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白神山地で見かけた野草など



青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる標高1,000m級の山地を中心とした、
総面積は13万haに達する白神山地(しらかみさんち)。
林道などの整備がまったく行われず、人の影響をほとんど受けていないブナの原生林。
ここには多くの山野草が残っていそうで、どのような植物に合えるのか楽しみにしていました。
雪解けの後には、多くの山野草が花を咲かせると思いますが、今は夏真っ盛りです。
それでも、暗門の滝への遊歩道では、いろいろな野草などに出会えました。



キク目
キク科・キク亜科(タマブキ)
キク科・タンポポ亜科(コウゾリナ)
キジカクシ目
キジカクシ科(ユキザサ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(シュウメイギク、クサボタン)
シソ目
シソ科(スペアミント、ジャコウソウ)
セリ目
ウコギ科(タラノキ)
ツツジ目
ツリフネソウ科(キツリフネ、ツリフネソウ)
マタタビ科(サルナシ)
ナデシコ目
タデ科(ミズヒキ)
バラ目
イラクサ科(アカソ、ウワバミソウ)
ブドウ目
ブドウ科(ツタ、ノブドウ)
ブナ目
クルミ科(サワグルミ)
ブナ科(ブナ)
マツムシソウ目
レンプクソウ科(ムシカリ)
マメ目
マメ科(エビラフジ)
ユキノシタ目
ユキノシタ科(ダイモンジソウ)
 
ウラボシ目
イノモトソウ科(クジャクシダ)
スギゴケ目
スギゴケ科(コスギゴケ)
アンズタケ目
カノシタ科(カノシタ)
カレエダタケ科(カレエダタケ)
白神山地で見かけた野草など
和名インデックス


タマブキ(Parasenecio farfarifolius var. bulbifer)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・コウモリソウ属>
 
キク科コウモリソウ属の多年草で、日本固有種。
北海道から本州の関東地方以北に分布し、湿り気のある沢沿いや樹林の林床、林縁に自生する。
草丈は50〜150cmで、葉は互生し、下部の葉ほど葉柄が長く、葉身も大きい。
葉は三角状心形で、葉身は下部で20〜35cm、中部で10〜15cmになる。
縁には粗い鋸歯があり、葉表には粗い毛が散生し、葉裏には密にくも毛が生え緑白色になる。
茎中下部の葉腋に珠芽(むかご)を多数付け、珠芽を球に、葉をフキに見立てたのが和名の由来。
花期は8月〜10月で、茎先に円錐花序を出し、多数の白い頭花を付ける。
頭花は5〜6個の筒状花だけからなり、花冠は長さ8mmほどで浅く5裂して反り返る。
花冠は初めは黄色で、しだいに褐色を帯びる。総苞は長さ1cm前後で、白い5個の総苞片は1列。
オシベは花冠から外に飛び出し、メシベの花柱は先端が2裂して反り返る。
果実は円柱形の痩果で、冠毛は白い。

2008/8/30
十二湖を散策中に見かけたタマブキです。
見かけたときには、葉の形などからコウモリソウの仲間であろうと思いましたが、名前は分かりません。
花は咲いていなかったのですが、後日、調べてタマブキと分かりました。

コウゾリナ(Picris hieracioides L. subsp. Japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・コウゾリナ属>
 
キク科コウゾリナ属の越年草で、低地から山地の草地に生育する在来種。
日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
草丈は数十cmになり、茎頂で枝分かれして、直径3cm程の黄色い頭花を付ける。
我が国の山地に普通に目にする野草である。根出葉はロゼット状に多数出る。
根生葉の形状は長楕円状披針形。草丈は50〜150p程度。全草に赤褐色の剛毛がある。
茎葉は互生し、倒披針形で、長さ10〜20p程度。
6〜10月頃、黄色で径2〜2.5p程度の花を散房状につける。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で見かけたコウゾリナです。
日陰で育ったためか、ひょろっとひ弱な感じでしたが、ツボミや葉の特徴から本種と分かりました。

ユキザサ(Maianthemum japonicum)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・アマドコロ連・マイヅルソウ属>
 
スズラン亜科マイヅルソウ属に属する多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、山地の林内に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布している。
草丈は20〜70cmで、根茎は円柱状〜数珠状で横に這い、茎は丸くて直立し、上部は斜上する。
葉は茎の上部に互生し、葉身は長さ6〜15cmの卵状長楕円形で、先が尖り、基部は円形か切型。
葉の両面に粗い毛が生え、裏面の葉脈上に特に多い。
花期は5月〜7月で、茎先に長さ3〜6cmの円錐花序を出し、白い小花を多数付ける。
花序と花柄にも粗い毛が多い。白い花被片は6個で、長さ3〜4oの狭い長楕円形で平開する。
オシベは6個あり、花被片より短い。メシベの花柱は1mm以下で、柱頭は丸いか、3残裂する。
果実は直径5〜6mmの球形の液果で、初め緑色であるが、熟すと赤くなる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で見かけたユキザサです。
花期は終わって、果実が付いていました。未熟な淡褐色のものから真っ赤に熟したものまであります。
見たことがなかったので、後で調べて本種と分かりましたが、マイヅルソウの仲間とは思ってもいませんでした。

シュウメイギク(Anemone hupehensis var. japonica)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・イチリンソウ属>
 
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、中国原産とされている。
名前にキクと付いているが、キクの仲間ではなく、アネモネの仲間。
日本では、本州から四国、九州に分布し、園芸品種として植栽されている。
花色は、淡紅紫色と白色が主であるが、濃紅色の品種も作出されている。
花弁に見える物は、花被片(萼片)であり、花弁ではない。そして、花弁はない。
全草が有毒で、むやみに触れたり、摘んだりすると皮膚炎を起こすので要注意。

2008/8/30
五能線の大間越駅近くで見かけたシュウメイギクです。
おそらく、以前、観賞用に植栽されたものが、ずっと残っているものと思います。

クサボタン(Clematis stans)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・センニンソウ属>
 

 
キンポウゲ科センニンソウ属の半低木で、有毒植物。
茎は直立して1m程になり、冬には上部は枯れるが、木質化した基部は残る。
葉は対生し、1回3出複葉で、長い葉柄を持つ。小葉は3残裂し、不揃いな鋸歯がある。
茎の先や葉腋から集散状花序を付け、淡紫色の花を多数付ける。
淡紫色の細い鐘状のものは、花弁ではなく萼片で4枚ある。花弁はない。
萼片の基部は筒状で、先端から反り返って、巻き込むように徐々に開く。
基部まで開くと、オシベ、メシベが現れる。
ただ、両方に機能があるわけではなく、雄花と雌花に分化している。
果実は倒卵形の痩果で、花後、花柱が長さ15〜20mmに伸び、羽毛状になる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で見かけたクサボタンです。
あちらこちらで見かけましたが、花の色や形が場所によって微妙に異なります。
右上の花は咲き始めて間がないもので、先が少し開いたものが多いです。
一方、左下のものはツボミ自体も短めですが、開花後、時間が経って花弁が大きく巻き上がっています。
右下のものは、花後の果実でした。初めて見たので、最初は何だかわかりませんでした。
果実の形からクレマチス(センニンソウ属)のものに似ていたので、調べた結果、クサボタンと分かりました。


日本産のセンニンソウ属

       .
 ボタンヅル           センニンソウ           ハンショウヅル
日本産のセンニンソウ属3種の写真です。カザグルマは見たことがないので、写真はありません。
ボタンヅルとセンニンソウはよく似ていますが、オシベと比べて萼片が長いのがセンニンソウです。
ハンショウヅルは、釣鐘型の花で、萼片の外部は暗紅紫色で金属光沢があります。
クサボタンの花は、ハンショウヅルに近いですが、ボタンヅルとセンニンソウとは似ていませんね。

クレマチス(センニンソウ属)の花

       .
  (八重咲き)            (一重咲き)          (チューリップ咲き)
クレマチス(テッセン)には園芸品種が多いので、花の形は多様です。
チューリップ咲きの花が、ハンショウヅルやクサボタンの花に近いかもしれません。


スペアミント(Mentha spicata)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・ハッカ属>
 
シソ科ハッカ属の多年草で、地中海沿岸が原産地。
日本では、各地で栽培されているが、一部で野生化している。
世界的には、ヨーロッパから西アジア、中東、アメリカと広く移入分布する。
草丈30〜60cm程で、葉は対生し、槍の穂先のように尖った長楕円形です。
葉の縁には鋸歯があり、葉脈はペパーミントとほど明瞭ではない。
夏から秋にかけて茎の先端に長さ5cm程度の花穂を伸ばし、そこに白から淡紫色の花を多数つける。
不稔性であることが多く、地下茎により栄養繁殖する非常に繁殖力が強い。
スペアミントには、以下のような種類がある。

●Mentha spicata/Mentha viridis:全草の色からミドリハッカ、伝来地からオランダハッカと呼ばれる。
●Mentha spicata var. crispa:葉が縮れていることからチリメンハッカ、カーリーミントと呼ばれる。
●Mentha × gentilis/Mentha cardiaca:ジンジャーミント、スコッチ種と呼ばれる栽培品種である。
●Mentha longifolia/Mentha silvestris:葉が長くて毛があることからナガバハッカ、ケハッカと呼ばれる。

  なお、ハッカ属は交雑しやすく、形質遺伝が不安定なため、形態のみからの正確な分類は困難。
スペアミントはl-メントールを含まず、l-カルボンとリモネン(柑橘系に多い)を含むため、香りは柔らかい。

※ スペアミントとウォーターミントの交雑種であるペパーミントとニホンハッカの主成分はl-メントールです。

2008/8/30
五能線の大間越駅近くで見かけたスペアミントの花です。
最近、あちらこちらで野生化しているのを見かけますが、これが野生のものかどうかは分かりません。

ジャコウソウ(helonopsis moschata)
<シソ目・シソ科・ジャコウソウ属>
 

 
シソ科ジャコウソウ属の多年草で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
草丈は60〜100cmで、茎は分枝しないで斜上することが多い。
なお、茎は四角形で、毛が横から下向きに生える。
葉は対生か十字対生し、長さが10〜20cmの狭倒卵形〜広倒卵形。
先は鋭く尖り、基部は耳状に張り出した心形で、縁には鋸歯がある。長さ5〜10mmの葉柄がある。
花期は8月〜10月で、上部の葉腋から短い花序柄を出し、その先に1〜3個ずつ花を付ける。
花は長さ4cm前後の淡紅色の唇形花で、花柄は2〜7mmと短い(よく似たタニジャコウソウは長い)。
筒部が長い唇形で、上唇は短く、下唇は3裂して中央の裂片は他の2片より大きい。
オシベは4個あり、下側の2個が長い。萼は鐘形で、先が5裂するか2唇形になる。
萼の長さは花時には10〜15mmであるが、果時には卵球状に膨れて長さは15〜18mmになる。
果実は4分果で、分果は長さ2〜7mmになり、宿存性の萼に包まれている。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で見かけたジャコウソウです。
あちらこちらで見かけましたが、花の色や形が場所によって微妙に異なります。
シソ科の花と分かりましたが、見たことがなかったので、後で調べました。
似たものが多いのですが、花や葉の特徴から本種と分かりました。

タラノキ(Aralia elata)
<セリ目・ウコギ科・タラノキ属>
 
ウコギ科タラノキ属の落葉低木、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山林やその林縁、荒れ地などで見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
樹高は5m以上になり、幹は枝、葉柄や小葉の軸に鋭い棘を持つ。
葉は互生し、長さは50〜100cmに2回羽状複葉。小葉は長さ10cm前後の楕円形で、鋸歯がある。
雌雄同株で、茎頂部に大きな複散形花序をだし、淡緑色の花を多数付ける。
果実は、直径4o程の液果で、秋に黒く熟す。新芽は山菜の「タラの芽」として利用される。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇から大きく張り出していました。
春先に出回る「タラの芽」からは、想像できないほど大きな葉です。

キツリフネ(Impatiens noli-tangere)
<ツツジ目・ツリフネソウ科・ツリフネソウ属>
 
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、海外ではユーラシア・北米大陸に広く分布する。
草丈は60cm程になり、茎は水気が多く、下部の節がこぶ状に膨れる。
葉は互生し、長さ4〜8cmの長楕円形で。長さ3cm程の葉柄があり、縁には鋸歯がある。
花期は6月〜9月で、葉の上に花序を伸ばし、ツボミの成長と共に垂れ下って、葉の下で開花する。
花弁は3個(5個の内、両側の2個ずつが合着しているため)、萼片も3個ある。
下側の萼片は大きな袋状で、その先端は細長い距となり、後に伸びて少し垂れ下る(巻かない)。
果実は緑色のうちに熟し、熟した果実にさわるとパチンとはじけて種子が飛び散る。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇でツリフネソウやキツリフネの花を所々で見かけました。
独特の花の形をしているので、一度見たら忘れることはないですね。
なお、キツリフネの花は葉の下に付きますが、ツリフネソウの花は葉の上に付きます。

ツリフネソウ(Impatiens textori)
<ツツジ目・ツリフネソウ科・ツリフネソウ属>
 
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、東アジア(日本、朝鮮半島、中国、ロシア東南部)に分布する。
和名は、花の形が花器の釣舟に似ていることに由来するとされ、ムラサキツリフネとも呼ばれる。
日本では、本州・四国・九州の低山から山地にかけて分布する。
キツリフネの分布域と重なるため、両種が一緒に見られることも多い。
草丈は50〜80cmで、茎はやや赤みを帯びて、節が膨らんでいる。
葉は互生し、葉身は長さ5〜13cmの楕円形で先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。
花期は7月〜10月で、葉腋から花序を斜上して数個の花を付ける。花茎には紅紫色の突起毛がある。
花は紅紫色で、長さは4cm前後。花弁と萼片は紅紫色で、各々3個で構成されている。
下側の萼片は大きな袋状で、その先端は細長い距となり、先は下側にクルっと巻き込む。
花弁は下側の2個(4個の花弁が2個ずつ合着)が大きく前に突き出し、黄色い斑がある。
オシベは5個で、花糸は短く、葯は合着してメシベを包み込む。
なお、蜜は萼片の距の先に溜まり、マルハナバチやツリアブなどが好んで集まる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇でツリフネソウやキツリフネの花を所々で見かけました。
ツリフネソウとキツリフネが混在して咲いている所もありました。
なお、ツリフネソウの花は葉の上に付きますが、キツリフネの花は葉の下に付きます。


ツリフネソウとキツリフネ

   .
ツリフネソウ            キツリフネ
ツリフネソウとキツリフネの花です。花の形は似ていますが、距の巻き方や花の咲き方が異なります。
ツリフネソウは、葉の上に花茎を伸ばして花を付け、キツリフネは葉の下に花茎を伸ばして花を付けます。
花の形も、ツリフネソウの下側の萼片の細長い距は強く巻き込みますが、キツリフネは少し垂れ下る程度です。


サルナシ(Actinidia arguta)
<ツツジ目・マタタビ科・マタタビ属>
 
マタタビ科マタタビ属の落葉性つる性木本で、在来種。雌雄異株または雌雄雑居性。
日本では本州から四国、九州に、海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
蔓は長さが5〜20mになり、赤茶色で、太くなると黒褐色になり樹皮が剥がれる。
若枝は灰褐色で、はじめは褐色の軟毛が密生するが、のちに無毛となる。
葉は互生し、長さ6〜12cmの卵形〜広楕円形で、先が尖り、基部は浅い心形。
葉裏の脈上に毛があり、縁には細かい刺状の鋸歯がある。
葉柄は長さ2〜8cmで、淡紅色を帯びており、無毛のものと有毛のものがある。
花期は5月〜7月で、上部の葉腋に集散花序を出し、下向きに白い花を1〜7個付ける。
花柄は7〜10mm、小花柄は8〜14mmで、苞は長さ1〜4mmの線形。
花は直径15〜20oで、花弁、萼片とも4〜6個。
雄花のオシベは多数あり、花糸は長さ数mmで、葯は黒色〜暗紫色。
両性花の子房は長さ6mm前後のつぼ型で、花柱は線形で多数が放射状に平開する。
雌花は、基本的に両性花と同じであるが、オシベが退化している点が異なる。
果実は液果で、長さ2〜3cmの広惰円形。秋に緑黄色〜紫赤色に熟す。
キウイフルーツと同じマタタビの仲間なので、味はキウイフルーツとよく似ている。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇でサルナシがたくさん果実を付けていました。
かなり高い所にしか見られなかったので逆光になり、写りは今一つです。

ミズヒキ(Polygonum filiforme)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>
 
タデ科イヌタデ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に広く分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ヒマラヤに分布する。
葉は互生、広楕円形で、長さ6〜15cm、先端は尖る。
また、時季(初夏の頃)によっては葉に「八」の字の模様(鼻緒のような模様)が入る。
托葉があり、鞘状。葉や茎全体に粗毛がある。花期は8〜11月頃。
花は総状花序で、茎頂や葉腋から長さ20〜40cmになる花穂を出し、それに小花がまばらに咲く。
小花の色は上半分は赤色、下半分は白色であり、これが和名の由来。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇でアカソに混じって、ミズヒキが花茎を伸ばしていました。
花が終わった後のようで、咲いている花は見れらませんでした。萼から鈎状になった花柱が出ています。


ミズヒキとギンミズヒキの花

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 ミズヒキ                        ギンミズヒキ
ミズヒキの花は、上半分が赤色、下半分が白色で、これを紅白の水引に見立てたのが和名の由来です。
このミズヒキの白花品種がギンミズヒキで、赤い部分がない点以外は、ミズヒキと何ら変わりません。


アカソ(Boehmeria silvestrii)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属>
 
イラクサ科カラムシ属の多年草で、在来種。
日本は、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は1mに達し、茎は叢生して分枝は少なく、木質化しない。茎や葉柄は赤みを帯びる。
葉は対生し、長さ十数pの広卵形で、3主脈が目立ち、葉先が3裂する。
中央の裂片の先は尾状に伸び、葉の縁には重鋸歯がある。
花期は7月〜9月。雌雄同株で、茎の下方に雄花序、茎の上方に雌花序が付く有性生殖型と、
上部から下部までほとんど雌花序だけがつく無性生殖型がある。
有性生殖型は2倍体、無性生殖型は3倍体であるが、全国的に3倍体の無性生殖型が多い。
雄花には、4個の淡黄白色の花被片と4個のオシベがある。
雌花は集まって赤みを帯びた球形になり花軸に並ぶ。2個の花被片が合着して筒状になる。
なお、良く似たクサコアカソやコアカソは、葉先が3裂しないことで区別できる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇でアカソがたくさんの雌花序を付けていました。
ここのアカソは雄花序が見られないので、雌花序だけがつく無性生殖型のアカソのようです。

ウワバミソウ(elatostema umbellatum)
<バラ目・イラクサ科・ウワバミソウ属>
 
イラクサ科ウワバミソウ属の多年草で、在来種。雌雄異株。
国内では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は30〜50pほどで、茎は無毛で赤みを帯びる。葉は無柄で、2列に互生する。
葉身は、長さ10pほどの長楕円形で、左右非対称。葉は根本側が、茎先側より大きくなる。
葉の縁には粗い鋸歯があり、葉先は尾状に尖る。両面にまばらに短毛がある。
花期は4月〜6月で、葉腋に、雄株では数cmの柄がある散形花序を、雌株は無柄の球状の花序を出す。
雄花は、緑白色の4個の花被片と4個のオシベがある。雌花は、淡褐色の3個の花被片がある。
秋には、各節が肥大してムカゴとなり、節から切れて繁殖する。
ウワバミソウは、山菜の「みず」として珍重され、名前は茎が柔らかで水分が多い事による。
なお、標準和名は、大蛇(うわばみ)が居そうな場所に生えていることに由来する。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇でウワバミソウを見かけました。
茎先の方は、節が肥大して赤褐色になっています。今後、さらに成長してムカゴになります。
なお、右の写真の右奥に見えているのはクジャクシダです。

ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
<ブドウ目・ブドウ科・ツタ属>
 
ブドウ科ツタ属のつる性の落葉木本で、在来種。
北海道から本州、四国、九州と全国の山野に分布する。
ツルは太いもので数cmになり、古いツルの樹皮は黒褐色。
本年枝の樹皮は赤褐色〜黄褐色で無毛。丸い皮目が多数ある。
葉には2種類あり、花の付く短枝の葉は大きく、長い葉柄がある。
葉身は長さ5〜15cmの広卵形で、上部は3裂して先は鋭く尖り、縁にはまばらな鋸歯がある。
花の付かない長枝の葉は、小さくて葉柄も短い。葉身は単葉〜3深裂するものまで多様。
短枝の先に集散花序を出し、直径5mmほどの黄緑色の5花弁の花を付ける。オシベは5個。
果実は液果で、直径5〜7mmの球形で、秋には藍黒色に熟す。

2008/8/30
五能線の大間越駅近くで、塀に張り付いているツタが、一部紅葉しかけていました。
8月の夏真っ盛りの時期なので、紅葉には早いと思うのですが、一部が赤く色づいていました。

ノブドウ(Ampelopsis glandulosa var. heterophylla)
<ブドウ目・ブドウ科・ノブドウ属>
 
ブドウ科ノブドウ属のつる性落葉低木で、日本全国で見られる。
日本も含め、東南アジア一帯に分布しアメリカにも帰化している。
藪に多く見られ、都市でも空地などに見られる。
太いつるは暗灰褐色で、褐色の皮目が目立つ。
葉は互生し、葉身はほぼ円形で3〜5裂する。基部は心形で、縁には鋸歯がある。
葉に対生して、巻きひげが出て、先が2又に分かれる。
花期は7月〜8月で、葉に対生して集散花序を出し、直径数oの小さな花を多数付ける。
花被片は5個あるが、開花後、早めに落ちてしまう。
オシベは5個あり、花糸は短い。メシベは細く、1個で直立する。花盤は子房を環状に巡り、全縁。
果実は液果で、直径は7mm前後の緑色の球形。熟すにつれ、淡緑色から淡白色、ピンク、青緑色になる。
しかし、ブドウタマバエやブドウトガリバチが寄生して、虫えいを作ることが多く、紫色や碧色等になる。

2008/8/30
五能線の大間越駅で、ノブドウが我が物顔で駅の柵に絡みついていました。
葉に深い切れ込みがあるので、キレハノブドウと呼ばれるタイプです。
まだ、果実が若くて色付いていませんが、もう少しすると白や紫、碧色などきれいな色を見せてくるれでしょう。


ノブドウの花と虫えい

     .
 ノブドウの花      ノブドウの虫えい      ノブドウの虫えい
ノブドウの花と虫えいです。ノブドウの果実には、ブドウタマバエやブドウトガリバチが寄生します。
そのため、大半の果実は虫えいとなり、歪に肥大して紫色や碧色等になります。


サワグルミ(Pterocarya rhoifolia)
<ブナ目・クルミ科・クルミ亜科・クルミ族・クルミ亜族・サワクルミ属>
 
クルミ科クルミ属の落葉高木で、在来種。雌雄同株で雌雄異花。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、山地の谷筋などに自生する。
海外では、中国山東省東部に分布する。
樹高は30mに達する。幹は直線的に立ち上がり、スラリとした樹形になる。
樹皮は暗灰色で、深めの裂け目があり、古木になると縦に長く剥落する。
葉は互生し、長さ20〜30cmの奇数羽状複葉で、小葉は5〜10対ある。葉柄はない。
小葉は長さ5〜12cmの長楕円形で、先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。
花期は4月〜6月で、葉の展開と同時に雄花序、雌花序が伸び出して垂れ下がる。
雄花序は葉腋から10〜20cmほど垂れ下がり、黄緑色の雄花が多数付く。
雌花序は枝先に付き、雄花序より長い花序を垂れ、黄緑色の雌花を多数付ける。
雌花の花柱は2個で、柱頭は赤く、多数の突起がある。
花後、雌花序は20〜30cmに伸びて、果穂となって垂れ下がる。
果実は長さ8o前後の堅果で、2個の小苞が大きく広がって翼となる。
果実は、鼻が短い象というか、豚まんの底に象の耳が付いたような形をしている。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で枝から黒っぽい房が垂れ下がっているの見かけました。
やたらと細長く垂れていて、それが花後の枯れた花なのか、果実なのか分かりませんでした。
後で調べていて、花後に伸びたサワグルミの雌花序と分かりました。
色からすると、褐色に成熟したサワグルミの果実と思われます。

ブナ(Fagus crenata Blume)
<ブナ目・ブナ科・ブナ属>
 
ブナ科ブナ属の落葉高木で、日本固有種。
落葉広葉樹で、温帯性落葉広葉樹林の主要構成種、日本の温帯林を代表する樹木。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布する。
樹高は20〜30mで、幹は灰白色で平滑。枝は暗紫色で光沢があり、長楕円形の皮目がある。
なお、2年目の枝と本年枝の間には、淡褐色の芽鱗痕が明瞭に見られる。
葉は互生し、長さ4〜9cmの卵形で、葉先は尖り、基部は広楔形になる。
葉の側脈は平行な直線で7〜12対あり、葉脈が葉裏に飛び出している。縁には波状の鋸歯がある。
花期は5月で、葉の展開と同時に開花する。なお、開花は隔年になることが多い。
雄花序は新枝の先の葉腋から垂れ下がり、雌花序は枝先に上向きに付く。
雄花は長さ数cmの花序柄の先に頭状に6〜15個付き、花被は軟毛に覆われる。
オシベは12個あり、葯は花被の外に出る。
雌花は長さ2cm前後の花序柄の先に、直径1cmほどの総苞の中に2個入っている。
総苞は4裂して線形の鱗片に覆われ、メシベの柱頭は3裂し、線形で赤い。
果実は上向きに付き、熟すと殻斗が4裂し、中から長さ15mmほどの3稜形の堅果が2個出てくる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で枝にたくさんの果実を付けたブナの木を見かけました。
まだ果実は未熟なようで、淡緑色の殻斗から褐色の鱗片がたくさん出ていました。

ムシカリ(Viburnum furcatum)
<マツムシソウ目・レンプクソウ科・ガマズミ属>

スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木〜小高木で、在来種。別名のオオカメノキで呼ばれることが多い。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。海外では朝鮮半島の一部やサハリンに分布する。
樹高は3〜6mで、幹は暗灰色。
葉は対生し、長さ6〜20cmの円形〜広卵形で、葉先は尖り、基部が心形になるのが特徴。
葉脈は葉裏に明瞭に出て目立ち、縁には不揃いな鋸歯がある。
花期は4月〜6月で、枝先に散房花序を付ける。花序の基部に柄が発達せず、葉腋から直接でる。
花序は枝分かれし、白色の小さな両性花を大きな5個の花弁を持つ装飾花が取り囲む。
装飾花の5裂した花弁は、ほぼ同じ大きさになる(よく似たケナシヤブデマリは1個が極小さい)。
果実は長さ8〜10oの広惰円形で、8月〜10月に赤く熟し、次第に黒くなる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇で見かけた真っ赤な果実です。
葉の形や果実の色からガマズミの果実と思っていました。
後で、念のために調べてみたのですが、どうも、ムシカリではないかと思われます。
花が咲いていれば、一目瞭然(ムシカリには装飾花がある)なのですが、花はありません。
葉の形に違いがあるらしく、ムシカリの葉の基部は心形になるが、ガマズミは円形〜卵円形とか。
また、ムシカリはガマズミのように花序柄が長くならないのも特徴とのこと。
この2点に関して、写真(ちょっと不鮮明)をよくよく見た結果、ムシカリとしました。

エビラフジ(Vicia venosa var. cuspidata)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属>
 
マメ科ソラマメ属に属する多年草で、在来種。山地の林縁や林内に自生する。
日本では、本州の中部から北部、まれに九州にも分布する。海外では朝鮮半島に分布する。
草丈は80〜100cmで、茎は直立して、葉腋でジグザクに曲がりやすい。走出枝は出さない。
葉は互生し、羽状複葉で小葉は対生したり、互生したりする。小葉数は6〜14個。
小葉は長さ3〜8cmの披針形で、先が尾状に尖り、縁が波打つ。巻きひげは発達しない。
花期は6月〜8月で、葉腋から総状花序を立ち上げ、紅紫色〜青紫色の花を多数つける。
花は長さ12〜15mmの蝶形花で、一方に偏って付く。
豆果は長さ3〜4cmの細い楕円形。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、所々の遊歩道脇でマメ科の花を見かけました。
種類までは分からなかったので、後で調べました。
偶数羽状複葉で細長く尖った小葉の特徴から、エビラフジと分かりました。
ただ、花が片側に偏って付くという点に関しては、見ての通り偏っているようには見えません。
しかし、他に葉の特徴があうものが見当たらないので、本種としています。

ダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. alpina)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・ユキノシタ属>
 
ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海岸から高山まで広範囲に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、サハリン、ウスリーに分布する。
根茎は短くて分枝せず、根出葉から花茎を立ち上げて、草丈は5〜40cmになる。
根出葉は、長さが5〜20cmの葉柄があり、葉身は長さ3〜15cm、幅4〜20cmの腎円形。
基部は心形で、葉の縁は5〜17残裂する。葉には長い毛が生えていることが多い。
花期は7月〜10月で、長い花茎の先の集散花序に、多数の花を付ける。
萼裂片は長さ2〜3mmの卵形〜卵状楕円形で、ほぼ平開する。
花は5弁花で、花色は白色が多いが、まれに淡紅色のものがある。
花弁の内、上部の3個は長さが3〜4oと短く、下部の2個は長さ4〜15mmと長い。
その形が「大」の字に見えることが、和名の由来。
オシベは10個で、上部の花弁とほぼ同長。葯は橙色。
メシベは2個の心皮からなり、花柱2本を残し上部までほぼ合着する。
果実は卵形の刮ハで、長さ4〜6mm。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇の岩陰で可憐な白花を咲かせていました。
花の特徴(大の字に見える)から、直ぐに本種と分かりました。

クジャクシダ(Adiantum pedatum)
<ウラボシ目・イノモトソウ科・ホウライシダ属>
 
日本では北海道から本州、四国の山地の林縁に見られる。
海外では、ヒマラヤから東アジア、北アメリカに分布している。
葉柄は細くて硬く、表面には光沢がある黒褐色で、長さは15〜45cm。基部に鱗片がある。
葉柄の中軸は数回二股に分かれ、それぞれに1回羽状複葉の葉が付き、扇を広げたような形になる。
この形が、孔雀が尾羽を広げた形によく似ているのが和名の由来。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇の岩に張り付いているシダを見かけました。
葉の特徴からヤブソテツの仲間であろうと、後で調べ始めたのですが特徴が合いません。
羽片の付き方や形状で探していると、クジャクシダに行き当たりました。
1本〜数本出ている所は見たことがあるのですが、こんなに固まっているのは見たことがありません。
ふと右の写真の左下を見ると、そう、これはクジャクシダに間違いはありません。
改めて、写真をよく見ると、上の方に見えている葉は、基部で扇状に分枝していました。
ということで、これはクジャクシダが多くの葉を重なるように出しているものと判明しました。

コスギゴケ(Pogonatum inflexum)
<スギゴケ目・スギゴケ科・ニワスギゴケ属>
 
スギゴケ科ニワスギゴケ属のコケで、日当たりの良い土手や日陰地などに大きな群生を作る。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
新しく露出した表土に最初に現れるコケで、有機物の少ない新鮮な土壌の上に生育しやすい。
長期間存続することは少なく、他のコケなどに押されて消滅する。
茎は1〜5cmほどで、分枝せず、下の方に仮根を多く付ける。葉は乾くと強く巻縮する。
葉は、長さ4〜8oほどの線状披針形で、基部の鞘部は卵形で、先が尖り、縁に小歯がある。
雌雄異株で、秋から冬にかけ、雌株からは長さ1〜3cmの剳ソが立ち上がり、円筒形の凾ェ付く。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇の斜面にスギゴケが張り付き、たくさんの剳ソが出ていました。
スギゴケには良く似たものがあり、後から写真だけで同定するのは困難です。
ただ、背の高さや葉の大きさからある程度絞れます。
草丈が数cmと低いことや、葉も5mm前後と太短い印象を受けますので、本種としました。
ただ、いささか不鮮明な写真からだけの判断ですので、間違っている可能性はあります。


よく似たスギゴケ科の仲間

       .
 ウマスギゴケ      コセイタカスギゴケ     セイタカスギゴケ
  <スギゴケ属>      <ニワスギゴケ属>     <ニワスギゴケ属>
写真は大きさを無視していますので、その違いが分かりにくいのですが、大きさがかなり異なります。
また、ウマスギゴケのみスギゴケ属で、他の2種は、コスギゴケと同じニワスギゴケ属のコケです。
ウマスギゴケは、茎は直立して高さ5〜20cm、葉は長さ6〜12mmの披針形で、乾燥しても巻縮しません。
コセイタカスギゴケは、茎は直立して高さ4〜10cm、葉は長さ4〜8mmの披針形で、乾燥すると巻縮します。
セイタカスギゴケは、茎は直立して高さ8〜20cm、葉の長さは10〜18mmの披針形で、乾燥すると巻縮します。
コセイタカスギゴケとセイタカスギゴケは、白駒の池の周りに広がる苔の森で見かけたものです。


カノシタ(Hydnum repandum)
<アンズタケ目・カノシタ科・カノシタ属>
 
カレエダタケ科カレエダタケ属のキノコで、在来種。
日本も含めて、全世界に広く分布し、広葉樹林、針葉樹林の地上に群生する。
夏〜秋に発生し、傘は初めは饅頭型で、成長と共に開いて、古くなると縁が不規則に歪む。
開いた傘の直径は5〜10cmで、傘の色は淡褐色〜淡黄色のビロード状。古くなるとなめし皮状。
傘の裏側は表面と同系色で、長さ1〜6oの針状の子実層托が、剣山のように密生する。
柄は中実で、傘の中心からずれた位置から出ており、表面は白色。擦れたりすると黄変する。
太さは上部から根元まで、ほぼ同じ太さか、根元が若干太くなる程度。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇の苔むした斜面に、唐突に生えていました。
傘の裏を確認しておけばよかったのですが、今となっては確認のしようがありません。
傘や茎の形状や少し見えている傘の裏の様子(ひだが見えない)から、カノシタであろうと判断しました。
ただ、情報が乏しいので、間違っている可能性はあります。
なお、白い小さなサンゴ樹のようなものは、下記のカレエダタケと思われます。
また、地面にびっしりと生えている苔は、おそらくハイゴケであろうと思われます。

カレエダタケ(Clavulina coralloides)
<アンズタケ目・カレエダタケ科・カレエダタケ属>

カレエダタケ科カレエダタケ属のキノコで、在来種。
日本を含めて、北半球の温帯域に広く分布する。
林内の地面にある腐葉層から発生し、菌根菌と推定されている。
夏〜秋(暖地では冬まで)に単性、群生、束生する。
子実体は高さ2〜10cm、幅3〜10cmで、樹枝状に枝分かれするが、枝は2〜5mmと短く、尖る。
上部では小枝が集合してサンゴのようになるが、平滑で白色〜灰白色。
ときに古くなると淡ピンク色〜淡褐色を帯びる。

2008/8/29
暗門の滝からの帰り道、遊歩道脇の苔むした斜面で見かけたカノシタの間に生えていました。
地面に生える苔の間から、白いサンゴ樹のような形で顔を出しています。
大きいものでも数cmに満たない小さなもので、成長途上の子実体なのかもしれません。
枝分かれした枝が、数mmと短く、かつ、先が尖っている点などから、本種と判断しました。
なお、地面にびっしりと生えている苔は、おそらくハイゴケであろうと思われます。









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