ホーム>秋の色(紅葉と黄葉……)

新規:2018/12/10
更新:2020/12/11

秋の色(紅葉と黄葉……)



     
相模原市立麻溝公園   神奈川県立相模原公園   日塩もみじライン       永観堂   .
春は花を楽しむ季節ですが、秋は色付く葉を楽しむ季節です。
葉は、赤く色付くものと、黄色く色付くもの、黄色から赤へと変化していくものなどがあります。
誰もが知っているのは、赤く色付くモミジや黄色く色付くイチョウですよね。
でも、それ以外にもいろいろな木や草が赤や黄色に色付いて、秋色を楽しませてくれます。

     
日塩もみじライン     日川渓谷・竜門峡      奈良公園         香嵐渓  .
     
仙石原         四万温泉         上野公園         高尾山





イチョウ(Geranium carolinianum)
<イチョウ目・イチョウ科・イチョウ属>
イチョウ科イチョウ属の裸子植物で、裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存種。
そのため生きた化石と呼ばれている。
中国原産の落葉高木で、雌雄異株であるため、雄株と雌株があり、実は雌株にのみになる。
葉は扇形で葉脈が付け根から先端まで伸びており、葉の中央部が浅く割れている。
種子は、11月頃に熟すると軟化し、カルボン酸類特有の臭気を発し、素手で触るとかぶれる。
人為的な移植により、現在は世界中に分布しており、
年平均気温が0〜20℃、降水量500〜2000mmの地域に分布している。

イチョウは、秋には黄色く色づく黄葉の代表種ですが、その黄葉時期にはずれがあります。
そのため、並木では葉のない木、黄葉した木、緑色の残る木が混在することが多いです。
イチョウは、公園の植栽や街路樹としてよく利用されますが、そのほとんどが雄株です。
雌株を排除する理由は、その果実の果肉が発する匂いや触れたときにかぶれることにあります。
果肉は問題ありですが、その種子はギンナンとして利用され、寺社などでは見ることがあります。

アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属>
トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。
日本以外では、東南アジアの山野に分布する。
和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。
葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。
初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。
雄花は、苞の脇に数個ずつ付き、多数のオシベが球状に付く。
雌花は、苞の脇に1個ずつ付き、子房には刺状の突起がある。

春、芽吹きの頃の新葉が赤いのが和名の由来ですが、秋には黄葉します。
ただ、一斉に黄葉するわけではなく、緑のものや一部が黄葉したものが混じります。

シラキ(Neoshirakia japonica)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・ヒッポマネ連・シラキ属>
トウダイグサ科シラキ属に分類される落葉小高木で、在来種。
日本では、本州(北限は岩手県)から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は4〜9mで、幹は灰白〜灰褐色で、樹皮は滑らかで縦筋が入る。
老木では幹も直径が30cmほどになり、樹皮には縦に細かい裂け目ができる。
葉は互生し、長さ7〜17cmの卵状楕円形で、全縁。葉の両面は無毛で、質は柔らかい。
葉裏の基部や葉脈の先に腺があり、葉脈が隆起している。葉の形状に変異が著しい。
葉を揉むと強くはないがいやな臭いがし、枝や葉を切ると白い乳液が出る。
花期は5月〜6月で、若枝に長さ5〜10cmの総状花序を出し、黄色い小花を多数付ける。
花序の上部には多数の雄花が付き、基部に数個の雌花を付けるが、雌花がないこともある。
雄花の花柄は長さ3o前後で、花弁はなく、2〜3個の皿状の萼片と2〜3個のオシベがある。
雌花の花柄は長さ7o前後で、花弁はなく、3裂した萼は2〜3個で長さ1mmほど。
メシベは1個で子房には2〜3室あり、花柱は3個で基部が合着し、2個の腺体がある。
果実は刮ハで、直径18mmの三角状扁球形で3稜があり、先端に花柱が残る。
晩秋には黒褐色に熟して3裂し、直径7mmほどの球形の種子を白い糸でぶら下げる。
葉は秋に美しく黄葉〜紅葉し、知名度は低いが紅葉の美しさはトップクラスである。

あまり知られていないようですが、見ての通り、紅葉はトップクラスの美しさだそうです。
なお、条件によって、紅葉したり、黄葉したりするみたいです。

ナンキンハゼ(Triadica sebifera)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・ヒッポマネ連・ヒッポマネ亜連・ナンキンハゼ属>
トウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木で、原産地は中国、台湾。雌雄同株。
日本では、紅葉がきれいなことから街路樹や公園樹として利用されているが、逸出して野生化している。
樹高は5〜15mになり、幹は灰褐色で、不規則に縦に裂ける。
葉は互生し、長さ3.5〜8cmの下膨れの卵形で、先は尖り、基部は楔型。
縁は全縁で、葉表の基部に腺が2個ある。葉柄は長さ2〜8cm。
花期は6月〜7月で、長さ6〜18cmの総状花序に小さな黄花を多数付ける。
花序の先には雄花が多数付き、雌花は基部に少数付き、雌花のない花序も多い。
雌花も雄花も花弁はなく、雌雄異熟で、雄性先熟の木と雌性先熟の木がある。
雄花は苞ごとに数個集まって付き、オシベは2〜3個、萼は3浅裂して受け皿のようになる。
雌花は苞ごとに1個付き、雄花より長くて、子房は3o前後、花柱は3個ある。
果実は直径15mm前後の扁球形で、3稜があり、熟すと褐色〜黒色になる。
熟すと裂開して、白い仮種皮に包まれた3個の種子が見えるようになる。
紅葉の頃になると果皮が落ちて、白い種子のみが枝に残って、目を引くようになる。


紅葉がきれいなことから街路樹や公園樹として利用されることが多い樹種です。
緑色→黄色→橙色→暗紫色と変化し、その暗紫色の葉を逆光で見ると真っ赤に見えます。
ただ、紅葉の時期は比較的短くて、寒くなると一気に落葉してしまいます。
その後に残るのが白い種子で、葉のなくなった枝先に残る白い種子が目を引くようになります。

ナンテン(Nandina domestica)
<キンポウゲ目・メギ科・ナンテン亜科・ナンテン属>
メギ科ナンテン属の常緑低木で、在来種。古い時代に中国から渡来したとの説もある。
日本では、西日本、四国、九州に分布し、海外では、中国やインドに分布する。
樹高は1〜3mで、幹は真っ直ぐに伸び、縦の割れ目がある。
葉は互生し、3出羽状複葉で、葉軸や小葉軸は関節状になる。
小葉は長さ3〜7cmの披針形で、葉先は尖り、基部は楔形になり、全縁。
花期は5月〜6月で、枝先に大きな円錐花序を付け、多数の花を付ける。
花は直径6〜7mmの白花で、萼片は3個ずつ輪状に多数付き、内側の6個が花弁状になる。
オシベは6個で、花糸は短い。メシベの花柱は短く、子房が大きい。
花後、萼片をオシベは全て落ち、柱頭が赤味を帯びることがある。
果実は液果で、直径6〜7mmの球形。10月〜11月に赤く熟す。
樹高が低い矮性のオタフクナンテンは、ほとんど花や実が付かない。
丈夫で枯れにくく、紅葉がきれいなので、グラウンドカバーなどに利用される。


ナンテンは紅葉しますが、どちらかというと赤い実の方が観賞の対象となります。
しかし、矮性種のオタフクナンテンは実が付かず、きれいな紅葉が観賞の対象です。

クサギ(Clerodendrum trichotomum)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・クサギ属>
シソ科クサギ属の落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州のに分布し、日当たりのよい原野などに生える。
樹高は4〜8mで、樹皮は灰色〜暗灰色。多数の皮目がある。
葉は対生し、長さ8〜15cmの三角状広卵形で、葉柄も含めると30cmほどにもなる。
葉は柔らかくて薄く、毛が密集する。裏面には腺点がある。
花期は7月〜9月で、集散花序に多数の白い花を付ける。萼は5残裂する。
筒部は紅紫色で、長さ20〜25oで細く、花冠は5裂して白い裂片は平開する。
その平開した花冠から、オシベとメシベはさらに突き出す。
10月〜11月に萼が濃紅色になり、直径6〜8mmの果実が藍色に熟す。
さらに熟すと果実は黒くなり、萼片は反り返って、果実が落果する。


クサギは紅葉というよりは、赤い星型の萼と、藍色に熟した果実が観賞の対象となります。
しかし、葉も黄葉〜紅葉まで、いろいろな色を見せてくれます。

カキノキ(Diospyros kaki Thunb. var kaki)
<ツツジ目・カキノキ科・カキノキ属>
カキノキ科カキノキ属の落葉高木で、原産地は中国、台湾、ミャンマー。
樹高は5〜15mで、幹は茶褐色で樹皮が不規則に細かく割れる。
葉は互生し、長さ7〜18cmの楕円形で、葉表は無毛で、葉裏には黄褐色の毛が全面にある。
葉先は尖り、基部も鋭形で、全縁。葉柄は1〜2cmで、ほぼ無毛。
花期は5月〜6月で、秋の10月〜11月が果期になる。
雌雄同株であるが、栽培品種の中には雌花のみが咲くものもある。
雄花は、集散花序に3〜5個付き、花冠は長さ6〜9mmの白色。オシベは16〜24個で、萼が小さい。
雌花は単生し、花冠は長さ9〜16mmの黄白色。柱頭は4裂し、子房は無毛。萼が大きい。
野生種のヤマガキは、在来種かどうかは不明で、中国原産とする説もある。
栽培品種の台木に利用されるが、葉も実も栽培品種より一回りも二回りも小さい。
果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられる。
多くの栽培品種は甘柿で、渋柿を食用に加工するのは日本くらいだと言われる。

実家の庭にあるカキノキが、寒気の来襲で真っ赤に紅葉し始めました。
そして、紅葉の進行に合わせるように、次々と落葉が始まり、落ち葉の掃除に追われる日々です。
反射光で見ると赤く色付いた葉も、透過光で見ると赤橙色に見えます。

ドウダンツツジ(Enkianthus perulatus)
<ツツジ目・ツツジ科・ドウダンツツジ亜科・ドウダンツツジ属>
ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。
日本では、本州、四国、九州の温暖な岩山に自生するが、自生地は少ない。
寒冷地でも耐えるので、庭木としては全国で見られるが、寒冷地では少ない。
樹高は1〜3mほどで、葉は互生し、枝先に集まって輪生状になる。葉縁には細かい鋸歯がある。
なお、晩秋には真っ赤に紅葉する。
花期は4月〜5月で、枝先に白い壺形の花は数輪下垂して咲かせる。なお、紅色の品種もある。
花冠は、長さ8o前後で、先が5残裂する。オシベは10本ある。

ドウダンツツジも、春に咲かせる白い壺形の可憐な白花も良いですが、秋の紅葉も見応えがあります。
ニシキギのように真っ赤に色付くのではなく、黄色から赤へと変わっていくグラデーションが良いですね。

モッコク(Ternstroemia gymnanthera)
<ツツジ目・モッコク科・モッコク連・モッコク属>
モッコク科モッコク属の常緑高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、海岸近くに自生する。
海外では、台湾、朝鮮半島南部から中国、東南アジア、インドまでの暖地に分布する。
樹高は10〜15mで、樹皮は平滑な暗灰色〜黒灰色にゴマ状の小さい皮目がある。
葉は互生し、枝先に集まって付き、葉身は長さ4〜7cmの楕円状卵形。
葉先は鈍頭で、基部は楔形、縁は全縁。厚い革質で光沢があり、両面無毛。
葉柄は長さ3〜6mmで、十分に陽が当る所では赤みを帯びる。
花期は6月〜7月で、両性花を付ける株と雄花のみを付ける株がある。
葉腋に直径2cm前後の花を下向きに単生し、雄花はメシベが退化してオシベが3列に多数付く。
両性花は1個のメシベの周りにオシベが1列に付く。
花は白い5花弁で、萼片も5個。花柄は長さが1〜2cm。
果実は刮ハで、直径は直径10〜15mmの球形。秋に赤く熟し、果皮が不規則に裂開する。
種子は長さが7mm前後の倒卵形で、橙赤色。仮種皮はない。

モッコクは常緑高木なので、紅葉とは関係がないと思っていました。
しかし、青々とした葉に混じって、所々に見事に紅葉した葉が見られました。
古くなった葉が落葉する前に紅葉しているようなのですが、いつも紅葉していたのか記憶が曖昧です。

ヒメツルソバ(Persicaria capitata)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>
タデ科イヌタデ属の多年草で、ヒマラヤ原産の帰化植物。
茎は地を這い、よく分枝して広がる。茎期は赤褐色で長い毛がある。
葉は長さ15〜35mmの卵形で先が尖り、表面には山形の暗紋がある。
花期は5月〜11月でであるが、真夏には花を付けない。
直径1cm前後のピンクの小花が球形に密集して付く。

ピンクの球形花序が可愛らしいヒメツルソバですが、条件が良いと赤く紅葉します。
真冬でも青々としていることが多いのですが、相模原市立麻溝公園で紅葉しているのを見ました。

ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)
<ニシキギ目・ニシキギ科・ツルウメモドキ属>
ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉つる性木本で、在来種。雌雄異株。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島までの全域に分布する。
海外では、日本を含め東アジア一帯に分布している。
蔓は長さは数m以上になり、本年枝は無毛で黄緑色だが、2年目には木化して赤褐色になる。
幹は右巻きに巻き付き、皮目が目立つようになって、太いものでは直径20cmに達して樹皮は灰色。
葉は互生し、葉身は長さ5〜12cmの広卵形で、浅い鋸歯があり、薄い紙質で、秋には黄葉する。
花期は5月〜6月で、葉腋に集散花序を付け、雄株は1〜10数個、雌株は1〜3個の花を付ける。
花は淡黄緑色で、直径6〜8mm。花柄の中央より基部側に関節がある。
花は5数性で、花弁、萼片、オシベは各々5個ある。雄花の中央には退化したメシベがある。
雌花は、雄花よりやや小さめで、中心に3裂した柱頭があり、周りに退化したオシベが5個ある。
果実は秋に淡黄色に熟して3裂し、鮮やかな橙赤色の仮種皮に被われた種子が現れる。

花よりも黄色く熟した果実や、裂開して赤い種子が見えるようになったところが見所です。
葉も黄葉しますが、黄色い果実と赤い種子の色のコントラストがきれいです。

ニシキギ(Euonymus alatus)
<ニシキギ目・ニシキギ科・ニシキギ属>
ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木で在来種。
見事な紅葉が見られることから、庭木や生垣、盆栽にされることが多い。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。
樹高は1〜4mで、枝は初め緑色で2稜か4稜がある。
後に、2個か4個のコルク質の翼が伸びてきて、色も茶色くなる。
葉は対生し、葉身は長さ5〜10cmの楕円形で、先が尾状に尖り、縁に鋸歯がある。
花期は4月〜6月で、葉腋に小さな集散花序を多数付け、数個の花が付く。
花は直径9mm前後の4弁花で、半円形の萼片が花弁と45度ずれて付く。
花弁は淡黄緑色〜緑色で、4個のオシベが萼片と同位置の花弁の間に付く。
果実は長さ十数mmの楕円体の刮ハで、赤褐色に熟し、4裂して乾くと暗褐色になる。
裂開すると、赤橙色の仮種皮に包まれた卵形の種子が垂れ下がる。
この頃になると、葉が真っ赤に紅葉して見頃を迎える。

花よりも真っ赤に紅葉した葉を楽しむために栽培されていることが多い木です。
和名も、錦織りのようにきれいに紅葉する事に由来しています。

マユミ(Euonymus sieboldianus)
<ニシキギ目・ニシキギ科・ニシキギ属>
ニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木で、在来種。
材質が強い上によくしなるため、古来より弓の材料として知られ、それが和名の由来になっている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、インド、ネパール、アフガニスタン、タイなどに広く分布する。
樹高は3〜5mで、幹は灰褐色。古くなると縦に筋が入り裂ける。枝には鈍い4稜がある。
葉は対生して無毛。葉柄は長さ10o程で、葉身は長さ10p前後の長楕円形。縁に細かい鋸歯がある。
花期は5月〜6月。本年枝の葉より下の芽鱗痕の脇から集散花序が出る。
花序には、まばらに1〜7個、直径10o程の緑白色の小花を付ける。
花弁は4個、オシベは緑色の四角形の花盤の上に4個付く。
花柱には長短の2型あり、花柱の長いものは雄しべが短い。
果実(刮ハ)は、長さ1p程の倒三角形、4個の稜があり、10〜11月に淡紅色に熟す。
熟すと4裂し、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔をだす。

ニシキギ同様に秋には赤く紅葉しますが、ニシキギほど鮮やかな赤ではありません。
ニシキギよりも深みのある赤い色に紅葉します。また、大きめの淡紅色の果実も楽しめます。

ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
<ブドウ目・ブドウ科・ツタ属>
ブドウ科ツタ属のつる性の落葉木本で、在来種。
北海道から本州、四国、九州と全国の山野に分布する。
ツルは太いもので数cmになり、古いツルの樹皮は黒褐色。
本年枝の樹皮は赤褐色〜黄褐色で無毛。丸い皮目が多数ある。
葉には2種類あり、花の付く短枝の葉は大きく、長い葉柄がある。
葉身は長さ5〜15cmの広卵形で、上部は3裂して先は鋭く尖り、縁にはまばらな鋸歯がある。
花の付かない長枝の葉は、小さくて葉柄も短い。葉身は単葉〜3深裂するものまで多様。
短枝の先に集散花序を出し、直径5mmほどの黄緑色の5花弁の花を付ける。オシベは5個。
果実は液果で、直径5〜7mmの球形で、秋には藍黒色に熟す。

ブドウ科で赤く紅葉するものといえば、ツタが最右翼でしょう。
秋に壁一面に張り付いたツタが赤く紅葉すると、一気に華やかになりますね。

アマヅル(Vitis saccharifera)
<ブドウ目・ブドウ科・ブドウ属>
ブドウ科ブドウ属ののつる性落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州の東海地方以西、四国、九州に分布する。
樹皮は褐色で、縦の筋がある。葉は互生し、葉身は長さ幅共に4〜7cmの三角状卵形。
葉身の先は尖り、基部は浅い心形。枝先の葉は三角形に近くなり、細長くなる。
葉の縁には先が小突起になる波状の浅い鋸歯(内曲した凸波状)があり、葉の両面に光沢がある。
なお、葉と対生して出る巻ひげは、ブドウ属の特徴である2節出て次の1節は出ないを繰り返す。
花期は5月〜6月で、雌雄異株。長さ4〜6cmの円錐花序を葉と対生に付ける。
ツボミは球形。花は黄緑色で、花弁5個は先がゆるく癒合し、開花時に外れて落ちる。
雄花のオシベは5個は4o前後で長く伸び、雌花のオシベは短く、外に反り返る。萼は浅い杯状。
果実は直径6mm前後の球形の液果で、黒く熟し、甘くて美味。
葉や茎を切った時に出る汁には甘みがあり、これが和名の由来となっている。

よく似たサンカクヅルとは、以下の点で区別できる。

・アマヅルは植物体に甘みがあり、サンカクヅルにはない。
・アマヅルの葉には光沢があるが、サンカクヅルには光沢がない。
・アマヅルの鋸歯は凸波状であるが、サンカクヅルは凹波状である。

ブドウ科には赤く紅葉するものが多いのですが、アマヅルもその1つです。
赤といっても深みのある色合いで、渋い紅葉が見られます。

エビヅル(Vitis ficifolia)
<ブドウ目・ブドウ科・ブドウ属>
ブドウ科ブドウ属のつる性落葉低木で、雌雄異株。
日本では、北海道西南部から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
葉の大きさは5〜6cm程度で、切れ込みの浅いものと、深いものの二通りがあり、裏面はクモ毛に覆われる。
円錐花序を出し、黄緑色の小花を密生させる。
果実は、1cmほどになり、熟すと黒くなる。食用になるが特有の青臭いにおいを持つ。

ブドウ科には赤く紅葉するものが多いのですが、エビヅルもその1つです。
この写真の葉は、赤と暗赤色のまだら模様に紅葉していました。奥の葉は、まだ、緑色が残っています。

コアジサイ(Hydrangea hirta)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属・アジサイ節・コアジサイ亜節>
アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州の関東以西から、四国、九州に分布する。
山地や丘陵の明るい林内や林縁、林道沿いや伐採跡地など、山地の明るい場所に多い。
樹高は0.5〜1mで、幹は下部で分岐し、枝は横に広がる。樹皮は縦にひび割れて薄くはがれる。
葉は対生し、長さ4〜8cmの広卵形。先は鋭く尖り、基部は広いくさび形で、鋭く大きな鋸歯がある。
葉質は薄い草質で、両面とも毛が散生し、秋に鮮やかに黄葉する。
花期は5月〜6月で、枝先に直径5cm前後の散房花序をつける。
装飾花はなく、直径5mmほどの両性花のみを多数付ける。
青く縁どられた白色の花弁は5個で、10個のオシベは花糸が青く、花弁より長い。葯は黄白色。
花柱は2〜4個で、萼片は卵状三角形。花柱、萼片とも果時まで残る。
果実は直径2mm前後の卵形で、頭部に花柱が残存する。熟すと花柱の間で裂開して種子を出す。

渓流沿いでコアジサイが黄色く色付いていました。
大きな木にはならないのであまり目立ちませんが、渓流とのマッチングは良いですね。

ヤマハゼ(Toxicodendron sylvestre)
<ムクロジ目・ウルシ科・ウルシ属>
ウルシ科ウルシ属の落葉小高木で、在来種。雌雄異株。
関東地方〜九州の暖地の山地に生え、樹高は8m程になる。
葉は長さ40cmの奇数羽状複葉で互生し、5対前後の小葉がある。
葉腋から円錐花序をだし、黄緑色の小さな花を多数付ける。
雌株には、10mm程の扁球型の果実(核果)が多数、ぶら下がるように付く。

ヤマハゼは、秋には赤く色づくウルシ科の1つですが、葉が大きいので目を引きます。
同属のウルシ、ヤマウルシなども紅葉しますが、ヤマハゼも含めてかぶれることがあるので注意が必要です。

ヌルデ(Rhus javanica)
<ムクロジ目・ウルシ科・ヌルデ属>
ウルシ科ヌルデ属の落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、中国、台湾、東アジアから東南アジアに分布する。
樹高は10m程になり、幹は灰白色。若い枝は紫褐色で楕円の皮目がある。
葉は、9〜13枚の小葉からなる奇数羽状複葉で、葉軸には翼がある。
小葉は、長さ10cm前後の長楕円形で、縁には鋸歯がある。裏面全体に毛が密生する。
秋には真っ赤に紅葉する。春の新芽も赤い。
花期は8月〜9月で、円錐花序を出し、多数の小花を付ける。雌雄異株。
雌花には3裂したメシベが、雄花には5本のオシベがあり、白い花弁は反り返る。
秋に直径5o程の扁平な果実を付けるが、その表面はリンゴ酸カルシウムの白い結晶で覆われる。
葉に、ヌルデシロアブラムシが寄生すると、大きな虫えい(虫こぶ)を作る。
虫えいは、五倍子と呼ばれ、タンニンを豊富に含むため、皮なめしや黒色染料の原料に使われた。

ヌルデは、秋には赤く色づくウルシ科の樹の1つです。
ただ、瀬戸内の温暖な気候のためか、紅葉する前に枯れ始めて、きれいな色にはなりませんでした。
なお、ウルシほどではないですが、人によってはかぶれることがあるので注意が必要です。

センダン(Melia azedarach)
<ムクロジ目・センダン科・センダン属>
センダン科センダン属の落葉高木。別名としてオウチ(楝)、アミノキなどがある。
日本では、四国、九州、沖縄に自然分布する。ただ、最近は、本州の関東以西にも自生が見られる。
海外ではアジア各地の熱帯、亜熱帯地域に分布する。
樹高は15 mほどになり、成長はかなり早い。
若い樹皮は紫褐色で、楕円形の小さな黄斑な点在する。太い幹は樹皮が縦に裂け、凹凸ができる。
葉は互生し、奇数2〜3回羽状複葉で、全体では数十p以上の大きさになる。
小葉は楕円形で、浅い鋸歯があり、薄くて柔らかい。
花期は5月〜6月で、若枝の葉腋に円錐花序を出し、淡紫色の5花弁の花を多数付ける。
果実は長さ2cm程の楕円形の核果で、晩秋に黄褐色に熟し、落葉後もしばらく残る。


10日程前までは、まだ、青々としていたセンダンの樹が、一気に黄葉してきました。
黄葉した葉に隠れるように、たくさんの黄色く熟した果実も付いています。
ただ、この姿が見られたのは短い間で、その後の寒気で、あっという間に落葉してしまいました。

イロハモミジ(Acer palmatum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに分布する。
日本では最もよく見られるカエデ属で、秋には黄褐色から紅色に紅葉する。
葉は対生し、掌状に5〜9深裂し、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことが和名の由来。
4〜5月頃、本年枝の先に暗赤色の花が垂れ下がってつく。雄花と両性花がある。
5個の暗紫色の萼片と、5個の黄緑色もしくは紫色を帯びる花弁を持つ。
果実は翼果で、10〜15mm程の翼があり、熟すと風で飛ばされる。

紅葉の代表種と言えば、このイロハモミジです。真っ赤に色付くので人気があります。
ただ、日当たりが悪いと赤くならず、黄葉で終わってしまいます。
緑色から黄色、赤と順次色付いていく、グラデーションの変化も美しいものがあります。
瀬戸内にある実家のイロハモミジは、温暖なためかきれいに紅葉する前に落葉してしまいます。
そのように落葉した葉には、2色や3色の源平のような色付き方をしたものがあります。

オオモミジ(Acer amoenum Carr.)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、在来種。
日本では、北海道中部以南〜本州、四国、九州の太平洋側に分布する。海外では朝鮮半島に分布する。
樹高は10〜15mで、幹は灰褐色。滑らかで、古くなると樹皮が縦に浅く裂ける。
葉は対生し、葉柄は3〜5cmで、葉身は5〜12cm。掌状に5〜9裂し、細かな短鋸歯がある。
なお、葉の切れ込みはやや浅く、ヒロハモミジの別名があるが、変異があり深裂するものもある。
秋には色付きくが、個体差があり、紅葉、黄葉、源平(緑、黄、赤が混じる)が見られる。
花期は4月〜5月。雌雄同株で、同じ花序に雄花と両性花が混じる。
複散房花序に数十個の花が付き、花の直径は4〜6mm。花弁は5個で、淡紅色から帯紅色。
オシベは8個で、萼片は暗紅色。翼果は葉の下に垂れ下がり、開いたV字型かU字型になる。

イロハモミジ同様、オオモミジの紅葉も見事で、葉が大きい分、見応えもあります。
ただ、個体によっては黄葉で終わってしまうものもあり、全てが紅葉するわけではありません。
また、生長が早く、剪定を好まないため、庭への植栽には注意が必要なようです。

ウリカエデ(Acer crataegifolium)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
ムクロジ科カエデ属の落葉小高木で、日本固有種。雌雄異株。
日本では、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
樹高は5〜8mで幹は直立して直径は5〜10cm、樹皮は青緑色を帯び縦に濃緑色の筋が入る。
今年枝は緑色から暗紅紫色で、花時のみ縮毛があるが、後に落ちる。
葉は対生し、葉身は長さ4〜8cmの長卵形で、分裂しないか、3浅裂、稀に5浅裂する。
先は尾状に尖り、基部は浅い浅心形。縁には不ぞろいな重鋸歯がある。
花期は4月〜5月で、有花枝の先から長さ2〜5cmの総状花序を出し、淡黄色の花を10個前後付ける。
雄花には長さ3〜4oの萼片と4〜5oの花弁が各々5個あり、長さ2oほどのオシベは8個ある。
雌花には長さ2o前後の萼片と8o前後の花弁が各々5個あり、長さ1mmほどの退化オシベは8個ある。
雌花の子房には赤褐色の短毛があり、2裂する花柱は外曲する。
果実は翼果で、長さ2cm前後の2個の分果は無毛。翼は水平に開いて赤みを帯び、6月〜10月に熟す。

谷に張り出した枝が日に当たり、黄葉がまぶしいくらいに目立っていました。
比較的大きな葉なので、日が当るとかなりインパクトがあります。

















inserted by FC2 system