ホーム旅の見聞録網引湿原>網引湿原で見かけた野草(U)


網引湿原で見かけた野草(U)



加西市網引町にある県内有数の滲水湿原である網引(あびき)湿原とその周辺で見かけた野草たちです。
湿原の植物群落は、イヌノハナヒゲ群落、ヌマガヤ群落の2群落に大きく分かれていて、
トキソウやサギソウ、ムラサキミミカグサ等の希少植物が確認されています。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の草本を追加しました。
ムスカリ、アリアケスミレ、コスミレ、ニオイタチツボスミレ、ノジスミレ、ホトケノザ

今回、下記の写真を追加しました。
オオイヌノフグリ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
キジカクシ目
アヤメ科(ノハナショウブ、オオニワゼキショウ、ニワゼキショウ)
キジカクシ科(ヒメヤブラン、ムスカリ、ミズギボウシ)
ススキノキ科(ユウスゲ)
ヒガンバナ科(ヤマラッキョウ、ナツズイセン)
ラン科(カキラン、キンラン、サギソウ、コバノトンボソウ、トキソウ)
キントラノオ目
スミレ科(アリアケスミレ、コスミレ、ツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、
     ノジスミレ)
トウダイグサ科(アカメガシワ、オオニシキソウ)
キンポウゲ目
キンポウゲ科(センニンソウ)
ツヅラフジ科(アオツヅラフジ)
シソ目
オオバコ科(オオイヌノフグリ)
キツネノマゴ科(キツネノマゴ)
シソ科(アキノタムラソウ、カキドオシ、トウバナ、ホトケノザ、クサギ、
    タツナミソウ)
タヌキモ科(ホザキノミミカキグサ)
網引湿原で見かけた野草(U)
和名インデックス


ノハナショウブ(Iris ensata var. spontanea)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・アヤメ連・アヤメ属>


アヤメ科アヤメ属の多年草で、在来種。ハナショウブの原種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、シベリアにかけて分布する。
草丈は数十cmから1mに達するものもある。
葉は根際から生え、剣状で全縁。表面中央には太い中央脈が目立つ。
花期は6月〜7月で、赤紫色の内花被片と外花被片が3枚ずつある。
赤紫色の外花被片基部に黄色の筋が入る。内花被片は狭長楕円形で直立する。

2022/6/18
第1湿原や第2湿原の外れにノハナショウブが所々で群生していました。
同じノハナショウブの花にも個性があるのか、かなり見た目が異なりるものがありました。
ノハナショウブのツボミを初めて見たのですが、ハナショウブと比べるとかなり細長いですね。

いろいろなアヤメ属の花に関しては、こちらのページにまとめてあります。
また、いろいろなハナショウブの種類に関しては、こちらのページにまとめてあります。

オオニワゼキショウ(Sisyrinchium iridifolium var. laxum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>
 
アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する。
ニワゼキショウと同じような環境に普通に見られるため、両種が混生していることがある。
草丈は20〜30cmとニワゼキショウより大きいが、花は逆に小さく、さく果は大きい。
茎は基部で枝分かれし、扁平でごく狭い翼がある。幅は3o前後。
葉は幅4mmほどで、茎を抱き、茎に沿って直立する。茎の先に細い花柄をだし、小さな花を次々に開く。
花期は5月〜6月で、直径10mm程の淡青紫色の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、内花被片はやや短く細い。
刮ハは直径5o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2022/6/18
網引湿原入口の駐車場の近くで見かけたオオニワゼキショウです。
数株が株立ちして、そこそこの数の花を付けていました。


2023/5/4
網引湿原のバイオトイレの近くで見かけたオオニワゼキショウです。
オオニワゼキショウの花の基部は丸く膨らんでいて、子房も丸みがあって比較的大きい。


オオニワゼキショウとニワゼキショウの花

     .
     .
<オオニワゼキショウ>            <ニワゼキショウ> .
同じ倍率ではないので分かりにくいですが、オオニワゼキショウの花はニワゼキショウより小さいです。
ニワゼキショウの花には、白色と赤紫色のものがあり、中央部はどちらも黄色です。
オオニワゼキショウの花は淡青紫色で、内花被片と外花被片の幅に明瞭な差があります。
花の基部の形状も、円柱状のニワゼキショウに対して、オオニワゼキショウは丸く膨らみます。
その下部の子房は、オオニワゼキショウが丸みがあって大きいのに対して、ニワゼキショウは小さいです。
この子房の大きさの違いが、果実になった時の大きさの違いとなって現れます。


ニワゼキショウ(Sisyrinchium rosulatum)
<キジカクシ目・アヤメ科・アヤメ亜科・ニワゼキショウ連・ニワゼキショウ属>

アヤメ科ニワゼキショウ属の1年草。北米が原産地の帰化植物。
日本では全国の痩せ地に普通に見られる。芝生や草地などに群生する。高さ10〜20cmになる。
茎は扁平でごく狭い翼がある。葉は幅2〜3mm。茎の先に細い花柄をだし、小さな花を次々に開く。
花期は5月〜6月で、直径15mm程の小さな花を咲かせる。
花弁は内花被片、外花被片各々3枚からなり、両者の長さは変わらないが、内花被片はやや細い。
花色は白のものと赤紫のものがあり、中央部はどちらも黄色である。
花は、受精すると、一日でしぼんでしまう。
刮ハは直径3o前後の球形で、紫色を帯びた黄褐色。

2022/6/18
バイオトイレと最初の獣害防止ゲートの間で、通路脇で2個だけ花を付けていました。
この周囲では、この場所以外では見ていませんので、ここでは少数派のようです。


2023/5/4
網引湿原のバイオトイレの近くで見かけたニワゼキショウです。
ここでは白い花と赤紫色の花が混在して咲いていました。
ニワゼキショウの花の基部は筒状であまり膨らみません。子房も小さくて、あまり目立ちません。
※ オオニワゼキショウとニワゼキショウの比較に関しては、こちらにまとめましたのご参照ください。

ヒメヤブラン(Liriope minor)
<キジカクシ目・キジカクシ科・スズラン亜科・ジャノヒゲ連・ヤブラン属>

キジカクシ科ヤブラン属に属する多年草で、在来種。
日本では、北海道西南部より本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島〜中国、台湾、フィリピンに分布する。
草丈は10〜20cmで、ヤブランより全体に小型である。
ヤブランが日影を好むのに対して、ヒメヤブランは日当たりの良い場所を好む。
根茎は短く、横に長い匍匐枝を出して増え、根は先端付近で肉質の紡錘形に太くなる。
葉は長さ7〜20cmの狭線形で根出し、葉脈は5本で、基部は膜質の鞘になる。
花期は7月〜9月で、根出葉の間から葉より短い長さ6〜15cmの花茎を直立して出す。
上部に総状に花序を付け、直径10mm前後の花を5〜12個付ける。
花は淡紫色か白色で、長さ2〜3mmの花柄があり、上向きに1〜3個咲く。
花被片は6個で、長さ3.5mm前後の長楕円形。平開する。
オシベは6個で、花糸は長さ1.5mm前後で太く、黄色い葯も長さ1.5mm前後で先が丸い。
子房上位で、3室あり、各室に2個の胚珠がある。花柱は円柱状で、小形の柱頭がある。
花後、果皮は早期に破れ、小さい種子が果実から裸出して成熟する。
種子は直径4〜5mmで、紫黒色に熟す。種子なので花柱の跡がなく、中には胚乳がある。

2022/8/9
第2湿原脇の通路を歩いていて、足元に咲くヒメヤブランに気が付きました。
見つけたときには、たぶん、ジャノヒゲの原種ではないかと思っていました。
後で調べると、かなり花茎が長く、花が平開しているなど、ジャノヒゲとは草姿が異なります。
調べていくと、ジャノヒゲに近いヤブラン属のヒメヤブランと分かりました。


2023/7/18
第2湿原の入口近くにある広場から木道の方へ歩いていたとき、足元で咲くヒメヤブランに気づきました。
小さな群落になっていて、ポツリポツリと花を付けていました。

ムスカリ(Scilla hispanica)
<キジカクシ目・キジカクシ科・ツルボ亜科・ツルボ属>
 
キジカクシ科ムスカリ属の多年草で、南アフリカ共和国ドラケンスバーグ山脈周辺の高原が原産地。
日本には、園芸品種として移入され、庭などで栽培されることが多い。
草丈は15〜20pほどで、葉は長さ10〜15p程の線形。
花期は3月〜5月で、ブドウ房のように卵状壺形の青色の花を付ける。
近年、人気品種となって、各地の公園などに植栽され、逸出して野生化したものが見かけられる。
良く見かけられる品種は、比較的大柄なアルメニアカム(Muscari armeniacum)、
小型のアウケリ(Muscari aucheri)、ネグレクタム(Muscari neglectum)などである。

2024/4/12
網引湿原の第1獣害防止ゲート手前の通路脇で、ムスカリが花茎を5本立ち上げて咲いていました。
最近、逸出したムスカリを、いろいろな場所で見かけるようになりましたね。

ミズギボウシ(Hosta longissima Honda ex F. Maek.)
<キジカクシ目・キジカクシ科・リュウゼツラン亜科・ギボウシ属>

キジカクシ科ギボウシ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の愛知県以西から四国、九州に分布しており、日当たりのよい湿地に生える。
草丈は40〜65cmで、葉身は長さ15〜30pの線形で、直立〜斜上する。
日本に分布する同属の中では、葉の幅が一番狭く、全縁で表面には光沢がある。
花期は8月〜10月で、花茎を伸ばし、淡紫色の花を横向きに3〜5個付ける。
花は長さ4p前後の漏斗型であまり開かず、内側に濃紫色の筋があって、透明線は長い。
オシベは花冠の外にほとんど出ず、基部の船型の苞は小さく、開出しない。
よく似たコバギボウシより葉が細く、花数が少なくて、花冠はあまり開かないのが特徴。

2022/8/9
第2湿原では、所々でミズギボウシを見かけました。
正面からの花の写真を撮りたいと探し回ったのですが、通路側を向いた花はありませんでした。
この花を最初に見たとき、貧弱なコバギボウシだなと思っていました。
念のため確認してみると、花数が少なく、葉が細いミズギボウシだと分かりました。


2022/8/16
前回来た時は、咲いているミズギボウシが全て、通路側に背を向けていました。
今回は、通路側に向かった花を開いているものがちらほら見られ、正面からの写真が撮れました。

 
2022/8/27
第2湿原の縁の方で、他の野草と混生している所で草丈が1mを越える本種を見かけました。
日当たりが悪いので徒長したのかもしれませんが、他の場所で見たものの倍以上の高さがありました。


コバギボウシ



見た目は似ていますが、花数や花冠の開き方などには大きな違いがあります。
最初に見た印象が、貧弱なコバギボウシだったのですが、あながち、間違いではないと思います。


ユウスゲ(Hemerocallis thunbergii)
<キジカクシ目・ススキノキ科・キスゲ亜科・ワスレグサ属>

キスゲ科ワスレグサ属の多年草で、本州から四国、九州に分布する。
海外では中国でも見られる。
草丈は1〜1.5mになり、長さ50cm前後の線形の葉が2列に交互に出て、扇形になる。
花期は6月〜7月で、花茎は1〜1.5mほどで、花序が分枝して次々に咲き続ける。
花色は淡黄色で、長さ8cm前後の6個の花被片は少し反り返る。
オシベ6個とメシベは、ほぼ同じ長さで、メシベがやや長い程度。
他のワスレグサ属が朝に開花するものが多いのに対し、本種は夕方に開花する。
1日花で、翌日の昼頃には閉じてしまう。

2023/7/18
網引湿原の駐車場近くで、通路脇の柵からユウスゲが花茎を伸ばしていました。
昼頃には萎れてしまう1日花ため、昨夕咲いた花は半ば萎れていました。


2023/7/18
奥池の畔で見かけたもので、岸に沿って多くのユウスゲが花茎を立ち上げていました。
これらが一斉に咲いているところが見られたら、見応えがありそうです。
しかし、網引湿原に入れるのは9:00〜17:00なので、開花するところを見ることはできなさそう。
朝一で来れば、萎れる前の花は見られるかもしれません。

 
2023/7/18
第3湿原の奥の遊歩道脇で見かけたユウスゲで、今夕に開花するツボミが準備されていました。
やや乾燥したこのような場所を好むのですが、奥池では水際に分布しています。


ユウスゲの花

     .
2010/8/7 13:00              2013/8/3 8:09
八ヶ岳自然文化園の林縁や林内で見かけたユウスゲの花です。
環境に依存すると思いますが、昼頃でもしっかりと開花していることもあります。


ヤマラッキョウ(Allium thunbergii)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ネギ亜科・ネギ連・ネギ属>

ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、在来種。
日本では、本州の秋田県以南から四国、九州の山地の草原に自生する。
世界では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
地下の鱗茎は、長さ2〜3cmの狭卵形で、外皮は灰白色である。
春に根本から葉が3〜5個出て、長さ20〜50cmになる。
葉幅は2〜5mmで円柱状、断面は鈍三角形で中空。下部は葉鞘となる。
花期は9月〜11月で、長さ30〜60cmの花茎の先に直径3〜4cmの散形花序を付ける。
花柄は長さ10〜15mmと短めで、花序は比較的密に見える。
6個の花被片は長さ5〜6mmで離生し、紅紫色で先は丸く、平開しない。
6個のオシベは花被片から長く突き出て、橙色の葯が付く。
花糸の基部には極短い歯牙がある。メシベは1個で、基部に蜜腺が3個ある。
刮ハは3室があり、熟すと上部が3裂する。
見た目はラッキョウとよく似ているが、葉の断面が五角形で、葯の色が赤い。
また、花糸の基部にある歯牙は、ラッキョウは長くて目立つが、本種は短くて目立たない。

2022/10/11
網引湿原第2湿原の木道脇で、花茎を2個立ち上げて、花を咲かせていました。
淡赤紫色の花なので、湿原の中ではかなり目を引きます。

ナツズイセン(Lycoris squamigera)
<キジカクシ目・ヒガンバナ科・ヒガンバナ亜科・ヒガンバナ連・ヒガンバナ属>

ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、有毒植物。
古い時代に中国から渡来した「史前帰化植物」と考えられている。
和名の由来は、葉がスイセンに似ていて、花が夏に咲くことから付けられたもの。
花期に葉がないことから、別名「裸百合」とも呼ばれる。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布している。
秋から翌年の春にかけてスイセンに似た葉を出し、8月の地中旬から下旬に花を咲かせる。
地下に鱗茎を持ち、花期に鱗茎から60cmほどの花茎を1本伸ばす。
花茎の先に数輪のピンクの花を付け、6枚の花被片は反り返る。

2028/8/27
この日、網引湿原に出かけたのですが、少し手前の畑の畔にナツズイセンが1列に咲いていました。
ヒガンバナがこのような咲き方をしているのはよく見かけますが、ナツズイセンでは初めて見ました。
おそらく、自生のものではなく、人為的にこのように植えられたものと推察します。

カキラン(Epipactis thunbergii)
<キジカクシ目・ラン科・エピデンドルム亜科・カキラン属>


ラン科カキラン属の地生の多年草で、在来種。
和名は、花の色が柿の色に似ていることに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、湿地に生える。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
草丈は30〜70pで、根茎は横に這い、節から根を出す。
茎は1本だけ直立して、茎の基部は紫色を帯び、少数の鞘状葉がある。
茎葉は互生し、長さ7〜12cmの披針形〜卵形で、基部は短い鞘状になって茎を抱く。
葉には葉脈に沿ってしわ状になり、縦脈がはっきり見えるのが特徴。
花期は6月〜7月で、茎先の穂状花序に垂れ下がり気味に数個〜10個の花を付ける。
3個の萼片は離生し、長さ12〜15mmの長卵形で稜があって先は尖り、緑褐色を帯びる。
側花弁は卵形で、先は鈍頭となり、橙黄色(柿色に近い)である。
唇弁は上唇と下唇に分かれ、その間に明瞭な関節がある。
唇弁の先端部は横に張り出し、橙色の斑紋とその前後は紅紫色になる。
また、唇弁の側裂片は耳状に張り出し、内側に紅紫色の筋模様がある。

2022/6/18
網引湿原で最もよく見られたのがカキランです。
第1湿原では、木道脇でも見られましたし、湿原際辺りでは群生もしていました。
第2湿原は若干少なめでしたが、木道脇などで見られましたし、群生している所もありました。

 
2023/7/18
網引湿原の第1湿原に入りましたが、咲いている花は少なく、少々淋しい単調な景色です。
そんな中、大きな果実が付いた伸びきったカキランの茎が、やたらと目に付きました。

キンラン(Cephalanthera falcata)
<キジカクシ目・ラン科・エピデンドルム亜科・キンラン属>

ラン科キンラン属の地生の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、明るい林内に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は30〜70pほどになり、茎は直立して、葉は6〜8個が互生する。
葉は、長さ10p前後の先の尖った長楕円形で、基部は茎を抱く。
葉の葉脈ははっきりしていて、縦方向のひだがある。
花期は4月〜6月で、茎先に総状花序を出し、数輪〜10輪ほどの黄色い花を付ける。
花は全開することはなく、半開きのまま、順次上に咲き上る。
2個の側萼片と背萼片は、2個の側花弁よりいく分大きく、唇弁が見える程度にしか開かない。
唇弁には短い距があり、3裂する。中央の裂片には赤褐色の隆起がある。
キンランは菌根への依存性が高く、それも他のランのような腐生菌ではない。
樹木の根に外菌根を形成する外菌根菌で、根と外菌根に割り込んで成長する。
理論上、これら3者の共生系を作れれば栽培可能であるが、実際問題、簡単ではない。

2023/5/4
第3湿原の遊歩道脇で、黄色い花を付けたキンランに出会いました。
キンランは、樹木の根に外菌根を形成する外菌根菌と根の間に割り込んで成長します。
外菌根への依存性が高いため、どこにでも生えるわけではなく、条件の整った場所以外では見られません。
この株は、ほぼ咲き終わりのようで花に傷みが見られますが、まだ、しばらくは楽しめそうですね。

サギソウ(Pecteilis radiata)
<キジカクシ目・ラン科・チドリソウ亜科・チドリソウ連・ツレサギソウ属>



ラン科サギソウ属の湿地性の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、低地の湿地に自生する。
海外では、朝鮮半島から中国東部、台湾に分布する。
草丈は20〜50cmで、地下には太い根が少数あり、根によく似た地下茎も何本か伸びる。
この地下茎の先端が芋状に肥大して、この部分だけが越冬する(地下茎の長さ分移動する)。
翌年、地下茎を伸ばし、茎の下部に3〜4個の根生葉が出て、上部に少数の鱗片葉が付く。
葉は互生し、下部のものほど大きく、長さ5〜10cmの線形である。
花期は7月〜8月で、茎先に1〜3個の花を長さ35mm前後の花序軸の先付ける。
花は直径3cm前後で、白い唇弁大きく、3深裂して中裂片は披針形である。
両側の側裂片は、斜扇形で側方に開出し、その外側の縁は細かく裂ける。
この唇弁が開いた形状が、シラサギが翼を広げた様に似ているのが和名の由来である。
長さ10〜12mmの側花弁は、白色の歪んだ卵形で直立し、外縁には不規則な歯がある。
長さ7〜10mmの背萼片はほぼ直立し、淡緑色で狭卵形、5〜7脈があり、先は鋭形。
長さ8〜10mmの側萼片は横に広がり、淡緑色で狭卵形、5〜7脈があり、先は鋭形。
距は長さ3〜4cmで、真っすぐ〜少し前に曲がって垂れ下がり、先が多少広がって蜜が溜まる。
従って、この長さの口吻を持つスズメガ科の昆虫によって花粉が媒介される。
スズメガが口吻を差し込んだ際、花粉塊が複眼に粘着し、他の花に運ばれることになる。
なお、本種は山野草として市販されているが、自生種は準絶滅危惧種の指定を受けている。
開花期に盗掘被害を受けることが多いが、この時期に持ち帰ってもほぼ枯れてしまう。
また、市販品を1回開花させるだけであれば難しくないが、長年、育成するのは容易ではない。

2022/8/16
網引湿原第1湿原では、獣害防止ゲートは入って直ぐの所からサギソウが咲いていました。
あちらこちらで小さな群落を作って、独特なシラサギが翼を広げたような花弁を見せてくれます。
生でこの姿を見たいと思っていたのですが、やっと夢がかないました。
話を聞くと、今年はサギソウの数が少ないそうで、例年は一面が白く見えるほどだとか。
そのような光景も見てみたいですが、今回は会えただけで十分です。
中段は、サギソウの前面と背面のアップです。裏面からは3個の緑の萼片良く分かります。
下段は、サギソウの蕊柱(オシベとメシベが合体したもの)をアップにしたものです。
オレンジ色の部分が葯室(花粉塊が入っている)で、先が細くなり、先端に白い粘着体があります。
左の写真で、中央付近に見える穴、これが下に長く伸びている距の入口になります。
訪花したスズメガが口吻をこの穴から奥に差し込むのですが、その際に粘着体が複眼に粘着します。
すると、葯から花粉塊が出てきて、他のサギソウを訪花した際に受粉が行われることになります。
なお、オレンジ色の下に深緑色の細長いものが見えますが、これが柱頭になります。
右の写真で、その部分に白い粉のようなものが付いていますが、それが運ばれてきた花粉です。
なお、左の写真で、オレンジ色の葯室の外側にある淡緑色のものが仮オシベで、中央のものは嘴体です。
その後ろ、左右のオレンジ色の葯室をつないでいる淡緑色のものは葯隔になります。


コサギとダイサギ

   .
 <コサギ>                 <ダイサギ>
シラサギと呼ばれるサギの仲間で、よく見かける純白のコサギとダイサギです。
サギソウから、翼を開いたこれらサギの姿を連想できるでしょうか。
私は連想できます。
飛翔中のサギは、バランスを取るため長い首をS字状に折り曲げてしまいます。
しかし、飛び立つときや着地する際には、首を伸ばしますので、このような感じになります。


コバノトンボソウ(Platanthera tipuloides subsp. nipponica)
<キジカクシ目・ラン科・チドリソウ亜科・チドリソウ連・ツレサギソウ属>

ラン科ツレサギソウ属の地生の多年草で、日本固有種。
山地帯から亜高山帯の日当たりのよい湿地や湿った草原、海岸湿原などに生育する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
草丈は20〜40cmで、茎は肥厚する根茎から出て、1本だけ直立し、細く繊細である。
茎の下部に長さ3〜7cmほどの広線形の葉が1個付き、基部は茎を抱く。
その上部に披針形の鱗片葉が数個付くが、茎にへばりつくようにつくので目立たない。
花期は6月〜8月で、茎先の総状花序に、やや偏側生に5〜10個の淡黄緑色の花を付ける。
苞は披針形で、子房より短い。背萼片は卵形で、長さ2〜2.5mmである。
側萼片と側花弁は長さ3mm前後の長楕円形で、背萼片より少し長い。
側萼片は腕を開いたように水平に開き、側花弁は斜上してメシベを覆うようにかぶさる。
唇弁は長さ2.5〜4mmのやや肉質の舌状で、下に少し反り返る。
なお、普通は子房が180度捻じれることで、唇弁が下側になる。
距は長さ12〜18mmと細長く、後方に跳ね上がるのが特徴である。
オシベとメシベが合着した蕊柱は短く、オシベの花糸は退化して、葯だけがある。
中の花粉塊は、葯の入口にある粘着体とつながっており、訪花甲虫に付着する。

2022/6/18
第2湿原の奥側の通路脇で、何株かが花を付けていました。
ハッチョウトンボに気を取られ、最初気付いていなかったのですが、案内人の方が教えてくれました。
花はほぼ同じ方向を向いて咲くことが多いようなのですが、ここの株はそうでもないようです。

トキソウ(Pogonia japonica)
<キジカクシ目・ラン科・バニラ亜科・トキソウ連・トキソウ属>

ラン科トキソウ属の地生の多年草で、在来種。
和名は、花の色がトキの翼の色であるトキ色に似ていることに由来する。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、四国、九州では稀。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は10〜30cmで、根茎は長さ10〜20mmである。
葉は混生し、長さ3.5〜10cmの楕円形〜楕円状披針形である。
苞は葉の上4〜8cmの位置に1個つき、長さ15〜25mmの披針形。
花期は5月〜7月で、茎頂に横向きに単生する。
子房と小花柄は長さ10〜18mm。背萼片は長さ15〜22mmの楕円状狭倒披針形。
2個の側萼弁は花弁に似て長さ14〜22mmで、左右に開く。
2個の側花弁は唇弁や蕊柱を左右から覆うように出て、あまり開かない。
唇弁は長さ14〜20mmで3裂し、側裂片は長さ1mm弱の三角状で、奥の方にある。
中央裂片は長さ6〜13mmで前に突き出し、2〜3列の房状突起があり、縁は繊維状に切れ込む。
蕊柱は直立し、長さ7〜10mmの柱状で、葯は2室で平行して頂生する。

2022/6/18
第2湿原の木道脇で、トキソウが1輪だけ、萎みかけていましたが咲いていました。
近くにあったもう1輪は、完全に萎れて、茶色く変色してしまっていました。
時期的に間に合わないかと思っていましたが、なんとか、最後の1輪が迎えてくれました。


2023/5/18
昨年は、萎みかけた1輪しか見られませんでしたので、今年は少し早めに見に行きました。
時期的には少し早いかもと思ったのですが、思いのほかたくさん咲いていました。
2週間前に下見に来た時は影も形も見られなかったのに、変化が早いですね。
ただ、花が小さいので、遠目には草原の中に白い物が点々と見える感じです。



2023/5/18
上段左と中央は、まだ開き切っていないトキソウで、背萼片が開き、側萼片は開きかけです。
中央の唇弁に被さるように2個の側花弁があり、唇弁は少し前に突き出しています。
花の色味には違いがあり、下段のように淡いものから少し濃色のものまで様々です。
蕊柱は奥の方にあり、上段左端や下段右から2つ目の写真に写っています。
どちらも唇弁の奥にオレンジ色のものがちらりと見えていますが、それが蕊柱です。

アリアケスミレ(Viola betonicfolia var. albescens)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

2024/4/14                  2024/4/12   .
スミレ科スミレ属の多年草。道端などでときどき見かける無茎種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、東南アジア南東部、オーストラリアにまで分布する。
花期は4月〜5月で、直径2cm前後の花を付け、距は花色と同じく白色で、太短い。
側弁の基部に毛が多く、上弁の基部にまで毛があるものもある。
スミレと良く似ているが、花色が変異は多いが白色が基調となる点で区別できる。
花色は、白地に少し筋が入るものから、紫の筋の目立つもの、地色に紫を帯びるものまで多彩。
葉は長さ2〜7cmの細長い三角状披針形で、先端は丸くなる。葉柄の上部には狭い翼がある。
※ 今まで見かけたスミレ属をまとめたものを、こちらに掲載しています。

2024/4/12,14
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートまでの通路脇で見かけたアリアケスミレです。
4/12に撮影した花の写真があまり良くなかったので、4/14の撮り直しました。
4/14の花は、4/12のものより色が淡いですが、側花弁にある毛は良く分かると思います。

コスミレ(Viola japonica)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

スミレ科スミレ属の多年草で、平地の乾いた草地などで見られる無茎種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
花色は、淡紫色が多いが、紅紫色のものも稀に見られ、紫の筋が入る。
花弁の幅は狭く、距はいくぶん長めで先は細くならない。
側弁基部の毛は、西日本では毛があるものが多いが、東日本では毛のないものが普通。
葉は、丸みのある長三角形から卵形で、両面とも無毛。裏面が紫色を帯びるものが多い。
※ 今まで見かけたスミレ属をまとめたものを、こちらに掲載しています。

2024/4/12
第1獣害防止ゲートを入って直ぐの林内で、通路脇で花を付けていたのがコスミレです。
光沢のある厚ぼったい感じの葉と、濃赤紫色の花が特徴的ですが、花は小さめです。

ツボスミレ(Viola verecunda)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>


スミレ科スミレ属の多年草で、別名はニョイスミレ。
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島まで、広範囲に分布する。
海外では、東アジアに広く分布している。
草丈は5〜20pほどで、地下茎はごく短く、地上に根出葉と複数の茎をのばす。
茎は斜上するか横に這い、茎葉は感覚を開けてまばらに付く。
葉身は扁平な心形で、根出葉の葉柄は長く、茎葉の葉柄は短い。葉の縁には粗くて浅い鋸歯がある。
花期は、4月から5月で、葉腋から花茎を立ち上げて、白い花を付ける。
上弁は反り返り、唇弁には青紫色の筋が目立つ。上弁と側弁には突起毛があり、距は短く丸い。
樹林の日陰にならない草地に生え、山間部では人家近くでも見かけるが、市街地では見かけない。
※ 今まで見かけたスミレ属をまとめたものを、こちらに掲載しています。

2023/5/4
第2湿原の入口近くの遊歩道脇で、ツボスミレが花を付けていました。
市街地には自生していないので、私が普段目にすることはほとんどありません。
どちらかというと、タチツボスミレの方が目にする機会は多いように思います。

ニオイタチツボスミレ(Viola obtusa)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

スミレ科スミレ属の多年草で、日当たりの良い草地で見られる有茎種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州と全国に分布している。
海外では、朝鮮半島に分布する。
花色は、濃紫色から紅紫色で、稀に淡い色のものもある。花弁の中心部は白い。
側弁基部に毛はない。花は、芳香は強いが、芳香のないものもある。
葉は丸みのある心形であるが、花の最盛期を過ぎると花茎が伸びて長三角形の葉になる。
また、托葉は櫛の歯状に深裂する。
※ 今まで見かけたスミレ属をまとめたものを、こちらに掲載しています。

2024/4/12
第1獣害防止ゲートの直ぐ外側で見かけたのが、このニオイタチツボスミレです。
見かけたときに名前が分からなかったので、芳香があるかどうかは確認していません。
花は大きめで、花の中心付近が白くなっているのが特徴です。
また、この時期は咲き始めて間もないため、葉の形状は丸みのある心形をしています。

ノジスミレ(Viola yedoensis)
<キントラノオ目・スミレ科・スミレ属>

スミレ科スミレ属の多年草。人里周辺でよく見かける無茎種。
日本では、本州の秋田県以南から四国、九州の低地に分布する。
海外では朝鮮半島から中国、台湾、モンゴル、インドからフィリピンにかけて分布する。
草丈は5〜10cmで、葉は長さ3〜6cmの長三角形からへら形で、葉柄には翼がない。
花後に葉幅が広がり、三角形〜卵形になる。葉や茎には白い短毛が生え、白っぽく見える。
花期は3月〜4月で、花色は青味の強い濃紫色。側弁は無毛で、距は濃紫色で細長い。
※ 今まで見かけたスミレ属をまとめたものを、こちらに掲載しています。

2024/4/12
第1獣害防止ゲートを入って直ぐの林内で、通路脇で花を付けていたノジスミレです。
同じ場所で見かけたコスミレより葉が細長く、花の色も薄めです。
コスミレは比較的小さな株でしたが、ノジスミレの株は大きなものが多かったと思います。

アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属>


トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。
日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。
日本以外では、東南アジアの山野に分布する。
和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。
葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。
初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。
雄花序は苞の脇に数個ずつ付き、雄花には多数のオシベが球状に付く。
雌花序は苞の脇に1個ずつ付き、雌花の子房には刺状の突起がある。
また、花柱には乳頭状の突起があり、柱頭は2〜4個に分かれ、淡黄色(赤色になるものもある)。

2022/8/27
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲート間の通路脇などで、アカメガシワが見られました。
花期は過ぎているので、雌株の果実が目立ちます。なお、新葉は春同様に赤い色をしていました。


アカメガシワの雄花と雌花

   .
   .
<雄株/雄花>               <雌株/雌花>
雄花はオシベのみが球状に付き、雌花はトゲトゲの丸い子房に、3裂した花柱が付きます。
なお、この花柱の色には、淡黄色のもの(上段)が多いですが、赤味を帯びるもの(下段)もあります。
この赤い雌花を見て、色などは異なりますがオニグルミの雌花を思い出してしまいました。


オオニシキソウ(Euphorbia nutans)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・
トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>

トウダイグサ科ニシキソウ属の一年草で、南北アメリカが原産の帰化植物。
畑や道端などでよく見かける普通種。
日本では北海道から四国、九州まで全国で見られる。
世界的には、アジア全域、北米の東北部など、各地に分布する。
草丈は20〜40pほどで、茎は表側が赤みを帯びて湾曲した白毛が生え、裏側は緑色で無毛。
オオニシキソウは茎が立ち上がるのに対して、ニシキソウとコニシキソウの茎は地を這うので、区別できる。
葉は対生し、長さが30o前後の長楕円形で、縁には不揃いで浅い鋸歯がある。
葉は、左右非対称で、葉表は普通緑色一色であるが、赤紫色の斑紋が葉の中央に出ることがある。
花期は6月〜10月で、杯状花序が枝先にまばらに付く。
苞葉が変化した杯に黄緑色の4個の腺体が付き、その周囲に4個の白い付属体が花弁のように付く。
杯状花序の雄花、雌花は退化して、それぞれオシベ、メシベになっている。
雄花(オシベ)は8個前後付き、葯は黄褐色。雌花(メシベ)は1個で、花柱は3裂し、先はさらに2裂する。
雌性先熟で、受粉すると直ぐに成長を初め、白い付属体の真ん中から丸い果実が伸びたしたようになる。

2022/8/27
網引湿原のバイオトイレ近くで、畑の畝にビッシリとオオニシキソウが生えていました。
ここのオオニシキソウの葉には赤紫色の斑紋がなく、きれいな緑色をしていました。
放棄地ではないようなのですが、春に手入れして以降、放置された結果のようです。

センニンソウ(Clematis terniflora)
<キンポウゲ目・キンポウゲ科・キンポウゲ亜科・イチリンソウ連・センニンソウ属>

キンポウゲ科センニンソウ属の常緑つる性半低木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の日当たりの良い山野に分布する。
葉は対生で、5枚の小葉を持つ羽状複葉。小葉は卵形で葉先は尖り、全縁。
葉柄は、他の植物の茎や葉などに絡み付き、自身を固定する。
花期は8月〜9月で、葉腋から円錐花序を出し、白い花を多数付ける。
花は直径数cmほどで、上向きに咲く。花弁はなく、白い花弁状のものは萼片で十字形に開く。
多数のオシベと数個のメシベがあり、長さは萼片の半分程度しかない。
そう果は扁平な卵形で、花後、数cmほどに伸びた花柱が残り、長い毛が開いて羽毛状になる。
なお、本種は有毒植物なので、取り扱いには注意が必要です。

2022/8/27
この日、網引湿原に出かけた帰り道、道路脇で白い花を付けたセンニンソウを見かけました。
ボタンヅルもよく似た花を付けますが、オシベ、メシベが萼片とほぼ同長な点で区別できます。


センニンソウとボタンヅル

   .
<センニンソウ>               <ボタンヅル>
センニンソウとボタンヅルの花はよく似ていますが、萼片とオシベ、メシベの長さの比が異なります。
ボタンヅルは両者がほぼ同長なのに対して、センニンソウでは萼片は倍くらいの長さがあります。


アオツヅラフジ(Cocculus orbiculatus/Cocculus trilobus)
<キンポウゲ目・ツヅラフジ科・アオツヅラフジ属>
 
ツヅラフジ科アオツヅラフジ属のつる性落葉木本で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。
海外では、朝鮮半島から中国南部、フィリピンなどに分布する。
花期は7月〜9月で、雌雄異株。枝先と葉腋に小さな花序をだし、黄白色の小花を付ける。
萼片、花弁は雄花雌花ともほぼ同じで、花弁と萼片は各々6個ある。
萼片は花弁より大きく、花弁の先は2裂する。
雄花のオシベは6個、雌花のメシベは子房が6個の心皮に分かれ、仮オシベが6個ある。
花後、心皮が離れ、各々が1個の果実になる。
果実は直径5oほどの球形の核果で、秋に熟すと白粉を帯びた黒色になる。

2022/8/16
網引湿原の駐車場の近くで、柵に絡みついて花を付けているアオツヅラフジの雄花を見かけました。
何ヶ所かで花を付けていたのですが、雌花は無く、全て雄花でした。



2022/10/11
花期には見つけられなかったアオツヅラフジの雌株ですが、果期には目立ちます。
網引湿原の第2湿原から第3湿原にかけて、何ヶ所かで見つけることができました。
けっこう、目に付きそうな場所なのですが、花期には見つけられなかったですね。



2023/8/5
網引第3湿原の外れで以前見かけたアオツヅラフジの雌株を探し、雌花を確認できました。
ただ、咲いている場所の関係で、正面から撮ることができなかったのは、少々残念でした。
イソノキに絡みついていたので、最初、イソノキの果実がアオツヅラフジの果実に見えてしまいました。
少し離れた所に、アオツヅラフジとイソノキの果実が並んでいたので、間違いに気づいたのですが、
アオツヅラフジは表面に白い粉を吹くので、かなり白っぽい色です。
どちらも黒く熟しますが、アオツヅラフジはこのまま熟すので見た目はかなり異なります。


アオツヅラフジの雌花と果実

   .
<雌花>                 <果実>
実家近くで見かけたアオツヅラフジの雌花と果実です。
実家近くでも雄花はよく見かけますが、雌花はめったに見かけません。


オオイヌノフグリ(Veronica persica)
<シソ目・オオバコ科・クワガタソウ連・クワガタソウ属>

オオバコ科クワガタソウ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本をはじめ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種として定着している。
日本では全国に広がっており、どこでも見られる。
草丈は15〜25cmで、茎はよく分枝して横に広がる。
葉は、下部では対生し、上部では互生する。葉身は長さ12mmほどの卵形で先が尖り、鋸歯がある。
花期は2月〜6月で、上部の葉腋から長さ1〜2cmの花柄を伸ばし、直径8mmほどの花を1個付ける。
花冠は4裂し、裂片は淡青色に濃青色の縦じまがある。うち1個が小さく、色も薄い。
萼も4裂する。オシベは2個で、メシベは1個ある。
果実は、長さ約4o、幅約6oのやや扁平なハート形で、縁にだけ長い毛がある。

2022/6/18
網引湿原入口の駐車場の近くで見かけた、オオイヌノフグリです。
良く手入れされているのか、どこででも見かけるものが、ここではこの1株だけでした。


2024/3/16
駐車場近から第1獣害防止ゲートまでの間で、通路脇の所々で大きな群落になっていました。
以前はあまり見かけなかったオオイヌノフグリですが、今日は多くの花を見る事が出来ました。
この花を見ると春が来ていると感じさせてくれますが、また、除草されてしまうかもしれませんね。

キツネノマゴ(Justicia procumbens var. procumbens)
<シソ目・キツネノマゴ科・ハアザミ亜科・キツネノマゴ連・キツネノマゴ属>

キツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では中国、台湾から東南アジア、インド、ネパールなどに分布する。
草丈は10〜40pほどで、茎には6稜があり、下向きの曲った短毛が生える。
葉は対生し、長さ3p前後の卵形で先が尖り、縁は全縁。
花期は8月〜10月で、枝先の穂状花序に淡紅紫色の唇型の花を、同時に数個咲かせる。
長さ8o程で、上唇は先が2裂して小さく、下唇は先が3裂して丸く大きい。
下唇の中央に白い掌状の模様があり、その周囲が色が濃くなる。
オシベは2個で、上唇に沿うように付く。苞が1個と小苞2個が付き、萼は5深裂する。
ただし、萼片の1つは小さく糸状。また、萼と苞は縁が膜質で白い長毛がある。

2022/8/16
網引湿原入口の駐車場で、法面の上部でキツネノマゴが花を咲かせ始めていました。
他の雑草に紛れて、ポツリポツリと咲いているので、注意していないと気が付かないでしょう。

アキノタムラソウ(Salvia japonica)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属>
 
シソ科アキギリ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
草丈は20〜50cmほどで、茎は角張った四角形で、真っ直ぐに立ち上がる。
葉は対生し、単葉から奇数羽状複葉(小葉は3〜7個)。小葉は長さ3cm前後で広卵形。
花期は7〜11月と長く、茎の上部に10〜20cmの花穂を出す。
花は花穂に5〜10段ほど輪生し、長さ15o前後の淡紅色〜青紫色の唇型。
花冠の外側に白い毛が多数付き、2本のオシベは最初上唇に付くように伸び出す。
葯が開くと、花糸が下方外向きに湾曲する。

2022/8/9
網引湿原の奥池脇の通路沿いで見かけたアキノタムラソウです。
この辺りに数本が固まって花茎を立ち上げて、花を付けていました。


   2023/7/25             2023/7/25         2023/8/5
2023/7/25 網引湿原の奥池脇の通路沿いで、アキノタムラソウが咲き始めていました。
2023/8/5 2週間弱で、花序が伸びて咲いている花も増え、かなり咲き上ったものもありました。

カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・カキドオシ属>

シソ科カキドオシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の草原や道端などに自生する。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア、台湾に分布する。
草丈は、花期初期には直立して10〜20pになるが、花期後半から地表を這って伸びる。
茎は四角形で下向きに毛が生え、葉が対生して付く。
葉身は長さ2〜5pの腎円形で、数pの葉柄がある。葉の縁には歯牙がある。
花期は4月〜5月で、葉腋に数個の花を付ける。花冠は20o前後、萼は8o前後。
萼は5残裂し、裂片は同形になる。花冠は淡紅紫色の唇型で、上唇より下唇が長く、下唇は3裂する。
下唇の中央裂片は側裂片より大きく、2残裂して紅紫色の斑点があり、奥に白毛がある。
冬季は、小型の葉を付けたまま常緑越冬するが、葉は濃緑色になる。
この和種を乾燥させたものが「連銭草」、中国種が「金銭草」という名の生薬になる。
また、血統値降下作用や内臓脂肪、皮下脂肪を溶解させる作用があるとして漢方薬とされることもある。

2024/4/12
網引湿原の駐車場から第1獣害防止ゲートへの通路脇で見かけたカキドオシです。
珍しい花ではありませんが、多摩川の河川敷で見かけて以来、久しぶりに見ました。

トウバナ(Clinopodium gracile)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・トウバナ属>

シソ科トウバナ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで分布している。
海外では、中国、台湾、インドから東南アジアのインドネシア辺りに分布している。
草丈は10〜30cmで、茎は細くて下向きの短毛があり、匍匐枝を出して這い、茎を斜上する。
葉は対生し、葉身は基部で長さ10mm前後、中部以下で長さ12〜35mmになる。
長さ3〜18mmの葉柄があり、葉身は基部で広卵形、中部で卵形、上部で卵状披針形になる。
下部の葉は無毛で、中部以下では葉裏の脈上にわずかに剛毛があり、いずれも少数の円鋸歯がある。
上部の葉身では、縁は鋸歯となり、先が尖る。中部以下の葉は鈍頭。葉裏に腺点はない。
花期は5月〜9月で、葉腋の輪散花序が数段と、茎頂の総状花序に多数の唇形花を付ける。
萼は筒型で基部は丸く、花時の長さは3mm前後。微軟毛があるか無毛で、萼歯には縁毛がある。
萼は5裂し、上部の3歯は短い三角形で、下部の2歯は少し長い三角錐形である。
花冠は白色〜紅紫色で、稀に紅紫色の斑紋が見られる。長さは5〜6mm。
花冠は上下2唇に分かれ、上唇は2浅裂し、下唇は上唇より長くて3裂する。
オシベ4個は斜上し、2個は長くて葯は上唇の縁に付いているように見える

2022/6/18
バイオトイレと最初の獣害防止ゲートの間で、通路脇で見かけたトウバナです。
実家近くの側溝の中には、一面を覆うほどに生えていますが、ここでは少数派です。
この一角に固まって生えているのを確認しただけで、他の場所では確認できていません。

ホトケノザ(Lamium amplexicaule)
<シソ目・シソ科・オドリコソウ亜科・オドリコソウ属>

シソ科オドリコソウ属の越年草で、在来種。道端や田畑の畦などによく見られる。
日本をはじめ、アジアやヨーロッパ、北アフリカなどに広く分布する。
日本では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に広く自生する。
草丈は10〜30cmで、花期は3月〜6月。
葉は対生し、長さ2cm前後の丸みのある扇状で、鈍い鋸歯がある。
上部の葉腋に長さ2cm程の紅紫色の唇形花を多数付ける。
その中に、つぼみのまま結実する小さな閉鎖花が多数混じる。

※ 春の七草にある「ほとけのざ」は、本種とは別のコオニタビラコの事である。

2024/3/16
駐車場近から第1獣害防止ゲートまでの間で、通路脇や畑の畔で大きな群落になっていました。
花は小さくても目立つ赤紫色なので、これだけ固まって咲くと、遠目でも目立ちます。

クサギ(Clerodendrum trichotomum)
<シソ目・シソ科・キランソウ亜科・クサギ属>

シソ科クサギ属の落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州のに分布し、日当たりのよい原野などに生える。
樹高は4〜8mで、樹皮は灰色〜暗灰色。多数の皮目がある。
葉は対生し、長さ8〜15cmの三角状広卵形で、葉柄も含めると30cmほどにもなる。
葉は柔らかくて薄く、毛が密集する。裏面には腺点がある。
花期は7月〜9月で、集散花序に多数の白い花を付ける。萼は5残裂する。
筒部は紅紫色で、長さ20〜25oで細く、花冠は5裂して白い裂片は平開する。
その平開した花冠から、オシベとメシベはさらに突き出す。
10月〜11月に萼が濃紅色になり、直径6〜8mmの果実が藍色に熟す。
さらに熟すと果実は黒くなり、萼片は反り返って、果実が落果する。

2022/8/16
網引湿原の駐車場近くで、柵から首を出すように咲いているクサギがありました。
名前の通り、枝や葉を傷つけると独特の臭気がありますが、花には良い香りがあります。
花の時期よりも、秋に果実が熟すと萼が濃紅色になり、この時期の方が目立ちます。


2022/10/11
網引湿原の駐車場近くで、柵から首を出すように咲いていたクサギが、果実になっていました。
白い花と異なり、萼が濃紅色で、果実が暗紫色と派手な色合いで、目を引きます。

タツナミソウ(Scutellaria indica)
<シソ目・シソ科・タツナミソウ亜科・タツナミソウ属>

シソ科タツナミソウ属の多年草で在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では、アジアの東部や南部に分布する。
草丈は20〜40pほどになり、茎は四角形で白い軟毛が密生する。
葉は対生し、葉身は3pほどの広卵形で、基部は心形。縁には鋸歯があり、両面に軟毛がある。
花期は5〜6月で、茎頂に数pの花穂を出し、一方向に偏って花を付ける。
花色は、青紫色が多いが、淡紅紫色や白色のものもある。
花冠は唇型で、20o前後と筒部が長く、基部で急に曲がって立ち上がる。
上唇は盛り上がり、下唇は3裂して、中央部に濃紫色の斑紋がある。
萼も唇型で、上下に分かれ、上唇の背の部分が丸く立ち上がる。
花後、萼はやや長くなって、萼の上唇が丸い皿型に、その下で下唇が受け皿のようになる。
上下の萼で種子が包み込まれ、成熟すると上唇が取れて分果が落ちやすくなる。

2022/6/18
バイオトイレと最初の獣害防止ゲートの間で、通路脇で見かけたタツナミソウです。
最初、オカタツナミソウではと思ったのですが、花が一方向に偏っているので本種と分かりました。
花の近くには、花後に萼が大きく皿状になった果実が並んでいました。

ホザキノミミカキグサ(Utricularia caerulea L.)
<シソ目・タヌキモ科・タヌキモ属>

 
タヌキモ科タヌキモ属の1年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、アジア〜オーストラリア、グアム、パラオ、マダガスカルに分布する。
草丈は10〜30cmで、白い糸状の地下茎が横に這い、地下茎などに捕虫嚢をつける。
水中や泥中では線形の水中葉を付け、地表付近では気中葉を付ける。
気中葉は、長さ2〜4mmのへら形で、全縁、無毛の鱗片葉である。
捕虫嚢は直径1mm以下の卵球形で、先端に口があり、内側に開く弁が付いている。
プランクトンなどの微生物が近づくと、この弁が開いて、微生物を吸い込む。
なお、食虫植物ではあるが、基本的には葉の光合成によって生活する。
花期は6月〜9月で、花茎に総状花序を出し、4〜10個の花を付ける。
花冠は長さ4〜5mmの紅紫色で、小花柄は極短い。
花弁は2唇形で、上唇は小さく、下唇が大きい。
下唇の基部は膨らみ、仮面部に紫色の地に4個の淡黄色の斑紋がある。
花の基部には前方へ突き出した先の尖った大きな距があり、下唇よりも前に突き出す。
果実は、ほぼ球形の刮ハで、横向きに付き、萼に包まれる。種子は多数入っている。

2022/8/9
第2湿原では、多くのホザキノミミカキグサがそこここで小さな群落を作っていました。
途中の通路脇などでも見られましたので、花の拡大写真が撮れました。
下段左の写真で、細い葉が見えていますが、他のイネ科植物の葉です。
下段右は通路脇のものですが、他の雑草に紛れていて根本は見えないので葉は確認できませんでした。


2022/8/16
前回、横からの写真がうまく撮れていなかったので、上からと合わせて撮り直しました。
下唇の下部から前に突き出した距との関係が良く分かると思います。


2023/7/18

2023/8/5
7/18時点でも、かなり花茎を伸ばして花を付けていましたが、8/5の頃にはさらに長くなっていました。
淡い紫色の花はとてもかわいいのですが、とにかく小さいので、遠目では白っぽく見えてしまいます。
網引第2湿原内でも多く見られますが、奥池の通路脇でも見られるので、そこで撮ったものです。
湿原では木道からなので近づきにくいのですが、通路脇では近づけるので、接写には向いています。









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