ホーム旅の見聞録網引湿原>トキソウとトウカイコモウセンゴケに会えました


網引(あびき)湿原
…… トキソウとトウカイコモウセンゴケに会えました ……
[2023/5/18]




実家でWebを見ていた時、比較的近くに県内有数の湿原があることに気が付きました。
加西市網引町にある滲水湿原で、奥池を挟んで2700uの広さがある網引湿原です。
貴重なサギソウやムラサキミミカグサ等の植物やヒメヒカゲやヒメタイコウチが生息しています。
そのため、2020年(令和2年)3月13日に天然記念物として県指定文化財に指定されています。
奥池などの周辺環境も含めた361,828uが指定範囲となっています。


<網引湿原への入口にある看板群で、この右手が駐車スペース>

昨年、時機を逸して見損ねたトキソウ。下見から2週間経ち、そろそろだろうと訪れることにしました。
平日でしたので、すんなりと到着。駐車場を見ると先客が1台止まっていました。
前回来た時、少し先の畑で、お孫さんと畑の手入れをされていた方が、歩いていかれました。
さっそく、長靴に履き替えて出発し、歩き始めた途端に低空でヘリコプターが通過。
先ほどの方が、バイオトイレの所で一休みされていたので、しばし、畑の事で雑談しました。
2ヶ所の畑を管理されているそうで、今日は天気が良いので草刈りに来たとのことでした。
実家にも小さな畑はありますが、雑草の手入れは大変で、この広さだと大仕事なのが良く分かります。
そんなこんなで、第1獣害防止ゲートを通過するのが遅くなってしまいました。
その先の林内では、2週間前には花茎を伸ばし始めたばかりだったシライトソウが、花を付けていました。
第1湿原では点々と咲くトキソウが出迎えてくれ、第2湿原ではハッチョウトンボに会えました。
さらに、予定外のトウカイコモウセンゴケの花を、第2湿原と奥池の畔で見ることができました。



駐車場に到着したのは9:50頃で、さっそく長靴に履き替えて出発。
前回来た時、少し先の畑でお孫さんと畑の手入れをされていた方が、先に歩いていかれました。


<朝日航洋 AS350 Ecureuil/AStar JA6513>
10:00 歩きはじめて直ぐに100mほどの低空飛行するヘリコプターが頭上を通過していきました。
前方ののぞき窓の下には車のサイドミラーのようなものが見えます。見えない後方確認用でしょうか。
機体後方には、防振システムのようなものがあり、カメラでも吊り下げるのでしょう。


<スイカズラ/キンギンカ[金銀花]>
ヘリコプターが通過した後、足元の通路脇でスイカズラが花を付けているのに気が付きました。
花の基部にある蜜を吸ったのが名前の由来で、金銀花は花の色に由来する名前です。

先ほどの方が、バイオトイレの側で一休みされていたので、しばし畑の事などで雑談。
今日は天気が良いので、畑の草刈りに来たけれど畑が広いので大変だとのこと。


<ニホンアカガエルの幼体>
10:25 トイレで用を済ませて出てきた所で、足元を小さなカエルがピョンピョン飛んでいきます。
カメラを近づけると逃げてしまうので、しばらくカエルとの追いかけっこです。
何とか撮影できましたが、個体によって色味や模様が異なるのは個体差でしょうか。
背中の左右にある黄色い筋が、真っ直ぐ平行に通っているので、ニホンアカガエルの幼体と思われます。


<ハラビロトンボ>             <白花のユウゲショウ>   .
第1獣害防止ゲートの手前では、ハラビロトンボのオスが縄張り争いでバトルしていました。
2週間前に来た時は成熟初期で、全身ほぼ真っ黒でしたが、腹部に白い粉が吹いてきていました。
その時に見かけた白いユウゲショウも健在で、直ぐそばには淡紅紫色の普通のものも見られました。

そんなこんなで、第1獣害防止ゲートを通過するのが遅くなってしまいました。
このとき、後から来られたご夫婦と一緒になりました。私同様、御主人が写真を撮られるようです。
その後、直ぐにもう1組の御夫婦が入ってこられ、一気に人が増えました。


<シライトソウ>
10:30 2週間前は花茎を伸ばし始めたばかりだったシライトソウが、林内で咲いていました。
よく見ると林の奥の方にはかなりの数のシライトソウが白い花序を伸ばし始めていました。
昨年見たシライトソウは十分に花序が伸びた状態でしたが、今は伸び始めなのでより白く見えます。


 <ウバタマコメツキ>            <ヒゲナガハナノミ♀>
第1湿原の獣害防止ゲートの手前で、目の前に何か甲虫が飛んできたので、思わず手で払い落しました。
落ちたものを見ると、かなり大きなコメツキムシでした。サビキコリに似ていますが、色が黒いです。
後で調べて、ウバタマコメツキと分かりましたが、小学生の頃に見て以来の再会でした。
第1湿原に入って直ぐの所で、黒っぽい小さな甲虫を見かけ、写真に撮りました。
ゴミムシの仲間だと思っていたのですが、ずんぐりして、触角が細長く、先端が白いです。
ゴミムシの仲間を調べても似たものはいません。範囲を広げて調べても似たものは見つかりません。
この後、第2湿原で出会ったヒゲナガハナノミを調べていて、そのメスだと気が付きました。



<トキソウ>
10:40 第1湿原に入ると、たくさんの白っぽい点々が目に入ってきました。
遠目で草陰に点々と見える白い物ですが、近づくと朱鷺色がはっきりして、トキソウだと分かりました。
時期的には少し早かったのですが、今年は暑いからか、かなりの数が咲いていました。


<トウカイコモウセンゴケ>

<花後のショウジョウバカマ>
10:50 奥池に差し掛かった所で、遊歩道脇で赤っぽい葉のモウセンゴケに気が付きました。
葉の基部近くまで赤色の長い腺毛が付き、葉身と葉柄の境界がはっきりしていません。
この点から、昨年は見ることが出来なかったトウカイコモウセンゴケだと分かりました。
見づらいのですが、花茎が立ち上がり始めていて、開花もそう遠くないと思いました。
実は、この少し先の方で、戻るときに花を確認しています。みんな同じだろうと見過ごしていました。
さて、さらに先に進むと妙な花のようなものが目に留まりました。
よく見ると、それはショウジョウバカマの果実が弾けて、種子を散布した後でした(下段左端)。
直ぐ近くには、果実が口を開け、中の種子が見えているものが見られました。


<トキソウの群落>
10:58 第2湿原に到着。入り口近くでは、かなりの数のトキソウが見られました。


 <未熟なハッチョウトンボ♂>        <成熟したハッチョウトンボ♂>

<ハッチョウトンボ♀>
第2湿原の先の方で、先ほどの御夫婦が盛んにシャッターを切っておられました。
聞くと、既にハッチョウトンボが飛び始めているとの事。たしかに、近くに数匹が止まっていました。
既に成熟して赤くなったものも見られ、メスも含めて、いろいろなものが見られました。


<トウカイコモウセンゴケ>

<モウセンゴケ>
奥様が、少し離れた所で咲く赤紫色の花を見つけられて、トウカイコモウセンゴケではとのこと。
手持ちのズームを300mmにして撮って拡大すると、たしかにトウカイコモウセンゴケの花と分かりました。
昨年は、この辺りで見られたのは白い花のモウセンゴケばかりだったので、初見となります。
葉が見えないかと周り込んで横から撮りましたが、草に隠れて確認はできませんでした。
ちなみに、上段の写真で横や手前に見えている柄の長い葉はモウセンゴケだと思います。
下段は、直ぐ近くで見られたモウセンゴケで、こちらも花茎が伸びてきています。

一通り撮影が終わったので、第3湿原の方まで一回りしてきました。
前回見られた、キンランやヒメハギなどは、既に花期が終わっていて見られませんでした。


  <タベサナエ>            <ヒゲナガハナノミ♂>
第3湿原の端の方からの戻り、通路脇に止まるタベサナエやヒゲナガハナノミのオスを見かけました。
ヒゲナガハナノミのオスは立派な櫛状の触角が特徴で、比較的簡単に調べがつきました。
これを調べていて、しばらく不明種であった第1湿原で見かけた黒い甲虫の正体が判明しました。
ヒゲナガハナノミのメスだったんです。雌雄でこれほど見た目が異なると、同一種とは気が付きません。



<トウカイコモウセンゴケ>
11:40 第2湿原を出て奥池の畔にくると、先ほどの奥様がご主人を待っていました。
トウカイコモウセンゴケの花を見つけられたそうで、御主人が撮影された後、撮らせてもらいました(上段)。
後で気が付いたのですが、花の咲いたトウカイコモウセンゴケの手前に緑色の個体が見えていました。
下段左がその写真ですが、葉も緑色ですが、赤い腺毛も緑色なので、葉全体が緑色に見えます。
日影で育つとこのような緑色になるそうで、撮影のために枯葉などを除いたので、見えるようになったようです。
下段右は、直ぐ近くで群生していたものですが、花茎がかなり伸びていて、もうすぐ咲きそうです。
このさらに先の方で、来るときに見つけたトウカイコモウセンゴケが群生しています。

第1湿原はパスして、第1獣害防止ゲートに戻ってきたのが、12:03でした。
駐車場に向かっているとき、行くときにお会いした方も草刈りが終わって、後処理をされていました。
御挨拶をして、駐車場に着いたのは12:6で、13時前には実家に戻れそうです。

ページトップへ戻る
網引湿原へ戻る
旅の見聞録へ戻る
ホームへ戻る








inserted by FC2 system