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網引湿原で見かけた昆虫(U)



加西市網引町にある県内有数の滲水湿原である網引(あびき)湿原とその周辺で見かけた昆虫たちです。
ここには湿原代表昆虫であるヒメヒカゲ、ハッチョウトンボ、ヒメタイコウチが揃って生息する。

< トピック >
今回、新たに見かけた下記の昆虫を追加しました。
ホソヒラタアブ、ビロウドツリアブ、ハネナガヒシバッタ

今回、下記の写真を追加しました。
アシブトハナアブ



コウチュウ目・オサムシ上科
オサムシ科(ゴミムシ、ニワハンミョウ)
コウチュウ目・コガネムシ上科
コガネムシ科(セマダラコガネ、マメコガネ、カナブン)
コウチュウ目・コメツキムシ上科
コメツキムシ科(ウバタマコメツキ)
ジョウカイボン科(ジョウカイボン)
コウチュウ目・ドロムシ上科
ナガハナノミ科(ヒゲナガハナノミ)
コウチュウ目・ハネカクシ上科
シデムシ科(ヨツボシモンシデムシ)
コウチュウ目・ハムシ上科
カミキリムシ科(ニセノコギリカミキリ)
ハムシ科(キヌツヤミズクサハムシ[スゲハムシ])
ハエ目・カ亜目・ガガンボ上科
ガガンボ科(オオユウレイガガンボ)
ハエ目・ハエ亜目・ハナアブ上科
ハナアブ科(アシブトハナアブ、ホソヒラタアブ)
ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ上科
ツリアブ科(ビロウドツリアブ)
ムシヒキアブ科(アオメアブ、シオヤアブ、サキグロムシヒキ、ヒサマツムシヒキ、
        マガリケムシヒキ)
ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科
アリ科(ムネアカオオアリ)
スズメバチ科(ムモントックリバチ、スズバチ)
ツチバチ科(キンケハラナガツチバチ)
ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科
ヒメバチ科(コンボウケンヒメバチ、ヒメバチ科の1種)
ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科
コシブトハナバチ科(ダイミョウキマダラハナバチ)
コハナバチ科(アカガネコハナバチ)
ハキリバチ科(ハラアカヤドリハキリバチ)
ミツバチ科(クマバチ、スジボソコシブトハナバチ)
バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス上科
キリギリス科(ヒメギス、ササキリ、ホシササキリ)
バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ上科
コオロギ科(モリオカメコオロギ、エンマコオロギ、マダラスズ)
バッタ目・バッタ亜目・バッタ上科
バッタ科(コバネイナゴ、ハネナガイナゴ、イナゴの幼虫、ショウリョウバッタ、
     セグロイナゴ、ツチイナゴ、イボバッタ、ヤマトフキバッタ)
バッタ目・バッタ亜目・ヒシバッタ上科
ヒシバッタ科(ハネナガヒシバッタ、ハラヒシバッタ)
網引湿原で見かけた昆虫(U)
和名インデックス


ゴミムシ(Anisodactylus signatus)
<コウチュウ目・オサムシ亜目・オサムシ上科・
オサムシ科・ゴモクムシ亜科・ゴモクムシ族・Anisodactylus属>

オサムシ科ゴモクムシ亜科の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から極東ロシア、中国、シベリアを経てヨーロッパまで、ユーラシア大陸北部に分布する。
体長は11〜13mmで、成虫で越冬して4月中旬から産卵、夏に成虫になる。
体色は黒色で、前胸や頭部の幅は広く、頭部背面に見えにくいが暗赤色の斑紋がある。
前胸背板は基方へ強く狭まらず、前胸背板後角は尖らず、丸い。
生息環境は平地から山地までと広く、落ち葉やごみ、石の下などに潜む。
成虫は小昆虫を捕食するのみならず、イネ科雑草などの種子をよく摂食する。
頭頂に赤斑あり
頭頂に赤斑なし
前胸背板後角は尖る
前胸背板後角は丸い
前胸背板後角は立体的で歯状に強く尖る
前胸背板後角は二次元的で尖るが歯状にならない
ホシボシゴミムシ
オオホシボシゴミムシ
ゴミムシ
ヒメゴミムシ

2023/5/4
第1獣害防止ゲートを出て駐車場に向かっているとき、足元を飛び交う甲虫がいました。
全身真っ黒で、前翅には規則正しく条溝が並んでいます。
後で調べていて、オサムシ科ゴモクムシ亜科の1種と分かりましたが、似たものがいます。
各々の違いに関しては上記の表の通りなのですが、頭頂の赤斑の有無がはっきりしません。
ただ、前胸背板の後角は尖っておらず、丸みを帯びているように見えます。
この点からゴミムシとしましたが、解像度があまり良くないので、間違っている可能性もあります。

ニワハンミョウ(Cicindela japana japana)
<コウチュウ目・オサムシ亜目・オサムシ上科・
オサムシ科・ハンミョウ亜科・ハンミョウ族・Cicindelina亜族・ハンミョウ属>

オサムシ科ハンミョウ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に基亜種(C. japana japana)が分布する。
四国には、四国亜種(C. japana tosana)が分布する。
北海道のものも以前は北海道亜種(C. japana yezoana)とされたが、現在は区別されなくなった。
海外では、済州島、朝鮮半島から極東ロシアに分布する。
出現時期は4月〜10月であるが、晩夏から秋に屋外で見られることは少ない。
体長は15〜19mmで、体色は光沢のない暗銅色〜暗緑色で、上翅に3対の淡黄色斑がある。
ただし、体色や斑紋の形や数にも変異があり、黒化型や斑紋のないものもいる。
なお、メスの大顎の有色部は、オスよりも広い。
幼虫は、地面に縦穴を掘って住み、通りかかった他の昆虫を食べる。
成虫は、地面を徘徊し、他の昆虫やミミズなどを捕らえて食べる。
本種は6月頃に産卵し、孵化した幼虫は地中で長く生活して、翌年夏に蛹化する。
秋口には羽化してそのまま穴の中で越冬し、翌3年目の春に地表に出てくる。

2023/5/4
第2湿原を後にして帰り道、奥池の通路に沿って何かがピョンピョンと飛んでいきます。
そっと近づいて良く見ると、それはニワハンミョウでした。
来るときにもいたはずですが、気付きませんでした。他の事に気が行っていて見落としたのでしょう。
近づいたとき、ピョンと飛んで逃げる個体と、走って逃げる個体がいます。
理由は分かりませんが、走って逃げる個体は、いくら追いかけても飛びません。
ですので、手で捕まえることもできました。なぜ、飛ばないのでしょう。飛べないのでしょうか。


2023/8/5
第2湿原を後にして奥池へ向かう途中、ニワハンミョウが道案内(^^)
5月に比べれば数は減っているようですが、まだ、ピョンピョンと元気なようです。

セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・セマダラコガネ属>

コガネムシ科セマダラコガネ属に属する甲虫で、在来種。
北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布するが、琉球列島には生息しない。
出現時期は6月〜8月で、体長は8〜13mmである。
体色は、茶色と黒のまだら模様が基本ではあるが、黒色型もあり、変異が多い。
くしのついた触角を大きく広げている事が多く、触角は体のわりにはやや大きめ。
成虫は、広葉樹を始め多くの植物の葉を、幼虫は土中で草の根などを食べる。
マメコガネ同様、アメリカで農作物に被害を与え、「オリエンタルビートル」と呼ばれ、嫌われている。
最近、ゴルフ場で芝生の根を食い荒らす害虫として、注目されている。

2022/6/18
最初、該当するものを探したのですが見つからず、もしかしてと黒色型を確認すると合いました。
多摩川で見かけて以来、ずいぶんと久しぶりに見るセマダラコガネの黒色型です。それも2匹も。
左は、第2湿原の木道脇で、葉に止まっていたもので、雨の後なので翅に水滴が付いています。
右は、バイオトイレと最初の獣害防止ゲートの間で、ノアザミに止まっていたものです。
最初に見かけたものは後脚も黒色でしたが、この個体の後脚は褐色でした。


セマダラコガネの斑紋の変異

   .
2018/6/1                  2019/6/22
体色は、茶色と黒のまだら模様が基本で、上記のような模様があるのが普通です。
この模様の変異は大きく、茶色の部分が多い個体から少ない個体まで見られます。
その変異の最も大きなものが黒色型で、同じ種類とは思えませんね。


マメコガネ(Popillia japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・スジコガネ亜科・マメコガネ属>

コガネムシ科マメコガネ属の小型の甲虫で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州まで、ほぼ全国に分布する。
体長は8〜15mmで、体表は強い金属光沢があり、頭、前胸、小楯板は緑色、前翅が褐色、腹部が黒緑色。
腹節の縁に白い短毛が密生していて、白い横縞模様に見える。
幼虫は植物の根、成虫はマメ科植物、ブドウ類、ヤナギ類など、多くの植物の葉や花を食害する。
1916年にニュージャージー州で侵入が確認され、以後、爆発的に増えて農業害虫となっている。

2022/6/18
網引湿原入口の駐車場の近くで、テリハノイバラに居たマメコガネです。
撮影していて、近づいたときにサッと後脚を上げて、逃げる(落ちる)態勢に入りました。

カナブン(Rhomborrhina japonica/Pseudotorynorrhina japonica)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コガネムシ下目・コガネムシ上科・
コガネムシ科・ハナムグリ亜科・カナブン族・カナブン亜族・カナブン属>

コガネムシ科カナブン属に属する甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、佐渡、伊豆諸島、壱岐、対馬、屋久島、種子島などに分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、東南アジアに分布している。
出現時期は6月〜9月で、成虫はクヌギやコナラなどの樹液に多数が集まる。
体長は23〜32oで、体色は光沢のある銅色が多いが、緑色まで連続的な変異がある。
ハナムグリ亜科の特徴である四角い頭部と大きな三角形の小楯板を、本種も備えている。
また、上翅を閉じたまま飛翔することができる点も同様である。
幼虫の食性が近年になった明らかになり、クズの葉の腐葉土を食べて育つことが分かった。
幼虫はクズ群落の下部(地中ではなく地上)で活動し、冬季には地中に潜る。

2023/8/5
網引第2湿原から奥池に向かう途中、脇のシラカシか何かの木の根元で見つけました。
樹のくぼみに頭を突っ込んでいたので、突いて出てきた所を撮ったものです。
カナブンは珍しくはないのですが、ここしばらくは見たことがないので、久しぶりの再会です。

ウバタマコメツキ(Cryptalaus berus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・コメツキムシ上科・
コメツキムシ科・サビキコリ亜科・ウバタマコメツキ族・Cryptalaus属>

コメツキムシ科サビキコリ属の甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、ベトナムに分布する。
体長は22〜30mmで、成虫の出現時期は4月〜8月である。
体色は黒色の地に灰白色や黄褐色の鱗毛がまだらに覆っていて、不規則な斑紋がある。
胸部は中央より前で最大幅となり、両側に丸くふくらんだようになる。
成虫は、松の枯れ木や倒木などに集まり、灯火に飛来することもある。
幼虫は、松の枯木などの材内で、カミキリムシの幼虫などを捕食し、2〜3年で成虫になる。
コメツキムシ科には、仰向けにするとパチンと音を立てて飛び跳ね、元の姿勢に戻れるものが多い。
本種も同様のコメツキムシ科なのでパチンと跳ねて戻れる特技を持つ。

2023/5/18
第1湿原の獣害防止ゲート近くで、目の前に何か甲虫が飛んできたので、思わず手で払い落しました。
落ちたものを見るとかなり大きなコメツキムシで、サビキコリに似ていますが、色が黒いです。
後で調べて、ウバタマコメツキと分かりましたが、小学生の頃に見て以来の再会でした。

ジョウカイボン(Lycocerus suturellus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・コメツキムシ上科・
ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科・ジョウカイボン族・ジョウカイボン属>

ジョウカイボン科ジョウカイボン属の甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、利尻島、佐渡、対馬に分布している。
出現時期は4月〜8月で、幼虫で越冬する。
平地の樹木の下や葉上でよく見られ、成虫、幼虫とも他の昆虫を捕えて食べる肉食である。
しかし、成虫は訪花して花粉や花蜜も食べる。
体長は14〜18mm(15mm前後が多い)である。
全体に灰黄色の軟毛が生え、触角、前胸背周辺部、前翅、歩脚の多くが黄褐色である。
そのため、体色は黄褐色に見えるが、会合部や端部が黒いもの、全体が黒化したものもいる。
肢も全体が黒いものから、附節と脛節の一部が黄褐色のものまで変異がある。
頭部は両端にある複眼の間がややくぼんでいる。触角は細長い糸状で、第2節が一番短い。
頭部と前胸背板に黒色斑があるが、斑紋がないものもいる。
前胸背板の前側が少し狭まっているが四角形に近く、後半部がやや盛り上がって中央に溝がある。
雌雄差は、メスの第1、第2脚の爪の内側には小さな歯があること、
オスでは触角の第4〜8節に長い溝があり、第3脚の脛節が湾曲している。
国内では、下記のように3亜種が知られている。
亜種区分/学名
分布
基亜種
Lycocerus suturellus suturellus
北海道、国後島、礼文島、利尻島、奥尻島、
本州、粟島、佐渡島、隠岐
伊豆亜種
Lycocerus suturellus izuensis
本州(伊豆半島)
西日本亜種
Lycocerus suturellus luteipennis
本州(兵庫県以西)、四国、九州、対馬、
五島列島、天草、屋久島

2023/5/4
第1獣害防止ゲートの手前で、ハルジオンの葉に止まっているジョウカイボンに気が付きました。
この個体は、鞘翅(前翅)の会合部や端部に黒い所がなく、鞘翅全体が黄褐色です。
地理的に、兵庫県の瀬戸内沿岸部には基亜種と西日本亜種が分布しているようです。
両者の違いが良く分かりませんので、ここでは単にジョウカイボンとしています。
なお、後脚(第3脚)の脛節が湾曲していることから、オスと判断します。


ジョウカイボンの鞘翅の変異

   .
2017/5/10                 2023/5/4
左の写真は、相模川に沿った道路脇の空き地で見かけたもので、基亜種です。
鞘翅(前翅)の会合部に沿って黒くなっています。
右の写真は、今回撮影したもので、西日本亜種の可能性があるものです。
鞘翅(前翅)には、全く黒化した部分がなく、全体が黄褐色です。


ヒゲナガハナノミ(Paralichas pectinatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・コメツキムシ下目・ドロムシ上科・
ナガハナノミ科・ヒメヒゲナガハナノミ亜科>

ナガハナノミ科ヒメヒゲナガハナノミ亜科に属する甲虫で、在来種。
日本では、本州から四国、九州、淡路島に分布している。
出現時期は5月〜7月で、幼虫が水生であるため、成虫も水辺に生息している。
体長は8〜12mmで、雄雌で体色が違い、体表には微毛が生えている。
オスの体色は、前胸は黒色で中央に淡褐色の不明瞭な縦条がある。
上翅は茶褐色で不明瞭な黒い筋模様が出て、稀に黒化型も出る。
体表に淡褐色の細かい毛を密生し、触角が長い櫛状になるのが特徴。
メスの体色は、前胸は黒色で中央に淡褐色の不明瞭な縦条があり、後縁は橙色である。
上翅は黒色で細かい毛を密生して艶はなく、不明瞭な縦溝がある。
触角は鋸歯状で、先端の1節が白い。大きさはオスよりも一回り大きい。
幼虫は水棲で上流域の湿地や湿地の湿った土壌、水田の近くに生息している。
幼虫は円筒形の体形で、腹部は8節。末端節は細長く、ここを水面から出して呼吸をする。

2023/5/18
第1湿原に入って直ぐの所で、黒っぽい小さな甲虫を見かけ、写真に撮りました。
ゴミムシの仲間だと思っていたのですが、ずんぐりして、触角が細長く、先端が白いです。
ゴミムシの仲間を調べても似たものはいません。範囲を広げて調べても似たものは見つかりません。
そのため、しばらく不明種として放置して、他の調べ物を先に行っていました。
第3湿原の端の方から入口の方へ戻る途中、小さな甲虫が飛んできて、湿原の中の葉に止まりました。
手持ちのズームを目一杯伸ばして300mmで撮ったのですが、遠すぎてこれが限界でした。
最初、赤く見えたのでアカハナカミキリではと思ったのですが、モニターで拡大すると赤くありません。
触角が立派な櫛状であったので、その特徴から比較的簡単にヒゲナガハナノミのオスと分かりました。
これを調べていて、しばらく不明種であった第1湿原で見かけた黒い甲虫の正体が判明しました。
ヒゲナガハナノミのメスだったんです。雌雄でこれほど見た目が異なると、同一種とは気が付きませんね。

ヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ハネカクシ下目・ハネカクシ上科・
シデムシ科・モンシデムシ亜科・モンシデムシ属>

シデムシ科モンシデムシ属に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、佐渡島、対馬、屋久島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
出現時期は3月〜11月で、体長は13〜21mmである。
なお、個体による体格差はかなり大きく、倍くらいの違いが見られる。
体色は黒の地色で、上翅には橙赤色の帯紋が2本あり、各帯紋には4個の黒斑がある。
頭頂部に赤色紋があり、頭楯はオスでは広範囲に赤く、メスは先端部のみが僅かに赤い。
また、オスは頭部がメスに比べて大きく、側頭が強く後方に張り出す。
平地から高山まで広く分布し、動物の死体に集まる。
ペアで幼虫を育てる習性があり、幼虫の餌となる肉団子を作って土中に埋め、産卵する。
幼虫が孵化すると2齢までは口移しに与え、それ以降も幼虫が成長するまで世話をする。

2022/10/11
網引湿原の奥池の畔を歩いているとき、笹の葉の上にいるヨツボシモンシデムシを見つけました。
オレンジ色の触角を忙しなく振るように動かし、葉の上をウロウロしていました。
写真で存在は知っていましたが、実物を見たのは初めてです。
前翅の斑紋と、触角の片上部がオレンジ色なので、非常に目立ちます。
後で写真を見て気が付いたのですが、胸部背面に4匹、前翅に3匹のダニが付いていました。
何枚か撮った写真の最後の方では、胸部背面は3匹になっていて、1匹振り落としたようです。
人はもちろん、イヌやネコでもダニは痒くて嫌なんでしょうね。昆虫も同じなのでしょうか。

ニセノコギリカミキリ(Prionus sejunctus)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・
カミキリムシ科・ノコギリカミキリ亜科・ノコギリカミキリ族>

カミキリムシ科ノコギリカミキリ族に属する甲虫の1種で、在来種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州、隠岐、対馬、五島列島、種子島、屋久島、口永良部島に分布。
出現時期は7月で、体長は24〜42mm。
成虫は広葉樹の樹皮や樹液を食べ、幼虫はマツ科(アカマツやクロマツ)の根茎を食べる。
体色は黒一色で、太短い体形をしている。灯火によく飛来する。
ノコギリカミキリに酷似しているが、下記の点で識別できる。
ノコギリカミキリ
ニセノコギリカミキリ
雌雄とも点刻が少なく光沢が強い
雌雄とも点刻が多く光沢が弱い
雌雄とも触角は12節ある
オスの触角は12節あるが、
メスは11節(11、12節が融合)
雌雄とも複眼の間隔が狭い
雌雄とも複眼の間隔が広い

2023/8/5
第1湿原脇の遊歩道を歩いていると、ニセノコギリカミキリが死んでいました。
アリにほとんどを持ち去られて、硬い部分だけが残っているのですが、上翅は一部かじられていました。
この個体は、触角の長さや太さ、触角各節端の左右への張り出しからみてオスと思われます。
最初、ノコギリカミキリだと思っていたのですが、後で調べていてニセノコギリカミキリと分かりました。
このとき、初めてニセノコギリカミキリの存在を知って、数十年前に採取したノコギリカミキリを再確認。
こちらはノコギリカミキリで間違いないことを確認でき、間違ってなかったと妙に安心しました。

キヌツヤミズクサハムシ(Plateumaris sericea)
<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ下目・ハムシ上科・ハムシ科・ネクイハムシ亜科>

ハムシ科ネクイハムシ亜科に属する甲虫で、在来種。
日本では、北海道から本州、九州、佐渡に分布する。
海外では、サハリン〜アムール、朝鮮半島から中国、モンゴル、中央アジア、ヨーロッパに分布する。
出現時期は6月〜7月で、ヨシやスゲなどの生える湿地帯で見られ、スゲハムシの別名がある。
体長はオスで6.5〜7.4mm、メスで7.0〜8.8mmである。
上翅の色は、黒、紫、青、緑、黄、赤と変異に富むが、青はオスのみに現れる。
複眼は小さく、頭頂に毛があり、前胸背板には密に点刻があり、顕著な横しわに覆われる。
触角は比較的細くて金属色が強く、第2節が最も短く、第3、第4、第5と長くなる。
幼虫はスゲの根を食べ、成虫はスゲ属、イグサ属、ガマ属、ミクリ属などの花粉を食べる。
本種の上翅の色は、外表皮の繰り返し構造による反射光で、周期が短いと青く、長いと赤くなる。

2022/6/18
第3湿原の葉の上で、暗褐色の小さい甲虫が動いていました。
距離があったのでアップで撮影できませんでしたが、何とか確認できる写真が撮れました。
揺れるのでピントがピタリと合っていたのは1枚のみでした。
さて、この写真からの同定には難儀しました。まず、何科なのかが良く分からない。
いろいろ調べていて、ふと、ハムシ科ではと思い、調べているとスゲハムシに行き当たりました。
その関連を調べると、キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)かシラハタミズクサハムシと分かりました。
この2種、非常に似ていて、区別するには触角の第2〜4節の長さを見る必要があるようです。
解像度の限界で不鮮明ですが、11節数えられたので、第2節と第3節の長さを見てみました。
その結果ですが、第2節より第3節が多少長い程度にしか見えませんでしたので、本種としています。

オオユウレイガガンボ(Dolichopeza candidipes)
<ハエ目・カ亜目・ガガンボ下目・ガガンボ上科・
ガガンボ科・ユウレイガガンボ亜科・Dolichopezini族>


ガガンボ科ユウレイガガンボ亜科に属するガガンボで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
体長は13〜15mmで、出現時期は5月〜9月である。
ユウレイガガンボに似ているが、体長が倍くらいあり、脛節基部の白い部分もよりも広い。

2022/8/27
網引湿原の靴底の洗い場で、長靴を洗っているとき、近くで何かが動いているのに気が付きました。
なんだろうと近づいてみると、やたらと脚の長いガガンボでした。
それが、フラフラと前後左右に揺れるように飛んでいて、時折、光が当たって白く光っていたものです。
長い脚は、前脚と中肢は上に伸ばし、後脚は下に伸ばした態勢で、フラフラと飛んでいました。
時折、近くの草などに止まりかけるのですが、また飛び始めるというのを繰り返していました。
引き返そうと思ったとき、やっと止まってくれたので、静止した写真も撮れました。
調べてみると、ユウレイガガンボか本種が候補となり、大きさから本種としました。

アシブトハナアブ(Helophilus virgatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族・アシブトハナアブ属>

ハナアブ科ナミハナアブ族のアブで、在来種。
日本では、北海道から四国、九州まで広く分布し、海外では中国に分布する。
体長は15o前後で、胸の二本の黄褐色の縦筋とバッタのように太くて大きい後肢が特徴。
腹部は黒く、細い黄横帯がある。オスの腹部基方の黄紋は、幅広の三角形になる。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まる。

2023/5/4
第1獣害防止ゲートに続く農道ぞいには、ハルジオンやニガナなどが咲いていて、
それらの花を次々と訪花しているアシブトハナアブが、数多く飛んでいました。
他のアブなどは見当たらず、なぜか飛び回っているのはアシブトハナアブのみでした。


2024/3/16
第1湿原手前の林内で、チョウの写真を撮っているとアシブトハナアブがやってきました。
そして、キタキチョウやテングチョウがよく止まっていた場所の近くに陣取りました。
やはり、この場所は日当たりが良いためか、昆虫にとって居心地が良い場所のようですね。

ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・ホソヒラタアブ属>

ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外でもアジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。
体長は8〜11mmで、3月〜11月まで見られる。
腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。
ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。
幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。

2024/3/16
第1湿原手前の林内で、アシブトハナアブが陣取った近くをホソヒラタアブが飛び回っていました。
上記の写真は、近くでホバリング中の写真と枯木に止まった時の写真です。
やはり、この場所が林内では日当たり良いので、日光浴にやってきたのでしょうか。
この個体は成虫越冬したもので、複眼の間が空いているので、メスですね。

ビロウドツリアブ(Bombylius major Linnaeus)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ツリアブ科・Bombyliinae亜科>

ツリアブ科の在来種で、北海道から本州、四国、九州に分布する。
成虫の出現時期は3月〜5月で、早春にのみ見られる。
成虫は花の蜜を吸うが、幼虫はハナバチやカリバチの前蛹などに外部から寄生し、食い尽くす。
成虫は、体長は8〜12mmで、丸みのある体に茶褐色〜淡褐色の毛が密生している。
また、ホバリングが得意で、吊り下げたように1点に静止して見えることが、和名の由来。

2024/3/16
第3湿原から第2湿原へ向かっているとき、通路脇を飛んでいるツリアブに気が付きました。
少し先の枯れ草に止まろうとしているのを撮ったのが左の写真で、翅がブレて見えません。
止まった所にそっと近づいて撮ったのが右の写真で、特徴のある翅が分かると思います。

アオメアブ(Cophinopoda chinensis)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシキヒアブ下目・ムシヒキアブ上科・
ムシヒキアブ科・クシヒゲムシヒキ亜科・アオメアブ属>
 
ムシヒキアブ科アオメアブ属の肉食性のアブで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は20〜29mmで、褐色の体色に青緑色に輝く複眼が特徴で、それが名前の由来。
脚は黒色で、脛の部分が鮮やかな黄褐色である。
出現時期は6月〜9月で、河川敷の草地や林の周辺で普通に見られる。

2023/7/25
第2湿原で、遊歩道脇のロープの支柱に止まるアオメアブを見つけました。
本州以南で普通に見られるムシヒキアブですが、実家近くで見たのは2度目です。
黄褐色の体色に、緑色に輝く眼が印象的なムシヒキアブです。

シオヤアブ(Promachus yesonicus)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシキヒアブ下目・ムシヒキアブ上科・
ムシヒキアブ科・シオヤアブ亜科・プロマクス属>

<シオヤアブ♀>               <シオヤアブ♂>

<求愛行動中のシオヤアブ♂>
ムシヒキアブ科シオヤアブ亜科の肉食性のアブで、日本ではほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、極東ロシアにも分布する。
草原や林の周辺の日当たりの良い場所で、よく見られる普通種。
体長は23〜30mmで、体色は黒褐色で、黄色い毛が生えている。
その黄色い毛のため、腹部は黒と黄色の縞模様に見える。なお、オスの腹端には白い毛が密生する。
獰猛な狩人で、見晴らしの良い枝先などに留まり、獲物を待ち伏せする。
獲物が近づくと、一気に襲い掛かり、自分より大きな獲物でも一撃で仕留める。
幼虫は土中や朽木の中にいて、他の昆虫などを食べて成長する。

2023/7/18
第3湿原の奥の方で、シオヤアブのメスを見かけたので写真を撮ろうとしたのですが、逃げられました。
少し先の方で、このシオヤアブのメスが葉に止まっていましたので、その写真を撮っていました。
近づくと逃げるので、また、追いかけるを繰り返していたとき、近くでブーンと大きな羽音が聞こえました。
その方向を見ると、シオヤアブのオスがメスから少し離れてほぼリングしているところでした。
シオヤアブのホバリングなんて見たことがなかったのですが、どうやら求愛行動のようです。
しばらくホバリングしていたのですが、メスから数十cmの所に止まって、様子をうかがっていました。
迂闊に近づくと、メスの餌にされてしまうため、オスも慎重になっているようです。
その後の様子を見たかったのですが、双方とも動きがないまま時間が過ぎていきます。
残念ながら、時間の関係で後ろ髪を引かれながら、その場を後にしました。

ヒサマツムシヒキ(Tolmerus hisamatsui)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・
ムシヒキアブ科・ムシヒキアブ亜科・Tolmerus属>

ムシヒキアブ科Tolmerus属に属するムシヒキアブで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長は10〜20mmである。
中胸部の背面には2対の黒斑があり、腹部は濃い黒色で、各腹節の後縁に白帯がある。
翅は透明で、脚は黒色であるが、中間部の内側が黄褐色である。
サキグロムシヒキやマガリケムシヒキなど似たものもおり、以下の点で区別する。
・ヒサマツムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色で、脛節に汚黄毛がある
・サキグロムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色である
・マガリケムシヒキ 複眼は緑色、翅は透明、脚は黒いが脛節は黄褐色、オスは前脚フ節まで黄褐色

2022/10/11
網引湿原から入り口の獣害防止ゲート近くに戻ってきたとき、何かが足元に止まりました。
何だろうと足を動かした途端に、飛び立って、直ぐ近くに止まりました。
目を凝らしても地面に何かいるようには見えませんので、取りあえず、その辺りを撮影。
よく見ようと体を動かしたら、パッと飛んで行ってしまいました。
後で写真をよく見ると、小型のムシヒキアブが写っていました。
複眼や脚は黒色で、脚の内側に黄褐色の毛が密生している点から、ヒサマツムシヒキとしました。

サキグロムシヒキ(Trichomachimus scutellaris)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシキヒアブ下目・ムシヒキアブ上科・
ムシヒキアブ科・ムシヒキアブ亜科・Trichomachimus属>

ムシヒキアブ科ムシヒキアブ亜科の肉食性のアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、極東ロシアから朝鮮半島、中国に分布する。
体長は20〜26mmで、頭部と胸部は黒い地色に灰白の粉を吹いている。
腹部は淡黄褐色の粉で被われていて、腹部の先だけ黒いのが特徴。
肢は黒色で、部分的に内側が黄褐色をしている。
発生時期は、6月〜9月で、ハエや蚊等を捕えて食べが、自分より大きい虫も襲う。
幼虫は、土中や朽木にいてコガネムシ類の幼虫やミミズ、ワラジムシ、ダンゴムシなどの体液を吸う。

マガリケムシヒキやヒサマツムシヒキなど似たものもおり、以下の点で区別する。
・サキグロムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色である
・マガリケムシヒキ 複眼は緑色、翅は透明、脚は黒いが脛節は黄褐色、オスは前脚フ節まで黄褐色
・ヒサマツムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色で、脛節に汚黄毛がある

2023/7/25
第2湿原の遊歩道脇や奥池の遊歩道脇などで、葉に止まっているサキグロムシヒキを見かけました。
少し小型のムシヒキアブですが、腹部が黄橙色で腹端が黒いのが特徴で、和名の由来です。

マガリケムシヒキ(Neoitamus angusticornis)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・
ムシヒキアブ科・ムシヒキアブ亜科・ネオイタムス属>

ムシヒキアブ科ムシヒキアブ亜科に属するアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長15〜20mmとやや小型で身体は細身。
体色は全体が黒く、胸部背に灰白の模様がある。脚の脛節は黄褐色である。
特に、オスの前脚は脛節から附節、爪まで黄色くなる。
雌雄共に頭部裏にある毛が、前方90度に曲がっっており、これが和名の由来である。
オスの腹端は丸く、メスの腹端(産卵管)は黒色で細く尖っている。
山野の林縁部などで見られ、ハエ、ガガンボなどの小型昆虫を捕らえて体液を吸う。
幼虫は、土中でコガネムシ類の幼虫、ミミズ、ダンゴムシなどを捕食する。
マガリケムシヒキやヒサマツムシヒキなど似たものもおり、以下の点で区別する。
・サキグロムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色である
・マガリケムシヒキ 複眼は緑色、翅は透明、脚は黒いが脛節は黄褐色、オスは前脚フ節まで黄褐色
・ヒサマツムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色で、脛節に汚黄毛がある

2022/6/18
第2湿原から第1湿原に向かっているとき、張られていたロープにブーンと何かが飛んできました。
止まったものを見ると、それは小さめのムシヒキアブでした。
大きさから、以前見かけたサキグロムシヒキではと思ったのですが、少し違うようです。
後で調べると、複眼が緑色で前脚フ節が黄褐色である点から、マガリケムシヒキのオスと分かりました。

ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・アリ科・ヤマアリ亜科・オオアリ属・オオアリ亜属>

アリ科オオアリ属のアリで、クロオオアリと並んで日本最大のアリである。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
出現時期は4月〜10月で、女王アリの体長は16〜17mm。
アリを横から見たとき、胸部の上は円弧のようになっており、これがオオアリ属の特徴。
よく似たヤマアリ属は、胸部の中ほどでくぼみ、二山になるので、これが区別点になる。
働きアリの体長は8〜12mmで、初期は小さいが、数が増えると大きくなり、兵隊アリも生まれる。
体色は全体に黒色であるが、胸部に赤い部分があり、それが和名の由来。
他のアリの様に土壌に巣を作らず、朽木や枯れ木に営巣し、単独で狩りをする。
オスアリと新女王アリは秋に羽化するが、その年には結婚飛行せず、翌年の5月〜6月に飛行する。

2023/7/25
第1湿原脇の遊歩道で、通路上を何かがかなりのスピードで横切っていきます。
よく見ると、それは大型のアリで、胸部が暗い茶褐色なのでムネアカオオアリと分かりました。
写真を撮ろうとしたのですが、動きが早すぎて追いきれず、直ぐに反対側に到達。
慌てて通せんぼをして動きを止め、撮影したのが上記の写真です。

ムモントックリバチ(Eumenes rubronotatus)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・ドロバチ亜科・Eumenes属>

スズメバチ科ドロバチ亜科に属するハチで、在来種。
単にトックリバチというとこの仲間の総称でもあるが、本種を指すこともある。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
出現時期は5月〜9月で、体長10〜15mm。腹部の基部が強くくびれた形をしている。
体色は黒色で、胸部前縁と胸部後端のみに黄斑があり、腹部に2本の黄色い帯斑がある。
胸部背面に1対の黄斑があるのはミカドトックリバチのメスである。
ただし、ミカドトックリバチのオスには胸部背面に黄斑がない。
なお、脚が黒くて黄斑が無いか不明瞭なのが本種で、明瞭なのはミカドトックリバチである。
他のトックリバチとは異なり、岩のくぼみなどを利用して半球形の巣を作るのが特徴。

2023/8/5
網引湿原の第1獣害防止ゲートを出て駐車場に向かう途中、低く飛び回るハチを見つけました。
撮影しようとしたのですが、同じような場所を飛び回るばかりで止まってくれません。
仕方ないので、飛翔中の所を追いかけながら撮影しましたが、何カットか見られる写真が撮れました。
外形からトックリバチの仲間と思われ、後で調べるとムモントックリバチと分かりました。

スズバチ(Oreumenes decoratus)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・ドロバチ亜科・Oreumenes属>

スズメバチ科ドロバチ亜科に属するハチで、南太平洋地域や東南アジアが原産地。
1990年代に小笠原諸島で発見されたのが最初とされる。
日本では、北海道〜本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島〜中国、台湾などに分布する。
出現時期は7月〜9月で、体長はオスで17〜20mm、メスで24〜30mmと大型である。
体は黒色で、灰褐色の微毛に覆われ、腹部は光線の加減でビロード状の光沢が出る。
腹部に橙黄色の斑が2個、胸部背板にも橙黄色の斑があるが、後胸背板の斑は消失することがある。
翅はやや暗褐色を帯び、前翅の中室は黄褐色。脚は腿節は黒色で、脛節から先は褐色。
雌雄で体長が異なる以外に、頭楯がオスは黄色で、メスは橙黄色。オスの触角の先は鉤状にならない。
成虫は花蜜に集まり、幼虫は巣に詰められたシャクトリムシなどの蛾の幼虫を食べる。
泥でスズのような形をした壺状の巣を複数固まって造り、さらに全体を覆うように二重にする。
これは、寄生バチなどの攻撃から守るためとされている。

2022/8/27
網引湿原からの戻り道、第1獣害防止ゲートの手前まで来た時、耳元でブーンと大きな音。
以前聞いたオオスズメバチの羽音ような音に、思わず首をすくめ、足が止まりました。
辺りを見回すと、オオスズメバチではなく、ドロバチ亜科日本最大種のスズバチでした。
数匹のスズバチが、足元などを飛び回って、時折、地面に止まっていました。
襲われることはないと分かっていても、羽音には反射的に反応してしまいます。

キンケハラナガツチバチ(Campsomeris prismatica)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・ツチバチ科・ツチバチ亜科・ハラナガツチバチ族>

ツチバチ科のハチで、在来種。平地や山麓に生息し、各種の花にやってくる。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジア、インドなどに分布している。
発生時期は4月〜10月で、年1回の発生。メスは、成体で越冬する。
そのため、春先にもみられるが、多くは晩夏から秋に現れて、セイタカアワダチソウなどでよく見れらる。
体長は、オスは16〜23mm、メスは17〜27mmで、メスが一回り大きい。
オスの体色は黒色で、腹部には幅広の黄色帯紋があり、後縁には淡色の毛帯がある。
メスの体色は黒色で、頭部や胸部には黄褐色の長毛が密生する。腹部に帯紋はなく、黄褐色の毛帯がある。
また、触角の長さが雌雄で異なり、オスでは長く、メスでは短い。
コガネムシの幼虫に毒針で麻酔して、卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の蜜を餌とする。
なお、ツチバチの仲間は良く似ているが、以下の点を確認すれば区別は容易である。
オオハラナガツチバチ
成虫の出現時期は8月〜10月。
メスは25〜32oと大きく、頭部、胸部に黄褐色の長毛がある。
腹部第1〜3背板の後縁にある3本の白毛帯は細く、黒色の斑紋はない。
オスは20〜25oで、胸部には淡黄褐色の毛が密生する。
腹部第1〜5背板の後縁に5本の黄白色の帯紋があり、帯紋の前縁は波打つ。
オスの第2〜第4腹板後縁の帯紋は、両側に短く残る。
キンケハラナガツチバチ
成虫の出現時期は4月〜10月。
メスは17〜27oで、頭部、胸部に黄褐色〜赤褐色の長毛を密生する。
腹部は斑紋を欠き、胸部よりやや淡い色彩の4本の毛帯がある。
オスは16〜23mmで、胸部に黄褐色の毛が密生する。
腹部第1〜4背板後縁に4本の細い黄帯がある。
腹部第2〜4腹板後縁の帯紋は細く、通常、中央部は消失する。
シロオビハラナガツチバチ
成虫の出現時期は3月〜11月。
メスは25〜33mmで、頭部、胸部は黒色で、胸部に黄褐色の毛が密生する。
腹部第2〜3背板後縁に細い黄白色の帯(毛帯ではない)がある。
オスは19〜25mmで、頭楯に黄色部はなく、胸部に灰褐色の毛を密生する。
腹部第1〜4または5背板後縁に乳白色の帯紋は4か5本あり、幅はやや太め。
ヒメハラナガツチバチ
成虫の出現時期は5月〜11月。
メスは15〜22mmで、頭部、胸部は黒色で、胸部に黄白色の毛があるが多くない。
腹部第1〜4背板の後縁に白い4本の毛帯があるが、帯紋はない。
オスは10〜20oで、頭部、胸部は黒色で前胸背は黄色、小楯板か後胸背板に黄斑。
腹部の第1〜5または6背板の後縁に5〜6本の黄帯がある。

2022/8/27
網引湿原の駐車場近くで咲いていたイヌザンショウ、そこにツチバチのオスが集まっていました。
ヒメハラナガツチバチにしては大きいので、オオハラナガツチバチのオスかなと思っていました。
後で調べてみると、腹部の帯紋の数が4本しかなく、オオハラナガツチバチでないことが分かりました。
黄色い4本の帯紋があるのは、キンケハラナガツチバチのオスでした。
キンケハラナガツチバチのメスは見たことがあるのですが、オスを見たのは初めてです。


2022/10/11
8月に訪花していた花はイヌザンショウでしたが、今はセイタカアワダチソウです。
この辺りには大量に咲いている所があるので、困ることはなさそうです。
それにしても、この場所で見かけるのはオスばかりで、メスには出会えていません。


キンケハラナガツチバチのメス

   .
2017/9/25
神奈川県相模原市と町田市の境を流れる境川、その近くで見かけたキンケハナラガツチバチのメスです。
このときは、集まっていたのはメスばかりで、オスの姿は見られませんでした。


コンボウケンヒメバチ(Coleocentrus incertus)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科・ケンオナガヒメバチ亜科・Coleocentrus属>

ヒメバチ科Coleocentrus属の大型の寄生バチで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、佐渡に、海外では旧北区に分布する。
体長は20〜26mmで、開長は48mm、メスの産卵管まで含めると50mm以上になる。
頭部の頭楯、胸部背面や側面の黄色斑紋、触角の白帯、腹部の縞模様など、個体変異は多い。
寄主はヒゲナガカミキリやセンノカミキリである。

2023/5/4
第3湿原の端まで行って入口に戻りかけた時、突然、目の前から大きなハチが飛び立ちました。
かなりの大きさに見えましたので、思わず足が止まってしまいました。
そして、直ぐ近くの木の葉に止まったのですが、2m近い場所のため、見上げるように撮りました。
長い産卵管が見えますので、ヒメバチの仲間のようですが、よく見る物の倍以上の大きさです。
そこから動いてくれないので、撮るのを諦めて遊歩道を少し先に進みました。
すると、同じ個体かどうかは分かりませんが、飛んできて近くのロープに止まったのです。
体が大きすぎるためでしょうか、上向きに止まろうとするのですが、クルっと回ってしまいます。
何度か止まり直したのですが、その都度、クルっと回ってしまい、最後は諦めたようです。
今回は、逆に低い位置のため、下から撮ることができず、腹面側しか撮れませんでした。
後で調べて、大きさや腹部の黄色い斑紋などからコンボウケンヒメバチとしました。

ヒメバチ科の1種(Ichneumonidae)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科>

ヒメバチ科は甲虫や他のハチ、チョウ、クモなどを寄主として利用する捕食寄生者である。
そのことによって、農地等の陸域生態系で、他の昆虫などの節足動物の個体数を制御する役割を担っている。
昆虫の中でも特に巨大なグループであり、世界から約25,000種が知られている。
ヒメバチの成虫は、細身のハチのような体型をしているが、その体長、体色、体型などは非常に多様である。
ヒメバチ上科の触角は節数が多いという特徴があり、普通16節以上ある。
また、植物組織内や繭内などの寄主に産卵するため、メスでは長い産卵管をもっているものが多い。

2022/8/27
網引湿原のバイオトイレの裏手で見かけたヒメバチ科の1種と思われるハチです。
触角は黒一色で、産卵管がないので、オスと思われます。
腹部端に白斑があるので、シロテントガリヒメバチかと思ったのですが、他の特徴が合いません。
腹部には、淡青色の帯紋が3本見られ、腹部端に近いものは背面のみで、腹面はありません。
脚は黒っぽいのですが、方向によって灰白色にも見え、中肢と後脚の腿節の末端近くには長い刺が見られます。
これらの点からトガリヒメバチ亜科の1種ではないかと思われますが、見当違いの可能性もあります。

ダイミョウキマダラハナバチ(Nomada japonica)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コシブトハナバチ科・キマダラハナバチ亜科・キマダラハナバチ属>



コシブトハナバチ科キマダラハナバチ属のハチで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
出現時期は4月〜5月で、成虫は訪花して花粉や蜜を食べる。
体長は11〜13mmで、体色は全体に暗赤色で、腹部第2節以降に黄色い横帯がある。
脚や触覚は赤褐色で、茶褐色の複眼に、単眼が3個ある。
労働寄生する寄生バチで、宿主はヒゲナガバチである。
ヒゲナガハナバチの親が集めた幼虫のための餌を、横取りして成長する。
なお、本種のオスは見つかっておらず、単為生殖でメスのみで産卵していると考えられている。

2023/5/4
第3湿原の遊歩道を歩いていたとき、足元を飛び回っているハチに気が付きました。
スズメバチ科の斑紋に似ていますが、以前見かけたナシモンキマダラハナバチの仲間と判断しました。
止まってくれることを期待したのですが、止まることなく飛び去って行きました。
そのため、撮影できたのは数枚で、ピントが比較的合っているのは上記の1枚のみでした。
駐車場に戻っているとき、タンポポの花で食事中の本種を見つけ、アップで撮ることができました。
後で調べてみると、メスしか見つかっていないダイミョウキマダラハナバチと分かりました。

アカガネコハナバチ(Halictus aerarius)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コハナバチ科・コハナバチ亜科・アトジマコハナバチ属>

コハナバチ科アトジマコハナバチ属のハチで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、モンゴル、極東ロシアに分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長8〜9mmで、金属色のきれいな体色をしている。
触角に雌雄差があり、オスの触角はメスの触角の倍くらいの長さがある。
また、メスの触角の第1節は、オスの第1節の数倍の長さがあり、そこで折れたようになる。
オスの脚は、全ての脚で腿節の先から脛節、ふ節とも淡黄色である。
最初、メス1頭が地中に巣穴を掘って、花粉団子で幼虫を育てる。
春先に羽化したメスは働きバチとして巣づくりを手伝い、集団生活をする。
なお、働きバチとなったメスも同じ巣で卵を産み、幼虫を育てる。
そして、オスは6月〜11月に発生して、見られるようになる。

2023/7/18
網引湿原のバイオトイレ近くで、セリの花を撮影しているときに飛来しました。
拡大して、体色が金属光沢のある赤銅色なので、アカガネコハナバチと分かりました。
関東の多摩川の河川敷ではよく見かけましたが、それ以来なので久しぶりの再会です。

ハラアカヤドリハキリバチ(Euaspis basalis)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ハキリバチ科・ハキリバチ亜科・ヤドリハキリバチ属>

ハキリバチ科ヤドリハキリバチ属に属する労働寄生蜂で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
発生時期は7月〜8月で、成虫は夏のこの短い時期にしか見ることができない。
体長は、オスで11〜14mm、メスで13〜16mmである。
雌雄とも頭胸部と腹部第1節の大半は黒色で、腹部第2節以降は橙赤色。体全体に強い点刻がある。
本種は、オオハキリバチの蜂の巣に卵を産み、寄主が蓄えた花粉を食べて成長する。
産卵の際、卵がある場合はそれをかみつぶしてから巣を修復し、それから産卵する。
既に幼虫がいる場合は、幼虫を排除してから産卵する。
腹部が赤いのでハラアカ、他のハチが蓄えた餌を横取りして産卵するのでヤドリハキリバチである。

2022/8/27
網引湿原第2湿原をぐるっと回って入口近くまで戻ってきたとき、見慣れないハチがいました。
大型のハチで、腹部がオレンジ色です。写真を撮ろうとしたのですが、なかなか近づいてくれません。
しかたがないので、目一杯腕を伸ばして撮ったのが上記の写真です。
なんとか、頭胸部が黒色で、腹部がオレンジ色(胸部寄りは黒色)であることは分かります。
この特徴を基に調べると、直ぐにハラアカヤドリハキリバチと分かりました。
クマバチ(Xylocopa appendiculata circumvolans)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・クマバチ亜科・クマバチ族・クマバチ属>

日本を含め、インドシナ半島から中国、台湾、朝鮮半島まで分布している。
日本は、北海道南部から屋久島にかけて生息している。
体長は2cmで、ずんぐりとした体形で、全身が黒色。胸部に黄色い細毛が多数生える。
胸部以外の毛は黒色で、体長の割に小さめの翅を持ち、翅の色も黒い。
成虫の寿命は、数年といわれ、同じ巣穴を何年も使い続ける。
オスは、縄張りを持ち、春先に近づく物に接近する習性がある。
縄張りに入った他のオスを追い払ったり、交尾のためメスか確認するためである。
人にも近寄って来ることがあるが、オスは毒針を持たないので、慌てずに無視すれば良い。
なお、オスは、頭部中央に白っぽいおむすび状のものがあるので判断できる。
メスは、オスより目が小さく離れていて、全面真っ黒である。
毒針を持つが、手を出さなければ刺されることはないので、慌てて手で払ったりしないことが重要。
口永良部島から南では、アマミクマバチ、オキナワクマバチ、アカアシセジロクマバチが生息している。
小笠原諸島には、オガサワラクマバチが生息している。

2023/5/4
網引湿原を後にして、駐車場に戻る時にみかけたゲンゲ畑で、クマバチを見つけました。
さかんにゲンゲの花を訪花して吸蜜していました。
ゲンゲの花が邪魔をして、なかなか全身を撮ることができなかったのですが、何枚か撮れました。
頭部を確認すると白いおむすびは付いていませんでしたので、メスですね。

スジボソコシブトハナバチ(Amegilla florea)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・コシブトハナバチ族>

ミツバチ科コシブトハナバチ族のに属するハチで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、種子島、屋久島に分布する。
出現時期は5月〜10月で、体長はオスで12〜13mm、メスで13〜16mmである。
胸部は鮮やかな橙色の毛が生え、腹部は黒色で幅広く、各背板後縁沿いに白色毛帯がある。
本種は、休む時に植物の茎や枝を大アゴで挟んで、ぶらりとぶら下がる面白い習性がある。
また、中舌はトラマルハナバチと並んで長いのも特徴。
シロスジコシブトハナバチ(シロスジフトハナバチ)に似ているが、
・スジボソコシブトハナバチの胸部の毛は橙色であり、腹部の白帯が不明瞭で細い
・シロスジコシブトハナバチの胸部の毛は淡黄色であり、腹部の白帯は明瞭で太い

2023/8/5
網引湿原の駐車場近くで、クサギが花を咲かせていて、ハナバチが盛んに訪花していました。
写真を撮ろうとしたのですが、動きが早すぎて追いきれず、なかなか良い写真は撮れませんでした。
なんとか見えるものを手掛かりに調べた結果、スジボソコシブトハナバチと分かりました。
変わった習性を持っていて、上顎で葉や茎を噛み、ぶら下がるようにして休むそうです。

ヒメギス(Eobiana engelhardti subtropica)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・キリギリス亜科・ヒメギス族・ヒメギス属>

バッタ目キリギリス科のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州に生息する。
体長30mm程で、全身が黒褐色で、背面は薄い褐色か、緑色をしている。
キリギリス同様、翅は腹端に達するか、やや短い。ただ、稀に長翅型も出現する。
メスの産卵管は短く腹部の3分の2ほどで、鎌の刃のような形をしている。
草原性で、キリギリスよりやや湿り気を好み、草丈も低めの場所に生息する。
鳴き声は「シリリリリ…」とヤブキリに似た鳴き声である。

2022/6/18
第2湿原の獣害防止ゲート近くの草むらで、葉の上にいるヒメギスの幼虫を見つけました。
暗褐色の体色に、前胸後端部の白線がヒメギスの特徴で、これは幼虫でも同じです。


ヒメギスとコバネヒメギス

   .
  <ヒメギスの幼虫>            <コバネヒメギスの幼虫>
網引湿原で見かけたヒメギスと土山サービスエリアで見かけたコバネヒメギスの幼虫です。
ヒメギスとコバネヒメギスを比較して、最初に気が付くのはヒメギスの方が黒味が強い点です。
また、前胸後端部の形状や白線の形も異なることもわかると思います。


ササキリ(Conocephalus melaenus)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>

キリギリス科ササキリ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアに分布する。
成虫の体色は、暗緑色か黄褐色で、翅は黒褐色で下側に白線がある。
幼虫は、成虫と異なり、頭部はオレンジ色で胸部、腹部は黒褐色。
林縁のササなどイネ科の植物が多い所に生息し、それら食草としている。
昼夜問わず「シリシリシリシリシリ……」と地味な声で鳴く。

2023/7/18
第1湿原を後にして奥池の所まで戻ったとき、ノギランに何かついていました。
近づいてよく見ると、それはササキリの幼虫でした。独特の色合いをしていて、直ぐに分かります。
この幼虫に初めて会ったのは、会社のボランティアで谷津田の米作りに参加した時なので、9年ぶりです。

 
2023/7/25
奥池の畔で、前回同様にササキリの幼虫に出会いました。
後で写真を見て気付いたのですが、今回の幼虫はオスで、前回の幼虫はメスでした。

ホシササキリ(Conocephalus maculatus)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・
キリギリス科・ササキリ亜科・ササキリ族・ササキリ属>
 
日本では、本州の東北南部以南、四国、九州、南西諸島に分布する。
日本以外では、朝鮮半島、台湾、東南アジア、アフリカに分布する。
出現時期は8月〜10月で、体長は15mm前後(翅端まで22〜25mm)である。
日本に生息するササキリの中では最も小型になる。
体色は、緑色か褐色。翅は淡い褐色で、側面に名前の由来でもある黒褐色の点が線上に並ぶ。
また、頭頂から前胸背面にかけて黒線と白線が並行して通る。
鳴き声は、シリリリリ…という鳴き方を続けるが、音が小さいため、よほど注意して聞かないと分からない。

2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートに向かう途中の道端で見かけたホシササキリです。
褐色型のホシササキリを見るのは久しぶりで、産卵管が見えるので、この個体はメスです。


ホシササキリの成虫

   .
   <緑色型 オス>         <緑色型 オス>      <褐色型 メス>
2013/9/10に多摩川の河川敷で見かけたホシササキリの成虫です。
緑色型の前胸背面から翅端にかけての濃褐色の模様は、上記の幼虫と同じです。


モリオカメコオロギ(Loxoblemmus sylvestris)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・コオロギ亜科・オカメコオロギ属>

コオロギ科オカメコオロギ属のコオロギで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
体長は12〜16mmで、発生時期は8月上旬〜11月、年1化性である。卵で越冬する。
主に林中や林縁で見られるが、草原や河川敷でも見られる。
体色は、暗灰褐色で、複眼の間に細い白帯がある。
オスは、リーリリリリリリリ リーリリリリリリリと鳴く。
よく似たハラオカメコオロギと外見だけで見分けるのは難しいが、以下の点で判断できる。
・オスの前翅端部は、モリオカメコオロギの方がやや長く、尖って見える
・腹面は、モリオカメコオロギの方が赤味が強く、両サイドの白っぽい部分が明瞭

2022/8/27
網引湿原第1獣害防止ゲートからバイオトイレに向かっているとき、足元にいました。
この個体には産卵管がありますのでメスで、上側の後脚がなくなっています。
最初、エンマコオロギ科と思ったのですが、頭部などが異なることに気が付きました。
後で調べると、オカメコオロギらしい事が分かりましたが、ハラかモリかが分かりません。
腹面を見れば色の違いで見分けられるようなのですが、上面の写真しかないのでそれができません。
見かけた場所が林縁の近くだったので、仮にモリオカメコオロギとしています。

エンマコオロギ(Teleogryllus emma)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・コオロギ亜科・フタホシコオロギ族・エンマコオロギ属>

コオロギ科エンマコオロギ属のコオロギで、在来種。
日本では、北海道北部と南西諸島を除く日本全国に広く分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
日本のコオロギの中では最大種で、一般にコオロギといえば本種のことを指す。
体長は26〜32oで、背面は一様に黒褐色で、腹面は淡褐色。
頭部は大きく、光沢のある半球形で、触角は細く、体よりも長い。
和名は、複眼の周りの黒い模様とその上の淡褐色の帯が眉に見え、閻魔大王の憤怒面に似ることに由来。
昼間は草木の茂みや枯れ草などの陰に潜み、夜になると周辺を徘徊する。灯火に飛来する事もある。
食性は雑食で、植物以外に小動物の死がいなども食べる。
オスは、前翅を立ててこすり合わせ、コロコロリーリー...と鳴く。

2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートの所に戻って、タラノキの果実を撮ろうとしたとき、
足元からコオロギが数匹、四方に飛んで逃げて行きました。
その内の1匹が、比較的草の少ない場所で止まったので、撮ることができました。
頭部の形や斑紋からエンマコオロギと分かります。産卵管があるのメスですね。
このとき、ウスバカマキリを見つけたのですが、そのエサとなっていたのはオスでした。

マダラスズ(Dianemobius nigrofasciatus)
<バッタ目・キリギリス亜目・コオロギ下目・コオロギ上科・
コオロギ科・ヤチスズ亜科・マダラスズ属>

コオロギ科マダラスズ属の小型のコオロギで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と奄美大島までの南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国大陸東北部〜シベリア南東部に分布する。
体長は6〜12mmで、発生時期は年1回〜2回。7月〜10月まで見られる。
地上性で、畑や芝の草原、公園、河川敷など、草丈が低く、被覆度のやや低い場所を好む。
昼行性で、活動はあまり活発ではないが、行動は俊敏。
体色はやや灰色を帯びた黒色で、後脚に白黒の縞模様がある。
頭部はあまり大きくなく、細かな斑点があり、後部には淡い色の縦線が入っている。
触角は体長より少し長い程度。オスの前胸背板は後方がやや拡がり、不規則な斑紋がある。
前翅は、オスは淡色で腹部後端に届く程度の長さだが、メスは腹部中央くらいまでで、翅脈は平行。
後翅は、よく発達した長翅型と発達の悪い短翅型があり、短翅型は飛翔できない。
昼行性で、活動はあまり活発でないが、行動は敏捷。
オスは、「ジー・ジー・・・・」と小さく単調な声で鳴く。

2022/8/27
網引湿原の裏手で、ヒシバッタの写真を撮ったのですが、それに写り込んでいました。
側溝の側面に付いていて、それも小さな幼虫だったので、撮った時には気が付きませんでした。
そのため、ピントは甘いですが、何とか識別可能だったのはこの1枚のみです。
調べると、後脚や腹部の帯模様からマダラスズの幼虫と分かりました。

コバネイナゴ(Oxya yezoensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>
 
バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
体長はオスが30mm前後で、メスが40mm前後ある。
体色は明るい緑色で、頭部から尾部までの側面には暗褐色の筋が走っている。
なお、背面は肌色か緑色のものが多いが、稀に紅色の個体がいる。
翅は、腹端を越えないものが多いが、長翅型のものも見られる。
出現時期は8月〜11月で、卵で越冬する。
イネ科植物の葉を摂食するので、イネの害虫であるが、その他の雑草もよく食べる。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。

2022/8/27
網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、たくさんのイナゴに出会いました。
よく見ると、その多くが前回には見られなかったコバネイナゴでした。
その中に翅の長いイナゴも混じりますが、ハネナガイナゴか長翅型コバネイナゴかははっきりしません。


2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートまで道路には、相変わらず多くのイナゴがいました。
歩くたびに足元からイナゴが飛び出してきます。ふと横を見ると、交尾中のカップルがいました。
翅の長さからしてコバネイナゴのカップルです。雌雄の大きさの違いが良く分かりますね。

ハネナガイナゴ(Oxya japonica japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>

バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアからインドに広く分布する。
出現時期は8月〜11月で、体長はオスで17〜34mm、メスで21〜40oである。
体の側面に濃茶色の筋が入った明るい緑色のバッタで、翅は腹端や折り曲げた後ろ足より長い。
イネ科の植物の葉を摂食するので、イネの害虫でもある。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。

2022/8/9
第2湿原を周っているとき、足元から飛び立って止まったのがハネナガイナゴでした。
コバネイナゴと異なり、翅端が尾端より長く伸びているのが分かると思います。

 
2022/8/16
網引湿原第2湿原を周っているとき、足元から飛び立って看板にハネナガイナゴが止まりました。
前回来た時に見かけたのも、ハネナガイナゴでした。ここでコバネイナゴには会えていません。


2022/8/27
左は、網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で見かけた、ハネナガイナゴです。
コバネイナゴが多かったなかで見かけた、数少ないハネナガイナゴです。
右は、網引湿原第2湿原で見かけたもので、ここではコバネイナゴは見かけませんでした。

イナゴの幼虫(Catantopidae)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>

バッタ科イナゴ属のバッタの幼虫で、イナゴはイナゴ科に属するバッタ類の総称。
日本では稲の害虫とされ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
バッタ科でイナゴの名が付くのは、イナゴ亜科、ツチイナゴ亜科、セグロイナゴ亜科、ヒナバッタ亜科にいる。
イナゴ亜科のハネナガイナゴかコバネイナゴの幼虫には、背中に白い筋模様がある。
この両種の幼虫は、見た目がそっくりで、外見からの判別はほぼ不可能である。

2022/8/9
第2湿原に入って直ぐの草むらで見かけたイナゴの幼虫です。
脱皮して間がないのでしょうか、全体に白っぽい色合いです。
そのため、イナゴの幼虫の特徴である背面の白い筋模様が不明瞭です。
近くで見かけたのはハネナガイナゴでしたが、この段階ではどちらの幼虫かは判断できません。


2022/8/16
今回も、網引湿原第2湿原に入って直ぐの草むらでイナゴの幼虫に会えました。
今回は、どうした訳か2匹とも茶褐色の個体でした。
個体群密度が高いと、体色は緑色から茶褐色に変わると言われています。
この湿原では、それほどイナゴを見かけませんので、個体密度は高いとは言えません。
となると、この体色は個体群密度の低い場合に見られる、環境に応じた隠蔽色ということになります。
要するに、草むらでは緑色、地面や枯れた草などの多い所では茶褐色の保護色になるいうことですね。


2022/8/27
今回も、網引湿原第2湿原でイナゴの幼虫に会いましたが、なぜかキセルアザミに張り付いていました。
前回出会った幼虫は褐色型だったのですが、今回は緑色型の幼虫でした。

ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・ショウリョウバッタ亜科・ショウリョウバッタ属>
 
2022/8/27 <オス>
 
2022/8/27 <メス>
バッタ科ショウリョウバッタ属に分類されるバッタで、在来種。
ユーラシア大陸の熱帯から温帯にかけて広く分布する。
日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
出現時期は8月〜11月で、オスで40〜50mm、メスで75〜80mmと倍近い差がある。
オスは飛ぶときに「キチキチキチッ」と音を立てるので、キチキチバッタの別名で呼ばれることがある。
メスの両方の後ろ足の先を持つと、体をしゃくるように上下させるので、ハタオリバッタの別名がある。
精霊舟に似ることから「ショウリョウ」の名が付いたといわれる。
しかし、雌雄の大きさの差が甚だしいことから「霄壤」の名(ショウジョウバッタ)を別名として持つ。

網引湿原のバイオトイレから第1獣害防止ゲートまでの間で、ショウリョウバッタも多く見かけました。
前回来た時もいたのですが、数が少なく、近づくと畑の中に逃げられて、撮影できていませんでした。
今回は数も多くなっていて、比較的近くに降りてくれたので、撮影できました。
前回は見かけなかったメスも、今回は数匹確認でき、その内の1匹を撮影できました。
ただ、後脚の片方がなくなっており、無傷でなかったのが残念です。
その他の色のオスやメスに関しては、こちらに掲載しています。

セグロイナゴ(Shirakiacris shirakii)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・セグロイナゴ亜科・Shirakiacris属>

イナゴ科セグロイナゴ亜科に属する中型のバッタで、在来種。
色彩や素早い動作から、以前はバッタ科とされていた。別名がセグロバッタ。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシア沿海州、カシミール、バルーチスターンに分布する。
国内では、昭和の頃までは極普通の種であったが、平成に入って激減し、絶滅が心配されている。
出現時期は8月〜11月で、体長はオスで35mm前後、メスで26〜40mmである。
体色は灰褐色で、前胸背の左右に淡黄色縦筋があり、複眼に6本の縦筋がある。
翅は灰色がかった淡褐色で、濃い褐色の斑点があるが、斑点には地域や個体変異がある。
自然度が高く、適度に管理された草原で、やや低めのイネ科の群落を好む傾向がある。
幼虫、成虫とも非常に俊敏で、危険を察知すると素早く草むらに逃げ込む。
食草は、他のイナゴやバッタと同じく、イネ科の草本である。

2022/6/18
第2湿原の獣害防止ゲート近くの草むらで、葉の上にいるバッタの幼虫を見つけました。
何の幼虫か直ぐに分かるだろうと思っていたのですが、特徴のある斑紋がないので難航しました。
唯一の手掛かりは、後腿節にある2本の淡褐色の帯斑です。
このような帯斑を持つものはいるのですが、他の斑紋があって合うものがいないのです。
そんなとき、セグロバッタ(セグロイナゴの別名)の若齢幼虫が、似ていることが分かりました。
中齢幼虫になると前胸背の左右にある淡黄色の筋が明瞭になってくるので、中齢ではないようです。
もう1点、複眼に縦筋があるのも特徴で、それが写真でも確認できるので、本種と判断しました。
なお、平成以降急減していて、近隣の京都、大阪、岡山では絶滅危惧U類になっているようです。

ツチイナゴ(Patanga japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・ツチイナゴ亜科・ツチイナゴ属>

イナゴ科ツチイナゴ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、中国からインドまで広く分布する。
独特の模様がある茶褐色のバッタで、成虫の体長はオスが50〜55mm、メスが50〜70mmと大型。
全身が茶褐色で、細かい毛が生えており、背中には黄白色の線が頭部から尾部まで走っている。
複眼の下に淡黄色で縁取られた黒い線、胸部の側面にも黒と淡黄色の縦しまがある。
大半の幼虫は、終齢幼虫まで鮮やかな黄緑色をしているが、稀に褐色型の幼虫もいる。
成虫になると黄緑色から一転して茶褐色にかわる。これは、枯草の多い冬季に保護色となる。
日本に分布するバッタ類は、卵で越冬する種類ばかりだが、本種は成虫で越冬し、翌年の初夏に産卵する。
そのため、他のバッタ類が成虫となる夏頃には幼虫で、成虫が現れるのは10月頃からである。

2022/8/27
網引湿原の駐車場の戻ったとき、車の後に広がる草原で、ツチイナゴの幼虫を見つけました。
幼虫も成虫も、複眼の下に伸びる淡黄色で縁取られた黒線が特徴で、分かり易いバッタです。


2022/10/11
網引湿原の第1獣害防止ゲートまで道路で、イナゴに混じって大きなバッタが飛び出してきます。
その内の1匹が、柵に止まってくれたので撮影できました。
複眼の下に伸びる淡黄色で縁取られた黒条は、ツチイナゴの特徴です。
10月に入って、やっと成虫が見られるようになったようです。


2023/5/4
第3湿原の遊歩道を歩いているとき、大きなバッタが時々飛び出します。
正体が分からなかったのですが、遊歩道の真ん中に止まってくれたので、確認できました。
昨年の晩秋に成虫になって冬眠していたツチイナゴが、春になって活動を始めたようです。
以前調べたときに、この時期に見られることは知っていたのですが、実物を見たのは初めてです。


ツチイナゴの成虫

   .
   .
2021/10/30
網引湿原で見かけたヒメギスの幼虫ですが、成虫になるのは秋も深まった10月です。
上記は、神奈川県相模原市にある城山湖の畔で見かけたツチイナゴの終齢幼虫と成虫です。
成虫は茶褐色ですが、幼虫の頃は鮮やかな黄緑色が主流です。が、右のようなへそ曲がりもいます。


イボバッタ(Trilophidia japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・トノサマバッタ亜科・イボバッタ属>

バッタ科イボバッタ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島に分布する。
出現時期は7月〜11月で、体長はオスで18〜24mm、メスで28〜35mmである。
日本国内に生息するトノサマバッタの仲間では、最少の部類に入る。
全体が灰褐色と暗褐色のまだら模様で、胸部背面にイボ状の突起が2個あり、それ和名の由来。
日当たりの良い裸地を好み、地面に居ると体の模様が保護色となって見つけにくい。

2022/8/9
網引湿原の最初のゲートを出て、駐車場に戻る途中で見かけたイボバッタです。
動かないと見つけるのは困難ですが、近づくと飛んで逃げるので直ぐに分かります。

ヤマトフキバッタ(Parapodisma setouchiensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・フキバッタ亜科・ミヤマフキバッタ属>

バッタ科ミヤマフキバッタ属のバッタで、在来種。
日本では、本州の青森県南部から四国、九州、屋久島、種子島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
低地から丘陵地、山地まで広く生息し、一部では森林限界まで見られる。
この属の中では、ミカドフキバッタと並んで広い範囲に分布する。
別名は、セトウチフキバッタ、トガリバネフキバッタ。
体長は、オスが22〜28mm、メスが27〜38mmで、出現時期は7月〜9月。
複眼から伸びる黒条は、オスでは頭部のみのものから前胸背板後端まで伸びるものまで変異がある。
しかし、メスでは頭部を超えると消えるか前胸背に僅かに伸びる程度である。
タンザワフキバッタに酷似しているが、翅はヤマトワフキバッタの方が大きく、翅が重なる。
昼行性で日中に活動するが、動作は緩慢であり、翅が退化しているので飛ぶこともない。
主にキク科のフキ、ツワブキ、ヤブレガサなどを食べるが、他の多くの草本も食べる。
夏から秋にかけて土中や朽木に産卵し、卵で越冬して、翌春に孵化する。

2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートの手前や入って直ぐの辺りで見かけた、ヤマトフキバッタの幼虫です。
柔らかくておいしいのでしょうか、ヤマツツジの花や若葉を食べているようです。
幼虫の特徴からフキバッタの幼虫らしいことは直ぐに分かったのですが、種類の特定に難渋しました。
幼虫は似ていて、ミカドフキバッタ、ヤマトフキバッタ、ハネナガフキバッタなどが似ています。
1齢幼虫の写真を見比べて、最も似ていると思ったのがヤマトフキバッタでした。
ただ、確信が持てるほどの根拠はないので、間違っている可能性はあります。

ハネナガヒシバッタ(Euparatettix insularis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・ヒシバッタ上科・ヒシバッタ科・ヒシバッタ亜科>

ヒシバッタ科ヒシバッタ亜科のバッタで、在来種。
日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
出現時期は3月〜11月で、水田や畑、沼の周囲にある湿った草地などの地表で見られる。
体長10〜20oほどで、長い翅を持ち、背中が暗褐色。複眼が飛び出して見える。
見た目はトゲヒシバッタに似ているが、胸にトゲが無く、トゲヒシバッタのように背中が白っぽくない。
いろいろな植物の葉を食べ、成虫で越冬する。

2024/3/16
第1獣害防止ゲートを出て駐車場の方に戻る途中、側溝の水の上でもがくヒシバッタがいました。
近づいて良く見ると、翅が後脚よりも長く突き出ているハネナガヒシバッタでした。
本種は成虫で越冬することができるので、おそらくこの個体も成虫越冬組と思われます。

ハラヒシバッタ(Tetrix japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・ヒシバッタ上科・ヒシバッタ科・ヒシバッタ亜科>

ヒシバッタ科のバッタで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア極東地域に分布する。
成虫の出現時期は4月〜5月で、草地や乾燥した場所などのほか住宅地でも普通に見られる。
体長はオスで8〜10mm、メスで9〜13mmほどしかなく、翅も短いのでほとんど飛ばない。
その代わり、後脚が強く、ジャンプ力がある。
背部の斑紋の変異は大きく、いろいろな模様の個体を見ることができる。

2022/6/18
第2湿原の獣害防止ゲート近くの草むらで見つけたバッタの幼虫、その直ぐ近くに居ました。
小さいうえに、意外と敏感で、近づくと直ぐにピョンと飛んでしまうので、撮りにくいバッタです。
このときは、葉の上でじっとしてくれていたので、何とか撮ることができました。
背部の斑紋には変異があり、この斑紋は黒紋型と呼ばれるものの1パターンです。
なお、メスは大半が黒紋型だそうですが、オスでは無紋型と混在し、高緯度ほど黒斑型が多いそう。


2022/8/27
網引湿原のバイオトイレの横にある側溝、そこにタカサブロウが咲いていたので撮っていました。
その時、近くで何かが跳ねたので注意深く見ると、ハラヒシバッタでした。
さらにその横の方で、もそもそ動いているハラヒシバッタがいました。
写真を後で確認していて気が付いたのですが、後脚が両方ありません。跳べなかったんですね。
腹部がはみ出すほど大きくて黒紋型なので、おそらく、この個体はメスだと思います。


2023/5/4
網引湿原の第1獣害防止ゲートへ続く農道で、ハラヒシバッタが足元から飛んで逃げて行きます。
成虫で越冬するツチイナゴは別として、本種は幼虫で越冬するので、発生が早いようです。
※ 国内のバッタ類の多くは卵で越冬するため、夏ごろに成虫になるものが多い。









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