ホーム旅の見聞録網引湿原>やっとノギランの花を見られました


網引(あびき)湿原
…… やっとノギランの花を見られました ……
[2023/7/18,7/25]




実家でWebを見ていた時、比較的近くに県内有数の湿原があることに気が付きました。
加西市網引町にある滲水湿原で、奥池を挟んで2700uの広さがある網引湿原です。
貴重なサギソウやムラサキミミカグサ等の植物やヒメヒカゲやヒメタイコウチが生息しています。
そのため、2020年(令和2年)3月13日に天然記念物として県指定文化財に指定されています。
奥池などの周辺環境も含めた361,828uが指定範囲となっています。


<網引湿原への入口にある看板群で、この右手が駐車スペース>
インデックス
2023/7/18 ノギランの花とタイワンウチワヤンマに出会えました
2023/7/25 ウチワヤンマとタイワンウチワヤンマを確認できました



… ノギランの花とタイワンウチワヤンマに出会えました …
<2023/7/18>

ノギランは、開花前と花後しか見ておらず、そろそろ開花時期だろうと出かけました。
サギソウの開花時期ではないので、人はいないだろうと思っていましたが、やはり誰もいませんでした。
さっそく、長靴に履き替えてバイオトイレの所まで行くと、除草機器などが置きっぱなしでした。
途中、車の中から道路を歩いている方を見かけたのですが、休憩に自宅に戻られたようです。
今日の暑さも半端ではないので畑仕事はかなりの重労働、夕方までこのままかもしれませんね。
第1獣害防止ゲートに着くまでに、萎んだユウスゲや褐色の小花を付けたつる植物などを撮影。
靴底の洗い場の手前で、目的のノギランの花に会うことができました。
その後、第1湿原に入りましたが、結実したカキランが見られた程度でした。
奥池の畔では、トウカイコモウセンゴケがたくさん花を咲かせていました。
その湖畔で多くのノギランが花を咲かせていました。水際にはユウスゲが点々と花茎を伸ばしています。
そのユウスゲに大型のトンボが止まっていて、腹端に団扇状の張り出しがあり、ウチワヤンマのようです。
※ 後で調べていて、団扇状の張り出しに黄斑が見られないのはタイワンウチワヤンマと判明しました。
第2湿原に入った所で、地面にチョウトンボが止まっているように見えましたが、死骸でした。
既に翅以外の部分は、アリが持ち帰ったようで、胸や腹部はほとんど残っていませんでした。
第2湿原ではハッチョウトンボやマユタテアカネが見られ、シオヤアブの求愛行動に出くわしました。
引き返す途中、奥池や第1湿原に反った遊歩道でキンモンガ等に会うことができました。



駐車場に到着したのは10:30頃で、さっそく長靴に履き替えて出発。


<ユウスゲ>

<カモメヅル属の1種>
歩きはじめて直ぐに、左手の柵から花茎を伸ばしたユウスゲが見えました。
朝まで咲いていたのでしょう。真新しい萎んだ花が付いていました。
夕方に咲いて、朝には萎んでしまう1日花なので、花を見るには夜討ち朝駆けが必要ですね。
その直ぐ近くにつる植物が絡まっていたのですが、小さな赤紫色の花が葉腋に付いていました。
見たことがない花で、調べるとカモメヅル属の花と分かりましたが、種名までは分かりませんでした。


 <アオバハゴロモ>          <アオバハゴロモの幼虫>
さらに少し歩いた所で、サルトリイバラの茎にアオバハゴロモが止まっていました。
よく見ると、その周囲には幼虫が何匹も付いていました。幼虫を見るのは久しぶりです。


<アカガネコハナバチ>
セリの花に小さなハチが訪花していました。拡大して、アカガネコハナバチと分かりました。
体色が金属光沢のある赤銅色なのが和名の由来で、久しぶりの再会となりました。

バイオトイレで用を済ませてと思って、バイオトイレの行くと農機具や水筒などが置きっぱなしです。
来る途中、車の中から道路を歩いている方を見かけましたが、暑くて休憩に自宅に戻られたようです。
直ぐ横の畑の草刈りなどの畑仕事をされていたようで、重労働なので夕方までこのままかも。

 
<ノギラン>
第1獣害防止ゲートを通った先の林の中で、お目当てのノギランの花に出会いました。
花序は延びていましたが、開花しているのは下部のみなので、咲き始めて間もないようです。


<コガネグモ♀>
靴底の洗い場で泥などをよく洗い流して第1湿原に向かいました。
入口手前に差し掛かった時、網の所に巨大な腹部のコガネグモが巣を作っていました。
実家の庭で見たものも大きいと思いましたが、それより二回りは大きな腹部です。

 
<カキランの果実>
第1湿原に11:00到着。中では、特に咲いている花は見られませんでした。
花ではありませんが、所々でカキランが大きくなった果実をたくさん付けていました。


<コシロカネグモ♀>
湿原内では、コシロカネグモがあちらこちらで水平な円網を張っていました。
比較的見やすい位置のものを探して撮ったのが上記の写真です。
腹部背面が白に近い白銀色で、中央と左右に褐色の縦条があり、あまり明瞭ではありません。
しかし、刺激を与えると3本の縦条が太く明瞭になって、よく見えるようになります。


<トノサマガエル♀>
奥池には11:05に到着。奥池の水位がかなり高くなっていました。
その畔を歩いていると、足元から大きなカエルが飛び出してきました。
トノサマガエルっぽいのですが、緑色に見える部分がなく、後で調べるとメスだと分かりました。
私のイメージとしては、体色に緑色が入っていたのですが、それはオスの特徴とのこと。
たしかに、田んぼで鳴いているのは縄張りを持ったオスで、それがイメージとして残っていたんですね。
背面中央の線条は、オスでは緑色で、メスでは淡黄色になるようです。

 
<トウカイコモウセンゴケ>
 
<ノギランの群生>
奥池の畔に差し掛かった所で、5月に見かけたトウカイコモウセンゴケが多くの花を付けていました。
5月に見かけたときには、まさに咲き始めたばかりでしたが、今は花の盛りといったところです。
奥池の中ほどを過ぎた辺りで、ノギランが群生している所がありました。
ここのノギランは、陽当たりが良いためか、分枝が多くてたくさんの花序が見られました。


         <ユウスゲの群生>             <タイワンウチワヤンマ>
一方、奥池の縁に沿ってユウスゲがポツリポツリと花序を立ち上げていました。
以前見たときは、水際に沿ってユウスゲが並ぶようにして生えていました。
しかし、今は奥池も水かさが増して、ユウスゲは水中に没し、そこから花序を立ち上げています。
そのユウスゲの1本にトンボが止まっていました。尾端の方に大きく丸い張り出しが見えます。
その形状からウチワヤンマだろうと思ったのですが、後で調べて、タイワンウチワヤンマとしました。
ウチワヤンマの団扇状の張り出しは内側が黄色いのですが、それが見えないのが判断理由です。


<チョウトンボの死骸>
11:15に第2湿原に到着。入って直ぐの所で、地面にチョウトンボが止まって見えました。
こんな所に止まっているのかとよく見ると、死んでいるようでした。
近づいてみると、アリが多数集っていて、既に翅以外の部分はほとんどありませんでした。


<ハッチョウトンボ♂>         <ハッチョウトンボ♀>

<マユタテアカネ♀>

<ヒメアカネ♀>
第2湿原の右手奥では、ハッチョウトンボの雌雄が羽を休めていました。
5月に来た時は、ハッチョウトンボが飛び始めたばかりの頃でしたので、初々しい個体が見られました。
この時期になると成熟した個体ばかりで、ハッチョウトンボの特徴がよく出ています。
左手の林縁辺りでは、マユタテアカネの羽化したばかりと思われる、きれいな個体が飛び交っていました。
そこにヒメアカネの羽化して間もない個体も混じっていて、ちょっと見では識別できませんでした。
後で、写真を拡大して眉班の有無を確認し、判別しましたが、写っていたのはメスばかりでした。


<ヒメヤブラン>               <ミカヅキグサ>

  <モウセンゴケ>             <ホザキノミミカキグサ>
湿原に入る木道の手前で、ヒメヤブランが群生していて、淡紫色の花を咲かせていました。
木道脇ではミカヅキグサが開花していて、先から出ている黄色いものは葯と思われます。
ハッチョウトンボが居た辺りで、モウセンゴケの白い花が1個、かろうじて見られました。
サソリ型花序は伸びきって、最後に近い花が開花しているようです。
その周りで小さな淡赤紫色の花を咲かせていたのが、ホザキノミミカキグサでした。
モウセンゴケの花期が終わりに近いのに対して、こちらはこれから咲き始めるので勢いがあります。


<イソノキ>
昨秋に訪れた際に見かけた、真っ黒に熟したイソノキの果実ですが、その若い果実と花です。
一見すると、まだツボミで咲いているように見えませんが、花はこれが開花状態で、ほとんど開きません。


<シオヤアブ♀>               <シオヤアブ♂>

<求愛行動中のシオヤアブ♂>
第3湿原の奥の方で、シオヤアブのメスを見かけたので写真を撮ろうとしたのですが、逃げられました。
少し先の方で、このシオヤアブのメスが葉に止まっていましたので、その写真を撮っていました。
近づくと逃げるので、また、追いかけるを繰り返していたとき、近くでブーンと大きな羽音が聞こえました。
その方向を見ると、シオヤアブのオスがメスから少し離れてほぼリングしているところでした。
シオヤアブのホバリングなんて聞いたことがなかったのですが、どうやら求愛行動のようです。
しばらくホバリングしていたのですが、メスから数十cmの所に止まって、様子をうかがっていました。
迂闊に近づくと、メスの餌にされてしまうため、オスも慎重になっているようです。
その後の様子を見たかったのですが、双方とも動きがないまま時間が過ぎていきます。
残念ながら、時間の関係で後ろ髪を引かれながら、その場を後にしました。


<クロツヤミノガ>            <コチャバネセセリ>
第3湿原の遊歩道を歩いていて、ロープにぶら下がっているクロツヤミノガを見つけました。
子供の頃には良く見かけたものですが、最近は見たことがなく、ずいぶん久しぶりになります。
オオミノガの蓑と比べると、細かい葉を使っているのですっきりと細身なのが特徴です。
少し先で、コチャバネセセリが遊歩道脇に止まっているのが見えました。
珍しいチョウではありませんが、この網引湿原で見かけたのは初めてです。


<ササキリの幼虫♀>
11:36に第1湿原を後にして奥池の所まで戻ったとき、ノギランに何かついていました。
近づいてよく見ると、それはササキリの幼虫でした。独特の色合いをしていて、直ぐに分かります。
この幼虫に初めて会ったのは、会社のボランティアで谷津田の米作りに参加した時なので、9年ぶりです。


<アカサシガメ>               <キンモンガ>
第1湿原近くまで戻ってきたとき、何か赤い物が目の前を横切っていきます。
虫屋の本能でしょうか、思わず手で叩き落としていました。
※ 皆さん真似はしないでくださいね。やばい虫だと後が大変です。
落ちた辺りを探すと、真っ赤なカメムシが枯草の上に止まっていました。
それを見て、最初に浮かんだのは脱皮直後のヨコヅナサシガメ(しばらく真っ赤です)です。
しかし、体が固まる前に飛翔するとは思えません。後で調べてアカサシガメと分かりました。
普通に見られるそうですが、私は初見で、ここまで真っ赤なカメムシが居るとは思いませんでした。
第1湿原の脇の遊歩道を歩いているとき、キンモンガがヒラヒラと飛んできました。
黒地に黄色い斑紋が印象的な昼行性の蛾で、飛んでいたらかなり目を引きます。
この蛾を最初に見たのは新潟県胎内市で行われる星まつり会場で、5年ぶりの再会です。


<リョウブ>
奥池の第1湿原近くで、非常の多くの白い花を付けた樹を見かけました。
その花に引かれて、ハナカミキリの仲間と思しき甲虫が、何匹か飛翔しているのが見えました。
写真を撮りたかったのですが、高い所ばかりにいて下の方には降りてきませんでした。
後で調べてリョウブの花と分かりました。この樹も新潟県胎内市で見たのが初めてです。
これでキンモンガを胎内市とここで見た理由が分かりました。食草がリョウブだったのです。
つまり、幼虫がこのリョウブの葉を食べて育ち、成虫もこのリョウブに産卵するということです。


<チョウトンボ>
12:00に第1獣害防止ゲートを出て、網引湿原を後にしました。
駐車場に戻る途中、頭上をヒラヒラ飛ぶチョウトンボを見かけました。
止まったのが樹上の枝で、下から見上げるような角度でしか写真が撮れません。
しばらく粘ったのですが、止まるのが高い枝ばかりで下の方に下りてきませんでした。

タイムアップで、駐車場に戻ったのが12:15でした。
車のエアコンを付け、サウナ状態の車内が少し落ち着くのを待って、帰路につきました。
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… ウチワヤンマとタイワンウチワヤンマを確認できました …
<2023/7/25>

前回見かけたタイワンウチワヤンマですが、自信が持てず、再確認することにしました。
1週間後に再訪したのですが、今回も時期外れということもあり、駐車場は空いていました。
目的は、タイワンウチワヤンマの確認ですので、さっそく支度をして出発です。
この辺りは、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボなどが多く飛び交っています。
さっそく、第1獣害防止ゲートの手前でウチワヤンマ亜科に遭遇。
確認すると団扇状の部分に黄色い斑紋があり、副性器がないので、ウチワヤンマのメスと分かりました。
やはり、先週見かけたのはウチワヤンマだったんだろうかと思えてきました。
確認を終えて歩き出そうとしたとき、目の前をハラビロトンボのメスが横切って、枝先に止まりました。
第1獣害防止ゲートを通って靴底の洗い場へ直行し、第1湿原には入らずに奥池に向かいました。
奥池の畔で咲いていたトウカイモウセンゴケもほぼ咲き終わりで、ツボミを数個を残すのみです。
一方、アキノタムラソウは咲き始めて間もないようで、伸び盛りといったところでした。
肝心のウチワヤンマはと探したのですが、このときには見つけられませんでした。
ではと、第2湿原へ向かい、中に入った所で連結したオオシオカラトンボを見かけました。
写真を撮っていると、突然連結を解き、メスが打水産卵を始めました。
動きが早いのに加え、周りの草葉が邪魔をして、産卵の瞬間をなかなか捉えられませんでした。
第2湿原を後にして、奥池まで戻ってくると、居ました。前と同じ所にウチワヤンマ亜科が。
しかし、向きが悪くて団扇状の部分が良く見えません。待っていると向きを変えてくれました。
そして、団扇状の部分に黄斑がないことを確認でき、タイワンウチワヤンマと確信できました。
第1獣害防止ゲートを出た所で、左手にある小川(?)で小さな生物が動き回っているのが見えました。
道具類を持っていなかったので、上から水面越しに撮ることしかできませんでしたが、
写真を拡大するとエビのように見えたので、調べてみるとヌマエビの仲間らしいことが分かりました。
バイオトイレ辺りまで来た時、チョウトンボが放棄地をヒラヒラと飛び回っているのが見えました。
前回は高い梢にしか止まってくれなかったのですが、今回は背丈ほどの所に止まってくれました。



駐車場に到着したのは10:45頃で、さっそく長靴に履き替えて出発。
バイオトイレで用を済ませ、第1獣害防止ゲートに向かいます。
この辺りは、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボなどが多く飛び交っています。


<ウチワヤンマ♀>             <ハラビロトンボ♀>
と、放棄地の中で、オオアレチノギクの先に止まっているウチワヤンマ亜科を発見。時刻は11:05。
そっと近づいてズームを300mmにして撮影し、団扇部分を確認。
団扇部分に黄色い斑紋があり、副性器がないので、ウチワヤンマのメスと分かりました。
やはり、先週見かけたのはウチワヤンマだったんだろうかと疑心暗鬼になってきました。
確認を終えて歩き出そうとしたら、目の前をハラビロトンボのメスが通り過ぎて、枝先に止まりました。
かなり近くに止まり、逃げることもなかったので、これも目一杯アップにして撮影。


<ヤマキマダラヒカゲ>               <キンモンガ>      .
第1獣害防止ゲートを入り、靴底の洗い場へ直行。第1湿原には入らず、脇の遊歩道を進みます。
すると、足元から大きめの蝶が飛び出してきました。ヤマキマダラヒカゲです。
さらに進むと、コシダの葉に止まるキンモンガが居ました。近くに食草のリョウブの樹が数本あります。


<トウカイコモウセンゴケ>               <アキノタムラソウ> .
奥池に11:25に到着。ウチワヤンマが居ないか注意しながら進みましたが、見つけられませんでした。
奥池の畔で咲いていたトウカイモウセンゴケはほぼ咲き終わりで、ツボミを数個を残すのみでした。
一方、アキノタムラソウは咲き始めて間もないようで、伸び盛りといったところです。


<ササキリの幼虫♂>
奥池の畔で、前回同様にササキリの幼虫に出会いました。
後で写真を見て気付いたのですが、今回の幼虫はオスで、前回の幼虫はメスでした。


<ヒメドコロ/雄株>
第2湿原には11:35に到着。獣害防止ゲートを入って直ぐの所でヒメドコロが咲いていました。
以前からオニドコロではないかと思っていたのですが、それにしては小さいという印象でした。
花を手掛かりに調べてみると、オニドコロを小さくしたようなヒメドコロ(雄株)と分かりました。
オニドコロの根茎は苦くて食用にはなりませんが、ヒメドコロの根茎は食べることができるようです。


<コシロカネグモ>

<ワキグロサツマノミダマシ♀>            <ワキグロサツマノミダマシ♂>

<アシナガグモ♀>
 
<アシナガグモ 幼体>
さて、今回目に付いたのは、遊歩道脇や遊歩道を跨ぐように張られたクモの巣がやたら多い事。
ナガコガネグモが多かったのですが、普段見る事がない上記のようなクモたちが居ました。
コシロカネグモは、比較的多くて、水面近くに水平円網を張るため、なかなか背面を見せません。
遊歩道に延びていた巣を私が引っかけてしまったので、切れた巣にぶら下がった所で撮れました。
背面の暗褐色の模様が、巣が壊されて興奮し、太くなってしまっています。
ワキグロサツマノミダマシも何ヶ所かで見かけましたが、見た目が微妙に異なります。
後で調べてみると、オスとメスが混ざっていたようで、整理したのが上記の写真です。
オスは、頭胸部に対して腹部が小さく、背面の緑色の周囲の白色部に長毛が一列に生えています。
アシナガグモは比較的広範囲に生息しているクモで、大きな上顎の鋭い牙が特徴です。
昼間は、長い前脚を前に、後脚を後ろに真っ直ぐ伸ばして、茎などと同化していることが多いそう。
大きな上顎の鋭い牙が特徴ですが、幼体では未発達で、写真のように牙は見えません。



<アシナガグモの交接>
第2湿原の木道脇で、アシナガグモが上顎の鋭い牙を絡ませて、取っ組み合いをしていました。
撮影をしていると、突然絡ませた牙を外して、小さい方がそそくさと行ってしまいました。
写真を調べていて、大きい方はアシナガグモのメス、小さい方はアシナガグモのオスと判明。
縄張り争いだと思っていたのですが、雌雄が交接するとき、このような体勢をとることが分かりました。


<オオシオカラトンボの連結飛行>     <オオシオカラトンボの打水産卵>
第2湿原の木道の奥で、オオシオカラトンボが連結飛行していました。
その写真を撮っていると、突然連結を解き、メスが打水産卵を始めました。
そのメスが産卵中、オスは直ぐ近くを付かず離れず警戒飛行していました。
産卵の動きが早いうえ、草が邪魔して、なかなか撮れなかったのですが、何とか1ショット撮れました。


<ニホンカナヘビ>
第2湿原の遊歩道脇で、ニホンカナヘビが葉の上で、じっとこちらの様子をうかがっていました。
近づいても逃げなかったので、かなり接近して写真を撮ることができました。


<コツクバネウツギ>

<ツクバネウツギ>
第3湿原の奥の方では、ツクバネウツギとコツクバネウツギの残った萼片が花弁のようになっていました。
コツクバネウツギの萼片には、緑色のものと赤味を帯びたものがあり、直ぐ近くに並んでいました。
ツクバネウツギの萼片は赤褐色を帯びて5個あり、コツクバネウツギの2〜3個より多いので識別は容易です。
なお、この萼片の後にある花柄のような細い棒状のものは痩果です。

 
<アオメアブ>
第2湿原で、遊歩道脇のロープの支柱に止まるアオメアブを見つけました。
本州以南で普通に見られるムシヒキアブですが、実家近くでは初めて見ました。
黄褐色の体色に、緑色に輝く眼が印象的なムシヒキアブです。


<ニイニイゼミ>         <アブラゼミ>         <ミンミンゼミ>
第2、第3湿原を散策中、遊歩道近くで見つけたセミの抜け殻です。
湿原にいる時刻の関係か、セミの季節に何度も来ていますが、鳴き声は聞いたことがありません。
しかし、抜け殻があるということは、この周辺にいることは間違いはないでしょう。
ちなみに、関東では平地でミンミンゼミの声を聞くのは普通の事です。たまにクマゼミも鳴いています。
しかし、関西のこの辺りでは平地はクマゼミ、山地はミンミンゼミと棲み分けています。
そのため山地になるこの辺りでは、クマゼミはほとんどいないでしょう。
※ 抜け殻の見分け方に関しては、「セミの抜け殻と鳴き声、羽化の様子」に記載しています。


<ウチワヤンマ♂>
第2湿原の入口に戻ってきたとき、池に刺さる枝先にウチワヤンマ亜科が止まっているのに気が付きました。
ちょっと遠いのですが、何とか識別可能な写真が撮れ、拡大してウチワヤンマのオスと分かりました。
やはり、タイワンウチワヤンマではなかったのかという疑念が頭をもたげてきます。


<タイワンウチワヤンマ♂>
第2湿原を後にして奥池に着いたのは、12:10。見るとウチワヤンマ亜科が止まっています。
急ぎ撮影したのですが、向きが悪くて団扇状の部分が良く見えません。
ヤキモキしながらしばらく様子を見ていると、向きを変えてくれました。
なんとか団扇状部分が小さめで黄斑がないことが確認でき、タイワンウチワヤンマのオスと分かりました。
これで今回の目的であるタイワンウチワヤンマの生息を確認でき、

<タイワンウチワヤンマ♂>
その後、哨戒飛行後に場所を変えてくれたので、さらに分かり易い写真も撮れました。


<ムネアカオオアリ>
12:18に第1湿原に到着。中には入らず、湿原に沿った遊歩道を進みました。
第1湿原の獣害防止ゲート近くに来た時、足元を何かが小走りに通り過ぎて行きました。
眼で追うと、それは大型のアリ、胸の辺りが赤いので、ムネアカオオアリです。
山地でたまに見かける大型のアリですが、実家近くで見るのは初めてになります。


<ヌマトラノオ>

<ヘラオオバコ>
第1獣害防止ゲートに到着したのは、12:30。
ゲートを出て直ぐの所で見かけたのが、ヌマトラノオとヘラオオバコです。
どちらも他の草に紛れて、ひっそりと咲いていました。
ただ、ヌマトラノオが咲き始めたばかりなのに対して、ヘラオオバコはほぼ咲き終わりでした。


<ヌマエビ科の1種>
第1獣害防止ゲートを出て直ぐ左手にある小川(?)で、小さな生物が動き回っているのが見えました。
道具類を持っていなかったので、上から水面越しに撮ることしかできませんでした。
写真を拡大するとエビのように見えたので、調べてみるとヌマエビの仲間らしいことが分かりました。
大きさからみてカワリヌマエビ属の1種と思われますが、この写真からはそれ以上のことは分かりません。
この不鮮明な写真から種別まで判断するのは無理ですので、ここでは「ヌマエビ科の1種」としました。



<チョウトンボ>
バイオトイレ辺りまで戻ってきたとき、田んぼの縁に止まるチョウトンボを見つけました。
前回は高い梢にしか止まらず、下から見上げるような写真しか撮れなかったのですが、
今日は目線近くの所に止まっていたので、いろいろなポーズを撮ることができました。


<ウチワヤンマ♂>             <ウチワヤンマ♀>

<タイワンウチワヤンマ♂>
最初にウチワヤンマを見かけた放棄地で、また、ウチワヤンマが止まっているのに気が付きました。
撮影して拡大したところ、ウチワヤンマのオスと分かりました(右は最初に撮ったメスの再掲)。
並べてみると、団扇状の部分の大きさや腹部の太さ、副性器の有無と雌雄差が良く分かりますね。
下段にタイワンウチワヤンマのオスも再掲しますが、両者の違いも明瞭です。

駐車場に戻ったのが13:05でした。
今日の目的が達成でき、満足して帰路につきました。
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