ペンション周りで見た昆虫
和名インデックス |
ベニシジミ(Lycaena phlaeas)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属> シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。 日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 前翅長は15mm前後で、出現時期は3月〜11月と長い。 前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。 雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。 また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。 夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。 秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。 幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。
2011/7/22
美ヶ原高原の山本小屋ふる里館近くで、ハクサンフウロにベニシジミが給蜜に来ていました。 黒い斑紋が大きく、全体に黒っぽい典型的な夏型です。 前羽の形状が若干違っていますね。丸みのある左がメスで、尖っている右はオスです。 |
モンキチョウ(Colias erate)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ シロチョウ科・モンキチョウ亜科・モンキチョウ属> シロチョウ科モンキチョウ属に属するチョウで、在来種。 ヨーロッパ南東部から、中央アジア、日本や台湾まで分布しており、日本ではほぼ全国でみられる。 日本で見られるのは、亜種(C. e. poliographus Motschulsky)である。 開張は50mm前後、前翅長は23〜26mmで、前翅外縁が黒く、翅の中央には銀色の斑紋がある。 オスの翅の地色は黄色で、雌では黄色と白色の2種類がある。 出現時期は3月〜11月で、年に2回発生する。冬は幼虫で越冬する。 食草は、ムラサキウマゴヤシやクローバーなどのマメ科の植物である。
2011/7/22
ベニシジミを見た所から少し進んだ所で、モンキチョウの求愛現場に遭遇しました。 モンキチョウの場合、黄色っぽい個体はオスのみで、メスには両方の個体がいます。 黄色っぽいオスが、白っぽいメスの前に回り込んでアピールしています。 少し上空に上がった所に、ヒョウモンチョウが乱入し、バラバラになってしまいました。 ヒョウモンチョウのオスは縄張りを持っているので、侵入者として追い払ったのかも知れません。 |
ウラギンヒョウモン(Fabriciana adippe)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・ タテハチョウ科・ドクチョウ亜科・ヒョウモンチョウ族・ウラギンヒョウモン属> タテハチョウ科ドクチョウ亜科ヒョウモンチョウ族に属するチョウの一種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、ヨーロッパから中央アジア、シベリア、中国大陸西部までの温帯域に広く分布する。 夏の草原で見られる一般的な大型ヒョウモンチョウで、後翅裏の銀白色斑が特徴。 なお、オスの前翅表にある黒くて太い2本の黒条は、性標である。 他の多くのヒョウモン類と同じく年一化性で、幼虫で越冬する。 食草は野生スミレ類で、成虫は梅雨明けから晩夏にかけて発生する。
2011/7/22
美ヶ原高原の遊歩道脇に咲くノアザミの花に、ウラギンヒョウモンが訪れていました。 この写真で性別が判断できる個体は、全てオスです。 <性標となる黒条> <銀紋の特徴> . 前翅の表の緑線で囲った部分に、黒くて太い黒条が2本あるのは雄で、これが性標です。 ウラギンヒョウモンに良く似た模様を持つものに、ギンボシヒョウモンがいます。 その違いが良く分かるのが、後翅の銀紋の配列です。 赤線で囲った部分の銀紋は、ウラギンは3個ですが、ギンボシでは2個で中央の銀紋がありません。 青線で囲った部分の銀紋は、ギンボシでは3個ですが、ウラギンは青線がかかっているものも含めて4個あります。 なお、ウラギンの右の2個の銀紋は、黒い線で分断されています。 |
オオチャバネセセリ(Polytremis pellucida)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・セセリチョウ上科・ セセリチョウ科・セセリチョウ亜科・オオチャバネセセリ属> セセリチョウ科オオチャバネセセリ属の蝶で、日本では、ほぼ全国で見られる。 海外では、ロシア沿海地方、サハリンから朝鮮半島、中国、台湾と東アジアに広く分布する。 丘陵地から高山にかけて見られるが、平地の生息数は減少傾向にある。 同じセセリチョウ科のチャバネセセリやイチモンジセセリと良く似ているが、下記で区別可能。 ●オオチャバネセセリ:後翅に上から短−長−長−短−長と白斑が5つ並ぶ ●チャバネセセリ :後翅に小さな白斑が一直線に4つ並ぶ ●イチモンジセセリ :後翅に横長の白斑が一直線に4つ並ぶ
2011/7/22
美ヶ原高原の山本小屋ふる里館近くで、ウツボグサで給蜜中のオオチャバネセセリを見かけました。 最初、イチモンジセセリではと思ったのですが、後翅の白斑の凸凹と並んでいるので、本種と分かりました。 |
アキアカネ(Sympetrum frequens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属> 2011/7/22 2011/7/23
日本の固有種で、極東アジアからヨーロッパにかけては、近縁種のタイリクアキアカネが分布する。
ナツアカネと異なり、夏には平地から高地に移動し、秋に成熟して平地に戻ってくる。 夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。 特にオスは赤くなるが、ナツアカネと異なり、胸や頭部までは赤くならない。
7/22 美ヶ原高原の山本小屋ふる里館近くで見かけました。
止まっているのは、花後のテガタチドリの花茎と思われます。 7/23 早朝、王ヶ鼻に出かけた帰り道、木の枝でじっとしているのを見かけました。 雲海から登ってきた雲に覆われていたためか、翅に水滴がびっしりとついています。 この水滴が乾くまで、飛ぶのは難しいのではと思います。 |
セマダラハナバエ(Graphomyia maculata Secopli)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・イエバエ上科・イエバエ科> 大型のイエバエで、胸部の地色は灰黄色に5本の明瞭な黒い縦筋がみられる。 なお、メスでは、模様の灰黄色部分が広い。 日本では、全国に分布しており、花や動物の糞などに集まる。
2011/7/22
イブキトラノオを撮っていると、セマダラハナバエ(セマダライエバエ)が止まりました。 美ヶ原高原は、牛の放牧が行われており、あちらこちらに糞があるので、ハエもいるのでしょう。 |
ナミハナアブ(Eristalis tenax)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>
日本では、北海道から本州、四国、九州~南西諸島まで全国に広く分布する。 幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まる。 幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。 成虫で越冬し、冬でも暖かい日には飛び回る。 全体は黒色で、灰黄色粉と淡い黄褐色毛で覆われている。 毛に花粉を付けて飛び回るため、花粉媒介者として広く知られる。 腹部前寄りに橙色の大きな三角斑があり、胸部背面には模様があるが、シマハナアブ程明瞭ではない。 また、翅の中央付近が褐色をしている。
2011/7/22
アルプス展望コースで、コウリンカで食事中のナミハナアブを見つけました。 美ヶ原高原で見かけた唯一のハナアブです。 |
ムナグロチビドロバチ(Stenodynerus tokyanus)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・ドロバチ科・チビドロバチ属> ドロバチ科・チビドロバチ属のハチで、日本では本州から四国、九州に分布する。 体長は10mm以下で、体色は黒。腹部の第1、第2背板後縁に黄色帯がある。 筒などに泥の仕切りを作って営巣し、幼虫の餌としてガ類の幼虫を狩る。
2011/7/22
ハクサンフウロの写真を撮っていたときに飛んできたハチです。 手前の花にピントを合わせていたので、ちょっとピンボケになっています。 小楯板後方に黄色の部分がある以外、胸部に黄色い部分が見当たらないので、本種としました。 ただ、チビドロバチの仲間は似ている上、ピントも甘いので間違っている可能性はあります。 |
トラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
ミツバチ科マルハナバチ属のハチで、日本では本州から四国、九州に分布する。 世界的には、朝鮮半島、ウスリーに分布する東北アジアの固有種。 他のマルハナバチ同様、林床の地中に営巣する社会性のハナバチ。
2011/7/22
アルプス展望コースで、ノアザミの花で食事中のトラマルハナバチです。 マルハナバチの仲間は、ずんぐりとした体形で、胸部、腹部とも毛が密集しています。 |
クサグモの棚網(Spider web)
クモの作る網にはいろいろな種類がある。 良く知られているのは、コガネグモ科・アシナガグモ科が作る丸い円網です。 しかし、タナグモ科の網は、縦横に張り合わせた糸がシート状になります。 その奥に通路になった巣が続き、網に虫がかかると飛び出してくる。
2011/7/23
朝、王ヶ鼻に出かけた帰り道、草むらに水滴がびっしりと付いた棚網を見かけました。 昼間であれば、見過ごしてしまうと思いますが、水滴のために良く目立ちました。 おそらく、クサグモが作ったものと思われますが、クモの種類までは確認しませんでした。 |