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網引(あびき)湿原
…… 真っ黒なトンボが飛び交ってます ……
[2023/5/4]




実家でWebを見ていた時、比較的近くに県内有数の湿原があることに気が付きました。
加西市網引町にある滲水湿原で、奥池を挟んで2700uの広さがある網引湿原です。
貴重なサギソウやムラサキミミカグサ等の植物やヒメヒカゲやヒメタイコウチが生息しています。
そのため、2020年(令和2年)3月13日に天然記念物として県指定文化財に指定されています。
奥池などの周辺環境も含めた361,828uが指定範囲となっています。


<網引湿原への入口にある看板群で、この右手が駐車スペース>

昨年、見る時機を逸して見損ねたトキソウ。その下見を兼ねて出かけることにしました。
ゴールデンウィークの最中ですが、時期的には早いので、大丈夫だろうと出かけました。
すんなりと到着し、駐車場を見ると先客が2台止まっていました。
1台は軽トラで、少し先の畑で、お孫さんと畑の手入れをされていました。
もう1台は、私と同じで、網引湿原を散策に来られた方のようでした。



駐車場に到着したのは9:50頃で、さっそく長靴に履き替えて出発。
バイオトイレで用を済ませ、写真を撮りながら第1獣害防止ゲートに到着。


<白花のユウゲショウ>
このとき、ユウゲショウの白花(普通は紅紫色)を久しぶりに見ました。
以前見たのは、神奈川県の城山湖の近くで、普通のユウゲショウに1株だけ混ざっていました。
さて、第1獣害防止ゲートを通って靴底の洗い場到着。ここで、長靴を丁寧に洗いました。


<ニホントカゲ>               <ニホンカナヘビ>
第1湿原の獣害防止ゲートから中に入った所で、ニホントカゲとニホンカナヘビがお出迎えです。
既に湿原の手入れは準備万端で、きれいに整えられていました。

 
<ヤチカワズスゲ>
第1湿原で見られたのは、主にヤチカワズスゲです。

 
<ショウジョウバカマの果実>
第1湿原を後にして、奥池の畔を歩いていると、花後のショウジョウバカマが見られました。
ショウジョウバカマは、花後も花被片は黄緑色になって残るので、形状的にはあまり変わりません。
※ ショウジョウバカマの花に関しては、こちらに掲載していますので参照ください。


    <ウラジロ>                 <シシガシラ>
ウラジロやシシガシラも新葉の展開を始めていて、夏に向けて動き始めているようです。


<ヤマツツジ>                <モチツツジ>
また、そこここに朱赤色のヤマツツジとピンクのモチツツジが競うように花を付けていました。


<ツクバネウツギ>
地味な花ですがツクバネウツギも、あちらこちらでたくさん花を付けていました。


 <シオヤトンボ>              <フタスジサナエ>

<ヒメウラナミジャノメ>
奥池の周りでは、シオヤトンボやフタスジサナエが飛び交い、ヒメウラナミジャノメも見られました。
第2湿原の獣害防止ゲートに10:37に到着。 
ここも遊歩道や木道もきれいに手入れされており、準備は整っているようです。

 
<キンラン>
湿原の周りを歩いていると、第3湿原で足元近くで咲いているキンランに出会えました。
キンランは、樹木の根に外菌根を形成する外菌根菌と根の間に割り込んで成長します。
外菌根への依存性が高いため、どこにでも生えるわけではなく、条件の整った場所以外では見られません。

 
<ヒメハギ>
キンランの少し先でヒメハギが、淡紅紫色の可憐な花を隠れるように咲かせていました。
花弁のように左右に開いた淡紫色の側萼片が目立ちますが、花冠はその内側にあります。
3裂した花冠の下側裂片の先は白く細裂した付属体で、2個の濃紫色の上側裂片は付属体の上です。


<ニホンアカガエル>
ヒメハギの写真を撮っていると、ニホンアカガエルが顔を見せてくれました。
1月〜3月の繁殖期後、再び冬眠するそうですが、その冬眠開けなのか動きが緩慢でした。

 
<ヤマツツジ>                <モチツツジ>


ここでも、朱赤色のヤマツツジとピンクのモチツツジが競うように花を付けていました。
第3湿原の中にも咲いていて、湿原の奥の方は乾燥化が進んでいるのかもしれません。


 <ツクバネウツギ>             <コツクバネウツギ>
湿原の周りには、ツクバネウツギが所々で見られます。
そんな中、1株だけでしたが黄色味の強いコツクバネウツギが見られました。


<コンボウケンヒメバチ>
入口に戻りかけた時、突然、目の前から大きなハチが飛び立ち、思わず足が止まってしまいました。
長い産卵管が見えますので、ヒメバチの仲間のようですが、よく見る物の倍以上の大きさです。
遊歩道を少し進んだ所で、再び、飛んできて近くのロープに止まりました。
体が大きすぎるためでしょうか、上向きに止まろうとするのですが、クルっと回ってしまいます。
何度か止まり直したのですが、その都度、クルっと回ってしまい、最後は諦めたようです。
後で調べて、大きさや腹部の黄色い斑紋などからコンボウケンヒメバチとしました。
第2湿原の獣害防止ゲートに戻ってきたのが、11:30でした。


<ニワハンミョウ>
第2湿原を後にして帰り道、奥池の通路に沿って何かがピョンピョンと飛んでいきます。
そっと近づいて良く見ると、それはニワハンミョウでした。
来るときにもいたはずですが、気付きませんでした。他の事に気が行っていて見落としたのでしょう。


<奥池>
戻りに撮ろうと思っていた奥池ですが、少し風があるのか多少波立っていました。
しかし、対岸の新緑の林が池に映っていて、とても春らしい景色を見せていました。
戻りは、第1湿原には入らず、その外を周って靴底の洗い場を通過。


<ハラビロトンボ♂>
第1獣害防止ゲートを出て、歩き始めた時、目の前を真っ黒なトンボが通り過ぎて行きました。
本当に真っ黒で、こんなトンボは見たことがありません。体形的にはハラビロトンボのようです。
後で調べてみると、白い粉が吹く前の成熟の初期には、このような黒い体色になるそうです。
よく見ると、右の写真の個体は、腹部に少し白い粉が吹き始めていますね。


<ゲンゲ畑>
行くときは足元ばかり見ていたので気付かなかったのですが、畑の半分ほどにゲンゲが咲いていました。
子供の頃には、そこいらじゅうにゲンゲ畑が広がっていたのですが、今はめったに見かけません。
ちなみに、正式和名はゲンゲですが、子供の頃にはレンゲと呼んでいました。

駐車場に着いたのは12:20。予定通りに13時頃には実家に戻れそうです。

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