駒ケ岳 千畳敷カールの高山植物
和名インデックス |
ウメバチソウ(Parnassia palustris)
<ニシキギ目・ウメバチソウ科・ウメバチソウ属> ウメバチソウ科ウメバチソウ属の多年草で、在来種。 山地帯から亜高山帯下部の日当たりの良い湿った草地に自制する。 北半球に広く分布しており、日本では、北海道から本州、四国、九州と広範囲に分布する。 花は、直径20mm程で、白色の5花弁。太いのがオシベで、オシベのように見えるのは仮雄蕊。 仮雄蕊(かりゆうずい) の先が、糸状に分裂し、黄色の腺体が付いたものである。 根生葉は長い柄があるが、花茎に茎葉が1枚だけ付く。無柄で基部は茎を抱く。
2013/8/7
千畳敷駅から「剣ヶ池」の方へ降りる遊歩道脇で見かけました。 1輪だけポツンと咲いており、ハート形の茎葉も見えています。 | |
ミヤマキンバイ(Potentilla matsumurae)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属> バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。亜高山帯から高山帯の砂礫地に自生する。 日本では、北海道から本州中部以北に分布する。海外では、サハリンに分布する。 草丈は15cm前後で、あまり高くならない。 直径20mm程の黄色い5花弁で、花弁の先はやや凹み、付け根付近は黄橙色。 葉は3出複葉で、小葉には粗い鋸歯があり、イチゴの葉に似ている。
2013/8/7
千畳敷駅からの遊歩道脇で見かけました。ちょっとした群落を作っている所もありました。 葉が3出複葉なので、カールに咲く黄色い花の中では識別しやすい花です。 コバイケイソウの手前に、ちょっとした群落を作って咲き誇っていました。 | |
ダイコンソウ(Geum japonicum)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ダイコンソウ属> バラ科ダイコンソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布している。 海外では朝鮮半島から中国に分布している。 根生葉は羽状複葉で、頂小葉が特に大きく、側小葉は大きさが不揃い。 茎葉は3裂して、縁には鋸歯があるが、上部の茎葉は単葉になる。 花は黄色で、直径は20mm程。オシベとメシベは多数付く。
2013/8/7
千畳敷カールへのバスへの乗り継ぎ場所で見かけました。 | |
タカネグンナイフウロ(Geranium eriostemon var. reinii)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> フウロソウ科フウロソウ属の多年草で、日本固有種の高山植物。 日本では、本州の中部地方に分布し、高山帯から亜高山の明るい草地に生える。 草丈は50cm程までになり、茎や葉柄に長い開出毛と腺毛がある。 葉幅は10cm前後になり、掌状に5〜7深裂し、裂片はさらに深裂する。葉は互生する。 花期は7月〜8月で、花径は30mmくらい、花弁は5枚、オシベは10本。 グンナイフウロの高山型で、花色は濃紫色で一回り大きく、基部は白い。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇でときどき見かけました。 濃紫色の花が印象的で、5〜7深裂する大きな葉も特徴的です。 | |
ゴゼンタチバナ(Cornus canadense)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ミズキ属・ゴゼンタチバナ亜属> ミズキ科ゴゼンタチバナ亜属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州中部地方以北、奈良県、四国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、北アメリカに分布する。 花の付く葉は、5〜6個が輪生し、花の付かない葉は4個が輪生する。 花弁に見えるのは4枚の白い総苞片で、頭状花序には10〜25個の花が付く。 花は、4枚の花弁、4個のオシベ、黒紫色のメシベを持つ。
2013/8/7
千畳敷駅から千畳敷カールに向かう遊歩道の入り口近くで見かました。 秋に、赤い果実を付けているのは何度か見たことがありますが、花は始めて見ました。 | |
ネバリノギラン(Aletris foliata)
<ヤマノイモ目・キンコウカ科・ソクシンラン属> キンコウカ科ソクシンラン属の多年草で、日本固有種。 日本では、北海道から本州中部地方以北、四国、九州の一部に分布している。 山地から高山帯の湿った草地に自生し、根出葉から数十cmの花茎を立ち上げる。 花茎には、総状花序を付け、多くの花が付く。花には、苞があり、短い花柄がある。 花被は黄緑色から黄褐色で、つぼ型になり、先端は6裂する。 花や花茎には腺毛があり、触ると粘る。
2013/8/7
千畳敷カールをめぐる遊歩道脇でときどき見かけました。 パッと見、つぼみにしか見えなかったのですが、これが開花状態だと後で分かりました。 右端の写真に見えている葉は、本種の葉ではなく、花茎に付いている単葉が本種の葉です。 | |
アラシグサ(Boykinia lycoctonifolia)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・アラシグサ属> ユキノシタ科アラシグサ属の多年草で、日本固有種。 亜高山帯から高山帯のやや湿った草地や林縁に自生する高山植物。 日本では、北海道から本州中部地方以北に分布する。 花茎には、短くて白い腺毛が密生し、茎葉が数個付く。 花茎の先に集散状円錐花序が付き、萼片、花被片とも黄緑色で、長さは2mm程しかない。
2013/8/7
千畳敷カールをめぐる遊歩道脇で見かけました。 花かどうかすらよく分からないような小さい地味な花です。 | |
コバイケイソウ(Veratrum stamineum)
<ユリ目・メランチウム科・シュロソウ属> メランチウム科シュロソウ属の多年草で、日本固有種。 日本では北海道から本州中部地方以北に分布し、山地から亜高山の湿った草地に自生する。 草丈は1m以上になり、茎の先に太い円錐花序を付ける。 花茎の先端に付くのは両性花で、脇の枝分かれした先に付くのは雄花。 全草、有毒であり、春先の若芽の頃にノカンゾウと間違える誤食事故が毎年発生する。 最悪死に至る猛毒であり、コバイケイソウの生えているところでは要注意。
2013/8/7
千畳敷カールの広範囲に分布し、一面を白く染め上げるほどの大群落です。 コバイケイソウは、毎年咲くわけではなく、大量に咲く年とほとんど咲かない年があるそうです。 この年は、当たり年だったようで、非常に多くのコバイケイソウが花を咲かせていました。 2013/8/7 コバイケイソウの群落は、カールの広範囲で見られました。 毎年、このように咲くわけではないそうなので、非常にラッキーでした。 どれくらいの群落を作っているのかは、お花畑の写真を見てください。 | |
ミヤマバイケイソウ(Veratrum alpestre)
<ユリ目・メランチウム科・シュロソウ属> メランチウム科シュロソウ属の多年草で、在来種。バイケイソウの高山型。 日本では、北海道から本州、四国、九州の山地から亜高山帯にかけて湿った草地に分布する。 海外では、ヨーロッパ、北アフリカ、シベリア、東アジア、アリューシャン列島、アラスカ州に自生する。 草丈は1m以上になり、茎の先に太い円錐花序を付ける。 直径20mm前後の黄緑色の花を多数、密に付ける。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、コバイケイソウに交じってミヤマバイケイソウが咲いていました。 花色が黄緑色で、コバイケイソウほど目立たないので、遠くからでは本種の存在確認は難しいです。 ポツリポツリと咲いていることが多かったのですが、一ヶ所、ちょっとした群落になっていました。 2013/8/7 ほとんど場合、コバイケイソウに交じって、所どころで見られる程度でした。 しかし、この場所は他の場所と異なり、群生していました。 | |
ショウジョウバカマ(Heloniopsis orientalis)
<ユリ目・メランチウム科・ショウジョウバカマ属> メランチウム科ショウジョウバカマ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、低地から高山帯まで広範囲に分布する。 海外では、朝鮮半島に自生する。 花色は、淡紅色、紫色、白色と変異が大きい。花後も、花被片は黄緑色になって残る。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、花後のショウジョウバカマの花を見かけました。 花被片は、春先の淡紅色から黄緑色に変化し、オシベや花糸も残っています。
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ミヤマクロユリ(Fritillaria camtschatcensis var.alpina)
<ユリ目・ユリ科・バイモ属> ユリ科バイモ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州中部地方以北で、高山帯から亜高山帯に分布している。 海外では、ロシア、北アメリカに分布する。 葉は3〜5個が輪生し、数段付く。 茎の先に1〜2個の暗紫褐色の花をやや下向きに付け、両性花と雄花がある。 花被片は6個で、黄色い細かい斑点があり、内側は色が淡くて斑点が見立つ。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、ときどき見かけました。 | |
クルマユリ(Lilium medeoloides A. Gray)
<ユリ目・ユリ科・ユリ属> ユリ科ユリ属の多年草で、在来種。高山帯から亜高山帯の草原に分布している 日本では、北海道から本州の中部以北、四国の一部に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、サハリン、カムチャッカにも分布する。 葉は、茎の中央部で6〜15枚輪生し、その上部では3〜4枚がまばらに付く。 茎の上部に数個の花を付け、6枚の花被片はオレンジ色で、濃紅色の斑点がある。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、2株だけ見かけました。 1株は、まだ、未開花でしたが、もう1つの株は開花していました。 花のイメージは、オニユリやコオニユリに近いものがありますが、花の付き方が違います。 | |
ミヤマリンドウ(Gentiana nipponica)
<リンドウ目・リンドウ科・リンドウ連・リンドウ亜連・リンドウ属> リンドウ科リンドウ属の多年草で、日本固有種。高山の湿った草地に自生する。 日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。 茎の基部が長く這い、よく分枝する。茎先が立ち上がり、草丈は十数cmになる。 葉は対生し、やや厚めの長楕円形、長さは10mm程になる。 茎の上部に数個の青紫色の花を付ける。花冠は5裂し、副片も5個あるため、花弁が10枚に見える。 花は、晴れた日にしか咲かず、曇っていたり雨が降っていたりすると花は開かない。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で、ときどき見かけましたが、あまり多くはありませんでした。 他の野草に交じり、ポツリポツリと咲いていましたので、注意していないと見過ごしてしまいます。 | |
アオノツガザクラ(Phyllodoce aleutica)
<ツツジ目・ツツジ科・ツガザクラ属> ツツジ科ツガザクラ属の常緑低木で、在来種。高山の岩場、草地に自生する。 日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。 海外では、ロシア、アラスカ、カナダに分布する。 茎は地を這い、よく分枝する。茎の先端が立ち上がり、樹高は10〜20cm程になる。 葉は、密に互生し、縁に小さな鋸歯がある。葉の付き方がツガに似ているのが名前の由来。 枝先に5個前後の花を付ける。ツボミは上を向いているが、徐々に下を向き、開花は下向きになる。 花色は、淡黄色で、いくぶん緑がかる。つぼ型の花で、先端は浅く5裂する。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇の岩の上などに固まって見かけました。 小さな花で、色も地味なので、気を付けていないと見過ごしてしまいます。 中央の写真のように、ツボミは成長と共に下向きになり、左端のように開花します。 | |
チングルマ(Geum pentapetalum)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ダイコンソウ属> <チングルマの花> <チングルマの実> バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木で、在来種。高山の砂礫地、草地に自生する高山植物。 日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。 海外では、ロシアやアラスカに分布する。 枝は地を這い、樹高は十cm程と低い。葉は、奇数羽状複葉で、小葉は7枚のものが多い。 葉は、秋には赤褐色に紅葉し、一面を赤く染める。 花は、直径2cm程の5花弁の白花で、中央に多数の黄色いオシベとメシベがある。 花後に花柱が放射状に延びて広がり、その形は独特なものになる。 その形を稚児の持つ風車「稚児車(ちごぐるま)」に見立て、訛ったのが和名の由来される。
2013/8/7
千畳敷カール下部の方に大きな群落を作って、白い花をたくさん咲かせていました。 一方、遊歩道脇でときどき小さな株を見ましたが、ほとんどが花が終わり、実になっていました。 どちらかというと、花(上段)よりも、独特の形状をした実(下段)の方が有名ですね。 下段の左端は、花後間もないもので、花柱が伸び始めています。 下段中央は、成長した実で、花柱が伸び切って褐色になっています。 前日の雨でくっ付いていますが、乾燥すると放射状に広がります。 2013/8/7 カールの所々で見られるチングルマの大群落です。 地面にへばり付くように広がり、たくさんの花茎を伸ばして花を咲かせています。 秋になるとこの辺り一帯をチングルマの紅葉が、赤く染め上げることでしょう。 | |
ウラジロナナカマド(Sorbus matsumurana)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・ナナカマド属> バラ科ナナカマド属の落葉低木で、日本固有種。高山の林縁や谷筋に多い。 日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。 葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は5〜13個。小葉の先には鋸歯があるが、基部は全縁。 葉の裏面は、粉白色を帯び、それが和名の由来になっている。 枝先に複散房花序を直立させ、白色の花を多数付ける。 花は直径10mmほどの5花弁で、オシベは20個ほどで、花柱は5個ある。 秋、葉は真っ赤に紅葉し、落葉後には真っ赤な果実が目を引く。
2013/8/7
千畳敷カールの遊歩道脇で見かけました。花ざかりの株と、咲き終わった株がありました。 秋の紅葉は、良く目立つので有名ですが、この時期はあまり目立たないので注目度は低いようです。 | |
オオヒョウタンボク(Lonicera tschonoskii Maxim.)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属> スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で、日本固有種。亜高山帯から高山帯に自生する。 日本では、本州の関東北部から中部地方に分布する。 白い花が数cmの花柄の先に、2個が対になって咲く。 花冠の長さは15mm程で、くちびる型の上唇は浅く4裂する。 果実は、直径8mm程の球形で、2個が接して付き、ヒョウタンのように見える。 和名は、赤い果実がヒョウタンのように付く、ヒョウタンボクより葉が大きいことに由来する。
2013/8/7
千畳敷カールへの遊歩道の千畳敷駅に近い所で見かけました。 葉が10cm程あるのに対して、花が小さく、あまり目立ちません。 果実はヒョウタンボクに似ているかもしれませんが、花の形は同属のスイカズラに良く似ています。 | |
ハイマツ(Pinus pumila)
<マツ目・マツ科・マツ属> <ハイマツの雄花> <ハイマツの雌花と球果> マツ科マツ属の常緑針葉樹で、在来種。高山の高木限界より上部に自生する事が多い。 氷河期に北方より南下し、温暖化と共に高山に取り残された氷河遺存種である。 日本では、北海道から本州の中部以北に分布している。 樹高は、高くても2m程にしかならず、地を這うように広がる。 球果(松ぼっくり)は長さ5cm程になり、成熟には2年をようする。 球果内部の種子には翼がなく、動物によって分散される。
2013/8/7
千畳敷カールへの遊歩道の千畳敷駅に近い所で見かけました。 上段は雄花で、下段は雌花や球果です。雌花は、授粉して結実した後です。 右端は、昨年結実した雌花で、まだ熟す前なので球果は緑色をしています。 2013/8/7 サギダルの頭の下部に群生するハイマツです。 暗緑色の部分がハイマツで、その上部の黄緑色に見える部分はコバイケイソウなどの高山植物です。 |