超電導リニアに体験乗車してきました。
たまたまテレビを見ていたとき、アナウンサーが体験乗車の募集中と話していました。
それを聞いて申し込んだら、運良く抽選に当たって体験乗車できたのですが、倍率は125倍だったとか。
さて、当日、早めに出かけて最寄駅の「大月駅」に10:30頃に到着。
ちょっと、時間に余裕があったので、駅の周辺を散策しました。
駅前のロータリーから真っ直ぐの道を登り、突当たりの大月バイパスを横切った先の階段を上ります。
登山道の入り口のようですが、ここからは岩殿山(634m)の鏡岩が良く見えます。
山体をすっぱりと切り落としたような巨大な岩盤で、非常に個性的な風貌をしています。
岩殿山(いわどのさん)
鏡岩
階段を降り、大月バイパスを都留高等学校の方へ歩いて行き、
139号との出会い付近に近づくと、山の陰から富士山が見えてきました。
天気が良かったので、富士山が良く見えていました。その大きく見えること。
普段、会社のある都心部からも富士山は見えますが、段違いの迫力です。
大月から見た富士山
富士山を堪能した後、駅前に戻り、早めの昼食を取ることにしました。
山梨実験センターの周辺には、食事などを取る場所はないためです。
大月2丁目交差点近くの蕎麦屋(大和)さんで、天ざるをいただいて、駅前に戻りました。
待つこと小一時間で、リニア見学センター行きのバスが到着、一路、リニア見学センターへ。
畑の中を縫うようにして、リニア見学センターには20分ほどで到着。
本当に、周りには何もなく、畑などが広がっているだけです。
バスを降りると、右手に「どきどきリニア館」、少し離れて左手に「わくわく山梨館」がありました。
有料の「どきどきリニア館」は後回しにして、「わくわく山梨館」の3階へ。
ここで、1つ前の体験試乗を待つL0系を撮影。建物から乗降用のブリッジが伸びています。
ブリッジは、乗降時のみ出て来て、飛行機への乗降と同じ仕組みになっています。
体験試乗を待つL0系
「わくわく山梨館」を後にして、より身近に走行を感じられるという「どきどきリニア館」に移動。
館内には、いろいろな展示物があり、超電導の仕組みなどが良く分かるようになっています。
入口入って直ぐのところには、世界最高速度を記録した試験車両の実物も展示されています。
しかし、1つ前の体験走行が近づいていたので、見学は後回しにして、2階の見学テラスへ。
時間が来るまで閉鎖されているので、並んで開くのを待ちます。
取材が入っていたので、取材陣が一足先にテラスに出て、取材開始。
ドアが開放されて、一斉に見学テラスの目指す場所に移動です。
ただ、テラスと走行路の間には大きな柱やネットがあり、撮影には難ありです。
しかし、オープンテラスなので、目の前を通過する際の風や音を肌で感じることができる場所です。
試験走行が始まり、目の前をゆっくりと通過して、出発点に移動していきます。
走行モニターに車両の位置が刻々と表示され、出発点で一旦停止します。
その後、折り返し点から時速500kmに向けて走行が開始され、どんどん近づいていることが分かります。
走行モニター
近くのトンネルの出口からは、音と言うか、何とも言えぬ雰囲気が伝わってきて、近づいているのが分かります。
トンネルから飛び出してきて、目の前を通過していくまでの時間は、あっという間でした。
トンネルから出るとき、圧縮された空気が一気に広がる音、空気を切り裂く音には迫力があります。
この音と通過時の風圧を感じることができるのが、この見学テラスのだいご味です。
想像以上に早いので、シャッタータイミングが難しく、先頭車両を撮り逃がしてしまいました。
そのため、撮影できたのは、中間車両とお尻のみでした。
L0系の中間車両
L0系の最後尾
折り返してくるときにもトライしましたが、今度は、意識しすぎて押し急いでしまいました。
体験走行が終わったので、館内をブラブラと見学しました。
ハンドルを回して、本来は固定されている浮上・案内コイルを回し、
一端が固定された車体模型を浮上させる模型が展示されていました。
一定時間、早く回し続けないと車体は浮上せず、時速500km相当にするには息が切れました。
また、二人乗りのミニリニア、磁気浮上はしませんが、推進コイルによる前後進が体験できます。
他にも、いろいろと楽しめる展示がありました。
そうこうしている内に、超電導の実験が始まりました。
超電導体を液体窒素で冷却し、強力な磁石の上に持っていくと、ピタッと浮上して止まります。
第二種超伝導体で起きる「ピン止め効果」によるものです。
内部のひずみや不純物などの常伝導体部分に磁場が捉えられた結果です。
※ 超電導体部分はマイスナー効果により、磁場は排除されてしまいます。
この状態では、磁場が超伝導体内部の常伝導体部分をしっかりと捕捉しているので、
ひっくり返しても落ちません。
「ピン止め効果」で浮き上がった超伝導体
左端の黒い物体が常温の超伝導体で、常温では磁石には反応しません。
液体窒素(-196度)で冷却して、超伝導体状態になると中央のように浮き上がります。
なお、白いものは発泡スチロールで、断熱も兼ねてリニアに似せてあります。
磁石の上で浮いたままの超伝導体
磁石との関係は、上にあっても下になっても変わりません。これを「ピン止め効果」と言います。
超伝導体は極低温のため、冷却された空気が下に流れ落ちていますね。
超伝導体の温度上昇と共に、隙間が狭くなり、ついには落下してしまいます。
コース上を移動する超伝導体
最後に磁石をびっしりと張り付けたジェットコースター状のコースでの移動です。
磁石により浮上しているため摩擦がなく、最初の落下エネルギーのみで移動します。
結構速くて、写真を撮るのに苦労しましたが、ループの上端付近に写っています。
下面の摩擦は無くても、空気抵抗はあるので、最後に元の位置までは登れません。
この実験装置は、超電導リニアの動作機構とは異なりますが、超電導の性質を知るには良いですね。
実験に使用されている超伝導体と、超電導リニアに使用されているものは異なるとのこと。
超電導リニアに使用されているのは、金属系の超電導体「ニオブチタン合金」で、液体ヘリウム(-269度)冷却。
車両側に超電導磁石があり、高速で移動する事で、ガイドウェイのコイルが電磁石となり、磁気浮上します。
※ そのため、ある速度以上にならないと、力が弱くて車両は磁気浮上しません。
さらに、ガイドウェイの推進コイルを制御して、車両を前後進させます。
そうこうしている内に、体験乗車の受付が始まったので、会場の方へ移動しました。
途中、記念写真を撮ってくれるサービスがあったので、カメラを渡して撮ってもらいました。
会場に入ると、まずは、検札です。事前にいただいていたチケットで入場し、所定の席に付きます。
体験乗車リニア搭乗券
このチケットを見ていると、これから航空機に乗るのかと思ってしまいます。
時間になると乗車前の注意事項などの説明があり、その後、車両へ移動しました。
説明に使われた資料の表紙
本日の体験乗車の時刻表
体験乗車する車両の号車表示
さて、乗降用のブリッジを通り乗り込むと、新幹線より一回り小さく、左右2席づつの4列です。
指定の席に着席し、天井に取り付けられたモニターを見ると、これからの走行予定が表示されています。
少し東京寄りに移動して、そこから起点に向かって、最初の500km走行を行い、
起点から再度500km走行で終点に移動、新幹線並みの320km走行で戻ってくるようです。
体験乗車の走行予定
いつ出発したのか分からないほど、ゆっくりと始動し、徐々に加速していきます。
時速が70km程になると、車輪から磁気浮上に切り替わり、振動や音がすっとなくなります。
モニターには、先頭車両に取り付けられたカメラからの映像と現在位置、走行速度が表示されます。
14:55:34 出発点に到着して一旦停止
14:57:42 3km強の走行で時速301kmまで加速
14:58:42 10km地点で時速499kmに到達
14:58:44 ついに時速500kmに達しました
実験線の大半はトンネルなので、モニターには、流れていく光の線が写っているだけです。
その流れ方ですが、やはり、時速300kmと500qでは、かなり違いがあります。
ただ、外の景色が見える所では、遠くを見ていることもあり、さほどの速さは感じません。
トンネル内では、窓の外を流れる照明の光(といっても光の帯ですが)しか見えませんから、なおさらです。
隣の席に座っていた小学生の一言、「ちっとも速くないよ」がそれを物語っています。
停止時に表示されるマップ表示
走行ルートの地図上の表示に加え、高低差も表示されていました。
超電導リニアの先頭車両
体験乗車を終えて、降りたところで先頭車両をバックに、記念写真を撮っている人がたくさんいました。
非常にノーズが長いデザインなので、かなり広角のレンズでないと写し切れません。
先頭の赤い光の見える窓の隣にある四角い窓が、車載カメラのようです。
かなり低い位置からの映像を、表示していたのですね。
体験乗車を終えて「わくわく山梨館」にもどると、来たときにいた人が、まだ、頑張って撮影していました。
関西の方から泊まり込みで撮影に来たとのこと。
明日は、トンネル外走行が見える所で撮影すると言っていました。
今日、そこを撮影してきた地元の方に撮影ポイントを教わっていました。
体験乗車が終わった後、何度も短距離の往復を繰り返していました。
大月に戻るバスの発車時刻までには、まだ、時間があったので、その試験走行を見ていました。
写真撮影が目的なら、「どきどきリニア館」より視界の広いこちらの方が良いかもしれません。
ただ、ガラス越しになるので、反射をカットする偏光フィルターは必須です。
保守車両?の横を走行する超電導リニア
テスト走行を終えて戻ってきた超電導リニア
最初の
写真と見比べてもらうと、乗降用のブリッジが収納されているのが分かります。
普段の試験走行は、無人で行われているので、乗降用ブリッジは必要がないためでしょう。