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網引(あびき)湿原
…… ハッチョウトンボが飛び交ってます ……
[2022/6/18]



実家でWebを見ていた時、比較的近くに県内有数の湿原があることに気が付きました。
加西市網引町にある滲水湿原で、奥池を挟んで2700uの広さがある網引湿原です。
貴重なサギソウやムラサキミミカグサ等の植物やヒメヒカゲやヒメタイコウチが生息しています。
そのため、2020年(令和2年)3月13日に天然記念物として県指定文化財に指定されています。
奥池などの周辺環境も含めた361,828uが指定範囲となっています。

気が付くのが遅くて、既にトキソウは終盤になっていて、見られるかどうか分かりません。
しかし、うだうだ言っても始まりませんので、網引湿原に出かけてみることにしました。
ただ、地図を見ても近くに駐車場が見当たらず、少々歩くことになりそうです。
ところが、出かけた方々のブログなどを見ていると、近くに数台程度止まれることが分かりました。


<網引湿原への入口にある看板群で、この右手が駐車スペース>

土曜日なので満車の可能性が高いですが、意を決して出かけました。



さて、雨模様ですが、大雨にはならず、午後には回復しそうなので出かけることにしました。
実家を出たのは9:50で、特に渋滞していることもなかったので、10:20には入口に到着。
土曜日なので心配していたのですが、やはり駐車スペースは満杯でした。
近くの公会堂の駐車場に止められるとのことなので、公会堂に向かいました。
既に2台の先客が居ましたが、十分なスペースがあったので、空きスペースに駐車しました。
木道などはぬかるみもありそうなので、長靴に履き替えて、先ほどの入口に戻りました。
10:40に駐車場を後にして、散策を開始しました。
農道を少し行ったところに、ログハウス風のバイオトイレが設置されていました。
ここから先トイレはないので、ここで用を足しておきます。
少し先に最初の獣害防止ゲートが設置されていました。
10:50にゲートを通った辺りで、雨が強く降り始めてしまいました。やれやれ。

 

ゲートを入って直ぐの所で、樹の根元に石組があり、中が空洞になっています。
自然にできたものではなさそうで、古墳の石室か何かだったのかも。
11:00に靴底の洗い場到着。余計なものを持ち込まないよう、靴底をブラシでゴシゴシ。
雨は相変わらずでやみそうもありません。少し進んだ所に第1湿原の獣害防止ゲートがありました。
中に入った所で、雨脚が急に強くなり、慌てて戻って、樹の下でしばし雨宿りです。
小降りになるまで待って、11:10に第1湿原の散策開始です。

 

ゲートを入って右手の草原の中に1輪だけ、ササユリが咲いていました。
その右手の方の湿原の際辺りに、ノハナショウブが所々で花を付けています。



入口付近から見た第1湿原の様子で、正面の一段高くなっている先に奥池があります。
湿原の木道近くやノハナショウブの近くにはカキランが咲き、群生している所も見られました。



湿原の外れの斜面を登ると獣害防止ゲートがあり、その先に奥池が見えました。
11:20に奥池到着。奥池の畔に、ノハナショウブが2輪だけ咲いていました。

 

11:25に第2湿原の獣害防止ゲートに到着。第1湿原よりかなり広いことが分かります。
案内板があり、現在、解放されているのが第1〜3湿原までと分かりました。
少し離れた所に、第4〜5湿原があるようですが、保護のためでしょうか、通行止めとなっています。
第2湿原の先には第3湿原がありますが、両者を仕切るものがある訳ではないようです。

 

第2湿原の中の木道を歩いて行くと、モウセンゴケがたくさん見られ、白い花を付けていました。


<モウセンゴケとハッチョウトンボ♂>
そのモウセンゴケの近くに、ハッチョウトンボが数多く止まっていました。
時折、オスが飛び交っていましたが、メスはほぼ止まったまま動きません。

 
<ハッチョウトンボ♂>           <ハッチョウトンボ♀>
気が付けば、雨もいつの間にか止んでいて、これで一安心といったところです。
第2湿原から第3湿原の方までぐるりと一回りして、元の場所に戻りました。
ここで、団体さんと案内人の一団と合流してしまい、案内人の説明を一緒に聞くことができました。
環境維持のため、冬に草刈りをして、刈り取った草を人力で湿原の外周に運ぶそうです。
湿原の中には腰まで沈み込むような池塘があり、毎年の草刈りで嵌る人が出るそうです。
尾瀬のように水面が見えればいいのですが、草で覆われていると見えませんものね。
なお、刈った草は自然に腐るのを待つしかないそうです。
焼くとアルカリ性の灰で、酸性の湿原に影響が出てしまうためだそうで、維持するのも大変。
さて、あちこちで写真を撮りまくり、案内板の所まで戻ってきました。


<ヒメタイコウチの幼虫>
すると、案内人の方が、水たまりでヒメタイコウチの幼虫を探していました。
なかなかいないと言ったところで、幼虫が見つかり、周りの方々が撮影していました。
私もチャッカリと撮影に参加させていただきましたが、動きが早くて四苦八苦です。



第2湿原を後にして、12:30に奥池に到着。
行きは雨が降っていたので気が付かなかったのですが、雨が上がると奥池は鏡になっていました。
周りを木々が囲んでいるので、風が入らず、波が立たないためのようです。

 

上の写真は、行きと帰りに撮った同じ場所(アングルは異なります)の写真です。
雨が降っていた行きの写真は、雨の波紋でつや消し状態ですが、帰りはそれがないので鏡ですね。

 
  <ヘラオモダカ>         <オオシオカラトンボ>
12:45に第1湿原の入口の獣害防止ゲート到着。12:52に最初の獣害防止ゲート到着。
ここで、田んぼの周りに見えていたナガバオモダカ(帰化種)のようなものを改めて確認しました。
よく見ると、葉の形は似ているのですが、花序が大きく開き、花序柄も細くて長いのです。
後で確認したところ、花序の特徴などから在来種のヘラオモダカと分かりました。
このとき、周りをオオシオカラトンボが連結して飛び回っているのに気が付きました。
慌ててカメラを構えたところで、連結が外れ、メスの上をオスが哨戒飛行する形になりました。

 
<オオシオカラトンボ>            <ハラビロトンボ> .
オオシオカラトンボのオスに似た、やたらと腹部が幅広のハラビロトンボのオスもいました。
トンボなどの詳細はこちらのページを参照ください。
湿原以外の場所ですが、周りにもいろいろな生物が生息しているようです。

13:30に網引湿原入口の駐車場に到着。公会堂の駐車場に向かいました。
その途中、田んぼの畔で、何かを熱心に観察している方々が目に留まりました。


<ホウネンエビ>               <謎の生物> .
何を見ているのかお聞きすると、ホウネンエビとの事。緑色の体にオレンジ色の尾があるそうです。
ただ、田んぼの水が濁っていて、何か変なものが動いているのが見えました。
シュモクザメを太短くしたようなものが、水面に浮いたり沈んだりしながら動き回っています。
それかと思って聞くと、それではないとの事。そこに地元の湿原を管理されている方が通りかかりました。
その方の話では、いると思うとの事。浅い水たまりを見ていたその方が、ホウネンエビを見つけました。
流石ですね。道具も持っていて、採取して見せていただきました。
後日、実家近くの田んぼで、シュモクザメ状の同じようなもの見つけました。
採取した時に2匹に分離し、調べた結果、2匹のカイエビが結合した物だということが分かりました。
ホウネンエビなどの詳細はこちらのページを参照ください。

今日は初めて出会う花や昆虫を始めとした、いろいろな生き物に出会うことができました。
お昼頃には、すっかり雨も上がって、散策するにはいい天気になり、満足して帰途に着きました。
途中、この前登った高御座山もそう遠くないことに気づき、ちょっと寄り道してから帰りました。

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