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室堂・上高地を巡る旅 [2004/8/1〜3]



夜行バスに乗って富山から入り、室堂、黒部を経て大町に降り、そこで1泊。
翌日、上高地に立ち寄って、帰路に就くといういささか強行スケジュールのバスツアーに参加しました。
室堂から黒部ダム辺りには、一度行ってみたいと思っていたので、ちょうど良かったです。
早春に見られる「雪の大谷」の高さ15〜20mといわれる雪の壁も一度見てみたいと思っています。
これは、次の機会に置いておくとして、夏でも雪渓の残る室堂を散策するのもいいかもと思いました。
実際、室堂に着いて、地獄谷などを散策しましたが、ミドリガ池などには雪渓が残っていました。
もう1〜2ヶ月早かったら、いろいろな高山植物が咲いているのを見られたかもしれません。
室堂を後にして、立山トンネルトロリーバス、立山ロープウェイ、黒部ケーブルカーと乗り継いで降りて行きます。
立山ロープウェイは、支柱がないワンスパン方式なので、視界を遮るものがなく眺望は最高です。
黒部湖をちょこっと眺めた後、急き立てられるように関電トンネルトロリーバスで扇沢駅に降りました。
待っていたバスに乗って、今日の宿泊先である安曇野の宿に直行です。
翌日は上高地へ直行しました。散策可能な時間から大正池を外して、明神池に行くことにしました。
河童橋からはどちらも似たような距離なのですが、上ってくるときに大正池はちらっと見えたためです。
さて、河童橋を出発し、梓川の左岸を上流に向かって登っていきます。片道1時間余りの距離です。
河童橋に戻ってバスに乗り、帰路に就きました。



室堂・上高地を巡る旅
インデックス


室堂

夜行バスに乗って、新宿から一路富山を目指し出発です。うつらうつらしている内に富山に到着。
ここから立山黒部アルペンルートを使って、室堂を目指します。
室堂近くの雪の大谷辺りでは、春先には10mを越す雪の壁が見られますが、今はありません。
室堂でバスと分かれ、バスは一足先に降り口である扇沢駅へ向かい、ツアー客の到着待ちです。
降りたツアー客は、三々五々、室堂を散策です。私は地獄谷をグルっと周ってくることにしました。
ミクリガ池の縁には大きな雪渓が残っており、地獄谷ではボコボコと蒸気が泥を吹きだしていました。
雷鳥沢のキャンプサイトには色とりどりのテントが並び、赤い血の池が緑に映えていました。
もう少し時間があれば、ゆっくりと散策できるのですが、時間に追われてそそくさと周ってきました。


<真砂岳>             <立山>     .
室堂に着き、バスを降りた後、室堂の駐車場から遊歩道へ向かいながら撮った写真です。
右手の高い山の並びが立山で、3つの峰の総称です。左手のなだらかな高みは真砂岳(まさごだけ)です。
立山(たてやま)は、立山連峰の主峰で、中部山岳国立公園を代表する山の一つです。
右から雄山(おやま/3,003m)、大汝山(おおなんじやま/3,015m)、富士の折立(ふじのおりたて/2,999m)
の3峰からなり、雄山のみを指して立山ということもあるようですが、厳密には立山という単独峰はありません。


<大日岳>           <剣御前>           <浄土山>
左端は、大日岳(だいにちだけ)です。その左手のくぼみからは遠く富山市方面の街並みが見えていました。
中央は、剣御前(つるぎごぜん)です。手前の遊歩道の先にそびえていますが、間にはミクリガ池や雷鳥沢があります。
剣御前の次に別山(写真はありません)があり、その隣が前述の真砂岳で、立山へと連なっています。
立山の隣が、右の写真の浄土山(じょうどさん)です。ちょっと変わった形をしているので分かり易いですね。



遊歩道を進んでいくとミクリガ池が見えてきました。池の右岸には雪渓が残っています。
後方右側に浄土山が、左側に立山(左から雄山(おやま)、大汝岳(おおなんじやま))が見えています。
ミクリガ池は、標高2,405mに位置する池で、池の周囲長は631m、水深は15mです。
池の北西の畔には、日本で最も高度の高い所にある温泉宿「みくりが池温泉」があります。
立山火山の火口湖の1つで、冬季は完全氷結し、夏まで残ることがありますが、この時にはありませんでした。
秋の紅葉の時期には、立山三山の三段染めが水面に映る様は絶景として有名です。
この時は、水面が波立っていて、山々が水面に映ることはありませんでした。

 



さらに遊歩道を降りていくと地獄谷に着きました。
遠くに蒸気が上がっている所があり、足元でもボコボコと泡を噴き上げていました。
地獄谷は、遊歩道以外への立ち入りが禁止されており、硫化水素の発生もあるようです。
この地獄谷一帯は、環境省によって4月〜6月と11月に通行規制により、立ち入り禁止になります。

 
  <立山連邦>                <雷鳥沢キャンプ場>
左の写真は、遊歩道を上ってきて、振り返って撮った立山連峰です。
左の富士の折立(ふじのおりたて)、中央の大汝山(おおなんじやま)、右の雄山(おやま)が良く見えていました。
右の写真は、左の写真のさらに左側に見える雷鳥沢キャンプ場(左下)です。
右上の方に見えているのは、真砂岳(まさごだけ)ですね。立山連峰が右端に少しだけ写っています。

 
<リンドウ池>                 <血の池> .
ミクリガ池同様、ミドリガ池やリンドウ池、血の池も立山火山の火口湖です。
リンドウ池はたいへん小さい池で、湖底の岩が所々水面に顔を出すほど浅く、深い所でも水深は1mほど。
ここにも雪渓が残っていました。後に見えているのは雷鳥荘です。
右の写真は血の池で、池と名前が付いていますが、湿地帯に近く、水溜りのような池がいくつか集まっています。
酸化鉄を多く含んでいるため、湖水や湖底の泥に赤い色が付いています。

一回りして元の場所に戻ってきたところで、黒部ダムの方へ降りるため、立山トンネルトロリーバスに乗りました。
トロリーバスを降りた所が大観峰です。

黒部ダム

黒部ダムは、富山県東部の立山町を流れる黒部川水系の黒部川に建設された、水力発電専用のダムです。
1956年(昭和31年)着工、171人の殉職者と7年の歳月をかけて、1963年(昭和38年)に完成しました。
北アルプスの立山連峰と後立山連峰にはさまれた黒部渓谷にある黒部ダムは、アーチ式コンクリートダムで、
富山湾に面する黒部市から直線距離で約40km南東に、長野県大町市から直線距離で約20km西にあります。
ダム右岸にある取水口から、山中に掘られた導水路を通って、約10km下流の地下にある黒部川第四発電所に送られます。
ダムとの有効落差は545.5mあり、最大出力33万5000kW(建設当時25万8000kW)を誇ります。
堤高186m、堤頂長492mあり、その貯水量は2億立方mで、北陸地方屈指の人造湖「黒部湖」が形成されました。





室堂から立山トンネルトロリーバスで降りたところが大観峰で、断崖絶壁に建っています。
そのため、駅の屋上展望台以外、外に出ることができません。
展望台から一望する黒部湖や後立山の大パノラマは、アルペンルート屈指の眺望となっています。
写真に写っている立山ロープウェイは、支柱が1本もない「ワンスパン方式」と呼ばれている方式です。
出発点から到着点までの距離は約1.7kmあり、約7分で到着します。その間、遮るものがない景色が楽しめます。
1970年(昭和45年)7月に運行をスタートし、写真のゴンドラは2代目(1988年4月運行開始)です。
現在は3代目が、2012年4月から運航されており、ブルーを基調としたデザインに変わっています。



立山ロープウェイで黒部ダムに降りてきて、ダム上から撮った黒部湖で、広すぎてカメラの写野に収まりません。
黒部湖の色も上からはコバルトグリーンに見えましたが、ここではさらに淡い浅松緑に見えます。
それにしても広いですね。黒部湖の周りには、遊歩道が整備されているそうですが、それは次回のお楽しみです。
ちなみに、写真の右側で、遠くにぼんやりと見えているのは、赤牛岳です。

この後、関電トンネルトロリーバスで麓の扇沢駅へ向かい、先乗りの迎えのバスに乗って宿に向かいます。

このトロリーバスですが、2018年11月30日で運行は終了し、2019年4月からは電気バスになるそうです。
写真を撮っておけばよかったと後悔しています。残念。

上高地

上高地は、長野県西部の飛騨山脈南部の梓川上流にあり、中部山岳国立公園の一部になっています。
国の特別名勝、特別天然記念物の指定も受けており、穂高連峰をバックにした河童橋は人気スポットです。
大正池から横尾までの約10km、最大幅約1kmあり、焼岳火山群の白谷山の噴火で梓川がせき止められ、
できた池に土砂が堆積してできた堆積平野と考えられています。
最も新しい大正池は、1915年(大正4年)の焼岳噴火の泥流が、梓川をせき止めて形成されました。
池にある立ち枯れの木々は人気スポットの1つですが、近年、流入する土砂で池が浅くなっているそうです。
明神池は、一之池と二之池からなり、池畔には穂高神社奥宮が鎮座する神域です。
明神岳の崩落でせき止められた池で、常に伏流水が湧き出ているため、冬季でも全面結氷しません。
標高は約1,500mで、冬季の平均気温は−7.7℃(最低気温は−30℃以下)と厳しい寒さとなります。
一部には夏季でも平均気温が10℃に届かないところがあり、ツンドラ気候となっているそうです。

「かみこうち」は、本来、「神垣内」と書かれたいましたが、後に「上高地」の漢字表記が一般化したそうです。
穂高神社の祭神「穂高見命(ほたかみのみこと)」が穂高岳に降臨し、この地に祀られたことが名の由来とか。

翌日、安曇野の宿を出発し、今日の目的地である上高地に向かいます。



まずはお約束の河童橋と穂高連峰の1ショットです。
川沿いに木があるので、意外とうまく収まる所は少なかったです。
左端に奥穂高岳(3,190m)がギリギリ入り、その右のくぼんでいる所が吊尾根です。
そこから駆け上がって、手前の尾根から少し顔を出しているのが前穂高岳(3,090m)です。
その右、中央辺りの小さな出っ張りの左が明神岳(2,931m)になります。
その右の方にあるこんもりと盛り上がっている所は、明神岳X峰(2,726m)です。
手前を流れる梓川は、透明度が高い清流で、深い所では若干青味を帯びています。

この後、河童橋を渡り、右岸の明神自然探勝道を上流の明神池に向かう、1時間ほどの行程です。
樹林帯の中を進むコースで、途中に湿原や小川があり、変化があって楽しく散策できました。

 
<明神池 一之池>                <明神池 二之池>

梓川沿いに出て、正面に明神橋が見えてくると、間もなく穂高神社奥宮と明神池に到着です。
安曇野の穂高にある北アルプスの総鎮守、穂高神社の奥宮です。
ここで拝観料を払って中に入ると、すぐに明神池 一之池が見えてきます。
明神岳から常に伏流水が湧き出ているため、水は澄んでいて、イワナが棲んでいるそうです。
一之池から左に進むと、ちょっと趣が異なる二之池に出ます。
大きな岩などがあって、人も少ないため、いかにも山間の池といった雰囲気があります。


<明神池 二之池と明神岳X峰>

明神池からは明神岳を見ることができます。
最も高いピークに見えているのが明神岳X峰(2,726m)で、その右の高みはW峰だと思います。

あまりゆっくりとしてもいられないので、帰りは明神橋を渡り、行きの対岸を戻ります。
明神池から少し戻ると右手に嘉門次小屋がありました。時間がないので、今回はパス。
鳥居を抜け、左手に折れると明神橋(2003年(平成15年)に架け替えられた新しいつり橋)があります。
橋を渡って、さらに進むと明神館がありました。右に曲がって、歩道を河童橋まで戻りました。

 

その歩道を河童橋に戻っている途中で見かけたのが、メタカラコウとアサギマダラです。
今回の旅行で、唯一見かけて撮った野草と蝶です。

メタカラコウ(Ligularia stenocephala)<キク目・キク科・キク亜科・メタカラコウ属>
キク科メタカラコウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国や台湾に分布する。
見た目はオタカラコウに似るが、葉の形がオタカラコウは腎円形で、メタカラコウより丸みがある。
また、オタカラコウは、花序がメタカラコウより短く、頭花が大きくて、舌状花が5〜9個と多い。

アサギマダラ(Parantica sita niphonica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・
タテハチョウ科・マダラチョウ亜科・アサギマダラ属>

タテハチョウ科アサギマダラ属に分類されるチョウで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、標高の高い山地に多くが生息する。
海外でも、朝鮮半島から中国、台湾、ヒマラヤ山脈まで広く分布している。
長距離移動する蝶として知られており、長年、マーキング調査が行われている蝶である。
秋に日本本土から南西諸島や台湾へ、初夏から夏に逆に北上する渡りが確認されている。

歩道が整備されていたので、行きより短い40分ほどで、バスターミナルに着きました。
バスの出発まで、少し時間があったのでバスターミナルで一息入れ、そのあとバスで帰路に就きました。









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