ![]() 2022/10/11 網引湿原第2湿原で見かけたマユタテアカネのオスです。 左の写真では、顔面の眉班が確認できます。 右の写真では腹端の上付属器が反っているのが分かります。 なお、今回確認できたのはオスばかりで、メスは見当たりませんでした。 ※ マユタテアカネの翅先に褐色斑のあるメスなどに関しては、こちらに掲載しています。 ![]() ![]() 2023/7/18 第2湿原左手の林縁では、羽化したばかりと思われるマユタテアカネのきれいな個体が飛び交っていました。 そこにヒメアカネの羽化して間もない個体も混じっていて、ちょっと見では識別できませんでした。 後で、写真を拡大して眉班の有無を確認し、判別しましたが、写っていたのはメスばかりでした。 | ||||||
チョウトンボ(Rhyothemis fuliginosa)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・チョウトンボ亜科・チョウトンボ属> ![]() トンボ科チョウトンボ属に分類されるトンボの一種で、在来種。 日本では本州から四国、九州に、海外では朝鮮半島から中国に分布する。 出現時期は6月〜9月で、腹長は20〜25mm、体長は31〜42mm、開張は74〜77mm。 前翅の基部側半分強と後翅の大半は金属光沢のある暗色で、光の加減で青っぽい色で輝く。 なお、前翅の透明な部分の大きさや後翅先端の透明部分の有無、大きさには個体差がある。 後翅の方がかなり広い特徴があり、ヒラヒラとチョウのように飛ぶのが名前の由来。
2023/7/18
網引湿原で最初に見たチョウトンボは、地面に張り付いたチョウトンボの死骸です。 最初、遠目で見たときは、地面にチョウトンボが止まっているように見えました。 なぜ、このような所に止まっているのかとよく見ると、どうやら死んでいるようす。 近づいてみると、アリが多数集っていて、既に翅以外の部分はほとんどありませんでした。 しかし、食料にならない翅の部分は、きれいに残していました。 ![]() ![]() 2023/7/18 網引湿原の第1獣害防止ゲートを出て、駐車場に戻る途中でチョウトンボに出会いました。 止まったのが高い樹上の枝で、下から見上げるような角度でしか写真が撮れません。 しばらく粘ったのですが、下の方に来ることがなかったため、この日はギブアップです。 ![]() ![]() ![]() ![]() 2023/7/25 網引湿原のバイオトイレまで戻ってきたとき、田んぼの縁に止まるチョウトンボを見つけました。 前回は高い梢にしか止まらず、下から見上げるような写真しか撮れなかったのですが、 今日は目線近くの所に止まっていたので、いろいろなポーズを撮ることができました。 | ||||||
オオシオカラトンボ(Orthetrum triangulare melania)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属> ![]() ![]() トンボ科シオカラトンボ属のトンボで、在来種。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布する。 海外では、中国中南部に分布する。東南アジアには、別亜種が広く分布する。 体長は、50〜60mm程とやや大型で、オスは濃い水色でメスは黄褐色の体色をしている。 オスは、地域によって特徴があり、本土型、琉球列島型、八重山形の3つに分類される。 なお、本種は複眼も含めて顔面が真っ黒なこと、林縁や林の中など薄暗い場所を好むことで区別できる。
2022/6/18
網引湿原の最初の獣害防止ゲートとバイオトイレの間の通路脇で、何匹かのトンボを見かけました。 その内の1匹が左側のオオシオカラトンボのオスで、止まって縄張りを監視しています。 縄張りに他のトンボが入り込むと猛然と追い出しにかかります。 右のオオシオカラトンボのメスは、連結して飛んでいた片割れです。 ![]() ![]() 近くのヘラオモダカの撮影をしていたとき、下の方を連結飛行しているペアに気が付きました。 撮影しようとカメラを向けた途端に、連結が外れ、メスが打水産卵に入ったようです。 そのメスの上を、常にオスが飛翔して、他のオスが近づかないよう警戒していました。 ![]() ![]() 2022/8/16 網引湿原の最初のの獣害防止ゲートとバイオトイレの間の通路脇で、連結したものを見かけました。 葉に止まっていたので、そっと近づき、撮影したのが左側の写真です。 もう少しアップで撮りたいと1歩踏み出した途端に逃げられました。 あまり飛べなくて近くに止まったのですが、止まるや否やメスが生殖口をオスの副生殖器に付けました。 このとき、ハート形になるのですが、オスの腹部が直線状なので、きれいなハート形にはなりません。
![]() ![]() 2023/7/18 <オオシオカラトンボ♂> 2023/8/5 <オオシオカラトンボ♀> ![]() 2023/8/5 <オオシオカラトンボ♀胸部腹部拡大> オオシオカラトンボのオスも背面は粉を吹いたスカイブルーですが、腹面側には黄色斑紋が見られます。 一方、成熟したメスでは全体がくすんだ色になり、腹部第8節が横に張り出します。 下段はその腹部を拡大したものですが、オスには無い腹部第8節の張り出しが良く分かると思います。 ![]() ![]() 2023/8/5 奥池の畔に張られているロープに、初々しい色のオオシオカラトンボが止まっていました。 羽化間もない雌雄は同色なので、腹部端の形状からの判断ですが、上付属器ではなく尾毛なのでメスです。 ただ、メスの腹部第8節の左右への張り出しがありません。未成熟なメスでは張り出しは見られないそうです。 ![]() ![]() <オオシオカラトンボの連結飛行> 2023/7/25 <オオシオカラトンボの打水産卵> 第2湿原の木道の奥で、オオシオカラトンボが連結飛行していました。 その写真を撮っていると、突然連結を解き、メスが打水産卵を始めました。 そのメスが産卵中、オスは直ぐ近くを付かず離れず警戒飛行していました。 打水産卵ですが、かなり動きが早いです。撮ろうとしたのですが、草が邪魔してなかなか撮れません。 四苦八苦して何とか1ショット撮れたのですが、ちょっと遅くて、尾端は水面から離れています。 ただ、水面と尾端の間を水がつないでいるので、コンマ何秒かの遅れでしょうか。 | ||||||
シオカラトンボ(Orthetrum albistylum speciosum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属> ![]() ![]() トンボ科シオカラトンボ属の中型のトンボで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に広く分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、極東ロシアに分布している。 出現時期は4月〜11月で、体長50〜55mm、後翅長は43mm前後である。 成熟すると雄は体色が黒くなり、胸から腹部の頭部側に白い粉を噴いたようになるのでこの名がある。 未成熟なオスやメスは、黄色に黒の模様が入るので、ムギワラトンボと呼ばれる。 コフキトンボよりスリムで、腹部第4節にヒダがないことで区別できる。
2022/6/18
第1湿原と第2湿原の間にある奥池、その第2湿原よりで見かけたシオカラトンボです。 オオシオカラトンボより明るい所を好むシオカラトンボにとって、開けた池は格好の環境です。 何匹か居るようで、時折、池の真ん中で縄張り争いのバトルを繰り広げていました。 その内の1匹が、監視する場所として選んだのが、池に刺さっている木の枝です。 ![]() ![]() 2022/8/9 前回訪れたときは、あまりシオカラトンボはいなかったのですが、今日はよく見かけました。 その代わりという訳ではないでしょうが、オオシオカラトンボは少なかったと思います。 シオカラトンボのメス(左)と成熟途中のオス(右)です。 | ||||||
シオヤトンボ(Orthetrum japonicum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属> ![]() ![]() トンボ科シオカラトンボ属のトンボで、日本固有種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。 出現時期は4月〜7月で、早春に出現し、夏までには姿を消す。 胸側に接近した2本の黒条があり、黒化が進んだ個体ではかなりの部分が癒合している。 シオカラトンボによく似ているが少し小型で、オスは成熟すると胸部前側や腹部が白く粉を噴く。 胸の側面にも粉を吹くが少し薄い。翅の基部には明るいオレンジ色の部分がある。 なお、本種のメスは、黄褐色になり、粉は噴かない。 シオカラトンボなどと良く似ているが、本種の翅の基部は黄褐色になることで区別できる。 また、オスでは本種はほぼ末端まで白く粉を吹くが、シオカラトンボは第7〜10節は黒い。
2023/5/4
第1湿原や第2湿原などで見かけたシオヤトンボです。 まだ、シオカラトンボやオオシオカラトンボは見かけませんでした。 オスはほぼ末端まで白く粉を吹き、翅の基部が黄褐色になる点で、区別できます。 | ||||||
ハラビロトンボ(Lyriothemis pachygastra)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・ハラビロトンボ属> ![]() ![]() トンボ科ハラビロトンボ属のトンボで、在来種。 日本では、北海道南部から本州、四国、九州、周辺の離島に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。 出現時期は4月〜10月で、体長は33〜40mm、腹長は21〜24mmである。 腹部の幅が広いのが特徴で、未熟なオスはメスと同じ黄色い色をしている。 メスは成熟しても大きな変化はないが、オスは黒化して、その後に腹部に青白い粉を吹く。 また、オスの頭部にある前額上部は光沢のある青藍色で、良く目立つ。
2022/6/18
網引湿原の最初の獣害防止ゲートとバイオトイレの間の通路脇で、何匹かのトンボを見かけました。 その内の1匹がハラビロトンボのオスで、最初、オオシオカラトンボだと思っていました。 近づいたとき腹部が異常に幅広いことに気が付き、ハラビロトンボのオスだと分かりました。 遠くから見ていたときは、まったく同じに見えたので、別種だとは気が付きませんでした。 右の写真では、オスの頭部前額上部にある光沢のある青藍色のシンボルが見えています。 ![]() ![]() <成熟初期のオス> <成熟初期のオス> ![]() ![]() <未成熟のオス> 2023/5/4 <メス> . 第1獣害防止ゲートを出て、歩き始めた時、目の前を真っ黒なトンボが通り過ぎて行きました。 本当に真っ黒で、こんなトンボは見たことがありません。思わず、えっと言ってしまいました。 後で調べてみると、白い粉が吹く前の成熟の初期には、このような黒い体色になるそうです。 よく見ると、上段右の写真の個体は、腹部に少し白い粉が吹き始めていますね。 この後、腹部全体に白い粉を吹いた最初の写真のような姿になるのでしょう。 下段は未成熟なオスとメスで、見た目はほとんど同じですが、腹部の副性器の有無で判断しました。 ![]() ![]() <未成熟のオス> 2023/5/4 <成熟初期のオス> 未成熟のオスと成熟初期の真っ黒なオスの頭部を拡大したものです。 頭部の前額上部にある光沢のある青藍色の部分は、成熟の状況とは関係ないようです。 複眼の色味が未成熟な個体は淡いのですが、青藍色の色味はほぼ同じです。 ![]() ![]() 2023/5/18 <成熟したオス> 真っ黒なハラビロトンボを見てから2週間が経過し、かなり白い粉が吹いてきていました。 個体差はありますが、右の写真の個体では腹部全体に粉を吹いています。 ![]() ![]() 2023/7/25 網引湿原のバイオトイレ近くで、ハラビロトンボのメスが目の前を横切って止まりました。 かなりくたびれたハラビロトンボの成熟したメスで、翅に傷みが見られます。 | ||||||
ウチワヤンマ(Sinictinogomphus clavatus)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・ウチワヤンマ亜科・ウチワヤンマ属>
![]() ![]() <メス> <オス> サナエトンボ科ウチワヤンマ属のトンボで、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア北東部、ネパール、ミャンマー、タイ、ベトナムに分布する。 出現時期は5月〜9月で、全長は70〜87mm、腹長は49〜60mm、後翅長は40〜51mmである。 雌雄とも腹部第8節にうちわ状の付属物があるが、オスの方がメスよりも大きい。 平地や丘陵地の大きな池、湖で見られ、オスは縄張りを持ち、水辺の岸近くの枝先などに留まる。 交尾も同様な場所の先端で静止して行い、その後、交尾態のまま飛び回って産卵場所を探す。 水面の浮遊物などを見つけると連結を解き、メス単独でホバリングしながら産卵する。 卵塊は粘着質の糸でつながっていて、間欠的に浮遊物に腹端を打ち付けるようにして産卵する。 よく似たタイワンウチワヤンマは、うちわ状の付属物に黄色部がなく、いく分小さい。
2023/7/25
網引湿原のバイオトイレ近くの放棄地で、オオアレチノギクの先に止まるウチワヤンマを見つけました。 撮影した画像を拡大すると、副性器がないのでメスと分かりました。 帰りに同じ場所で、再びウチワヤンマが止まっているのに気が付き、撮影。 画像を拡大すると、今度は副性器が確認でき、オスと分かりました。 雌雄を並べると、腹部第8節のうちわ状の付属物や腹部の太さなど、性差が良く分かると思います。 | ||||||
タイワンウチワヤンマ(Ictinogomphus pertinax)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・ウチワヤンマ亜科・タイワンウチワヤンマ属>
![]() ![]() サナエトンボ科タイワンウチワヤンマ属のトンボで、在来種。 日本では、以前は九州南部、四国南部、南西諸島で見られていた。 その後、温暖化の影響もあってか分布域が北上し、中国、近畿、東海でも確認されている。 2020年には、神奈川県、東京都、千葉県の東京湾岸でも確認されている。 海外では、中国、香港、ラオス、ミャンマー、ベトナム、台湾に分布する。 全長70〜80mm、腹長48〜56mm、後翅長38〜46mmである。 ウチワヤンマより細い形状で、うちわ状の広がりは小さくて黒く、脚は全体が黒く黄斑が無い。 海岸に近い平地の池などに生息し、少し汚れた水質の環境にも生息できる。 成熟したオスは、水辺の植物に止まってなわばりを占有し、時々パトロール飛行を行う。 メスがなわばりに入るとすぐに追尾し、連結して空中で交尾を行う。交尾時間は数秒と短い。 交尾後、メスは単独で、浮遊物などに粘着質の糸でつながった卵塊を間欠的に打ち付ける。
2023/7/18
網引湿原の奥池の縁に沿ってユウスゲが1列に並ぶように花序を立ち上げていました。 そのユウスゲの1本にトンボが止まっていました。尾端の方に大きく丸い張り出しが見えます。 その形状からウチワヤンマだろうと思ったのですが、後で調べて、タイワンウチワヤンマとしました。 ウチワヤンマの団扇状の張り出しは内側が黄色いのですが、それが見えないのが判断理由です。 ![]() ![]() 2023/7/25 タイワンウチワヤンマとしましたが、自信が持てずにモヤモヤしていたので、1週間後、確認に行きました。 しかし、最初に確認できたのはウチワヤンマで、2度目に確認できたのも同様でした。 やはり、タイワンウチワヤンマではなかったのかと思っていたとき、前回と同じ場所で見つけました。 しかし、止まっている向きが悪くて団扇状の部分が良く見えません。 ヤキモキしながらしばらく様子を見ていると向きを変えたので、団扇状の部分を確認できました。 団扇状部分が小さめで黄斑はないので、タイワンウチワヤンマで間違いはありません。 また、腹部の付け根付近に副性器が見られますので、オスと分かります。 ![]() ![]() <タイワンウチワヤンマ♂> <ウチワヤンマ♂> . その後、止まる場所を変えてくれたので、より分かり易い写真が撮れました。 比較のために、ウチワヤンマのオスの写真と並べてみましたが、違いが良く分かると思います。 | ||||||
タベサナエ(Trigomphus citimus tabei)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・サナエトンボ亜科・コサナエ属>
![]() ![]() サナエトンボ科コサナエ属のトンボで、日本固有亜種。 日本では、本州の静岡,岐阜,滋賀,福井県以西、四国、九州に分布している。 原名亜種はタイリクタベサナエで、朝鮮半島から中国東北部に分布する。 出現時期は4月中旬〜7月上旬で、平地から丘陵地の樹林に囲まれた池沼や湿地に生息する。 なお、未熟期は発生地近くの草地や林縁で過ごし、成熟すると水辺に戻る。 オスは腹長31〜34mm、後翅長25〜27mm、メスは腹長28〜32mm、後翅長26.5〜30mmである。 体色は雌雄ともに黄色地に黒の条斑があり、前肩条はなく、胸部側面の黒条のうち前側は途中で切れる。 この胸部側面の黒条でフタスジサナエとは区別でき、上部まで伸びているのがフタスジサナエである。 また、前肩条の有無でオグマサナエと区別でき、無い場合は本種である。 コサナエとは、前肩条の有無で区別できるが、不明瞭な場合は尾部の性器の形状で区別できる。
2023/5/4
第3湿原の遊歩道を歩いていたとき、葉に止まっているサナエトンボの仲間を見かけました。 先ほど見かけたものと同じだと思いましたが、念のために撮影したものです。 家に戻って調べていると、この個体のみ胸部側面の黒条が他の個体と異なることに気が付きました。 他の個体は黒条が2本なのでフタスジサナエと分かったのですが、この個体は前が途中で切れています。 また、前肩条が見当たりませんので、その特徴からタベサナエと判断しました。 ![]() ![]() 2023/5/18 第3湿原の遊歩道脇でタベサナエのメスに出会いました。前回見た所の近くです。 他にも何度かサナエトンボを見かけたのですが、写真が撮れなかったので種類までは分かりません。 | ||||||
フタスジサナエ(Trigomphus interruptus)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・サナエトンボ科・サナエトンボ亜科・コサナエ属>
![]() ![]() <メス> <オス> ![]() ![]() <メス> <オス> サナエトンボ科コサナエ属のトンボで、日本固有種。 日本では、本州の静岡、岐阜、滋賀、福井県以西、四国、九州に分布している。 ただし、山陰地方では未確認である。 出現時期は4月〜7月で、平地や丘陵地の池に生息する。 腹長は32〜35mm、後翅長は26〜29mmで、体長は44〜49mmである。 体色は雌雄ともに黄色地に黒の条斑がある。 前肩条があり、胸部側面の黒条は2本とも上縁に達している。 なお、稀に前方のものが途中で切れている場合があり、上部の黒条がないものも極稀に見られる。 他のコサナエ属とは、一部の例外を除き、胸部側面の黒条が2本あることで容易に区別できる。
2023/5/4
農道脇や第3湿原の遊歩道脇などで、木道や葉に止まっているサナエトンボの仲間を見かけました。 家に戻って調べると、前肩条があり、胸部側面の黒条が2本ある点で、フタスジサナエと分かりました。 下段は胸部を拡大したものですが、黒条がメスの方は切れていて、オスの方は繋がっていました。 前の黒条が途中で切れるのは稀だそうですが、運よく両方を確認できました。 | ||||||
ギンヤンマ(Anax parthenope)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・ヤンマ科・ ルリボシヤンマ亜科・トビイロヤンマ族・ギンヤンマ属> ![]() ![]() ヤンマ科ギンヤンマ属に分類されるトンボの一種で、在来種。 日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。 日本に分布しているのは亜種(Anax parthenope julius)であり、東アジア全般に生息する。 基亜種は、東アジア、インド、カザフスタンまで分布している。 体長は70o程で、翅の長さは50oほどになる。 頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしているが、境界部分がオスだと水色、メスだと黄緑色である。 翅は透明だがやや褐色を帯びていて、メスの方が褐色味が強く濃い。
2022/8/27
網引湿原の奥池まで戻ったとき、湖面を飛んでいる連結したギンヤンマを見かけました。 岸近くを飛んでいたので、写真を撮ろうとカメラの準備をしている間に、岸際に止まりました。 メスが腹部のほとんどを水中に差し込んでいるので、産卵を始めたと分かりました。 | ||||||
ハラビロカマキリ(Hierodula patellifera)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・Paramantini族・ハラビロカマキリ属> ![]() ![]() カマキリ科ハラビロカマキリ属の昆虫で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布している。 海外では、東南アジアに広く分布する。 体長は、オスで45〜65mm、メスで50〜70mmと雌雄の差は少ない。 他のカマキリと比較して、横幅が広く見えるのでずんぐりした印象を受ける。 大半は緑色型であるが、まれに紫褐色の個体も見られる。 前翅に白斑が1個あり、前脚基節前縁に3〜5個の突起があるのが特徴。
2022/8/27
網引湿原の駐車場に近い所で、アカメガシワに付いているハラビロカマキリの幼虫を見つけました。 大きさからみて、おそらく終齢幼虫だと思われます。翅がないだけで、体形は成虫と変わりありません。 ![]() ![]() 2023/8/5 網引湿原の駐車場近くで、多くの花を付けたイヌザンショウに、ハラビロカマキリの幼虫がいました。 腹部を大きく反り返らせた独特のポーズをとるので、一目瞭然ですね。 | ||||||
オオカマキリ(Tenodera aridifolia)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・Polyspilotini族・オオカマキリ属> ![]() ![]() 日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、東南アジアに分布する。 日本最大のカマキリで、体長はオスで70〜90mm、メスで80〜110mmある。 南にいくほど大型化する傾向があり、北海道産では大きくても100mm程しかないが、 九州産では、オスでもメスと変わらない体長になるものもある。 体色は緑色型と褐色型があり、チョウセンカマキリやウスバカマキリと似ている。 これらとは、オオカマキリの後翅の付け根の多くが暗紫褐色である点で区別できる。 外観的には、ウスバカマキリとは前脚基節内側の黒い紋の有無(オオカマキリにはない)で区別でき、 チョウセンカマキリとは、前脚基部内側が橙色(オオカマキリは黄色で上縁はエンジ色)な点で区別できる。
2022/6/18
バイオトイレの側で群生していたエゾノギシギシ、そこにカマキリの幼虫が居ました。 直ぐ近くにヒメクロバが止まっていたのですが、気が付いていないようでした。 さて、オオカマキリかチョウセンカマキリか、それが問題です。 迷ったのですが、前脚基部にオレンジ色の部分が見えないので、ここではオオカマキリとしました。 捕まえて良く確認しておけばよかったと後悔しましたが、後の祭りです。 ![]() ![]() 2022/10/11 網引湿原第2湿原を歩いているとき、キセルアザミに違和感を覚え、思わず振り返りました。 見ると、キセルアザミの頂部に褐色型のオオカマキリが取り付いていました。 ただ、元気がなくて、捕まえてもほとんど動こうとはしません。 鎌の根元の部分をアップで撮らせてもらって、元の場所に戻しました。 | ||||||
チョウセンカマキリ(Tenodera angustipennis)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・Polyspilotini族・オオカマキリ属> ![]() ![]() カマキリ科カマキリ亜科の昆虫で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、対馬、沖縄本島に分布している。 海外では、名前の通り朝鮮半島から中国に分布する。 出現時期は、幼虫は4月頃から見られるようになり、成虫は8月〜11月に見られる。 なお、一般にカマキリというと本種を指す。 体長は、オスで60〜80o、メスで70〜90mmと、オオカマキリよりやや小型。 体色は緑色型と褐色型があり、オオカマキリによく似ているが、いくつか異なる点がある。 その識別点は、以下の通りである。
2023/8/5
第2湿原の入口に戻っているとき、ウラジロの葉の上にいるカマキリを見かけました。 終齢幼虫と思われたので、捕獲して前脚基節基部の色を確認してみました。 引っ掻かれていたい思いはしましたが、淡い黄色一色だと分かりました。 上縁にエンジ色の縁取りがなく、一様に淡い黄色なのでチョウセンカマキリとしました。 | ||||||
ウスバカマキリ(Mantis religiosa)
<カマキリ目・カマキリ科・カマキリ亜科・ウスバカマキリ族・ウスバカマキリ属> ![]() ![]() カマキリ科ウスバカマキリ属に属するカマキリで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と広範囲に分布する。 ただし、草丈の低い植物が疎らに生えているような草原にしか生息しないので、数は少ない。 海外では、アフリカからヨーロッパ、ユーラシア大陸、北アメリカに分布する普通種。 なお、北アメリカに関しては移入されたものが広がったものと考えられている。 発生時期は8月〜11月で、体長はオスで52〜57mm、メスで59〜66mmである。 体色は淡緑色型と淡褐色型があり、稀に黄金色型が見られる。 前脚基節内側に楕円形の黒斑、黒地に白の斑を持つことが特徴。
2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートの所に戻って、タラノキの果実を撮ろうとしたとき、 足元からコオロギが数匹、四方に飛んで逃げて行きました。 その内の1匹を目で追ったとき、小型のカマキリに目が止まりました。 ハラビロカマキリに近い体形ですが、二回りほど小さく、色も淡い感じで、見たことがありません。 調べてみると、ウスバカマキリの淡緑色型で、個体数が少ない希少種と分かりました。 分布域は広いのですが、生息環境が限られるため、発生が局所的で、出会うことが稀なようです。 見たのは、除草されて草が少ない場所で、よく見るとコオロギを捕らえて食事中だったようです。 左の写真で、前脚基節の内側にある黒斑の一部が見えていますね。 なお、右の写真で前翅が白飛びしたように明るいベージュ色になっていますが、これは本来の色です。 本来の淡緑色型では、全体が淡緑色なのですが、この個体は前翅が淡褐色型のような色です。 | ||||||
アメンボ(Aquarius paludum paludum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・アメンボ下目・アメンボ上科・ アメンボ科・アメンボ亜科・アメンボ属> ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() アメンボ科アメンボ属の水生昆虫で、日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。 日本以外では、朝鮮半島から中国東北部、東部シベリア、台湾に分布する。 アメンボ科は熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し、日本には淡水系20種、海水系6種が分布する。 アメンボもカメムシの仲間のため、カメムシ同様、体から匂いを出す。 その匂いが飴に似ているので、飴のような匂いを出す棒状の虫「飴ん棒」が名前の由来とか。 体長はオスで11〜14o、メスは一回り大きくて13〜16o程になる。 脚の尖端が水をはじくようになっていて、それで水面上に浮く。 水面の移動は、前脚と後脚で体を支え、中脚を前後に動かすことで行う。 飛翔する事も出来るが、飛翔するのは稀で、一生のほとんどを水面上ですごす。 特に池のように安定した環境では、翅が退化した幼生のような成虫が出現する事もある。 アメンボは自ら獲物を襲うことはせず、水面に落ちた虫を素早く捕獲して体液を吸う。 そのため、落ちてくるものを見つける良い眼と、脚に水面の波動を感じ取る特殊な毛を持っている。 出現時期は、4月〜10月と長い。
2023/8/5
第1獣害防止ゲートの手前の小川でも見ましたが、第2湿原でも多くのアメンボが動き回っていました。 ここは近距離で撮影できるのですが、よく見ると翅がない幼虫でした。見たのは初めてかもしれません。 後で写真を見ると水面に落ちてもがく毛虫がいて、それに反応して向かっているところだったようです。 下段がその写真で、赤矢印の先が水面に落ちてもがいている毛虫です。 | ||||||
クサギカメムシ(Halyomorpha halys)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・ カメムシ科・カメムシ亜科・クサギカメムシ属> ![]() カメムシ科クサギカメムシ属のカメムシで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾など、東アジアに広く分布している。 体長は13〜18mmで、前翅の膜質部を除いてまだら模様のある褐色で、腹部は橙色である。 頭部は突き出して幅はほぼ同じで、複眼がこぶのように左右に突き出す。 触角は体色と同色で、関節の部分が白くなっている。 前胸の両肩はあまり強く突き出さず、前縁に四つの小さな淡褐色の斑紋が並ぶ。 腹部は中程がやや幅広で、前翅の両側から少しはみ出す。前翅の膜質部は腹部の後端を超える。 1齢幼虫は孵化直後は黄色で、時間の経過とともに赤く変わり、摂食せずにその場に集団で留まる。 6日程で脱皮して2齢幼虫になると、脱皮直後は赤い体色であるが、その後黒褐色に変わる。 その後、数日でバラバラと分散する。5齢幼虫になると、成虫に近い色合いになる。 植食性のカメムシで、非常に多くの種類の植物の茎や葉から吸汁する。 幼虫は果実には付かないが、成虫は果樹や豆類の吸汁もするため、農業害虫として古くから知られる。 成虫で越冬し、人家に入り込んで冬を越すことがあり、悪臭を出すので衛生害虫としても知られる。 越冬個体は、秋の訪れとともに死に、新世代に代変わりする。 なお、本種が刺激を受けたときに出す悪臭は強烈で、最も臭気の強い種の1つとされる。
2018/5/30
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で見かけました。 孵化した卵の殻の周りに寄り集まっているので、孵化後間もないカメムシの1齢幼虫です。 成虫とは似ても似つかない幼虫も多いので、何の幼虫なのかは分かりませんでした。 後で調べていると、似たものはあったのですが、ピタリとは合いません。 さらに調べていて、クサギカメムシの1齢幼虫(2齢になるとガラリと変わります)と分かりました。 まだ、この写真の幼虫は黄色味が強いので、孵化してからそう時間が経っていないものと思われます。
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ハリカメムシ(Cletus rusticus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>
![]() ![]() ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、ほぼ全国に分布する。 発生時期は4月〜11月で、体長は10〜12mmである。 体色は褐色で、腹部には白い縁取りがある。イネ科やタデ科の植物を吸汁する。 ホソハリカメムシやヒメハリカメムシとよく似ているが、下記の点で区別する。
2022/6/18
バイオトイレの側で群生していたエゾノギシギシ、そこにはハリカメムシもいました。 よく似たホソハリカメムシとの違いは、触角第1節外側にある黒条の有無です。 左側の写真を強拡大すると、それらしき黒い線があるようなので本種としました。 ただ、解像度不足で、明瞭に黒条が見えている訳ではないので、間違っている可能性はあります。 | ||||||
ホソヘリカメムシ(Riptortus pedestris)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ホソヘリカメムシ科・Riptortus属>
![]() ホソヘリカメムシ科に属するカメムシの1種で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く分布している。 海外では、台湾、朝鮮半島から中国、マレー半島まで広く分布している。 体長は14〜17mmで、全身が褐色の細長くて、触角も褐色で長く、第4節に黄色い斑がある。 成虫の腹部には黄色と黒の縞模様があるが、翅が覆っていて飛ぶとき以外は見えない。 飛翔するとこの縞模様が現れ、アシナガハチが飛んでいるように見える。 雄の成虫の後脚腿節は太く、その内側には棘の列があるが、縄張り争いで相手を挟みつける。 そのため、後脚腿節が太くて長いものが有利となり、発達したもののようである。 なお、本種はカメムシの仲間にしては珍しく、独特の臭いを出さない。 孵化したばかりの1齢幼虫は、何も食べずに脱皮し、2齢幼虫になる。 1齢〜4齢幼虫までは、体色が黒くて、頭と胸、胸と腹が大きくくびれ、アリそっくりである。 その歩き方までアリにそっくりで、アリに擬態することで身を守っているようである。 5齢幼虫になると体色は褐色に変わり、成虫に似てくる。 次に脱皮すると成虫となるが、飛翔能力を得るまでには数日を要する。 幼虫、成虫とも様々なマメ科植物の子実を吸汁し、マメ科の作物栽培における重要害虫である。
2022/8/27
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、ホソヘリカメムシを見かけました。 この写真を撮った後、さらに近づいてと思ったとき、パッと逃げられました。 カメラのファインダーを覗いていたので、飛翔姿は見損ねました。 | ||||||
クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ ホソヘリカメムシ科・クモヘリカムムシ亜科・クモヘリカメムシ属> ![]() ![]() ホソヘリカメムシ科に属するカメムシの1種で、在来種。 日本では、本州から四国、九州、壱岐、対馬、南西諸島、小笠原諸島に広く分布している。 海外では、台湾、朝鮮半島、中国から東洋区一帯に広く分布する。 出現時期は5月〜10月で、体長は15〜17mmである。 翅が褐色で、その他が黄緑色の細長いカメムシで、触角は褐色で各節の基部が汚黄色になる。 なお、生きているときは黄緑色であるが、死ぬと汚黄色に変色してしまう。 複眼は黒くて、頭部の両側面にある。複眼の前後に黒褐色の筋模様がある。 前胸は細長い三角形状で、全縁部に褐色の斑紋があり、側面の縁沿いは黄白色になる。 前翅はたたむと腹部を覆い、膜質部は淡褐色で半透明である。 歩脚は細長く、黄緑色である脛節の先端部と附節は褐色を帯びる。 幼虫、成虫とも様々なイネ科植物の子実を吸汁し、イネの害虫としても知られている。 成虫で越冬し、年1化〜2化と地域によって異なる。
2022/10/11
第1獣害防止ゲートまでの道路脇で、コバネイナゴを撮っていると何かが飛来しました。 音もなく飛んできて、近くのササの葉に留まったのを見ると、緑色の細いカメムシでした。 見たことがないので調べてみると、イネの害虫であるクモヘリカメムシと分かりました。 よく似た大柄なオオクモヘリカメムシがいますが、触角の模様で識別できます。 | ||||||
ヒメタイコウチ(Nepa hoffmanni)
<カメムシ目・カメムシ亜目・タイコウチ下目・タイコウチ上科・タイコウチ科・ヒメタイコウチ属>
![]() ![]() タイコウチ科ヒメタイコウチ属に属する昆虫で、在来種。、希少種である。 日本では、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、兵庫県、香川県で生息が確認されている。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。 成虫の出現時期は3月〜11月で、成虫で越冬する。体長は18〜22mmである。 体色は茶褐色で、腹部は幅が広く、尾端にタイコウチほど長くはない呼吸管がある。 肉食性で、鎌状の前肢を用いて陸生の昆虫や節足動物を捕らえ捕食する。 口針から消化液を注入して体組織を溶かし、それを吸汁する。 水中生活には適応しておらず、湧水が染み出す程度の浅い水辺が生活圏である。 浅い水中に身を潜めて、近くを陸生昆虫などが通るのを待ち伏せして捕食する。 捕食は陸上でも行うが、水中に引きずり込んで、水中で食べることの方が多い。 なお、本種は翅は持っているが、飛翔することはないようである。 12月頃に陸上の土中や枯葉の下などで越冬し、翌春の3月頃には活動を始める。 繁殖期は4月〜6月と、出現時期の3月〜11月に比べて、短い。 コケに8〜12個の卵を産み、孵化した幼虫は5回の脱皮を経て、7月〜8月に成虫になる。
2022/6/18
第2湿原の入口付近で、案内人の方が水たまりを熱心に見ておられました。 聞くと、このような場所にヒメタイコウチがいるとのことで、その幼虫を探しておられるとの事。 なかなか見つからないようで諦めかけた時、幼虫が見つかり、周りの方々が写真を撮っていました。 皆さんが取り終わった頃、私も幼虫の撮影をさせてもらったのですが、動きが早くて四苦八苦です。 地面と似たような色で保護色になっていて、見失うと探すのが大変でした。 なお、本種は兵庫県では絶滅危惧T類となっているようです。 | ||||||
アカサシガメ(Cydnocoris russatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・ サシガメ科・モンシロサシガメ亜科・アカサシガメ属> ![]() サシガメ科アカサシガメ属に分類されるカメムシの一種。 国内では、本州から四国、九州、対馬、五島列島、トカラ列島の一部に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、インドに分布している。 体長は14〜17mmで、体色は全体に暗い朱色をしている。 頭部は朱色で小さく、複眼は暗褐色である。触角の基部には棘状突起がある。 頭部腹面側も朱色であるが、中央と後の縁沿いに黒斑がある。 黒くて長い触角は、第1節が最も長く、第2節はその6割ほど、第3節は第2節の6割ほどである。 前胸背面は朱色で、中程でくびれて不規則に隆起している。胸部腹面側はほぼ黒色である。 小楯板も朱色で、前半部が隆起している。前翅は長く、腹部末端より大きく伸び出る。 前翅の基部側の革質部も朱色であるが、先の膜質部は褐色で、背面側ではここだけ色が異なる。 腹部の腹面側は朱色で、各腹節の縁近くに黒い斑紋がある。 各歩脚はほぼ黒色であるが、基節と転節だけは朱色となっている。 低山地の草むらなどで見られる普通種で、鱗翅目の幼虫やハムシなどの小型昆虫を捕食する。 幼虫、成虫とも他の昆虫を捕らえて口吻を刺し、消化酵素を注入して、溶けた体液を吸う。
2023/7/18
第1湿原近くまで戻ってきたとき、何か赤い物が目の前を横切っていきます。 虫屋の本能でしょうか、あっと思ったときには、既に手で叩き落としていました。 ※ 皆さん真似はしないでくださいね。やばい虫だと後が大変です。 落ちた辺りを探すと、真っ赤なカメムシが枯草の上に止まっていました。 それを見て、最初に浮かんだのは脱皮直後のヨコヅナサシガメ(しばらく真っ赤です)です。 しかし、体が固まる前に飛翔するとは思えません。後で調べてアカサシガメと分かりました。 普通に見られるそうですが、私は初見で、ここまで真っ赤なカメムシが居るとは思いませんでした。 | ||||||
シロオビアワフキ(Aphrophora intermedia)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・アワフキムシ上科・アワフキムシ科・アワフキムシ亜科>
![]() ![]() アワフキムシの1種で、幼虫はマサキ、クワなど様々な草木の汁を吸い、アワの塊を作る。 日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 出現時期は5月〜10月で、体長は11o前後。 頭部と前胸背は暗褐色、前翅に幅広の白い横帯がある。 小楯板と前翅は暗褐色で、白帯の両側は特に濃色で黒褐色になる。 若い幼虫は、上半身が黒く、下半身は赤い、特徴的な配色をしている。 成熟に伴い、全体が黒っぽくなり、羽化寸前になると、腹部に白いまだら模様が現れる。
2023/5/4
第3湿原の遊歩道脇で、茎に泡の塊が付いているのが見えました。 表面に何か黒ぽいものが見えますが、これは脱皮殻だと後で分かりました。 このままでは種類が分からないので、かわいそうなのですが、泡から出てもらいました。 それが右の写真ですが、上半身が黒、下半身は赤という特徴的な配色です。 これでシロオビアワフキの若齢幼虫と分かりました。 この後、元の泡の塊に戻したのは言うまでもありません。 | ||||||
アブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・ セミ科・セミ亜科・アブラゼミ族・アブラゼミ属> ![]() ![]() セミ科アブラゼミ属のセミで、在来種。 日本では、北海道から九州まで広く分布している。 日本以外では、朝鮮半島や中国北部に生息している。 体長は60mmほどで、セミの中では珍しく、不透明な褐色の翅を持つ。 生息域が人里から山地までと範囲が広く、都市部でもよく見かけるセミである。 鳴き声は、「ジッジッ…」と鳴き始めて、「ジジジ…」と鳴き、「ジッジッ…」と鳴き終わる。
2023/7/25
第3湿原から第2湿原へ戻る途中、遊歩道脇でアブラゼミの抜け殻を見つけました。 触角第3節の長さが第2節の1.5倍ほどあるので、アブラゼミの抜け殻と判断しました。 なお、湿原にいる時刻の関係か、セミの季節に何度も来ていますが、鳴き声は聞いたことがありません。 しかし、抜け殻があるということは、この周辺にいることは間違いはないでしょう。 ※ 抜け殻の見分け方については、「セミの抜け殻と鳴き声、羽化の様子」を参照ください。 ![]() 2023/8/5 第2湿原の獣害防止ゲートを入った所で、アブラゼミが飛び立ちました。 飛び立つときに鳴かなかったので、おそらくメスと思われます。 ここで見た初めての羽化したセミですが、この個体は左の前翅を損傷しているようです。 | ||||||
ミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・ セミ科・セミ亜科・ミンミンゼミ族・ミンミンゼミ属> ![]() ![]() 日本では、北海道南部から本州、四国、九州まで分布している。 日本以外では、朝鮮半島や中国華北に生息している。 体長は35mm程で、翅を含めるとアブラゼミとあまり変わらない。 体色は胸部と腹部の境界付近が白く、他は黒地に青緑色の斑紋がある。 なお、黒色部がほとんどない青緑色主体の個体は、ミカドミンミンと呼ばれる。 その抜け殻は、アブラゼミによく似ているが、触角の違いから判別できる。 なお、鳴き声は、「ミ〜ンミンミンミンミ〜」と長く尾を引くように繰り返す。
2023/7/25
第3湿原から第2湿原へ戻る途中、遊歩道脇でミンミンゼミの抜け殻を見つけました。 触角第3節の長さが第2節とほぼ同長(若干長いか)なので、ミンミンゼミの抜け殻と判断しました。 なお、湿原にいる時刻の関係か、セミの季節に何度も来ていますが、鳴き声は聞いたことがありません。 しかし、抜け殻があるということは、この周辺にいることは間違いはないでしょう。 ※ 抜け殻の見分け方については、「セミの抜け殻と鳴き声、羽化の様子」を参照ください。 余談ですが、関西のこの辺りでは平地はクマゼミ、山地はミンミンゼミと棲み分けています。 そのため、この辺りにはクマゼミはおらず、ミンミンゼミが多いものと思われます。 しかし、関東では平地にミンミンゼミは普通で、近年、クマゼミの声も聞くことが多くなりました。 | ||||||
ニイニイゼミ(Platypleura kaempferi)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・ セミ科・セミ亜科・ニイニイゼミ族・ニイニイゼミ属> ![]() ![]() 日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄本島以北の南西諸島に分布している。 日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 成虫の体長は20mmほどで、明るいうちはほぼ1日中鳴いている。 セミの中では、発生は早い方で、6月下旬くらいから鳴きはじめる。 体色は、灰褐色で、前羽も褐色のまだら模様になっており、木の幹では保護色となっている。 幼虫は、湿気の多い土壌でないと生存できないので、都市部の乾燥地では少ない。 その抜け殻は、小さくてずんぐりとしており、殻に泥が付いているので、区別は容易。 なお、鳴き声は、「チ〜ジ〜〜」と長く尾を引くように繰り返し、最後は「チッチッ…」で終わる。
2023/7/25
第1湿原脇の遊歩道で、草の茎に抱きついたニイニイゼミの抜け殻を見つけました。 ニイニイゼミの抜け殻は、その小ささもですが、全体に土がこびりついているのが特徴です。 | ||||||
ツマグロオオヨコバイ(Bothrogonia ferruginea)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・ツノゼミ上科・ヨコバイ科・オオヨコバイ亜科>
![]() ![]() ヨコバイ科オオヨコバイ亜科の1種で、在来種。出現時期は3月〜11月。 日本では、本州以南に広く分布し、春先から秋まで活動している。 体長は13mm前後で、黄緑色に頭部と胸部に黒班があり、翅端が黒くなっている。 良く似た配色のツマグロヨコバイとは大きさが倍くらい異なる。 また、ツマグロヨコバイは稲の大害虫であるが、本種は雑草の吸汁が主で、あまり害にはならない。 草の茎に針状の口を刺して、おしっこを出しながら果てしなく吸汁し続ける。 また、飛び立ったとき、お腹が満タンだと、セミのように「空中おしっこ」をする。 なお、ヨコバイの名は、危険を察知すると横に歩き、裏に回り込んで身を隠すことに由来する。 本種は、成虫で越冬する。
2022/8/27
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、ツマグロオオヨコバイを見かけました。 大型のヨコバイですが、主に雑草から吸汁するので、イネなどへ害を与えることはありません。 | ||||||
アオバハゴロモ(Geisha distinctissima)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・アオバハゴロモ科・アオバハゴロモ属>
![]() ![]() アオバハゴロモ科アオバハゴロモ属の昆虫で、在来種。 日本では、本州以南に広く分布し、海外では、台湾や中国に分布している。 成虫の体長は、翅も含めると10mmほどで、羽も含めて淡緑色。翅にピンクの縁取りがある。 幼虫は、翅がない事を除けば、成虫と同じ姿をしている。 しかし、尾端から分泌する蝋物質のために白い綿に包まれたように見え、成虫と全く異なって見える。
2023/7/18
網引湿原の駐車場から少し進んだ所で、サルトリイバラに付くアオバハゴロモを見つけました。 近くにはアオバハゴロモの幼虫(白い綿に包まれている)が、数匹見られました。 白い綿毛に包まれたモフモフの幼虫を見るのは、ずいぶんと久しぶりな気がします。 | ||||||
ベッコウハゴロモ(Orosanga japonicus)
<カメムシ目・頸吻亜目・ハゴロモ型下目・ハゴロモ上科・ハゴロモ科・Orosanga属>
![]() ![]() ハゴロモ科の1種で、在来種。 日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布し、平地から低山地で普通に見られる。 海外では、台湾に分布する。 全長9〜11oで、茶褐色の地に白い2本の帯模様があり、翅の後方に一対の黒紋がある。 出現時期は7月〜9月で、成虫も幼虫も、カンキツ類、マメ科植物、一般広葉樹に寄生し、吸汁する。 幼虫は腹部先端から糸状の淡黄色のロウ質物を分泌し、クジャクの翅のように大きく開く。
2023/7/25
網引湿原の駐車場近くで、葉の上にいるベッコウハゴロモに気が付きました。 カンキツ類やマメ科植物などから吸汁しますが、農業害虫としては、さほど問題にはなりません。 ただ、最近、見た目のよく似た外来種(Pochazia shantungensis/和名なし)が、問題になっています。 お隣の韓国やトルコ、南フランスの果樹園で猛威を振るっているようです。 実家近くでもよく見かけるようになっていて、かなり繁殖しているようです。 |