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網引(あびき)湿原
…… リンドウの咲く頃 ……
[2022/10/11]



実家の比較的近い場所に、県内有数の湿原があることに気が付きました。
加西市網引町にある滲水湿原で、奥池を挟んで2700uの広さがある網引湿原です。
貴重なサギソウやムラサキミミカグサ等の植物やヒメヒカゲやヒメタイコウチが生息しています。
そのため、2020年(令和2年)3月13日に天然記念物として県指定文化財に指定されています。
奥池などの周辺環境も含めた361,828uが指定範囲となっています。

しばらく行っていなかったので、秋の網引湿原を訪れることにしました。


<網引湿原への入口にある看板群で、この右手が駐車スペース>

平日ということもあり、網引湿原の駐車場に止まっている車はありませんでした。
最初の獣害防止ゲートを開けた形跡は見られませんでしたので、今日、最初の訪問者だったようです。
最初の獣害防止ゲートを入った先の林内で、前回、いろいろなキノコに出会えました。
今回ももっといろいろなキノコに出会えるかと期待したのですが、期待外れでした。
代わりに目を楽しませてくれたのが、あちらこちらで花を咲かせていたホソバリンドウです。
通路脇や湿原の周囲などで、他の野草に紛れて紫の花を咲かせていました。
キセルアザミも、第2湿原から第3湿原にかけて、多くの赤紫色の花を咲かせていました。



午前中に出かけられず、今回は13:40に実家を出て、14:15にすんなりと網引湿原の駐車場に到着。
平日ということもあり、駐車場に止まっている車はありませんでした。
急ぎ、長靴に履き替えて出発。ただ、第1獣害防止ゲートまでの間で、あちこちで臨時停車。



前回来たときには咲き始めで少し咲いているだけだったヤマハギですが、今は花の盛りといった所です。


<テリハノイバラ>   <ノブドウ>    <クサギ>   <サルトリイバラ> <コバノガマズミ>
ヤマハギ以外の花は見られなかったのですが、代わりにいろいろな果実が見られました。
テリハノイバラとサルトリイバラは、まだ、熟す途中で、完熟するともっと真っ赤になります。
ノブドウももっと熟してくると、もっと鮮やかな青や紫、赤紫色などになります。
イヌザンショウもあったのですが、すっかり果実は無くなってしまっていました。


<キンケハラナガツチバチ>    <ツチイナゴ>       <コバネイナゴ>  .
通路脇などにセイタカアワダチソウが咲いていて、キンケハラナガツチバチのオスが飛び交っていました。
通路を歩いていると、次々とイナゴが飛び出してきます。
時折、ショウリョウバッタや大きなバッタが飛び出してきます。その内の1匹が金網に止まりました。
それはツチイナゴでした。他のバッタより成虫になるのが遅く、この時期に成虫になります。
また、通路脇のササの葉の上にいるコバネイナゴのペアを見つけました。雌雄で大きさが異なります。


<ヒヨドリバナ>        <サワヒヨドリ>        <サワシロギク>
なんだかんだで、第1獣害防止ゲートに着いたのは、14:40になってしまいました。
第1獣害防止ゲートから奥池までの通路脇では、ヒヨドリバナやサワヒヨドリが咲いていました。
奥池の畔の通路脇ではサワシロギクが咲いていて、赤い花が見られました。
前回来たときには白い花しか見られなかったのですが、時間が経過して赤く変化したようです。


<ホソバリンドウ>
第1湿原はパスして、奥池に着いたのは14:48でした。第2湿原には14:52に着きました。
奥池から第2湿原、第3湿原と歩いていると、そこここでホソバリンドウが花を付けていました。
ただ、固まって咲いているところは少なく、多くが他の草に紛れてポツリポツリと咲いていました。
それでも紫の花はかなり目立っていて、咲いているのは離れていても直ぐに分かります。


<キセルアザミ>
第2湿原や第3湿原にかけては、多くのキセルアザミが咲いていて、これらも目を楽しませてくれました。
ホソバリンドウとは異なり、かなり草丈があり、赤紫色の花もよく目立ちます。


 <スイラン>        <ヤマラッキョウ>        <モチツツジ>
第2湿原の入口近くで黄色い花を咲かせていたのがスイランです。ランと名が付いていますが、キク科です。
葉の形がキク科らしくない細長い線形で、春蘭の葉に似ているのが和名の由来らしいです。
第2湿原の木道脇では、ヤマラッキョウが可愛らしい赤紫色の花を付けていました。
第3湿原奥で、イヌホウズキに隠れるようにして、モチツツジが季節外れの花を付けていました。


<サルトリイバラ>        <ヘクソカズラ>        <アオツヅラフジ>

<イソノキ>        <イヌザンショウ>        <ウメモドキ>
第2湿原、第3湿原でもいろいろな果実が見られました。
ここのサルトリイバラは未熟で、やっと黄色味が加わったきた程度でした。完熟すると赤くなります。
混在していたヘクソカズラも未熟で、黄褐色のようは色味で、完熟するともっと黄色くなります。
直ぐ近くにあったアオツヅラフジは完熟して、白い粉を吹いた黒紫色になっていました。
イソノキも黒い艶やかな果実を付けていて、まだ、未熟な赤い果実も見られました。
駐車場近くのイヌザンショウには果実がなかったのですが、ここではたくさん付いていました。
まだ、熟し始めたばかりのようで、中央付近の4個が赤褐色に色づいた程度でした。
奥池の畔で赤い果実を付けていたのはウメモドキです。他に色味がないので、結構目立っていました。


<オオカマキリ>       <ヒメアカネ>        <オオアオイトトンボ> .
第2湿原の木道脇で、キセルアザミにオオカマキリが付いているのに気付きました。
鎌の基部の写真を撮るために捕まえたのですが、かなり弱っているようで、ほとんど動きませんでした。
中央はヒメアカネのオスですが、最初、マユタテアカネのオスだと思っていました。
しかし、腹端の付属器がマユタテアカネとは異なることに気づき、ヒメアカネと分かったしだいです。
右端のオオアオイトトンボは似たものがおり、胸部側面の金属光沢の形状から本種と判断しました。


<奥池>
第2湿原を後にして、奥池に到着したのは15:12でした。
この日は無風に近かったので、奥池が鏡面のようになっていました。


<シラヤマギク>         <シュロソウ>          <オケラ> .
奥池の畔では、シラヤマギクが満開になっていました。サワシロギクと違い、赤くなりません。
シュロソウはほぼ咲き終わりで、花は残っていましたが、多くが未熟な果実になっていました。
その近くで、他の草に隠れるようにしてオケラが花を付けていました。
植栽されたオケラの花は見たことがありますが、自生のオケラの花は初めて見ました。


  <カワラタケ>         <ラッコタケ>       <オオミノコフキタケ>
第2湿原の入口近くの切り株で、切り株を覆うように大きく広がっていたのはカワラタケです。
靴底の洗い場からその先の林内で見かけたのが、ラッコタケとオオミノコフキタケでした。
ラッコタケは、表面に毛があるので、環紋がオオミノコフキタケほど明瞭ではないようです。


<ヨツボシモンシデムシ>     <ヒサマツムシヒキ>       <ウスバカマキリ> .
奥池の端まで来た時、笹の葉の上でウロウロしているヨツボシモンシデムシを見かけました。
後で写真を見ると、ダニが胸部に4匹、前翅に3匹付いていることが分かりました。
撮影した時は、紋の色によく似ていたので、ダニがいることには気が付きませんでした。
さて、第1獣害防止ゲートに戻ってきたのが15:35でした。
第1獣害防止ゲート近くを歩いているとき、何かが飛んできて、目の前の地面に止まりました。
何が飛んできたのかと見たのですが、何も見えません。とりあえず写真を撮っておきました。
後で写真を調べてみると、小さなムシヒキアブ、ヒサマツムシヒキが写っていました。
第1獣害防止ゲート手前の草原で、足元からコオロギが跳んで逃げて行きます。
そのコオロギを目で追っていて、コオロギを捕らえて食事中の小型のカマキリに気が付きました。
生息場所が限定されるので、分布域が広い割に数が少ない希少種のウスバカマキリです。
私も見たのは初めてで、淡緑色型のようなのですが、前翅の中央付近は淡いベージュ色でした。

 
  <エンマコオロギ>         <ホシササキリ>
第1獣害防止ゲートの手前で跳んで逃げたコオロギは、エンマコオロギでした。
その内の1匹が、比較的草の少ない場所で止まったので、撮ることができました。
頭部の形や斑紋からエンマコオロギと分かります。産卵管があるのメスですね。
第1獣害防止ゲートを出て駐車場に向かっていると、足元からイナゴが跳んで逃げて行きます。
そのなかにホシササキリが混ざっているのに気が付き、見える場所に止まったものを撮影しました。
褐色型のホシササキリで、産卵管が見えるのでメスのようです。触角は体長の2倍位あります。


     <ウメモドキ>                <アレチヌスビトハギ>
駐車場の近くまで戻ってきたとき、大きなウメモドキの木があることに気が付きました。
湿原に向かっているときは下の方ばかり見ていたので、気が付かなかったようです。
駐車場に着いたのは15:40でした。
靴を履き替えようと後ろに回ったとき、アレチヌスビトハギが花を付けているのに気が付きました。
今は数株しか生えていませんが、後、数年もすれば一帯を覆うほどに増える可能性があります。

15:50に駐車場を後にし、実家に着いたのは16:20でした。
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